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  • ベストエッセイ2022

  • 遮光(中村 文則)

  • 正欲(朝井 リョウ)

  • 羊の頭(アンドレアス・フェーア)

    ドイツで人気のミステリーシリーズの第二段。ヴァルナーとクロイトナーら刑事が、山の中で発生した殺人事件の犯人を追って活躍する。犯人と思わしき複数の人物は誰もが問題を抱えていて、それでも殺人まで犯すほどの動機はどこにあるのだ… 全文を読む

  • 戦争は女の顔をしていない(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ)

    第二次世界大戦時、ソ連は女性を男性と同じように前線へ送った。この大戦の犠牲者数だけを見ても、ソ連は世界で突出している。多くの命が失われ、戻ってきた人たちも体と心に大きな傷を負っていた。戦線で活躍した男性は、帰還してから称… 全文を読む

  • 塞王の楯(今村 翔吾)

    戦国時代、石垣施工の技能集団・穴太衆。その中でも、石垣を築く技術を持った天才を人は塞王と呼んだ。穴太衆の若きリーダーとなった匡介は、絶対に破られない石垣を造れば、戦国の世を終わらせることができると考えていた。 一方、鉄砲… 全文を読む

  • 人間滅亡的人生案内(深沢 七郎)

    学生運動が盛んだった時代だろうか。若者たちの悩み相談的な投稿に、逆説的な皮肉も込めて応える深沢七郎の言葉。著者の意見に納得したり、あるいは自分は違うなと思ったり、そうやって読み進めているうちに、ただただ純粋に生きようと思… 全文を読む

  • しろいろの街の、その骨の体温の(村田 沙耶香)

    小学生から中学生になって思春期を迎え、体も心も変化していく時期。 自分を守るすべを知らず、だから自分を守るために人を傷つける。子供は純粋などという絵空事ではなく、子供ほど残酷であるという事実を思い出し、胃が痛くなるような… 全文を読む

  • 新しい星(彩瀬 まる)

    学生時代に友情をはぐくんだ男女四人は社会人になり、それぞれが壁にぶつかっていた。そんなときに、仲間のある事柄をきっかけに再会することになった彼らは、自分自身のことに精一杯になりながらも、互いを思いやり、そして互いを必要と… 全文を読む

  • 黒牢城(米澤 穂信)

    荒木村重は有岡城にて織田信長に反旗を翻した。物語は有岡城で起こる事件の謎を突き詰めていく戦国ミステリーだが、憂き世の切なさが溢れる世界が現代社会にも重なって見えた。 秀吉の使者として有岡城に遣わされた黒田官兵衛を、村重は… 全文を読む

  • ミカエルの鼓動(柚月 裕子)

    医者は神か。医者に救いを求める患者や家族はその信者か。医療ロボット「ミカエル」を操る心臓外科医・西條は、日本におけるロボット支援下手術の第一人者として実績を積み重ねてきた。そして、所属する病院内でもその地位を確かなものに… 全文を読む

  • 琉球アスティーダの奇跡(早川 周作)

    2018年にスタートした卓球Tリーグ。琉球アスティーダはその1チームとしてリーグに参戦し、創設3年目で日本一に輝いた。しかし、注目すべきはその結果だけではなかった。琉球アスティーダの在り方は、日本のプロスポーツに重要な一… 全文を読む

  • 楊家将(北方 謙三)

    十世紀末の中国大陸は宗の時代であったが、北方の遼とその領土を争っていた。楊家(ようか)は、純粋に戦いのために生きるような一族で、その強さは宗、遼、いずれからも一目置かれる存在であった。この物語は、両国の争いの中で、楊家の… 全文を読む

  • 悲しみの秘儀(若松 英輔)

    悲しみは忌むべきものではない。悲しみを知るからこそ人は人たりえるのではないか。そうして考えてみると、腑に落ちることがあった。26編のエッセイには、作家や哲学者が残した文章や詩、和歌などが引用され、悲しみや孤独とどう向き合… 全文を読む

