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2021/12/26

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  • シャイな若者1-3

    「ただいま」「お帰りなさい!あなた、順一君から手紙が来てるわよ!」「そうか!何て書いてある!?」「まだ開けてないわよ、一緒に読みましょ!あなた声出して読んで、私だと泣いちゃうから」「わかった、じゃ読むよ。手書きだぞ!」 《桜井御夫妻様先日はこんな僕の為に心温まるおもてなし本当にありがとうございました。あの日のビールと、奥様の手料理、そしてお2人の優しい笑顔は一生忘れる事は出来ません お2人はたぶん察してたかもしれませんがあの日僕は“死ぬ”つもりでした。携帯も家に置き、お金も片道分だけ持って…僕とお二人の出会いは運命ですね。僕の勝手な解釈ですが僕がお2人に出会ったのは“順一さん”が引き合わせてく…

  • 出会い花見16

    日は暮れたが家からの灯りが注いでたので飲食には影響なかったが「ちょっと寒くなってきたね、みなさん中に入って下さい。縁側でどうぞ」みんなで黙々と一式を中に入れる。涼介と恵里が桜の周りでゴソゴソと動き回り「よし、恵里OKか?」「いいわよ!」「では今から第2部、スイッチオン!」すると庭の桜が見事にライトアップされた。「わー!きれー」歓声が上がる。「何か癒される…」「そうだね…」「涼介、お金掛かっただろ?俺の為に…」「ポン太の為じゃない!笑」「笑笑笑」「電線は家にあったし、この灯りはホームセンターで…そんなに高くなかったぞ。みんなに見てもらおうと思って」「涼介がやったのか?誰かに頼んだんじゃなくて?」…

  • 出会い花見15

    「ごめん下さい」「あっ、ママだ!」つばきちゃんが庭から直接玄関に行く。「ママこっち!」つばきちゃんがママの手を引いて庭に来る。「ママでーす!」「少地です。今日は弟と彼女の萌ちゃん、そして娘のつばきまでお邪魔してすみません、ありがとうございます」深々と丁寧にお辞儀した。「いいえー!つばきちゃんとってもお利口さんで、いい子ですね!」「ママ!お菓子いっぱいもらった!」「あらまあ!重ね重ねありがとうございます」母ちゃんが笑顔で右手を振る。「お姉さん、お久しぶりです」「恵里ちゃん!暫く見ないうちにすっかり美人さんが増して!」「いえいえいえ!そんな 笑」「涼介君も彼女が綺麗だと心配ね」「そうでもないです」…

  • 出会い花見14

    「恵里ちゃんと弟君は仲良いの?」「まあ、普通だと思うよ、他の姉弟の事情はよくわからないけど」「ほっぺにビンタとか」「するわけないじゃん!」「首絞めたりは?」「はあ?そんな事もう犯罪でしょ!逮捕されるよ!笑」(逮捕されろ!)「そんな事する姉弟いるの?」(はい、います)「あいや…その、大丈夫」「何が?」「1人っ子の俺からすればスコッチ、あんな綺麗な姉ちゃんがいて羨ましいわ」「ポン太!お前がその気ならうちの姉貴いつでもくれてやる!」「くれるって物じゃないし、ましてや親が言うならまだしも、弟のお前にくれる権利ないだろ!」「権利はないけど願望…」「スコッチ贅沢だぞ!」「何が?」「俺は彼女もいない、綺麗な…

  • 出会い花見13

    「つばきには知られたくないから今言うけど」スコッチは話すトーンを少し抑えて「元旦那と養育費でちょっとトラブって」「そうなんだ。何か聞くなぁ、そんな話」「元旦那に新しいパートナーが出来て、そのあたりから養育費が減ったり、未入金だったりみたいで」「元だから、今どうしようが勝手だけど、責任だけは取らないとな」「そうなんだよ、家は全員会社勤めだからお金に困ってる訳じゃないんだけど、ポン太が言うように父親としての責任だよ。ましてや離婚の原因は元旦那の浮気だから」「そうなんだ…」「俺に言わせりゃ、あんな恐ろしい姉ちゃんがいるのに浮気だなんて」「スコッチ、お前自分の姉ちゃんが恐ろしいのか?」「…うん…」「あ…

