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趣味の、自己満ブログです。 不公平と矛盾する世の中は、 小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく。 人生は、振り返ることは出来ても、後戻りは出来ない…

流れ雲のブログ:信じれば真実、疑えば妄想

流れ雲のブログ
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2021/09/06

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  • 貧者の一灯・特別編

    ※性格の不一致どこからか、だんだんとパパとのズレを感じるようになってきていた。まずは、雄太の不登校(十七歳)からだったか、何気に言ったパパの一言が私の琴線に触れた。「甘やかして育てたからな」そう言ったパパが赤の他人に見えた。一瞬時間が止まったように感じてその後、血が逆流するような感覚になった。そのまま「ふざけんな!」って怒鳴ろうかと思ったけど妙に冷めた感情がわいてきて、「そうだね、私が一人で産んで一人で育てさせてもらいました」。淡々と言ってその場から立ち去った。その後、パパがどんな顔をしていたかは見ていなかったから分からないけれど、そのセリフを二度と聞くことはなかった。その時の話をすることもなかったから、どんな風に感じたかは知らないままでいる。どうしていいか分からず苦しんでいる雄太を見ていたから、何とかし...貧者の一灯・特別編

  • 貧者の一灯・漢の韓信シリーズ

    第二章:呉の興隆忠節の臣※…三日目。雨が降った。しかし包胥はずぶ濡れになりながらも、訴えをやめない。「私の身が滅びようとも、楚に住む人々の命を救いたい。この思いをどうにかして秦公にお伝えしたいのです。どうか、会ってください。そのひきかえに私は斬り捨てられても構いません。ただ、その前にどうかお話だけでもさせてください」秦公の側近は尋ねた。「このままでよいのですか」だが、秦公は庭先の包胥の姿を見ようとしなかった。「知るものか」夜になった。松明の火はまたも早々に消されたが、暗闇の中、気付くと包胥の膝元には一皿の食事が置かれていた。側近の中の誰かが見かねて置いてくれたのである。※…包胥の訴えは四日目も続いた。「秦公のご意志は、楚国の滅亡なのでありましょうか。かの地には、無辜むこの民衆がおります上に、あなた様にとっ...貧者の一灯・漢の韓信シリーズ

  • 貧者の一灯・妄想劇場

    ※…「連れション」「ねぇ一緒にトイレ行かない?」この言葉が、私は苦手でした。苦手ながらもまだ幼かった頃は、変に断って関係が気まずくなるのも面倒なので付き合っていました。でも10代後半の年齢になってまで一緒にトイレへ行く、いわゆる「連れション」なんて…。トイレぐらい1人でも行けるわ!そう思っていたのです。そんなある日、学校から帰る途中の駅でトイレへ行きたくなりました。いつも複数の友人と帰宅していたので、その時もやはり連れションの流れになっていきます。私が「トイレ行く」と言うと、友人は次々と「じゃ私も」と連なってくるのです。「え?皆もトイレなの?」思わず私が声を上げると「いや別に出ないけど…誰か行くならなんとなく行きたいじゃん?」その言葉に呆れた私は「私だけ行くから!ちょっと待ってて!」と制して、1人でトイレ...貧者の一灯・妄想劇場

  • 貧者の一灯・一考編

    前回つづき※…父と和解、母と姉の愛情ゲイボーイになって家族から縁を切られ、故郷に帰れなくなる人は多いという。麻紀さんも自由に生きてきた分、家族には迷惑をかけたと振り返る。「“近所の人に『お宅の息子さんオカマになったんですね』と言われて、お母さんイヤだったよ”と言われたことがあります。でも母はそれがお前の生きる道なら、一流になりなさいと見守っていてくれました」確執があった父も麻紀さんが芸能界に入ると、テレビに出演し、盛り上げようと一生懸命しゃべってくれた。「父が亡くなった後、レコードがたくさん出てきて。自転車で釧路中のレコード屋さんを回って何枚も買ってくれていたことを知ったんです。親の愛って深いなぁって思いました。今こうしていられるのは、両親と兄弟姉妹たちが陰で支えてくれたおかげだと感謝しています」麻紀さん...貧者の一灯・一考編

