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海外オヤジの読書ノート https://lifewithbooks.hateblo.jp/

40代、全く出世しない窓際おじさんが、成長し生き抜くために読書をします。その読書録。最近、生き抜くより息抜く読書が多めです。2014年から海外で生活しています。因みに奥さんは外人。

仕事術、健康(サラリーマンとして)、思想、歴史、陰謀論(趣味用)、教育、金融(家庭の維持用)などの本を読んでいきます。今年は老後の生き方の模索とキリスト教がテーマ

海外オヤジ
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2019/12/13

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  • 翻訳の世界+大御所の翻訳の姿勢、を垣間見る 『翻訳夜話』村上春樹 柴田元幸

    概要 憧れの世界は、やはり厳しい!? 翻訳の姿勢の違い、柴田氏の場の仕切り 2人の翻訳を味わう おわりに 概要 本作は、作家でありながら翻訳にも精力的に取り組む村上春樹氏と、東大で長年教鞭をとり現在は名誉教授教授の柴田元幸氏の対談集。一つは東大の生徒を前にしたもの。もう一つは翻訳会社のフォーラムにて。 更に、同じ文章を村上氏と柴田氏が翻訳したもの2篇、その原文、またこれらを踏まえて他の(当時の)若手翻訳家たちとの座談会を行った様子も、併せて収録されています。 なお本作は2000年の出版。もう25年も前の話なのですね。 憧れの世界は、やはり厳しい!? 翻訳の世界。憧れがあります。カッコいいなあっ…

  • アラフォー女性、突然大家業に転身! 『花桃実桃』中島京子

    皆さん、こんにちは。 居所に戻ってきて、体調を崩しました。 こちらは通常、朝が25℃くらいで日中は33-34℃程度。ただし湿気は少なめ。だから日光に当たらなければまあしのげます。スコールも降るし。 ただ、最近は朝晩も余り下がらず、暑く感じます。これだと、日本以外もどこも異常気象なのでしょうかねえ。 ということで、本題に参ります。今回も初めての作家さんであります。 中島氏について ん~、残念 独身はそこまで悪いのか? おわりに 中島氏について 中島氏は1964年生まれ。フランス文学者のご両親のもとに生まれる。2003年に『FUTON』にて小説デビュー。 本作は2011年の作品。 ん~、残念 正直…

  • 母語から一歩外に出ることで分かる、ことばの揺らぎと多様性を楽しむ 『エクソフォニー 母語の外へ出る旅』多和田葉子

    はじめに 皆さん、こんにちは。 突然ですが、読書について。 私よりも速読・多読の方は数えきれないほどいらっしゃるのは分かります。それでも、この数年は、私の中では人生史上最も読書をしているという感覚があります。 それらの本は、当初は仕事で行き詰まる自分への武器、突破口発見のため。あるいは、金がないなかで(というか塾に通わせずに)子どもの高校受験を成功させる、という目的がありました。 仕事がそこそこ落ち着き、そして子どもたちも無事に日本に戻った近年は、文芸書・エンタメが太宗を占める、息抜き読書が多く、しかも消費する・ただ貪り読むという、あたかも早食い・大食いの読書バージョンであるかのような読み方で…

  • バビロン捕囚とエルサレムの破壊を嘆く 旧約聖書 哀歌 『聖書 新共同訳』

    皆さんこんにちは。 居所へ戻ってきて、三カ月ぶりに聖書読破計画を再開。 今回のものは実に短いものでしたが、まあ再スタートのウォームアップにはまあ良いでしょう。 何とか本年じゅうに旧約新約を終え、来年からはシェークスピアに取り組みたいというのが個人な野望であります。 哀歌とは むずかしいなあ おわりに 哀歌とは 紀元前586年のネブカドネザルによるエルサレムの占領とバビロン捕囚。 哀歌ではこのエルサレムの様子と、(ユダヤの)神の無慈悲、そしては、ユダヤの民の自責の念・後悔が謳われます。 むずかしいなあ 現代的に読むと、やはりすべての事象を自らの不作為に還元するという態度は日本人的にはまあ理解でき…

  • ノワールなバンドサスペンス。最後に大きく転回 『ラットマン』道尾秀介

    道尾氏について とにかく(個人的に)懐かしい設定 ノワールな書きぶりと、大どんでん返し おわりに 道尾氏について 道尾秀介さんの本は初めて読みました。 お名前は以前から存じ上げていましたが、どういうわけか手に取ることもなかった次第。 Wikipediaで見ますと、道尾氏は私と同じ1975年生まれ(因みに五月生まれも私と同じ)。2004年に『背の眼』でデビュー。以降、サスペンス調ミステリーでヒットを連発。 本作『ラットマン』は2008年発表、「このミステリーがすごい!」等で高く評価される。 とにかく(個人的に)懐かしい設定 もうこれは同世代であるという産物の賜物ではありますが、「時代が同じだなあ…

  • 本を読まない若い人向けの啓発書かな 『読書のチカラ』齋藤孝

    皆さん、こんにちは。 とうとう居所に戻って着ました。 やっぱり南国ですねー。暑いです。でも、一定の暑さなので、日本の寒暖差のしんどさはないですね。ただただ、じんわりと暑い。 この環境、私と家内だけ。親の見守りも子どもの面倒も見ないでよい環境なので、今月以降はしっかり自己研鑽に勤しもうと思います。 はじめに あの手この手で本を読まそうという・・・ おわりに はじめに 読書についての本って、結構ありますよね。私も過去に幾つか読みました。 で。私、最近惰性でだらだらと消費するような読み方をしており、なんか戦略的じゃないかなあと、しばし反省しまして。それで手に取ったのが本作。いわずと知れた齋藤先生の作…

  • 閉じられた豪邸を訪れる「訪問者」に明らかになる事実 『訪問者』恩田陸

    皆さん、こんにちは。 うちは子どもが二人いるのですが、図らずも「帰国子女」という位置づけになりました。 上の子(在外6年)はどちらかというと「ちょっと海外に居たことあります」的な感じで、英語の発音もバリバリ日本人発音。対して下の子(在外8年)は日本を余り知らない、結構「帰国」ガチ勢に仕上がってしまいました。 先日聞いて驚いたこと二つ。どちらも下の子の話。 先ずは名前の呼び方。最近下の子は学校イベントの幹事をやっている関係で、学校OB/OGに会いに行くことが多いそう。とある先輩に会いに行き、渡された名刺に「服部」とあり、「ふくぶ」と呼んだそう。。。ハズカシー! 確かに名前は難しいけどさあ。。。 …

  • 英国郷紳の雰囲気と、のどかな田園描写、そしてお屋敷はホラー状態 『The Little Stranger』Sarah Waters

    皆さん、こんにちは。 今年もあっという間に5か月目に突入。というかもうじき半分です。・・・時間が過ぎるのは早いですね。 で、今更じんわり思い出す自分のYear Resolution(一年の決意表明)。実は昨年末に結構沢山洋書を購入したこともあり、「よし今年は月に二冊洋書を読もう。フィクション一冊とノンフィクション一冊ずつだ!」とこっそり今年の手帳に決意表明してありました。 で、これが今年読破した洋書第一冊目。ってか遅くねって話であります。 日本に一時帰国すると洋書を読む気がどこかに行ってしまうんだよなあ、という言い訳。 ということで本題に参ります。 作家紹介 選書の理由 あらすじ 印象1:長い…

  • 海外、乳がん、家族、友人。病気を通して自分をみつめる 『くもをさがす』西加奈子

    皆さん、こんにちは。 いきなり申し訳ないですが、ちょっと死の話を。 人は皆死にます。 私たちは、頭ではわかっているものの、普段はこの事実を忘れたかのように生活していると思います。そして、人生における優先順位を取り違えたり、大切なものを無視してしまったりする。 「頭ではわかっている」ことすら再帰的に・鳥瞰的に理解しているのに、それでも死はリアリティを消し去って私たちの日常から身を隠しているかのよう。そして、近しい人の死だったり、自身が健康を害したとき。突如として死は私たちの眼前に立ちはだかる。 本当の意味で認知するのがなかなか難しいと感じます。 で、今回取り上げたのはがんサバイバーによる手記であ…

  • 成功者に向けた人生ソフトランディング法 『人生後半の戦略書』アーサー・C・ブルックス、訳:木村千里

    皆さん、こんにちは。 しつこく申し上げますが、50歳にして、現在のキャリア含め、今後10-20年をどのようにデザインするかを考えています。 なお、私って、こんな感じの現状。 一見元気に見え、健康的な生活を送るも、これまでに大病が数回。 窓際だけど、自己顕示欲が消えず、本当はばりばり頑張りたい。 子どもたちの学費を何とか払いきり、老後資金も貯めたい。 他方、ここから死ぬ気で頑張るような気力は最近湧いてこない。 ここまで数冊読んだ、人生(老後)指南本では、小さい仕事に満足する、人に役立つ仕事をする、今ときめくことに時間もお金も使う、お金は意外とどうにかなる、みたいな話でした。 まあ分からないわけで…

  • じんわり面白いエンタメ短篇 『きみはポラリス』三浦しをん

    はじめに 所収作品 恋愛、青春、驚き。現実離れしないエンタメ おわりに はじめに 三浦しをん氏は、2000年に『格闘する者に○』でデビュー。2006年に『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞受賞。 本作は2007年に出版された短編集になります。 所収作品 収録されたものも以下に挙げておきます。 「永遠に完成しない二通の手紙」「裏切らないこと」「私たちがしたこと」「夜にあふれるもの」「骨片」「ペーパークラフト」「森を歩く」「優雅な生活」「春太の毎日」「冬の一等星」「永遠に続く手紙の最初の一文」 最初と最後がまさかの連篇ですが、私は最後の短篇を読んでいて、それが終わろうかという段階でやっと連篇だと気づき…

  • 不登校児こころが、仲間を救う。絆は時間を超える。 『かがみの孤城』辻村深月

    皆さん、こんにちは。 先週、六大学野球の観戦に神宮球場に参りました。 実はその前週にもパパ友と行ったものの、その時は結構席はスカスカ。しかし今回の試合は、(早慶戦ではないものの)慶應と早稲田のカードがそれぞれあり、前週とは比べ物にならない人出でした。神宮球場前は長蛇の列。 試合は、(応援席ではなく)一般席で見ていましたが、観客にもカラーがありますね。 慶應の応援の方(OB/OG?)は、静かに観戦しつつも、慶應の好プレーには万雷の拍手で、無言の圧、といった雰囲気を醸し出していました。中高年層が多い。一方、早稲田の応援の方は、着席と共に、いそいそとマルーン色のシャツやタオルをカバンから出し、装着。…

