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趣味の、自己満ブログです。 不公平と矛盾する世の中は、 小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく。 人生は、振り返ることは出来ても、後戻りは出来ない…

流れ雲のブログ:信じれば真実、疑えば妄想

流れ雲のブログ
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神戸市
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2021/09/06

  • 貧者の一灯・歴史への訪問

    ※…「ごめんなさい。今晩、泊めてください」お百姓さんが、宿屋の前でそう言うと、「はい、ただいま。さあ、どうぞどうぞ」宿屋の女中(じょちゅう)さんは、お百姓さんを部屋に案内しながら言いました。「ご飯を先にしますか?それともお風呂にしますか?」「へえ、お風呂に入れてもらいましょう」「では、こちらへ」お百姓さんは女中さんに案内されて、お風呂場へ行きました。お風呂場には、ぬかと塩が置いてありました。むかしは石けんも歯ブラシもなかったので、ぬかで顔を洗い、塩で歯をみがいたのです。でも、このお百姓さんは、そんな事は知りません。「はあ、これはきっと、ぬかダンゴを作って食べろというんだな」そう思い、ぬかに塩を入れて水でねり、ダンゴを作って食べました。「こりゃうまい。こいつは、なかなか上等なぬかじゃ」お百姓さんは、ぬかダン...貧者の一灯・歴史への訪問

  • 貧者の一灯・THEライフ

    ※…我が子の思いの強さが起こした奇跡3歳の時に5年後の生存率ゼロ...パーセントという悪性小児がんに犯された堀内詩織さんには、1つの夢がありました。それは「よさこい」を踊ること。「死んでもいいから、踊りたい」。…※…詩織が小児がんと分かったのは、いまから7年前の3歳の時です。幼稚園の健康診断で検尿をしたら「タンパクが下りている」と言われ、近くの病院で再検査を受けたのが始まりでした。再検査の結果、告げられたのは「腫瘍」ということでした。悪性か良性かはまだ分からないが、とにかく右の腎臓が動いていないから、早急に入院して手術をしましょうと言われたのです。入院して3日目、その日は詩織が楽しみにしていた幼稚園の夕涼み会でした。なぜなら、お遊戯があるからです。「おそらくこれから長期入院になりますから、行ってきたらどう...貧者の一灯・THEライフ

  • 貧者の一灯・番外編

    ※……曽野綾子「日本人は甘ちゃんなのに、恥ずかしいほどの利己主義者である」日本には有能でありながら、”魂”の教育が足りていない人が多いと感じている最近の日本の様子に危機を感じ、将来を憂う人はあちこちにいるのだが、時々その人たちの議論を聞いていると、不思議な感じに囚われることがある。省庁の編成を変えることや、金融破綻(はたん)を乗り切ることはもちろん差し当たり大切なことに間違いないけれど、どうしてこういう社会になったか、という基本の部分については、あまり考えないらしく、議論にも出ない。私がその理由だと思っているものは、日本人が本を読まなくなったから、でもいいし、哲学がなくなったから、と言っても差し支えない。親と住まなくなったから老病死がひとごとになったのもその理由かもしれないし、あるいは道徳教育を切り捨てた...貧者の一灯・番外編

  • 貧者の一灯・特別編

    ※…その毒は人や家畜を殺し、かつてのアメリカでは年間60億ドルもの経済的損失を与えた猛毒生物「ヒアリ」。実はこの侵略生物にも「天敵」がいる。その意外な正体とは?※…その赤錆色をした小型のアリは、刺されると火で焼かれたように痛いので「火蟻」という名前がついている。学名はSolenopsisinvicta。先頭の属名Solenopsisはラテン語で「管のようなもの」、後ろの種小名invictaは「征服されない」という意味である。そう、ヒアリは強い。ほとんど無敵だ。※…無敵生物・ヒアリの生態女王は多産で、働きアリの成長は早く、1匹の女王が5年もたつと約20万匹もの巨大コロニーをつくる。一つの巣の中で複数の女王が協力し、連合軍をつくることもある。有機物の類いであればおよそなんでも食べるし、性質は極めて凶暴。自分た...貧者の一灯・特別編

  • 貧者の一灯・漢の韓信シリーズ

    第二章:呉の興隆呉中に危機あり思い悩んだ伍子胥は、竹簡に書をしたため、使者を通じてそれを申包胥に渡した。その内容は次のようであった。「……先の呉と楚との戦いにおいて、旧縁を忘れて君に苦しい思いをさせてしまったことには、申し訳なさを感じている。しかし、どうか許してほしい。親兄弟を楚によって殺された私には、結局復讐するしか道は残されていなかった。なぜなら、私がそのことを言葉にして国に訴えたところで、国がその罪を認めるはずがなく、私は泣き寝入りするしかなかったからだ。今、この世の中において、自分の主張を効果的に人々へ伝える手段としては、武しかない。それはおそらく君も感じていることだろう。君がどんなに人道的で、愛に満ちた行動をとったとしても、それは実際に君と接した人物にしか伝わらない。それに対して武は、不特定多数...貧者の一灯・漢の韓信シリーズ

  • 貧者の一灯・番外編

    ※…2021年、総務省が発表した統計では、65歳以上の高齢者人口は、3640万人と過去最多で、総人口に占める割合は29.1%になりました。さらに、男女別にみると、男性が1583万人、女性が2057万人と女性が男性より474万人多くなっています。91歳になる作家・曽野綾子さんが綴るエッセイには心が励まされるような言葉が並び、一人で過ごすシニア女性が前向きに生活するためのヒントが盛り込まれています。そんな曽野さんが、夫の死をきっかけに飼い始めた猫との暮らし。そこには思いがけない良さがあったそうです。※…曽野綾子与えねばならない仕事があることは幸せなこと」夫が亡くなって4ヵ月ほど経った時、私は雄の仔猫を飼うことになった。すでに体の大きさは一人前に近いが、まだしぐさに子供らしさが残る。淋しいからペットを飼ったので...貧者の一灯・番外編

  • 貧者の一灯・森羅万象

    ※…吉川英治(1892~1962)作家「朝の来ない夜はない」という言葉は、国民的な作家である吉川英治が座右の銘としていたものとも、乞われて色紙に書いたものだとも言われます。この言葉には、吉川英治が子どもの頃から学びとった思いや経験が凝縮されています。※…苦悩に満ちた吉川英治の青少年時代『宮本武蔵』『新平家物語』などの国民的文学作品で有名な作家、吉川英治は、少年時代から苦労人でした。お父さんが事業で失敗し、病気で倒れ、小学校を中退すると、大勢の弟や妹のためにも丁稚奉公に出されました。彼のわずかな給金とお母さんの針仕事の賃金が一家の支えだったのです。英治は青少年時代、職を転々として苦労に苦労を重ねました。それは、人生の夜をさまようような日々だったのかもしれません。吉川英治の担当編集者だった扇谷正造氏は、その思...貧者の一灯・森羅万象

  • 貧者の一灯・一考編

    ※…「家の風呂は温まらんのじゃ。」それが口癖だった祖父は家のお風呂ではなく、近所にある銭湯へ毎日通っていた。真冬でも銭湯に通うため、帰ってくる間に風邪をひかないか、とても心配したことを覚えている。しかし祖父は、ほっかほかの顔をして帰宅後も団扇うちわでパタパタと全身をあおいでいた。そして数年が経ち、祖父は大好きな銭湯へ通うことができなくなってしまったが、病院のベッドの上でもアツアツのタオルで足を包み込んであげると、いつも目をつむって幸せそうな吐息を漏らしていた。祖父が亡くなって初めての祖父の誕生日。ふと、銭湯へ行ってみたくなった。祖父が毎日通っていた銭湯へ、私も行ってみたくなったのだ。当時の母は乳がんで胸を失っていたため、乳がん専用のバスタイムカバーという水着のような下着をつけて入浴することがあった。それは...貧者の一灯・一考編

  • 貧者の一灯・歴史への訪問

    きっちょむさんの村には、先祖代々田畑や山をたくさん持っている金助(きんすけ)さんという大百姓がいました。しかしどうしたわけか金助さんの代になってから少しずつ財産が減っていき、もうどうにもならない状態でした。「あれほど栄えていた家が、こうもすたれるとは。これはきっと、福の神が家を出て行ったからに違いない」金助さんが、こう考えたのも無理はありません。なぜなら金助さんはとても良い人で、これまでに悪い事もお金をむだに使った事もないからです。それなのに金助さんの田畑だけに虫がついてお米が出来なかったり、大事な牛や馬が病気になって死んだりと、次から次へと悪い事が重なって行くのです。有名な易者(えきしゃ)に占ってもらっても原因がわからず、神主さんにお払いをしてもらっても効き目がありませんでした。そんなある日、金助さんは...貧者の一灯・歴史への訪問

  • 貧者の一灯・THEライフ

    この青年は26歳でがんになりました。手術ができないほど深刻な状態でした。私は父親からお手紙をいただいて、青年を見舞ったのですが、驚くことにベッドから立ち上がり、病人とは思えないほどの笑顔で私を迎えてくれました。そして、こう言ったのです。「僕はこの病気になって、当たり前の生活がいかにありがたいかが、よく分かりました。辛さよりもそれを知ったことの嬉しさのほうが、ずっと大きいんです彼は鍼灸師として埼玉県内の病院に勤務していましたが、自らの病をとおして患者さんの気持ちに寄り添うことの大切さを知るとともに、それまで上から目線だった自分を本当に恥ずかしく思った、とも話してくれました。当たり前であることのありがたさに目覚めたこと。医療者としての心のあり方が分かったこと、ギリギリの環境の中で掴んだ魂の声だったに違いありま...貧者の一灯・THEライフ

  • 貧者の一灯・番外編

    ※…青森との県境に位置し、太平洋を望む岩手県洋野町。海の幸が豊かで、毎年夏に開かれる「ウニまつり」は多くの観光客でにぎわう。人口1万7千人ほどの小さな町だ。保健師の大光テイ子(だいこう・ていこ)(65)が“異変”を感じたのは、町の健康増進課長だった2011年。がん検診の受診率を上げるため、担当者に各家庭を調べてもらうと「検診どころか、長い間家を出られない人がいる」との報告が相次いだ。翌年、40年近く勤めた町役場を定年退職し、町が運営する地域包括支援センターの職員として再就職。認知症が疑われる高齢者宅を回る傍ら、気になっていた「家を出られない人」の家庭訪問を始めた。※…ある日、センターに地元の病院から電話が入った。「介護サービスを使った方が良い人がいるので、話をしてほしい」。70代の両親と40代の長男の世帯...貧者の一灯・番外編

  • 貧者の一灯・特別編

    ※…普通のクモの巣を張らないカバキコマチグモ日本に毒を持つクモは少ないが、最強の毒を持つのがカバキコマチグモである。このクモは、体長が2センチ程度と小さいが、その毒は毒ヘビやフグよりも強く、世界の猛毒生物の6番目にランキングされているほどである。体は小さく、毒も少量なので、幸い日本での死亡例は報告されていないが、海外では嚙まれて死亡した例もあるというから、危険であることに間違いはない。死亡することは稀(まれ)とはいえ、カバキコマチグモに嚙まれると、激痛が走り、腫(は)れあがる。頭痛や発熱、呼吸困難やショック症状を起こすこともあるという。カバキコマチグモに嚙まれる事故は、6月から8月頃にかけて多くなる。この時期は、このクモの産卵期にあたるので、特に注意が必要なのだ。カバキコマチグモの巣は目立たない。このクモ...貧者の一灯・特別編

