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義母の短歌 https://okamura920.hatenablog.com

義母が98歳で永眠いたしました。義母が書き溜めた2,000首以上の短歌を少しづつ公開いたします。コメント願えたら幸いです。

定年退職後気ままな半農半X生活をしています。今年傘寿を迎え半農も少しずつ調整中です。

okamura920
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福知山市
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2022/01/18

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  • カテゴリー:動植物

    関西花の寺25ケ所 第9番 鶴林寺 手作り短歌集に蒐集されている短歌を、11のカテゴリーに分類いたしました。 まず(一)巻に掲載された432首の内、一番多く(88首)が含まれるカテゴリー【動植物】に分類した短歌から順に掲載いたします。 <義母の短歌 カテゴリー:動植物(一巻掲載88首)> #3 国道に小さき命果つるありハンドル切りて回り道する #5 くる日くる日を花の畑に蝶といて跳ぶこともなく草に膝つく #11 かぞえゆく牡丹の蕾一つ二つ中に目覚めの雨蛙なり #12 れんぎょうの匂える家の壁を這う蔦かずら褪せて今は主なし #22 爆撃を受けるがに逃げ散らう蟻を見ている我が鍬の下に #23 ふる…

  • 短歌集(一)~(三)の掲載を終えて

    関西花の寺25ケ所 第9番 鶴林寺 <短歌集(一)~(三)の掲載を終えて> 昨日までに、義母の手作り短歌集(一)~(三)に蒐集された1020首の掲載を終えました。 下記に、短歌集(三)の最後に記載されている、義母が記載した「あとがき」を転記します。 <あとがき> 平成四年五月、久後先生のお誘いを受け、樵に入会させて戴きました。 以来三年、全く素人の私を育てて下さいましたが、先生は天命とはいえ唐突に私たちの前から去ってしまわれ、私は目標を失いました。良い歌を詠めるようになる事、これが先生へのご恩返しと邁進して参りましたのに、でも先生はきっとあの世から見ていて下さる、悲しいのは私だけではないと此処…

  • #1011-1020 湧きいずる・・・

    関西花の寺25ケ所 第9番 鶴林寺 <義母の短歌>#1011-1020 湧きいずるかたちなきもの歌い上げ解って欲しと強いては言わぬ 闇受けるかたちの三日月冷ややかに人の孤独を見透かしいたり 人妬む心湧かぬをうれしみてこれにて足れりと思うてもみる 怠惰にはつい慣れやすく立ち直る気力湧くかと春を怖るる 非農家の方はこれでと許されて喜ぶべきか集会の戻り 賽銭を投げよとのらす神はなし賽銭なくば盗みもあらじ 肩に沁む寒さを誰に告ぐるべき雪か霜かは天の意のまま 絶叫型押さえて詠めば物足らず塩気抜かれしお粥のような 里径に鳩の遊べる暖かさ速度落として唱う春よ来い ひとり言ふいに明るくとび出せり歌集の原稿まと…

  • #1001-1010 ひょろひょろの・・・

    関西花の寺25ケ所 第9番 鶴林寺 <義母の短歌>#1001-1010 ひょろひょろの毒だみの花白かりき咲くべく生れし石塊がなか 陽の下に晒せば浮き出る疵跡の焦せし鍋ははた戻り来ぬ刻 贈られしピンクのはんかちしげしげと大正の女戸惑いいたり 追うからは日高川なる蛇ともなれ紅ひきそえて書房へ走る ひとり居をいたわる旅の誘いあり忝のう聴き丁寧に断る 轢死せる獣まれなる冬なりきこの現実の奥のはかれず 凝らしみるほどに遠のく歌の奥眠る他なし読むにも疲れ 花の芽を吾が子のごとくいつくしむひとりと言うはやはり侘しき 叶わざる労なきごとし湯の中に伸ばせば脚の痛み覚えず やり場なき悲しみもあり生きる自負崩えなん…