  • 中学駅伝を通して知る、友人のあたたかさ 『あと少し、もう少し』瀬尾まいこ

    はじめに あらすじ 中学生の心のうちを描写 おわりに はじめに 瀬尾さんは、うちの下の子が中学生の時、高校受験の問題か何かで知ることができた作家さんです。以降読み進めて分かりましたが、家族に焦点を当てる作品が多く、非常にハートフルな印象。 なお瀬尾さんは2002年に『卵の緒』(これおすすめ)でデビュー。『そして、バトンが渡された』は2021年に映画化(泣けます)。 本作は2012年に発表された作品。 あらすじ 田舎の中学生による、駅伝大会出場にまつわるお話。 しっかり者の桝井は、人数不足の陸上部で、何とか駅伝大会に出場するべくメンバー集めに奔走する。そのメンバー集めと県大会予選の終りまでを綴る…

  • ドラマのような実話。自死とノルマと組織ぐるみの不正 『対馬の海に沈む』窪田新之助

    本作概要 組織ぐるみの不正、巨大なノルマ、崇められる「神」 読後に自身の過去を思い出す おわりに 本作概要 本作『対馬の海に沈む』はフリーのジャーナリストの窪田新之助氏による、JA対馬所属の社員の自死と、彼の起こした不正およびその原因について迫る力作であります。 本作で第22回開高健ノンフィクション賞受賞。 組織ぐるみの不正、巨大なノルマ、崇められる「神」 一言でいうと、本作、まるでスリラーのごとく面白い。ぐんぐん読める。 共済販売を手掛けるスター役職員の自死から、彼が行っていた壮大な不正が次々と明らかになるという流れ。 あろうことかその不正はむしろ組織ぐるみで行われていたこと。更には、その不…

  • とある商店街での恋のさや当ては・・・。大人の恋愛小説 『よるのふくらみ』窪美澄

    筆者ご紹介 選書の理由 なかなかよい。こんな話 おわりに 筆者ご紹介 窪美澄氏は2010年に『ふがいない僕は空を見た』でデビュー。2022年の『夜に星を放つ』で167回直木賞受賞。そのほか各種文学賞受賞。 本作は2014年に発表された作品。 選書の理由 以前窪氏の作品『晴天の迷いクジラ』を読んで、余りにも自分のテイストと合わず、以降敬遠していた作家さんです。 で、老化の効果か、いい感じに前回読んだ作品も忘れてきて、再度チャレンジ?しようと購買に至ったものです(同じタイトルを買わなくって良かった)。 やはり、最近よく名前を聞くので、そらあ何か持っているんだろう、以前読んだものは「はずれ」なだけで…

  • 定年後の労働とお金の収支の事実。結構ホッとした! 『本当の定年後』坂本貴志

    はじめに:老後が心配な人に読んで欲しい 先ずは収支を把握 月10万のバイトでいける!? 老後の生き甲斐 DIE WITH ZEROと読み合わせる 仕事に取り組む意味 おわりに はじめに:老後が心配な人に読んで欲しい 老後2000万円問題、あるいは年金不払い・逓減の恐れ等、老後の問題に関する話題は巷間かまびすしい限りであります。 しかし、実際はどうなの?というと、ファクターが多すぎてようわからん、となってしまいがちです。もちろん、絡まった糸を解けば分かるのですが、日常で忙しい多くの方には難しい。 そのよく見えない老後の解像度を、本書はかなり上げてくれると思います。 先ずは収支を把握 私が一番良か…

  • 映像的な美しさを湛えた作品。大阪の若者たちの瞬間 『ショートカット』柴崎友香

    はじめに 選書の理由 ふんわり系!?ショートムービーになりそう 大阪らしさ、関西らしくなさ おわりに はじめに 2000年にデビューされた柴崎友香氏。2014年に「春の庭」で151回芥川賞受賞。 本作は2004年に発表された短篇集。 選書の理由 今回、はじめて柴崎氏の作品を読みました。普段から方々のブログにお邪魔しているのですが、そこで名前を見かけることが多かったから、という理由です。で、どんなんだろ、と思い手に取ってみた次第です。 ふんわり系!?ショートムービーになりそう 青春モノとカテゴライズするには大人すぎる。さりとてずっぽりと恋愛描写をするかというとそうでもありません。 しいて言えば、…

  • 怒涛の言葉の奔流。前衛も前衛過ぎてチョイ眠に 『わたくし率 イン 歯ー、または世界』川上未映子

    皆さん、こんにちは。 ここ2カ月、今後の生き方の参考にするべく、ノンフィクションや自己啓発系の本を結構読んでいます。 ただ、読んだら読んだで、頭の中がこんがらがってくるんですよね。まあ知恵熱みたいなもので。 そういう時、小説は私にとって一種のシェルターであります。小説世界に没入して楽しむと。 幸い、日本に帰ってくる前にごっそりと買っておいた本の数々があります。そうして積読している本を眺める時間が好き! そんなとき、うっかりニンマリしてしまうのですが、家内に見られてはキモイといわれています。 そんなキモイタイムを経て手に取ったのが本書ですが、いやいや、むしろちょっとキツかったなー。 ということで…

  • 漢字・文字と独特なリズムが織りなす不思議世界。ちょいミステリー 『死ねばいいのに』京極夏彦

    はじめに 構成の妙と移りゆく視点。「亜佐美」の実像を探る 会話が明らかにするもの 凄い感じの漢字 おわりに はじめに 京極夏彦氏の作品、実は初めてでした。怪奇系、ミステリー系の印象のがあるのですが、とにかく点数が多いですよね。当初どれを読もうか迷いました。結果いつもの通り、一番安い(しかも中古品)のを買いました。 京極氏ですが、1994年に『姑獲鳥の夏』でデビュー。以降多産であり、多くの作品を執筆されていらっしゃいます。本作は2010年の作品で、どうやら氏の得意とする怪奇系シリーズのものからは外れる作品である様子です。 構成の妙と移りゆく視点。「亜佐美」の実像を探る さて、初めての京極作品を読…

  • 安定の村上作品短篇集 『一人称単数』村上春樹

    皆さん、こんにちは。 突然ですが、ブックオフのブックチケット、なる制度、ご存じでしょうか。 ブックオフはただでさえ安いのですが、このブックチケットは言わばプリペイド。月350円払うと店内220円(税込)以下の本と月5冊まで交換可能、というものです。 つまり5冊までだけど一冊70円で買える、というものです。 ということで、最近比較的新し目の本が読めるのはこうした制度の恩恵もあります。 さて、では本題に入ります。 はじめに 所収作品 個人的経験か、それとも創作か、での関係なく面白い おわりに はじめに 謂わずと知れた巨匠、村上春樹氏。本作は2020年に発表された作品となります。 所収作品 本作は短…

  • 経験・思い出への投資、その複利効果。だから今やる 『DIE WITH ZERO』ビル・パーキンス 翻訳:児島修

    皆さん、こんにちは。 高頻度で、生きるとか死ぬとか申し訳ないです。訪問された方からしたら、鬱陶しいですよね。娘からも、お願いだからおんなじこと繰り返さないでと、この前謂われたばかり。 でも続けます笑 この一年は今後10年を生きるための中計作成の一年にしたいのです。そして残された時間は多くないことも認識し(今すぐ死ぬわけじゃないですが)、どのようなことに時間と金とやる気を使うかを考えたいということです。 でまあ、今回の本は珍しく最近の売れ筋です。 在所の日本語新聞の週間書籍売り上げランキングでここ数カ月10位以内にランクインしている本書ですが、日本に一時帰国中ということもあり、堪らず買ってしまい…

  • 自死遺族カップルの恢復の物語 『鳥たち』吉本ばなな

    皆さん、こんにちは。 先週、在所にいたパパ友6人と飲み会をしてきました。 私は移住ですが、他は駐在の方々。同じ時期に子どもが野球をしており、その縁でこうやって今も集まることが出来ています。 今回出席していない方々も含めても、駐在で今も残っている方は僅か1名(因みに在所駐在13年目。私より長い!)。後は皆、横へ異動されたり、本帰国されたり。一番上は57歳。一番下は49歳でした。 やれ子どもが入学した、留学した、休学した、就職した、という子どもの話が中心。父親たちが練習でサポートしていた当時、子どもたちはほっぺたぷるんのチンチクリン小学生だったり、やっと中学に上がった程度。今や彼女を連れ歩いたり、…

  • アンティークに憑いたつくもがみが江戸の事件を解決する 『つくもがみ貸します』畠中恵

    はじめに つくもがみ、とは 妖怪と人間と事件 おわりに はじめに 江戸の時代小説というと、池波正太郎氏、宮部みゆき氏などが有名だと思います。その中で、ここ数年、耳遠い私のところでも畠中氏の名前がアンテナに引っかかるようになってきました。 畠中恵氏は、シリーズものを中心に時代小説を多く手掛け、とうとう私も昨年、幾つか人情モノを読ませていただきました。 で、今回はお得意の妖怪小編を読ませて頂きました。 つくもがみ、とは タイトルにもある、つくもがみ。 漢字だと付喪神、と書きます。これは、100年を超えるモノに、あやかし(妖)がつくというもの。言わば妖怪を宿したアンティークです。何か事故物件みたい。…

  • 透析患者の苦しい死に方。地方医療に光明あり 『透析を止めた日』堀川惠子

    皆さん、こんにちは。 最近、暗めというか、病・死・老などに関する本を読んでいます。 こうした事実はそれ自体は悲しいものですが、不遜な言い方をしますと、驚きの連続。 体の衰えや病など、死へ至るプロセスはとかく忌避されることが多いのですが、そのためか、知らないことが多い。故に読むと、そうなのか、と学びになります。 これらの予習が今後役に立つ、少なくとも心の準備の一端になるといいなと思います。とはいえ、机上の理論という言葉があるくらいだから、実際にはそれどころではなく『んものすごく』大変なんでしょうが。 ということで、今回は透析患者の看取りに関するノンフィクションです。 はじめに 透析というもの 「…