  • 出会い花見12

    「ほら、ここ見て。世の男性は浮気の可能性がありますから注意が必要ですが、少地明信は浮気の可能性は皆無なので心配いりません。ねっ!」萌ちゃんもお姉ちゃんに合わせて「確かに書いてありますね。まぁ私もその事は最初から心配してません」「あの顔だからねぇ…」「顔で心配してないんじゃないんです」(本当は少しあるけど…)「ないんじゃないん?ナインティナイン!」(連想ゲームじゃないんで…)「私そんなに恋愛経験豊富じゃないですけどわかります。スコッチ君は絶対浮気しません!」「じゃ姉の私も断言します。弟のあきは絶対浮気しません、出来ません!」そして2人は笑ってハイタッチした。「笑笑笑」 「お姉ちゃんお酒強いですね…

  • 出会い花見11

    「先日スコッチ君のお姉ちゃんと居酒屋に行ったんです」「えっ?2人っきりで?」「はい!笑」 時を巻き戻す事数日前「ごめんね萌ちゃん、無理矢理付き合ってもらって」「いえ!私も一度お姉ちゃんと呑みたいと思っていたので。でも私、あんまり呑めませんから、相手になるかどうか…」「知ってて誘ったんだから、笑。無理しなくてもいいよ。でも乾杯ぐらいは付き合ってね」「ありがとうございます、乾杯!」「ずっと聞きたかった事、今日はズバリ聞くね」「何ですか?ちょっと怖い 笑」「最初は何かのドッキリか罰ゲームかなぁって思ってたけどね、時間が進むのと比例して、あきと萌ちゃんは真剣にお付き合い重ねてるのがわかってきて」「ドッ…

  • 出会い花見10

    「ス、スコッチの家族賑やかだから」「あー!はい。みなさん明るく私に接してくれます。ウェルカム感MAXで!」「それは良かったね」「びっくりしたのが、スコッチ君のお姉ちゃんすっごく美人さんで」(弟のスコッチがブ◯◯クだからマジでびっくりしたんだ…)「萌程じゃないでしょ?私会った事あるけど…あっスコッチ君ごめん、謝ったほうが良いのかな?この場合」「大丈夫、事実。萌ちゃん程でない」「デレデレすんな!スコッチ!」「うるせー!」「ねー、つばきちゃん、ママ綺麗だもんね!」「うん、ママ美人!」「ねー、笑。それからスコッチ君のお母さんも綺麗で」「そうだった、俺の母ちゃんより5.7倍美人!」「数値で表現するんじゃ…

  • 出会い花見9

    「去年すこし君は1人だったけど、今年の花見はこんな可愛い萌ちゃんと一緒、良かったねぇすこし君」(いい加減スコッチって覚えろと言いたかったが…諦めた)「はい!まぁ」スコッチは照れながら、右手で頭の後ろを押さえ、首だけを何度も前に出した。若者独特のお辞儀なのだろうか?「萌ちゃん、もう慣れた?」「はい?」萌ちゃんは質問の意味がわからなかったみたいだが涼介、恵里、ポン太の3人はすぐに気付いて焦った。それは、母ちゃんの質問は、スコッチのブ◯◯クな顔に慣れた?って意味だから。 世の中本当に不思議な事があるもので、テレビやメディアに出てもおかしくない可愛いさ満点の萌ちゃんと、テレビやメディアに出てもおかしい…

  • 出会い花見8

    「スコッチお前、萌ちゃんと付き合ってから服装のセンス上がってね?」「わかるか?涼介!これ全部萌ちゃんが選んでくれたんだ。帽子とサングラスは萌ちゃんからのプレゼントだから!」「萌、やっぱセンスあるわ」「萌ちゃんは俺のファッションコーディネーター」「は?場所混んで寝た?」「何言ってんだ?涼介、聴覚か脳への伝達機能が壊れてるぞ」スコッチは両手で大きくゼスチャーしながら「ファッションコーディネーター!どういう意味かわかるかなぁ?妹尾涼介君」「フルネームやめれ、お前だってその言葉使うのは人生初だろ。まぁでも確かに萌ちゃんがコーディネートしただけあって、あのスコッチとは違う」「あのスコッチって何だよ!」「…

