うの華4 44
さて、それと無く庭の周囲を見回した彼は、特にここには如何という異常も無い様だがと思う。そこで彼は自分の子に向かって言った。「智ちゃん、何が有るんだ。」お父さんが見る所、ここには、裏庭にはだが、何も不思議な物は無さそうだがなぁ。彼は子に向かって普段通りの、彼の平生の声音で言った。しかし彼の内心にはイライラが募って来ていた。『あー、イライラする。』。さて、これより遥か前の事だが、彼は両親から子育ての極意は気長になる事と教えられていた。「なぁにが気長にだ。」彼は呟いた。もう怒りの尾がブッツン!と、と彼はそう思うと、「切れそうだ。」と言葉に出した。そうしないと、「こっちがおかしくなりそうだ。」フン!と、彼は鼻息荒く口にした。「修行が出来てない父親ね。」母家から如何にも呆れたという様な女性の声がした。本当だね、両親...うの華444
2022/05/23 11:54