  • ピュアじゃない、大人の恋愛風景。そこがよい。 『ほかならぬ人へ』白石一文

    ひとこと 白石一文氏 恋愛系 ベストの相手!? 併せて楽しむ選考委員コメント おわりに ひとこと 白石氏というと、私にとっては恋愛系、というイメ―ジです。 以前読んだ『どれくらいの愛情』がなかなか良くて、今回の芥川賞受賞作を手に取りました。で、こちらもなかなか良かったというのが率直なところ。 大人な恋、みたいな。 白石一文氏 おさらいをさせてください。 白石氏は福岡県出身。大卒後文藝春秋に勤務しつつ創作活動を開始し、1992年にデビュー。『どれくらいの愛情』(2006)で芥川賞候補となり、本作『ほかならぬ人へ』(2009)で芥川賞受賞。 恋愛系 本作、中篇「ほかならぬ人へ」「かけがえのない人へ…

  • 常識的。自分を振り返るのに使えます 『50代にしておきたい17のこと』本田健

    皆さん、こんにちは。 来月5月でとうとう50になります。 しつこいようで申し訳ないのですが、未だ人生模索中。とりわけ今後10年の方向付けをしたい、と考えています。類書を乱読して、何か光明を見出したい。 そんな藁にもすがる思いでぽちっておいた本が本作。 常識的! あやしい人? シリーズ作のようです 17のこと おわりに 常識的! 買っておいてナンですが、本田氏のような自己啓発系の方は余り好きではないんです。だってみんながきちんと上手に真似できたら全員金持ちじゃないですか!みたいな。 ということで、本田氏の著作は初めてでした。 でも、猜疑心を持ちながらも著作を購入してしまう。というのも、自分にノウ…

  • 疎外感を描く圧倒的な筆力 『まちあわせ』柳美里

    皆さん、こんにちは。 リモートワークの功罪について問わず語り。 私の勤務する会社はかなりフレキシブルで、特例ではあるものの、理由があれば自宅勤務(しかも外国の実家から)を相応の長さで認めてくれる柔軟さがあります。 私の場合、親が半ボケだったり、自身も脳にメス入れていたりするので、突然ぶっ倒れたり辞められるよりもマシ、また仕事自体も完全に内勤でありリモートでも十二分に成果が出るから、ということはあります。 一方、その恩恵に浴している自身から省察すると、実は慢心が生じてくるのは否めません。慢心というか、なんだろう、”out of sight, out of mind(去るもの日々に疎し)”が、より…

  • ユルさに光る、センスと真理の言葉。か、ただのエロ 『どうやらオレたち、いずれ死ぬっつーじゃないですか』みうらじゅん、リリー・フランキー

    皆さん、こんにちは。 私、もうすぐ50になるんですが、今年一年はこれからの5-10年を考える年にしたい、と考えております。 今後のキャリア、趣味、健康なども考慮すると、やはり死を意識するということは避けられません。優先順位とか、なにをやるべきで、やらぬべきか、とか。 まあ実際、これは若くても年がいってても同様に意識するべきですが、若い時はその若さゆえ、そんなことは意識できないものです。 そんなこんなで、老親のこともあり死に関連する本を渉猟しているものです。 その一環で、何か学べればよいと思い手に取ったのが今回の本でした。 はじめに 良い意味でいつも通り!? マインドフル・みうら&リリー、「本当…

  • 恵まれ過ぎる自分に罪悪感。感情の機微を滑らかに捉える 『 i アイ』西加奈子

    皆さん、こんにちは。 先週末に多摩川をぶらぶらと歩いてきました。実に6時間程度かけて25kmくらい。 川崎市から始まり、大田区、世田谷区、狛江市、調布市と辿りました。 競馬場があったり、打ちっぱなし、グラウンド(サッカーや野球)、はたまたお花見、入園・入学用の写真撮影等々、皆さん思い思いの様子で春を楽しんでいました。 やっぱり、四季は良いですねえ。 さて、本題に入ります。 はじめに こんなお話 西さんの感情を捉える珠玉の言の葉 おわりに はじめに 2004年デビューの西加奈子さん。彼女の2016年の作品。 米国男性と日本人女性の家庭に養子となったシリア人アイの物語。彼女のガラスのような繊細な心…

  • こころない発言で心を切り刻まれる容疑者城野美姫 『白ゆき姫殺人事件』湊かなえ

    はじめに 構成の妙 ネットの闇・裏の心 責任を取らない発言について おわりに はじめに いやあ、今回も面白かった。久し振りに湊氏の作品を読みました。彼女の作品を読むのはかれこれ三カ月ぶりでした。 実は本作は過去に映画も見ていましたが、その時は結末がイマイチよく理解できなかったんです。しかし、こうして原作を見て、納得して理解できた形であります。 なお本作、2012年の作品で、2014年に映画化されています。 構成の妙 さて、本作ですが、超ザックリ言うと化粧品会社の美人社員の殺人事件であります。 これを社内の関係者の証言を拾い集める形で進行します。 誰が拾い集めるかというと、同社の社員にツテがある…

  • ことばへの愛、深いコミットメントで、ルーマニア小宇宙を築く 『千葉から引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないまま小説家になった話』済東鉄腸

    皆さん、こんにちは。 突然ですが、当方が数年来考えているセカンドライフについて。 年金・貯金ともに多くないため、どうにかして就労は70前半くらいまでは継続する方向で考えています。とはいえ、その就労もできれば自分の意に沿う(趣味の延長?得意なものをいかす)ものを、みたいな、まるで夢でも見たような(寝ぼけた)ことを考えています。 現在、東南アジアくんだりですが、海外に居ると英語は概ねできると感じるようになりました。アジアの現地語も多少勉強してすこーしくらいは通じると、やはり言葉を武器にできないかとか考えてきます。得意か不得意かは自分でも分かりませんが、興味だけはあると。 頭に浮かび上がる職業は日本…

  • 女性主人公のフラットな心象描写が不思議な余韻を生む 『泣かない女はいない』長嶋有

    皆さん、こんにちは。 先週高校のバンド仲間にあってきました。 曰く、再婚したということ。別れた元奥さんと三人の子どもの養育費もあるなか、再婚相手は18歳下。しかも再婚相手はできれば子どももできれば欲しいとの話。 御仁曰く「まあそうなっても、二周目だから。大丈夫、なるようになる」とのこと。 うん、まあそうだけど…。一週目でおなかいっぱいのわが身からすると、もうお疲れ様という言葉以外ないなあと。 あんま無理しないで、健康第一で行って欲しいと思いました。 さて、そろそろ本題へ参ります。 はじめに あれ?作風が前と違う!? 静的に進む中篇二つ おわりに はじめに 2001年デビューの長嶋有氏。「猛スピ…

  • 自宅で計画的に看取る困難さ。突然死ではない看取りについて 『家で死ぬということ』石川結貴

    皆さん、こんにちは。 先日、幼稚園から付き合いがある友人と夕食を取りました。 アラフィフの会話といえば、自身の健康・キャリアについて、子どもの養育、親の介護の三本柱が定番。老両親の話に及び、友人曰く、今年の一月に両親を介護施設に入所させた、とのことでした。 彼の姉が看護師で、かつ親御さんと家が近かったため、彼女は親の介護、仕事、そして子どもの世話などフル回転で負担がかかり過ぎていたとのこと。ご両親が丁度(!?)同じくらいの程度・スピードでボケが加速してきたことから、今年に入り施設へ入所してもらい、お姉さんの負担を取り除こう、という形になったそう。 残りの懸念は、酷い謂い方をすれば「いつまで生き…

  • 飛行機恐怖症かつ呑兵衛の旅行記 『『恐怖の報酬』日記』恩田陸

    皆さん、こんにちは。 突然ですが、海外に住んでいて、日本の子どもたちの養育で困ったことを、問わず語り。 子ども手当や高校学費減免の件が受けられない、あるいは都(道・府・県)立高校に子どもを進学させられないこと。です。 子ども手当は、両親の海外での住民票を日本語訳して提出してくださいといわれましたが、そもそも住民票などを用意している国がどこまであることやら。。。家内においては外国籍で出生国のICカードしかないし。そんなこんなで申請は断念(テクニカルにはできそうだが手間かかり過ぎ)。 高校の学費の件はありがたいことに最低限の補助は受けさせてもらえています。ただし、無償化とかフル適用は両親が海外で出…

  • 自分の興味・関心へと業務をデザインする 『組織にいながら、自由に働く。』仲山進也

    皆さん、こんにちは。 最近バカみたいに本を読んでいます。 日本に一時帰国中というのもありますが、できれば日本で読んだ本は日本で処分して居所に戻りたいというのがあり、買い込んだ本を必死に読了させ、それをオークションだったりブックオフだったりへ持ち込んでおります。 アジアの果ての居所では意外に日本語の本を買ってくださる方がいらっしゃって、おかげで小説などはまあまあ結構ハけます。ただし仕事術や健康系含めたノンフィクション作品はさっぱり。 そうした背景から、近頃はノンフィクション系を読むことが多いわけであります。 ということで本題へ入ります。 はじめ 仲山式、自由を得るための4ステージ いいところ ム…

  • 頑張り、希望、祈りを静かに綴る 『星がひとつほしいとの祈り』原田マハ

    皆さん、こんにちは。 この前、居所の確定申告を済ませました。 私の居所、東南アジアの外れでは確定申告が必須。税金が天引きされているものの、申告すると大抵還付があります。今年はおおよそ4万円程。 ここ数年みていると、両親の医療費や介護費が控除の対象になっていたりして、結構文化を反映させるなあと感じます。というのも、当地では皆さん家族をとてもとても大切にするように感じるからです。もう正月とか連休になろうものなら、結構多くの同僚が実家に帰る。 日本では家族より仕事優先、学業優先ですよね。いやもちろんそれも大事なんだけど。 なんてことを海外での確定申告をしつつ感じました。 ということで本題に入ります。…

  • 半農ですらない、チョビ農で自由を得る 『アロハで田植え、はじめました』近藤康太郎

    はじめに 本社のビミョーなおじさんの、地方での「オルタナ」生活 ユーモラスに描かれる彼の田男ライフ 時限付きラストリゾートの「地方」住まい おわりに はじめに 著者の近藤康太郎氏は、朝日新聞にて記者として勤めつつ音楽や文化関連の文筆活動に(も)注力している(た)方。 本作は、会社に籍を置きつつも、彼自身が「オルタナ農家」となり謂わば「人体実験」をする過程を著したもの。 本社のビミョーなおじさんの、地方での「オルタナ」生活 いやあ、好きです。こういう人。 権力の中心におらず(いられず?)、「遊軍」記者として過ごすことが長く、結果いわゆる「扱いづらい」オジサン記者となった方。ただ、書くこと・表現す…