  • 貧者の一灯・漢の韓信シリーズ

    第二章:呉の興隆呉中に危機あり嬴喜を伴い、包胥は領地である申の地へ帰った。奮揚と紅花はそれに同行した。彼らがこの地を訪れるのは、四年ぶりのことである。久しぶりとなる帰郷に紅花は胸を躍らせた。「見て!」紅花は馬車の上で奮揚の袖を引き、左前方を指し示した。「ああ、変わらないな。ここは、いつ訪れても美しい」奮揚は顔をほころばせた。懐かしさと戻ってきた安堵感が相まって、彼の気持ちを優しさが包み込んだ。奮揚は紅花の手を握ると、「太后さまに、このことを教えておやり」と言い添えた。その言葉を聞いた御者が馬車を止めると、紅花は前方を行く嬴喜と包胥が乗る馬車に駆け寄り、「見て見て!」と、まるで少女のようにはしゃぎながら叫ぶのだった。「まあ……」紅花の指し示す方向に目をやった嬴喜は、思わず声をあげた。そこには、川面に反射した...貧者の一灯・漢の韓信シリーズ

  • 貧者の一灯・妄想物語

    ※…奇跡に対する考え方この世には多くの奇跡の物語があります。神様がたすけてくれた話、どうしようも無くなったときに救ってくれた奇跡の話が多く残されています。このような奇跡の話は現代の科学の知識から「おかしい」と思われて「奇跡なんか起こるはずがない」という人もいます。でも、私たちの判断力や知識はそれほど確かなものでしょうか?19世紀のおわり、1899年12月31日にアメリカ合衆国特許庁長官が次のような演説をしています。「今や、人類が発明すべきものはすべて発明した。発明の世紀である19世紀がおわり、20世紀はそれを利用した社会が訪れるだろう」ところがその3年後にライト兄弟が初飛行に成功し、5年後にはアインシュタインが相対性原理を発表しました。20世紀は新しい発見の時代であり、決して人類の発見が終わったわけでは無...貧者の一灯・妄想物語

  • 貧者の一灯・一考編

    ※…四年生になってもコロナは収まらずに、学級閉鎖や、休校になることもありました。楽しみにしていた行事もないまま、がまんの日々を続けています。コロナが早く収まってほしいと願っていますが、私にできることはマスクをしたり、手洗い、消毒をすることくらいです。コロナが収まるために、ワクチン接種が大事だとテレビで見ました。私のお母さんは今、ワクチン接種の受付の仕事をしています。仕事で大変な思いをしていると聞き、コロナが収まるために頑張っているんだなと思いました。お母さんは毎日とても疲れて帰ってきます。そんなお母さんを応えんしたり、私にできるお手伝いをしてあげたい。それが、コロナが収まるために私ができることだ、と考えました。「そうだ!『笑顔レストラン』を開こう!」妹と協力しながら、メニュー表を作りました。レストランのメ...貧者の一灯・一考編

  • 貧者の一灯・歴史への訪問

    ※…「ほう。これは立派な木だ。さぞかし高い値で売れる事だろう。さて、どうやって切り倒そうか?」すると、もう一人の木こりが言いました。「よし、お前切れ。わしが掛け声をかけて、拍子をとってやるから」「それなら、拍子を頼むぞ」そこで一人はまさかりを打ち込み、もう一人が後ろで切り株に腰をかけながら、「よいしょ!よいしょ!」と、掛け声で拍子を取りました。こうして、大きな木は切り倒されたのです。そして二人は、その木を木商いの旦那の所へ持って行くと、旦那は結構な額で木を買い取ってくれました。「思ったよりも金になったな」「ああ、もうかった。もうかった」「さあ、金は山分けにしよう」掛け声をかけた木こりがそう言うと、木を切り倒した木こりが嫌な顔をしました。「何で山分けなのじゃ?木を切ったのはおれで、お前は掛け声をかけていただ...貧者の一灯・歴史への訪問

  • 貧者の一灯・THEライフ

    病院の「3カ月ルール」をご存じだろうか。入院生活を送っていた患者が「治療済み」を理由として90日以内に退院を促されるものだ。自らの最期を通い慣れた病院で迎えられると思っていたら、別の病院や介護施設などに移らざるをえなくなるケースがある。人生の終わりに向けた「終活」が注目される中、入院して安心とはいかない事態も想定しておく必要がありそうだ。※…「そろそろ退院の準備を始めてもらえないでしょうか」。東京都内に在住する40代の専業主婦Aさんが医師から告げられたのは、高校生の長女が夏休み中の8月上旬だった。一人娘であるAさんの父親は胃がんが進行し、78歳の誕生日を迎えた5月下旬から入院している。家具メーカーに定年まで勤めた父親に3つ年下の母親は寄り添ってきたが、食欲や体重の低下を見かねて強く入院を勧めた。「お父さん...貧者の一灯・THEライフ

  • 貧者の一灯・番外編

    ※…福祉団体スタッフの古屋隆一(ふるや・りゅういち)(41)がひきこもりの人を支援へと橋渡ししている。「心配な人を見かけたらその都度、古屋さんや自治体の担当者と情報を共有してきた」高齢者の暮らしを支える地域包括支援センター職員波田優子(なみた・ゆうこ)(55)の仕事は、自宅を訪問し、自力での生活が難しい人に必要な介護サービスを利用してもらうことだ。だが着任後、奇妙なことに気が付いた。明らかに介護が必要なのにサービスを使おうとしない人や、使っている場合でも、娘や息子の存在を隠そうとする人がいたことだ。調べてみると、自宅には40代や50代のひきこもりの子がいた。親は自分が死んだ後のことを考え、少しでも資産を残すため、支出を抑えようとしている。さらに気になったのは、各家庭を訪れるヘルパーや、周辺住民の間に「そっ...貧者の一灯・番外編

  • 貧者の一灯・番外編

    ※…福祉団体スタッフの古屋隆一(ふるや・りゅういち)(41)がひきこもりの人を支援へと橋渡ししている。「心配な人を見かけたらその都度、古屋さんや自治体の担当者と情報を共有してきた」高齢者の暮らしを支える地域包括支援センター職員波田優子(なみた・ゆうこ)(55)の仕事は、自宅を訪問し、自力での生活が難しい人に必要な介護サービスを利用してもらうことだ。だが着任後、奇妙なことに気が付いた。明らかに介護が必要なのにサービスを使おうとしない人や、使っている場合でも、娘や息子の存在を隠そうとする人がいたことだ。調べてみると、自宅には40代や50代のひきこもりの子がいた。親は自分が死んだ後のことを考え、少しでも資産を残すため、支出を抑えようとしている。さらに気になったのは、各家庭を訪れるヘルパーや、周辺住民の間に「そっ...貧者の一灯・番外編

  • 貧者の一灯・特別編

    ※…特別支援学校の元教諭・山元加津子先生山元先生が大学を卒業し、特別支援学校に赴任する一年前に、法律が変わりました。特別支援学校が義務教育となったのです。それまでは重い障がいを持つ子どもは就学免除だったのです。山元先生が赴任した特別支援学校の近くに、知的障がいや身体障がいのある子ども達の施設がありました。特別支援学校に通える子はその施設から通ってきていましたが、通えない子は施設の中にいました。山元先生はそういう子ども達の担任になりました。その中の一人にちいちゃんという子がいました。初めてその施設に行った時、ちいちゃんはラジオもテレビもないとても静かな真白い部屋にいました。それぞれの子どもは柵のついた白いベッドに寝ていて、まったく動きませんでした。その施設の園長はお医者さんでもありました。その方が山元先生に...貧者の一灯・特別編

  • 貧者の一灯・妄想物語

    ニワトリの子供と言えばヒヨコです。ただ、鳥は生まれて初めて見た「自分より大きくて動くもの」を親だと思う習性があるので、人間を生まれて初めて見てしまったら、ヒヨコは人間を親だと思ってしまいます。それでは、逆に卵から孵(かえ)ったヒナがヒヨコではなかった場合、ニワトリはどうするのでしょうか。こんな疑問を持って、実際に実験を行った学者がいたそうです。実験に使われたのはホロホロチヨウの卵。ニワトリはその卵を一生懸命温めて、無事にヒナを孵します。学者は、ニワトリはヒヨコを育てるのと同じように、ホロホロチヨウのヒナを育てるだろうと考えていました。ところが、そんな仮説をまったく覆す結果に、実験参加者の皆が驚いてしまいました。ニワトリはいったいどんな行動をとったというのでしょう?ニワトリはヒナを藪の中へ連れて行くと、アリ...貧者の一灯・妄想物語

  • 貧者の一灯・一考編

    ※…朝早く友達と通学路を歩いていると、いつもは静かなごみ捨て場に人影を見つけた。一人はおばあさんで、もう一人は僕の学校の高等部の先輩だった。少し面倒くさそうな予感がしたが、やはり二人はカラスに荒らされたごみ捨て場の掃除をしていた。高校の先輩は学校のちりとりを持っていたので、一度学校に行き、戻ってきたようだ僕はためらったが、そのまま横を通り過ぎるわけにもいかないので、友達と「手伝います」と声をかけ、掃除を手伝った。その日の朝の会で、僕たちの行動が紹介された。名前こそ出されなかったが、おばあさんが学校へ連絡をしてくださったそうだ。僕は少し恥ずかしかったが、あそこで通り過ぎずに掃除を手伝った自分をほめたいと思った。カラスによるごみ荒らしは決まってのことなので、今度は僕が友達を誘ってごみ捨て場の掃除をすることにし...貧者の一灯・一考編

  • 貧者の一灯・歴史への訪問

    ある日、村人たちが大勢で、お伊勢参りへ出かける事になりました。孫四郎も誘われたのですが、家が貧乏だったので誘いを断ると、いつもの様にみぞう沼へ行って岸の草を刈っていました。すると突然、沼から美しい女の人が現れて、孫四郎にこう言ったのです。「お前さんが、毎日そうやって岸の草を刈ってくれるので、本当にありがたく思っております。何か礼をしたい思うが、望みの物はありませんか?」「はい、わたしはお伊勢参りがしたいのですが、お金がなくて、それが出来ません」孫四郎が言うと、女の人はにっこりして、「それは、たやすい事。わたしが、お伊勢参りに行くお金をあげましょう。しかし、一つ頼みがあります。途中、富士山のふもとに青沼と言うのがあるから、そこへ寄って来てもらいたいのです。その沼へ行って手を叩くと、沼から女が出てきます。それ...貧者の一灯・歴史への訪問

  • 貧者の一灯・番外編

    ※…自宅に15年近くひきこもっている30代男性に会うため、福祉団体スタッフの古屋隆一(ふるや・りゅういち)(41)は昨夏から訪問を重ねた。だが数カ月たっても空振りばかり。近くのアパートで暮らす父親は認知症のため、以前のように生活費を届けることができなくなっていた。〈お父様のご健康上の問題から、お父様とご一緒して、毎月(お金を)手渡しいたします。玄関を開けていただき、お渡しします〉古屋は書き置きを残し、男性の反応を見ることにした。だが約束の日に訪ねても、やはりドアは開かない。面会のための「口実」は見透かされていた。数週間後、玄関前に1枚の紙があった。〈生活費が足りず、強盗する〉これは本心ではなく、「助けてほしい」というメッセージではないか。古屋はそう直感した。だが書かれていたことが本当ではないと、直接確かめ...貧者の一灯・番外編

  • 貧者の一灯・一考編

    ※…古典落語「たちぎれ」あらすじその昔から花街のルールとして、芸者への花代は線香で換算されていました。線香が燃えた長さを測って「はい、いくら」という請求になったのです。とある商家の若旦那は、それまで遊びを知らず誠実に働いていました。しかし、ある時、友達に誘われて花街へ行き、置屋の娘で芸者の小糸に出会い、一目惚れをしました。若旦那はたちまち小糸に入れあげ、店の金にまで手をつけるに至ります。大旦那はそれを知るや、若旦那を勘当しようと覚悟します。そこで、番頭さんは、もともとが利発で素直な若旦那の素養を買っています。ほんの一時の気の迷いだから、ここのところは、わたしにお任せいただけませんでしょうか、と大旦那に食い下がります。大旦那に一任された番頭さんは、若旦那を軟禁しようと考えました。番頭さんは、若旦那を小糸に逢...貧者の一灯・一考編

