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海外オヤジの読書ノート https://lifewithbooks.hateblo.jp/

40代、全く出世しない窓際おじさんが、成長し生き抜くために読書をします。その読書録。最近、生き抜くより息抜く読書が多めです。2014年から海外で生活しています。因みに奥さんは外人。

仕事術、健康(サラリーマンとして)、思想、歴史、陰謀論(趣味用)、教育、金融(家庭の維持用)などの本を読んでいきます。今年は老後の生き方の模索とキリスト教がテーマ

海外オヤジ
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東南アジア
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2019/12/13

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  • 読み口の良さの上に描かれる性と業 『九月が永遠に続けば』沼田まほかる

    皆さん、こんにちは。 先日、尼崎に居たときの知人と家族で会ってきました。 尼崎に居たのはかれこれ15年くらい前に3年間ほど。子どもは上が4歳、下が2歳とかそんな感じ。向こうのお宅は上が4歳と下が1歳でした。 今回の会合は、うちは私、家内、息子(今年20歳)、先方はお母さんと上のお子さん(今年20歳)。いやあ、ハルくんでっかくなった!(って老人みたいなリアクションを止められず。。。)。何しろ当時は幼稚園生でほっぺたぷりぷりのちんちくりんでした。今や身長186cmで横幅もまあまああるハグしがいのある体つき! 優しい笑顔だけは当時のまま。 で、オチは?というと、済みません、ありません笑 関西の方はオ…

  • 自費出版の闇をエンタメに昇華させた佳作 『夢を売る男』百田尚樹

    皆さん、こんにちは。 過日、(両親の)確定申告を済ませて参りました。 80を超え身心ともに少しガタが来たために、毎年私が代わりにやっています。 しかし嘆息してしまうのは彼らの年金の多さ。 まあ現役の私などよりは当然低いものの、老後不安をあおる昨今のネット記事や平均値には符合せず。かなり上方乖離(うらやましい)。 思えば私は就職氷河期世代のど真ん中。しかも日本ではやっていけず海外に逃げてしまった口。状況が違いますね。一方、父は歯を食いしばって朝から晩までモーレツに働いた世代でした。 私なぞは、きっと70代になっても「くっそ、タイミーいいバイトねえなあ」なぞとぼやく将来であろうと想像しています。そ…

  • 現金3460万を残して亡くなった身元不明女性を追う記者の奮闘ぶり 『ある行旅死亡人の物語』武田惇志、伊藤亜衣

    皆さん、こんにちは。 最近、寒暖差が激しいですね。暑くなっがり寒くなったり。 ワイドショーでも、寒暖差で体調を崩すことが有り、気を付けるようにとのこと。 これを見て家内は、「あなたの機嫌や私への態度も寒暖差が激しいのよ」とのご意見。 誠に仰る通りで、恐れ入るばかり。 精神の安定は今年の目標の一つですが、治るかしらん。今のところ寒暖差激しめ。 ということで本題へ入ります。 はじめに 現金3400万と身元不明の女性死体 いくつか、もやもや おわりに はじめに 共同通信社の若手の記者2人によるノンフィクション。 現金3460万円を持ったまま亡くなった身元不明人(=行旅死亡人)の身元を明らかにすべく奮…

  • アツくアホで愛すべき高校生青春小説 『レヴォリューションNo.3』金城一紀

    皆さん、こんにちは。 日本に居ると日々感じることですが、日本は食材が美味しいと感じます。特に魚! 東南アジアだと魚の鮮度がイマイチで、スーパーの魚売り場では生臭さが漂い、市場だと常温(常夏ですよ)の野外で少々の蠅が飛び交ったり。潔癖気味な家内でなくともちょっと手がでづらい、と。 しかるに、日本。本当に鮮度が良い。 ということで、日々の食事を感謝しながら頂いています。 一次産業に従事される方、物流に従事される方、小売りで汗を流す方、そして家内にも。皆さんのおかげでおいしいご飯を頂けております! ということで本題に参ります。本日は青春小説です。 はじめに わが身、わが高校生活を振り返りつつ 女子高…

  • ユーモアと知をもって認知症をみつめる 『おやじはニーチェ』高橋秀実

    皆さん、こんにちは。 少し、ご無沙汰しておりました。 旅行から帰ってきたと思ったら、父母の確定申告やら子どもたちの学習状況やら自分の体の具合を確認するやらで一時帰国に至っております。 折しも期末ということで数字を詰めるとか、経費を見極めるとか、あるいはプロジェクトを終わらすとかどうとかで、バタついておりました。 ということで本題へ入ります。 はじめに 自分の父親と比較しながら、認知症を考える 認知症を『哲学的に』捉える 認知症学習の入り口にも おわりに はじめに ノンフィクション作家の高橋秀実氏が老年の実父を介護した経験をユーモラスに綴る作品。というか45%くらいは哲学や思想を現実世界へ応用を…

  • コーポレートガバナンスの足しに?または下剋上の指南書として読む? 『韓非子(上)』安能務

    皆さん、こんにちは。 先週、ケニアに行ってきました。 当地からLCCが直行便を飛ばしていたのが端緒。 これまで世界遺産や文化・絵画・景観などを目当てに幾つか旅行してきましたが、今回の旅行はかなり驚き、学びがありました。サファリの雄大さ、キベラスラムの惨状、ケニヤの意外な発展、そして世界の旅行者たちとの語りなど。 学生の合宿みたいな旅でしたが、埃っぽいのが大丈夫で体力がまあまあある(ひ弱すぎない)のであればおすすめです。 象の群れ。アンボセリ国立公園にて アフリカ最大級のスラム、キベラスラムから眺める掘っ立て小屋の数々 ということで本題に入ります。 はじめに 筆者のなめらかな滑り出し やや難解な…

  • しおれた方に効きそうな人生論 『 「ズルさ」のすすめ』 佐藤優

    皆さん、こんにちは。 旅行中シリーズにつき、旅先でケータイで打っています。 ケニアのサファリに来ていますが、色々な人が居ます。FIREしたインド人(37)、クロアチアの研修医(25)、チェコ人のカップル(警察官30、銀行員28)、カザフスタン出身のオーストリア人とドイツ・フィリピンハーフの夫婦(ハネムーン中)とか。ネットで知り合った中国人3人組(推定50代男無職、30代女無職、20代女学生)とか。 英語が共通語ですが、フランス語、スペイン語、ドイツ語、ロシア語はちょっとしたきっかけで飛び交う。 喋れることとか流暢さとかは素敵だけど、内容を洗練させることで対抗する(競ってどうする?)と感じたひと…

  • 脳や心の仕組みから自分をコントロールしよう 『 スタンフォードの自分を変える教室』ケリー・マクゴニガル 訳:神崎朗子

    皆さん、こんにちは。 ケニアに旅行に来ています。今回はsimなしの環境で旅行に挑み、久々にwifiがあり、ここで感想を認めてみようと思った次第です。 ケータイで書くのは初めて! はじめに 私が歳をとったのか? 結局自己認知かな おわりに はじめに スタンフォード大の心理学教授のマクゴニガル氏による意思力強化のための本。 私が歳をとったのか? なかなか面白く為にもなったとは思うものの、通読して感じたのは、「他の人はこうも心を上下させながら生きているのか?」とでも言った疑問。 いかにも(イメージに浮かぶ)アメリカ的な絵かもしれませんが、食欲に負けてダイエットに失敗する、昼職後に甘〜いスイーツを食べ…

  • 財務省の平民重税政策にどう対応するか 『 ザイム真理教』森永卓郎

    皆さん、こんにちは。 さて、これが上がるころ、私はケニヤでサファリを楽しんでいることと思います。 初アフリカであります。 きっかけは地元の格安航空会社が直行便を開始したことにあります。この会社、結構スクラップビルドで路線を改廃するので、行けるうちに行っとこう、という判断です。 この航空会社にのると腰が死ぬのですが、今回は9時間。果たして耐えられるか。でも一人往復5万円程度。買っちゃいますよね。 私のサファリ体験は、姫路セントラルパーク、富士サファリパーク、スリランカのミンネリヤ国立公園とステップアップしてきました。タンザニアもいいらしいですが、多分今回で打ち止めです。 はじめに 財政均衡主義と…