  • 遺骨を本土に持って帰る意味とは。戦争を知る人がいなくなる前に 『硫黄島上陸 友軍ハ地下ニ在リ』酒井聡平

    はじめに なぜ硫黄島なのか 進まぬ遺骨発掘と日米密約 顧みられなかった人たちー当事者の気持ち おわりに はじめに 北海道新聞所属の酒井聡平氏による、硫黄島遺骨発掘のドキュメンタリ作品。 二万人以上が玉砕・戦死したという硫黄島で一万人以上の遺骨が未だ見つからないという現状、その背景、遺族の気持ち等を描く佳作。 なぜ硫黄島なのか きっと皆さんも、かつての戦地に埋まった遺骨の発掘というのがどのような意味を持つのか、という疑問はあるかと思います。 というか、なぜ硫黄島なのか、とか。 筆者の祖父は硫黄島ではなく、連絡中継地として小笠原の父島で勤務していたという。本土から硫黄島は遠すぎて直接連絡が取れなか…

  • 読み口の良さの上に描かれる性と業 『九月が永遠に続けば』沼田まほかる

    皆さん、こんにちは。 先日、尼崎に居たときの知人と家族で会ってきました。 尼崎に居たのはかれこれ15年くらい前に3年間ほど。子どもは上が4歳、下が2歳とかそんな感じ。向こうのお宅は上が4歳と下が1歳でした。 今回の会合は、うちは私、家内、息子(今年20歳)、先方はお母さんと上のお子さん(今年20歳)。いやあ、ハルくんでっかくなった!(って老人みたいなリアクションを止められず。。。)。何しろ当時は幼稚園生でほっぺたぷりぷりのちんちくりんでした。今や身長186cmで横幅もまあまああるハグしがいのある体つき! 優しい笑顔だけは当時のまま。 で、オチは?というと、済みません、ありません笑 関西の方はオ…

  • 自費出版の闇をエンタメに昇華させた佳作 『夢を売る男』百田尚樹

    皆さん、こんにちは。 過日、(両親の)確定申告を済ませて参りました。 80を超え身心ともに少しガタが来たために、毎年私が代わりにやっています。 しかし嘆息してしまうのは彼らの年金の多さ。 まあ現役の私などよりは当然低いものの、老後不安をあおる昨今のネット記事や平均値には符合せず。かなり上方乖離(うらやましい)。 思えば私は就職氷河期世代のど真ん中。しかも日本ではやっていけず海外に逃げてしまった口。状況が違いますね。一方、父は歯を食いしばって朝から晩までモーレツに働いた世代でした。 私なぞは、きっと70代になっても「くっそ、タイミーいいバイトねえなあ」なぞとぼやく将来であろうと想像しています。そ…

  • 現金3460万を残して亡くなった身元不明女性を追う記者の奮闘ぶり 『ある行旅死亡人の物語』武田惇志、伊藤亜衣

    皆さん、こんにちは。 最近、寒暖差が激しいですね。暑くなっがり寒くなったり。 ワイドショーでも、寒暖差で体調を崩すことが有り、気を付けるようにとのこと。 これを見て家内は、「あなたの機嫌や私への態度も寒暖差が激しいのよ」とのご意見。 誠に仰る通りで、恐れ入るばかり。 精神の安定は今年の目標の一つですが、治るかしらん。今のところ寒暖差激しめ。 ということで本題へ入ります。 はじめに 現金3400万と身元不明の女性死体 いくつか、もやもや おわりに はじめに 共同通信社の若手の記者2人によるノンフィクション。 現金3460万円を持ったまま亡くなった身元不明人(=行旅死亡人)の身元を明らかにすべく奮…

  • アツくアホで愛すべき高校生青春小説 『レヴォリューションNo.3』金城一紀

    皆さん、こんにちは。 日本に居ると日々感じることですが、日本は食材が美味しいと感じます。特に魚! 東南アジアだと魚の鮮度がイマイチで、スーパーの魚売り場では生臭さが漂い、市場だと常温(常夏ですよ)の野外で少々の蠅が飛び交ったり。潔癖気味な家内でなくともちょっと手がでづらい、と。 しかるに、日本。本当に鮮度が良い。 ということで、日々の食事を感謝しながら頂いています。 一次産業に従事される方、物流に従事される方、小売りで汗を流す方、そして家内にも。皆さんのおかげでおいしいご飯を頂けております! ということで本題に参ります。本日は青春小説です。 はじめに わが身、わが高校生活を振り返りつつ 女子高…

  • ユーモアと知をもって認知症をみつめる 『おやじはニーチェ』高橋秀実

    皆さん、こんにちは。 少し、ご無沙汰しておりました。 旅行から帰ってきたと思ったら、父母の確定申告やら子どもたちの学習状況やら自分の体の具合を確認するやらで一時帰国に至っております。 折しも期末ということで数字を詰めるとか、経費を見極めるとか、あるいはプロジェクトを終わらすとかどうとかで、バタついておりました。 ということで本題へ入ります。 はじめに 自分の父親と比較しながら、認知症を考える 認知症を『哲学的に』捉える 認知症学習の入り口にも おわりに はじめに ノンフィクション作家の高橋秀実氏が老年の実父を介護した経験をユーモラスに綴る作品。というか45%くらいは哲学や思想を現実世界へ応用を…

  • コーポレートガバナンスの足しに?または下剋上の指南書として読む? 『韓非子(上)』安能務

    皆さん、こんにちは。 先週、ケニアに行ってきました。 当地からLCCが直行便を飛ばしていたのが端緒。 これまで世界遺産や文化・絵画・景観などを目当てに幾つか旅行してきましたが、今回の旅行はかなり驚き、学びがありました。サファリの雄大さ、キベラスラムの惨状、ケニヤの意外な発展、そして世界の旅行者たちとの語りなど。 学生の合宿みたいな旅でしたが、埃っぽいのが大丈夫で体力がまあまあある(ひ弱すぎない)のであればおすすめです。 象の群れ。アンボセリ国立公園にて アフリカ最大級のスラム、キベラスラムから眺める掘っ立て小屋の数々 ということで本題に入ります。 はじめに 筆者のなめらかな滑り出し やや難解な…

  • しおれた方に効きそうな人生論 『 「ズルさ」のすすめ』 佐藤優

    皆さん、こんにちは。 旅行中シリーズにつき、旅先でケータイで打っています。 ケニアのサファリに来ていますが、色々な人が居ます。FIREしたインド人(37)、クロアチアの研修医(25)、チェコ人のカップル(警察官30、銀行員28)、カザフスタン出身のオーストリア人とドイツ・フィリピンハーフの夫婦(ハネムーン中)とか。ネットで知り合った中国人3人組(推定50代男無職、30代女無職、20代女学生)とか。 英語が共通語ですが、フランス語、スペイン語、ドイツ語、ロシア語はちょっとしたきっかけで飛び交う。 喋れることとか流暢さとかは素敵だけど、内容を洗練させることで対抗する(競ってどうする?)と感じたひと…

  • 脳や心の仕組みから自分をコントロールしよう 『 スタンフォードの自分を変える教室』ケリー・マクゴニガル 訳:神崎朗子

    皆さん、こんにちは。 ケニアに旅行に来ています。今回はsimなしの環境で旅行に挑み、久々にwifiがあり、ここで感想を認めてみようと思った次第です。 ケータイで書くのは初めて! はじめに 私が歳をとったのか? 結局自己認知かな おわりに はじめに スタンフォード大の心理学教授のマクゴニガル氏による意思力強化のための本。 私が歳をとったのか? なかなか面白く為にもなったとは思うものの、通読して感じたのは、「他の人はこうも心を上下させながら生きているのか?」とでも言った疑問。 いかにも(イメージに浮かぶ)アメリカ的な絵かもしれませんが、食欲に負けてダイエットに失敗する、昼職後に甘〜いスイーツを食べ…

  • 財務省の平民重税政策にどう対応するか 『 ザイム真理教』森永卓郎

    皆さん、こんにちは。 さて、これが上がるころ、私はケニヤでサファリを楽しんでいることと思います。 初アフリカであります。 きっかけは地元の格安航空会社が直行便を開始したことにあります。この会社、結構スクラップビルドで路線を改廃するので、行けるうちに行っとこう、という判断です。 この航空会社にのると腰が死ぬのですが、今回は9時間。果たして耐えられるか。でも一人往復5万円程度。買っちゃいますよね。 私のサファリ体験は、姫路セントラルパーク、富士サファリパーク、スリランカのミンネリヤ国立公園とステップアップしてきました。タンザニアもいいらしいですが、多分今回で打ち止めです。 はじめに 財政均衡主義と…

  • ネブカドネザルとバビロン捕囚直前の預言者を描く 旧約聖書 エレミヤ書 『聖書 新共同訳』

    皆さんこんにちは。 毎回書いておりますが、聖書読破計画はもはや苦行であります。 でもやり遂げます。もう人生や仕事とくれば楽です。 ということでサクっと流していきます。 イザヤの次はエレミヤ? バビロン捕囚までの数十年間の話 振り返れば、袋小路のユダヤ民 おわりに イザヤの次はエレミヤ? はい、エレミヤって誰?となりますが、こちらも預言者です。 改めてですが、予言者ではなくて預言者です。 イメージとしてはパワーは、予言者>預言者、みたいな感じですね。予言者はもう断言型のお方。『お前は死ぬ運命にあるのじゃー』みたいな。 他方、預言者は文字通り、大切なお言葉を預かると。もちろん誰の言葉かというと神様…

  • この10年を振り返り、本書を位置づけてみる 『Excelでできるデータの集計・分析を極めるための本』森田貢士

    皆さん、こんにちは。 やっと旧正月もひと段落し、夜が静かで嬉しいです。 さて、これから年度末ですね。収益やKPIなどを拠点の成績をそろそろまとめにかからねばなりません。 で、その前に、ちょこっと来週、息を抜いてきます。まあ、先が分かりませんから、少しずつバケットリストをクリアにしていきたいと思います。 因みに今回はエクセルの本を綴ります。ちょっと自分の仕事のことを振り返りつつ、本の位置づけを書いてみます。というか、自分の思い出話がほとんどになりましたが。 一応目次、 転職当初 転職三年目 転職10年目 エクセルの更なる可能性 で、本書 おわりに 転職当初 会社では計数担当という業務についていま…

