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  • うの華4 41

    誰もいなくなった裏庭の光景。私はその空虚な庭の光景を1人眺め遣った。庭には見る程の花も無いのだ。『ああ、少し赤っぽく色付いた物が有る。花かな?。』紅系の花々が私の目に映った。向こうの盛り土の方向で何箇所かに群れて点在している様子だ。何の花だろう?、私は思った。そこでおずおずと私は歩み出し、気持ちを落ち着けながらその植物に近付いて行った。結局、近付いてみるとその燻んだ赤い色は花では無かった。「葉だ。葉の先が赤っぽくなっている。」何だろうこの葉は?と、私はひょっとその植物に心を留めた。今迄私が目にした様でしていなかった様な物だ。改めて関心を持って眺めて見る葉の形に色。「花じゃ無い様なのに先だけ赤い色だ。」どう見ても、やっぱはりこれは葉っぱだなと私は再度思った。何だろう?。不思議な草だと漠然と感じながら、私は暫く無言...うの華441

  • うの華4 40

    『この儘この子を家の中に返したら、後からどんなに両親が自分を責めるだろうか。下手をすると父に折檻を受けるかもしれない。』我が子に嫌われる事よりも、実際に彼はその事を恐れていた。子と仲良くせよと、今現在の両親は推奨するのだが、昔の彼等はというと、親としては子である自分達に厳格そのものだった。しかも長兄ともいえる兄には相当厳しかった。特に母のスパルタ教育とくればその凄まじい事、幼い頃から自分は兄の苦境を目の当たりにして来たのだ。そに都度自分は震え上がった物だった。自分自身の経験を取ってみてもそうだ。怒った父から暗い蔵の中に押し込められ閉じ込められた事がある。その儘一夜を明かしたのだ。その時の事は今でも思い出す。暗く湿っぽいカビと土の臭いを嗅ぎながら、これから自分は如何なるのだろうと心細く将来への不安を抱き、自分を押...うの華440

  • うの華4 39

    「お母さんと一緒じゃ無かったんだね。」子供が父に語り掛けた。相変わらず父からは返事は無い。が、子からは見えない父の顔に、ああんという感じで彼の顎が突き出されるのを子は感じた。変な事を言ったかしら?、考えながら子は自分の父に歩み寄って行く。すると、どうやら父は喫煙中らしいという事がこの子には分かって来た。父の顔の向こうに、すうっと細く、微かに白い煙が上空へと立ち上ったからだった。「お父さん、タバコを吸ってるの。」煙い煙という物を放つ煙草に、最近頓に嫌悪感を募らせ始めていたこの子は、何と無く今言った言葉の中に、その嫌悪感と自分からの父に対する非難めいた物を匂わせて置いた。するとそれまで無反応だった父の背が揺らいだ。彼の肩がピクンと上がったのだ。彼は振り向いて自分の子を改めて眺めそうな気配になったが、それを堪えてその...うの華439

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