  • ぎょらん(町田 そのこ)

    死者は何も語らない。しかし、故人の思いを想像することはある。その思いに引き摺られてしまうこともある。死者が残すという赤い珠を口にすると、その者の最期の願いが見えるという。まるで魚の卵のようなその珠はぎょらんと呼ばれる。 … 全文を読む

  • リボルバー(原田 マハ)

    そのリボルバーから放たれた弾丸はゴッホの体を貫いた。その瞬間、彼は何を思っただろうか。そして、ゴッホとともに語られるゴーギャン、ゴッホの弟・テオは、彼の死に何を感じただろうか。ひとつのリボルバーをきっかけに、過去が生々し… 全文を読む

  • うつくしが丘の不幸の家(町田 そのこ)

    郊外の新興住宅街うつくしが丘に建つ一軒の家。この住宅を購入し、理髪店としてリフォームして新たな一歩を踏み出そうとする夫婦だが、開店を直前に控え、この家が不幸の家だという話を聞く。庭にある大きな枇杷の木も、不幸の象徴のよう… 全文を読む

  • 国宝 青春篇/花道篇(吉田 修一)

    長崎で任侠の家に生まれた喜久雄は、運命的な出会いから、歌舞伎役者への道を歩むことになる。喜久雄が預けられた家は歌舞伎の家元で、幼いころより後継者として育てられてきた俊介がいた。二人はともに女形として頭角を現し、ライバルと… 全文を読む

  • さよならも言えないうちに(川口 俊和)

    「コーヒーが冷めないうちに」シリーズの第四弾は、タイトルの通り、別れてしまったことへの後悔を引きずった人が、過去に戻ることで、納得してこれからの人生を歩んでいけるようになる4つの物語である。現実を変えることはできなくても… 全文を読む

  • 出星前夜(飯嶋 和一)

    歴史を学ぶというのは、年号を覚えることに非ず。なぜ人々がそのような歴史を歩んだのか、そこにあった人々の心を想像し、未来への学びとすることこそ、歴史に学ぶということなのだろう。そのことを痛感させられる作品である。 小中学生… 全文を読む

  • 神様の貨物(ジャン=クロード・グランベール)

    ユダヤ人迫害が激しさを増す戦争の時代、ひとつの小さな命を守るために、両親はその命を投げ捨てるかのように他人に託した。その命を拾い受けた木こりの夫婦は、天傘の授かりものとしてその子を大切に育てるのだが、そのためには犠牲が伴… 全文を読む

  • 狐笛のかなた(上橋 菜穂子)

    人にはない力を母から引き継いだ小夜は、あるとき犬に追われる子狐を助けた。その狐はこの世と神の世の境に棲む野火という名の霊狐であった。また、小夜は、森陰屋敷という大きな屋敷から出ることを許されない少年と出会い、心を通わせる… 全文を読む

  • 約束(石田 衣良)

    生きている限り明日が来る。その明日が辛くて、自分の生きる価値がわからなくなる時がある。あとから振り返ってみると、前を向けるようになったきっかけは誰かの温かさだったりする。そして、その温かさはずっと前から寄り添ってくれてい… 全文を読む

  • コンビニ兄弟 -テンダネス門司港こがね村店-(町田 そのこ)

    フェロ店長、ツギさん、光莉さん、魅力的なスタッフが揃ったコンビニ・テンダネス門司港こがね村店。コンビニというと、どこでも同じサービスという安心感がある一方、個性を感じることがあまりなかったが、このコンビニはそこにしかない… 全文を読む

  • 歌うクジラ(村上 龍)

    未来の人間社会──物理的な意味での不老長寿を手に入れた人間だが、社会は成熟するよりもむしろ交配し、人の心は成長しないまま、よりエゴが露出した社会となっていた。犯罪者とその子孫たちを隔離し、それ以外の場所で理想的な社会を作… 全文を読む

