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2021/12/26

  • ボブと義弟?13

    「天気も良いし、皆んな楽しんでるから海斗もご機嫌だな、姉貴」「赤ちゃんはそういうとこ敏感だからすくわかるのよ」そう言ったのもつかの間、海斗が泣き出した。 「なぁ、何かお隣さん、雲行き怪しくね?」「声がデカいライク!まぁ酒呑んで気分が昂まったんだろ」 隣のグループの1人が大きな声で喚いてその場を去ろうとしたので、仲間が止めようとしたが、力ずくで振り払った時、偶然後ろを通っていた女性にぶつかり、バランスを崩した女性はそのまま光太郎に覆いかぶさる。BBQコンロを見ていた光太郎は、その勢いのまま身体はコンロに。光太郎は無意識に手を出してしまい、苦悶の声を上げる。「うっ!!」無意識に左手でコンロに触って…

  • ボブと義弟?12

    「そのオラオラ旦那曰く」「オラオラ旦那、笑笑笑」「花火から戻って来たら誰も居ないし」「どんだけ花火してたんだ!」「自分らの荷物もない。普通だったらそこの管理事務所に問い合わせるけど、オラオラ旦那は、花火が長いからほっとかれたから勝手に帰ったと思ったらしく、自分からも連絡しなかったんだって」「にしても遅過ぎね?」「勝手に帰ったと勝手に思って呑みに行って、結局翌日にな」「酷いな!奥さんと赤ちゃん可愛そ過ぎだわ」「でな、翌日オラオラ旦那と奥さんが病室で大喧嘩したらしい。亜夢ちゃん見たんだよね?」「はい、奥さん泣きながら、何で連絡してくれなかったの!って。そしたら旦那さんが、こっちにだって都合があるん…

  • ボブと義弟?11

    「ボブ、ひとつ確かな事言っとく」「何だよ?」「果音とお前の上下関係は、一生続く」「怖い事言うな!洋太、お前ら結婚したら、遠いとこに引っ越せ!何だったら今からでも。亜夢ちゃんもその方が良いよね?怖い果音先輩と会わなくて済むし」「変な事言わないでよ!亜夢ちゃん、私全然怖くないよね?」「は、はい」「言わされてる」「笑笑笑笑笑」「そんな事ないです。私はこのメンバーの本音トークでも、全然楽しい雰囲気が大好きだから」「俺達は極普通の仲間だけどね」「とても良い仲間だと思います。私この仲間に入れて凄く嬉しかったから」「でも亜夢ちゃんが仲間入りしてから何か良い感じだよな」「何が?」「何か、品が良くなったような」…

  • ボブと義弟?10

    「ライクは叔父さんになるのか」「そうだよ」「俺は1人っ子だから叔父さんにはなれない」「頑張れば」「何を!?1人っ子は叔父さんにはなれないんだ!」「笑笑笑笑笑!」「でも本当可愛いよな、何歳かな?」「25歳だけど」「お前じゃない!!」「笑笑笑」「2歳です」「お名前は?」「好彦です」「だからお前じゃない!」「笑笑笑笑笑!」「斉藤海斗です」「説明しとくけど、姉貴は離婚した訳でも未婚の母でもなく、たまたま旦那さんの名前も斉藤だったんだ」「へー、珍しいですね」「まぁでも、斉藤は珍しくないから」「そうかもですけど、斉藤同士の結婚は珍しいと思います」「えっ、お姉さんと弟さんですか?」「そうだけど」「すみません…

  • ボブと義弟?9

    「じゃあアンケート。果音が30分以上黙ってたら死ぬと思う人?!」「はーい!!」ボブ達グループ全員と、剣ちゃんも手を挙げた。「何でよー!ちょっと剣ちゃんまで」「いや、すみません」「初対面だよ」「初対面でもそう思ったんだよ。この短時間で確信したんだ。素直で良い子じゃんか」「失礼ね。わかった、じゃあ洋太とソロキャンプ行くわ。それなら死なずに済む 笑笑」「2人以上はソロって言わないんだよ!」「笑笑笑笑笑!」「果音ほら、光太郎君達引いてるぞ」光太郎と友達は右手をあやふやに揺らしながら、作り笑いを浮かべてる。 「隊長さんが昨日肉を持って来てくれたのか?」「そうなんだよ、何か申し訳ない事したわ」「今日は来れ…

  • ボブと義弟8

    「そして最近ボブの彼女になったのが、私の後輩で千寿亜夢ちゃん。弟君の友達なら会った事あるかな?」弟の友達が2人共しっかり頷く。「じゃ、弟君、お友達紹介して」「はい、弟の千寿光太郎です。今日は宜しくお願いします」「光太郎君、今日はレクチャーお願いします」「いや、僕もそんなには…」「でもソロキャンプ行くんでしょ?」「まだ初心者ですから」「いやいや、それでも私達よりはかなり知識と経験あるはずよ」「期待外れだったらすみません。じゃ友達、茂木恵達と彼女のさくらちゃん」「茂木です」「さくらです」「宜しくお願いします」「で、もう1人 剣ちゃんこと 剣昇彰人」「剣昇です、剣ちゃんです。宜しくお願いします」「名…

  • ボブと義弟?7

    「ちょっと人数増えたな」「でも良いんじゃないのか、亜夢ちゃんの弟君だけだったら、アウェイ感凄かったと思うよ、いくら俺達がウェルカムでも」「だな」 果音の提案でBBQをやる事になったボブ達。元々は亜夢ちゃんの弟、光太郎君のシスコン感情を、何とか克服させたいという亜夢ちゃんの強い願いだった。それは同時にボブの願いでもあり、皆んなの願いであった。ソロキャンプ経験者の光太郎君に、是非BBQの本当の醍醐味を教えて欲しいと言った姉の亜夢ちゃんに対し、最初は乗り気でなかったが、友達も呼んで皆んなで楽しくやろうと言ったら何とか納得してくれた。 いつものボブ達メンバーと、ライクのお姉さん親子。亜夢ちゃんの弟君は…

  • ボブと義弟?6

    「ごめん、亜夢ちゃん」「いえ!果音先輩が謝る話じゃないんで」「だから果音、この話は人に言うなよ」「わかってる。私その辺はちゃんとわきまえてるから」(どこが!!)と、皆んなが心の中で叫んだ。 「ライクはエルのおかげで完全克服出来たもんね」「この子は単細胞だから」「おい!」「笑笑笑」「俺、会ってみよっかな…」「ライク、いきなりそれは…」「そうか?経験者同士、通じ合うものがあると思うけど」「それはお前の考えで、弟君がどう思ってるか。だいたいどういうシチュエーションで会うんだよ?」「例えば…居酒屋とかで偶然会うとか」「お前が偶然装うなんて芝居、出来っこないだろう。しかもどうやって話切り出すんだ?そうい…

  • ボブと義弟?5

    「好彦も姉ちゃんを尾行した?」「そんな事しないよ!」「だよね、あんたそこまでの知恵ないもんね」「おい!」「笑笑笑」「それはショックだったよね?」「はい」「その時のボーイフレンドは?」「何か離れていきました」「そうなるよね」「弟を問い詰めても、偶然だったの一点張りで」「誰か好きな人いる感じ?」「たぶんいないと思います。休みの日でもあんまり外に出てないし」「友達は?」「友達は普通にいます。でも自分からじゃなくて、誘われたら遊ぶって感じですかね」「好彦は、ボブ君達がいたから助かったけど、弟君の友達がどんな感じかわからないわね、エルちゃんみたいな子が現れたら最高なんだけど…」「そんな都合良くは…」 「…

  • ボブと義弟?4

    「ボブさん、ごめんなさい」「亜夢ちゃんが謝る話じゃないよ」「でもボブさんをあんなに睨み付けるなんて!」「亜夢ちゃんからの予備知識があったから大丈夫だったよ。まぁ、よっぽどお姉ちゃんが大事なんだね」「エルさんが言ってましたけど、ライクさんはエルさんが彼女になってからシスコンの感情が薄れたんですよね?」「ライクは単細胞だから、それで成功したかもしれないけど」(まあまあ酷い言い方するボブ)「そんなー」「それはあれとして」(どれなんだ?)「これは俺と亜夢ちゃんにとって避けて通れない問題だから」「ありがとうございます」 亜夢ちゃんが是非にと言うので、かつてシスコンの当事者ライクと、何かお役に立てればと、…

  • ボブと義弟?3

    「池堂さん、お一人なら家事とかは?」「一応1人でやってます。両親が亡くなって隣のおじさんとおばさんが僕の後見人になってくれて、そうじゃなくても凄くお世話してくれて、そのおばさんに料理とか家事全般教えてもらいました。」「お隣さんがいい人で良かったわね」「はい、隣にも僕と同い年のヤツがいるんで」「ヤツ?」「あいえ!幼馴染みです」「その人が私のサークルの先輩の果音先輩なの。その果音先輩が私にボブさんを紹介してくれたってわけ」「そういう事だったの」「でも池堂さん1人で暮らす、ましてや高3でいきなりだと、家事だけでなく家の事全部やらないとだから大変だったでしょう?亜夢じゃ無理だな」「無理無理!私なんか今…

  • ボブと義弟?2

    「初めまして、池堂保武と申します。縁あって、亜夢さんとお付き合いさせていただいてます。宜しくお願いします」ボブが緊張感いっぱいで挨拶してから深々と頭をさげた。「池堂さん、娘から話は聞いてます。まず先日は爆発事故から身体を張って娘を守ってくれた事、感謝します。ありがとうございました」「いえ!たまたまそばにいて無意識で身体が動いたような感じでしたから」「何か見た感じ、身体鍛えてるように見えるけど、何かスポーツは?」「はい、メジャーではないですけど、空手を」「それは素晴らしい!段とか?」「一応3段です」「凄いですね!普段から身体鍛えてあるから咄嗟の時も身体が反応するんですね」「いや、それはどうでしょ…