  • 出会い花見7

    「いいか母ちゃん、その姪っ子ちゃんの親は離婚して母親、つまりスコッチの姉ちゃんと暮らしてんだから、間違ってもパパとか言っちゃ駄目だからな」「そうなのかい?わかったよ、可哀想に」「今はとりあえずスコッチがパパ代わりしてるみたいだけどな“あきパパ”って呼ばれてる」「名前は?」「明信だよ」「バカ!すこし君じゃなくて姪っ子ちゃんの名前だよ」「紛らわしい聞き方するな!えっと…何ちゃんだっけ?」「つばきちゃんです、意味は花の椿ですけど、ひらがなでつばきちゃんです」「あらま、可愛らしい名前だこと」「目がクリッとして可愛いんですよ」「あの顔はママ譲りだな。ママ、つまりスコッチのお姉ちゃん綺麗な人だもんな。で …

  • 出会い花見6

    「恵里ちゃんが一緒に来てくれて助かったわ、ありがとう 笑。最近の子供の好みなんか全然分からないからね」「私もあんまり詳しくないんですけど、最近スコッチ君の姪っ子ちゃんとか会ってたんで少しは 笑」「母ちゃんは涼介しか育ててないから、女の子の好みとかはね…」「これくらい用意しておけば姪っ子ちゃん喜びますよ」「そだね良かった」「ここはコンビニが近くて良いですね」「本当だよ、コンビニに限らずスーパーやら病院やら銀行、学校だって近いから便利だよ。ほとんどが歩きか自転車で行けるから!」「お嫁に来ても安心ですね」恵里の言葉に母ちゃんは立ち止まった。「母ちゃんどうしたんですか?」「えっ?恵里ちゃん、こ こ、こ…

  • 出会い花見5

    「ちょっと出てくるわ」「母ちゃんは今日のメンバーに入ってないんだからいちいち言わなくていいから」「涼介、そんな事言わないの!母ちゃんどこ行くんですか?」「やっぱり恵里ちゃんは優しいね、恵里ちゃん、その姪っ子ちゃんは何歳?」「えっと、保育園の年中さんだったと思います」「それくらいの子供が食べたり飲んだりするのあんまりないから買ってくるよ」「あっ、私も一緒に行っていいですか?」「本当?助かるわ。そこのコンビニで良いよね?」「大丈夫だと思いますよ。じゃ涼介、ちょっと行って来るから」「わかった」 「本当仲良いな、涼介母ちゃんと恵里ちゃんは。去年のバス旅行で一緒に風呂入って、恵里ちゃんが涼介母ちゃんの背…

  • 出会い花見4

    「あ!沙織も誘えば、あの時のBBQと同じメンバー揃ったのにね!」「私はBBQに行ってないけど」「母ちゃんは今日のメンバーにも入ってないんだけど」そんな親子の会話をポン太は無視して「いや恵里ちゃん、勘弁してよ。俺は沙織ちゃんとは上手くいかなかったんだよ!ここに沙織ちゃんきたら気まずいっしょ?沙織ちゃんだって」「ポン太君、沙織に告ってないでしょ?」「そりゃそうだよ、沙織ちゃんは誰か好きな人がいるみたいだしさ…」「でも変なんだよね、沙織は未だに彼氏募集中だよ」「おいポン太!も1回いけ」「いやだから沙織ちゃんは、その誰かにだけ募集してるんじゃ?」「ポン太、あのスコッチがあんな可愛い萌ちゃんをゲットした…

  • 出会い花見3

    「あんな顔って言うな母ちゃん!もうちょっとしたらその“あんな顔”が来るんだぞ!笑」「涼介、笑いながら言わないでよ!ポン太君も笑い過ぎ!笑」「恵里だって笑ってるじゃんか!」「笑笑笑」「母ちゃんも大爆笑!笑、まあいいか、来る前にいっぱい笑っとこ」「笑笑笑笑笑」 高校生の時に父親を亡くした涼介と、小学2年生で母親を亡くした恵里がお付き合いをするようになってから、妹尾家の庭でこの時期恒例の花見。今日はそこに、涼介とは小学校から幼馴染みの加藤健太 通称“ポン太”が参加。そしてこの家の“世帯主”母ちゃん。世帯主だから仕方ないところは多少あるが、誘われても頼まれてもないのに、毎年普通に花見に参加してる。理由…