  • 観察と対話で地道に環境を変えてゆく 『他者と働く 「わかりあえなさ」から始める組織論』宇田川元一

    皆さん、こんにちは。 最近うちのようなアジアの辺境でもコンサル会社の方にサポート頂いてお仕事をすることが増えてきました。 ただ、一見高級(高給?)なお仕事に見えて、なかなか大変そうに見えます。客先に常駐し、30そこそこのトーダイ君に「これは違いますよ。もっと期限を意識してください」とか言われているのを見ると、なかなか楽ではないなと(だから高給?)。 その姿に、かつてSEをしていた時の協力会社さんを思い出しました。 ちょっとシニアな方だと一人月余裕で100万円はかかっていたと記憶しますが(20年前ですが)、コンサル会社だともっとするはずですよね。 さて本題。 大人になりきれず、機嫌や感情がすぐ顔…

  • シェイクスピアの作品に立ち向かう方の強力な相棒になろうかと 『あらすじで読むシェイクスピア全作品』河合祥一郎

    皆さん、こんにちは。 昨年、今年と、聖書読破プロジェクトを勝手にすすめてめています。 その心はというと、欧州へ旅行し、絵画などを見る時に、よりよくモチーフや背景を理解しておきたいというものです。 もちろん、アジアに住んでいると欧州などにはそうそう行けるものではないものですが、子どもたちの学費を除けば、お金は貯めない(貯めこみ過ぎない)よう気を付けています。いや、ちょっと違うな。人生の終了を見越して、やりたいことを早めにやっておくようにしている。こういう感じでおります。 で、聖書読破はまだまだ時間がかかりそうなのですが、次に考えているのが、シェイクスピア理解であります。 これもまた、英語により書…

  • いつも通り面白い。ただマンネリもやや感じる!? 『騎士団長殺し』村上春樹

    皆さん、こんにちは。 昨年末都心の方へ引っ越しましたが、悪影響が一つ。そう、うるさいのです。 とは言え、うるさいのは花火(爆竹)。 新年はいたるところで花火があがり、小高い丘のマンション(うち)からの動画に対し、息子は「テロやん」。テロじゃないです。 そして旧正月も前々日くらいから朝から夜から深夜からバンバン爆竹がなり、一週間たった今でもバシバシ爆竹や花火があがる。 家内に言わせると、福建出身の方々の旧正月は8日遅いとかなんとか。 真相は良く分からないのですが、旧正月前に死ぬほど爆竹屋の露店がでるのですが、まあ売れるという事なのですね。 で、幾つか祝日があり、その間を利用して読んだのがこの村上…

  • 中世フィレンツェの政治哲学を、引き寄せて読む 『マキャヴェッリ語録』塩野七生

    皆さん、こんにちは。 旧正月のイベントがようやく一巡したようです。 連日外出し、何となく顔は知っているけれど名前が良く分からない人たちに会い、挨拶をし、あとは微笑を表面に貼り付けて5, 6時間座り続け飲み食いする、という。 はじめて会う人や、「あれ誰だっけ?」という人、こういう疑問への答えは名前ではなく、関係性で表現されることが大抵。誰々の息子の嫁、義母の兄弟の娘の子ども、等々。 結果、いつまでたっても名前は覚えられず。よって彼らとの会話も弾まない。 でも今回、強力な助っ人が来ました。それが生後7か月くらいの赤ちゃん!雪見だいふくみたいな可愛いほっぺた、喋らなくてOK(喋れないし)、ということ…

  • 諸文明とその連関の地球史。より世界史を理解したい方へ 『世界史(下)』ウィリアム・H・マクニール、訳:増田義郎、佐々木昭夫

    皆さん、こんにちは。 旧正月が始まりました。 うちでは恒例の家内の実家でのお食事会にお邪魔したり、あるいはその親族のおうちのOpen Houseみたいなのにお邪魔したりで、なかなか疲れます笑 皆さん英語が喋れないわけではないのですが、基本は広東語。他方私は広東語は喋れません。となると、もう必勝法は、食べて飲んでまどろむ、といういつも通りの戦法。 義理の母親もそろそろ80歳ですが、彼女が存命の間に、きちんと会話ができるくらいマンダリンも勉強せねばという今日この頃であります。 下巻は近代以降 さて、下巻では近世以降を取り扱います。 個人的には、上巻対比だと今一つ印象に薄いかもという感想。 上巻は、…

  • 歯止めがかからない元モデル妻に、人間らしさを認める 『眠れるラプンツェル』山本文緒

    皆さん、こんにちは。 旧正月ですね。私の居住国も多くの華僑がいらっしゃり、先週末から道路がすき始めました。 田舎出身の同僚も、我先にと有休をとり、田舎に戻っていきました。 こういう『家』中心、『正月』絶対主義、こういうのは日本ではほぼ失われたかなと思います。 幾許かの憧憬を持ちつつ、近所の家内の実家に私もお邪魔する予定です。 はじめに 2021年に逝去された山本氏による1995年の作品。大分前の作品ですね。 さて本作、20歳ちょいで結婚し、専業主婦歴6年の元モデルの女性の話です。 乱れる元モデル主婦に思う 端的に言うと、まあ「分かるなあ」という部分と「どうもねえ」という部分、両方あったな、とい…

  • 経済・金融について自信がない人には良いかな 『「半沢直樹」で経済がわかる!』池井戸潤、櫻沢健

    皆さん、こんにちは。 そこまで離れていないとはいえ、東南アジア辺境で暮らすと、日本語の本に不自由することになります。 もちろん入手は可能です。ただ、どこまでコストを許容するかということで、シブチンな私の性格かつ子どもたちの学費がピークに差し掛かろうとしている昨今、浪費(に見えるようなこと、妻目線で)は厳禁であります。 となると、手元に残った本を少しずつあたることになります。 積読してある本。読もうと思って目の前に置いておくも、数ページ手繰り、静かに本棚に戻した本。実家から持ってきて、10年以上そのままの本。 でも、そういう本を読むのもいい機会です。 それはそれで味わって楽しみたいと思います。 …

  • 預言?じゃれ合い?神と人間の相互依存的預言書 旧約聖書 イザヤ書 『聖書 新共同訳』

    皆さんこんにちは。 私の聖書読破計画も、はや二年目。されど未だ道半ば。 そして昨月から足掛け二カ月でやっとイザヤ書を読了しました。つらいよう。 イザヤって? 度々思うのですが、大体、聖書の〇〇書、ってのは人の名前。 では今回のイザヤ書のイザヤって誰って話。 イザヤ書の冒頭にはこうあります。 アモツの子イザヤが、ユダとエルサレムについて見た幻。これはユダの王、ウジヤ、ヨタム、アハズ、ヒゼキヤの治世のことである。 だそうです。 まあ、ダビデやソロモンが統一国家を持った後の、ユダヤ国家が二分していた落ち目の時の予言者と解しました。 格調高いと思いきや、DV男の懇願みたいなところも 内容はですね、ユダ…

  • 奇譚にふさわしいシュールさ。読み口も村上テイストもライトめ。 『東京奇譚集』村上春樹

    はじめに 村上春樹氏2005年の作品。5篇からなる短篇集。 シュールで微熱的な、得も言われぬ魅力のある作品集だと思います。 「偶然の旅人」が一番良かったかな 一番のお気に入りはやはり、巻頭を飾る「偶然の旅人」。 ゲイの調律師が、オフの日に郊外のショッピングモールにある喫茶店で読書をしていて、とある主婦と出逢い、すんでのところで一線を越えそうに。勢いを殺すべく、その時点でゲイをカミングアウト。そこでより一層深く互いのことを話し、その女性にも不安や悩みがあることを知る。それをきっかけに、ふと、かつて仲がよかった姉を思い出す。 20歳そこそこでゲイのカミングアウトを切っ掛けに、結婚直前であった姉とは…

  • 静謐とシュール、味わい深い短篇集 『夜明けの縁をさ迷う人々』小川洋子

    皆さんこんにちは。 読了してから時間が経ち、想いを綴るのが面倒になる。あるいは「これを書きたい」と考えていてからバタバタして、書く気持ちが冷めてきた。 そういう事、ありませんか? ということで私、今それであります。 簡潔でさっぱりと端的に書く、しかもスピーディーに。そんなテクニックを得たい今日この頃です。 はじめに 相変わらず良かった! 「静謐」という言葉がぴったりくる小川氏。彼女の2007年の作品となります。 短篇9編からなる本作、全般的に幻想的(シュール!?)、でも筆致はしっとり。 そうしたギャップが、真面目な顔して冗談をいうかの如く、ユーモアを湛えた雰囲気すら醸成しています。 あるいは、…

  • ご自身の仕事・人生を考えるきっかけに 『「仕事ができる」とはどういうことか?』山口周/楠木建

    皆さん、こんにちは。 昨年末の話。 遥か遠い東京の本部で開催された役員様の講話のビデオをうっかり見たらこれが意外と良かったという話です。 私のようにアジアの辺境におりますと、本部に対しての不感症・必要以上に斜に構えてしまうことがしばしばです。こんなことしましたというメール、動画もありますので良ければどうぞ、みたいなお知らせも通常受信後即削除でした。まあ、日本と海外拠点は違うし、とりわけ田舎の拠点にとっては東京のお話はしばしば「キレイな机上の空論」にしか見えない。勝手に本部で盛り上がっててよ、と。 ところが。 年末というのは人をおかしく?するのか、その時は心にも余裕があり、冷ややかながら見てみよ…

  • 圧倒的密着度で描く、戦争最後の日 『日本のいちばん長い日』半藤一利

    皆さんこんにちは。 そういえばこの前、勤める会社のアニュアルディナーというものに参加してきました。 一年間お疲れ様、という社員を労うようなディナーで、ラッキードロー(福引き)があったり、ナマ演奏があったりという、言わば宴会、ですね。 数年前は更に駐在さんらによる出し物みたいなものもあり、昭和な雰囲気が濃かったです。 私は人付き合いが悪く久々に出席しましたが、今や会社の規模も相応に大きくなり円卓の数も多く(30卓くらい?)、知らない人たちも増え、若干居心地の悪さも感じました。 会社の規模によって、諸々のエクササイズも変化するべきだろうな、と感じた瞬間でありました。 概要 半藤一利氏による作品。 …

