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書に耽る猿たち https://honzaru.hatenablog.com/

本と猿をこよなく愛する。本を読んでいる時間が一番happy。読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる色々な話をしていきます。世に、書に耽る猿が増えますように。

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2020/02/09

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  • 『女の一生』遠藤周作|長崎への想い、愛を持って生きること

    『女の一生』一部・キクの場合 二部・サチ子の場合 遠藤周作 ★★ 新潮社[新潮文庫] 2024.06.25読了 遠藤周作さんが長崎を舞台にして書いた大河長編小説である。『女の一生』というとモーパッサンが思い浮かぶ(まだ読んでいないよな…)。この本は遠藤周作氏が、キク、サチ子という二人の女性を主人公に据えた物語だ。遠藤さんは長崎への恩返しのつもりでこの作品を執筆したという。長崎の生まれでもない彼だが、長崎という街を知ったことは幸福以外の何ものでもないと語っている。 作品は上下巻の二部構成となっている。最近長編を読むことが多いのでブログの更新が遅れがちだが、それはまぁ自分の読書ペースということで。…

  • 『台北プライベート・アイ』紀蔚然|台北を感じながら、愛くるしいこの私立探偵を応援する

    『台北プライベート・アイ』紀蔚然(き・うつぜん) 舩山むつみ/訳 ★ 文藝春秋[文春文庫] 2024.06.20読了 単行本刊行時から気になっていた本がついに文庫本になり早速ゲットした。どうやら第二弾が刊行されたのでそれにあわせてこの第一弾が文庫化された模様。個人的に好みのタイプの作品だったこともあるが、かなりおもしろかった。さすが本国でもロングセラーであり多くの国で出版され、日本でも大きな賞を受賞しているだけのことはある。直木賞を取ってもおかしくないようなレベルだ。 人気劇作家であり教師でもあった呉誠(ウー・チェン)は、色々なことに嫌気がさしていきなり探偵になる。タイトルの「プライベート・ア…

  • 『サラゴサ手稿』ヤン・ポトツキ|半分寝ながら読むような心地、そしてようやく読み終えたという達成感

    『サラゴサ手稿』上中下 ヤン・ポトツキ 畑浩一郎/訳 岩波書店[岩波文庫] 2024.06.17読了 サラゴサとは、スペインにある街で2000年以上の歴史があるらしい。手稿とは、手書きあるいはタイプライターで打った原稿(ウィキペディアより)のこと。この小説のタイトルが『サラゴサ手稿』なのは、まえがきに記されている。 衛兵隊長の任を拝命するために、マドリードを目指すアルフォンソが、スペイン南部のシエラ・モレナ山脈で数々の物語を聞くことになる。その61日間にも及んだ聞き語りがこの作品である。10日ごとにわかれた章は全て「デカメロン」と記されている。「第一デカメロン」「第二デカメロン」のように。実は…

  • 『余命一年、男をかう』吉川トリコ|お金はなんのためにあるのか、自分はなんのために生きるのか

    『余命一年、男をかう』吉川トリコ 講談社[講談社文庫] 2024.06.08読了 衝撃的なタイトルである。「男をかう」って「買う」ということなのかと最初思ったけれど、もしかしたら「飼う」のかもしれないな。トリッキーな感じでいつもなら読まないタイプの小説だけど、帯をよく見ると「島清恋愛文学賞受賞作」とある。結構この賞の作品っておもしろいんだよね。 意外にも丁寧に文章を噛み締めながら読んだ。とはいっても元々がすこぶる読みやすいからさくさく進んだのだが。人ごとに思えなかったのは、いま自分がこの主人公唯(ゆい)の年齢に比較的近いこと、そして現実に癌の余命を言い渡された人が近しい間柄の人でいるからだ。 …