  • 貧者の一灯・歴史への訪問

    そこへ、漁師の浜介(はますけ)が通りかかりました。(いったい、何事だ?)そばヘ寄ってみましたが、字が読めないので近くの人に聞いてみますと、けさがた浜で奇妙な魚が取れたとの事です。そしてその魚の名前がわからないので、いい当てた者には金子百両(→七百万円)を与えると書いてあるということです。「魚の事なら、任せておけ」浜介はさっそくお奉行さまの前に出て、その魚を見せてもらいました。(なるほど、これは見た事もねえ魚だ)奇妙な魚にびっくりしていると、お奉行から、「これ、浜介とやら、それなる魚の名は何と申す?」と、突然聞かれて、…浜介は思わず、「ヘえ、テレスコと申しやす」と、言ってしまいました。「テレスコと申すか。テレスコ。なるほど。よう知らせてくれた。ほうびを取らすぞ」と、言うわけで、浜介は百両という大金をもらって...貧者の一灯・歴史への訪問

  • 貧者の一灯・特別編

    ※…雄太へピアノピアノは三歳から始めた、これもママの希望で始めたこと。スイミングもね。自分が中途半端で終わったピアノと泳げなくて水が怖かったスイミング。この二つが雄太と将太にあてがわれた。迷惑な話だね。ピアノは練習が大切で毎日のようにピアノの音が聞こえた。本当に幸せな日々でした。キッチンから「もう一回」と声をかけて練習をさせるのが日課で毎年の発表会はドキドキするものの楽しみでした。雄太のピアノはいつも将太よりも難しいものが多かったけど心配で聞いているせいかあまり感動しなかった。ところが、『ハウルの動く城』のテーマ曲を弾いた時、いつものようにドキドキしていたのに涙があふれてきた。ピアノの先生も涙ぐんでいた。本当に素敵だった。中学でピアノを辞める時、記念にパパの好きなザ・ビートルズの『レット・イット・ビー』と...貧者の一灯・特別編

  • 貧者の一灯・歴史への訪問

    ある時、権次は仕事で船に乗って、何日も家に帰れない事になりました。心配するお母さんに、権次は言いました。「大丈夫、おれは運が良いからな。・・・そうだ、運が良い証拠を母ちゃんに見せてやるよ。俺が出かけて十日たったら、家を焼いとくれ」「えっ、家をかい?」驚くお母さんに、権次はにっこり頷きました。「そうさ。ちゃんと焼いておくれよ」権次が船に乗って海へ出て十日がたつと、お母さんは約束通り家に火をつけました。小さな家はあっという間に火事になり、すっかり燃えてしまいました。その頃、権次は舟の上で、くんくんと鼻をならしながら仲間に言いました。「あれ、今、俺の家が燃えてる。こりゃ火事だ!」それを聞いて、仲間たちは大笑いです。「あははは。こんな遠く離れていて、火事がわかるもんか」でも権次は、すまして答えました。「まあ、帰っ...貧者の一灯・歴史への訪問

  • 貧者の一灯・THEライフ

    「団地」といえば、住民の高齢化が大きな課題だが、横浜市内には高齢化にもかかわらず、介護が必要なお年寄りが他の地域より少ない団地があるという。都心から電車とバスで約1時間。平日の午前9時、横浜市旭区の横浜若葉台団地に着くと、樹木に囲まれた公園で70人以上の高齢者がグラウンドゴルフを楽しんでいた。その隣のテニスコートでは、20人ほどがプレーする。笑い声やかけ声が飛び交い、にぎやかな雰囲気に包まれていた。「とにかく元気なお年寄りが多いんだよ」団地に10ある自治会を束ねる「若葉台連合自治会」の山岸弘樹会長(71)は胸を張る。同団地は1979年に入居が始まった。都心などで働くサラリーマン世帯が中心だった人口は、ピーク時の約2万人から約1万4000人に減少。65歳以上の割合を示す高齢化率は47.8%にのぼる。介護が必...貧者の一灯・THEライフ

  • 貧者の一灯・番外編

    手入れの行き届いた家々が整然と並ぶ住宅街。明るいうちから雨戸を閉め切った「その家」は、息を潜めているようだった。福祉団体スタッフの古屋隆一(ふるや・りゅういち)(41)は昨年の秋、玄関前でびりびりに破かれた手紙を見つけた。数日前、住人の男性に「困っていることがあれば、手伝いたい」と書き残していた。「やっぱり…。思い通りになるわけない」…※…古屋は東日本の大都市郊外で、心の病がある人の相談に乗っていた。福祉団体が自治体と連携して設置した窓口には、ひきこもりや不登校に関する悩みも寄せられた。福祉の世界に入ったのは15年ほど前のことだ。大学卒業後、進路を決められないままアルバイトをし、海外を放浪。何となく始めた老人ホームでの介護の仕事で、人に喜ばれる心地よさを知る。「もっと勉強してみたい」と通信制の大学に編入。...貧者の一灯・番外編

  • 貧者の一灯・特別編

    ※雄太へ優しい気持ちいつも、ママを見て気遣ってくれていた、雄太のために良いママになりたかった。仕事柄色んなママを見ていたから結構高いハードルを作ってしまった。手作りの服、手作りのおやつ、憶えているだろうか?友達の家に行く時も「ママの作った物が良い」って言われて作っていました。雄太が喜ぶから作っていたんだよ。今思い出しても楽しい良い思い出になっています。二人分しかない食べ物を雄太と将太に出すと必ず「ママの分は?」って聞いてくる。「ママはいらないよ」って言うと「僕の分を食べて」、そう言ってくる。こんなやり取りは数えきれないくらいたくさんあった。物心が付く頃からずっと家族を思いやって我慢のできる子でした。どうしてそうなったかは分からない。パパに言わせると「俺に似てる」ということになる。※…少年の船小学校の六年生...貧者の一灯・特別編

  • 貧者の一灯・漢の韓信

    第二章:呉の興隆呉中に危機あり越は呉の国内を荒らしまわったあと、闔閭が帰還した報を受けて撤退した。その見事なばかりの潔さに闔閭は驚いたが、当然疑問は残る。いったい、なにを目的に彼らは呉に侵攻したのか。「どう思う?」闔閭は伍子胥に尋ねた。「越王允常いんじょうは、国を富ませ、兵を増強していると聞いています。おそらく彼らは、我が国と争いたいのだと……そしてゆくゆくは、この土地を我がものとしたいのでしょう。今回の出兵は、その意思表示だと思われます」伍子胥は答えたが、それは推測の域を出ない返答であった。彼らの注視はこれまで常に楚と中原に向けられており、自分たちより南方にある国をまともな目で見たことなどなかったのである。「越など、これまではただの蛮族の集団に過ぎないと思っていたが……都合よく余の不在時を狙って国内へ侵...貧者の一灯・漢の韓信

  • 貧者の一灯・妄想物語

    ネットの普及により、テレビ離れする人が増え、テレビ番組の視聴率は低下している。テレビ全盛期のころは、平均視聴率20%を超えるドラマはたくさんあったが、近年では20%超えどころか15%を超えるものも少ない。ドラマドラマには、推理ドラマ、刑事ドラマ、熱血ドラマなどの定番ジャンルの一つに「恋愛ドラマ」がある。「恋愛」という要素は、「恋愛ドラマ」だけでなく、いろいろなジャンルの一要素としても登場するため、ドラマを楽しむために欠かせない要素となっている。同じ時期に純愛要素のドラマと、不倫や浮気が要素のドラマがあれば、不倫や浮気などのほうが高視聴率となる。ドラマを見るとき、その登場人物と「自分」を置き換えたり、その登場人物に憧れてしまう。現実で満たされていない部分を、ドラマを見ることで一時的に満足する。高視聴率となっ...貧者の一灯・妄想物語

  • 貧者の一灯・一考編

    体力には自信があったのに産経新聞の運動部長に就任したのは、48歳の時です。私は部長としては厳しいタイプで、記事にも独自色を出そう、スクープを狙おうと考える性格。酒も盛大に飲むし、煙草もかなりの量を吸う。まぁ、典型的な”ブンヤ”です。ビッグイベントを取材して記事を書く。しかし人生を謳歌していた彼を突然、病が襲う…※…埼玉県の郊外にある、障害者療護施設で、川越一さん(53歳)は、車椅子に座り、堅く握られた左手を開こうと、右手で左手の指を一本一本、根気よく動かしている。左半身不随。それが川越さんの現状だ。彼が倒れたのは、運動部長になって4ヵ月後。くも膜下出血だった。「実は、倒れる半年ぐらい前から、吐き気を伴う強烈な頭痛にたびたび襲われていました。肩の痛みもありました。自宅近くの病院でMRIを受けたところ、『スト...貧者の一灯・一考編

  • 貧者の一灯・歴史への訪問

    むかしむかし、金沢(かなざわ)に、お銀(おぎん)と小金(こきん)という仲の良い姉妹がいました。でも、その姉妹は腹違いの姉妹で、それぞれに産んでくれたお母さんが違います。姉のお銀の母親はお銀が小さい頃に死んでしまい、妹の小金の母親はお銀の父親と結婚してから小金を生んだのです。そして新しい母親は自分が産んだ小金ばかり可愛がって、血のつながっていないお銀には冷たくあたります。母親は、お銀が不幸になっても、小金さえ幸せなら良いと思っていました。ある日の事、お銀の父親が仕事で江戸(えど)に行く事になりました。母親は良いチャンスだと思い、お銀を山へ連れて行って殺してやろうと思ったのです。そうとは知らない、お銀と小金は、「わあ、きれいなお花だこと」「こっちにも、きれいなお花が」と、言いながら母親に連れられるまま、どんど...貧者の一灯・歴史への訪問

  • 貧者の一灯・THEライフ

    介護が必要になった人が自宅で受けられる介護保険サービスの一つに「訪問介護」があります。ホームヘルパーが食事や入浴の介助をしたり、買い物や掃除をしたりして、暮らしの自立を手助けしてくれます。※…暮らしの自立手助け・食事や着替え「おはようさん。今日はクリームパンやな」。ベッドで朝食をとる大阪府東大阪市の田渕喜美子さん(84)の顔を、ヘルパーの桜井一恵さん(75)がのぞき込み、ジュースを口元に運んだ。田渕さんはストローで吸い、「サンキュー」と元気な声を上げた。田渕さんは「要介護5」。脱水症状で1週間入院した後、寝たきりになり、昨年3月から訪問介護の利用を始めた。現在は桜井さんが所属する「エルフ」(大阪市)など3事業所のヘルパーに訪問してもらい、日曜を除く週6日、朝や午後の1~2回、利用している。朝食後、桜井さん...貧者の一灯・THEライフ

  • 貧者の一灯・番外編

    「家庭教育やフリースクールを認めている国があるのに、日本では学校に行かないと異常視される。世界的に見ても、こんな国は珍しいのではないか」。名古屋市の事務所で、弁護士の多田元(ただ・はじめ)(73)は切り出した。2000年代初め、不登校の男性=当時(15)=が同市の業者に自宅から連れ出され、強制的に入寮させられたとして提訴。名古屋高裁は07年、暴力的支配の違法性を認め、業者に損害賠償を命じた。多田は原告の代理人を務めた。最近、幼稚園児を持つ親の前で話す機会があり、質問に驚いた。「将来、不登校やニートにならないためにどうしたらいいのでしょうか」均一性を求める風潮の中、追い詰められる親たち。「子どもが家にとどまっていると家族関係に緊張が生じ、わが子を放り出したくなる」と多田。業者はそうした心理を巧みに突く。多田...貧者の一灯・番外編