  • らんたん(柚木 麻子)

    明治初期から大正、昭和と、激動の時代を生きた河井道という女性。その視線の先には、すべての人々が平等な社会と、それに基づく世界平和という大きな志があった。女性の社会的な役割を認め、教育機会を作り、地位を向上することは、今な… 全文を読む

  • 夜空に泳ぐチョコレートグラミー(町田 そのこ)

    生きづらさを感じる瞬間や、自分が生きている意味を見失うとき、たった一人でも寄り添ってくれる人がいたら、それだけで前を向いて生きて行ける気がする。表面だけではわからない優しさや、笑顔の底にある厳しい決意があったりする。そう… 全文を読む

  • カミサマはそういない(深緑 野分)

    短編7編は、決して後味の良い作品とは言えないが、人間の自分勝手な部分や、都合よく解釈してしまう理解力、あるいはそした人間社会の未来にある日常などを描いた作品群は、まさにこのタイトルのカミサマはそういないという世界だった。… 全文を読む

  • すべてがFになる(森 博嗣)

    20年以上前に書かれた密室ミステリー。IT系の技術を中心にいくつかの仕掛けが施されていたり、科学的な分析などがみられる工学系ミステリーでもあるが、今呼んでも旧さを感じることはほとんどなかった。 孤島の研究所で隔離生活を送… 全文を読む

  • デンジャラス(桐野 夏生)

    文豪・谷崎潤一郎の三番目の妻、松子の妹である重子の視点から、谷崎家の人間模様を描いた物語。谷崎潤一郎という人物をここまで掘り下げているだけでなく、妻や姉妹、子どもたち、さらにはその伴侶などを、ここまで個性的に描いている作… 全文を読む

  • 囁き男(アレックス・ノース)

    フェザーバンクという町では、かつて、子供が相次いで誘拐され、殺害された事件があった。犯人は逮捕されたものの、最後に誘拐された子供はは発見されないまま二十年が過ぎていた。そして、同じ町で再び子供が誘拐される事件が発生した。… 全文を読む

  • 歩兵の本領(浅田 次郎)

    私が子供だった1970年代頃には、まだ上野駅で自衛隊員を募集する人を見かけた気がする。そんな時代に自衛官になった人々を描いた連作短編。国を守る存在でありながら、外を制服で歩くこともできず、名誉や誇りを持つことも難しい時代… 全文を読む

  • キツネ目 グリコ森永事件全真相(岩瀬 達哉)

    かつて世間を混乱に陥れたグリコ森永事件──未解決事件の真実を追ったドキュメントである。なぜ犯人は捕まらなかったのか。脅迫された会社、警察、マスコミなど、それぞれがどのような行動をしたのか。そのことから見えるのは、単なる事… 全文を読む

  • 分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議(河合 香織)

    コロナウイルス対策の初期、2020年の1月から6月頃までに、専門家会議は何を目指し、どんな活動をしていったのか。また、その周辺環境、特に政府や各行政機関などの動きはどのようなものだったのかを追ったドキュメントである。 誰… 全文を読む

  • あの夏の正解(早見 和真)

    甲子園を目指す高校球児たちは、コロナによる甲子園の中止に直面して何を感じ、何を考えたのか。指導者は生徒たちを前に何を考えたのか。この夏の出来事が、あの夏の出来事へと変わっていく中で、彼らは何を失い、何を得たのか。 自らも… 全文を読む

  • 兇人邸の殺人(今村 昌弘)

    シリーズ第三弾の本格ミステリー。謎解きの面白さを味わいつつ、これは物語であり、エンターテインメントだと理解しながらも、物語に引きずり込まれるような面白さがあった。ファンタジー映画を見ているような感覚もあり、個人的にシリー… 全文を読む

  • デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場(河野 啓)