  • 貧者の一灯・歴史への訪問

    「福は内と言っても、福の神が家に来る事はない。それならいっそ、今年は鬼を呼んでみよう」そしておじいさんは、大声で叫びました。「鬼は~内!福は~外!」するとその夜、誰かが家の戸を叩きました。「こんばんは。『鬼は~内』と、鬼を呼んだのはこの家かいのう?」なんと、鬼がやって来たのです。「まさか、本当に鬼が来るとは」おじいさんはびっくりしましたが、せっかく来たのを追い返すわけにもいかないので、おじいさんは、なけなしのお金でお酒を買って来ると鬼にふるまいました。すると鬼は、とても気分を良くして言いました。「まさか節分の日に、こんなに良い思いが出来るとはな。この礼に、わしがサイコロに化けてやろう。じいさんは賭場(とば)へ行って、こっそりサイコロをすり替えるんじゃ。じいさんが勝つ様に、してやるからな」そこでおじいさんは...貧者の一灯・歴史への訪問

  • 貧者の一灯・THEライフ

    日本の高度経済成長に合わせて全国に建設された団地が、住民の高齢化や建物の老朽化など様々な難題に直面している。JR赤羽駅から徒歩20分、東京都北区の都営桐ヶ丘団地に入ると、時が止まったように感じる。4、5階建ての古い団地が並び、閉鎖された保育園の近くをお年寄りがゆっくりと歩く。1954年から76年にかけて146棟5020戸が建設され、一部で建て替えも進む。現在、団地一帯の高齢化率(65歳以上の割合)は50%を超える。東京オリンピックがあった1964年に入居した女性(81)は、4階建ての2階に1人で暮らす。足が悪く、右目は見えない。自分の部屋から、ごみの集積所まで5分かかる。階段の手すりにしがみつき、一段一段下りるのは一苦労だ。家族で入居した時は20歳代後半で、周囲も子育て世代ばかり。「昔は階段を駆け上がった...貧者の一灯・THEライフ

  • 貧者の一灯・番外編

    ※ひきこもりの人の自立支援をうたった業者による被害が後を絶たない。自宅から無理やり連れ出し、高額な費用を請求するケースも。…(敬称略、文中の人物、施設は仮名)中部地方の自立支援施設「しあわせの里」に強制的に入れられてから1年半がたち、佐藤達弘(25)は昨年4月、近くの部品工場にアルバイトに行くことを許可された。就労支援の一環という位置付けだが、実際は施設での単調な生活でたまったストレスを発散させるのが狙いのようだった。施設のスタッフは達弘に、誓約書を出すよう命じた。「了解を得ないまま実家に帰省しない」「給与は口座振り込みで、里が管理する」「里において知り得た事柄は、第三者に漏らさない」アルバイト先から自宅に逃げ帰る人もいたが、家族からの通報ですぐに連れ戻された。「自分には行く当てがないという、一種のマイン...貧者の一灯・番外編

  • 貧者の一灯・特別編

    ※お姫様抱っこ保育園には若い男性の保育士がいて、子供たちはこの先生が大好き。人気者。園庭で子供たちをお姫様抱っこしてクルクル回っていた。「先生、私もやってよ」。もちろん冗談でね。若いけど、おばさんの冗談にもノリが良く面白い先生で「尚子先生が死ぬ三日前くらいになればできるかも」なんて返してきた。まあまあ、かなりの重量ですから、気持ち、よく分かりますよ。いつものように、笑って楽しんだ。これを笑い話としてパパに話した。「ちょっと、待ってろ」ビールを飲む手を止めて立ち上がる。「ちょっと、来てみ。俺が抱っこしてやるから」「えっ~いいですよー」パパは私よりかなり軽い。無理でしょう。どうしてもって言うから、しょうがないなぁと思って抱っこしてもらう。予想通り持ち上がらない。「じゃ、おんぶしてやる」と、しゃがみ込んで、背中...貧者の一灯・特別編

  • 貧者の一灯・漢の韓信シリーズ

    第二章:呉の興隆忠節の臣その後、奮揚はひそかに随を脱出し、混乱を極める郢に潜入を果たした。郢は燃えていた。燃えかすの間を歩くのは呉の兵ばかりで、楚の国人に行き当たることはなかった。彼らは四散したのであろうか。それともすべて死に尽くしたのか。財物は漁られ、美女たちは犯され、男たちは殺され、子供は奴隷とされ……尽きぬ悪意を想像すると、奮揚の心は砕け散りそうなほど痛んだ。いったい、人の心の奥底にどれほどの悪意が眠っているというのだ。実際にその現場に居合わせたわけではないが、注意深く観察すると、燃える建物の影には遺体が転がり、風に舞う千切れた女の衣服があったことは確かである。ここはほんの数日前、いや、ほんの数刻前までは、まさに地獄であったのだ。廃墟の中を闊歩する呉兵たちの目に入らぬよう身を隠しながら、奮揚は郢の城...貧者の一灯・漢の韓信シリーズ