  • ボブと義弟?1

    「ボブ緊張した?」「ま、まあな」「緊張して挨拶する時、は、初めまして池堂ボブですとか言って」「笑笑笑」「それで亜夢ちゃんのお父さんに、君!ふざけた挨拶するなら帰りなさい!とか叱られたんじゃない?」「笑笑笑笑笑」「そんなことある訳ない!俺で遊ぶな!」「いいじゃん、面白いんだから」「俺は面白くない」「亜夢ちゃんの御両親は何て言ってた?印象とか」「両親にとっては私の彼氏っていうことと、私を助けてくれた恩人でもあるから、ボブさんにはまず感謝してました」「良かったなボブ、門前払いじゃなくて。心配してたんだから」「そんな心配してたのか?ライクは俺の事よりエルの心配しろ」「エルさん、お腹少し目立ってきました…

  • リアル運動会4

    夕御飯はおばあちゃんの強い、強い希望で寿司で打ち上げとなり、上条家も強引に誘われた。「今日はみんな頑張ったからおばあちゃん嬉しいよ。幸星も亜夢も上条家の皆さんもいっぱい食べてね」「すみません、一家でお邪魔して、ありがとうございます」「じゃ乾杯しましょう、紗耶香ちゃん怪我しちゃって心配だけど、寿司食べたら治る言ってくれたから大丈夫だね」紗耶香はにっこり頷く「乾杯!!」寿司を食べながら、男性陣は呑みながら、お父さん達が撮影した動画を見ながら盛り上がった。「沙羅ちゃんは何が一番良かったの?」「沙羅はねー、玉入れ!だっていっぱい入ったんだよ」「へー、玉入れが良かったんだー」「後はレンタルファイトがちょ…

  • リアル運動会3

    午後の競技も順調に進み、最大の盛り上がり競技リレー。赤組3チーム、白組3チームの6チームで行われ、一年女子、一年男子の順でアンカーは六年男子。幸星と紗耶香は赤のバトンで同じチーム。スタートの号砲とともに元気なランナーが飛び出すと歓声が一斉にわき起こる。各学年共見事な力走で抜いたり抜かれたり。五年生になるとスピードも上がり迫力が増し、この時点で幸星らの赤バトンは三位。六年の紗耶香がバトンを受け取るとぐんぐん加速、一位と二位の混戦をかわし一気に逆転して一位で幸星に渡せそうだ!ところが追い抜く際足が絡んで紗耶香はまさかの転倒、左足に激痛が走る。立てない…歓声が悲鳴に変わる中、はっきり聞こえた1人の声…

  • リアル運動会2

    競技は徒競走から始まり、亜夢と沙羅は二位、幸星と紗耶香はリレーの選手に選ばれるほどの脚力なので2人共ダントツの一位であった。その他の競技も順調に消化され午前中のメインイベントとも言えるレンタルファイトが始まった。何故メインかと言えば、実況の飯杉先生が大変面白い先生で、赴任して来た三年前から“名物競技”になった。昔で言うとこの借り物競争である。簡単なボールとかほうきなど、物なら問題ないのだが…迷いながら飯杉先生の元へ駆け寄る上条沙羅【はい、えー、イケメンの大人……あっ俺だ!】会場が笑いに包まれる。ゴールして元の場所に戻る途中白組の児童に呼び止められ「飯杉先生はイケメンじゃない」 「先生は周りから…

  • リアル運動会1

    ドーン!ドドーン!「お母さん、今の花火!?」「そだよ、運動会決定だね、頑張ってよ!」「やったぁ!兄ちゃん運動会やるよ」「うん、晴れて良かったな。亜夢は何に出るんだ?」「亜夢はね、徒競走とー、玉入れとー、レンタルファイトとー、ホークダンス!」「フォークダンスな、レンタルファイトはもしかしてまた飯杉先生の実況付き?」するとお弁当を作ってた母親が「いいじゃない!盛り上がって、亜夢は何をレンタルするのかな?」「何かね、物だけじゃなくて人もレンタルするんだよ、メガネの人とか、五年女子とか」「じゃ亜夢、六年男子だったらすぐ兄ちゃんのとこ行きなよ!」「うん!六年男子、六年男子、六年男子…」亜夢は呪文を唱える…

  • シャイな若者5-12

    「はい、田口さんお茶どうぞ」「えっ!ありがとうございます!」順一君は恐縮しながら有り難く頂く。「安奈ちゃんじゃなくておばさんだからあまり美味しくないでしょうけど」「いえ!そんな」「おい!余計な事言うな、田口さん困ってるだろ。すいません、口数多いもんで 笑」「あぁ、ははぁ」順一君は曖昧に返事をしてお茶を一口飲んだ。「美味しいです!」「まあ、そう!?笑 良かった」確かに美味しい、美味しいけど…初めて石栗さんが淹れてくれたお茶は順一君にとって忘れられない味であった。 翌日順一君はまた病院に行った。ところが!「あら!石栗さんの彼氏さん、もう退院したわよ!」順一君達を少しからかった看護師さんが、そう言っ…

  • シャイな若者5-11

    「こんばんは」「田口さん!いらっしゃいませ 笑」「あっ、ども」「昨日お見舞い行ってくれたんですってね!安奈ちゃん嬉しそうな声で電話してきましたよ 笑」「あ、そうですか。じ、実は今日も…」「えっ!今日も!?まぁ安奈ちゃん喜んでたでしょ?」「どかな ? 笑 あの、日替わり定食下さい」「はい、お待ち下さい。日替わり 1でーす!」順一君はいつもの席に座る。今日も石栗さんがいないのでここで緊張する事はなく落ち着いていた。もっともさっき病院で逢ってた時はかなりドキドキはしていたが、それでも以前よりはだいぶ良くなった。本当に順一さんが勇気を後押ししてるみたいで頑張って話が出来た。そんな順一君の様子を石栗夫妻…

  • シャイな若者5-10

    「素晴らしい田口さん!」「そしたらいい事が起こり始めて、ずっとニートだったのに本気で就活したら今の会社に採用してもらえて、実家出てアパート暮らしも出来たし、一番良かったのは“石栗食堂”って美味しい定食屋さん見つけて、石栗さんに出逢えた事」順一君は顔を真っ赤にしながらも頑張って言った。それを聞いた安奈も頬を染め「私も今までいろいろあったけど、田口さんがお店の常連さんになってくれて、ただの骨折なのにお見舞いまでいただいて、パズルまでもらっちゃって 笑、でも来てくれたのがなにより嬉しかったです、ありがとうございました」「自分でもこんなに人と話が出来るなんて不思議なんです。お店でも最初は全然しゃべらな…

  • シャイな若者5-9

    「僕、何をやってもダメで大学も辞めちゃったし、何のバイトも長続きしないし、人とのコミュニケーション力がないから上手く生きていけなくて…」「そんな事ない…」順一君は少し笑ってから「今思えば本当に愚かな行動で、森の中でさまよえば餓死出来ると思ったんだけど、たまたま道路に出た瞬間、通り掛かった桜井さんに声掛けられて」「桜井さん…?」「僕を助けてくれて一晩お世話してくれたご夫婦。最初は息子と同じ23歳で親近感がわいたみたいだけど、名前が一緒だと分かったら桜井さんのテンションが一気に上がって、異様に思うくらい。でもその夜僕は亡くなった順一さんの部屋で一晩過ごしたんだけど、その時分かったんだ、桜井さんが異…

  • 田舎の運動会2

    母親がお弁当を広げてから“逃亡”まで、この一連の流れが運動会のお弁当タイムの“風物詩”なのだ。 午後の競技、1日を通してもそうだが種目は子供達だけでなく、親子競技や父兄だけ参加の種目もある。玉入れ程度なら団体なので心配ないが、走るとなると緊張が高まる。しかしここは親の威厳を高めるまたとないチャンス! 何処の父親もそうだが、何の根拠もない自信が頭を支配するが、結果はやはり若い父親の圧勝!残りの父親達は頭のイメージと現実の身体のギャップにショックを受けながら何ともぎこちないフォームで走る。そしてゴールの直前で見事に前のめりで転倒。会場は大爆笑だが、父親、母親、子供は恥ずかしさのあまり穴があったら入…

  • 田舎の運動会1

    朝6時、片田舎の空に乾いた花火の音が鳴り響く。運動会決定の合図だ。 普段は六時半過ぎに母親の容赦ない起こし方でやっと布団から這いつくばって出て来るのに、今日は何処の家の子供達も6時前には既に着替えを済ませ“シャキッ”としてる。 そして何処の家の母親も「いつもこうやって起きてくれればいいのに」そう愚痴を言いながらも母親とて気分上々なのだ。大変なお弁当作りも苦にならない、むしろ楽しんでいる。何しろ今日は子供の成長、活躍を一日中観れる最大のイベントだからテンションMAX! 一方父親は母親達とは若干の温度差があるものの、大事な任務の“場所取り”がある。母親がお弁当を作ってる間に一度学校のグランドへ行っ…

  • 子供達の家パ7

    「離れ離れになると思ってたのにまた三年一緒、しかも部活まで!」「嫌なのか?」「幸星のバカ!」また体当たりした。「うるせー保育園児!」「もう置いてくよ!」 「持って来たよ、ビールとジュースと三脚」「ごめんね幸星君、紗耶香も」紗耶香の母親はすぐに気付いた。 紗耶香の眼が明らかに少し輝いてる事を。「じゃ、ここで写真撮るよ。第1回杉浦家上条家合同ハロウィンパーティー、三脚貸してくれてありがとう記念写真!」「タイトル長い 笑」「笑笑笑」「長すぎ 笑」「三脚貸してくれてありがとうのくだりはいらないでしょ! 笑」 いろんなバージョンで撮った。オーソドックスな家族写真から、子供だけ、杉浦家の子供と上条家の親と…

  • 子供達の家パ6

    「幸星君どうするの?中学校、有名所からお誘いもらってるんでしょ?」「断るかも」「そーなの!?」「本人に任せたの。そしたら今のところ中学校までは普通の公立行きたいし、仲の良い友達と離れるのは嫌だって。勿論陸上部には入りたいみたいだけど」「ふーん、仲の良い友達ね」「そう、仲の良い友達」 幸星の母親は紗耶香を見て、紗耶香の母親は幸星を見て微笑んだ、微笑んだ。 「紗耶香ちゃんは?部活の事何か言ってるの?」「紗耶香はね、前々から陸上部で長距離やりたいって言ってる 笑」 「あっ、後でみんなで写真撮りましょ」「あれ?三脚壊れてたけど直ったんだっけ?」「お父さんが直してなければ直るわけないでしょ 笑」「すみま…

