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  • うの華4 44

    さて、それと無く庭の周囲を見回した彼は、特にここには如何という異常も無い様だがと思う。そこで彼は自分の子に向かって言った。「智ちゃん、何が有るんだ。」お父さんが見る所、ここには、裏庭にはだが、何も不思議な物は無さそうだがなぁ。彼は子に向かって普段通りの、彼の平生の声音で言った。しかし彼の内心にはイライラが募って来ていた。『あー、イライラする。』。さて、これより遥か前の事だが、彼は両親から子育ての極意は気長になる事と教えられていた。「なぁにが気長にだ。」彼は呟いた。もう怒りの尾がブッツン!と、と彼はそう思うと、「切れそうだ。」と言葉に出した。そうしないと、「こっちがおかしくなりそうだ。」フン!と、彼は鼻息荒く口にした。「修行が出来てない父親ね。」母家から如何にも呆れたという様な女性の声がした。本当だね、両親...うの華444

  • うの華4 43

    お父さんが、呼んでいた?。私の事を?。私は父の言葉を繰り返した。すると父は私の事を、おやと、何事か気付いたように眺め始めた。「お父さん、私の事を呼んでたの?。」もしかしたらと、私は父に問い掛けた。父が黙ったまま怪訝そうに頷くので、私はそうだったのかと、自分のその少し前の状態を思った。確かに、私は自分の目前に有る奇妙な何物かに心奪われていた。その為だろう父が裏庭に現れた事にも気付いていなかった。普段なら自分が気付くだろうその彼の足音や気配さえ、何時今彼が立つその場へ来たのかさえも私は気付けないでいたのだ。多分父の私への声掛けにも気付かなかったのだ。そうか、それで父は怒っているのだ。私は漸く彼の怒りの元に合点した。それだけ私の意識は私が感じた奇妙な事に集中していたのだ。私は自身の周囲への意識がここに無く、所謂頭がお...うの華443

  • うの華4 42

    「お前こんな所で何をしている?。」私は父の声に気付いてハッとして振り返った。「人が聞いたら直ぐに返事をする様言ってあるだろう。」父は不機嫌な声でそう言うので、私は父の顔を注視した。やはり、私が父の声音から読み取った通りに父の表情は機嫌が悪い様相を呈していた。否、機嫌が悪いのを通り越して怖い顔をしている。私はぼうっとした頭で苦笑いをした。父が私の訳の分からない事で怒っているのは今回が初めてじゃ無い、そう思うと、私は思わず合点した様に苦笑してしまったのだ。「何をニヤついてるんだ。」父の声は相変わらず怒声を含んでいる。父の怒りが長引いているのは珍しい事だ。何を怒っているのだろう?。私は父の声が恐ろしくもあったが、その彼の声音を発する原因にも興味が湧いた。そこで私はおずおずと、彼が何を怒っているのかと尋ねてみた。「お父...うの華442

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