  • 貧者の一灯・妄想物語

    私には中学高校と仲の良かった友人がいました。しばらくは疎遠だったのですが、社会人になってから久しぶりに連絡が来ました。「久しぶり~!元気にしてたかと思って!ねぇ今度会わない?」もちろん断る理由も無く、行くと即答です。共に過ごした楽しい日々を思い返すと、社会人になってからの苦しい日々がまるで嘘のように感じられ、自ずと私のテンションも上がります。それからは友人と会う日を糧に頑張りました。当日、再会した友人は記憶と同じでほとんど変わっていませんでした。私にとってはその「変わっていない」という事がとても嬉しく、なんだか自分を肯定されたような気すらします。友人との思い出話は大いに盛り上がり、あぁ来て良かったと実感していました。「ところでA(私の仮名です)さ、最近どうなの?なんか疲れているように見えるけど…。」友人か...貧者の一灯・妄想物語

  • 貧者の一灯・一考編

    前回つづき「まだ男性が女性になることが考えられない時代に、神を冒とくするとか頭がおかしいとか言われていたわ。人間の急所をいじったりして、あんた死んじゃったらどうするの?と言っても、それでもいいの、手術は残されていた男性器と肛門の間に孔を開け、造膣するものだった。内部臓器を除いた陰茎の表面を大陰唇および小陰唇とした。陰嚢皮膚は膣壁とし、尿道口は陰茎の根元に形成した。「術後、傷口が化膿して高熱と激痛に見舞われたんだけど、ドクターに訴えても“問題ない”の一点張り。鏡で見て腐ってる部分を取り出して、結局自分で治しちゃった。人間生きようと思えばなんでもできるのね。皮膚の感覚と性感帯は残されたの。それはドクターに感謝しているわ!」帰国後、世間の誹謗中傷に加え、仲間内で陰口を叩かれることもあった。だが、術後初めてのショ...貧者の一灯・一考編

  • 貧者の一灯・歴史への訪問

    むかしむかし、あるところに、息子に先立たれて一人ぼっちになったおばあさんがいました。おばあさんの家の裏には穴があって、一匹の古ダヌキが住みついています。タヌキは人間にあこがれていて、拾った数珠を首にかけると、毎日かかさず神さまに祈っていました。(神さま。あっしを人間にしてください。この願いが叶うのなら、どんな事でもしますので)ある日の事、おばあさんの家に首から数珠をさげた友助と名乗る若い庭師がやって来て、庭の手入れをしてやると言いました。年を取って庭の手入れが出来ないおばあさんは、大喜びです。「友助さん、ありがとう。これは、庭の手入れのお代金です」おばあさんがお金を渡そうとすると、友助は言いました。「いえいえ、お代をいただこうとは思いません。お婆さんには、いつもよくしてもらっていますから」友助は一生懸命に...貧者の一灯・歴史への訪問

  • 貧者の一灯・THEライフ

    厚生労働省が2018年に公表した「国民健康・栄養調査」より、成人女性の21.1%が「高コレステロール」状態にあることが分かりました。コレステロール値が高いと健康に悪影響を及ぼしますが、その一つとして、胆石の原因になる可能性もあるとのこと。…※…元気印の私に訪れた地獄の苦しみ。前日まで元気だったのにある日曜日の午後、突然腹痛に襲われた。今までに経験したことのない激痛だった。七転八倒とはこのことか。脂汗がじっとり出てくる。前日の土曜日、私は地元で行われた『NHKのど自慢』の予選に出場していた。残念ながら本選に進むことは叶わず、悔しい思いで本放送を見ていたのだが、そんな感慨もどこかへとんでいった。とにかく息ができなくなるほどの痛み。昼食は野菜中心の和食だったし、昨晩食べたラーメンが悪さをしているとも思いがたい。...貧者の一灯・THEライフ