  • 子供達の家パ5

    子供達はトランプを始めた。 幸星は六年男子という事もあり最近はこのメンバーと遊ぶことはめっきり少なくなったが、今日は気を使ってるのか、空気を読んでるのか、楽しく女子の輪の中で楽しんでいる。 もっとも幸星は亜夢が何より可愛いから、亜夢の為にも楽しんでるところは大いにある。 「亜夢、ジョーカー取っても笑うなよ」「うん」「今は誰がジョーカー持っているのでしょうか!?」お互いにポーカーフェイスを決め込んでるが、亜夢の目だけが完全に笑ってる。 「亜夢笑ってるじゃん!もうばればれだね 笑」「亜夢ちゃんて本当可愛いよね」「いやいや、上条家こそ美人姉妹じゃん!でも同性の兄弟、姉妹のほうが仲いいのかもね」「何言…

  • 子供達の家パ4

    「ただいま!」「おかえりー沙羅、いいヤツ買えたの?」「うん!みんなで飾り付けやるよ!」「お願いね」「お邪魔します」「あー、幸星君もありがとうね」「お母さん、幸星にも飾り付け手伝ってもらうよ、高い所とか力がいる所」「いいの?幸星君」「あっ、大丈夫ですけど、センスないから指示してもらえば、はい」「指示は上条紗耶香総合プロデューサーが全てやるから大丈夫よ 笑」「笑!私いつからプロデューサーになったの?笑」 「今日ねー、電車でねー、酔っぱらったおじさんが乗って来てねー」「えーっ!?酔っぱらい?やーねー!沙羅と亜夢ちゃんは大丈夫だった?」「うん、お姉ちゃんが守ってくれたから!そしたら幸星君が酔っぱらいの…

  • 子供達の家パ3

    「人聞き悪い事言うんじゃない、上条!先生は純粋に君達にだな…その…ジュースをご馳走して…あげようと思ってだな…」「私達は六年生ですから、大丈夫ですけど…妹達は…一応言っておきますけど、駄目だったらすみません。でも先生、いっそのこと公開して全校児童に応援してもらうってのはどうですか?」「そんな恥ずかしい事出来るか!とにかくこの事が広まらないように頼む」「だから買収ですよね」「…」彼女(になるかもしれない人)が戻って来たので話は終わった。彼女は妹達に話し掛け「ハロウィンパーティーやるの?」「うん、沙羅ちゃんんちでみんなでやるんだよ!」「そう!?楽しそうね!どんな変装するのかな?」「内緒!」「内緒!…

  • 子供達の家パ2

    ハロウィンは日本でもここ10年程前から一気に流行り、特に若者達の盛り上がりは凄まじい。 グッズの販売も盛況だ。 「いろんなのがあるね!」「そうだな、妹達じゃなくても目移りするわ」「幸星、ちょっとはテンション上がった?」「かもな 笑」それでも限られた予算を何とか工面して杉浦家も上条家もほぼ満足の品を選びレジへ向かう。 突然お互いに逃げも隠れも出来ない至近距離でばったり出くわした。「飯杉先生…」「おおー、ああいー!杉浦と上条じゃないか 笑」「先生もハロウィンの買い物ですか?」「おおー、ああ、まあな 笑 お前らもデートか?」「違います!」「何だ2人揃ってムキになって、あはは!別にいいんだぞ、ははは」…

  • 子供達の家パ1

    「今年は合同でやる事にしたの」「やった!沙羅ちゃんと一緒だ!!」「幸星、お金やるから明日必要な物買って来てね、亜夢と一緒に」「何買えばいいの?」「変装グッズと飾り。ある程度家にあるから買い過ぎないようにね。料理と飲み物はお母さん達用意するから大丈夫」「沙羅ちゃんも一緒に行くんだよ!」「えっ、じゃ…」「心配しないで、紗耶香ちゃんにも行ってもらうから大丈夫よ」(またかよ…恥ずかしいんだけど…) 「また、同じメンバーになったね」「やー、別に俺ハロウィンとかそんなに…っていうか」「いやなの?」「いやじゃないけど、六年男子でハロウィンってちょっと恥ずかしい」「えー、今は男も女も凄いじゃん!テレビで渋谷と…

  • 親のいない姉弟1-10

    「びっくりしたわよ!琴乃ちゃんと翔次郎君がこの家に来たなんて。お父さんのお姉さんなのね?追萩さんが」「はい」「本当気の毒だったわね」「はい、まあ」「交通事故?」「ちょっと違うんです。知り合いの結婚式に呼ばれて、東北まで行ったんですけど、大雪で立ち往生して、何時間も止まってたら、排気ガスが車内に入ったみたいで。たぶん2人共寝てた可能性があったと言ってました」「そうだったの…」「中村さんは昔、家の隣に住んでたんですよね?」「隣の隣」「すみません、記憶が…」「仕方ないわよ。そこからここに引っ越したのは…琴乃ちゃんが3年生くらいだったかな?」「はい、確かそれくらいだったと思います。紀香姉ちゃんとお別れ…

  • 親のいない姉弟1-9

    「琴乃ちゃん、保険金もらったの?」「はい」「じゃ、通帳と印鑑私が預かるから渡して」「え?」「当たり前でしょ?未成年が三千万のお金を管理出来る訳ないんだから」「でも銀行に預けておくだけなんで」「あなた達の養育費、毎月いちいち私に払う?一緒に住んでて変でしょ?私が毎月引いておくから」「いくらですか?」「子供はお金の心配しなくていいから」「でも…」「それから一緒に暮らす訳だからルールを決めましょう」「ルール?」「そうよ、まず門限は6時」「おばさん!僕部活やってるから6時は無理だけど…」「私も今度からアルバイトしたいから」「アルバイトするくらいならこの家の手伝いしなさい!翔次郎も部活なんか辞めて、2人…

  • 親のいない姉弟1-8

    「何で泣くの!お姉ちゃんまで泣いちゃうでしょ!」「本当に良い姉弟ね」「そうだな、もし仮に後見人になったとしても、私らの出る幕ほとんどないかもな」「そうね」「翔次郎、そうと決まったらしっかり勉強しなさいよ!もし浪人になったら承知しないからね!」「おいおい、芹丘さん、そんなにプレッシャー掛けちゃ可哀想だよ。今北高は1学年何クラス?」「8クラスです」「減ったなぁ、私の時は12クラスだった。えーとじゃあ300人ってとこかな?」「はい、それくらいです」「後見人として聞くけど」「まだでしょ!」「ごめんごめん、後見人候補として聞くけど、答えたくなかったらいいけど、成績はかなり上?」「大体20番前後です」「お…

  • 親のいない姉弟1-7

    「もし、2人共ちゃんと産まれてたら君達と同級生って事だ」「すみません、全然知りませんでした」「笑笑、謝る事じゃなよ、誰にも言ってないんだから」「お辛かったでしょう」「それから君達程じゃないけど、私も20代で両親を亡くしてる」「そうだったんですか!」「母親は私が中学生の時に、父親は私が就職して、初任給でネクタイをプレゼントした翌日に亡くなってね。初任給でプレゼントをする夢が叶ったのがせめてもの救いだった」琴乃と翔次郎は黙って聞いた。「それから」(まだあるんですか?)「女房の郁美は孤児で、施設で育ってね」琴乃と翔次郎は自分達より苦労した2人を心から同情した。「あなた達もそうだろうけど、同情はやめて…

  • 親のいない姉弟1-6

    「じゃあ食べましょう、いただきます」「いただきます!」「遠慮したら郁美に叱られるからね、責任持って食べなよ」「笑笑笑」「!お姉ちゃん、この卵焼き!」「!翔次郎、この味噌汁!」「いいから食べてみて!」「いいから呑んでみて!」「ど、どうしたんだい?2人共」琴乃と翔次郎は、卵焼きと味噌汁を味わってから同時に「お母さんの味にそっくり!」「えーー!」「味がそっくりなのかい?」「はい何か…」「そうなの?私はおしゃもじ先生のレシピを自分なりにアレンジしてるだけよ」「それ!」「びっくりした」「すみません、お母さんもそのおしゃもじ先生のファンでした」「そうだったの?だから味が似てるのね」「はい、味とプラスα」「…

  • 親のいない姉弟1-5

    「皆さんお疲れ様です」「奥さん!どうしたんですか?」琴乃が勤める会社の社長の奥さんは大きめの封筒を掲げて「こんな大事な書類忘れるなんて、社長失格ね」「おい!」「笑笑笑!」あまり大きな会社ではない分、社員と社長との距離も近く、和気藹々とした雰囲気が琴乃にとってとても居心地がよく、社長はじめ皆さんがとても優しい。そして社長夫人もこうやって、たまに会社に顔を出してコミニュケーションをはかってくれる。とりわけ琴乃には積極的に近付き、可愛がってくれる。「琴乃ちゃん元気?」「はい!奥さんもお元気そうで」「そうでじゃなくて、元気なの!」「はいすみません 笑笑笑」奥さんは他の社員の目を気にしながら、琴乃のデス…

  • 親のいない姉弟1-4

    そんな肉親に冷遇されても、親切にしてくれる赤の他人もいるもので、琴乃の勤め先の社長と奥さんが親身になって相談に乗ってくれた。依頼した弁護士も社長の紹介である。 『繁堂さん、色々ありがとうございます!』『追萩さんから電話ありましたか?』『はい、もの凄い勢いで罵られました』『あの人は管理してるお金イコール自分のお金と勘違いしてるみたいですね』『はい、そうなんです』『面談の時に話した以外で、何か冷遇された話とか、お金に関する事ありますか?』『冷遇されたのは仕方ないです、好き好んで養ってる訳じゃないですから。ただ私が働き始めてから下宿代支払ってました』『え!下宿代払ってたんですか?』『はい、でも私らは…

