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弌矢
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武蔵野市
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2020/09/14

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  • 離合の昼夜

    彼女は、夜の暗がりのなか、眠る女を見下ろしている。横たわる女の安らかな呼吸により、掛け布団が上下しているのが覗える。彼女は眠る女のゼリーのような潤みあるくちびるに触れてみた。その感触は、やはりゼリーだった。 水底に寝そべる彼女は、くちびるを小魚に触られて我にかえった。翻る小魚たちが銀色にちらついて、上には輝く太陽の白銀がゆらめいている。シュノーケリング姿の女がこちらを覗き込んでいた。何時なのだろうか。たぶん正午近くだ。彼女はそうかんがえる。 眠る女を見下ろす彼女は、暗がりの女が何か夢を見ているらしいと、まぶた──rapid eye movement sleep──により推測

  • 移動の情景

    国道一四号にさしかかり、工業ベルト地帯が続くようになると、いつもラジオの電波が混信して、知らない言語が幻のように聴こえてくる。 時折見える海辺をながめながらそれを聴いていると、情景が浮かんでくる。それはゲームの情景で、草原や神殿などを歩き廻るロールプレイングゲームのようだ。 情景は、生まれるまえからあったレトロゲームに違いなく、プレイした覚えはまったくないが、けれども懐かしくて、そのなかの場所にたたずめば憩うことさえできる。 情景の場所に憩いつつ、飼い慣らした幻獣たちにおやつを与えたりして戯れたあと、森が点在する海沿いの草原を行脚して、装備屋や宿屋などがある街は、あと一〇〇メート

  • 都道沿いのモンタージュ

    歩いていた彼女はともるコンビニエンスストアのまえで立ち止まり、スマートフォンを見、深夜二時五分まえを示しているのを確かめて、店内に入った。 都道七号線を走るタクシーがあかるいガソリンスタンドのある角を折れて信号でとまるとコンビニエンスストアが見え、彼はそこでお願いしますといった。 酒のコーナーで立ち止まった彼女は、それから窓際に置かれた雑誌を眺め、けれども手にとろうとはせず、外を覗うと、ちょうど信号が青に変わり、タクシーが駐車場に入ってきたのを見て店を出た。 二人ははす向かいにある公園へ入った。見廻すと、すべてのベンチに酒の缶が置かれていた。二人はブランコに並んで座った。彼女が

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