  • 貧者の一灯・番外編

    ※ひきこもりの人の自立支援をうたった業者による被害が後を絶たない。自宅から無理やり連れ出し、高額な費用を請求するケースも。…(敬称略、文中の人物、施設は仮名)東の空がうっすらと白み始める。昨年8月、佐藤達弘(さとう・たつひろ)(25)は車の助手席で身を硬くしていた。「あと少しだ」。山あいの施設を抜けだし、高速を走ること5時間。追っ手は来ない。車は東京郊外にある駅のロータリーで止まった。半袖シャツの通勤客が行き交う。約2年ぶりに目にする光景。達弘は助けてくれた運転席の男性に丁寧に礼を言い、車を降りた。「もう二度と、あそこには戻りませんから」※中学1年の時に両親が離婚して以来、一人っ子の達弘は、同居の母親とずっと折り合いが悪かった。外出中に勝手に机の引き出しを開けられたり、パソコンのブログをのぞき見されたり。...貧者の一灯・番外編

  • 貧者の一灯・特別編

    ※酔っ払い操縦法パパは酔って帰ってくると、とても面倒くさい。良くも悪くも手がかかる。夜の十時頃帰ってきて絶好調で話し始める。「早く寝て」といつも、私に怒られて寝る。こんなパターンをよく繰り返す。それが、時々パターンを変えて、お土産を持って帰ってくる。飲んで帰ってくることを良しとしない私をけん制するかのように「今日はお土産付きだぞ、文句言うなよー」みたいな感じだったのかな。取りあえず、お土産となれば、ありがとうくらいは言いますからね。いつもの、「早く寝て」みたいな言葉がトーンダウンしてパパとしては良い気持ちで寝られそうな気分にでもなったのかな。しかし、テンションが高すぎると始末が悪い、夜遅くに帰ってきてお土産のケーキを「尚子ちゃんが美味しいって食べるところが見たい」「今すぐ、食べてくれ」なんて言い出して。「...貧者の一灯・特別編

  • 貧者の一灯・漢の韓信シリーズ

    第二章:呉の興隆※死者を鞭打つ※「城門を破り、入城せよ!」もはや伍子胥の復讐は、止められない。孫武はふたりの個人的な対決に意義を感じなかった一方で、それを止めた闔閭にも不満を覚えた。なぜ、あの場で闔閭はこの孫武にひと言もなしに部隊を進めたのか、と。しかし仮に相談されたとしても、的確な返答はできなかっただろうとも思うのである。呉の将来にとっては、決してためになることではない。復讐なぞ……。その思いがそれ以降の孫武の活躍の場を狭めていった。彼は、その後積極的に軍の先頭に立つことをしなくなった。包胥は城外に脱出し、山中に身を潜めた。そのうえで先に避難させていた部隊の仲間と合流し、事態の推移を見守った。しかし彼はその後、身を切られる思いに苦しむことになる。城内を荒し回る旧友伍子胥の行動が、あまりにも常軌を逸してい...貧者の一灯・漢の韓信シリーズ

  • 貧者の一灯・妄想物語

    これは、私が仕事を始めて2年が経った時の事です。私の職場には早番と遅番が1週間交代であり、遅番だと帰りが夜の11時過ぎと遅くなっていました。ある日の遅番の帰り際、車に乗りこんでスマホを触っていたら、ふと会社の施錠をしたか気になったので確認しに戻ります。車を出てから会社の鍵を確認し、また車へ戻ります。その間数秒です。さて帰ろうかとエンジンをかけた瞬間、後部座席の下から男性が現れ、私の口を手で塞いできました。「静かにしたら殺さない。」恐怖のあまり声をあげることも出来ず、何が起こったのか分からずで頭が真っ白になり、私はパニックになってしまいました。とりあえず言う事を聞いて頷き、相手の顔を見ると…それは同じ会社の違う部署で働く男性でした。驚いた私は「H(仮名)さん?何で?」と声を上げます。だって大した面識も会話も...貧者の一灯・妄想物語