  • 親のいない姉弟1-3

    『はい』『迫萩さんですか?』『そうですけど、どちら様でしょう?』『内容証明ですでにそちらへ届いてると思いますけど』『!』『丸納弁護士事務所の繁堂と申します』『何の御用でしょうか?』『送った書類読まれませんでしたか?』『難しい言葉ばかりで私らには何の事かさっぱり…』『よく読めばわかる内容ですし、身に覚えのある事でしょうから』『……』『芹丘琴乃さんと翔次郎さんから、あなたに預けた御両親の死亡保険金三千万円を返して欲しい。預けたというより半ば強引に取られたと言ってますが』『そんな事ありません!琴乃ちゃん何て事言うのかしら!』『琴乃さんも二十歳になって自立した大人です。私も面談して、しっかりした方だと…

  • 親のいない姉弟1-2

    「僕もお姉ちゃんの笑ってる顔大好きだし、その内素敵な彼氏が現れて、結婚する時は…僕がお父さんの代わりにバージンロード歩くよ。お姉ちゃんと腕組んで堂々と」「翔ちゃん…泣泣泣」「何で泣くんだよ!笑笑」「だって…だって翔君がそんな事考えてるなんて思ってもなかったから」「嫌なの?」「嫌なわけないでしょ!嬉しいに決まってるじゃん、翔次郎のバカ!」「バカって言わなくても…」「翔次郎がそんな事考えてたなんて…」「じゃあバージンロードは1人で歩くつもりだったの?」「いや、そもそも結婚なんてまだ考えてなかったから」「今から考えておかないと、すぐおばさんになるよ」「おばさん言うな!」「笑笑笑」「その前にまずは素敵…

  • 親のいない姉弟1-1

    「やっと2人だけになれたね」「うん、でもお姉ちゃんお金大丈夫?」「翔次郎は心配しなくても大丈夫だから!お姉ちゃんに任せなさい!」「それが心配なんだよ」「言ったな!ガキのくせに!」「笑笑笑、お姉ちゃん僕もう高2だよ」「お姉ちゃんにとってあんたはいつまでも可愛い弟なんだから」「ガキって言ったじゃん!」「ガキはお姉ちゃん語に訳すと、可愛い弟って意味なんだよ」「笑笑、まぁそういう事にしておいてあげる」「素直でよろしい翔次郎君!」 「これで良かったんだよね?」「うん、お父さんとお母さんも賛成してくれるはず」「だよね!僕もうあんなおじさんとおばさんの家なんか2度と行きたくない!」「そうだね、でもそれってこ…

  • シャイな若者5-8

    病室に行くと4人部屋なのに石栗さんしかいなくて個人用のカーテンも開いていた。「こんばんは」「あっ、田口さん来てくれたんだありがとう 笑」怪我をしてるのに石栗さんの笑顔はほんとに素敵だと思った。「他に誰もいないんですか?」「はい、他の病室に移ったり退院したり。たまたま今日は1人、個室です 笑」「そうだったんですか。えっ!石栗さんパズル…もう、そんなに!?」「笑笑、暇ですから 笑」「それにしても早過ぎ!」「ちょうどいい感じの難易度で!良かったです、ありがとうございました」「そんなに喜んでもらえたら僕も嬉しいです」 「あっ、昨日の話」「えっ」「昨日看護師さんが来て話が途中で終わったでしょ?続き聞いて…

  • シャイな若者5-7

    アパートに帰った順一君は早速YouTubeで甲斐バンドを検索した。「あった“安奈”1979年だ」再生して聴いてみる。 聴き終わると順一君は涙が出た。恋愛経験がほぼ無い順一君でも切なさが伝わってくる。石栗さんのお父さんが、この曲に自分の想いを重ねて、10年越しにやっと恋を実らせ安奈さんが産まれ、どんなに幸せだっただろう。しかしその10年後に交通事故で亡くなるとは…しかも愛娘の誕生日に…なんて惨い。そんな境遇の中でも石栗さんは、途中は知らないが今は明るく、あんなに素敵な笑顔で看板娘をしっかり務めてる。あのおじさんとおばさんの愛情と、本人の心の強さだろう。それにひきかえ僕は、親が離婚したとはいえ、特…

  • 絢里 伸 則子 挑8

    「どうせあれでしょ、お前のお母さんは綺麗なのにお前は?とか思ってるんでしょ?それはのぶの主観的な見方で、周りからは似た者親子って言われるんだよ!」「お前、お父さんにそっくりじゃんか」「女の子は父親に似ると幸せになるの」「じゃあ、早くなれ!」「笑笑笑」「のぶには私が幸せに見えないの?」「彼氏もいないのにか?」「恋人いないのはのぶも一緒でしょ?でも私はもしかしたらもう少しで…」(一丁前に恥ずかしがりやがって!俺のほうこそもしかしたら…)伸彦がそう思いながら佐々本さんをチラッと見るとほんの一瞬目が合った。「恋人がいるいないだけで幸せかどうかなんて…」「それはいない人のひがみ。さっきは恋人がいないのは…

  • 絢里 伸 則子 挑7

    「ドライブ行くからって車に乗った途端、美涼ちゃんが好きです、お付き合いして下さい!って。もうムードもへったくれもないのよ」「笑笑笑」「何かお父ちゃんっぽくてわかるかも」「それでおばさんは直ぐに返事したんですか?」「無理よ、成人式でちょっと会っただけで、良いも悪いもわからないのに返事なんか出来ないでしょ」「ですよねー」「まずは今日1日一緒に過ごして、お返事はそれからって事に」「それから徹の必死のエスコートが始まったんだろ?」「そう!何とか私とお付き合いしたかったのね、もう必死で 笑笑笑。車のドアは開けてくれるは、食事する時割り箸は割ってくれるは。今じゃ全然やってくれないけど!」「笑笑笑」「可笑し…

  • 絢里 伸 則子 挑6

    「俺は幼馴染みだから何とも思わなかったけど、徹はもう美涼のこと可愛い可愛いって。」「そういう話が気持ち悪いんですよ」「純愛だよ、のぶさん!」「それでもやっぱり…」「のぶさんと絢里ちゃんは幼馴染みだけど、そういう感情とかは?」「は?」「だから男と女の感情みたいな」「ある訳ないですよ、笑笑笑。屁みたいなもんですから」「屁とはなよ!そんな下品な事ばっかり言うからモテないんだよ。好きな人がいるみたいだけど」「えっ!のぶさん、誰か好きな人いるの?」「おい絢!適当な事言うな!もし言ったら侮辱罪で牢屋にぶち込んでやる!」「そんなに興奮しないでよ」「お前が思ってる中の誰でもないから」「誰でもって1人しかいない…

  • 絢里 伸 則子 挑5

    「今日はお揃いで何会ですか?のぶさんがいるから女子会でも無さそうだし」「今日は絢里の恋愛相談です」佐々本さんが言うと、マスターはびっくりして「えっ!絢里ちゃんはのぶさんと…」「そんな訳ない!」絢里とのぶが同時に大声で否定したので、驚きを通り越して、笑ってしまった。「阿吽の呼吸で言葉もシンクロするし」「やめて下さい!」「笑笑笑、そういうところ。違うんですか?ずっとそう思ってました」「そう思うのは金輪際一切やめて下さい」「私も?」「お母ちゃんこそ絶対思うな!」「あなた達、ずっと一緒だったからね。芳恵さんもそう思ってるわよ」「とにかく1億%ないから」「無理しなくていいのに」「無理じゃない!」「笑笑笑…

  • 絢里 伸 則子 挑4

    「お母様だなんて、うちのお父ちゃんにも伸彦にもお母ちゃんてしか呼ばれたことないから照れちゃうわ。何だかお姑さんになったみたい 笑笑笑」「お母ちゃん!そんな事言ったら佐々本さんに失礼だろが!佐々本さんすみません」「いえ、別に」(いえ別に?ドウイウイミダ?)「のぶ顔真っ赤っ赤 笑笑笑」「本当だー。伸彦お前今日はどうしたのかな?」(それ以上聞くな、ババア!) 「今その彼氏とはどんな状態?」「お付き合いはしてません。先日誘われて1度食事しました」「どんな感じの人?」「仕事関係で取引先の人です。週に何度かお会いするんですけど、優しい人です」「顔はどんな感じ?例えばうちの伸彦よりイケメン?」「いや、イ…

  • 絢里 伸 則子 挑3

    「いらっしゃいませ!大牟田さん!どうも!お久しぶりですね。のぶさんも」「お母ちゃんの“バーター”大牟田伸彦です…」「伸彦、お母ちゃんはマスターとちょっとお話あるから先にあっち行ってな」(仕切るなババア!) 「佐々本さんこんばんは」「大牟田さん!こんばんは 笑」(いつ見ても佐々本さんは綺麗だなー、笑顔も超絶可愛い!)「のぶ、私には挨拶しないの?」「毎朝してるじゃんか!」「屁理屈!男性がドライブに誘うって、相手の女性のことが好きだからって事だよね?」「いきなり本題&自慢か!」「誘われたんだよねー」(柄にもなく恥ずかしがりやがって)「行けばいいじゃんか」「それだけ?何か無いの?お前は相手のことどう思…

  • 絢里 伸 則子 挑2

    お母ちゃんが伸彦の電話を奪い、スピーカーボタンを押す。『もしもし絢里ちゃん?』『おばさん!こんばんは』「俺の電話勝手に……」『こんばんは、絢里ちゃん今どこにいるの?』『友達と太郎にいます』『お友達?』『はい、私のお母さんが倒れた時にも家に来てた則子です』『あー!佐々木則子さん!』『佐々本則子です』『あっ、ごめんなさい。そういえばあの時たくあん渡しそびれたわね。まあ、それどころじゃなかったからね』『その節は本当にありがとうございました』『元気になって本当に良かったわ』『こんばんは、佐々本です。先日はありがとうございました』『佐々本さん、今日は絢里ちゃんとワイワイ楽しんでるの?』『今日は絢里の恋愛…

  • 絢里 伸 則子 挑1

    『伸、太郎に来てよ!』『お前なー!毎回毎回迎えに来いだの、送って行けだの人間として恥ずかしくないのか!いい加減にしろ!』『迎えに来いなんて言ってないでしょ!のぶに会いたいって人がいるのよ』『その手には乗らない。この前もそんな事言って太郎のマスターだったじゃんか、騙しやがって』『騙してって失礼ね!マスターは本当に伸さんに会いたいって言ったんだよ』『お前が聞いたからだろ!そりゃ商売だ、そう聞かれたら会いたいって言うに決まってるだろ、お前の低レベル作戦にまんまとはめられた』『そんな言い方しないでよね』『結局、お前を連れて帰ったじゃんか。詐欺罪で牢屋にぶち込んでやる!』『そんな事で怒らないでよ』『そん…

