篠田節子『冬の光』を読む
篠田節子著『冬の光』(文春文庫、し32-12、2019年3月10日文藝春秋発行)を読んだ。裏表紙にはこうある。四国遍路を終えた帰路、冬の海に消えた父。高度成長期の企業戦士として、専業主婦の妻に守られた家庭人として、幸せなはずの人生だった。死の間際に想ったのは愛した女なのか、それとも――四国で父の足跡を辿った次女の碧は、ある事実を知る。家族、男女関係の先に横たわる人間存在の危うさを炙り出した傑作長編。解説・八重樫克彦次女の碧(みどり)は10日間の休みを利用して、父・康宏が船室内に残した手帳のメモをたどって四国を巡り始める。なぜか、康宏は巡礼9日目の朝に装束、用具一式を捨て、残り六十数カ所を回っていた。そして東京へ帰る途中のフェリーから姿を消した。常に女性の陰がつきまとう父の秘密を碧は探して旅する。富岡康宏:...篠田節子『冬の光』を読む
2022/08/31 05:00