  • #991-1000 埋め置きて・・・

    関西花の寺25ケ所 第9番 鶴林寺 <義母の短歌>#991-1000 埋め置きて忘れし栗の実探す程鴉の頭緻密にあらず 跳びたてぬまでに壁打ち障子打つ小さき命に背戸開け放つ 女三界に家なしなどと戯け言三棟の家屋我が持て余す 白梅の芯のあたりに春生れて陽差し蒐める車体のきらら 膨らみし餅の空洞透かしみつひとつのものはひとつでしかない 丹波丹後の境の峠の地蔵様瓦の屋根が温とうみゆる したたかに雪を降らせし冬将軍出立ちの支度まだ出来ませぬか 身構える要なきこたつにじんじんと勝手に過ぎゆく刻を惜しまず 北狐の子別れの話聞き留めぬ歌の師もまた還り来まさず 書き留めし言葉息づく紙切れの狼籍極めつあやなす語わ…

  • #981-990 格別に・・・

    関西花の寺25ケ所 第9番 鶴林寺 <義母の短歌>#981-990 格別に金に執することもなく時折残高確かめいたり 食いつめてと言うにはあらず田はすべて処分なしたり許させ給え 「ひとり住み」思いもうけぬ現実に過去世の騒然また洵爛たり 寒からぬほどの風花無心なりもとより命の重さは持たず 恍惚の人のごとくに利を産まぬ地の草引くそれだも待たるる どっしりと女の匂い籠らせる和箪笥無用の長物となる 辿るべき道を辿りて七十路の案外明るきひとり住みなる ほがらかなる春陽の下に古稀過ぎてふと戻りたき女の世界 蕗の薹煮つめる無垢な春の香に乾ける土のほとほと恋し 出でし野の日照雨に濡れし心地なる電話の向こうの人忙…

  • #971-980 長の子の・・・

    関西花の寺25ケ所 第9番 鶴林寺 <義母の短歌>#971-980 長の子のわれを愛ぐしと祖父母父母寝かせも置かず抱きしと聴けり 大往生の際にわが名を呼びしとう父の手に成る書を軸となす 風媒の野蕗萌土に根をはれり流浪の民の住みつけるがに 気が付けばひと日電話の一本もなかりしことの俄に侘し 嫁妻母なべて解かれし孤の世界流離はときに愉楽へ続く 寝言言う息子の夢のはかれずも幼なかるべしここは故里 三人子と同じ高さに生きているこの自負終まで持たねばならぬ 突進型行きはまづまづ戻りに迷う持って生まれし方角音痴 いつしかに人の忘るる古池の無縁仏に似たる静もり 離れ住めど心は近き子と思う電話の声のややに湿り…

  • #961-970 漬物樽・・・

    関西花の寺25ケ所 第9番 鶴林寺ご朱印 <今日からの写真> 平成16年6月に訪れた、関西花の寺25ケ所 第9番 鶴林寺の写真を掲載いたします。公式ホームページは下記を参照ください。 www.kakurinji.or.jp <義母の短歌>#961-970 漬物樽無為に積まれて幾とせか古りゆくものは汝れのみならず 府道逸れ余剰のごとき峽路来て胸はり言わん此処が吾が里 とめどなき追想にいて旅立てば真先に母を探さむと思う 唐辛子の葉裏に金の卵産みし虫はいづべにゆきて果てしか 鈎吊りの鮭の目玉の濁りつつ買われゆきたり一尾丸ごと 市場には受け入れられぬ疵りんご辻に売りいる鉢巻き男 偉大なる芸人「横山やす…

  • #951-960 被保護者と・・・

    関西花の寺25ケ所 第8番 應聖寺 <義母の短歌>#951-960 被保護者とならぬ終焉迎えたき願望はあり結果は知らず 積み上げし苦労の実り見ぬ人に生きて泪をこぼし参らす 噛み合わぬ話題はぽんと抜くビールの泡に紛らす術も知るなり 足裏の交互に地を踏むと言う単純にして尊き動作 技術なき母の干したる塩鰯その味もてるを売る店はなし じぐざぐに落ちゆく眠りつけ置きしテレビドラマの終末知らず み祖等の必死に守りし土の価値つばめ来たらぬ古巣のような 在りし日の母にかけざりし愛隣の言葉愚かに呟きいたり 艶も香もなき冬の空日輪の在処もみせず昏れはじめたり いずくにか釘打つ音ののどかなり今日日曜日の光り燦々 <…