  • シャイな若者5-6

    「僕とそのご夫婦が勝手に思ってるだけかもしれませんが、同じ23歳で名前も同じ順一さん」「えっ!田口さん23歳なんですか!?」「はい」「私も23歳です!!笑」「そーなんだ!?たぶん同世代かなーとは思ってたけど!」「ごめんなさい、話途中でしたね」「おそらく、その順一さんは生きたくても5歳までしか生きられなかったのに、君は自殺するのか!とんでもない!!って、自分の両親に頼んで僕を救ってくれたと思えて仕方ないんです。石栗さんもそう思う事ありませんか?あっ、これってもしかしてお母さんの仕業?とか」「あります!」突然ナースに声を掛けられた。「あら石栗さん彼氏?」「あっ、いえ、その…」安奈の顔がみるみる赤く…

  • シャイな若者5-5

    「12月24日は私の誕生日で、そして私の両親の命日でもあるの」「!!」順一君はしばらく言葉が出てこなかった。「運命って酷いですよね、わざわざ私の誕生日に…って思ったんですけど、あのおじさんとおばさんが親代わりっていうか、ほぼ親です 笑、超可愛がってくれて。それが鬱陶しい時期もありましたけど今は感謝しかありません」「そうだったんですか…でも石栗さん、どうしてそんな話僕に?」「どうしてかな?おばさんが私の両親の事話したからかな?おばさん何か感じてるみたいで」「何をですか?」「何かわかるようなわからないような…」「あの、じゃ僕も少し話しますね。僕の両親は離婚して母親と暮らしてたんですけど、何かうまく…

  • シャイな若者5-4

    「あ、えと石栗安奈です。なんか古臭い名前でしょ?」「そんな事ないです!僕は素敵な名前だと思います」「あ、ありがとうございます。お父さんが付けた名前で、甲斐バンドの…今で言うパクりですよね 笑」「甲斐バンド…パクリ?」「わかりませんよね、40年も前の歌ですから」「へー」「昔“甲斐バンド”って人気グループの歌手がいて“安奈”って、クリスマスに因んだ曲がヒットしたんです。私のお父さんが、その曲とお母さんを重ねて、でもお父さんシャイだからお母さんに好きって言えなくて10年」「10年…」「クリスマスになるとその曲聴きながらお母さんを強く、強く想ってたみたいで」「何だか切ないけどいい話ですね」「その“安奈…

  • シャイな若者5-3

    「あっちのラウンジ行きましょ」「あ、はい」 「びっくりしました!まさか田口さんが来てくれるなんて 笑」「昨日店に行ったら、おばさんが教えてくれて」「そうなんだ、でもこんな格好で恥ずかしい、すっぴんだし」「僕もすっぴんですから」「笑笑、田口さん面白い!おばさんから何か聞きましたか?」「骨折して入院したって」「家で階段踏み外して 笑、足じゃなくて手でまだ良かったかも、しかも左手で」「でも痛いでしょ?」「だいぶ和らぎました。おばさんあと何か言ってましたか?私の生い立ちとか…」「あ はい、ご両親が事故で亡くなったと…」「他には?」「あとは別に…あ、お店に飾ってあるパズル。全部石栗さんが作ったって!それ…

  • モテるスコッチ17

    『何の因縁かわからないけど、お互い片親同士が恋人になって、私は娘が出来て嬉しいんですけどね』『私も母ちゃんが大好きでーす』『本当に羨ましいです。BBQで直接お会い出来るのが楽しみです』『こちらこそ宜しくお願いします。あら、楓ちゃんのお誕生会なのに、長々とすみません』『いえ!こちらからお電話したんです。こちらこそすみませんでした』『楓ちゃんバイバイ!』『バイバイ、スコッチ兄ちゃん!』 「楓ちゃんは結局、スコッチ兄ちゃんが1番好きなのね?」「萌ちゃん!俺は楓ちゃんをそんなふうに見てないから!」「スコッチ、自惚れんな」「そうだよスコッチ君、私がそんなふうに思ってると感じたの?」「いや、そうじゃないけ…

  • モテるスコッチ16

    『迷子になった楓を見つけてくれた…すこしさんて方は…』「パパ!すこしさんじゃなくてスコッチ君」(母ちゃんと同じ間違いしてる)スコッチが恥ずかしそうに手を上げ『あー、俺です どうも』『楓がスコッチ兄ちゃんって言うもんですから、てっきりイケメンの外国人かと…』(おい!わざわざイケメンなんて言うな!まるで、あなた不細工ですねって言ってると同じだ!…確かに不細工だけど…)『俺が見つけたのはたまたまですから』『それから炭に火を着けていただいたり、楓と遊んでくれたり、本当にありがとうございました。どうしても断れない仕事が入ってしまいまして、すみませんでした』『炭への着火は好きですし、楓ちゃんについては、俺…

  • モテるスコッチ15

    「なんだかんだ言って、お前は姉ちゃんが大好きなんだな」「やめろ!気持ち悪いから」「スコッチ君!お姉ちゃんを気持ち悪いなんて言ったらバチが当たるよ。親よりもスコッチ君のこと思ってくれる、優しいお姉ちゃんでしょ!」「ごめん萌ちゃん、本気で気持ち悪いって言ってる訳じゃなくて…」「私がお姉ちゃんを凄くリスペクトしてるの知ってるでしょ」「うん、まあ…」(萌ちゃん、もっと違う人をリスペクトして下さい) 萌ちゃんの携帯が鳴る。画面を暫く見てから「ねえ、楓ちゃんのパパが、先日のお礼言いたいって」「私は別にお礼される事は…」「母ちゃんは無関係だろ!」「笑笑笑」「そんなお礼なんていいのに」「あの日、自分がドタキャ…

  • モテるスコッチ14

    「だから母ちゃんが、すこし君のお姉さんの立場だったらと言ってるだろ、何歳違い?」「3歳違いです」「ポン太何で知ってるんだ?」「だからそん時の会話で知った」「3歳差ならそうなっても別に問題ないね」「涼介母ちゃんまで何言ってるんですか!」「母ちゃんはポン太君とすこし君のお姉さん、良いと思うよ」「俺も!」「私も!」「私も!」「だから何もないから!」「次はいつ会うんだ?」「そんな約束してない」「連絡先交換しなかったのか?」「………」「したんだコイツ!ちゃっかりとまあ」「そういう流れになったから%÷♪…」「連絡先交換したって事はこの先があるって意味だよな」「でも今時、連絡先交換なんて普通だよ」「そうなの…

  • モテるスコッチ13

    「お前よくまぁ1時間も一緒にいたな!怖くなかったのか?大体姉貴と何話してたんだ?」「普通にお茶しただけだよ!怖い訳ないじゃんか。優しいお姉さんだぞ」「惚れたか?」「ば!馬鹿言うな!優しいって言っただけじゃんか。それを惚れ¥♪☆〒…」「何言ってんだポン太?」「何でもない」「1時間も何喋ってたんだ?俺なんか姉貴と3分以上喋ったら具合悪くなるけど、ポン太は変わってる」「変わってるのはスコッチの方だ。あんなに優しくて弟思いの良いお姉さんじゃないか」「ポン太、お前は騙されてる」「俺を騙してどうすんだよ」「世間から良く見られようとしてる…か、ポン太の事好きなのかも」「ポン太に春が来た!」「からかうな!もう…

  • モテるスコッチ12

    「お姉さん、お付き合いして下さい!」なんて男らしく言えたら、ポン太はもっと素晴らしい人生だったのに…ポン太がとった行動は「え?」聞こえないふりをした。そこでもう一度言われたら、さっきのセリフを口に出したかも。そうやって保険をかける、ズルいポン太。そんなポン太に対してお姉さんの反応は「いや、何でもないわ」沈黙より嫌な空気が漂う。2人共話題を変えようと必死になる。その空気を遮断したのはお姉さんの言葉で「今日はありがとう」(これで帰るんだ…)「いえ、楽しかったです」「本当に!?」「はい!」「ありがとう。それからね、あきと萌ちゃんの事これからも見守ってくれる?」「そりゃ勿論はい」「このまま上手くいって…

  • モテるスコッチ11

    ポン太はスコッチの勘違い行動が悪いと思っていたが、それは勿論スコッチの勘違いではなく、あそこにいた皆んなの“計算された行動”であり、何とか2人っきりにさせようと頑張り、ポン太とお姉さんがあれよあれよと思う間もなく2人っきりにさせられた。オドオドするポン太。お姉さんの「送ってあげる」の言葉に更にドギマギするポン太。無理もない、高校生の時に憧れていた友達の綺麗なお姉さん。そのお姉さんが送ってくれるとなれば、そんな事は想像すらしたことないので、テンパるに決まってる。加えて歳を重ねて一段と魅力的になったお姉さんに対し、ポン太の心は躍った。 「こんなおばさんとお茶してたらポン太君の彼女に申し訳ないな」「…

  • モテるスコッチ10

    「ごめんねポン太君」「いえ!大丈夫です」「あきと萌ちゃんの事なんだけど…」「は?」「親友のポン太君から見てどう思うかなあって」「や、普通にラブラブカップルですけど」「身内の私がひいき目で見ても、あきと萌ちゃんって見た目じゃ不自然でしょ?」「そんな事ないと思います」「気使わなくてもいいわよ、ポン太君や涼介君が、あきの顔ネタにして遊んでるのも知ってるから」「すいません!」「ポン太君達を責めてるんじゃないの、本当の事だし、友情が根幹にあるからこそ言えるってわかってるから。男は顔じゃないって言うけどね、あきの父親はダンディなイケメンだし、お母さんも綺麗系で」「お姉さんも凄く美人で」「ポン太君!お世辞は…