    「七大陸最高峰 単独無酸素登頂」を目指し、最後の山であるエベレストに挑戦して亡くなった登山家・栗城史多。山のことを知らない人間が見れば、単純に凄い挑戦をしている登山家だと理解するだろう。しかし、それは彼を単なるエンターテ… 全文を読む

  • 血の轍(相場 英雄)

    警察組織の中で対立する刑事と公安。大きな事件に直面してもなお、その対立は収まることがなく、社会の秩序と安全を維持するという本来の目的よりも、自分たちの組織を守ることが優先してしまう。正義感溢れる人間も、その中に入ればやが… 全文を読む

  • ゼロエフ(古川 日出男)

    福島で生まれた著者が、故郷のこと、東日本大震災や災害のことやその被害者のことに向き合ったドキュメント作品。原発事故をどう考えるのかということもあるが、福島=原発事故ではなく、自身や津波で失われた命があり、それ以前にも、そ… 全文を読む

  • 白光(朝井 まかて)

    日本人女性として最初のイコン画家となった山下りんの物語。明治初期、絵師を目指すために茨城から江戸へ出たりんは、西洋画と出会い、その道を目指しはじめる。そして、絵を共に学ぶ仲間から、ロシヤ正教の教会へ来れば西洋画を見ること… 全文を読む

  • 貝に続く場所にて(石沢 麻依)

    東日本大震災で津波にさらわれて行方不明になった知人が、ドイツのゲッティンゲンに現れる。そこで流れる淡々とした時間──そう、時間である。同じ場所にいても、過去を生きた人やそこにあったものと、今生きていてここにあるものは、重… 全文を読む

  • 小説伊勢物語 業平(髙樹 のぶ子)

    平安の世に生きた在原業平という人物が見事に浮かび上がる作品。伊勢物語は平安時代につくられた貴族の男性を主人公とした歌物語集だが、この恋多き主人公は業平をモデルとしているとも言われている。小説伊勢物語の中で、業平や女性たち… 全文を読む

  • 元彼の遺言状(新川 帆立)

    過去に付き合っていた彼が、不可解な遺言状の残して死んだ。自分のことを殺した犯人に巨額の財産を譲るというというのである。弁護士である主人公は、その財産の一部を得るため、犯人として名乗りを上げたクライアントの代理人として関係… 全文を読む

  • 海をあげる(上間 陽子)

    沖縄で暮らしていると聞いたら、私は何も考えず、それは素敵なところに住んでいるんですねと言うだろう。その笑顔の裏側に、深い悲しみや、やり場のない怒り、あるいは諦めがあることに気づかないまま。 著者が沖縄で暮らしていて感じて… 全文を読む

  • 彼岸花が咲く島(李 琴峰)

    記憶を失くした少女がたどり着いたのは小さな島だった。そこで話される複数の言葉は、理解できる言葉と、理解できない言葉があったが、ノロと呼ばれる歴史と責任を背負う女性のみが使うことを許される言葉を、彼女は理解することができる… 全文を読む

  • 鍵・瘋癲老人日記(谷崎 潤一郎)

    五十を過ぎた男と、その妻が、互いの性生活や性欲のことを日記に綴っていく「鍵」。互いに読まれることを意識した日記だが、互いに相手の日記は読むことがないと主張しながら、実際のところはわからないまま物語は進んでいく。 一見する… 全文を読む

  • 本のエンドロール(安藤 祐介)

    本の奥付には、出版社のほかに、印刷会社や製本会社、あるいはデザイン会社ほか、いろいろな情報が記載されている。映画で関係者の名前がずらりと出てくるあのエンドロールにあたる部分である。そして、奥付には直接は書かれていないもの… 全文を読む

  • まほり(高田 大介)

    また凄い本に巡り合ってしまった。信仰というものがどのように形成されていくのか、日本における宗教というものはどういう位置づけなのか、風習はどのように変化してくのかなどが、しっかりとした資料と共に示されていて、小説を読む楽し… 全文を読む