  • 貧者の一灯・特別編

    ※今年のお正月、久しぶりに帰ってきた。かなり太っていてビックリしたけど顔を見てホッとしたのも事実です。友達と会ったり食事したりと家にいたのはほんの少しの時間でしたね。帰ると言ったのは三日だったように憶えてます。帰るよと言われて気を付けてねと言ったものの何か言いたくなって玄関まで追いかけて「ゆう」って背中に向けて呼んでみた。振り向いた雄太の顔を見たら何も言葉が出てこなかった。「何?」って言われて「やっぱ、いいや」って言うのが精いっぱいで部屋に戻ろうとした時、「いいわけ、ないだろう!」って一度はいた靴をぬいでママのことを抱きしめてくれたね。「こんな自分でごめん」。そう謝る雄太に「ママがいることを忘れないで」と言ってた気がする。いっぱい泣いて雄太に抱きしめてもらって髪をなでてもらって、本当に嬉しかった。この時の...貧者の一灯・特別編

  • 貧者の一灯・漢の韓信シリーズ

    第二章:呉の興隆荒野の花秦軍の来襲は、呉軍の首脳部の誰にも予測できないことであった。なぜ秦が……という疑問を伍子胥や孫武が抱いたとしても不思議ではない。ましてや闔閭がそれを予測していたということは、あり得なかった。これは包胥が楚と秦を結ぶ一本の細い糸を頼りに、努力してようやく成立させた結果なのである。たったひとりの男の熱い思いが、国をも動かすということを、彼らが想像することは難しかった。しかし現実として、秦軍は目の前に迫ってきている。その数は、戦車五〇〇乗、一万の歩兵が稷しょくの地に出没し、さらに南下して郢を脅かした。将軍である孫武は、判断を迫られた。「もはや、撤退すべきだ」孫武は伍子胥に対して言う。その言外には、なぜ戦いに勝ったのち、楚を治めることに尽力しなかったのかという批判がある。伍子胥は個人的な復...貧者の一灯・漢の韓信シリーズ

  • 貧者の一灯・妄想物語

    私の地元は田舎ではありますが、都会から数時間の距離にあります。駅周辺はまだ少し栄えていますが、10年の間に田舎離れが進み閑散としています。私は趣味で民話を集めたり歴史を調べたりしていますが、地元でもあまり知られていない不思議な場所が気になっていました。そこは地元の街を流れる「四十七窯(シジュウシチカマ)」という所です。地名なのか分かりませんが、地元の歴史書で一度だけ目にしたのでそう呼んでいました。窯の字はひょっとすると鎌か釜かもしれません。久しぶりにあの場所に行ってみたいと思い、実家へ話をしました。兄は「そんな所あったかなぁ」と言っていたのですが、話すうちに思い出したようです。実家に到着するとすぐに、兄が車を出してくれました。私は橋の上から川を見下ろし「あの辺りだ」と指差しました。5歳の時、私はこの場所で...貧者の一灯・妄想物語

  • 貧者の一灯・一考編

    内閣府が2019年に行った調査によると、60歳以上の人で万一治る見込みがない病気になった場合、約半数(51.1%)の人が「自宅」で最期を迎えたいと回答したことが明らかになった。※…宣告されてから7年7か月生きた夫。「この人が病人?」と言われるほど普通な夫※…後編より〉心身の限界に達して最後の会話は、死の3日前のことだった。妻が身の回りの世話をしていると、市川さんから突然「手をにぎっていい?」と尋ねられた。「どうしたのよ。この年になって……」と妻が苦笑いしながら、「いいわよ」と両手を差し出す。市川さんはその手をぎゅっと握りながら「悪いな、悪いな、こんなに迷惑かけて悪いな」と口にした。「夫婦だから、別にいいのよ」…でも最後の数日は私の心身が限界に達していました。寝床から起き上がれなくなってしまったんです。その...貧者の一灯・一考編

  • 貧者の一灯・歴史への訪問

    この子ザルは子どもだと言うのにお酒が大好きで、こっそり人の家に忍び込んでは、お酒をなめていました。これを知った猟師は、「酒を飲むとは、珍しいサルだ。酒をエサに、あのサルを捕まえてやろう」と、おけに酒を入れて、サルの通る道へ置きました。「くんくん。おや、いい匂いがするぞ」さっそくお酒の匂いをかぎつけた子ザルが、おけのところにやって来ました。「わあっ、お酒だ」子ザルは大喜びで、お母さんのところへ行って言いました。「あのね、山道にお酒があるんだよ」するとお母さんザルは、怖い顔で言いました。「駄目よ!それはお前を捕まえようとして、猟師がわざと置いたに違いありません。だからどんな事があっても、そのお酒を飲んではいけません!」でも、お酒の好きな子ザルは、我慢が出来ません。「一口だけなら、飲んでもいい?」「駄目よ!」「...貧者の一灯・歴史への訪問

  • 貧者の一灯・THEライフ

    スポーツなど活動多彩「団地」といえば、住民の高齢化が大きな課題だが、横浜市内には高齢化にもかかわらず、介護が必要なお年寄りが他の地域より少ない団地があるという。いったいどんな団地なのか、都心から電車とバスで約1時間。平日の午前9時、横浜市旭区の横浜若葉台団地に着くと、樹木に囲まれた公園で70人以上の高齢者がグラウンドゴルフを楽しんでいた。その隣のテニスコートでは、20人ほどがプレーする。笑い声やかけ声が飛び交い、にぎやかな雰囲気に包まれていた。「とにかく元気なお年寄りが多いんだよ」団地に10ある自治会を束ねる「若葉台連合自治会」の山岸弘樹会長(71)は胸を張る。同団地は1979年に入居が始まった。都心などで働くサラリーマン世帯が中心だった人口は、ピーク時の約2万人から約1万4000人に減少。65歳以上の割...貧者の一灯・THEライフ

  • 貧者の一灯・番外編

    ※角田正和(すみだ・まさかず)(40)は、ひきこもりの人の自立支援をうたう業者が運営する施設で、約半年間働いた経験を持つ。「『救いたい』なんてうそ。彼らがやっているのは犯罪だ」。「引き出し屋」と呼ばれる業者の内実を告発※…「全国回復センター」(東京)で働くうちに疑念を抱くようになった角田正和(すみだ・まさかず)(40)は、ある日、寮に入所していた男性の脱走を手助けし、自宅まで車で送り届けた。男性の母親は当初、センター代表の黒木重之(くろき・しげゆき)を信じ切っていたが、角田が黒木らの人権を無視した行為や、支援の実態がないことを打ち明けると、後悔を口にした。一方、角田もその場で母親から契約書を見せられ、驚いた。黒木らは自立支援を名目に、3カ月間で約550万円という法外な契約料を支払わせていたのだ。自宅から連...貧者の一灯・番外編

  • 貧者の一灯・特別編

    ※雄太が恋しくて雄太が恋しくて色んなことを思い出す。何かキーワードがあって、ドッと落ち込む。そこから立ち直って元の生活に戻るまでが、なかなか大変。今まで触れないようにしていた部分に触れてしまったり、触れないまでも近づいてしまったりして、負のスパイラルに巻き込まれ抜けられない。苦しくなると誰かに助けてもらいたいと思う。今までだと、友達に助けを求めることになるのですが、最近、雄太を思う。「傍にいてくれないかな~」なんてね。将太がいつも、いてくれているのに、この頃は雄太に会いたくなったり声が聞きたくなったりする。会うとそれほど、係わりを持とうと何かするわけではない。サラッと、いつも通りを装って過ごしてしまう。聞きたいことが聞けず大事な話がきちんとできないで、帰してしまうことになる。帰った後に後悔する、もっときち...貧者の一灯・特別編

  • 貧者の一灯・漢の韓信シリーズ

    第二章:呉の興隆荒野の花奮揚は、郢城内の呉軍の駐屯地に潜入し、夫概に接触を図ろうと試みていた。そもそもの疑問は、なぜ王の弟という高貴な地位にある者が、まともな指揮権も与えられずにいるのか、ということである。しかも情報を得れば得るほど、その疑問は深まっていった。柏挙での最初の会戦の際、夫概はほぼ独断で嚢瓦率いる楚軍の中軍を急襲し、これに成功したのである。その成果によって呉軍はこの戦いに勝利し、ついには郢に入城するに至った。しかし奮揚が確かめた限りでは、夫概のその功績は、まったく報われていない。呉軍が郢に入城した後には、統制された軍行動とは別のところで貴人の屋敷を襲い、その財物と屋敷そのものを奪った。この行動はまったく個人的なものであり、処罰の対象となるものであったが……このとき夫概は罰せられもしなかった。そ...貧者の一灯・漢の韓信シリーズ

  • 貧者の一灯・妄想物語

    ある日、高校時代の友人が亡くなったと連絡がありました。知らない声の女性でした。なぜ私の携帯番号を知ったのかと聞くと「彼女から聞いていた。あなたが彼女の唯一の親友だから。」という答えが返ってきました。電話をしてきた方は、亡くなった彼女の幼馴染で、家が隣だと言います。ですが私が亡くなった彼女(仮にAさんとしておきます)の親友って…そんなはずはありません。確かに同じ部活をしていましたが、Aさんは皆から人気があり、美人で注目を浴びる人でした。性格がよくいつも明るい。女子が噂する男性達も、皆口々に彼女が好きだと言います。Aさんはよく私に、悩み事を相談していました。あの人は気持ちが悪いとか、交際を断りたいとか。私にすれば贅沢な悩みです。Aさんは周りに気を使い過ぎて、実は見かけによらず神経質なのだと自分で言っていました...貧者の一灯・妄想物語

  • 貧者の一灯・一考編

    内閣府が2019年に行った調査によると、60歳以上の人で万一治る見込みがない病気になった場合、約半数(51.1%)の人が「自宅」で最期を迎えたいと回答したことが明らかになった。※…宣告されてから7年7か月生きた夫。「この人が病人?」と言われるほど普通な夫※…後編より〉だって主人が要介護にずっと認定されなかったんです。がん末期で人工肛門でもあるのに、認定を受けるための調査で「聞こえてますか」「今日は何日ですか」という質問が嫌だったみたい。「人を馬鹿にしやがって。俺は病気じゃねえ!」って怒鳴ってしまうの。「馬鹿にしているわけではなく、仕事だから聞いているのよ」と説明してもダメ。それで数年経って主治医の先生から「介護認定、受けていますよね?」と尋ねられて「まだ受けていません」と事情を話すと、先生が驚いて……。区...貧者の一灯・一考編

  • 貧者の一灯・歴史への訪問

    むかしむかし、夏になっても寒い日が続いて、作物が育たなくなりました。このままでは、年貢を納めることが出来ません。困った村人たちは相談をして、役所へ年貢を少なくしてもらえるように願い出ることにしました。その役目に選ばれたのが、伝助ととん兵という名前の二人です。「恐れながら、村の代表で参りました」役所へやって来た二人はふところから書き付けを取り出すと、役人に差し出しました。役人がそれを見てみると、《一、二、三、四、五、六、七、八、九、十》と、一から十までの数字しか書いていません。「これは、何だ?」役人は首をかしげると、伝助が言いました。「恐れながら、おらが訳を話します。一は、いちいち語るも。二は、にがにがしい。三は、さんざんな。四と五は、仕事をして。六は、ろくなことがない。七と八は、質にばち置いても。九は、食...貧者の一灯・歴史への訪問

  • 貧者の一灯・THEライフ

    住民の急激な高齢化で住民同士の支え合いが難しくなる団地は多い。独り暮らしの高齢者が気軽に立ち寄り、ちょっとした不安や体の不調について相談できる場所を作ることで、新たな交流や支え合いを生み出す動きが各地で広がっている。「1人で食べるよりにぎやかでいいわね」「いつもはこんなにゆっくり食べないわよ」。東京都新宿区の都営団地「戸山ハイツ」。団地内の商店街の一角にある「暮らしの保健室」で、高齢の女性たちが昼食を楽しんでいた。保健室は、7年前に空き店舗を改装してオープン。住民の健康や生活の困り事相談などを受けてきた。運営は区内のNPO法人が行い、平日の日中、看護師や住民ボランティアなど30人が交代で常駐する。月2回の昼食会のほか、マッサージやヨガ教室も開かれる団地のたまり場だ。同団地は35棟に約3400世帯が暮らし、...貧者の一灯・THEライフ