  • 出会い花見2

    「あのな母ちゃん、さっきからこの涼介とかあのすこし君とか、どんだけポン太より下に見てんだ!」「だってそうだろ?なんたってポン太君は県庁なんだから!笑。私の自慢の子」「母ちゃんの子じゃねえだろ!」「笑笑笑」「頭おかしくなったんじゃねぇのか?」「バカだね!小さい頃から知ってる我が子同然可愛い子って事だよ」「何だ、そういう事か」「そうだよ、恵里ちゃん誰かいない?」「だから母ちゃん、物を欲しがるみたいに言うな」「こればかりは縁ですからね、母ちゃん」「まぁ恵里ちゃんが言うなら…」「とりあえずポン太、頑張れ!」「何を?」「笑笑笑笑笑」「でも母ちゃん、ポン太君は県庁職員だからそんな話結構くるんじゃないんです…

  • 出会い花見1

    「本当に毎年綺麗に咲きますね、母ちゃん」「本当だよ、涼介の父ちゃんが庭の真ん中に植えた時は邪魔だなぁ、なんて思ったけど今はこの桜の下で、毎年恵里ちゃんと花見するのが楽しみでね 笑笑」「あのな母ちゃん、今日は俺と恵里とポン太で花見するんだ!後でスコッチと萌ちゃんも合流するけど、誰も母ちゃんのことは1ミリも誘ってないんだからな!何で当たり前のようにちゃっかり座ってんだよ!」「恵里ちゃん、今日は後ですこし君も来るのよね?」(俺の話は無視か!スコッチ来るって今俺が言っただろ!)「はい、今日は姪っ子ちゃんに何かプレゼント買いに行くらしくて、萌も一緒に。姪っ子ちゃんは萌のこと“萌姉ちゃん”って呼んで懐いて…

  • シャイな若者1-2

    食事の支度も整い3人がテーブルに着く。「すみません、こんなにまでしていただいて」「君、順一君っていうのかね?」「はい、順番の順に漢数字の一です」夫妻はまた顔を見合わせびっくりした。「気分を害したら謝るけど、私達にも子供がいたんだけど、5歳の時交通事故で亡くなってね」若者は黙って静かに頷く。「家の子も生きていれば23歳、名前も順一、字も同じ」「そうだったんですか…」「お願いがある」「はい、何でしょうか?」「明日帰るまででいいから私達のもてなしに付き合ってはくれないだろうか?」「いや、お世話になってるのにそんな事言われたら…まぁ、こんな僕でもお二方の気持ちが癒やされるなら、僕は喜んで」「ありがとう…

  • シャイな若者1-1

    「危ねっ!! びっくりしたー!おい、お前今人が見えたか?」 夫は車を止めながら妻に言った。 「見えた!2人で見えたって事は幽霊じゃないわね」 「そうだな、こんな時間にしかも雨だぞ、可哀相に、なんだったら乗せてあげようか?」 「そうね」 「声掛けてみるよ」 男は車から降り、傘をさして人に近づく、どうやら若い男のようだ。 「どうしました?」 「あっ、すみません道に迷ってしまって」 「もし良かったらどうぞ、ふもとまでならいいですよ」 若者は一瞬喜んだがすぐ顔を曇らせて 「あっ、でも僕こんなにずぶ濡れだしご迷惑なので気持ちだけ」 助手席の窓が開き妻が 「いいから乗りなさい!」 夫と若者は少しびっくりし…

  • 絢里 伸 則子 命10

    「いヒックをヒックました」(息をひきとりました?)伸彦はそう解釈し、絢里もまたそう思ったのだろう、泣き始める。看護師が「すみません、しゃっくりが止まらなくて、ヒック栗部芳恵さんが意識を取り戻しました」「は?もう一度ゆっくり言って下さい」「栗部芳恵さんが意識を取り戻しました。言語も四肢も問題ありません!」「やったー!」伸彦の両親は抱き合って喜びを分かち合う。絢里の父親は「ばっか野郎!」そう言って座り込み号泣すると、絢里と抱き合った。親戚の人達も手を取り合って安堵の表情。佐々本さんは…1人静かに部屋から出て行く。伸彦はちょっと気になったので様子を見に行くと、廊下の隅で泣いていた。泣顔見られるのが恥…