  • 連続殺人の行く末は。刑事の心の傷と、関係者の心の傷たち。人間の暗部よ。 『あなたが消えた夜に』中村文則

    皆さんこんにちは。 年末に子どもたちとZoomしておりました。すると今春高校三年になる娘が突然「留学したいかも」とつぶやきました。 幸い、付属校に通っており、まあ大学にはそのまま行けるのですが、ただでも高い学費に交換留学でしかも2年! 別途大学のホームページでこの交換留学の制度とその費用を見てみぞおちに息ができない位のパンチを食らったかと。それくらいひりつく値段。 ということで、妻の就職活動にも力が入ります。 これはこれで「家にいるばかりだと暇だ、ボケる」とこぼしていた妻の為でしたが、妻にとっても就職に臨むにあたりモチベーションになっている模様。 これで妻の就職がうまくいけば、老後資金と共に子…

  • ピボットテーブルとエクセルマニュアル作業の力業に疲れたあなたに 『Excelパワーピボット 7つのステップでデータ集計・分析を「自動化」する本』鷹尾祥

    エクセルユーザ、会社のEUC環境をグチる きっと多くの社会人の方が触ることが有るエクセル。まあ便利っちゃ便利です。履歴書に使えたり、貢献評価シートとして使ったり、まああの「枠」はいろいろ使い勝手がありますね ただ、何ていうんでしょうか。 こと数字の集計のお仕事をしている方は、どうにも煩雑になる、マニュアル作業が入る、ピボットテーブルがいう事を聞かない、まあ平たくいうと「うまくいかない・時間がかかる」ってことが多いのではないでしょうか。 加えてですよ、そのデータも、システムが多くあり過ぎてデータが散逸している、しかもデータの形がバラバラ、正規化されていない、等々多くのご不満をお持ちになることも多…

  • 会話のチグハグ感から明るみになる家族の不和と不義 『Buried Child』Sam Shepard

    昨年末、当地の税制で書籍が所得税の課税対象額から控除されることを理由に、新古品の本屋で洋書をドカ買いしました。 ひゃー、思い出すだけでも嬉しい! 読むより買う時の方が刺激が強いですね。それを発売年代順に並べちゃったりして、古い順に読むという算段です。 で、トップバッターはこちらの戯曲です。なかなか面白かった。 はじめに 米国の俳優・戯曲家サム・シェパードの作品。1979年のピュリッツァー賞(戯曲部門)受賞。 三幕構成で、ト書きも含めて120ページの極々短い作品。だけど上演すると2.5時間くらいかかるらしい。 っというか、そもそもピュリッツァー賞がたくさん部門があるってのを知りませんでした。いや…

  • 2024年読書を振り返る(印象に残った8選)

    皆さん、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。 いやあ、年内にポストしようと思いましたが、無念、時間が足りませんでした。 わたし的2024年の最もよく撮れた写真。トスカーナの田園と朝靄(本文とは関係ありません笑) さて。 そうこうする間に、本ブログも何と満5年を迎えることが出来ました。有難うございます。 相変わらず、読み散らかし、ジャンル不統一、自分の忘録中心、文章力向上せず、語彙も不足、レトリックなどは言うに及ばず。唯々低頭するばかりであります。 文章のヘタさについては、直したいとは思って自分のTO-DOリストにはあるのですが、プライオリティが低くて結局手につきませ…

  • 思考術としてのメモ、自己分析にも使える 『メモの魔術』前田裕二

    突然ですが、来年で50歳になります。 日本では全く芽が出ず(役に立たず)、10年前に逃げるように海外に来ました。ところが、ローカル社員ということで駐在さんの給料の1/3、また現地人ローカルスタッフ優先の国策もあり、日本人ローカル社員として昇進の目途がありません。ということで、窓際、であります。 でも、時は経ちます。どんどんお金が必要になります。 親の介護がそろそろ必要になってきたり、下の子の大学進学(2人の子供が同時に大学生である2年が学費のピーク)を見据え、よりお金が稼げる体制を考える必要があります。でも、同時に、キャリア志向ではなく自分がここから死ぬまで何をやりたい、どうしたい、というのを…

  • 食材や業界の裏話。流れは倫理やイデオロギーにつながるか 『別冊宝島436 食材の常識が変わる本』

    はじめに 食材に対する疑問、疑念、多くの方が持つのではないでしょうか。何がより良いのだろう?どれが一体安全なのだろうか? とりわけ小さいお子さんがいる家庭だと、自分はまだしも、せめて子どもには安全・安心な食材を取らせたいと思うことも多いと思います。 うちの場合、母親がゴリゴリの生協(合併前の生活クラブ生協、思いっきり左派)に加入しており、何でもカンでも生協の製品推しであったこともあり、当時は事あるごとに「また生協おばさんが言ってらあ」と私や姉は斜に構えていました。が、ふと気づくとスーパーで売っているお菓子の成分表などを見ては「あ、黄色○○号、石油由来の着色剤は発がん性物質!」とつぶやく小学生に…

  • 国家に追われる愛国者、真犯人はいずこに!? 『CHILD44』TOM ROB SMITH

    皆さん、こんにちは。 いやあ、年末ですね。 休みを取る人、自宅勤務にする方、もろもろあって、オフィスはガラガラ。 また、会社を去る人のfarewell、異動の通知などが飛びかいました。 そんな年末モードですが、バタバタと本が読了しております。 ここからは連日のポストになるかも、です。 こんな話 ソビエトの作家というと取っつきづらいという印象があります。 若い頃に読んだツルゲーネフやドストエフスキー。 そして、近年読んだソルジェニーツィンしかり。全体的に、陰鬱。 でも本作『CHILD44』は英国作家の著。 但し、舞台はソビエト時代のモスクワ。従って、その陰鬱な雰囲気は十分に踏襲されています。 時…

  • 震災の周辺で傷ついた人々のゆくえ 『絶唱』湊かなえ

    皆さん、こんにちは。 いやあ、久しぶりに上の人から怒られました。 曰く『もう少しオーナーシップをもって仕事をしてもらいたい』とのこと。 100%その部長様にお返ししたいと思いましたが、ことなかれ主義なのでぐっと飲みこみました。 こういう時は海外で日本人ローカル社員であることはネガティブに作用することがあります。同じことを現地人に言えるかしら?と。 このようなことがあると、『お手伝い』的に仕事をやるとその後全責任を負わされる、だからやらない、という流れになります。JDにあることしかやらないと。 色々と考えることのある年末の一日でした。まあ部長君のいう事も分からんではないけど。 はじめに 本作は湊…

  • 伊坂氏ならではの時間超越系連作、でもほっこり 『アイネクライネナハトムジーク』伊坂幸太郎

    皆さん、こんにちは。 突然ですが、来年から少し楽器でも再開しようかなと考えています。 読書は好きなのですが、ゆくゆくは目も更に見えなくなると考えています。網膜剥離とかやったし、目はあまり良くありません。ひょっとしたら失明とかもあるかも? で、目が見えなくても指くらい動くじゃん?という何とも愚かな考えです笑(レイ・チャールズかよ) 50から少しずつ始めたら20年間やったら結構なところまで行けるんじゃね?みたいな。 ただもう学生の時みたいに若くもないし時間も体力もないので、どうなるもんだか、ですが。娘が残していったピアノか(私も小学生低学年まで少しやりました)、中高大とやったギターかどちらか考えて…

  • 15歳の家出少年のフシギな自己陶冶小説bildungusroman 『海辺のカフカ』村上春樹

    はじめに もう当たり前なのですが、いかにも村上氏らしい作品だったと思います。 洒脱さ、会話、音楽など、今度の<僕>はちょっと若め。でもぐんぐん読めちゃいます。 田村カフカ君ときた 先ずは主人公の田村カフカ君。このキャラが村上作品の伝統を受け継ぐというか、らしさ満載であります。 というか、名前からちょっと気取っているよね。てか皆さんカフカは読みましたか?まあそれはいいとして、そういう変化球的な偽名をつけるというのがいかにも。ちなみにカフカというのはチェコ語でカラスという意味らしい。飲み会で喋りたくなる蘊蓄。 さて、田村君ですが、衒学的な喋り、強いのかナイーブだか分からないツンデレ・ギャップ萌え?…

  • 恐ろしくマスク氏に肩入れするイケ好かなさよ 『世界をつくり変える男 イーロン・マスク』竹内一正

    皆さん、こんにちは。 久し振りに自分と方向性が全く違う!?作品に出会いました。 私の気持ちの肥溜めのようなこのブログは、取り立てて「おすすめ本」を綴るわけではなく、淡々と読んだものを記録しておくために書いているものです。 今回のポストはその観点では全くお勧めしませんが、記録として残しておきたいものです。 言葉遣いが少し攻撃的になっているやもしれませんので、今回のポストは飛ばしていただき、また次回お越しいただければ幸いです。 はじめに 本作も頂き物。 頂いたんだから読まねば、となり、読みました。 結果、ああ、こりゃだめだ、という感想であります。 ざっと言えばこれだけ 内容は、タイトルの通りですが…

  • 古代史、意外に面白いじゃん 『世界史(上)』ウィリアム・H・マクニール、訳:増田義郎、佐々木昭夫

    皆さん、こんにちは。 軽い風邪をひきました。ということで一日お休み。 最近社内でもインフルが流行っており、体調が悪い人は無理を押して出社するほうがきっと迷惑だろうと考えました。 因みに当地ではSick Leaveという有休が、通常の有休とは別に15日ほどあります。医者にかかるとMC(Medical Certificates)という切れ端みたいなのを貰い、それと共に会社でSick Leaveを後付けで申請。 通常の有休が少ない会社さんですと、頻繁にSick Leaveをとる(つまり仮病ですな)輩も出てくるとか。応じて有償?でMCを書く医者もいるとかいないとか。たまに話題になったりします。 人も会…

  • 歴代作家による、お題「喫茶店」の大喜利!? 『おいしいアンソロジー 喫茶店』

    皆さん、こんにちは。 今度パパ友たちと忘年会をすることになりました。 私のように人嫌い・非社交的な人間は家族との関りがせいぜいですが、幸い子供たちのおかげで彼らの友人の父母と知己を得ることができました。 そうした新たな「友人たち」は大抵は駐在。数年後には、或いは新たな任地へ、或いは日本へ本帰国となることが殆ど。 そしていまだに例外的に当地にいる人たちといえば、もうお互い随分長い付き合いとなり、癖も互いに受け入れる?仲に。 年に一度会うかどうかの方々ですが、大切な友人。彼らとのささやかな情報交換とお疲れ様会であります。 はじめに 本作も友人からの頂き物。 アンソロジーということで、オムニバスの作…