  • モテるスコッチ9

    「じゃー、意中の人は誰なんだ?」「まだ聞くか?もういいじゃんか!」萌ちゃんがスコッチに耳打ちする。スコッチはびっくりした顔してから「まさか!でもあの日確かに…」スコッチはわざとらしく咳払いを1つしてから「ポン太君」「呼び方気持ち悪い」「うるさい!先日ここで花見をした夜、俺の鬼…いや姉貴に送ってもらっただろ?2人で何処行ったのかな?」すると、そこに居合せた全員が合唱するように「何処行ったのかな!?」「笑笑笑」「何だよ皆んなして!それ言うんなら俺からも異議申立てがある!」「国会議員みたいな言い方」「その内なるつもりじゃね?」「笑笑笑」「うるさい!いいかスコッチ、そもそもはだな、あの日はお前の姉ちゃ…

  • モテるスコッチ8

    「母ちゃん、一緒にBBQ行きましょうね!」「行く行く!」「恵里も調子に乗るな、相手のいる事だから、楓ちゃんファミリーの同意もらわないと」「もらったよ」「嘘つくな!」「嘘じゃないよ、ほら」恵里ちゃんが携帯画面を見せると《合同BBQするなら、涼介母ちゃんも参加で構いませんか?》《大歓迎です!》「ね、ちゃんと同意もらったでしょ」「あぁ…そだな」「それからほら」恵里ちゃんが得意げにまた画面を見せると、楓ちゃんの楽しそうなお誕生会の様子。「おー!楓ちゃんだ!楽しそうだな」「あっ、私のとこにも!」「萌も連絡先交換したの?」「そう、さっきケーキ屋さんでね」「そういえば、楓ちゃんママってそういう話大好きらしい…

  • モテるスコッチ7

    「楓ちゃんがね、スコッチ君見つけた途端に走って思いっきり抱きついたの!」「すこし君モテモテ!」「5歳児ですけど 笑」「萌ちゃん、ライバル現れたね」「楓ちゃんが本気出したら私負けるかもです 笑」「スコッチ、楓ちゃんにハグされて気持ち揺らいだか?」「バカな事言うな」「笑笑笑笑笑」 「これが噂の甘過ぎないけど癖になるケーキ?」「そう、楓ちゃんママもママ友から教えてもらってはまってみたいで」「へー」「はまったのはママだけでなくて楓ちゃんも」「楓ちゃんも?」「そう!楓ちゃんのコメントそのまま言うと、甘過ぎないから飽きずにいくらでも食べられるって」「楓ちゃんがそんな食リポしたの?」「うん、びっくりしたけど…

  • モテるスコッチ6

    「あらっ、こんな時間。ご馳走になってごめんなさいだけど、今から両親迎えに行かなきゃなんで」「あー!こっちこそ勝手に引き止めて、すみません」「ありがとうございました。楓、ご馳走様は?」「萌お姉ちゃん、ケーキありがとう」「楓ちゃん、今日はパパとママとおじいちゃん、おばあちゃんとお誕生日会するんだ、良かったね」「うん!」「じゃ、BBQの話は具体的になったら連絡しましょ。恵里ちゃんとは連絡先交換してるんで」すると萌ちゃんが「あのママさん、私もいいですか?」「えー!嬉しい!」2人で携帯を出してポチポチしてから笑う。「楓も携帯買ってもらったらスコッチ兄ちゃんの電話番号教えて」「笑笑!萌ちゃん、教えてあげて…

  • モテるスコッチ5

    「そう言えば皆さん、あれからBBQ行きましたか?」「いえ、行ってません。あっ!そう言えば、以前約束しましたよね、今度は皆んなで合同でやりましょうって」「そうそう、それまでにスコッチ君は彼女ゲットですよって。ちゃんと叶ったわね」「はい、ママさんのおかげで」「どうかな?皆んなの都合が良い時に」「BBQですか!いいですね、やりましょう!今度はパパさんも是非!」「はい、前回ドタキャンした犯罪者ですからね」「そんな犯罪者って 笑。でも言い方変ですけど、そのパパさんのおかげで、炭に苦労してるママさん達と交流のきっかけになったんですよ」「笑笑、何もしてないパパをおかげだなんて」「でもあの日パパさんがいたら、…

  • モテるスコッチ4

    「楓ちゃん元気だった?」「うん!スコッチ兄ちゃんは?」「元気だったよ。 ケーキ買いに来たのかな?」「うん、今日ね楓の誕生日!」「そうなんだ、おめでとう!それで誕生日ケーキ買いに来たの?」「うん!」「良かったねー、あの萌ちゃん」スコッチが呼び掛けたが、萌ちゃんが自分と同じ考えで行動してると判断し、待つ事にした。同じ考えとは、ささやかながらここで小さなケーキを買って、お祝いしてあげようとしてる事で、楓ちゃんママはかなり恐縮してたが、ケーキを買って強引に自分達の席に連れて来た。「お祝いさせて下さい。楓ちゃんとママさんのおかげで私とスコッチ君はお付き合いする事が出来たんですから」「そんな事ないから。2…

  • モテるスコッチ3

    「すこし君いらっしゃい!今日も帽子とサングラスで来たの?」(何だか微妙な言い方)「萌ありがとう。楓ちゃんと会ったの?」「聞こえてた?」「涼介とスコッチ君の声だもん」 「マジで美味しい!萌ちゃんが言うように甘さ控えめでも超美味しい!」「でしょ!お姉ちゃんに教えてもらったんだよ」「あー、お兄さんのお嫁さんの…麗奈さんだっけ?あれ?まだ入院中だろ」「笑笑笑!何言っちゃってんのスコッチ君!このお店教えてくれたのはスコッチ君のお姉ちゃんだよ!」「えーー!まさか!姉貴がこんなお洒落なケーキ屋さん知ってる筈ないよ」「どうして知ったかは私もわからないけど、本当にお姉ちゃんから教えてもらったんだよ!」「へー…、…

  • モテるスコッチ2

    「涼介!お前の方こそじゃないか!母ちゃんはギリギリなんて言ってないから」「せめてって、そういう意味だろ!すこしは気使えよ!」「悪かったな、ギリギリとか、せめての顔で」「ポン太、そういう意味じゃないから」「そ、そうだよポン太君。すこし君と比べたらポン太君は超イケメンだよー!」「アイツと比べられても、全然嬉しくないです。むしろ比べられた時点で凹みます」「そんな事言ってると、そんなヤツすぐ来るぞ!でなければ電話とか」そのタイミングで玄関のチャイムが鳴る。4人は顔を見合わせて、驚くやら笑うやら。 涼介が玄関に向かうと、スコッチが既にドアを開けてにっこり立っている。サングラスをしてるので目の表情はわから…

  • モテるスコッチ1

    「そんな事があったのー、ポン太君大活躍だったね!」「いや、たまたま搬送先の病院に大学の友達がいただけで、しかもそいつに言われたのが、お前が俺に連絡してもしなくても、変わらずに一生懸命治療したからって。だから俺はべつに役に立ったわけじゃなかったんです」「そんな事ないわよ、友達から連絡があったら気持ちが全然違うはずよ。他の人と差をつけるって訳じゃないでしょうけど」「まぁ、大丈夫で良かったです」「じゃあポン太君の友達が県立病院にいるのね、恵里ちゃんもそこにする?」「母ちゃん!俺と恵里はまだ結婚してないんだぞ!そんな話ここでするなよ!」「じゃあどこですれば良いんだい?」「どこって…だいたい何で母ちゃん…

  • 絢里 伸 則子 隠10

    注文を済ませると佐々本さんが「さっきまでいたお客がまたすぐ来たらお店の人、変に思いませんかね?」「んー、覚えてたらそう思うかもですね。まぁそれは別に気にしなくても大丈夫でしょ、じゃあ反省会しますか?」「反省会…笑」「にれさん、どんな印象でしたか?」「私今、参球商事をネットで検索してみたら、創業は40年前で、事務用品から建設資材まであらゆる分野の総合問屋で従業員は100人だって」「まあまあの会社ですね!ってどの立場で言ってんだって言われそうですけど 笑笑」「じゃあにれさんは、ちゃんとした会社に勤めてるんですね。私の印象では話し方も普通でしたし、絢里に好意を寄せてるのもわかりました」「ですね、だか…

  • 絢里 伸 則子 隠9

    にれさんと絢里が出口に向かうと、伸彦と佐々本さんも会計に。伸彦はそのまま店を出て、2人の尾行を開始。当然の事だが伸彦は探偵ではないので、尾行など慣れてる訳ではないが、たぶん駅に行くという前提だから距離を置いて行く尾行はさほど難しくない。会計で時間差のある佐々本さんには、予想通り駅に向かってると連絡したので後で合流する事になる。 突然伸彦の左手を誰かが握ってきた。びっくりすると同時に、この感触は数分前に…佐々本さんがいたずらっぽい目をして「さっきのお返しです 笑」「そ、そうですか 笑」「やっぱり駅みたいですね」「今日はそこでお別れかな?絢里は電車で帰るだろうけど、にれさんはどうします?一応確認し…

  • 絢里 伸 則子 隠8

    「楡渕さんは?愛称とかニックネーム」「まぁ想像つくと思うんですけど、にれです」「じゃ今日はにれさんでいいですか?」「はい 笑」《にれさんって…センス一緒ですね 笑笑》《やっぱり幼馴染みと親友だから似てくるんじゃないですか? 笑笑》《喜んでいいのかな?》《笑笑笑》「にれさんは実家ですか?」「俺はアパート1人暮らしです。絢里さんは?」「私はずっと実家暮らしで、1度も出た事ありません。1人暮らしは憧れるんですけど中々…」「じゃあ御両親とは良好な関係ですね?羨ましいです」「色々うるさいですけどね、でも料理とか家事全般はなるべくやるようにしてます。昔でいう花嫁修行みたいな事 笑」「それは素晴らしい!」《…

  • 絢里 伸 則子 隠7

    最近の盗聴器は性能が格段に向上して、別に盗聴目的で買った訳ではないが、マイクをタバコケースでカムフラージュして受信機はテーブルの真ん中に置いてイヤホンを繋ぎ、伸彦と佐々本さんが同時に聴いてる。側から見ればカップルが仲良く音楽を聴いてるようにしか見えない。伸彦と佐々本さんは声を出さずに携帯で会話する。《聞こえますか?》《はい!絢里がすぐ側にいる感じです》《ニラ君じゃなかったですね 笑》《にれふちさんだって、珍しい名前ですね》《たぶん樹木の楡にふちは渊かな?》《ああー!そうかもですね、さすが大牟田さん!》《名刺交換してましたね》《本当にまだお互いによく知らない同士なのかも》《どんな印象受けましたか…