  • #941-950 羽根たたみ・・・

    関西花の寺25ケ所 第8番 應聖寺 <義母の短歌>#941-950 羽根たたみ歩む鴉の悠然とひとあしごとにうなずきにつつ 彼岸花葉と花倶にある日なき斯かる厳しき愛もあるべし 大切な封書ぱくりと呑むポスト此れより先は汝が責任 ひと組の息子の肌着まず洗う古き女の心のしきたり 戯れに「遺書」としたため財もたぬわが旅立ちに書くこともなし 異なれるくらしの琴腺ふとゆらぎ友が立ち居のもろもろの音 今日を開くなにもなければ茫々と過去世の迷路彷徨いいたり 魂のうつそみ抜けて彷徨うか今宵は文字を拾わぬまなこ 黙々と茶漬けに事足りてすこやけき命いとしむ理由は要らぬ ドラマいずれも創作なればヒロインの終末せめてやさ…

  • #931-940 身に重き・・・

    関西花の寺25ケ所 第8番 應聖寺 サツキを花衣とした涅槃仏像 <義母の短歌>931-940 身に重き来しの歳月心処に氷室抱くも峡捨てがたし 寝て起きていずれひとりの心の臟胃の腑を促し厨に立たしむ 幽明の境をながく彷徨える老い否看取りの友に泪す 改めて花よもみじと騒ぐなしありのままなる生きの循環 眠りきらぬ脳がなかに降るみぞれ死者の先達谷径いゆく 手強くて尤も脆き自らを標的となし生きんか残り世 ひめやかな祷りのごとき黄昏の天の沈黙われの沈黙 元総理の尤もきびしき貌をみき眉毛の奥の無念のまなこ 見送るに慣れてしまらく立つ傘の露打ち払う夕暮れの寂 聴くとして何も聞こえずみえもせぬうつつにぞ鳴れ冬の…

  • #921-930 哀れとも

    関西花の寺25ケ所 第8番 應聖寺 サツキを花衣とした涅槃仏像 <義母の短歌>921-930 哀れともたくましきとも生ごみの袋ひきずる夜の気配の わがたつる音にはあらぬ厨事一泊の娘ねぎきざみいる 拾い来し蝉殻ひとつ机の上に滅びしものも影を持つなり 残りものようやくつきて新しき飯たく匂いに厨明るむ てのひらの温みに指を庇いつつもどる野径にたつ群雀 曖昧な会話は要らぬ脳天をぐさり貫く歌評の欲しき そこばくの塩気に足りて白飯の今も昔も変わるなし味覚 奇妙なる安らぎもあり籠り居を人並みとなし雪降りつづく 身の枷のなべて解かれし老坂のかそけかる華歌とう魔もの 灰色の雲たたまれて降る光り雪に燦たり朗らなる…

  • #911-920 それぞれの・・・

    関西花の寺25ケ所 第8番 應聖寺 <義母の短歌>911-920 それぞれのうつし身庇う傘の群れあるいは闇にうごめく茸 言わずとも聞かずとも通じ合う心血は水よりもまさに濃ゆかり まるまりて朽葉も寒さ厭うにか身を寄せ合える日向の窪み 押し黙る唇のごとき冬の土盛り上げ動くはもぐらなるべし 人棲みてこの静けさやささ透る冬の光りを目に掬い上ぐ 声落としひとりも良けれと囁き合う無夫のふたりに病はあるな 飲みさしの冷たきコーヒー飲み下し無理に瞑れど明日が見えぬ 戸の外は降りみふらずみ昏れやすく五臓病まねどまなぶた熱し さきいかを肴に地酒をなめている仏の他に知るものはなし 熊笹の繁りをみれば寿司ひとつ包みて…