  • ネブカドネザルとバビロン捕囚直前の預言者を描く 旧約聖書 エレミヤ書 『聖書 新共同訳』

    皆さんこんにちは。 毎回書いておりますが、聖書読破計画はもはや苦行であります。 でもやり遂げます。もう人生や仕事とくれば楽です。 ということでサクっと流していきます。 イザヤの次はエレミヤ? バビロン捕囚までの数十年間の話 振り返れば、袋小路のユダヤ民 おわりに イザヤの次はエレミヤ? はい、エレミヤって誰?となりますが、こちらも預言者です。 改めてですが、予言者ではなくて預言者です。 イメージとしてはパワーは、予言者>預言者、みたいな感じですね。予言者はもう断言型のお方。『お前は死ぬ運命にあるのじゃー』みたいな。 他方、預言者は文字通り、大切なお言葉を預かると。もちろん誰の言葉かというと神様…

  • この10年を振り返り、本書を位置づけてみる 『Excelでできるデータの集計・分析を極めるための本』森田貢士

    皆さん、こんにちは。 やっと旧正月もひと段落し、夜が静かで嬉しいです。 さて、これから年度末ですね。収益やKPIなどを拠点の成績をそろそろまとめにかからねばなりません。 で、その前に、ちょこっと来週、息を抜いてきます。まあ、先が分かりませんから、少しずつバケットリストをクリアにしていきたいと思います。 因みに今回はエクセルの本を綴ります。ちょっと自分の仕事のことを振り返りつつ、本の位置づけを書いてみます。というか、自分の思い出話がほとんどになりましたが。 一応目次、 転職当初 転職三年目 転職10年目 エクセルの更なる可能性 で、本書 おわりに 転職当初 会社では計数担当という業務についていま…

  • 観察と対話で地道に環境を変えてゆく 『他者と働く 「わかりあえなさ」から始める組織論』宇田川元一

    皆さん、こんにちは。 最近うちのようなアジアの辺境でもコンサル会社の方にサポート頂いてお仕事をすることが増えてきました。 ただ、一見高級(高給?)なお仕事に見えて、なかなか大変そうに見えます。客先に常駐し、30そこそこのトーダイ君に「これは違いますよ。もっと期限を意識してください」とか言われているのを見ると、なかなか楽ではないなと(だから高給?)。 その姿に、かつてSEをしていた時の協力会社さんを思い出しました。 ちょっとシニアな方だと一人月余裕で100万円はかかっていたと記憶しますが(20年前ですが)、コンサル会社だともっとするはずですよね。 さて本題。 大人になりきれず、機嫌や感情がすぐ顔…

  • シェイクスピアの作品に立ち向かう方の強力な相棒になろうかと 『あらすじで読むシェイクスピア全作品』河合祥一郎

    皆さん、こんにちは。 昨年、今年と、聖書読破プロジェクトを勝手にすすめてめています。 その心はというと、欧州へ旅行し、絵画などを見る時に、よりよくモチーフや背景を理解しておきたいというものです。 もちろん、アジアに住んでいると欧州などにはそうそう行けるものではないものですが、子どもたちの学費を除けば、お金は貯めない(貯めこみ過ぎない)よう気を付けています。いや、ちょっと違うな。人生の終了を見越して、やりたいことを早めにやっておくようにしている。こういう感じでおります。 で、聖書読破はまだまだ時間がかかりそうなのですが、次に考えているのが、シェイクスピア理解であります。 これもまた、英語により書…

  • いつも通り面白い。ただマンネリもやや感じる!? 『騎士団長殺し』村上春樹

    皆さん、こんにちは。 昨年末都心の方へ引っ越しましたが、悪影響が一つ。そう、うるさいのです。 とは言え、うるさいのは花火(爆竹)。 新年はいたるところで花火があがり、小高い丘のマンション(うち)からの動画に対し、息子は「テロやん」。テロじゃないです。 そして旧正月も前々日くらいから朝から夜から深夜からバンバン爆竹がなり、一週間たった今でもバシバシ爆竹や花火があがる。 家内に言わせると、福建出身の方々の旧正月は8日遅いとかなんとか。 真相は良く分からないのですが、旧正月前に死ぬほど爆竹屋の露店がでるのですが、まあ売れるという事なのですね。 で、幾つか祝日があり、その間を利用して読んだのがこの村上…

  • 中世フィレンツェの政治哲学を、引き寄せて読む 『マキャヴェッリ語録』塩野七生

    皆さん、こんにちは。 旧正月のイベントがようやく一巡したようです。 連日外出し、何となく顔は知っているけれど名前が良く分からない人たちに会い、挨拶をし、あとは微笑を表面に貼り付けて5, 6時間座り続け飲み食いする、という。 はじめて会う人や、「あれ誰だっけ?」という人、こういう疑問への答えは名前ではなく、関係性で表現されることが大抵。誰々の息子の嫁、義母の兄弟の娘の子ども、等々。 結果、いつまでたっても名前は覚えられず。よって彼らとの会話も弾まない。 でも今回、強力な助っ人が来ました。それが生後7か月くらいの赤ちゃん!雪見だいふくみたいな可愛いほっぺた、喋らなくてOK(喋れないし)、ということ…

  • 諸文明とその連関の地球史。より世界史を理解したい方へ 『世界史(下)』ウィリアム・H・マクニール、訳:増田義郎、佐々木昭夫

    皆さん、こんにちは。 旧正月が始まりました。 うちでは恒例の家内の実家でのお食事会にお邪魔したり、あるいはその親族のおうちのOpen Houseみたいなのにお邪魔したりで、なかなか疲れます笑 皆さん英語が喋れないわけではないのですが、基本は広東語。他方私は広東語は喋れません。となると、もう必勝法は、食べて飲んでまどろむ、といういつも通りの戦法。 義理の母親もそろそろ80歳ですが、彼女が存命の間に、きちんと会話ができるくらいマンダリンも勉強せねばという今日この頃であります。 下巻は近代以降 さて、下巻では近世以降を取り扱います。 個人的には、上巻対比だと今一つ印象に薄いかもという感想。 上巻は、…

  • 歯止めがかからない元モデル妻に、人間らしさを認める 『眠れるラプンツェル』山本文緒

    皆さん、こんにちは。 旧正月ですね。私の居住国も多くの華僑がいらっしゃり、先週末から道路がすき始めました。 田舎出身の同僚も、我先にと有休をとり、田舎に戻っていきました。 こういう『家』中心、『正月』絶対主義、こういうのは日本ではほぼ失われたかなと思います。 幾許かの憧憬を持ちつつ、近所の家内の実家に私もお邪魔する予定です。 はじめに 2021年に逝去された山本氏による1995年の作品。大分前の作品ですね。 さて本作、20歳ちょいで結婚し、専業主婦歴6年の元モデルの女性の話です。 乱れる元モデル主婦に思う 端的に言うと、まあ「分かるなあ」という部分と「どうもねえ」という部分、両方あったな、とい…

  • 経済・金融について自信がない人には良いかな 『「半沢直樹」で経済がわかる!』池井戸潤、櫻沢健

    皆さん、こんにちは。 そこまで離れていないとはいえ、東南アジア辺境で暮らすと、日本語の本に不自由することになります。 もちろん入手は可能です。ただ、どこまでコストを許容するかということで、シブチンな私の性格かつ子どもたちの学費がピークに差し掛かろうとしている昨今、浪費(に見えるようなこと、妻目線で)は厳禁であります。 となると、手元に残った本を少しずつあたることになります。 積読してある本。読もうと思って目の前に置いておくも、数ページ手繰り、静かに本棚に戻した本。実家から持ってきて、10年以上そのままの本。 でも、そういう本を読むのもいい機会です。 それはそれで味わって楽しみたいと思います。 …