  • ワンダフル・ライフ(丸山 正樹)

    事故で障碍者となった妻と、その介護をして暮らす夫。それから、CP(脳性麻痺)の男性と、ネットで知り合った女性のこと。彼らから見えるのは、障碍者が同情される者ではなく、同じ一人の人間として、共に社会に生きる人間として見たと… 全文を読む

  • おれたちの歌をうたえ(呉 勝浩)

    読み終えてなお、この作品の世界にしばらく浸っていたかった。自分自身が年齢を経て過去を顧みたとき、どのような感慨を抱くのだろうかと、そんな想像をしたくなる読後感があった。 子供のころ、ある事件から栄光の五人組と言われるよう… 全文を読む

  • 法定遊戯(五十嵐 律人)

    ロースクルールの生徒たちによる無辜ゲームと呼ばれる模擬法廷。審判者、告訴者、犯人、証人、そして傍聴人、それぞれが校内で発生した事件をもとに審判を仰ぐのだが、何気ない遊びにさえ見えたこのゲームは、やがて実際の法定と繋がって… 全文を読む

  • 星落ちて、なお(澤田 瞳子)

    江戸から明治にかけて活躍した絵師・河鍋暁斎。絵に対するその姿勢を自ら画鬼と称し、人生のすべてを絵に捧げ、自らの息子や娘にも絵師となることを求めた。娘のとよと暁斎の関係は、親と子ではなく、絵を通した師匠と弟子の関係であった… 全文を読む

  • 原因において自由な物語(五十嵐 律人)

    物語の中に物語が描かれる王道ミステリーだった。閉鎖された病院の屋上から落下したのは自殺なのか、事故なのか。そして、そこに至る過程で何があったのか。 この作品の面白さはまず構成の素晴らしさにある。主人公の前に謎が示され、そ… 全文を読む

  • テスカトリポカ(佐藤 究)

    麻薬密売、臓器売買など、裏社会のキャピタリズムが淡々としたビジネスとして描かれていく様は、ふと気づくと企業小説を読んでいるかのような錯覚に陥る。そして、裏ビジネスに携わる人々のメンタリティも生々しく描かれ、気づけば共感し… 全文を読む

  • 高瀬庄左衛門御留書(砂原 浩太朗)

    人生はひとつの出会いで変わっていく。それに良いも悪いもないが、ついたらればを考えてしまう。過ぎた過去は変えられないが、未来は変えられるかもしれない。だから、読後もしばらく物語の世界に浸りながら、高瀬庄左衛門やその周囲の人… 全文を読む

  • スモールワールズ(一穂 ミチ)

    人生を振り返ると、あの時がターニングぽいとだったなと思う出来事がいくつかある。その時は気づかなかったり、あるいは感情をコントロールできなかったり、あるいは自分では何でもないと思っていたことが他人にとっては重大な出来事であ… 全文を読む

  • 三体 III 死神永生(劉 慈欣)

    人類が他の知的生命体とどう対していくのか、地球あるいは太陽系にはどのような未来が待っているのか、想像を超える結末を迎える三体の完結編。宇宙は自らの存在を知られることで滅亡の危機に瀕するという暗黒森林の状態にある。その中で… 全文を読む

  • バラカ(桐野 夏生)

    東日本大震災が露わにしたのは、この国に住む人が気づかないふりをしてきた沢山の綻びだったのだろうか。絆の大切さが語られる一方、人の不幸を踏み台にした幸せが存在していることが露わになったのではないか。この物語は、闇の市場で売… 全文を読む

  • 遠野物語(柳田 国男)

    先日、「始まりの木」(夏川草介著)を読み、やはり「遠野物語」を読まなくてはと積読本から抜き出してじっくりと読んだ。少しずつ消化しながら読んだつもりだが、理解しきれていないところも多々ある。しかし、日本という国、そして日本… 全文を読む