  • #901-910 山住の・・・

    関西花の寺25ケ所 第8番 應聖寺 <義母の短歌>#901-910 山住のまなこを洗う波頭浜に届かむ際を砕ける 波被く沖の小島の二つ三つともる灯もなく闇に沈みぬ トンネルを抜けるとそこは雪国と小説もどきの奇声を上げる 温めし楽しみひとつ過去となる疲れを土産の旅ゆ戻れり 倶に住みしねずみ一族捕えたるこの手に干支のねずみは描けぬ 爽やかな目覚め愉しむ些事ながら外出の用事ひとつ持つ朝 俯して細くうたえり戦いに燃ゆる日なかりし青春のうた 次の世もおみなと生まれて悔ゆるなし願わくば強き四肢賜えかし 糧詰める袋両手に主婦どちの総身にくらしの力漲る 約束を破らぬ性がわが身上みぞれの舗道ひたすら走る <管理人…

  • #891-900 明日を待つ・・・

    関西花の寺25ケ所 第8番 應聖寺 <義母の短歌>#891-900 明日を待つ刻を埋むに長きかな洗車乾きてまだまだ昏れぬ あるがまま低きに向きて水はゆく逃げ場を持たぬわが冬籠もり 万両の蒔かぬに数多の実を持てる梅ヶ枝がもと冬を明るむ 折り紙の鶴教えよと訪い来たる寡婦に寂しき冬の長さよ わが武器は沈黙なりしこれ程の冷たき否定の又とあろうか 咲く日なく枯れにし沙羅の木火に入れて灰となるまで佇ちつくしたり 突風に吹き上げらるる病葉か立ち退き止むなきホームレス達 窓際の席を選びしまなかいに華には遠き枯れ野流るる 芒原に打ち捨てらるる乗用車赤き車体の華ある滅び ちんまりと一輛編成のディーゼル車急行尻目に…

  • #881-890 月末の・・・

    関西花の寺25ケ所 第8番 應聖寺 <義母の短歌>#881-890 月末の支払い終えて嵩低き財布にほっと息吹きかける 泥のつく軍手脱ぐ手のほの温し庇われいると束の間思う 回覧板まわす隣家に営みの構図のごとき掃除機の音 谺なす犬の遠吠え尾を曳きて気寒き夜半の耳に届けり 打てばひびく会話に足りて帰るさの目に写るものなべてやさしき 幼子の泣き声さえや尊かり老いゆく里の昼の閑寂 牙のなき象のごとしも急坂のカーブにバスの巨体現る 女男の刃の微妙に合わぬ握り鋏仲人なすがにしつこく研ぎやる うたた寝の夢しどろなりがぱっと醒め昼か夜かとまずは窓みる 城跡の土見えぬまで散りしけるもみじに届くうすら木漏れ陽 <管…

  • 871-880 狐花・・・

    関西花の寺25ケ所 第8番 應聖寺 <義母の短歌871-880> 狐花朽ちて丹波の霧ふかし棘も実もなく日々是好き日 耕して土なる色を取り戻すひといろにしてこのやさしさは 隠れ棲むごとくひっそり墓地浄め翳りそめたる野の怪戻る 諸もろの芥積み上げ放つ火に焔のあげる滅びの凱歌 火の降るとも走れぬわれの歩みがなか時雨無情に髪濡らしけり ポケットの小さな闇にしのばせる鍵の子守のような鈴の音 畑土に触れざりし日の悔い煽り夕べの風の雨を連れくる おぼおぼと歩む羽子虫その羽根をもて跳びし日ありや 音絶えてひと日の労に瞑りいるうつそみわれは脆き物体 子は傍に深く眠れり語らいのなにとしなくも互みに足りて <管理人…