  • 預言?じゃれ合い?神と人間の相互依存的預言書 旧約聖書 イザヤ書 『聖書 新共同訳』

    皆さんこんにちは。 私の聖書読破計画も、はや二年目。されど未だ道半ば。 そして昨月から足掛け二カ月でやっとイザヤ書を読了しました。つらいよう。 イザヤって? 度々思うのですが、大体、聖書の〇〇書、ってのは人の名前。 では今回のイザヤ書のイザヤって誰って話。 イザヤ書の冒頭にはこうあります。 アモツの子イザヤが、ユダとエルサレムについて見た幻。これはユダの王、ウジヤ、ヨタム、アハズ、ヒゼキヤの治世のことである。 だそうです。 まあ、ダビデやソロモンが統一国家を持った後の、ユダヤ国家が二分していた落ち目の時の予言者と解しました。 格調高いと思いきや、DV男の懇願みたいなところも 内容はですね、ユダ…

  • 奇譚にふさわしいシュールさ。読み口も村上テイストもライトめ。 『東京奇譚集』村上春樹

    はじめに 村上春樹氏2005年の作品。5篇からなる短篇集。 シュールで微熱的な、得も言われぬ魅力のある作品集だと思います。 「偶然の旅人」が一番良かったかな 一番のお気に入りはやはり、巻頭を飾る「偶然の旅人」。 ゲイの調律師が、オフの日に郊外のショッピングモールにある喫茶店で読書をしていて、とある主婦と出逢い、すんでのところで一線を越えそうに。勢いを殺すべく、その時点でゲイをカミングアウト。そこでより一層深く互いのことを話し、その女性にも不安や悩みがあることを知る。それをきっかけに、ふと、かつて仲がよかった姉を思い出す。 20歳そこそこでゲイのカミングアウトを切っ掛けに、結婚直前であった姉とは…

  • 静謐とシュール、味わい深い短篇集 『夜明けの縁をさ迷う人々』小川洋子

    皆さんこんにちは。 読了してから時間が経ち、想いを綴るのが面倒になる。あるいは「これを書きたい」と考えていてからバタバタして、書く気持ちが冷めてきた。 そういう事、ありませんか? ということで私、今それであります。 簡潔でさっぱりと端的に書く、しかもスピーディーに。そんなテクニックを得たい今日この頃です。 はじめに 相変わらず良かった! 「静謐」という言葉がぴったりくる小川氏。彼女の2007年の作品となります。 短篇9編からなる本作、全般的に幻想的(シュール!?)、でも筆致はしっとり。 そうしたギャップが、真面目な顔して冗談をいうかの如く、ユーモアを湛えた雰囲気すら醸成しています。 あるいは、…

  • ご自身の仕事・人生を考えるきっかけに 『「仕事ができる」とはどういうことか?』山口周/楠木建

    皆さん、こんにちは。 昨年末の話。 遥か遠い東京の本部で開催された役員様の講話のビデオをうっかり見たらこれが意外と良かったという話です。 私のようにアジアの辺境におりますと、本部に対しての不感症・必要以上に斜に構えてしまうことがしばしばです。こんなことしましたというメール、動画もありますので良ければどうぞ、みたいなお知らせも通常受信後即削除でした。まあ、日本と海外拠点は違うし、とりわけ田舎の拠点にとっては東京のお話はしばしば「キレイな机上の空論」にしか見えない。勝手に本部で盛り上がっててよ、と。 ところが。 年末というのは人をおかしく?するのか、その時は心にも余裕があり、冷ややかながら見てみよ…

  • 圧倒的密着度で描く、戦争最後の日 『日本のいちばん長い日』半藤一利

    皆さんこんにちは。 そういえばこの前、勤める会社のアニュアルディナーというものに参加してきました。 一年間お疲れ様、という社員を労うようなディナーで、ラッキードロー(福引き)があったり、ナマ演奏があったりという、言わば宴会、ですね。 数年前は更に駐在さんらによる出し物みたいなものもあり、昭和な雰囲気が濃かったです。 私は人付き合いが悪く久々に出席しましたが、今や会社の規模も相応に大きくなり円卓の数も多く(30卓くらい?)、知らない人たちも増え、若干居心地の悪さも感じました。 会社の規模によって、諸々のエクササイズも変化するべきだろうな、と感じた瞬間でありました。 概要 半藤一利氏による作品。 …

  • 連続殺人の行く末は。刑事の心の傷と、関係者の心の傷たち。人間の暗部よ。 『あなたが消えた夜に』中村文則

    皆さんこんにちは。 年末に子どもたちとZoomしておりました。すると今春高校三年になる娘が突然「留学したいかも」とつぶやきました。 幸い、付属校に通っており、まあ大学にはそのまま行けるのですが、ただでも高い学費に交換留学でしかも2年! 別途大学のホームページでこの交換留学の制度とその費用を見てみぞおちに息ができない位のパンチを食らったかと。それくらいひりつく値段。 ということで、妻の就職活動にも力が入ります。 これはこれで「家にいるばかりだと暇だ、ボケる」とこぼしていた妻の為でしたが、妻にとっても就職に臨むにあたりモチベーションになっている模様。 これで妻の就職がうまくいけば、老後資金と共に子…

  • ピボットテーブルとエクセルマニュアル作業の力業に疲れたあなたに 『Excelパワーピボット 7つのステップでデータ集計・分析を「自動化」する本』鷹尾祥

    エクセルユーザ、会社のEUC環境をグチる きっと多くの社会人の方が触ることが有るエクセル。まあ便利っちゃ便利です。履歴書に使えたり、貢献評価シートとして使ったり、まああの「枠」はいろいろ使い勝手がありますね ただ、何ていうんでしょうか。 こと数字の集計のお仕事をしている方は、どうにも煩雑になる、マニュアル作業が入る、ピボットテーブルがいう事を聞かない、まあ平たくいうと「うまくいかない・時間がかかる」ってことが多いのではないでしょうか。 加えてですよ、そのデータも、システムが多くあり過ぎてデータが散逸している、しかもデータの形がバラバラ、正規化されていない、等々多くのご不満をお持ちになることも多…

  • 会話のチグハグ感から明るみになる家族の不和と不義 『Buried Child』Sam Shepard

    昨年末、当地の税制で書籍が所得税の課税対象額から控除されることを理由に、新古品の本屋で洋書をドカ買いしました。 ひゃー、思い出すだけでも嬉しい! 読むより買う時の方が刺激が強いですね。それを発売年代順に並べちゃったりして、古い順に読むという算段です。 で、トップバッターはこちらの戯曲です。なかなか面白かった。 はじめに 米国の俳優・戯曲家サム・シェパードの作品。1979年のピュリッツァー賞(戯曲部門)受賞。 三幕構成で、ト書きも含めて120ページの極々短い作品。だけど上演すると2.5時間くらいかかるらしい。 っというか、そもそもピュリッツァー賞がたくさん部門があるってのを知りませんでした。いや…

  • 2024年読書を振り返る(印象に残った8選)

    皆さん、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。 いやあ、年内にポストしようと思いましたが、無念、時間が足りませんでした。 わたし的2024年の最もよく撮れた写真。トスカーナの田園と朝靄(本文とは関係ありません笑) さて。 そうこうする間に、本ブログも何と満5年を迎えることが出来ました。有難うございます。 相変わらず、読み散らかし、ジャンル不統一、自分の忘録中心、文章力向上せず、語彙も不足、レトリックなどは言うに及ばず。唯々低頭するばかりであります。 文章のヘタさについては、直したいとは思って自分のTO-DOリストにはあるのですが、プライオリティが低くて結局手につきませ…