  • 絢里 伸 則子 隠6

    「あの、誤解されないように最初から言っておきますけど、その幼馴染みは男性ですが、お互いに恋愛感情は全く、全くありませんから。今朝も喧嘩して来ました」「仲良いですね」「いや!喧嘩したんですよ 笑」「その年齢で喧嘩するなんて、仲が良い証拠です。そんな幼馴染みがいるなんて羨ましいです」「楡渕さんは、異性の幼馴染みとかはいないんですか?」「笑笑 居ない事もないですけど、そこまで濃い関係の人はいないですね」「濃くはないです 笑笑。何て言えばいいか…お互い1人っ子で、一緒に育った感じで、兄妹みたいな感覚に近いかもです」「そうなんですか」「子供の頃は兄と妹ぽかったですけど今は完全に姉と弟です 笑笑」「その人…

  • 絢里 伸 則子 隠5

    「遅れてすみません、渡すタイミング逃してつい…」楡渕が名刺を差し出した。「すみません、私も」絢里も慌てて名刺を出す。「楡渕光純、にれふちこうじゅんです、読み難くてすみません」「にれふちこうじゅんさん…はい、納品伝票で楡渕さんの名前があるのは知ってたんですけど、何てお読みするのか…聞くのも失礼かなぁって 笑」「そんな事ありませんよ。栗部さんは、くりべあやりさんでよろしいですか?」「はい、栗部絢里です」絢里がちょこんと頭を下げる。「素敵な名前だと思います」「いえ!そんな…楡渕さんこそカッコいい名前です」「何かあれですね、週に何度もお会いしてるのにお互いフルネーム知らないってのも…」「でも職場関係な…

  • 絢里 伸 則子 隠4

    佐々本さんはびっくりするも、マスク越しでもわかるくらいに顔が赤くなる。 そして握られた手を握り返すと、今度は伸彦の顔が真っ赤っ赤になる。 手を繋いだ事ですっかり舞い上がり、歩き方もぎこちない2人は周りから見れば、何とも不自然に映った。 「楡渕さん!」 「栗部さん、今日はありがとうございます、楽しみにしてました。」 「こちらこそ、お誘いありがとうございます」 「すみません、僕の都合でランチだけで…」 「いえ!」 「じゃまず行きますか?今から行くとこはファミレスだからひと通りあると思いますけど、栗部さんは何系が好きですか?」 「私ですか?そんなに好き嫌いはないかな?肉も魚も好きですし、麺類、御飯物…

  • 絢里 伸 則子 隠3

    「大牟田さん!おはようございます!」「さ、佐々本さん お、おはようございます」伸彦の思い過ごしかもしれないが、今日の佐々本さんは絢里と遊んでる時よりお洒落で、一段と綺麗に見える。暫く見惚れてる伸彦に「今日は宜しくお願いします」佐々本さんが可愛らしくお辞儀をする。「こ!こちらこそ宜しくお願いします」「今日は大牟田さんとデートだ!…」「えっ?」佐々本さんが慌てて「いえ!何でもありません!」(えーっ!大牟田さん、本当に聞こえなかったんですか?せっかく勇気振り絞って言ったのに、2回も言える訳ないじゃないですか!大牟田さん…)(今のは空耳?違う、はっきり聞こえた“デート”って)伸彦は咄嗟に聞き返した事を…

  • 絢里 伸 則子 隠2

    「のぶあんたも頑張りなって!でも則子はきっぱり諦めなよ、誰か好きな人がいるみたいだから。だいたいあんな綺麗な則子がさ、のぶを相手にするはずないんだからね。実際振られてんだし」「何だよさっきからペラペラペラペラ好き勝手喋りやがって!俺はな、まだ直接振られたわけじゃないんだからな!」「諦めが悪いねぇのぶは。いい?則子はのぶの目の前で誰か好きな人がいるって言ったんだよ。つまり、大牟田さんは諦めて下さいって言ってると同じなの」「俺は別に…」「それをいつまでも佐々本さん、佐々本さんって」「言ってないし」「とにかくね」「いいからあっち行けよ!俺は忙しいんだから、お前の相手なんかしてる暇ねえ!」「何よその言…

  • 絢里 伸 則子 隠1

    なかなか眠れない理由としては、心配事、精神的不安、眠るには相応しくない環境、不眠症等いろいろあるが、昨晩伸彦が眠れなかった理由は、そのどれにも該当しなかった。伸彦は…嬉しくて嬉しくて眠れなかったのである。それもそのはず、伸彦が以前から密かに想いを寄せてる(本人は密かなつもりでも、幼馴染みの絢里にはとっくにバレている)佐々本則子さんと念願のデート!…ではなく、伸彦の幼馴染みで佐々本さんの親友でもある絢里が、ある男性から食事に誘われた事を知りかつて元彼からDVを受けた絢里が心配だから、隠れて様子を見に行く約束を交わした2人。だからはっきり言ってデートではない。しかし伸彦の頭の中は完全にデートモード…

  • シャイな若者5-2

    「お見舞いとか行ってもいいですか?」「えっ?いや、大した入院じゃないからあれですけど、でも田口さんなら安奈ちゃんも喜ぶかな?」「迷惑ですか?」「そんな事 笑、安奈ちゃんね自分が骨折したってのに、田口さんにしばらく会えないってしょんぼりしてたんですよ」「嘘ですよ」「嘘じゃないですよ!何も持って行かなくてもいいですから、顔だけでも出してください」「本当に行ってもいいんですか?」「はい、是非お願いします。今日はもう遅いんで明日か明後日にでも!」「わかりました。それで、そのー…名前とか…」「だから安奈です。石栗安奈」「あっ、じゃこのお店の名前“石栗食堂”…お2人がご両親で?」「ほぼそうだけど違うんです…

  • シャイな若者5-1

    順一君はいつもより元気に店の引き戸を開けた。「こんばんは!」(あれ?)おばさん店員さんは、順一君がいつもの店員さんの姿が見えないのに気付いたとすぐに察し「いらっしゃいませ、えっと田口さん?」「はい…」「すみません、安奈ちゃんしばらくお休みなんですよ」「安奈ちゃん…?」「あれ?名前聞いてなかったですか?」「あの…安奈ちゃんって…」「うちの看板娘、お客さんの中では田口さんと一番仲良かったからてっきり名前とか」「そんな…仲良くだなんて…」「それでね、実は安奈ちゃん入院しちゃったんです」「えーーっ!!にゅ、入院!?ど、どこか悪いんですか?」「骨折しちゃって、腕の骨をね。」「そうだったんですか…可哀想に…

  • カット工場 秘12

    「敵か味方か探ってますか? 笑。まぁ、仕方ありませんよね」「……」ホッチキスで綴じた3枚のA4の紙を御園に渡す。「この工場に野菜を納めてる業者のリストです。法人じゃなく個人もいます。見てわかるようにほとんどがあなたと同じ“水増し請求”です」「!」「当事者のあなたなら、おわかりでしょうが室界の指示で強制的にやらされてるのが実状ですね」御園が初めて口を開いた。「やっぱり私だけじゃなかったんだ…どうやってこの資料を?…」「室界のデスクの引き出しから盗みました。勿論コピーだけして戻しましたよ」「あなたは室界さんや私達を税務署とかに…」「そんな事はしません。安心して下さい、私はどちらかといえば“あなた側…

  • カット工場 秘11

    「いらっしゃいませ、工場長!皆さん盛り上がってますよ!」「だろうね」工場長がお座敷席に目をやる。「騒いで迷惑かけるなと言ってるのに」「これくらい普通ですよ」「ごめんね牡丹ちゃん」「大丈夫です 笑」工場長は牡丹ちゃんの可愛い笑顔に年甲斐も無く少しドキッとしたが、その感情を隠すように頷いてからお座敷席に向かう。「盛り上がってるね!」「工場長!」大袈裟な拍手に照れる工場長。「工場長、今日はありがとうございます」「ありがとうございます!」工場長は軽く右手を振って空いてる席を見つけて座る。おばちゃんが早速グラスを待たせ、ビールを注ぐ。「では今日の主役の工場長」「おい!主役は明君だろ、何の席かわかってる?…

  • カット工場 秘10

    「日頃から陰でババァなんて言ってるからつい出るのよね」「だから言ってませんから!」「光は?私達がババァだと思ってるの?」「そんな事ありません!」「因みに光のお母さんは何歳?」「えっと45歳だったかな?45です」「ひ、光 もっとおつまみ頼みなさい」光の母親の年齢を聞いて全員負けを認め、この話題はババァによって強制終了させられた。 「牡丹ちゃーん!」「はーい!」牡丹ちゃんがサンダルの底を軽快に鳴らして座敷に来る。「はい!何か?」「お刺身と唐揚げを人数分お願い。あとねビールが1.2.3…それも人数分ね」「はい、皆さん 私に注文しても構いませんけど、マスターが頑張ってタッチパネル導入しましたから、どう…

  • カット工場 秘9

    いくら明光でもバイトの自分に2日連続で歓迎会してくれるなんて恐縮極まりない次第だが、今日も工場長がスポンサーになってくれる事と、何よりパートのおばちゃん達の、圧倒的なパワーにびっくりしながらも、喜んで参加する事にした。光を本当に歓迎したいのか、それともただ酒を呑みたかっただけなのか…「光、昨日は偶然だったかもしれないけど、今日は最初から歓迎会のつもりで行くからね。私らは1度家に帰って着替えたり、準備してから次郎ちゃんに行くから、光もお風呂入って着替える時間はあるからそうしな」「えっ?お風呂に入ったほうがいいんですか?」「そりゃそうだよ。世の中何があるかわからないからね 笑」「何があるんですか?…

  • カット工場 秘8

    「何を頼むんですか?」「お金よー!昨日は工場長が全部出したって言うから今日の分も出して下さいと」「ちょっと無理なんじゃ…笑笑」「そんな事ないわよ!従業員には平等であるべき。だから亜弓さんもおいでよ、あー!紫音ちゃんも一緒にくれば!」「すみません、紫音はそういう所に行くと興奮しちゃって、夜寝てくれないから…私は結構ですから皆さんで 笑笑」「そうなの?じゃまたいつかタイミングが良い時にね」「はい、是非 笑」 漆沢課長が苦笑いを浮かべながら事務所に入って来る。「全く、圧倒されます 笑」「どうかした?」「いやー、パートの連中ですよ。私らを除け者にして、自分らだけで光の歓迎会だなんてズルいって言い始めて…