  • 861-870 いま少し・・・

    関西花の寺25ケ所 第8番 應聖寺 ご朱印 <今日からの写真> 平成16年6月に訪れた、関西花の寺25ケ所 第8番 應聖寺の写真を掲載いたします。公式ホームページは下記を参照ください。 hana25.jp <義母の短歌>#861-870 いま少し歯に衣きせて物言えと所帯盛りの子が諭す しみじみと恋しかりけり父母ありてはらから幼く囲みし夕餉 何守るわが命かと茫たれば振り上げし鍬崩れて落ちる 梅ヶ枝に山繭ひとつさびしらに揺れて池の面くれはじめなり たまに来て山の空気が美味しなど三日在せし後なら聴かめ 累々と積まれし芥の収集場くらしの抜けがらガサッと音たつ 芒原照りかげりつつひと面のもとな侘しき枯色…

  • #851-860 食欲は・・・

    関西花の寺25ケ所 第7番 如意寺 <義母の短歌>851-860 食欲は思案の他にて欠かすなき飲食されど美食にあらず 滅びえの水吸い上げてなお紅しいまこぼれんばら妖艶に 過去ひとつ葬り去るがに夏衣押し入れの闇に冬を眠らす 欠け皿に似たるか我が生き使うならまだ道はありかそかある自負 首振らす要なきひとりの扇風機所在もなげに秋のへや隅 ひと夏を廻り続けて扇風機コトリ素直に箱に収まる 雑音も雑踏もなき里住みに慣れて飛翔の夢うすれゆく 此の道はいすべ指す道山に向きブルトーザーの猛りたつ音 穫り入れの終わりし峡田さむざむと実ることなきひこ生えの揺れ 目を曳きし冬のセーター求めきてひと日ふた日の心足らえり…

  • #841-850 感情の・・・

    関西花の寺25ケ所 第7番 如意寺 <義母の短歌>841-850 感情の脱皮なすがに泣き喚く幼なを黙らす蜻蛉のまぐわい 土も木も久びさの雨むさぼりて酔うにかあらん揺れて傾く なかなかに逃げては呉れぬ蛇のごとき残暑が不意に背向けたり ためらいてひとりし入るレストラン対の椅子に見えぬ人置く 般若心経何十巻を誦し参らすとも死者の言葉を聴くことはなし 花ゆえに咲かねば終れぬ哀しさよ余りに小さき鶏頭の花 買い置ける糧もつきたる冷蔵庫に鶏卵冷えて雨降り止まず 学力のましてや貧富の差もあらずクラスメートはコスモスのごと 年毎に祭り太鼓の音細り過疎の深みに里は病むなり 好まれし師は黄泉の人山ぶどういたずらに熟…

  • #831-840 騙しきれぬ・・・

    関西花の寺25ケ所 第7番 如意寺 <義母の短歌>#831-840 騙しきれぬ己が心をなおだまし闇に紛れて眠らんとする ぬるま湯にどっぷり浸かり憂きことを聴き留めし耳ねんごろに洗う わが住みてこの家のいのちの灯はともり軒の花鉢季を違わず 思いきり四肢を伸ばして性別の淡くなりつつひとりの眠り 乱醸に「越の寒梅」味落ちしと酒豪は言えり驕れる嘆き 樹下闇藍ひと色に七変化咎めなく纏えるかそけきおどろ 紛れなき素顔のわれを映す窓拭いて何を消さんとするや うつつとは関わり持たぬ時空にて醒めてみる夢煙りのごとし 金もなく切符も持たず乗らんとする列車のドアの開かざる夢 目を凝らしもの思うとき天井の節穴突如渦巻…

  • #821-830 嫁ぎ来し・・・

    関西花の寺25ケ所 第7番 如意寺 <義母の短歌>821-830 嫁ぎ来し荷物のひとつ花柄の羽織着物の醒めざる眠り 見えぬ目の視線のずれを吾が受けて濁れる泪に言葉を失う とりもちのねずみもわれも騒然たりこの家の小さな事件のひとつ 手を合わすたまゆらよぎる迷いあり詣でて何を祈らむとすや 亡き人の手力滲みる古き杭残骨のごときを握りしめたり 焔とて灰にはできぬ人の過去夫婦ぶとんがいま燃えつきる 右ゆくか左ゆかんかたちどまり流れてやまぬ川を見下ろす 乾ききる蝉のなきがら地に揺れて枯れ葉のごとし欝もなからむ 大らかに山は動けり照りながら夏衰えて立つ秋のかぜ コンクリートの裂け目に萌える鶏頭の激しき紅に鋏…