  • 思考術としてのメモ、自己分析にも使える 『メモの魔術』前田裕二

    突然ですが、来年で50歳になります。 日本では全く芽が出ず(役に立たず)、10年前に逃げるように海外に来ました。ところが、ローカル社員ということで駐在さんの給料の1/3、また現地人ローカルスタッフ優先の国策もあり、日本人ローカル社員として昇進の目途がありません。ということで、窓際、であります。 でも、時は経ちます。どんどんお金が必要になります。 親の介護がそろそろ必要になってきたり、下の子の大学進学(2人の子供が同時に大学生である2年が学費のピーク)を見据え、よりお金が稼げる体制を考える必要があります。でも、同時に、キャリア志向ではなく自分がここから死ぬまで何をやりたい、どうしたい、というのを…

  • 食材や業界の裏話。流れは倫理やイデオロギーにつながるか 『別冊宝島436 食材の常識が変わる本』

    はじめに 食材に対する疑問、疑念、多くの方が持つのではないでしょうか。何がより良いのだろう?どれが一体安全なのだろうか? とりわけ小さいお子さんがいる家庭だと、自分はまだしも、せめて子どもには安全・安心な食材を取らせたいと思うことも多いと思います。 うちの場合、母親がゴリゴリの生協(合併前の生活クラブ生協、思いっきり左派)に加入しており、何でもカンでも生協の製品推しであったこともあり、当時は事あるごとに「また生協おばさんが言ってらあ」と私や姉は斜に構えていました。が、ふと気づくとスーパーで売っているお菓子の成分表などを見ては「あ、黄色○○号、石油由来の着色剤は発がん性物質!」とつぶやく小学生に…

  • 国家に追われる愛国者、真犯人はいずこに!? 『CHILD44』TOM ROB SMITH

    皆さん、こんにちは。 いやあ、年末ですね。 休みを取る人、自宅勤務にする方、もろもろあって、オフィスはガラガラ。 また、会社を去る人のfarewell、異動の通知などが飛びかいました。 そんな年末モードですが、バタバタと本が読了しております。 ここからは連日のポストになるかも、です。 こんな話 ソビエトの作家というと取っつきづらいという印象があります。 若い頃に読んだツルゲーネフやドストエフスキー。 そして、近年読んだソルジェニーツィンしかり。全体的に、陰鬱。 でも本作『CHILD44』は英国作家の著。 但し、舞台はソビエト時代のモスクワ。従って、その陰鬱な雰囲気は十分に踏襲されています。 時…

  • 震災の周辺で傷ついた人々のゆくえ 『絶唱』湊かなえ

    皆さん、こんにちは。 いやあ、久しぶりに上の人から怒られました。 曰く『もう少しオーナーシップをもって仕事をしてもらいたい』とのこと。 100%その部長様にお返ししたいと思いましたが、ことなかれ主義なのでぐっと飲みこみました。 こういう時は海外で日本人ローカル社員であることはネガティブに作用することがあります。同じことを現地人に言えるかしら?と。 このようなことがあると、『お手伝い』的に仕事をやるとその後全責任を負わされる、だからやらない、という流れになります。JDにあることしかやらないと。 色々と考えることのある年末の一日でした。まあ部長君のいう事も分からんではないけど。 はじめに 本作は湊…

  • 伊坂氏ならではの時間超越系連作、でもほっこり 『アイネクライネナハトムジーク』伊坂幸太郎

    皆さん、こんにちは。 突然ですが、来年から少し楽器でも再開しようかなと考えています。 読書は好きなのですが、ゆくゆくは目も更に見えなくなると考えています。網膜剥離とかやったし、目はあまり良くありません。ひょっとしたら失明とかもあるかも? で、目が見えなくても指くらい動くじゃん?という何とも愚かな考えです笑(レイ・チャールズかよ) 50から少しずつ始めたら20年間やったら結構なところまで行けるんじゃね?みたいな。 ただもう学生の時みたいに若くもないし時間も体力もないので、どうなるもんだか、ですが。娘が残していったピアノか(私も小学生低学年まで少しやりました)、中高大とやったギターかどちらか考えて…

  • 15歳の家出少年のフシギな自己陶冶小説bildungusroman 『海辺のカフカ』村上春樹

    はじめに もう当たり前なのですが、いかにも村上氏らしい作品だったと思います。 洒脱さ、会話、音楽など、今度の<僕>はちょっと若め。でもぐんぐん読めちゃいます。 田村カフカ君ときた 先ずは主人公の田村カフカ君。このキャラが村上作品の伝統を受け継ぐというか、らしさ満載であります。 というか、名前からちょっと気取っているよね。てか皆さんカフカは読みましたか?まあそれはいいとして、そういう変化球的な偽名をつけるというのがいかにも。ちなみにカフカというのはチェコ語でカラスという意味らしい。飲み会で喋りたくなる蘊蓄。 さて、田村君ですが、衒学的な喋り、強いのかナイーブだか分からないツンデレ・ギャップ萌え?…

  • 恐ろしくマスク氏に肩入れするイケ好かなさよ 『世界をつくり変える男 イーロン・マスク』竹内一正

    皆さん、こんにちは。 久し振りに自分と方向性が全く違う!?作品に出会いました。 私の気持ちの肥溜めのようなこのブログは、取り立てて「おすすめ本」を綴るわけではなく、淡々と読んだものを記録しておくために書いているものです。 今回のポストはその観点では全くお勧めしませんが、記録として残しておきたいものです。 言葉遣いが少し攻撃的になっているやもしれませんので、今回のポストは飛ばしていただき、また次回お越しいただければ幸いです。 はじめに 本作も頂き物。 頂いたんだから読まねば、となり、読みました。 結果、ああ、こりゃだめだ、という感想であります。 ざっと言えばこれだけ 内容は、タイトルの通りですが…

  • 古代史、意外に面白いじゃん 『世界史(上)』ウィリアム・H・マクニール、訳:増田義郎、佐々木昭夫

    皆さん、こんにちは。 軽い風邪をひきました。ということで一日お休み。 最近社内でもインフルが流行っており、体調が悪い人は無理を押して出社するほうがきっと迷惑だろうと考えました。 因みに当地ではSick Leaveという有休が、通常の有休とは別に15日ほどあります。医者にかかるとMC(Medical Certificates)という切れ端みたいなのを貰い、それと共に会社でSick Leaveを後付けで申請。 通常の有休が少ない会社さんですと、頻繁にSick Leaveをとる(つまり仮病ですな)輩も出てくるとか。応じて有償?でMCを書く医者もいるとかいないとか。たまに話題になったりします。 人も会…

  • 歴代作家による、お題「喫茶店」の大喜利!? 『おいしいアンソロジー 喫茶店』

    皆さん、こんにちは。 今度パパ友たちと忘年会をすることになりました。 私のように人嫌い・非社交的な人間は家族との関りがせいぜいですが、幸い子供たちのおかげで彼らの友人の父母と知己を得ることができました。 そうした新たな「友人たち」は大抵は駐在。数年後には、或いは新たな任地へ、或いは日本へ本帰国となることが殆ど。 そしていまだに例外的に当地にいる人たちといえば、もうお互い随分長い付き合いとなり、癖も互いに受け入れる?仲に。 年に一度会うかどうかの方々ですが、大切な友人。彼らとのささやかな情報交換とお疲れ様会であります。 はじめに 本作も友人からの頂き物。 アンソロジーということで、オムニバスの作…

  • 財界トップによる中国観と、日中関係への提言 『習近平はいったい何をかんがえているのか』丹羽宇一郎

    皆さん、こんにちは。 いやー、今日、久々に洋書をぽちってしまいました。 私が住むアジアの辺境では新古品の洋書店があり、一冊およそ500円程度で本が買えます。そちらのネットのサイトを2時間くらい眺めて、14冊も購入!締めて7000円! いやー、こうやって読んでみたい本を探して、かごに入れて、内容をググってとかやっているのが楽しい!ブッカー賞とピュリッツァー賞を中心に過去の受賞作品とかshort-listed作品で在庫があるかを探しつつ物色しました。 ああ、読めるのか分からん・無駄になるかもという恐怖感と大好きな本を一挙にこんなに買っちゃうの!?という背徳感! ちなみに私の居住国では確定申告は必須…

