車中はやや重い空気に包まれた。先に口を開くのは絢里しかいないと、伸彦も佐々本さんも思っていたので待つしかなかったのだ。「ごめん、コンビニ寄って」絢里に頼まれて最寄りのコンビニへ「トイレ行って来る。ついでに飲み物、2人共お茶でいい?」「ああ…いいよ」伸彦も佐々本さんも慌てて返事をする。絢里が車から出て行くとすかさず佐々本さんが「最初はあんな感じじゃなかったんです、今日見てびっくりしました。絢里には悪いけどあんなのと付き合ってたなんて親友としてショックです」「俺もびっくりしました。何か相談受けてませんでしたか?」「別れたいってのは、少し聞いてたんですけど、あんな理由だったとは…」「苦しかったんだろ…
(やっぱ佐々本さん、美人だなぁ)「伸!何ポーッとしてんの。則子さんきれいだなぁー、とか考えてたんでしょ!」(何でコイツわかるんだ?) 「バ!バカな事言うな!」「いいよもう、顔に書いてあるんだから」慌てて顔をなでる伸彦「馬鹿…」 伸彦は咳払いをしてから 「えー、先程絢里さんがサラダバー行ってる間に佐々本さんから重大発言がありまして」 「笑笑!何その言い方、選挙にでも出るの?笑」 「うるさい!いいかよく聞け。さっき佐々本さんが俺をイ、イケメンだって!」 そう言うと伸彦の顔が秒速で唐辛子のように真っ赤になった。 「なわけ無いでしょ!聞き間違い、空耳、妄想」 「どんだけ否定するんだ!」 「そんなこと則…
『ねえ伸、昨日の私の行動知ってる?』『これはこれは絢里さん、おはようございます、昨日の記憶があまり、ほとんど、いや全く残っていらっしゃらないんですか?』(わー、この言い方、私絶対何かやらかした)『ねえ、とにかくちょっと来てよ』 「おはようございます」伸彦は普段、絢里の家に入る時は“ごめん下さい”などの挨拶はせずにそのまま絢里の部屋に行く。昨夜は“荷物”があったから呼鈴を鳴らしただけである。「伸くんおはよう、昨日はありがとね」「いえ、別に…」「部屋にいるわよ」絢里の母親はそう言ってから自分の旦那さんに向かって「だから伸くんでいいのにねぇ」(昨日から何だよ!伸くんでって、でって、なんでおめんちの絢…
『のーぶーちゃん!笑笑』(うーわ、コイツべろんべろんに酔ってる!どうせ迎えに来いって電話だ、1億円賭けてもいい)『今わらしは、何処にいるんでちょうか?』『どうせ“太郎”だろ?そこしか行かねぇじゃんかお前』『何でわかるのぉ〜?伸って超能力ちゃ?』 (何だそのお茶は?) 『それともスカートー?』『俺はスカートォでもないし、ストーカーでもない!はぁ…』『ねえスカートォ、迎えに来て』(ほら始まった)『おい絢、側にもっとマシなのいないのか?』『あんたねぇ!スカートォの分際で何言ってん笑笑笑、代わってちょらい!』『もしもしお電話代わりました、佐々本則子です』『あっ!はっ!さっ、佐々本さん!こ、今晩は』『あ…
「鈍感男と」「違う拓弥!言葉が足りない」「あそか、えー史上最低の鈍感男大前田昇君と…それをひたすら五年も待った袖山笑美さんが、ようやく交際予約を交わした事を…祝し乾杯!」「乾杯!!「なげー 笑」「なげー 笑」「あっ、それから石本拓弥君の何とか学園合格おめでとうございます」「おめでとう!」「ありがとう!って、お前らいい加減覚えろよ!聖恵学園な」「聖恵学園ね…あっ!拓弥がいなくなったらたこ焼き係長欠員だよ、拓弥のたこ焼きは超絶美味しいからね、他の人じゃ無理だよ…どしよ。その都度帰って来させる?」「無理だよ!俺だって厳しい寮生活なんだから」「何が厳しいの?」「俺もまだよくわかんないけど、時間とか上下…
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