  • #811-820 繭糸の・・・

    関西花の寺25ケ所 第7番 如意寺 <義母の短歌>#811-820 繭糸のほぐれゆくごと唇に記憶の底より湧きいずる軍歌 保健所に連れ去られゆく三匹の捨て犬酷似の貌持ちいたり 憚らず叩けるものあり息荒げ打ちこむ杭のゆがみて起てり なまなかに本音を吐かぬ性なりとコンピューターに見抜かれいたり 他人事のごとく聴きおり子が街に定住なすとう事後報告を 飢え叫ぶ獣のごとくバイク音闇貫けり何昂ぶれる 息ひとつ吐く間のいのち雨露の生れ継ぐ端よりしたたり止まず 水暗き瀬音に向きてぬかぼたる曳きゆくひかりの心許なき 崩え株の猿の腰掛けしんねりと暗く冷たく日陰に太る 初弘法出店にかまけ詣でずに戻りし思いでわがひそか…

  • #801-810 容赦なき・・・

    関西花の寺25ケ所 第7番 如意寺 <義母の短歌>#801-810 容赦なき雨に盛りを失いし牡丹挫折の彼の日に似たり 春の雨したたかなれば峡川の濁りにごりて底辺を見せず 引く草の見える間は戻るまじ得体の知れぬ日昏れの泪 連休に植えられるべく水張田の粛としひかる峡のくれ昏れ 高速路設置の赤杭鮮やかに墓地に打たれてむら肝冷ゆる ひっそりと竹の子ゆがけり村用に不参の昼を落伍者のごと 庇はれていると言えどもひとりなり柚子の裂け枝ギシギシと挽く ふくらます風船指につつきつつやわくはなれぬ生え抜きの性 こともなく刻の過ぎ行く雨の日の節目のごとく重ねる飲食 纏いつくしがらみ払うがごとくにも日がな小鍬に草けず…

  • #791-800 行き止まりの・・・

    関西花の寺25ケ所 第7番 如意寺 <義母の短歌>#791-800 行き止まりの聚落昼を眠るがの空気ゆさぶる乳牛の声 木瓜の棘指にするどし大切な人病み給う痛みを刳る 乾電池変えれば活きいき刻きざむ時計のようにはゆかぬ吾が脚 熱湯に蒟蒻ふるわせ牛蒡そぐ戻る誰かのあるがに夕方 ほのぼのと心ほどけてゆくような会話売る舗オープンせぬか 白き猿吾に抱かるる夢をみきいとしむものを持たずひさしき 家事うとくなりつつおんなデトルトの味にも馴染めず糠床混ぜる オウムの記事大きく載れる朝刊を焚きつけとなし芥を燃せり 雨溜める空うつうつと藪陰に小さき棟の上る槌音 律儀なる季節の流れに操られロボットのごと女茶を摘む …

  • #781-790 夜半の水・・・

    関西花の寺25ケ所 第7番 如意寺 <義母の短歌>#781-790 夜半の水のみど貫く冷たさを寂しむまでは考えるまじ 悲しみの塊のような芥袋固く結えて火中に投ず せつなげに闇ふるわせて啼きめぐる恋の季節を限られて猫 柚子の葉のひそかに抱く残り実に容赦もあらぬ雪ざんざ積む 雪解けの畑に青む雑草も関わり持ちて我が生きはあり 平らかにあらぬ流れの岩を打つ白き飛沫を見て飽かぬかも 見の限り人影のなき野を渉り電動鋸に木を挽く聴こゆ 稀れまれにも揺らすものなき山里のブランコ地まで垂れて幾とせ 飛行音消ぬれば戻る静けさの夜空は蒼き一枚の布 太陽をしみらに浴び来てそそくさとグルメに遠き昼餉に足れり <管理人の…