  • 死んだ人が見える?PV。若手アーティストが誘う謎の世界の源泉とは? 『禁じられた楽園』恩田陸

    皆さんこんにちは。 いつの間にか師走ですね。 もう年末が待ち遠しい感じになってきました。当地では駐在のお偉方の年末の休暇が続々と発表になっています。皆さんクリスマス前後から三が日程度までは日本に帰られる予定のかたが多いみたいです。 対して当地は、カレンダーは1月1日がお休みである以外は年末年始通常営業です。 会社の雰囲気はゆるーい感じになりますが、それを利用して、年末はフォルダやファイルの整理などをできたらいいな、と考えています。 はじめに いやあ、面白かったです。 1992年デビューの恩田氏の2004年の作品。ちょっと古めですが、恩田氏得意のモダンホラー系の作品です。 あれ?表紙ってあの、羽…

  • ブラック企業に追い込まれた人々の苦境と恢復をビビッドに描く 『ちょっと今から人生かえてくる』北川恵海

    皆さんこんにちは。 先週引っ越しを完了しました。 引っ越し後困ったのは、スーパーマーケットでイマイチぴんと来る店が近くにないこと。まあ東南アジアの生鮮食品のレベルは日本と比すると雲泥の差がありますが、それでも日本人基準でまあ受け入れられるところ、はまああります。 しかし、厳しめなところですらちょっと近所にない! ではなぜそんなところに越したかというと、家内がそこがいい、といったから笑 これまで東京、大阪、名古屋と転勤してきましたが、いずれも家内の「引き」の良さのような運で素敵な住宅に住むことができました。 今回はどうでしょうかねえ・・・。 はじめに てっきりノウハウ系の話だと思って手に取ったの…

  • 旧約の中に突然ニーチェ!? 雅歌は祝祭的なほっこり恋歌 旧約聖書 コヘレトの言葉・雅歌 『聖書 新共同訳』

    皆さんこんにちは。 やれペンキ塗りだ、引っ越しだとバタバタしており、体のメンテナンスを怠っておりました。 本日、一カ月ぶりくらいにルームランナーに乗っかって走ってみると、どうにもしんどく、時速6.8kmがマックスという何ともスローな走りしか実現できず。 思えば20代、30代は時速10km程度で走れました。40代になりこれが8km程度になり、もうすぐ50代。 脳梗塞で死にかけたことで、老い・死を認識し始めることができました。 故に、以前感じたような「くやしさ」「もっとできるはず」という過剰な自信を持つことはなくなってきました。 ただ現実を受け入れる。そして急がない。 ただ、運動が足りなかった。そ…

  • 空港テロリスト容疑者10人+1の密室群像劇 『消滅』恩田陸

    皆さんこんにちは。 本年の懸案であった引っ越しがやっとのこと終わりました。 思えば脳梗塞の手術を終え、こちらに戻ってきた6月から物件さがしをスタートさせ、これまでのシブい(対応・お金ともに)大家と侃々諤々の議論の末、ようやく契約満了の運びとなりました。 新しい住居は従前よりも6000円程度増加するも、会社までの距離がこれまでの車で25分から18分程度になることによりガス代や時間の節約になることになります。 もう大きな引っ越しはこりごりなのですが、いっそうモノの整理をしてゆこうと感じました。新しく1買ったら2捨てるくらいな勢いですすめていけたらと。 とはいうものの、最近1すら買わないことも多いの…

  • 凄い本を読んでいる!という感覚で読み進め、最終的に理解できず泣 『合理的な愚か者』A・セン、訳:川本隆史、大庭健

    皆さん、こんにちは。 現在、引っ越しの荷造り真っ最中です。 大雑把な私は、細かい家内の手伝えることは余りなく、本棚の整理・梱包がメインの仕事でした。それにしてもたかだか本棚一つしか持ち合わせはないのですが、なかなかの本の量になります。200-300冊くらいになるのでしょうか? 子どもにシェアすべく取っておいた文芸書、また読み直そうと持っていた思想関連など、厳しく断捨離してゆく所存であります。 はじめに インド出身で1998年にノーベル経済学賞(分配・厚生と貧困・飢餓の研究における貢献)を受賞したアマルティア・センの作品の翻訳。複数の論説を翻訳したものとなります。 なお翻訳は東大名誉教授の川本隆…

  • 山をめぐる心理描写と、連作の妙 『山女日記』湊かなえ

    皆さん、こんにちは。 やっと引っ越しの目途がつき、来週には引っ越しです。 それにしても子供たちが日本に戻り、今や同居するのは夫婦のみ。子どもの着なくなった服、昔の学校の道具、果ては就学前後のおもちゃなどが出てくると時代が経ったことを実感します。 でも借家住まいは相変わらず。 過ぎ去りし過去に一抹の寂しさを抱きつつ、新しい住居へ引っ越しします。 はじめに 湊かなえ氏2014年の作品。 登山・トレッキングがテーマの連作による小説。登山中に描かれる、やるせない思い、伝えられない想い、後悔・追想が描かれます。 登山、友、恋人、回想 登山というと、ちょっとハードル高い印象です。 私もトレッキング?くらい…

  • シエナの奥底に流れる異教的文化 『シエナ 夢見るゴシック都市』池上俊一

    皆さん、こんにちは。 最近、家内の就職活動を手伝っています。 「子供は日本だし、一日中家にいるのは暇。日本語もあなたとの会話だけでどんどん下手になる。日本語を使う仕事がしたい、でも忙しすぎる仕事はいや、そして有休が多い会社、できればWork from Homeができるところが良い」とのこと。 奥さま、注文が多いです。 で、履歴書の作成、英文履歴書も私が作り、数社にCVを投げてみました。 妻が幸せなら、何も言うまい。そういう思いでしぶしぶ活動しております笑 50代の主婦は果たして就職できるでしょうか。 はじめに 東大名誉教授でヨーロッパ中世史がご専門の池上俊一氏によるシエナ本。 シエナの魅力を歴…

  • 面白い!でも読後にしんみりと考えてしまう作品 『フーガはユーガ』伊坂幸太郎

    皆さん、こんにちは。 懸案の来月の引っ越しに先んじての室内塗装。これがやっとこさ終わりました。掃除を含めて計三日かかりました。もう、体がバキバキです。 老後、というか子どもたちが片付いたら、日本に帰る予定ではあります。が、住む家がないので地方都市の中古マンションを購入することを将来的に計画しています。その場合は室内塗装を自分でやる自信がすこーしだけつきました。家内は「は?10年後におんなじことやったら死んじゃう!業者!業者!」とのたまう。。。お金貯めないと。 そういえば、ブックオフでブラックフライデーセールなるものを発見。眠れぬ夜に夜な夜な中古本をポチリました。在庫が少ないのが難点です。作品の…

  • キレイゴト、誰が語るかで伝わりが異なるか!? 旧約聖書 箴言 『聖書 新共同訳』

    皆さんこんにちは。 今度の12月に引っ越しをします。 値段交渉はハードネゴシエイターの家内の役割で、家賃を約7,000円程下げることに成功しました。その代わり、部屋の塗装はこちらもちという事で話をつけました。 「こちらもち」といっても、我々が手配し業者に支払うというわけではありません。我々が我々自身の手でやります・・・。 ということで週末は20L入りのペンキボトル、ローラーや刷毛を購入し、ペンキ塗り。とてもじゃないけど全然終わらず、今週は二日有休をとって土日を入れ、計四日間で終わらせる予定です。 もう腰や足が悲鳴をあげています・・・笑 というか、意外にキレイで出来るのでなかなか楽しい、というの…