  • 貧者の一灯・番外編

    ※角田正和(すみだ・まさかず)(40)は、ひきこもりの人の自立支援をうたう業者が運営する施設で、約半年間働いた経験を持つ。「『救いたい』なんてうそ。彼らがやっているのは犯罪だ」。「引き出し屋」と呼ばれる業者の内実を告発(敬称略、文中の人物、施設は仮名)※…2016年冬。マンション一室で、「全国回復センター」(東京)幹部の面接を受けた。ハローワークで見つけた「施設管理」のアルバイトだった。「本人だけじゃなく、家族も苦しんでいる。彼らを救いたい」「取材がもう何件も来た。来年には『奇跡の回復』というテレビ番組になる」代表の黒木重之(くろき・しげゆき)はセンターの意義を熱っぽく語った。50代の元警察官で、探偵業なども営んできたという。壁に飾られた警視総監や有名国会議員とのツーショット写真が威圧する。アルバイトの主...貧者の一灯・番外編

  • 貧者の一灯・特別編

    ※性格の不一致どこからか、だんだんとパパとのズレを感じるようになってきていた。まずは、雄太の不登校(十七歳)からだったか、何気に言ったパパの一言が私の琴線に触れた。「甘やかして育てたからな」そう言ったパパが赤の他人に見えた。一瞬時間が止まったように感じてその後、血が逆流するような感覚になった。そのまま「ふざけんな!」って怒鳴ろうかと思ったけど妙に冷めた感情がわいてきて、「そうだね、私が一人で産んで一人で育てさせてもらいました」。淡々と言ってその場から立ち去った。その後、パパがどんな顔をしていたかは見ていなかったから分からないけれど、そのセリフを二度と聞くことはなかった。その時の話をすることもなかったから、どんな風に感じたかは知らないままでいる。どうしていいか分からず苦しんでいる雄太を見ていたから、何とかし...貧者の一灯・特別編

  • 貧者の一灯・漢の韓信シリーズ

    第二章:呉の興隆忠節の臣※…三日目。雨が降った。しかし包胥はずぶ濡れになりながらも、訴えをやめない。「私の身が滅びようとも、楚に住む人々の命を救いたい。この思いをどうにかして秦公にお伝えしたいのです。どうか、会ってください。そのひきかえに私は斬り捨てられても構いません。ただ、その前にどうかお話だけでもさせてください」秦公の側近は尋ねた。「このままでよいのですか」だが、秦公は庭先の包胥の姿を見ようとしなかった。「知るものか」夜になった。松明の火はまたも早々に消されたが、暗闇の中、気付くと包胥の膝元には一皿の食事が置かれていた。側近の中の誰かが見かねて置いてくれたのである。※…包胥の訴えは四日目も続いた。「秦公のご意志は、楚国の滅亡なのでありましょうか。かの地には、無辜むこの民衆がおります上に、あなた様にとっ...貧者の一灯・漢の韓信シリーズ

  • 貧者の一灯・妄想劇場

    ※…「連れション」「ねぇ一緒にトイレ行かない?」この言葉が、私は苦手でした。苦手ながらもまだ幼かった頃は、変に断って関係が気まずくなるのも面倒なので付き合っていました。でも10代後半の年齢になってまで一緒にトイレへ行く、いわゆる「連れション」なんて…。トイレぐらい1人でも行けるわ!そう思っていたのです。そんなある日、学校から帰る途中の駅でトイレへ行きたくなりました。いつも複数の友人と帰宅していたので、その時もやはり連れションの流れになっていきます。私が「トイレ行く」と言うと、友人は次々と「じゃ私も」と連なってくるのです。「え?皆もトイレなの?」思わず私が声を上げると「いや別に出ないけど…誰か行くならなんとなく行きたいじゃん?」その言葉に呆れた私は「私だけ行くから!ちょっと待ってて!」と制して、1人でトイレ...貧者の一灯・妄想劇場

  • 貧者の一灯・一考編

    前回つづき※…父と和解、母と姉の愛情ゲイボーイになって家族から縁を切られ、故郷に帰れなくなる人は多いという。麻紀さんも自由に生きてきた分、家族には迷惑をかけたと振り返る。「“近所の人に『お宅の息子さんオカマになったんですね』と言われて、お母さんイヤだったよ”と言われたことがあります。でも母はそれがお前の生きる道なら、一流になりなさいと見守っていてくれました」確執があった父も麻紀さんが芸能界に入ると、テレビに出演し、盛り上げようと一生懸命しゃべってくれた。「父が亡くなった後、レコードがたくさん出てきて。自転車で釧路中のレコード屋さんを回って何枚も買ってくれていたことを知ったんです。親の愛って深いなぁって思いました。今こうしていられるのは、両親と兄弟姉妹たちが陰で支えてくれたおかげだと感謝しています」麻紀さん...貧者の一灯・一考編

  • 貧者の一灯・歴史への訪問

    「福は内と言っても、福の神が家に来る事はない。それならいっそ、今年は鬼を呼んでみよう」そしておじいさんは、大声で叫びました。「鬼は~内!福は~外!」するとその夜、誰かが家の戸を叩きました。「こんばんは。『鬼は~内』と、鬼を呼んだのはこの家かいのう?」なんと、鬼がやって来たのです。「まさか、本当に鬼が来るとは」おじいさんはびっくりしましたが、せっかく来たのを追い返すわけにもいかないので、おじいさんは、なけなしのお金でお酒を買って来ると鬼にふるまいました。すると鬼は、とても気分を良くして言いました。「まさか節分の日に、こんなに良い思いが出来るとはな。この礼に、わしがサイコロに化けてやろう。じいさんは賭場(とば)へ行って、こっそりサイコロをすり替えるんじゃ。じいさんが勝つ様に、してやるからな」そこでおじいさんは...貧者の一灯・歴史への訪問

  • 貧者の一灯・THEライフ

    日本の高度経済成長に合わせて全国に建設された団地が、住民の高齢化や建物の老朽化など様々な難題に直面している。JR赤羽駅から徒歩20分、東京都北区の都営桐ヶ丘団地に入ると、時が止まったように感じる。4、5階建ての古い団地が並び、閉鎖された保育園の近くをお年寄りがゆっくりと歩く。1954年から76年にかけて146棟5020戸が建設され、一部で建て替えも進む。現在、団地一帯の高齢化率(65歳以上の割合)は50%を超える。東京オリンピックがあった1964年に入居した女性(81)は、4階建ての2階に1人で暮らす。足が悪く、右目は見えない。自分の部屋から、ごみの集積所まで5分かかる。階段の手すりにしがみつき、一段一段下りるのは一苦労だ。家族で入居した時は20歳代後半で、周囲も子育て世代ばかり。「昔は階段を駆け上がった...貧者の一灯・THEライフ

  • 貧者の一灯・番外編

    ※ひきこもりの人の自立支援をうたった業者による被害が後を絶たない。自宅から無理やり連れ出し、高額な費用を請求するケースも。…(敬称略、文中の人物、施設は仮名)中部地方の自立支援施設「しあわせの里」に強制的に入れられてから1年半がたち、佐藤達弘(25)は昨年4月、近くの部品工場にアルバイトに行くことを許可された。就労支援の一環という位置付けだが、実際は施設での単調な生活でたまったストレスを発散させるのが狙いのようだった。施設のスタッフは達弘に、誓約書を出すよう命じた。「了解を得ないまま実家に帰省しない」「給与は口座振り込みで、里が管理する」「里において知り得た事柄は、第三者に漏らさない」アルバイト先から自宅に逃げ帰る人もいたが、家族からの通報ですぐに連れ戻された。「自分には行く当てがないという、一種のマイン...貧者の一灯・番外編

  • 貧者の一灯・特別編

    ※お姫様抱っこ保育園には若い男性の保育士がいて、子供たちはこの先生が大好き。人気者。園庭で子供たちをお姫様抱っこしてクルクル回っていた。「先生、私もやってよ」。もちろん冗談でね。若いけど、おばさんの冗談にもノリが良く面白い先生で「尚子先生が死ぬ三日前くらいになればできるかも」なんて返してきた。まあまあ、かなりの重量ですから、気持ち、よく分かりますよ。いつものように、笑って楽しんだ。これを笑い話としてパパに話した。「ちょっと、待ってろ」ビールを飲む手を止めて立ち上がる。「ちょっと、来てみ。俺が抱っこしてやるから」「えっ~いいですよー」パパは私よりかなり軽い。無理でしょう。どうしてもって言うから、しょうがないなぁと思って抱っこしてもらう。予想通り持ち上がらない。「じゃ、おんぶしてやる」と、しゃがみ込んで、背中...貧者の一灯・特別編

  • 貧者の一灯・漢の韓信シリーズ

    第二章:呉の興隆忠節の臣その後、奮揚はひそかに随を脱出し、混乱を極める郢に潜入を果たした。郢は燃えていた。燃えかすの間を歩くのは呉の兵ばかりで、楚の国人に行き当たることはなかった。彼らは四散したのであろうか。それともすべて死に尽くしたのか。財物は漁られ、美女たちは犯され、男たちは殺され、子供は奴隷とされ……尽きぬ悪意を想像すると、奮揚の心は砕け散りそうなほど痛んだ。いったい、人の心の奥底にどれほどの悪意が眠っているというのだ。実際にその現場に居合わせたわけではないが、注意深く観察すると、燃える建物の影には遺体が転がり、風に舞う千切れた女の衣服があったことは確かである。ここはほんの数日前、いや、ほんの数刻前までは、まさに地獄であったのだ。廃墟の中を闊歩する呉兵たちの目に入らぬよう身を隠しながら、奮揚は郢の城...貧者の一灯・漢の韓信シリーズ

  • 貧者の一灯・妄想物語

    私には中学高校と仲の良かった友人がいました。しばらくは疎遠だったのですが、社会人になってから久しぶりに連絡が来ました。「久しぶり~!元気にしてたかと思って!ねぇ今度会わない?」もちろん断る理由も無く、行くと即答です。共に過ごした楽しい日々を思い返すと、社会人になってからの苦しい日々がまるで嘘のように感じられ、自ずと私のテンションも上がります。それからは友人と会う日を糧に頑張りました。当日、再会した友人は記憶と同じでほとんど変わっていませんでした。私にとってはその「変わっていない」という事がとても嬉しく、なんだか自分を肯定されたような気すらします。友人との思い出話は大いに盛り上がり、あぁ来て良かったと実感していました。「ところでA(私の仮名です)さ、最近どうなの?なんか疲れているように見えるけど…。」友人か...貧者の一灯・妄想物語

  • 貧者の一灯・一考編

    前回つづき「まだ男性が女性になることが考えられない時代に、神を冒とくするとか頭がおかしいとか言われていたわ。人間の急所をいじったりして、あんた死んじゃったらどうするの?と言っても、それでもいいの、手術は残されていた男性器と肛門の間に孔を開け、造膣するものだった。内部臓器を除いた陰茎の表面を大陰唇および小陰唇とした。陰嚢皮膚は膣壁とし、尿道口は陰茎の根元に形成した。「術後、傷口が化膿して高熱と激痛に見舞われたんだけど、ドクターに訴えても“問題ない”の一点張り。鏡で見て腐ってる部分を取り出して、結局自分で治しちゃった。人間生きようと思えばなんでもできるのね。皮膚の感覚と性感帯は残されたの。それはドクターに感謝しているわ!」帰国後、世間の誹謗中傷に加え、仲間内で陰口を叩かれることもあった。だが、術後初めてのショ...貧者の一灯・一考編