  • 771-780 物置に・・・

    関西花の寺25ケ所 第7番 如意寺 ご朱印 <今日からの写真> 平成14年7月に訪れた、関西花の寺25ケ所 第7番 如意寺の写真を掲載いたします。 公式ホームページは こちら を参照ください。 <義母の短歌>#771-780 物置に仕舞うと積みて三日経つダンボールぐらりとも歩いては呉れぬ コーヒーの香りたのしむ朝の卓「誰か飲む人いませんかモシ」 孤に棲める影をゆらりと夜半起たせ舌に沁みいる魔の水を酌む 声曳かず鴉啼くだにうら寒し新春をひとりの畳の広さ 言うなればひとりに慣るる気易さに音なき家ぬちに命貪る 蛍光灯脳死のごとく瞬けり過去なるひとつの死は甦る 此れの世を妻母祖母と生き継ぎて日々を新た…

  • 761-770 縺れあい・・・

    関西花の寺25ケ所 第6番 隆国寺 <義母の短歌>#761-770 縺れあいコスモスの咲くひとところ混沌の世の華やぎに似つ 溜糞を橋の真中に憚らぬ闇にゆらいで来たる狸は 夫とは終生我の楯なるを疑わずいて愚かにひとり ふうわりと眠りに落ちんたまゆらに投函忘れしハガキが舞えり 腹ひとつ満たすに刻のひときざみ生きるに足らう飲食重ねる ささやかな吾が喰い扶持を守りいつ時折の音冷蔵庫唸る 咲く力咲かせる力紅梅の春待ちがての千の花粒 もう跳べぬ翅へなへなと打ち叩く蝶のめぐりの草引き残す 浮き沈む杉ひと株を押し流す水の怒りと映りてやまず 野仏の耳のあたりに翅やすめもそもそうなずく蜻蛉のまなこ <管理人のおま…

  • 751-760 老鴬と・・・

    関西花の寺25ケ所 第6番 隆国寺 <義母の短歌>#751-760 老鴬と呼ばせてなおも澄む声の斉藤史女史然り澄むならん 「死んだなら俺は泣くぞ」とエンジンの音に紛れる息子の言葉 仏との絆次第にふんわりと飛行機雲の末尾に似たり なりゆきのままに育ちし子に守られて母と言う名の濁るともなし なにがなし吊るす浴衣の幾夜経つ着ることもなし丸寝のひとり 扇風機の風生温き十三時地獄の鬼も汗拭うべし 静けさの昼を変わらず黒き猫道を嗅ぎかぎ声なくゆけり 閑人と言われても良し此の橋にものや思えと風に吹かるる 沢蟹の屍乾ける墓碑の前此処に果てるべく来たりしは何 栗拾う耳に記憶の甦る脱穀の音盛んなる昼 <管理人のお…

  • 741-750 焼石にも・・・

    関西花の寺25ケ所 第6番 隆国寺 <義母の短歌> 焼石にも水沁むときのあらんかと衰へ知らぬ雑草に挑む 水槽に額押しつける髭男魚の頬桁が笑ったような 六月の厨明るしほつねんと乾きがちなる俎の影 湯上がりのビールに重き瞼閉ず晒す胸処に出ずる泪は なぐさめて欲しなど露も思わざり爪に染む泥無心に洗う こころ処を探り給うな澱みなく澄むなど吾れも夢思わなくて 脱穀機打ち捨てられて幾とせか浮世の風の大方を知る 昼暗き藪に真竹の折れる音陰に籠りて他界のごとし 青空のいずくか裂けて降り出ずる雨詫ぶるがに土に滲みゆく 猫飼わぬ吾が床下に恋猫の憚からぬ声恐れいります <管理人のおまけ> 沁(し)む 頬桁(ほおげた…

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