  • 茶道を通して、自分を受け入れる・空気を感じる 『日日是好日』森下典子

    皆さん、こんにちは。 突然ですが、皆さん眠れていますか? 私は若い時から夜型・睡眠不足気味という生活で、ベッドに入ると瞬殺、週末ともあろうものなら翌日午前10時、正午、ひどい時には16時頃に目覚めるということもありました。 ところが、ところが。 40代も終盤に差し掛かった今、眠れない・寝付けない、という日がしばしば起きるようになりました。 疲れていない?あるかもしれません。窓際だし。運動していない?これもあり得る。でも週に二回くらいはジョギングをするようにはしています。食事や刺激物とか?こちらに来てから酒はほとんど飲まず、食事の夜の8時までには終わる感じ。 一言でいうと、小学生のような生活なの…

  • 良き人の気持ちが「縁」と奇蹟を呼び起こす 『ナミヤ雑貨店の奇蹟』東野圭吾

    皆さん、こんにちは。 そういえば、トランプ氏が大統領になりましたね。 突然ですが皆さん、投資はどうされますか? 私は金融機関で勤務していることもあり個別株への投資は許可制なので面倒でやりません(アジア株なんて分かりませんが)。ただ、日本を出るまでたまった確定拠出年金が150万円分くらいありました。全て外国株投信に突っ込んでいたら米国株高と円安と相まってあれよあれよと400万越え(10年かかりました)。 その間追加拠出なくこのパフォーマンスですので、毎月拠出されている方は資産効果で財布のひもが緩んでいるのではないでしょうか。 ただこれからはちょっと分かりませんね。 私は一旦ポートフォリオ整理をし…

  • ユーモラスも「読ませる」ソマリア記。民族と国際社会 『謎の独立国家ソマリランド』高野秀行

    皆さん、こんにちは。 近頃感想を書くのが遅れています。 本は読むには読むのですが、形に残すのが面倒で。。。 ほぼ他人を意識せず、時に自分で見返しても、良く分からないこともあるレビューなのに。それでも面倒くさい。 以前、三行だけの書評ブログ、みたいなのを見ましたが、私も字数制限をもうけるかどうか悩みます。15分で考えて10分で書き上げる。5分で誤字チェック。そういう書き方ができないものかなあ。 はじめに 早稲田大学探検部出身のノンフィクション作家、高野秀行氏。 作品群のタイトルを拝見していると系統としては「世界ふしぎ発見」「ウルルン滞在記」的な体当たり潜入系の取材記録が多いという印象。 本作は2…

  • かつてのマネーロンダリング・租税回避の仕組み 『SECRECY WORLD』JAKE BERNSTEIN

    皆さん、こんにちは。 そういえば、来月12月に引っ越しをします。今の居所ですが、四年間のテナーで契約しましたが、それが切れようとしています。大家が金にうるさいひとで、もろもろ揉めたこともあり別のところへ移ります。 因みに、この部屋、当初6.3万/月で契約しましたが、こちら版Suumoみたいなやつで大家が掲示しているのをみると9.8万/月でありました。 物価上昇か、大家の腹黒さか。いずれにせよ、反りが合わない彼ときれいにお別れしたいので、多少の出費は我慢して、粛々と引っ越しをしたく思います。 ちなみに引っ越しがあるので最近本の購入を控えています。早く引っ越しして本が買いたい! はじめに 米国ジャ…

  • 女子高生らが一人称で語る、事件への顛末と真相 『蛇行する川のほとり』恩田陸

    皆さん、こんにちは。 そういえば、この11月でこちらの会社でお世話になって10年経ちました。 思えば色々ありました。会計課には嫌われ「あいつはアホで英語も喋れないからもう話したくない」と上司にチクられたり、午前2時まで必死こいてエクセルの関数のミスを探したり、初めは大変でした。 そうこうするうちに、息子は日本へ帰り、娘も日本に戻り、いつの間にか妻との二人暮らしに。まあ年を取ったという事でもあります。 そうそう、会社から15000円程度の慰労金が出るそうです。ちょっとケチだよねえ。いや、あるだけましか? はじめに 1992年にデビューした恩田陸氏による作品。文芸誌に分割掲載されたのち、2004年…

  • 賛歌よりもその詠唱の方法が気になる 旧約聖書 詩編 『聖書 新共同訳』

    皆さんこんにちは。 最近ビデオをとっています。誰を?というか、自分のです。 どんだけ自分が好きなんだよ?ってお思いかもしれませんが、単純に英語のスピーチの練習です。 日本を出て10年、スピーチクラブに入って8年くらい、その間何十とスピーチをこなし、多少は日本語英語のアクセントも取れたかな、speech crutch(アーとかエーとか)も大分減ったかなと。 でもこうしてビデオをとると全然だめですね。クセのある喋り方をしています。恥ずかしい。 曲がりなりにも英語を使って仕事をしています。せめてシンプルで明瞭な(発音も言葉遣いも)喋りを日英両方でしたいと思います。 はじめに 詩編はその名の通り、全て…

  • 起伏に富むストーリ展開。世界史との交差も 『ねじまき鳥クロニクル』村上春樹

    皆さんこんにちは。 あっという間に一年も残すところあと二月となりました。会社では、ついこの前上期(1H)の自己評価を終えたばかりですが、個人的に勝手にやっているYear Resolution(1月初めの12月終わり)はまだまだ積み残しがあります。 こちらもきちんと取り組みたいなあと思う今日この頃です。 はじめに 村上春樹氏による1994-1995に発表された長編小説。 私が読んだのは文庫版三分冊で、夫々、第一部 泥棒カササギ編、第二部 予言する鳥編、 第三部 鳥刺し男編と名付けられています。 村上作品の典型 村上春樹氏の再読シリーズをここのところ毎月続けています。 これまで村上作品のイメージと…

  • 網羅的にAccessのことが分かったと思う。これでフォームは作れるようになりそう! 『できる Access2021 基本編+活用編』きたみあきこ

    皆さん、こんにちは。 経費の管理で色々と悩んでいます。 会計データは勘定別に出力するため明細がない。支払管理システムはキャッシュベースなので必ずしも会計データと平仄が合わない(会計上前年度計上にしたものを今期に支払うとか)。 で、私は経費の予算交渉、予算に対しての実績管理等しているのですが上記のうち前者の会計数字を後者のような明細で欲しいというのが今の気持ちです。 どうしたものか色々と夫々のシステムの仕様を調べているのですが、二つのデータベースのEUC環境がどうにもよろしくなく、またT大出身の駐在君がもっと細かい経費承認を実現したい、と言い出しまして。。。似たようなものを二重管理・三重管理とな…

  • ムダ毛の話じゃなかった泣 『毛 生命と進化の立役者』稲葉一男

    皆さん、こんにちは。 突然ですが、私、毛深いです。そしてこれは親譲り。簡単に紹介すると以下の通り。 (父親)無毛。パイ毛が一本(幼い時、あのパイ毛を抜きたくて仕方なかった) (母親)毛深い。ストッキングからすね毛がはみ出る (私)毛深い。特に足・股間、からのギャランドゥ (妻)無毛。腋毛の処理は一生で二回とのこと (息子)うすい。スネに程よい毛 (娘)毛深い。腕や背中にうぶ毛より濃い目のやつ ということで、ムダ毛の無毛遺伝は、私の父、私の妻というチャンスがありながら、娘には行かず。私は母より毛深い遺伝子を引き継ぎ、そして娘へと渡してしまいました。 夏にもなるとムダ毛処理に余念のない娘ですが、「…

  • 輝いているようで茫漠たるモテ系、下位だけど打ち込むものがある非モテ系、高校生大変そう 『桐島、部活やめるってよ』朝井リョウ

    皆さん、こんにちは。 私事ですが、昨日で結婚20年でした。 前々から家内とは、早いねー、あっという間だね―などと話していましたが当日まで二人とも忘れていました。仕事中ふと思い出し、どうしよっと思い、急いでグーグルマップでお花屋さんを探し、ちっちゃいブーケを買って帰りました。 「え?私に?」って二人暮らしなんだから、あなたしかおらんやろって感じです。 「あー、ありがとう。忘れてた」とのこと。 まあいいですよ。私が忘れててあなたが覚えていたら、あなた、すごい機嫌斜めになりますもんね。 ここまで20年、色々ありがとうございます。 これから先も、どうぞよろしくお願いいたします。 はじめに 朝井リョウ氏…