  • 絢里 伸 則子 命9

    「すみません、大牟田さんの胸をお借りして」「だ!大丈夫です、いつでもどうぞ」(あっ!今のは失言。撤回して謝罪します)伸彦も佐々本さんも明日は休みなので朝8時にまたここに迎えに来る事を確認してから別れた。別れ際、佐々本さんは何度も丁寧にお辞儀して、最後に右手で小さなバイバイをすると、こんな時に不謹慎だが伸彦はキュンとなった。 翌朝佐々本さんを迎えてから病院に行くと、待合室には伸彦の両親と栗部家の親戚と思われる人達が数人いた。絢里と絢里の父親は、昨日そのままこの病院に泊まり、泊まりと言ってもほどんど寝ていないので、疲れとショックが表情に出てる。伸彦と佐々本さんがコンビニでおにぎりとサンドイッチを買…

  • 絢里 伸 則子 命8

    「大学病院ですか?」「はい、その予定です」「じゃお母ちゃん、後で連絡するから!あっ!ここんちの鍵…」「さっき預かっておいた」「お母ちゃんファインプレー!じゃ佐々本さん行きましょう」「はい!」 病院に搬送された絢里の母親芳恵は脳梗塞と診断され緊急オペが行われた。一命は取り止めたものの、医師からは厳しい宣告を受けた。意識がこのまま戻らない可能性もゼロではないという事。戻っても言語と右半身に障害が残る可能性がある事。今はICUで治療が続けられている。伸彦の連絡で病院に到着したお父ちゃんとお母ちゃん。絢里の父親から病状の説明を聞くと、お父ちゃんは廊下の壁を叩き、お母ちゃんは見てられないほどの勢いで泣崩…

  • 絢里 伸 則子 命7

    「ごめん絢里ちゃん、私帰っていいかな?」「いいに決まってるだろお母ちゃん!勝手に入って来て」「笑笑笑」「のぶ、母親にそんな口きいたら女の子にモテないよ」(ここでそんな事言うなよ!)「じゃ、このタッパー預けてから帰るね」「おばさん私も一緒に、ついでにトイレ」(おい絢里!俺と佐々本を2人っきりにさせるなよ、だからって俺も出て行ったらあからさまに変だし…)「大牟田さん」「はい!」緊張でのぶは声が裏返った。「さっき絢里が小学校の時、いじめられた絢里を守ってくれたのって大牟田でしょ?」「えー、ちょっと記憶にないですね」「さっき絢里が大牟田さんを見ながら話したからそうなのかなぁって」「いや、昔の事だから覚…

  • 絢里 伸 則子 命6

    「ここはお前の部屋じゃないだろ?絢里ちゃん入ってもいい?」既に入ってる。「ど、どうぞ 笑」伸彦は目を閉じて天を仰いだ。 「向かいに住んでる大牟田です」「あ!佐々本則子です、初めまして」「あらー!綺麗な方ね。絢里ちゃんも綺麗だから、類は友を呼ぶのかな?笑」「おばさん、そんなあ!笑」(絢里もバカみたいに喜ぶな、鏡見ろ)「これ、お土産のたくあんね」「何かすみません、こんなに」恐縮する佐々本さんに「私が好きで勝手に持って来たんだから遠慮は要らないのよ。ここの家の冷蔵庫に預けておくから明日帰る時持って行ってね。タッパーは返さなくてもいいから」「すみません、こんなにしていただいて」「今日はここにお泊まりす…

  • 絢里 伸 則子 命5

    「悪かったわね、こんな部屋で。少なくとものぶの部屋よりはだいぶましでしょ」「言いたいヤツには言わせておくわ」「で、のぶは何時に帰るの?」「お前やっぱりビールが欲しいだけで俺を呼んだだろ?」「ち、違う!ガールズトークに集中しようと思って」「じゃあ、最初から俺を呼ぶなよ」「そんなつもり全然ない!ほ、ほらのぶだって則子に会えて嬉しいでしょ?」(言うなその言葉!一気に形勢逆転…コイツ)「それは…」「笑笑笑」「すいません、私が大牟田さんと呑みたいと言ったんです」佐々本さんが顔を少し赤らめて言った。恥ずかしがって赤くなったのか、アルコールで赤くなったのかは微妙なところだが。そんな事を言われた伸彦も一気に赤…