  • 貧者の一灯・一考編

    マツコ・デラックスやはるな愛など、LGBTのタレントは今やメディアでは欠かせない存在。その道を切り開いたパイオニアが、カルーセル麻紀さんだ。15歳で家出、ゲイバーへ1942年、北海道釧路市で会社員の父親と家庭的な母の次男として生まれる。太平洋戦争へと突入して約1年が過ぎるころだった。「2歳半で終戦を迎えたので、戦争の記憶はありません。子ども心に覚えているのは、貧乏だったことぐらい。なにしろ4男5女の子どもがいる大家族でしたから。父は“アメリカと徹底的に戦える男になれ、男に徹する男になれ”という願いを込めて、“徹男”と名づけたようです」しかし、厳格な父親の教育方針とは裏腹に物心ついたときには“女の子”だった。「野球より、お人形遊びのほうが断然好きでした。時代劇ごっこではいつも女役。母の着物を引っぱり出して口...貧者の一灯・一考編

  • 貧者の一灯・歴史への訪問

    どんなに難産(なんざん)でも、このおばあさんの手にかかればすぐに産まれるので、『中村の取り上げばあさま』と呼ばれていました。ある日の真夜中、おばあさんが寝ていると家の戸を叩く者がいます。ドンドン、ドンドンドン。こんな時間に来るのは急産の取り上げに違いないと思い、おばあさんはすぐに支度(したく)をすると外へ飛び出しました。外には、使いの男がいて、「こんなに遅くにすまんが、一緒に来て下さい」と、言いました。「それは良いが、どこの家かいの?」おばあさんが尋ねると男は、「ずっと遠くです。案内しますから、足元に気をつけてください」と、先に立ってどんどん歩いて行きました。真暗闇(まっくらやみ)ですが、なぜか足元だけは明るいので、おばあさんは何とか転ばずに歩けました。そのうち波の音が聞こえて来たので、(これは、海の近く...貧者の一灯・歴史への訪問

  • 貧者の一灯・THEライフ

    病院の「3カ月ルール」をご存じだろうか。入院生活を送っていた患者が「治療済み」を理由として90日以内に退院を促されるものだ。自らの最期を通い慣れた病院で迎えられると思っていたら、別の病院や介護施設などに移らざるをえなくなるケースがある。人生の終わりに向けた「終活」が注目される中、入院して安心とはいかない事態も想定しておく必要がありそうだ。「そろそろ退院の準備を始めてもらえないでしょうか」。東京都内に在住する40代の専業主婦Aさんが医師から告げられたのは、高校生の長女が夏休み中の8月上旬だった。一人娘であるAさんの父親は胃がんが進行し、78歳の誕生日を迎えた5月下旬から入院している。家具メーカーに定年まで勤めた父親に3つ年下の母親は寄り添ってきたが、食欲や体重の低下を見かねて強く入院を勧めた。「お父さんには...貧者の一灯・THEライフ

  • 貧者の一灯・番外編

    戦後の経済成長とともに核家族化が進み、学校や企業といった居場所がなく、社会とのつながりを失った「ひきこもり」が顕在化してきた。公表された内閣府の推計によると、39歳以下だけでも全国に54万人。40代、50代はさらに深刻で、高齢の親とともに経済的に追い込まれる“共倒れ”が現実のものになりつつある。…※〈死ねるものなら死にたい〉2004年10月18日昼。藤田真一の母栄子(えいこ)=当時(61)=はノートに一字一字ゆっくりとしたためた。脳梗塞の後遺症で話すことができない栄子にとって筆談は意思を伝える唯一の手段だった。その前夜、真一は1階で寝ている両親に気付かれないように2階からこっそり抜けだし、叔母の酒井知子(さかい・ともこ)に借金の返済について相談したが、協力を断られた。16歳で自宅にひきこもってからすでに3...貧者の一灯・番外編

  • 貧者の一灯・特別編

    ※プロポーズそして天国の夫へパパと出会ってから結婚までは二ヶ月ちょっと、かなりのスピード婚でした。パパの叔母さんの家で初めて会った。あの日は十月の最後の日曜日でした。三十七歳を目前としていた私は、お見合いもし尽くして、もう結婚はどうでもいいと思い始めていた時で、叔母さんにパパを紹介したいと言われても、「もういいですよ」と断っていた。それでも「今日来るから来て」と強引に決めて会うことになった。叔母さんの家で初めて会った時、緊張してる様子が伝わってきた。こちらは、お見合いのベテランで慣れたもので淡々と話した。初めて会ったのに話しやすかったこと、共通の友達がいたことなど、憶えています。自分の所得や貯金など、その場ですぐに教えてきたのには、かなりの衝撃を受けました。(何だ、これは!)と思った。その日は、パパは、叔...貧者の一灯・特別編