  • 貧者の一灯・歴史への訪問

    むかしむかし、あるところに、息子に先立たれて一人ぼっちになったおばあさんがいました。おばあさんの家の裏には穴があって、一匹の古ダヌキが住みついています。タヌキは人間にあこがれていて、拾った数珠を首にかけると、毎日かかさず神さまに祈っていました。(神さま。あっしを人間にしてください。この願いが叶うのなら、どんな事でもしますので)ある日の事、おばあさんの家に首から数珠をさげた友助と名乗る若い庭師がやって来て、庭の手入れをしてやると言いました。年を取って庭の手入れが出来ないおばあさんは、大喜びです。「友助さん、ありがとう。これは、庭の手入れのお代金です」おばあさんがお金を渡そうとすると、友助は言いました。「いえいえ、お代をいただこうとは思いません。お婆さんには、いつもよくしてもらっていますから」友助は一生懸命に...貧者の一灯・歴史への訪問

  • 貧者の一灯・THEライフ

    厚生労働省が2018年に公表した「国民健康・栄養調査」より、成人女性の21.1%が「高コレステロール」状態にあることが分かりました。コレステロール値が高いと健康に悪影響を及ぼしますが、その一つとして、胆石の原因になる可能性もあるとのこと。…※…元気印の私に訪れた地獄の苦しみ。前日まで元気だったのにある日曜日の午後、突然腹痛に襲われた。今までに経験したことのない激痛だった。七転八倒とはこのことか。脂汗がじっとり出てくる。前日の土曜日、私は地元で行われた『NHKのど自慢』の予選に出場していた。残念ながら本選に進むことは叶わず、悔しい思いで本放送を見ていたのだが、そんな感慨もどこかへとんでいった。とにかく息ができなくなるほどの痛み。昼食は野菜中心の和食だったし、昨晩食べたラーメンが悪さをしているとも思いがたい。...貧者の一灯・THEライフ

  • 貧者の一灯・番外編

    ※ひきこもりの人の自立支援をうたった業者による被害が後を絶たない。自宅から無理やり連れ出し、高額な費用を請求するケースも。…(敬称略、文中の人物、施設は仮名)東の空がうっすらと白み始める。昨年8月、佐藤達弘(さとう・たつひろ)(25)は車の助手席で身を硬くしていた。「あと少しだ」。山あいの施設を抜けだし、高速を走ること5時間。追っ手は来ない。車は東京郊外にある駅のロータリーで止まった。半袖シャツの通勤客が行き交う。約2年ぶりに目にする光景。達弘は助けてくれた運転席の男性に丁寧に礼を言い、車を降りた。「もう二度と、あそこには戻りませんから」※中学1年の時に両親が離婚して以来、一人っ子の達弘は、同居の母親とずっと折り合いが悪かった。外出中に勝手に机の引き出しを開けられたり、パソコンのブログをのぞき見されたり。...貧者の一灯・番外編

  • 貧者の一灯・特別編

    ※酔っ払い操縦法パパは酔って帰ってくると、とても面倒くさい。良くも悪くも手がかかる。夜の十時頃帰ってきて絶好調で話し始める。「早く寝て」といつも、私に怒られて寝る。こんなパターンをよく繰り返す。それが、時々パターンを変えて、お土産を持って帰ってくる。飲んで帰ってくることを良しとしない私をけん制するかのように「今日はお土産付きだぞ、文句言うなよー」みたいな感じだったのかな。取りあえず、お土産となれば、ありがとうくらいは言いますからね。いつもの、「早く寝て」みたいな言葉がトーンダウンしてパパとしては良い気持ちで寝られそうな気分にでもなったのかな。しかし、テンションが高すぎると始末が悪い、夜遅くに帰ってきてお土産のケーキを「尚子ちゃんが美味しいって食べるところが見たい」「今すぐ、食べてくれ」なんて言い出して。「...貧者の一灯・特別編

  • 貧者の一灯・漢の韓信シリーズ

    第二章:呉の興隆※死者を鞭打つ※「城門を破り、入城せよ!」もはや伍子胥の復讐は、止められない。孫武はふたりの個人的な対決に意義を感じなかった一方で、それを止めた闔閭にも不満を覚えた。なぜ、あの場で闔閭はこの孫武にひと言もなしに部隊を進めたのか、と。しかし仮に相談されたとしても、的確な返答はできなかっただろうとも思うのである。呉の将来にとっては、決してためになることではない。復讐なぞ……。その思いがそれ以降の孫武の活躍の場を狭めていった。彼は、その後積極的に軍の先頭に立つことをしなくなった。包胥は城外に脱出し、山中に身を潜めた。そのうえで先に避難させていた部隊の仲間と合流し、事態の推移を見守った。しかし彼はその後、身を切られる思いに苦しむことになる。城内を荒し回る旧友伍子胥の行動が、あまりにも常軌を逸してい...貧者の一灯・漢の韓信シリーズ

  • 貧者の一灯・妄想物語

    これは、私が仕事を始めて2年が経った時の事です。私の職場には早番と遅番が1週間交代であり、遅番だと帰りが夜の11時過ぎと遅くなっていました。ある日の遅番の帰り際、車に乗りこんでスマホを触っていたら、ふと会社の施錠をしたか気になったので確認しに戻ります。車を出てから会社の鍵を確認し、また車へ戻ります。その間数秒です。さて帰ろうかとエンジンをかけた瞬間、後部座席の下から男性が現れ、私の口を手で塞いできました。「静かにしたら殺さない。」恐怖のあまり声をあげることも出来ず、何が起こったのか分からずで頭が真っ白になり、私はパニックになってしまいました。とりあえず言う事を聞いて頷き、相手の顔を見ると…それは同じ会社の違う部署で働く男性でした。驚いた私は「H(仮名)さん?何で?」と声を上げます。だって大した面識も会話も...貧者の一灯・妄想物語

  • 貧者の一灯・一考編

    マツコ・デラックスやはるな愛など、LGBTのタレントは今やメディアでは欠かせない存在。その道を切り開いたパイオニアが、カルーセル麻紀さんだ。15歳で家出、ゲイバーへ1942年、北海道釧路市で会社員の父親と家庭的な母の次男として生まれる。太平洋戦争へと突入して約1年が過ぎるころだった。「2歳半で終戦を迎えたので、戦争の記憶はありません。子ども心に覚えているのは、貧乏だったことぐらい。なにしろ4男5女の子どもがいる大家族でしたから。父は“アメリカと徹底的に戦える男になれ、男に徹する男になれ”という願いを込めて、“徹男”と名づけたようです」しかし、厳格な父親の教育方針とは裏腹に物心ついたときには“女の子”だった。「野球より、お人形遊びのほうが断然好きでした。時代劇ごっこではいつも女役。母の着物を引っぱり出して口...貧者の一灯・一考編

  • 貧者の一灯・歴史への訪問

    どんなに難産(なんざん)でも、このおばあさんの手にかかればすぐに産まれるので、『中村の取り上げばあさま』と呼ばれていました。ある日の真夜中、おばあさんが寝ていると家の戸を叩く者がいます。ドンドン、ドンドンドン。こんな時間に来るのは急産の取り上げに違いないと思い、おばあさんはすぐに支度(したく)をすると外へ飛び出しました。外には、使いの男がいて、「こんなに遅くにすまんが、一緒に来て下さい」と、言いました。「それは良いが、どこの家かいの?」おばあさんが尋ねると男は、「ずっと遠くです。案内しますから、足元に気をつけてください」と、先に立ってどんどん歩いて行きました。真暗闇(まっくらやみ)ですが、なぜか足元だけは明るいので、おばあさんは何とか転ばずに歩けました。そのうち波の音が聞こえて来たので、(これは、海の近く...貧者の一灯・歴史への訪問

  • 貧者の一灯・THEライフ

    病院の「3カ月ルール」をご存じだろうか。入院生活を送っていた患者が「治療済み」を理由として90日以内に退院を促されるものだ。自らの最期を通い慣れた病院で迎えられると思っていたら、別の病院や介護施設などに移らざるをえなくなるケースがある。人生の終わりに向けた「終活」が注目される中、入院して安心とはいかない事態も想定しておく必要がありそうだ。「そろそろ退院の準備を始めてもらえないでしょうか」。東京都内に在住する40代の専業主婦Aさんが医師から告げられたのは、高校生の長女が夏休み中の8月上旬だった。一人娘であるAさんの父親は胃がんが進行し、78歳の誕生日を迎えた5月下旬から入院している。家具メーカーに定年まで勤めた父親に3つ年下の母親は寄り添ってきたが、食欲や体重の低下を見かねて強く入院を勧めた。「お父さんには...貧者の一灯・THEライフ

  • 貧者の一灯・番外編

    戦後の経済成長とともに核家族化が進み、学校や企業といった居場所がなく、社会とのつながりを失った「ひきこもり」が顕在化してきた。公表された内閣府の推計によると、39歳以下だけでも全国に54万人。40代、50代はさらに深刻で、高齢の親とともに経済的に追い込まれる“共倒れ”が現実のものになりつつある。…※〈死ねるものなら死にたい〉2004年10月18日昼。藤田真一の母栄子(えいこ)=当時(61)=はノートに一字一字ゆっくりとしたためた。脳梗塞の後遺症で話すことができない栄子にとって筆談は意思を伝える唯一の手段だった。その前夜、真一は1階で寝ている両親に気付かれないように2階からこっそり抜けだし、叔母の酒井知子(さかい・ともこ)に借金の返済について相談したが、協力を断られた。16歳で自宅にひきこもってからすでに3...貧者の一灯・番外編

  • 貧者の一灯・特別編

    ※プロポーズそして天国の夫へパパと出会ってから結婚までは二ヶ月ちょっと、かなりのスピード婚でした。パパの叔母さんの家で初めて会った。あの日は十月の最後の日曜日でした。三十七歳を目前としていた私は、お見合いもし尽くして、もう結婚はどうでもいいと思い始めていた時で、叔母さんにパパを紹介したいと言われても、「もういいですよ」と断っていた。それでも「今日来るから来て」と強引に決めて会うことになった。叔母さんの家で初めて会った時、緊張してる様子が伝わってきた。こちらは、お見合いのベテランで慣れたもので淡々と話した。初めて会ったのに話しやすかったこと、共通の友達がいたことなど、憶えています。自分の所得や貯金など、その場ですぐに教えてきたのには、かなりの衝撃を受けました。(何だ、これは!)と思った。その日は、パパは、叔...貧者の一灯・特別編

  • 貧者の一灯・漢の韓信シリーズ

    第二章:呉の興隆※死者を鞭打つ※「城門を破り、入城せよ!」呉王闔閭の力強い号令が下った。兵士たちが門を突き破り、なだれ込むように城内に進入する。また、城壁を乗り越えて内部へ入り込む部隊もあり、楚軍を対応に苦慮させた。「なかなかによい指揮官がいると見える。城門周辺の守りだけに集中させないとは……」申包胥は、守備軍の将として郢城防備の指揮を執っていた。しかしその防備態勢はすでに崩壊寸前である。三万の呉軍に対し、もともと楚軍は二十万を擁していた。それが柏挙で十万を失い、続く五度の会戦で二万ずつ失うことになり、いま包胥の手元に残っている兵は、五千に満たない。この状況を言い表せば、戦う前に勝負はついている、ということになろう。そのことは、彼自身もわかっていたことであった。そこで包胥が自らに課した任務は、宮中の人物を...貧者の一灯・漢の韓信シリーズ

  • 貧者の一灯・妄想物語

    ※ニキビは日本人のほとんどが経験する。※ニキビができることでテロメアが長くなり、ニキビができないとテロメアが短くなる。※テロメアが短いと老化現象が起きる。日本人の90%以上が経験しているニキビ。10代後半、中学生や高校生で発症する人が多く、青春のシンボルなどともいわれる。10代でできるニキビを思春期ニキビ。成人してからできるニキビを大人ニキビという。思春期の若者にとって見栄えの悪いニキビは大きな悩み。顔中にニキビができたり、治ってもすぐ新しいニキビができるなど、ニキビに悩まされる人からすれば、ニキビができない、あまりニキビがない友達は羨ましく妬ましい存在である。しかし、中学、高校時代でニキビができなかった人は、多くのニキビに悩まされた人と比べて老化が早く始まる。染色体の末端部にはテロメアといわれる遺伝子を...貧者の一灯・妄想物語