  • 絢里 伸 則子 命4

    「私クラスの人達からちょっといじめられて」「佐々本さんが?」「そんなに激しいいじめじゃなかったんですけど」「則子美人さんでしょ、男子からモテるから、たぶん嫉妬で」「絢里は心配なかったな」「いちいちカチンとくる事言うわね、のぶは!」「そんな時絢里はずっと側にいてくれて。絢里がターゲットになるかもしれないのに…」「私も小学校の時いじめられてたけど、同級生の1人が私を守ってくれて」「そんな事言ってたね」「言いたいヤツには言わせておけばいい。俺も一緒にいてやるからって」絢里はそう言うとゆっくりのぶを見た。「絢里も私に同じ事言ってくれたね。言いたい子には言わせておけばいいよ、私は則子といるからって」絢里…

  • 絢里 伸 則子 命3

    伸彦は栗部家のチャイムを鳴らさずに黙って中に入る。そしてリビングの脇を通過する時両親に挨拶する。「こんばんは」「あら!のぶ君いらっしゃい」「一緒に呑もうって誘われて 笑」伸彦はビールの入った袋を軽く持ち上げる。「わざわざ持って来てくれたの?絢里ったら、いっつものぶ君を頼って!」(頼ってるんじゃなくて、利用してるんですよ)「じゃ」「絢里にあんまり呑み過ぎるなって言ってね」「はぁ、ども」伸彦はテーブルに置かれた大量のビールの空き缶を暫く見てから、絢里の母親を見た。「こ、これは違うのよ!」(何が?どのツラ下げて言うんだ) いつもならノックもせず「おう!いるか」などと言って入るが今日は佐々本さんがいる…

  • 絢里 伸 則子 命2

    『ごめんのぶ、ビールがちょっと足りないかも…』(コイツ最初からそのつもりで!…)『わかったよ、余るほど持って行くわ』『さすがのぶ!則子も待ってるって!』『直ぐ行く!』 「絢里んとこ行ってくるわ」「何伸彦、絢里ちゃんにプロポーズしに行くの?!」「そんな言葉、絢里には死んでも言わない!バカじゃねーのか?」「母親に向かってバカとは何よ!だから前から言ってるでしょ、絢里ちゃんでもいいじゃない」「絢里で妥協させるな!」「じゃ何しに行くのよ?」「それ以外考えてなかったのか?はぁ。一緒に呑もうって、友達も来てるらしいから」「友達って?…あっ!佐々木さんとかいう子でしょ?美人の?」「佐々本さんだから!」「伸彦…

  • 絢里 伸 則子 命1

    『ねぇのぶ、私んちで一緒に呑もうよ』何だか恋人同士の会話に聞こえるが、のぶこと大牟田伸彦と栗部絢里は保育園からの幼馴染みで家もお向かいで、仲は悪くない。むしろ良いほうだが、お互いに恋愛感情は一切無し。ただお互いの母親は「のぶ君でいいじゃん」「絢里ちゃんでもいいじゃん」そんな事を言われると2人して「なんでアイツと!」そう言って激怒する。確かに保育園の時には結婚の約束を堅く交わしたらしいが… 『何でわざわざ…面倒くさいし、お前が来いよ』『私はね、男の家にのこのこと行くほど尻軽女じゃありませんから!』『今更どのツラ下げて言ってんだ!お前俺ん家に何万回来ると思ってる』『どのツラって、そんな下品な言葉使…

  • ボブたちBBQ17

    洋太は病室のドアを開けるなり「ボブ、おめでとう」「おい、こう見えて俺怪我人だぞ!何だよおめでとうって!」4人はニコニコしてから果音の掛け声で「ボブ、亜夢ちゃん、お付き合いおめでとう」4人で盛大に拍手。居合わせた県の職員の2人もつられて拍手。「な!何でしっ、だ、誰に聞いた?!」「ナースセンターで看護師さんが全部教えてくれたの、笑」「全部って…」「全部よ、容体急変、顔面紅潮から愛の告白まで全てよ!」(あの救急隊員め!)「わかった!もう言わなくていい。じゃ、改めて紹介します“俺の彼女”の千寿亜夢ちゃんです」「ヒューヒュー!」「ヒューヒュー言うな!」ボブが顔を赤くしながら言った。「ボブ、顔面紅潮!」(…

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