  • 貧者の一灯・漢の韓信シリーズ

    第二章:呉の興隆※死者を鞭打つ※「城門を破り、入城せよ!」呉王闔閭の力強い号令が下った。兵士たちが門を突き破り、なだれ込むように城内に進入する。また、城壁を乗り越えて内部へ入り込む部隊もあり、楚軍を対応に苦慮させた。「なかなかによい指揮官がいると見える。城門周辺の守りだけに集中させないとは……」申包胥は、守備軍の将として郢城防備の指揮を執っていた。しかしその防備態勢はすでに崩壊寸前である。三万の呉軍に対し、もともと楚軍は二十万を擁していた。それが柏挙で十万を失い、続く五度の会戦で二万ずつ失うことになり、いま包胥の手元に残っている兵は、五千に満たない。この状況を言い表せば、戦う前に勝負はついている、ということになろう。そのことは、彼自身もわかっていたことであった。そこで包胥が自らに課した任務は、宮中の人物を...貧者の一灯・漢の韓信シリーズ

  • 貧者の一灯・妄想物語

    ※ニキビは日本人のほとんどが経験する。※ニキビができることでテロメアが長くなり、ニキビができないとテロメアが短くなる。※テロメアが短いと老化現象が起きる。日本人の90%以上が経験しているニキビ。10代後半、中学生や高校生で発症する人が多く、青春のシンボルなどともいわれる。10代でできるニキビを思春期ニキビ。成人してからできるニキビを大人ニキビという。思春期の若者にとって見栄えの悪いニキビは大きな悩み。顔中にニキビができたり、治ってもすぐ新しいニキビができるなど、ニキビに悩まされる人からすれば、ニキビができない、あまりニキビがない友達は羨ましく妬ましい存在である。しかし、中学、高校時代でニキビができなかった人は、多くのニキビに悩まされた人と比べて老化が早く始まる。染色体の末端部にはテロメアといわれる遺伝子を...貧者の一灯・妄想物語

  • 貧者の一灯・一考編

    全国でも珍しいと思うが、宮崎市の成人式は中学校単位で行っている。いつからだろう。成人の日が来ると、全国あちこちの式典会場でステージに上がって暴れたり、会場の外で酒を飲んだり、式の間中ずっとおしゃべりをしている新成人が大きな社会問題になった。そこでは、会場を新成人の出身中学校に変え、さらに地域の人たちによる手作りの成人式にしようということになったのだ。1月9日、地元の中学校に行ってきた。やっぱり成人式らしく女の子たちの着物姿は豪華絢爛、男の子も原色の派手な紋付袴を着たり、スーツ姿の子らも奇抜なヘアスタイルをバッチリ決めていた。中学校単位で行うようになってから暴れる子もいなくなり、今年も滞りなく執り行われたようだ。後日、スタッフとして関わった人たちとお話する機会があった。「後ろから見ていた分には素晴らしい成人...貧者の一灯・一考編

  • 貧者の一灯・歴史への訪問

    日本のキツネは頭が良いと聞いたので、キツネと勝負をしようと思ったのです。トラはキツネを見つけると、さっそく言いました。「俺は中国から来たトラだ。何でもよいから、お前と勝負をしたい」「ふーん、勝負ねえ」キツネは、竹やぶを見ながら言いました。「勝負なら、竹やぶの中での早歩き競争はどうですか?時間は明日の朝。こっちの竹やぶの端から出発して、反対側の端まで先に到着した方が勝ちです」「よし、それはいい」トラは、ニヤリと笑いました。トラは竹やぶの中に住んでいるので、竹やぶの中での早歩き競争なら勝ったも同然です。けれどキツネには、ちょっとした考えがあったのです。キツネはトラと別れると、すぐに仲間のキツネを集めて早歩き競争の事を話しました。「いいか。ここで負けたら、我々日本のキツネの恥になる。そこでだ。今夜のうちから、み...貧者の一灯・歴史への訪問