  • 財界トップによる中国観と、日中関係への提言 『習近平はいったい何をかんがえているのか』丹羽宇一郎

    皆さん、こんにちは。 いやー、今日、久々に洋書をぽちってしまいました。 私が住むアジアの辺境では新古品の洋書店があり、一冊およそ500円程度で本が買えます。そちらのネットのサイトを2時間くらい眺めて、14冊も購入!締めて7000円! いやー、こうやって読んでみたい本を探して、かごに入れて、内容をググってとかやっているのが楽しい!ブッカー賞とピュリッツァー賞を中心に過去の受賞作品とかshort-listed作品で在庫があるかを探しつつ物色しました。 ああ、読めるのか分からん・無駄になるかもという恐怖感と大好きな本を一挙にこんなに買っちゃうの!?という背徳感! ちなみに私の居住国では確定申告は必須…

  • 死んだ人が見える?PV。若手アーティストが誘う謎の世界の源泉とは? 『禁じられた楽園』恩田陸

    皆さんこんにちは。 いつの間にか師走ですね。 もう年末が待ち遠しい感じになってきました。当地では駐在のお偉方の年末の休暇が続々と発表になっています。皆さんクリスマス前後から三が日程度までは日本に帰られる予定のかたが多いみたいです。 対して当地は、カレンダーは1月1日がお休みである以外は年末年始通常営業です。 会社の雰囲気はゆるーい感じになりますが、それを利用して、年末はフォルダやファイルの整理などをできたらいいな、と考えています。 はじめに いやあ、面白かったです。 1992年デビューの恩田氏の2004年の作品。ちょっと古めですが、恩田氏得意のモダンホラー系の作品です。 あれ?表紙ってあの、羽…

  • ブラック企業に追い込まれた人々の苦境と恢復をビビッドに描く 『ちょっと今から人生かえてくる』北川恵海

    皆さんこんにちは。 先週引っ越しを完了しました。 引っ越し後困ったのは、スーパーマーケットでイマイチぴんと来る店が近くにないこと。まあ東南アジアの生鮮食品のレベルは日本と比すると雲泥の差がありますが、それでも日本人基準でまあ受け入れられるところ、はまああります。 しかし、厳しめなところですらちょっと近所にない! ではなぜそんなところに越したかというと、家内がそこがいい、といったから笑 これまで東京、大阪、名古屋と転勤してきましたが、いずれも家内の「引き」の良さのような運で素敵な住宅に住むことができました。 今回はどうでしょうかねえ・・・。 はじめに てっきりノウハウ系の話だと思って手に取ったの…

  • 旧約の中に突然ニーチェ!? 雅歌は祝祭的なほっこり恋歌 旧約聖書 コヘレトの言葉・雅歌 『聖書 新共同訳』

    皆さんこんにちは。 やれペンキ塗りだ、引っ越しだとバタバタしており、体のメンテナンスを怠っておりました。 本日、一カ月ぶりくらいにルームランナーに乗っかって走ってみると、どうにもしんどく、時速6.8kmがマックスという何ともスローな走りしか実現できず。 思えば20代、30代は時速10km程度で走れました。40代になりこれが8km程度になり、もうすぐ50代。 脳梗塞で死にかけたことで、老い・死を認識し始めることができました。 故に、以前感じたような「くやしさ」「もっとできるはず」という過剰な自信を持つことはなくなってきました。 ただ現実を受け入れる。そして急がない。 ただ、運動が足りなかった。そ…

  • 空港テロリスト容疑者10人+1の密室群像劇 『消滅』恩田陸

    皆さんこんにちは。 本年の懸案であった引っ越しがやっとのこと終わりました。 思えば脳梗塞の手術を終え、こちらに戻ってきた6月から物件さがしをスタートさせ、これまでのシブい(対応・お金ともに)大家と侃々諤々の議論の末、ようやく契約満了の運びとなりました。 新しい住居は従前よりも6000円程度増加するも、会社までの距離がこれまでの車で25分から18分程度になることによりガス代や時間の節約になることになります。 もう大きな引っ越しはこりごりなのですが、いっそうモノの整理をしてゆこうと感じました。新しく1買ったら2捨てるくらいな勢いですすめていけたらと。 とはいうものの、最近1すら買わないことも多いの…

  • 凄い本を読んでいる!という感覚で読み進め、最終的に理解できず泣 『合理的な愚か者』A・セン、訳:川本隆史、大庭健

    皆さん、こんにちは。 現在、引っ越しの荷造り真っ最中です。 大雑把な私は、細かい家内の手伝えることは余りなく、本棚の整理・梱包がメインの仕事でした。それにしてもたかだか本棚一つしか持ち合わせはないのですが、なかなかの本の量になります。200-300冊くらいになるのでしょうか? 子どもにシェアすべく取っておいた文芸書、また読み直そうと持っていた思想関連など、厳しく断捨離してゆく所存であります。 はじめに インド出身で1998年にノーベル経済学賞(分配・厚生と貧困・飢餓の研究における貢献)を受賞したアマルティア・センの作品の翻訳。複数の論説を翻訳したものとなります。 なお翻訳は東大名誉教授の川本隆…

  • 山をめぐる心理描写と、連作の妙 『山女日記』湊かなえ

    皆さん、こんにちは。 やっと引っ越しの目途がつき、来週には引っ越しです。 それにしても子供たちが日本に戻り、今や同居するのは夫婦のみ。子どもの着なくなった服、昔の学校の道具、果ては就学前後のおもちゃなどが出てくると時代が経ったことを実感します。 でも借家住まいは相変わらず。 過ぎ去りし過去に一抹の寂しさを抱きつつ、新しい住居へ引っ越しします。 はじめに 湊かなえ氏2014年の作品。 登山・トレッキングがテーマの連作による小説。登山中に描かれる、やるせない思い、伝えられない想い、後悔・追想が描かれます。 登山、友、恋人、回想 登山というと、ちょっとハードル高い印象です。 私もトレッキング?くらい…

  • シエナの奥底に流れる異教的文化 『シエナ 夢見るゴシック都市』池上俊一

    皆さん、こんにちは。 最近、家内の就職活動を手伝っています。 「子供は日本だし、一日中家にいるのは暇。日本語もあなたとの会話だけでどんどん下手になる。日本語を使う仕事がしたい、でも忙しすぎる仕事はいや、そして有休が多い会社、できればWork from Homeができるところが良い」とのこと。 奥さま、注文が多いです。 で、履歴書の作成、英文履歴書も私が作り、数社にCVを投げてみました。 妻が幸せなら、何も言うまい。そういう思いでしぶしぶ活動しております笑 50代の主婦は果たして就職できるでしょうか。 はじめに 東大名誉教授でヨーロッパ中世史がご専門の池上俊一氏によるシエナ本。 シエナの魅力を歴…

  • 面白い!でも読後にしんみりと考えてしまう作品 『フーガはユーガ』伊坂幸太郎

    皆さん、こんにちは。 懸案の来月の引っ越しに先んじての室内塗装。これがやっとこさ終わりました。掃除を含めて計三日かかりました。もう、体がバキバキです。 老後、というか子どもたちが片付いたら、日本に帰る予定ではあります。が、住む家がないので地方都市の中古マンションを購入することを将来的に計画しています。その場合は室内塗装を自分でやる自信がすこーしだけつきました。家内は「は?10年後におんなじことやったら死んじゃう!業者!業者!」とのたまう。。。お金貯めないと。 そういえば、ブックオフでブラックフライデーセールなるものを発見。眠れぬ夜に夜な夜な中古本をポチリました。在庫が少ないのが難点です。作品の…

  • キレイゴト、誰が語るかで伝わりが異なるか!? 旧約聖書 箴言 『聖書 新共同訳』

    皆さんこんにちは。 今度の12月に引っ越しをします。 値段交渉はハードネゴシエイターの家内の役割で、家賃を約7,000円程下げることに成功しました。その代わり、部屋の塗装はこちらもちという事で話をつけました。 「こちらもち」といっても、我々が手配し業者に支払うというわけではありません。我々が我々自身の手でやります・・・。 ということで週末は20L入りのペンキボトル、ローラーや刷毛を購入し、ペンキ塗り。とてもじゃないけど全然終わらず、今週は二日有休をとって土日を入れ、計四日間で終わらせる予定です。 もう腰や足が悲鳴をあげています・・・笑 というか、意外にキレイで出来るのでなかなか楽しい、というの…

  • 茶道を通して、自分を受け入れる・空気を感じる 『日日是好日』森下典子

    皆さん、こんにちは。 突然ですが、皆さん眠れていますか? 私は若い時から夜型・睡眠不足気味という生活で、ベッドに入ると瞬殺、週末ともあろうものなら翌日午前10時、正午、ひどい時には16時頃に目覚めるということもありました。 ところが、ところが。 40代も終盤に差し掛かった今、眠れない・寝付けない、という日がしばしば起きるようになりました。 疲れていない?あるかもしれません。窓際だし。運動していない?これもあり得る。でも週に二回くらいはジョギングをするようにはしています。食事や刺激物とか?こちらに来てから酒はほとんど飲まず、食事の夜の8時までには終わる感じ。 一言でいうと、小学生のような生活なの…

  • 良き人の気持ちが「縁」と奇蹟を呼び起こす 『ナミヤ雑貨店の奇蹟』東野圭吾

    皆さん、こんにちは。 そういえば、トランプ氏が大統領になりましたね。 突然ですが皆さん、投資はどうされますか? 私は金融機関で勤務していることもあり個別株への投資は許可制なので面倒でやりません(アジア株なんて分かりませんが)。ただ、日本を出るまでたまった確定拠出年金が150万円分くらいありました。全て外国株投信に突っ込んでいたら米国株高と円安と相まってあれよあれよと400万越え(10年かかりました)。 その間追加拠出なくこのパフォーマンスですので、毎月拠出されている方は資産効果で財布のひもが緩んでいるのではないでしょうか。 ただこれからはちょっと分かりませんね。 私は一旦ポートフォリオ整理をし…

  • ユーモラスも「読ませる」ソマリア記。民族と国際社会 『謎の独立国家ソマリランド』高野秀行

    皆さん、こんにちは。 近頃感想を書くのが遅れています。 本は読むには読むのですが、形に残すのが面倒で。。。 ほぼ他人を意識せず、時に自分で見返しても、良く分からないこともあるレビューなのに。それでも面倒くさい。 以前、三行だけの書評ブログ、みたいなのを見ましたが、私も字数制限をもうけるかどうか悩みます。15分で考えて10分で書き上げる。5分で誤字チェック。そういう書き方ができないものかなあ。 はじめに 早稲田大学探検部出身のノンフィクション作家、高野秀行氏。 作品群のタイトルを拝見していると系統としては「世界ふしぎ発見」「ウルルン滞在記」的な体当たり潜入系の取材記録が多いという印象。 本作は2…