  • 夜の谷を行く(桐野 夏生)

    連合赤軍の事件が起こったのは私が生まれる数年前のこと。出来事としては知っていたが、極左集団によるテロ事件という程度の認識しかなかった。この作品の主人公は、連合赤軍に参加した一人の女性。逮捕されて服役したのち、当時の仲間と… 全文を読む

  • 百年法(山田 宗樹)

    コロナ渦の今だからこそ読むべき作品である。 HAVIという技術によって老いることがなくなった人間。しかし、人が死ななくなると社会の新陳代謝が停滞するため、施術から百年後に強制的に死ぬことが求められる。見た目は若いが、超高… 全文を読む

  • 江田島殺人事件(内田 康夫)

    学生時代に読み漁っていた内田康夫の浅見光彦シリーズ。1988年に出版された作品だが、妻の故郷である江田島が舞台ということで、現地の地図などと照らし合わせながら読んだ。 江田島と言えば、かつて海軍のエリートを養成した海軍兵… 全文を読む

  • 始まりの木(夏川 草介)

    未来を照らす一冊を見つけた。 民俗学を専攻する大学院生の藤崎千佳は、偏屈な民俗学者・古屋神寺郎の元で学んでいる。千佳は、脚の悪い古屋の荷物持ちとして各地を一緒に巡りながら、民俗学とは何を学ぶ学問なのかということから、そも… 全文を読む

  • 雄気堂々(城山 三郎)

    日本資本主義の父とされる渋沢栄一の半生は、いつ読んでも心が熱くなる。幕末に生まれ、幕府の在り方に憤りを感じながらも、やむを得ず徳川慶喜に仕えることになるのだが、一つ一つの出会いを無駄にすることなく、ピンチをチャンスととら… 全文を読む

  • コロナ脳 日本人はデマに殺される(小林 よしのり / 宮沢 孝幸)

    日本におけるコロナの実態をきちんとした数字をもとに考えると、これはパンデミックというよりマスコミによって作り上げられたインフォでミックであると言えるだろう。危機を煽るばかりのメディア、それに流される政治、そして不安の中で… 全文を読む

  • さよならの儀式(宮部 みゆき)

    表題作を含む8本の短編は、現代社会の問題を反映したファンタジー作品で、一編読み終えるごとにチクチクと見えない棘が刺さっていくような感覚があった。 家族の在り方を問う「母の法律」、監視社会をシニカルに描いた「戦闘員」、タイ… 全文を読む

  • もう、聞こえない(誉田 哲也)

    男を殺してしまったと話した女性は、警察の取り調べに対して、女の声が聞こえるのだと言った。女性はなぜ男を殺そうとしたのか。そもそも男との関係はどのようなものなのか。そして、女の声とは一体何なのか。 事件は過去にさかのぼる。… 全文を読む

  • キアズマ(近藤 史恵)

    ロードレースの世界を描いたサクリファイスシリーズの第四弾は、大学生になって初めてロードバイクに乗り、その世界にのめりこんでいく若者の物語。これまでの三作品はプロの世界だったが、より読者に近い視点で描かれた本作を読むと、よ… 全文を読む

  • サヴァイヴ(近藤 史恵)

    自転車ロードレースのプロの世界を描くサクリファイスシリーズの第三弾。第二作までの主人公である白石誓だけでなく、ライバルでもあり仲間でもあった伊庭和実、そして白石がかつて所属していたチームのエースであった石尾豪ら、個性的な… 全文を読む

  • プライド (真山 仁)

    ハゲタカシリーズの著者が描く短編シリーズは、社会問題を抉った鋭い作品ばかりだった。それぞれの作品を読むと、当時、似たようなニュースがあったなということを思い出す。企業や政治の不正は、単なる一企業や個人の問題ではなく、社会… 全文を読む

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