  • 米国経済エッセイ、昔話として楽しく読める 『人と企業はどこで間違えるのか?』ジョン・ブルックス、 訳:須川綾子

    (愚痴長めで済みません) 皆さん、こんにちは。 最近会社の管理職(ローカル)の退職が相次いでいます。 補充が必要なわけですが、当地の金融機関ですと、人を雇うとき、結構多額の費用がかかります。 まずスタッフ・トレーニング・ファンドという謎の業界団体への上納金(月給6か月分)。日本で言うところの全銀協とか日本証券業協会とかに収めます。引き抜きを極力抑えて各社で育ててね、という事らしいです。その代わり、ある一定の研修を受けるとこの業界団体へクレームできるという建付けです(殆ど使っていません)。 加えて、転職エージェントに大体月給の2.5カ月くらい払うそうです。ちなみに当地のエージェントと先日会食した…

  • 狂気に近い絶望男の叫び 『過酷なるニーチェ』中島義道

    皆さん、こんにちは。 これを書いているのが土曜日なのですが、とても気持ちいいです。 金曜日の仕事を終え、土曜はゆっくり過ごしたのでウイークデイの疲れもとれ、運動もしてリフレッシュ。それでもまだ明日休みがある! 週休二日って素晴らしい。 それを思うにつけ、入院中にお世話になった先生方、看護師や理学療法士の方々には頭があがりません。週休二日取れているのでしょうか? 担当医の方は、働き方改革は全然進んでいない、と仰っていました。 何卒ご自愛いただければと思います。 なぜにニーチェ? ニーチェなんかに興味がある人ってどんな人なのだろう? とふと私は思ってしまいます。なんか、なんて言い方をすると申し訳な…

  • 短篇連作で綴る、殺し屋と泥棒の物語 『首折り男のための協奏曲』伊坂幸太郎

    皆さん、こんにちは。 そういえば選挙、あるようですね。私の居所では在外選挙として早速始まっています。 期せずして期限前であります。 因みに、投票した結果は、最終日に大使館の職員の方がフィジカルに日本に運ぶのだとかなんとか。 本当にご苦労様でございます。 はじめに 伊坂氏による2014年の発表作品。 殺人者首折り男のストーリが一つの流れ。もう一つが泥棒(探偵)黒澤の流れ。この二つの通底音が絡み合い、協和音を奏でます。 協奏曲とは? 協奏曲ってなんなの?と、ふと思いました。 Wikipediaの解説を読んでもいまいちの納得感。誤解を恐れずに言えば「独奏楽器と管弦楽によって演奏される楽曲」ということ…

  • 数字とはいえ鵜呑みにできない 『データは騙る』ゲアリー・スミス、訳:川添節子

    みなさん、こんにちは。 私事ですが、ちょっと最近マラソン、いいかも、と思っています。 といっても、フルとかではもちろんなく、ハーフでも長すぎ。ほんの10kmくらい。これを旅行がてら走る(といか歩くのもOK)ことを夫婦でやろうというアイディア。 マラソンイベントは、時に歩行不可の橋であるとか、夜明け前後の時間(日の出写真!)とか、体を動かすこと以外で結構楽しめるのではないか、と今更ながらに気づいた次第。 運動が得意ではない家内と一緒に体を動かすのが目的です。 数字はいつも正しいか? 数字というものは実に力強い。 数字で表現すると他者との比較が可能になるし、過去との比較が可能になるし。相関性につい…

  • イヤミスあり、ツイストあり、島の閉塞感をねっとり描く 『望郷』湊かなえ

    皆さん、こんにちは。 突然ですが、島って、どんな印象でしょうか? 私はもう島っていうとダイビングや海、バカンスという印象です。というか大好きです。 学生の頃は、沖縄に行って島めぐりみたいなことも。水納島、慶良間島、石垣島、波照間島、竹富島など。卒業旅行に小笠原も行きました。就職してからは海外に目が行き、サイパン、セブ、バリなど。アジアに移住してからは近場ということもあり、プーケット(タイ)、フーコック(ベトナム)、モルディブなど。 楽しかったけど、開頭手術をしてからダイビングは禁止となり、海に行きたい気が減ってしまいました。 さて、今回読んだ作品は、日本のとある島出身の方々の話です。むしろ因習…

  • 信心をイジられた可哀そうなヨブじい 旧約聖書 ヨブ記 『聖書 新共同訳』

    はじめに 短いながらも、インパクトがあったヨブ記。 他の大河ロマン的なお話とはちょっと毛色が違った気がしました。 どんな話? スーパー端折るとこんな感じ。 登場人物は神様、サタン、ヨブ(主人公)、よしてヨブの友人たち。 サタンと神は結託して無垢な人ヨブの信心を試す。サタンは、ヨブの財産を奪い、ヨブの家族を奪い、さらにはヨブの健康をも奪う。さらに友人たちはヨブを責め立てて、ヨブに何かよからぬことが有ったと指摘・非難する。さて、ヨブの信心は折れるかどうか。 実は折れなかった。 最終的に、ヨブは神を信じ切り、神は倍返しで彼の財産を増やし、健康も取り戻してあげた、めでたしめでたし、という話。 神の意志…

  • 食べることへの愛をユーモアたっぷりに描く 『残るは食欲』阿川佐和子

    世に食欲の秋と申します。 地球温暖化が叫ばれ、秋の訪れが後ズレにズレるなかで、秋の食欲への着火も遅くなるのでしょうか? アジアの端くれに住まう身には想像に任せる以外ありません。 さて、今回は食にまつわる阿川さんのエッセイを読みました。こちらの書籍は頂き物でありました。 はじめに タレント・エッセイストの阿川佐和子さん。1953年生まれ。お父様は作家。 個人的には檀ふみさんと二人で画面に収まっているのをよく見ましたね。 食べることへの愛情を感じる、素敵なエッセイでした。 食への隠し立てない愛情をユーモアたっぷりに 2006年から一年半超にわたり「クロワッサン」に掲載された阿川氏のエッセイを書籍化…

  • 平明な英語でダイナミックなライバル劇を描く。ホテル王vs 銀行家の勝負やいかに 『KANE & ABEL』JEFFREY ARCHER

    はじめに 英国の作家ジェフリー・アーチャー氏の作品。1940年生まれで若くして政治家になるが、投資詐欺にあい大金を失う。その経験をもとに作家デビューを果たす。議員活動中に偽証罪で投獄経験もあり。 本作は1981年の作品で、氏のキャリア第三作となる作品。 因縁の対決物語 タイトルがキャッチ―ですが、旧約聖書の『カインとアベル』から借用したと思われます。 聖書ですとCane(こちらが聖書の綴り)と Abelは創世記にて登場。アダムとイブの息子たちですが、農家のカインと猟師のアベルが神様への捧げもの合戦?の末、神様はアベルの捧げものを取る。結果、カインは怒ってアベルを殺してしまうというもの。 これに…

  • 戦後の昭和をリアルに表現した翻訳が影の主役か 『浮世の画家』カズオ・イシグロ、訳:飛田茂雄

    はじめに 英国のカズオ・イシグロによる1986年の作品。なお彼は2017年にノーベル文学賞を受賞。 戦後間もない1948年から1950年の日本を舞台に、戦前・戦中にもてはやされた某画家の、戦後の葛藤と追想を綴る。 時代のせいか、個人のせいか 久し振りにカズオ・イシグロの作品を読みました。 いやあ、面白かったです。 何が良かったかというと、戦後の価値観大逆転の動乱と個人の責任の有無みたいなところ。 換言すれば、時代性の影響力と個人の責任範囲、とでも言ったところでしょうか。 軍国少年とか、皇国少年とか、やいのやいの言っていたものの、敗戦が決まると180度態度を変える。それでもって彼らを「戦争を持ち…