  • 貧者の一灯・一考編

    全国でも珍しいと思うが、宮崎市の成人式は中学校単位で行っている。いつからだろう。成人の日が来ると、全国あちこちの式典会場でステージに上がって暴れたり、会場の外で酒を飲んだり、式の間中ずっとおしゃべりをしている新成人が大きな社会問題になった。そこでは、会場を新成人の出身中学校に変え、さらに地域の人たちによる手作りの成人式にしようということになったのだ。1月9日、地元の中学校に行ってきた。やっぱり成人式らしく女の子たちの着物姿は豪華絢爛、男の子も原色の派手な紋付袴を着たり、スーツ姿の子らも奇抜なヘアスタイルをバッチリ決めていた。中学校単位で行うようになってから暴れる子もいなくなり、今年も滞りなく執り行われたようだ。後日、スタッフとして関わった人たちとお話する機会があった。「後ろから見ていた分には素晴らしい成人...貧者の一灯・一考編

  • 貧者の一灯・歴史への訪問

    日本のキツネは頭が良いと聞いたので、キツネと勝負をしようと思ったのです。トラはキツネを見つけると、さっそく言いました。「俺は中国から来たトラだ。何でもよいから、お前と勝負をしたい」「ふーん、勝負ねえ」キツネは、竹やぶを見ながら言いました。「勝負なら、竹やぶの中での早歩き競争はどうですか?時間は明日の朝。こっちの竹やぶの端から出発して、反対側の端まで先に到着した方が勝ちです」「よし、それはいい」トラは、ニヤリと笑いました。トラは竹やぶの中に住んでいるので、竹やぶの中での早歩き競争なら勝ったも同然です。けれどキツネには、ちょっとした考えがあったのです。キツネはトラと別れると、すぐに仲間のキツネを集めて早歩き競争の事を話しました。「いいか。ここで負けたら、我々日本のキツネの恥になる。そこでだ。今夜のうちから、み...貧者の一灯・歴史への訪問

  • 貧者の一灯・THEライフ

    警察庁の発表によると、DV(ドメスティック・バイオレンス)の相談件数は、増加する一方で、平成29年は72,455件で、DV防止法施行以降、過去最多を記録。その被害者の大半は女性である。今、女性たちに何が起こっているのか。…健康関連施設に勤める20代後半の伊藤麻里子さん(仮名)はシングルマザーで、小学校低学年の娘・葵(仮名)と2人暮らし。交際相手の新井大輔(仮名)が麻里子さんの家に転がり込んでから半年後のある日、大輔が麻里子さんを怒鳴りつけ、殴る蹴るの暴力を振るいはじめる。暴力が日常的になる中、麻里子さんが激しいDVに耐えていた理由とは…。※家族が乗っ取られるにわかには信じられないことだが、大輔は、娘の葵が小学校に入学したときから、平然と葵の「父親」を名乗るようになった。「長い出張から帰ってきたお父さん」と...貧者の一灯・THEライフ

  • 貧者の一灯・番外編

    戦後の経済成長とともに核家族化が進み、学校や企業といった居場所がなく、社会とのつながりを失った「ひきこもり」が顕在化してきた。公表された内閣府の推計によると、39歳以下だけでも全国に54万人。40代、50代はさらに深刻で、高齢の親とともに経済的に追い込まれる“共倒れ”が現実のものになりつつある。…※ものづくりの町として知られ、小さな工場が点在する大阪府東大阪市。車1台通るのがやっとの狭い路地を挟み、古い住宅が密集する。2004年に両親を殺害した罪で服役中の藤田真一(ふじた・しんいち)(49)は、この地で、高度経済成長まっただ中の1968年に生まれた。父克行(かつゆき)はトラックの運転手として働き、母栄子(えいこ)がパートで家計を助けた。当時の小学校は土曜日にも半日授業があり、午後になると、一人っ子の真一は...貧者の一灯・番外編

  • 貧者の一灯・特別編

    「急なお話ですが、息子さんの臓器提供を考えていただけませんか」そう告げる医師を前に、両親は言葉を失い、ぼう然と涙を流す。フランスのベストセラー小説を映画化した「あさがくるまえに」の1シーン。サーフィンの帰りに交通事故にあった少年(17)が脳死の状態となり、両親は悩んだ末に提供を決める。そして心臓病の女性に移植の機会が訪れるが、彼女もまた葛藤していた。「人間には寿命がある。人の心臓を使ってまで……」東京・渋谷で公開された初日の日、移植を待つ人や移植経験者らのグループが映画館に集った。呼びかけたのは東京都東大和市の石井智さとるさん(35)。拡張型心筋症を患い、補助人工心臓を胸に埋め込んだ体で移植の機会を待つ一人だ。この作品の舞台であるフランスは、100万人あたりの臓器提供数は2015年で27・5。対する日本は...貧者の一灯・特別編

  • 貧者の一灯・漢の韓信シリーズ

    第二章:呉の興隆※死者を鞭打つ※偽って軫を称した子期が現れ、随の宮殿は騒然となった。この人物をどう扱うか……殺して呉に引き渡せばよいものか、それとも生かした状態でそれを行なえばよいのか、あるいは引き渡さずにこれを守り、呉に対抗するべきか。選択肢は数限りなくある。「呉が本格的に攻勢をかけてきたらどうなる。楚は我々を支援などしてくれないぞ。殺すべきだ」「いや、仮にも王という存在を我々が手にかけてしまえば、天下は我々を不忠な存在だとして、信用しなくなるに違いない。変節の国だと。いまこの危機を逃れるためだけに、新たに将来における不安の種を蒔く必要がどこにあろう。信用されない小国などは、大国に滅ぼされるしか道はないのだ」随の宮殿では、そのような論争が巻き起こった。このままでは埒らちがあかないと判断した随公は、思い切...貧者の一灯・漢の韓信シリーズ

  • 貧者の一灯・一考編

    脳性まひの小林さんは体が思うように動かせない。言語障害もあり、思っていることがうまく話せない。その悔しさと60年以上も付き合ってきた。そんな小林さんが言う。「健康な体をもって生まれたのに、その体を悪いことに使って自分の人生を台無しにしている人がいる。せっかく不自由ない体で生まれてきたのだから立派に生きてほしい」と。健康な人ほど軽く受け流してしまいがちな言葉だ。確かに体の一つひとつの機能をどううまく使おうかなど普段はあまり考えない。小林さんは幼い頃に受けた機能訓練のおかげで生活自立ができるようになり、結婚もし、子どもにも恵まれた。それも「この体で生きていく」という若き日の決意があったからだろう。元中学教師の腰塚勇人さんは、ある日突然体の機能を失った。スキーをしていた時の事故で首の骨を折った。2002年3月、...貧者の一灯・一考編

  • 貧者の一灯・妄想物語

    ある時ジェリーの前からトムがいなくなりました。トムは自分の命の終わりが近づいていると知ったとき、こっそりジェリーの前から姿を消したのです。ジェリーの前で弱ってた自分を見せたくなかったのです。トムはジェリーの心の中でずっと喧嘩相手として生きつづけたかったのです。トムがいなくなったのに気づいた時、ジェリーは悲しみはしませんでしたが、「これから退屈になるな」と思いました。ジェリーにとってトムとの喧嘩は、最高にスリルのあるゲームだったから。胸の奥が不思議にチクチクはするのですが、それが何なのか、ジェリーにはわかりませんでした。そんなある日ジェリーの前に一匹の猫が現れました。トムよりのろまで体も小さい猫です。喧嘩相手のトムがいなくなって寂しかったジェリーは、今度はこの猫を喧嘩相手にしようと考えました。いつものねずみ...貧者の一灯・妄想物語

  • 貧者の一灯・THEライフ

    警察庁の発表によると、DV(ドメスティック・バイオレンス)の相談件数は、増加する一方で、平成29年は7万2455件で、DV防止法施行以降、過去最多を記録。配偶者からの暴力事案等に関連する刑法犯などの検挙は8342件で、右肩上がりで増え続けている。被害者の大半は女性だ。DVサバイバーの女性の知られざる実態約3年間、交際相手の激しい暴力にさらされる「蹴られたり、殴られたりするのは、日常茶飯事でしたね。それよりも、一番辛かったのは、彼に蹴られたりした後に、娘の学校の保護者の前で、仲の良い家庭を装わなきゃいけなかったことです。にこやかに笑い合ったりして、周りに仲の良い夫婦を演じるのが死ぬほど辛いんです、泣くつもりはなくても、涙が自然と頬をツーっと伝ってくるんですよ。そんな時は、あ、コンタクトが……ってごまかしてま...貧者の一灯・THEライフ

  • 貧者の一灯・歴史への訪問

    村人は山の木を切ってまきを作ると、船で遠く那覇(なは)の町まで売りに行って暮らしていました。この村には、貧乏ですが名医と評判のお医者さんがいます。ある夕暮れ、お医者さんのところへ一人の娘がたずねてきました。お医者さんは一目で娘が何かの化け物だと見破りましたが、何も言わずに娘が痛いとうったえる耳をみてあげました。「耳の奥が痛いのか。どれどれ・・・、!!!」なんと娘の耳の中で、一匹のムカデが暴れていたのです。「これは、大変だ!・・・だがその前に、あんたの正体を現しなさい!」娘はコクリとうなずいたかと思うと、口から白い霧(きり)を吹き出して一匹の竜(りゅう)になりました。そして目に涙をいっぱいためて、お医者さんを見つめています。「よしよし。ではすぐに、楽にしてあげよう」お医者さんはそう言いながら、竜の耳の中にニ...貧者の一灯・歴史への訪問

  • 貧者の一灯・番外編

    精神疾患により医療機関にかかっている患者数は日本中で400万人を超えている。そして精神病床への入院患者数は約28万人、精神病床は約34万床あり、世界の5分の1を占めるとされる(数字は2017年時点)。※誓約書を強要退院するや否や、Aさんはセンターから「誓約書」へのサインを強要された。①医師の診断に従い、通院・服薬を続けること②実家に帰らない、家族に連絡を取らないこと③(センターの)カリキュラムは全参加することという内容だ。誓約書の文末には下記の一文があった。「上記ルールを守れない場合は、再度入院する事に同意致します。」少なくともセンター側が、身体拘束の恐怖や強制入院の理不尽といったAさんの心身に刻まれた精神科病院でのトラウマを、指示に従わせる「道具」として活用しようとしたことは明白だ。Aさんはその後、弁護...貧者の一灯・番外編

  • 貧者の一灯・特別編

    1年以内に人工透析が必要になる…。静岡県の男性(67)は2014年、かかりつけ医に告げられた。腎臓の難病による慢性腎不全だった。1回4時間あまりかかる透析に週3回通う生活への不安。根本的な治療は移植しかないが、ドナー(臓器提供者)の少ない日本で、待機期間は平均15年近い。何とかならないか。思わずネット検索した。すると、海外で臓器移植を受ける手助けをするというNPOのサイトを見つけた。後日、事務所を訪ねると、担当者に言われた。「中国へ行きましょう」手術費や滞在費などすべて込みで約1700万円。男性は同年12月、担当者に伴われて中国に渡った。ドナーが現れるまでホテルで40日待ち、移植で実績があるという天津の大病院で15年1月に移植を受けた。帰国後、経過を診てもらおうと浜松医科大学病院を訪れると、診療してもらえ...貧者の一灯・特別編

  • 貧者の一灯・漢の韓信シリーズ

    第二章:呉の興隆楚王逃亡「そう思うのは、当事者のお前だけだよ。もうひとりの当事者である私でさえ、それが正しいとは思わない。……もう下がれ」言いつけて弟を下がらせた鄖公は、奮揚に向けて話しかけた。「お見苦しいところを……申し訳なかった。弟にはあのように言ったものの、わしは気がかりでならぬ。あれは、自分の感情を抑えきれぬところが、いつもあって……。激情に駆られた弟が、抑えきれずに行動に及ぶかもしれぬ。わしも同行するゆえ、随ずいに向かおう」こういう経緯で、奮揚率いる一行は、鄖から随に向かうことになった。川をさかのぼる形で、彼らは西北に向かった。しかしそのことが呉軍の知ることとなった。あるいは、鄖の国内に呉の間諜が忍んでいたのかもしれない。随城は、まもなく呉軍に包囲された。呉の将軍は言う。「周王室の子孫を、楚は残...貧者の一灯・漢の韓信シリーズ