  • 『関心領域』マーティン・エイミス|強制収容所に関わる人たちとその日常

    『関心領域』マーティン・エイミス 北田絵里子/訳 早川書房 2024.06.05読了 アカデミー賞国際長編映画賞を受賞した同名映画の原作である。作品賞を受賞した『オッペンハイマー』の原作を読み、そのあと映画を鑑賞した(本を読んでないと理解に苦しんだかも)のだが、その時にこの映画(『関心領域』)の予告編を観てかなり気になっていた。まだ映画は観ていないが、早川書房さんが映画に間に合わせて(かなり急ぎのスケジュールだったろうな)刊行してくれたので、さっそく本から入ることに。 アウシュビッツ強制収容所。ユダヤ人110万人もが殺された世界最大の大量虐殺が現実にあった場所。この作品では、ポーランドにあるK…

  • 『仮釈放』吉村昭|更生の意味、保護司のあり方

    『仮釈放』吉村昭 ★ 新潮社[新潮文庫] 2024.06.02読了 つい先日、吉村昭さんの作品を読んだばかりだが、中毒性があるのかまた読みたくなった。本当は長崎を舞台にしたある小説を探していたが、書店にあったその文庫本の表紙が破れかけていた(こういうのはがっかりだけど、リアル書店で本自体を確認できるという良さでもある)ので、、ひとまずこの『仮釈放』を読むことにした。 妻を刺殺、妻の愛人を刺傷し、愛人の母を焼死させた罪で無期懲役となっていた菊谷史郎は、服役成績が優秀であったために仮釈放が認められた。仮釈放されある程度自由な生活ができても、無期刑というものは変わらない。どこにいても保護観察があり、…

  • 『うたかたの日々』ボリス・ヴィアン|ファンタジー、メルヘンの中にリアルがある

    『うたかたの日々』ボリス・ヴィアン 伊東守男/訳 早川書房[ハヤカワepi文庫] 2024.05.31読了 メロディを奏でるような、美しく詩的な文体である。ここに書かれているものはどうしようもなく悲しく苦しい物語なのに、読み終えたときには散々泣き散らした後のような爽快感がある。フランス人小説家独特の軽妙な味わいがある。ブローティガンはアメリカ人であるが、作風が少し似ているように感じた。 honzaru.hatenablog.com オシャレで夢みがちな男性コランと美しいクロエがとあるパーティで衝撃的に出逢い、恋に落ちまたたく間に結婚をする。幸せな結婚生活も束の間、クロエは「肺の中で睡蓮が成長す…

  • 『ひとつの祖国』貫井徳郎|世界に後れを取っている日本のことを考えよう

    『ひとつの祖国』貫井徳郎 朝日新聞出版 2024.05.29読了 ベルリンの壁のような東西を分断する「壁」こそないが、第2次世界大戦後に日本が東日本国と西日本国に分断され、その後統一されたという、ありえたかもしれない架空の日本が舞台となっている。西日本が民主主義、東日本が共産主義を採っていたが、統一後も日本の中心は西日本であり続けていた。 東日本出身の一条昇(いちじょうのぼる)と、西日本出身の辺見公佑(へんみこうすけ)は、幼い頃からの親友である。出身が異なる2人なのに仲良くなれたのは、お互いの父親が自衛隊だったからだ。大きくなるにつれ、環境の変化が生じてしまい疎遠になる。2人の生き方が交互に書…

  • 『死刑執行のノート』ダニヤ・クカフカ|アンセルの孤独、人生のままならなさ

    『死刑執行のノート』ダニヤ・クカフカ 鈴木美朋/訳 集英社[集英社文庫] 2024.05.26読了 こういった海外の名前を知らない作家の本は、すぐに読まないと積読まっしぐらになるよなぁ。エドガー賞(アメリカ探偵作家クラブ賞)を受賞したこの小説の著者はダニヤ・クカフカ。クカフカって言いづらい!フカフカ、もしくはプカプカになってしまう笑。 少女殺しの罪で死刑囚となり、死刑執行まであと12時間というところで目を覚ますアンセル・パッカー。彼は獄中の数年間で「セオリー」と呼ぶエッセイを書き溜め、ある計画を企てていた。残りの12時間でその計画を実行できるのかが回想とともにアンセルの視点で綴られるのかと思っ…

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