  • カット工場 秘7

    「昨日の事情聴取しなきゃね」「でも皆んながたまたま次郎ちゃんに行くってのも変よね?」「変じゃないわよ、この辺で呑むと言ったら次郎ちゃんしかないでしょ」「そっか、それもそうね」「笑笑笑笑笑」 一方涼さんとテツは工場長の奢りをいい事に呑み過ぎてしまい、2人して2日酔い。「テツ、俺今日具合悪いから午前中はあまり動けない」「午前中動けないのはいつものことじゃないっすか」「うるさい!あたた、頭が痛い。これ労災にならないかな?」「なる訳ないっすよ。俺も我慢してるんすから涼さんもお願いしますよ」「¥÷☆〒…影野くん、昨日人参やってるからわかるよね?」「はい…」影野は小さく返事をして黙々と作業を始めた。「テツ…

  • カット工場 秘6

    「ラジオ体操しまーす」漆沢課長のやる気があるのかないのかよくわからない号令で、皆んなが適当にスタンバイする。広くない工場なので整列するスペースなどなく、各自で体操の出来るスペースを確保する。こんな職場でやる気出して体操する人など滅多にいるはずもなく、この工場でもいわゆる“ダラダラ体操”が主流で、工場長も例外ではない。そんな中でも、トメばぁと明光の2人は元気に体操してる。 体操が終わると工場長が当たり障りのない事を話し、朝礼が終わる。毎日ほぼ同じ作業の繰り返しなので特別な連絡事項もなく、工場長の話を真剣に聞く人もいない。 朝礼が終わるとパート陣が漆沢課長を一斉に取り囲み矢継ぎ早に捲し立てる。「課…

  • カット工場 秘5

    「確かに久しぶりだ。わかったテツ、お前の歓迎会も一緒にしよう」「工場長、俺3年目っすよ」「細かい事言うな」「細かいとは思わないけど…」 「トメさんは1人でもこの店に?」「ここは私のキッチンみたいな所だから。家も歩いてすぐそこだし、1人暮らしだからね、つい来ちゃうよ」「トメさん独身なんですか?」「今はね、旦那は亡くなって…もう7年か」「そうだったんですか」「何だい光、お前は私みたいなババアが好みなのかい?」「いや、そういう訳ではないですけど…」「あれ?私今光に振られた?」「かもしれませんね」「笑笑笑笑笑」「そんなつもりじゃあ…」「いいよ、私には猫がいるから」「そうだ、トメさん猫飼ってますもんね。…

  • カット工場 秘4

    「トメさん、去年の“大根男”覚えてますか?」「えっ?大根男…そんなのいたっけ?」「ほら、仕事中に玉ねぎ食べて俺に大根で叩かれたヤツ」「歳かねぇ、覚えてないわ。どんな子だったっけ?」「仕事中に玉ねぎつまみ食いしてたヤツいたじゃないですか」「あー、そういえばそんなのがいたような気がする。えっ?そしたら玉ねぎ男じゃないの?」「そいつ、何回注意しても、なかなかつまみ食いやめないから、俺が頭にきて持ってた大根でヤツの頭をコツンと叩いて、何で叩かれたかわかってるか!って怒鳴ったら、そいつの名前忘れたけど玉ねぎ生で食べてたでしょ、涙流しながら、大根でって」「笑笑笑」「馬鹿!なにで叩かれたか聞いてんじゃない!…

  • カット工場 秘3

    「ひ、光君?ちょっと待て!何で牡丹ちゃんが光君って?」「僕、明光って名前です」「そんな事聞いてんじゃない!どうして牡丹ちゃんが初対面の明君を光君って呼ぶんだ?」「あー、自己紹介したんで」「それで光君?…」「はい!何か?」「あいや、何でもない」「工場長、明君は去年の“大根男”と同類かもですね」「何ですか?大根男って?」「あーいい、こっちの話だ」(俺なんか工場長って呼んでもらえるまで1年半かかったのに…しかも牡丹ちゃんは俺の名前すら知らない)工場長のまあまあながっかり顔を見て涼さんは思った。(工場長、それくらいでショック受けないで下さい。コイツはあろうことか、初対面で牡丹ちゃんとハイタッチまでした…

  • カット工場 秘2

    あまり大きな工場ではないので事務員を雇う余裕などなく、というより他に理由はあるのだが…工場長と課長が事務作業の為、毎日残っている。しかしそこは小さな工場、1時間もあれば終わる。「しかし両極端な2人ですね、笑」「笑、本当にそうだよ!もう名前からして、明光と影野一人?まるで作り話みたいだな 笑」「性格もそうですよね!明君は明るくて元気が良いけど、影野君は本当喋らないし、あの歳でフリーターみたいな感じでしょ?いろいろあったんでしょうね」「とりあえずうちはそんなに難しい仕事じゃないから、それさえこなしてくれれば問題ないから」「影野君は喋らないだけで仕事も普通にやってくれるから問題ないですけど、去年ほら…

  • カット工場 秘1

    「亜弓さんお疲れ様!」「あっ、お疲れ様でした 笑」「今からお迎え?」「はい」「大変ね、でも親なら誰でも通る道だから、頑張ってね」「はい、ありがとうございます」「困ったことがあったら言ってね、協力出来る事ならするから」「ありがとうございます。じゃお疲れ様でした」 「ママ!」「紫音 笑」「紫音ねー、ママの絵書いた、ほら!」「あらー、紫音上手ね。美人に描いてくれてありがとう」亜弓は紫音を抱きしめる。「だってママ美人だもん!」「紫音!笑」今亜弓にとって1番大事なのはこの子。そして…。「紫音、お買い物して帰ろ!何かお菓子買う?」「あんまりお菓子買うと月末に困るのはママなんだよ」亜弓は驚きを通り越して笑っ…

  • みっちゃんと…6

    『もしもしみっちゃん』『あ、てっちゃん!』『ちょっと遅いけど明けましておめでとう 笑』『あ 笑、明けましておめでとうございます 笑、本当にちょっと遅いね』『しばらくだけど元気?』『おかげさまで元気よ、てっちゃんは?』『みっちゃんのナデナデ効果で元気。前から思ってたこと、新年会とかどうかな~って2人でたけど。でもみっちゃん美人だからすぐ彼氏とか出来るだろうし、躊躇してたんだけど、ダメ元で電話してみた。っていうかみっちゃんさ、彼氏出来たらすぐ連絡して!そしたらちょろちょろするのすぐ辞めるから 笑』『笑、てっちゃんが思ってるほど美人じゃないし、なかなか彼氏出来ないの』『嘘だー!』『本当だよ!てっちゃ…

  • みっちゃんと…5

    「カウンターでも大丈夫?みっちゃん」「私は全然へーき」「じゃ、座ろう。みっちゃんは何呑む?」「私、サワーにしよっかな、てっちゃんは?」「僕はビール。つまみも適当にたのもうよ。」店員を呼んで注文する。ほどなくしてとりあえずビールとサワーがきた。「じゃ、発表するよ」「え、え、え、今?」「だって不合格だったら乾杯じゃ変でしょ?」「あー、まあ…」みっちゃんが少し不安な顔になる。「実は僕が受けた試験ってのは“宅建士”」「えっ?それって超難しくて合格率も低いヤツでしょ!?」「そう、合格率が15%くらいしかないヤツ」「そんな難い試験受けてたんだ!受けるだけでも凄いんでしょ!?」「そんな事ないけど……発表する…

  • みっちゃんと…4

    『もしもしみっちゃん?』『あ てっちゃん 笑、何もしかして国家試験合格したの?』『みっちゃんは何時頃仕事終わるの?出来れば仕事終わりに直接報告したいんだけど都合はどう?』『えー、今教えてくれないの?』『逢ってからのお楽しみって事で!』『焦らすのね 笑、明日ならいいわよ!』『じゃ、この前会った駅の改札の所でいい?』『わかった!』 改札手前でみっちゃんの見つけた信彦は軽く手を挙げる。 みっちゃんもてっちゃん(信彦)を確認すると自分のお腹の前あたりで小さく手を振る。 その仕草に信彦は少しキュンときた。「ごめん、待った?」「そうでもない 笑」「良かった。みっちゃん美人だからすぐナンパとかされて拉致され…

  • みっちゃんと…3

    「御礼だなんてそんなの、いいですから!でもこうやって再会出来たのも何かの縁、軽く一杯行きますか?」「はい!」2人は決して大きくもない傘に無理矢理入って駅前の居酒屋に向かった。 「ちゃんと入らないと濡れますよ、てっちゃん」「みっちゃんこそ、自分の傘なんだから」「笑笑」「そこでいい?」「はい、何処でも!」 「乾杯!!」「改めてお詫びします。てっちゃんを巻き込んで本当にごめんなさい」「いいんですよ!うまく切り抜けたんだし、こうやって再会出来たのも僕は嬉しいです」「でもびっくりしたでしょ!?」「そりゃ最初はちょっとパニクりましたよ!知らない美女が切迫感溢れる表情でこっちに来るんだもん!」「笑笑」「素朴…

  • みっちゃんと…2

    改札を出て地上に上がると雨だった。「え!?」確かに天気予報では所により一時雨と言ってたが(一時って今かよ!? 所ってここかよ!?)そう思ったのは信彦だけでなく、この駅の軒下で雨宿りしてる数百人も全く同じ事を思ったはずだ。「てっちゃん」信彦は先日の図書館での出来事を思い出した。やからに追われた女性を助けた?いや、何とか切り抜けたって表現が相応しいかもしれない。 女性からとっさに「てっちゃん」と呼ばれた。 信彦はそれを思い出し顔に出さず心の中で笑った。ん?誰かもう一回てっちゃんって呼んだ?(すいません、僕はてっちゃんじゃないんで)肩を叩かれ「てっちゃんですよね?」僕をそう呼ぶのはあの人しか…ゆっく…

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