  • 貧者の一灯・妄想物語

    ※初潮が早くくると性の目覚めが早く、身長があまり伸びなくなる。※身長が低い女性は、慢性的な欲求不満になる環境にいる。※性欲が強くなり浮気や不倫にハマリやすい。女性は初潮がくると性に目覚め興味を持ち始める。初潮は卵巣から女性ホルモンが分泌され始めたことを意味し、女性ホルモンの働きで性欲が高まる。初潮は11歳~15歳ごろにくる女子が多いが、10歳未満にくることもあれば、16歳を過ぎてもこないことがある。他の女子より早く初潮を迎えると、まだ初潮がきていない女子と比べて体の成長が緩やかになる。成長期である10歳ごろ、初潮がきていない女子が急激に身長が伸び始めるのに対し、初潮がすでにきている女子は身長があまり伸びない。二十歳を過ぎても身長が低い(150cm以下)の女性は、初潮が早くきていることが多い。早く初潮がくる...貧者の一灯・妄想物語

  • 貧者の一灯・一考編

    お寺の住職は職業柄、「人の死」という人生で最もつらく、悲しい場面に直面した人たちと向き合わねばならない。時には「話を聞いてほしい」と、いろんな人がお寺を訪れるが、楽しい話を持ってくる人はあまりいない。福岡県北九州市にある天徳山金剛寺の住職・山本英照(やまもと・えいしょう)さんは、背負いきれないような重い宿命を受け止めて生きる人たちとの出会いを『重いけど生きられる』『あなたがいるから生きられる』という2冊の法話集にまとめた。今でも和尚の脳裏に焼き付いて離れない葬式の場面がある。遺族席には10歳の長女を頭に、8歳の次女、5歳の長男が座っていた。和尚は3人に優しい言葉のひとつでも掛けてあげたいと思ったが、気の利いた言葉がなかなか見つからなかった。3人にはこんな事情があった。ある時、住んでいた家が道路拡張工事に引...貧者の一灯・一考編

  • 貧者の一灯・歴史への訪問

    与作のおじいさんは、毎年年末になると年の市へ買い物に出かけていましたが、もうすっかり年を取ってしまったので、今年は与作に行かせる事にしたのです。「与作、年の市へ行って来てくれ。そして買い物がすんだら、さっさと戻って来るんだ」おじいさんはそう言って、与作にお金を百文持たせました。さて、与作が町へ来てみると、年の市は大変なにぎわいです。「はて、年の市は、どこに売っているのかな?」与作は人ごみをかきわけて、年の市を売っているお店を探しました。年の市とは、お正月用の食べ物やかざり物を売るお店がたくさん出ている事なのですが、与作は品物の名前だと思っていたのです。与作は一つ一つのお店をのぞいて歩きましたが、年の市と書かれた品物はどこにもありません。何時間もうろうろ探しているうちに、買い物客は、どんどん帰っていきます。...貧者の一灯・歴史への訪問

  • 貧者の一灯・THEライフ

    前編…小野洋子(仮名・34歳)は、30歳の頃、アニメ仲間のオフ会で出会った佐々木陽介(仮名・38歳)と4年不倫関係が続いている。ある日、陽介の家に招かれた洋子は、結婚式の写真が飾ってある部屋で、陽介と関係を結んでしまう…。※「不倫するのはクソ女だってずっと思ってた」洋子は、物心ついた頃からオタク文化に傾倒し、少女マンガにどっぷり浸かって育った。大好きな少女マンガの世界は、胸がときめくような純愛に溢れていた。運命の出会いに、永遠の愛を誓う二人。私も、こんな少女マンガのような恋愛がしたい。不倫なんてありえない、と思っていた。「不倫はダメだって、小さい頃から思っていました。人のものはダメだって感覚ですね。世間だけじゃなくって、やっぱり少女マンガの世界に刷り込まれてたんだと思う。昔はむさぼるように少女マンガを読ん...貧者の一灯・THEライフ

  • 貧者の一灯・番外編

    精神疾患により医療機関にかかっている患者数は日本中で400万人を超えている。そして精神病床への入院患者数は約28万人、精神病床は約34万床あり、世界の5分の1を占めるとされる(数字は2017年時点)。※自立研修センターから病院へ強制連行「今からあなたを『病院』に連れていきます。これは強制です」2018年5月上旬、30代男性のAさんは9日間にわたり監禁状態に置かれた施設の職員にそう告げられた。施設の名は東京・新宿区にある「あけぼのばし自立研修センター」、ひきこもりの自立支援をうたう民間事業者が運営していた。いやがる当事者を自宅から無理やり連れ出し、施設に監禁・軟禁するなどで社会問題化した、いわゆる「引き出し屋」だ。Aさんは大学卒業後、就職せず両親と同居し独学していた。親心からAさんの将来を心配し、就労するこ...貧者の一灯・番外編

  • 貧者の一灯・特別編

    体を揺すられて目覚めたのは、夜明け前だった。「ドナー(臓器提供者)が出た。でも摘出から長い時間がたった肝臓で、リスクがある」5年前の秋、早朝5時前。東京都世田谷区の自宅にいた井上昭太さん(22)は電話ごしに、医師の張りつめた声を聞いた。代謝異常の難病を抱えて生まれた。この病気は、肝臓でアンモニアが解毒できず、血液中にたまると嘔吐おうとやけいれん、意識障害を起こし、命にかかわることも。たんぱく質を控えた厳しい食事制限でしのいできたが、高校生になって度々発作を起こした。肝臓移植は、唯一の治す道だった。とはいえ急激に悪化する病気ではない。ドナーが少ない日本。「移植の順番なんて、まず回って来ない」。そんな気もしていた。電話の主は、自宅近くの国立成育医療研究センターで移植を担当する笠原群生むれお医師。そのとき、岩手...貧者の一灯・特別編

  • 貧者の一灯・漢の韓信シリーズ

    第二章:呉の興隆楚王逃亡包胥は、奮揚のその心の内を見透かしたように言葉を継いだ。「伍子胥に復讐を果たさせてはならぬ。復讐はあらたな復讐を呼び、それは終わるところを知らないのだ。つまり伍子胥が復讐を果たせば、それが新たな恨みを生み出し、今度は伍子胥自身が復讐される。この憎しみの連鎖を、我々は止めなければならない。それが、伍子胥を救うことにもなるのだ」包胥らしい意見であった。しかし、これは陣頭に包胥自身が立つことになる最大の理由とはなり得ない。奮揚は、その点を質した。「紅花がいる。王さまや太后さまとともに、妹も守ってほしい。私が頼れるのは、君だけだ」「道」の探求者として、大きな人間愛を建前としていた包胥が、はじめて個人的な感情を示した瞬間であった。それだけに奮揚は、その思いに応えなければならないことを実感した...貧者の一灯・漢の韓信シリーズ

  • 貧者の一灯・妄想物語

    ※テレビや映画はスポンサー企業の機嫌を損ねないように作られる。※基本的に作中で使用される道具はスポンサー企業の商品。※推理ドラマで被害者と犯人が使う道具はスポンサー企業の競合企業の商品。テレビや映画などの作成にはお金がかかる。そのお金を調達するために、出資してくれるスポンサー企業を募る。テレビであれば番組の途中にその企業のCMが流される。スポンサー企業は自社製品の宣伝のために出資する。商品の宣伝は番組途中のCMだけではない。気を付けて見ていると作中に使われる道具もスポンサー企業の商品が使われる。自動車メーカーT社がスポンサーなら、作中使われる自動車はT社の自動車。家電メーカーM社がスポンサーなら、M社の家電が使われる。という具合だ。CMのように大々的に商品を宣伝するわけではないが、視聴者は無意識でその商品...貧者の一灯・妄想物語

  • 貧者の一灯・一考編

    世界の先進国で、「孤独・孤立」は大きな社会課題となっている。それは重大な問題を引き起こす原因になっているため、いろんな手立てで予防や解消の取り組みがなされている。…2度目の脳梗塞以来、和利は、同居する長男家族に生活のあらゆる面で助けてもらっていた。病院への送り迎えは義妹にしてもらったし、料理だけでなく掃除や洗濯もやってもらっていた。光熱費や固定資産税の支払いなどもだ。和利は生活のすべてを長男家族にゆだねたことで、必要以上に気を遣うようになっていた。ちょっとした自分の行動が、彼らに迷惑をかけているのではないかと考え、自由に立ち振る舞うことができなくなったのだ。たとえば、リビングに何かを取りに行こうとすると、長男家族と鉢合わせするのではないかという不安がよぎる。顔を合わせれば、「何の用だ」と疎ましく思われるか...貧者の一灯・一考編

  • 貧者の一灯・歴史への訪問

    あるお正月の朝、目を覚ましたおじいさんがおばあさんに言いました。「おばあさん、おら、いい夢を見たぞ。うらの畑に、大きな木があるだろ?その木の根元をほったら、小判のつまったつぼが出てきたんだ。うれしやと思ったら、目が覚めてしもうた」それを聞いたおばあさんは、うれしそうに言いました。「それじゃ、早くほりに行きましょう!むかしからお正月に見る夢は『初夢(はつゆめ)』と言って、本当の事だといいますよ」「これこれ、そんなにあわてちゃいけない。むかしから『かほう(→幸運)は、寝て待て』と、いうじゃないか」「それも、そうですね。それじゃあ、もう少し寝ていましょう」おじいさんとおばあさんは、また眠ってしまいました。さて、この二人の話を、家の前を通りかかったとなりのよくばりじいさんが聞いていました。(しめしめ、良い事を聞い...貧者の一灯・歴史への訪問

  • 貧者の一灯・THEライフ

    婚活中、アニメ仲間とのオフ会で不倫相手に出会う「この前、ついに不倫相手の家にお泊りしたんです。奥さんと子供が実家に帰っていて。それで夫婦の結婚式の写真が飾ってある部屋で、しちゃったんです」待ち合わせ場所に指定した都内のカフェで、小野洋子(仮名・34歳)は飲み物を注文するなりこう切り出した。洋子は独身で、自他ともに認めるオタク。背は低めで、どちらといえばポッチャリ体形。端正な顔立ちの黒髪のショートカットだ。趣味はオタクらしくアニメとコスプレ、そして、2.5次元俳優(マンガやゲームが原作の舞台に出演する俳優)の追っかけもしている。職業はWebディレクターとして都内の広告代理店に勤務。一見、地味なキャラクターであるため、不倫とは無縁のタイプに思える。しかし、上着を脱ぐと、女性の私でも思わず目が行くほどの爆乳があ...貧者の一灯・THEライフ

  • 貧者の一灯・番外編

    あくまで動物であり、常に本能で動いている犬と接するときはどんなことに気を付けるべきか。ドッグトレーナーの鹿野正顕さんは「犬を擬人化してはいけない。あくまで動物であり、常に本能で動いている。人間側の一方的な思いや価値観で犬と接してはいけない」という犬は本能を理性でコントロールできない犬という動物を知る上で、大前提として知っておきたいのは、五感の感覚が人間とはまったく違うこと。そして脳の働きも人間とはまるで違うということです。これは当たり前のことなのですが、ともすれば、犬と家族同様に暮らしていくうちに、犬も人と同じようにものを見たり聞いたりし、人と同じような感情を持つように思い込んでしまう方もいます。同じ空間で生活していても、犬は人間とは違う世界で生きています。まず感覚受容器の構造が違うため、人と同じ環境にい...貧者の一灯・番外編

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