  • かつてのマネーロンダリング・租税回避の仕組み 『SECRECY WORLD』JAKE BERNSTEIN

    皆さん、こんにちは。 そういえば、来月12月に引っ越しをします。今の居所ですが、四年間のテナーで契約しましたが、それが切れようとしています。大家が金にうるさいひとで、もろもろ揉めたこともあり別のところへ移ります。 因みに、この部屋、当初6.3万/月で契約しましたが、こちら版Suumoみたいなやつで大家が掲示しているのをみると9.8万/月でありました。 物価上昇か、大家の腹黒さか。いずれにせよ、反りが合わない彼ときれいにお別れしたいので、多少の出費は我慢して、粛々と引っ越しをしたく思います。 ちなみに引っ越しがあるので最近本の購入を控えています。早く引っ越しして本が買いたい! はじめに 米国ジャ…

  • 女子高生らが一人称で語る、事件への顛末と真相 『蛇行する川のほとり』恩田陸

    皆さん、こんにちは。 そういえば、この11月でこちらの会社でお世話になって10年経ちました。 思えば色々ありました。会計課には嫌われ「あいつはアホで英語も喋れないからもう話したくない」と上司にチクられたり、午前2時まで必死こいてエクセルの関数のミスを探したり、初めは大変でした。 そうこうするうちに、息子は日本へ帰り、娘も日本に戻り、いつの間にか妻との二人暮らしに。まあ年を取ったという事でもあります。 そうそう、会社から15000円程度の慰労金が出るそうです。ちょっとケチだよねえ。いや、あるだけましか? はじめに 1992年にデビューした恩田陸氏による作品。文芸誌に分割掲載されたのち、2004年…

  • 賛歌よりもその詠唱の方法が気になる 旧約聖書 詩編 『聖書 新共同訳』

    皆さんこんにちは。 最近ビデオをとっています。誰を?というか、自分のです。 どんだけ自分が好きなんだよ?ってお思いかもしれませんが、単純に英語のスピーチの練習です。 日本を出て10年、スピーチクラブに入って8年くらい、その間何十とスピーチをこなし、多少は日本語英語のアクセントも取れたかな、speech crutch(アーとかエーとか)も大分減ったかなと。 でもこうしてビデオをとると全然だめですね。クセのある喋り方をしています。恥ずかしい。 曲がりなりにも英語を使って仕事をしています。せめてシンプルで明瞭な(発音も言葉遣いも)喋りを日英両方でしたいと思います。 はじめに 詩編はその名の通り、全て…

  • 起伏に富むストーリ展開。世界史との交差も 『ねじまき鳥クロニクル』村上春樹

    皆さんこんにちは。 あっという間に一年も残すところあと二月となりました。会社では、ついこの前上期(1H)の自己評価を終えたばかりですが、個人的に勝手にやっているYear Resolution(1月初めの12月終わり)はまだまだ積み残しがあります。 こちらもきちんと取り組みたいなあと思う今日この頃です。 はじめに 村上春樹氏による1994-1995に発表された長編小説。 私が読んだのは文庫版三分冊で、夫々、第一部 泥棒カササギ編、第二部 予言する鳥編、 第三部 鳥刺し男編と名付けられています。 村上作品の典型 村上春樹氏の再読シリーズをここのところ毎月続けています。 これまで村上作品のイメージと…

  • 網羅的にAccessのことが分かったと思う。これでフォームは作れるようになりそう! 『できる Access2021 基本編+活用編』きたみあきこ

    皆さん、こんにちは。 経費の管理で色々と悩んでいます。 会計データは勘定別に出力するため明細がない。支払管理システムはキャッシュベースなので必ずしも会計データと平仄が合わない(会計上前年度計上にしたものを今期に支払うとか)。 で、私は経費の予算交渉、予算に対しての実績管理等しているのですが上記のうち前者の会計数字を後者のような明細で欲しいというのが今の気持ちです。 どうしたものか色々と夫々のシステムの仕様を調べているのですが、二つのデータベースのEUC環境がどうにもよろしくなく、またT大出身の駐在君がもっと細かい経費承認を実現したい、と言い出しまして。。。似たようなものを二重管理・三重管理とな…

  • ムダ毛の話じゃなかった泣 『毛 生命と進化の立役者』稲葉一男

    皆さん、こんにちは。 突然ですが、私、毛深いです。そしてこれは親譲り。簡単に紹介すると以下の通り。 (父親)無毛。パイ毛が一本(幼い時、あのパイ毛を抜きたくて仕方なかった) (母親)毛深い。ストッキングからすね毛がはみ出る (私)毛深い。特に足・股間、からのギャランドゥ (妻)無毛。腋毛の処理は一生で二回とのこと (息子)うすい。スネに程よい毛 (娘)毛深い。腕や背中にうぶ毛より濃い目のやつ ということで、ムダ毛の無毛遺伝は、私の父、私の妻というチャンスがありながら、娘には行かず。私は母より毛深い遺伝子を引き継ぎ、そして娘へと渡してしまいました。 夏にもなるとムダ毛処理に余念のない娘ですが、「…

  • 輝いているようで茫漠たるモテ系、下位だけど打ち込むものがある非モテ系、高校生大変そう 『桐島、部活やめるってよ』朝井リョウ

    皆さん、こんにちは。 私事ですが、昨日で結婚20年でした。 前々から家内とは、早いねー、あっという間だね―などと話していましたが当日まで二人とも忘れていました。仕事中ふと思い出し、どうしよっと思い、急いでグーグルマップでお花屋さんを探し、ちっちゃいブーケを買って帰りました。 「え?私に?」って二人暮らしなんだから、あなたしかおらんやろって感じです。 「あー、ありがとう。忘れてた」とのこと。 まあいいですよ。私が忘れててあなたが覚えていたら、あなた、すごい機嫌斜めになりますもんね。 ここまで20年、色々ありがとうございます。 これから先も、どうぞよろしくお願いいたします。 はじめに 朝井リョウ氏…

  • 米国経済エッセイ、昔話として楽しく読める 『人と企業はどこで間違えるのか?』ジョン・ブルックス、 訳:須川綾子

    (愚痴長めで済みません) 皆さん、こんにちは。 最近会社の管理職(ローカル)の退職が相次いでいます。 補充が必要なわけですが、当地の金融機関ですと、人を雇うとき、結構多額の費用がかかります。 まずスタッフ・トレーニング・ファンドという謎の業界団体への上納金(月給6か月分)。日本で言うところの全銀協とか日本証券業協会とかに収めます。引き抜きを極力抑えて各社で育ててね、という事らしいです。その代わり、ある一定の研修を受けるとこの業界団体へクレームできるという建付けです(殆ど使っていません)。 加えて、転職エージェントに大体月給の2.5カ月くらい払うそうです。ちなみに当地のエージェントと先日会食した…

  • 狂気に近い絶望男の叫び 『過酷なるニーチェ』中島義道

    皆さん、こんにちは。 これを書いているのが土曜日なのですが、とても気持ちいいです。 金曜日の仕事を終え、土曜はゆっくり過ごしたのでウイークデイの疲れもとれ、運動もしてリフレッシュ。それでもまだ明日休みがある! 週休二日って素晴らしい。 それを思うにつけ、入院中にお世話になった先生方、看護師や理学療法士の方々には頭があがりません。週休二日取れているのでしょうか? 担当医の方は、働き方改革は全然進んでいない、と仰っていました。 何卒ご自愛いただければと思います。 なぜにニーチェ? ニーチェなんかに興味がある人ってどんな人なのだろう? とふと私は思ってしまいます。なんか、なんて言い方をすると申し訳な…

  • 短篇連作で綴る、殺し屋と泥棒の物語 『首折り男のための協奏曲』伊坂幸太郎

    皆さん、こんにちは。 そういえば選挙、あるようですね。私の居所では在外選挙として早速始まっています。 期せずして期限前であります。 因みに、投票した結果は、最終日に大使館の職員の方がフィジカルに日本に運ぶのだとかなんとか。 本当にご苦労様でございます。 はじめに 伊坂氏による2014年の発表作品。 殺人者首折り男のストーリが一つの流れ。もう一つが泥棒(探偵)黒澤の流れ。この二つの通底音が絡み合い、協和音を奏でます。 協奏曲とは? 協奏曲ってなんなの?と、ふと思いました。 Wikipediaの解説を読んでもいまいちの納得感。誤解を恐れずに言えば「独奏楽器と管弦楽によって演奏される楽曲」ということ…

  • 数字とはいえ鵜呑みにできない 『データは騙る』ゲアリー・スミス、訳:川添節子

    みなさん、こんにちは。 私事ですが、ちょっと最近マラソン、いいかも、と思っています。 といっても、フルとかではもちろんなく、ハーフでも長すぎ。ほんの10kmくらい。これを旅行がてら走る(といか歩くのもOK)ことを夫婦でやろうというアイディア。 マラソンイベントは、時に歩行不可の橋であるとか、夜明け前後の時間(日の出写真!)とか、体を動かすこと以外で結構楽しめるのではないか、と今更ながらに気づいた次第。 運動が得意ではない家内と一緒に体を動かすのが目的です。 数字はいつも正しいか? 数字というものは実に力強い。 数字で表現すると他者との比較が可能になるし、過去との比較が可能になるし。相関性につい…

  • イヤミスあり、ツイストあり、島の閉塞感をねっとり描く 『望郷』湊かなえ

    皆さん、こんにちは。 突然ですが、島って、どんな印象でしょうか? 私はもう島っていうとダイビングや海、バカンスという印象です。というか大好きです。 学生の頃は、沖縄に行って島めぐりみたいなことも。水納島、慶良間島、石垣島、波照間島、竹富島など。卒業旅行に小笠原も行きました。就職してからは海外に目が行き、サイパン、セブ、バリなど。アジアに移住してからは近場ということもあり、プーケット(タイ)、フーコック(ベトナム)、モルディブなど。 楽しかったけど、開頭手術をしてからダイビングは禁止となり、海に行きたい気が減ってしまいました。 さて、今回読んだ作品は、日本のとある島出身の方々の話です。むしろ因習…

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