  • 貧者の一灯・THEライフ

    警察庁の発表によると、DV(ドメスティック・バイオレンス)の相談件数は、増加する一方で、平成29年は72,455件で、DV防止法施行以降、過去最多を記録。その被害者の大半は女性である。今、女性たちに何が起こっているのか。…健康関連施設に勤める20代後半の伊藤麻里子さん(仮名)はシングルマザーで、小学校低学年の娘・葵(仮名)と2人暮らし。交際相手の新井大輔(仮名)が麻里子さんの家に転がり込んでから半年後のある日、大輔が麻里子さんを怒鳴りつけ、殴る蹴るの暴力を振るいはじめる。暴力が日常的になる中、麻里子さんが激しいDVに耐えていた理由とは…。※家族が乗っ取られるにわかには信じられないことだが、大輔は、娘の葵が小学校に入学したときから、平然と葵の「父親」を名乗るようになった。「長い出張から帰ってきたお父さん」と...貧者の一灯・THEライフ

  • 貧者の一灯・番外編

    戦後の経済成長とともに核家族化が進み、学校や企業といった居場所がなく、社会とのつながりを失った「ひきこもり」が顕在化してきた。公表された内閣府の推計によると、39歳以下だけでも全国に54万人。40代、50代はさらに深刻で、高齢の親とともに経済的に追い込まれる“共倒れ”が現実のものになりつつある。…※ものづくりの町として知られ、小さな工場が点在する大阪府東大阪市。車1台通るのがやっとの狭い路地を挟み、古い住宅が密集する。2004年に両親を殺害した罪で服役中の藤田真一(ふじた・しんいち)(49)は、この地で、高度経済成長まっただ中の1968年に生まれた。父克行(かつゆき)はトラックの運転手として働き、母栄子(えいこ)がパートで家計を助けた。当時の小学校は土曜日にも半日授業があり、午後になると、一人っ子の真一は...貧者の一灯・番外編

  • 貧者の一灯・特別編

    「急なお話ですが、息子さんの臓器提供を考えていただけませんか」そう告げる医師を前に、両親は言葉を失い、ぼう然と涙を流す。フランスのベストセラー小説を映画化した「あさがくるまえに」の1シーン。サーフィンの帰りに交通事故にあった少年(17)が脳死の状態となり、両親は悩んだ末に提供を決める。そして心臓病の女性に移植の機会が訪れるが、彼女もまた葛藤していた。「人間には寿命がある。人の心臓を使ってまで……」東京・渋谷で公開された初日の日、移植を待つ人や移植経験者らのグループが映画館に集った。呼びかけたのは東京都東大和市の石井智さとるさん(35)。拡張型心筋症を患い、補助人工心臓を胸に埋め込んだ体で移植の機会を待つ一人だ。この作品の舞台であるフランスは、100万人あたりの臓器提供数は2015年で27・5。対する日本は...貧者の一灯・特別編

  • 貧者の一灯・漢の韓信シリーズ

    第二章:呉の興隆※死者を鞭打つ※偽って軫を称した子期が現れ、随の宮殿は騒然となった。この人物をどう扱うか……殺して呉に引き渡せばよいものか、それとも生かした状態でそれを行なえばよいのか、あるいは引き渡さずにこれを守り、呉に対抗するべきか。選択肢は数限りなくある。「呉が本格的に攻勢をかけてきたらどうなる。楚は我々を支援などしてくれないぞ。殺すべきだ」「いや、仮にも王という存在を我々が手にかけてしまえば、天下は我々を不忠な存在だとして、信用しなくなるに違いない。変節の国だと。いまこの危機を逃れるためだけに、新たに将来における不安の種を蒔く必要がどこにあろう。信用されない小国などは、大国に滅ぼされるしか道はないのだ」随の宮殿では、そのような論争が巻き起こった。このままでは埒らちがあかないと判断した随公は、思い切...貧者の一灯・漢の韓信シリーズ

  • 貧者の一灯・一考編

    脳性まひの小林さんは体が思うように動かせない。言語障害もあり、思っていることがうまく話せない。その悔しさと60年以上も付き合ってきた。そんな小林さんが言う。「健康な体をもって生まれたのに、その体を悪いことに使って自分の人生を台無しにしている人がいる。せっかく不自由ない体で生まれてきたのだから立派に生きてほしい」と。健康な人ほど軽く受け流してしまいがちな言葉だ。確かに体の一つひとつの機能をどううまく使おうかなど普段はあまり考えない。小林さんは幼い頃に受けた機能訓練のおかげで生活自立ができるようになり、結婚もし、子どもにも恵まれた。それも「この体で生きていく」という若き日の決意があったからだろう。元中学教師の腰塚勇人さんは、ある日突然体の機能を失った。スキーをしていた時の事故で首の骨を折った。2002年3月、...貧者の一灯・一考編

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