警察をはじめとする公務員組織の理不尽さ、引き籠りとその家族に対する社会のあり様、それらへの問題提起も含めた社会派ミステリーである。しかし、この結末に胃が痛くなった私は、ひ弱な人間なのだろうか。 引き籠りの子供のために出世… 全文を読む
生きていく中で、あのときもし違った選択をしていたら、と思うことはたくさんある。それは今が幸せだったとしても考えてしまうことだ。この物語の登場人物たちのように、重要な決断をする瞬間の痛みがあったり、知らなかった事実を知って… 全文を読む
東京都とシドニーを舞台にした十二の短編は、老若男女様々な主人公が幸せなひと時を感じさせてくれる物語である。そして、様々な色の幸せはどこかでつながっている。 カフェの青年、いつも手紙を書く常連の女性、そして二人をつなぐ温か… 全文を読む
ウツボカズラというのは食虫植物である。甘美な臭いで虫を誘い込み、それを養分として生きている。持病を抱えながら日常に追われる主婦・高村文絵は、まさに恰好の餌食だったのか。 偶然再会した中学生時代の同級生・加奈子は、怪しさを… 全文を読む
人との出会いと繋がりが人の生きる希望となる。それは家族の糸かもしれないが、そもそも何をもって家族と言うのだろう。本作品は加賀恭一郎の従弟で、刑事でもある松宮脩平が、カフェオーナーの殺人事件を追いながら、自分自身の過去の糸… 全文を読む
学校代表に選ばれた読書感想文は盗作だというSNSの投稿が事件の発端となる。感想文の指導にあたった教師・汐野は、この問題を解決すべく、積極的とは言えないまでも結果として多くの時間を割くことになる。しかし、この事件は中学校内… 全文を読む
甲賀忍者の丸子笹之助は、武田信玄暗殺の密命を受け、先輩格の忍者・孫兵衛と共に武田家に仕官する。しかし、忍者としては致命的な心の弱さを抱えた笹之助は、信玄の侍女に恋をし、さらには信玄にも惚れ込んでいく。 孤児であった自分を… 全文を読む
勘定所勤めをする表の顔と、影御用で活躍する裏の顔を持つ笠井半蔵が、南町奉行のために尽力する。一方、南町奉行に恨みを抱く者たちとの人間関係もある半蔵が、自分の仕事にどう折り合いをつけていくのかというのも見所の一つである。 … 全文を読む
個性的な医師たちが活躍するアクションミステリー。若き外科医・九十九勝己の新たな職場は、神酒(ミキ)クリニックというVIPの治療を行うクリニックであった。院長の神酒をはじめ、超一流の腕を持った医師たちが行うのは、単なる医療… 全文を読む
オカマという表現は必ずしも正しくないように思うけれど、それも含めて読む人を幸せな気持ちにしてくれる素敵なエッセイ。著者が少年だった頃の話から、初めて女性として仕事を経験した話、就職して仕事をして女の輪の中で感じたこと、カ… 全文を読む
ルシア・ベルリンの小説は、いずれも著者の人生の一部を切り取って脚色した作品だという。本書に収録された二十四編の短編は、それぞれの楽しみもあるが、読むほどに著者や家族、出会った人々などがリアルに感じられるような気がする。ア… 全文を読む
映画の制作に携わりたかった良井良助が、ドラマや映画の制作現場で成長していく様子と、そこに携わる人々の情熱を描いた爽快なヒューマンコメディ作品。 夢をもって上京した良助は、挫折を味わって惰性のような日々を送っていた。そんな… 全文を読む
ミステリー小説を読む醍醐味は、読者として見事に騙されるところにあると思っていたりする。あれこれ考えを巡らせ、予想をしてみて、見事にその裏をかかれたときの快感は何とも言えない。 この作品の主人公はハサミ男と呼ばれる殺人鬼自… 全文を読む
森鷗外と妻、そしてその子供たちの生涯を、末子の森類の視点から描いた力作。千駄木の自宅の風景とそこに暮らす主人公らの姿が克明に浮かぶ。鷗外が亡くなってからも、家族の人生は鷗外なくして語られることはなかっただろう。 類は両親… 全文を読む
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