  • 新任営業リーダーのための予算管理入門 『会計知識ゼロからのはじめての予算管理』梅澤真由美

    皆さん、こんにちは。 最近経費について考えています。 私の役目は拠点全体の経費予算の交渉と地域統括と行い、一旦決まったら粛々とモニタリングすること。 ちなみに総務は経費の支払いにつき、各購入部署が承認済みメモを回覧し、これを証左にして支払う。 で、とある駐在君が「細かい経費の積み上がりをどうやって管理するんですか?全件うちで確認し支払うようにしたいです」とおっしゃる。まあたまにうちの部署をすり抜けてマネジメントに承認を貰い勝手に支払いが起こってることがあります。 ということでAccessを勉強しつつ、年度末までに経費承認フォームみたいなのを作る意気込みです。 でそういう意識のもとに購入したのが…

  • 捕囚以降の小章たち。世界史との交わりも 旧約聖書 エズラ記、ネヘミヤ記、エステル記 『聖書 新共同訳』

    はじめに これまで旧約聖書で読み進めてきたものの、なんというか、印象は概ね神話的世界観、でありました。 しかしながら、列王記以降は世界史の中でも古代史に該当する部分との重なりが見られ、その点で突飛な英雄伝の風合いは影を潜めたといえると思います。 以下、今回読んだエズラ記、ネヘミヤ記、エステル記について概観します。 エズラ記、結論は良く分からん キュロス王によってバビロン捕囚が解かれ、ユダヤの民がエルサレムへ帰還したときのお話。 エルサレムへ皆が帰還し、さあ神殿を再構築しようというときにエルサレムの他の民族に邪魔され、告訴されます。で、スサにいるアルタクセルクセス王から「どうなっとんじゃ?」と詰…

  • 形容できない物語?SF?心の話?生き方の話? 『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』村上春樹

    はじめに これまた25年以上ぶりの再読。奥付を見ると平成11年30刷とあります。あ、でも古本ですね。鉛筆で「2冊590円」と奥付上部にありました。まだまだ町の古本屋さんという存在がちらほらと見える時代でありました。 何が良かったのだろう いやあ、この作品は正直、曰く言い難いです。 結構本を処分してしまう私にあって、義理堅く今まで書棚に残っていたのを見ると、やはり何か、私に響くものがあったのです。 「でも、それが何であるか当の僕にもわからない。」 なんて書くとちょっと「それっぽい」感じ?いや知らんけど。 あ、ちなみに村上氏、けっこう主人公に「やれやれ」ってセリフ使うことに気づきました。てか、結構…

  • キリスト者のほんわか箴言集 『置かれた場所で咲きなさい』渡辺和子

    皆さん、こんにちは。 当地で古本を頂きました。送料300円払えばあげるよ、ということで10冊くらい?頂戴しました。 で本作はそのうちの一冊。結果はうーん、という感じ。 ところで。 海外で日本語の本を売買する人ってのに会いませんね。 私、読んだ本を処分(売却)するため、アジア版メルカリみたいのに出品していますが、これまで日本人に当たったことが有りません。例の日本人読書しないというやつか? それとも古本なんか日本人は買わないのかな?日本に帰ればすぐに変えますしねえ。。。 はじめに 元ノートルダム清心学園理事長である渡辺和子シスターの著作。 本作は2012年に発表。230万部を超えるベストセラーとな…

  • 警察暴走のディストピア。洒脱さとツイストはデフォルト、におわせ結末は明るめ 『火星に住むつもりかい?』伊坂幸太郎

    はじめに 伊坂氏による2015年の発表作品。 国家(平和警察)が市民を疑心暗鬼にさせ、火のないところに煙を立たせるかのような、ディストピア風テイストの小説。 洒脱な会話描写はいつも通り。いわゆる第二期のモヤモヤな進行ながら、最後はやや明るめな結末が特徴か。 ディストピア的風合い、「ゴールデンスランバー」との差異 そうですね、本作、まず感じたのは「ゴールデンスランバー」に似ているかな、というところでしょうか。 「ゴールデンスランバー」は主人公青柳が、突然爆破殺人の罪に着せらせるというものでした。その視点は一人称的に描写され、主人公が信じていたものが眼前で次々と崩れてゆく・信じられなくなってゆく様…

  • よくある意思決定ミスの仕組みとその処方箋 『まさか!?自身がある人ほど陥る意思決定の8つの罠』マイケル・J・モーブッサン、訳:関谷英里子

    はじめに 米レッグ・メイソンでストラテジストとして勤務する一方、コロンビア・ビジネススクールで非常勤としても教鞭をとる筆者の著作。 一言でいうと意思決定論についての本。 いまいち理解不足 一言でいうと「ムズかしいなあ」というのが感想。 私たちの日々は、絶えざる選択の連続であります。で、その中には大小さまざまな判断ミスがあるわけです。 そうした判断ミスについて原因と対処法を考えているのが本書。 ただ、どうも私の理解が不十分だと感じています。 当然本書は章立てもしてあるし、章の個別の事例を読んでいる瞬間は理解できます。ところが、じゃあ結局なんなの?とまとめようとすると言葉がでない。つまり自分が理解…

  • コンパクト版、サムエル記+列王記=歴代誌? 旧約聖書 歴代誌 『聖書 新共同訳』

    はじめに こんなこと言うとナンですが、歴代誌、だるかったです。 というのも概ねサムエル記、列王記のコンパクト版であったからです。 ダブりというか、コンパクト版 もう少し正確に言うと、アダムから始まって、列王記でネブカドネザルの捕囚となるユダの王ヨヤキンまでをカバーしています。 ただ95%以上がサムエル記のサウル王から列王記の最後までの内容がギュギュっとコンパクトに記されていると思います。 なんでなのか? で、ふと思うのはなぜなのか、なぜ同じ内容をわざわざ繰り返すのか、ということです。 これまで色々と関連書を読んできましたが、残念ながらその内容たるや殆ど頭に残っていません。従って勝手に推察してお…

  • もっとも分かりやすい東氏およびポストモダン入門 『郵便的不安たちβ』東浩紀

    哲学を好きな自分が好き? 大学、大学院と哲学をやった割には哲学を知らない(というか分からなかった)私。いまだに淡い憧憬を持ち続けています。 他方で自分を疑うようにもなりました。 若い頃よく単館上映映画をよく見ていたのですが、自分が映画好きだったのか、映画好きな自分が好き(映画好きと言いたいだけ)だったのか。今となっては良く分かりません。 哲学についても同様。哲学をやっていますと言いたかっただけだったのか?と。 そのなかで、現代思想というかフランス系は最も分からん、というか触れてみる気すらしなかった分野でした(です)。そこに燦然と輝くエース東氏。 彼の著作、以前恐る恐る手を出してみたら、ちょっと…

  • スリラー系作品?ひそやかな純愛小説ともとれる!? 『Nのために』湊かなえ

    はじめに 湊かなえ氏の2010年の作品。『告白』での小説デビューが2008年であることを考えると、初期の作品に該当するでしょうか。 多くの人物が語り、真実がどこにあるか分からない、心理スリラー的作品。ただ読み方によっては恋愛小説? 結局どれが本当の発言? まずザックリ言うと、ちょっと良く分からなかった、というのが正直なところ。 本作、とある超高層ビルで若夫婦が殺害される。そこに居合わせた四人の大学生の口述・供述が連なったものです。 大学生とは、杉下希美、成瀬慎司、安藤望(正しくは社会人)、西崎真人の四人がそれ。 杉下と安藤、西崎が同じボロアパートに住む学生(安藤は元学生)。そして、成瀬は杉下と…

  • 会社の目標のアラインメントを整える、これ相当ムズイと思う 『バランスト・スコアカードによる戦略実行のプレミアム』ロバート・キャプラン、デビッド・ノートン、 監訳:櫻井通晴、伊藤和憲

    はじめに KPIについての本は幾つか読んできました。 本作の作者のキャプラン氏、ノートン氏の著作も以前読んでみました。 lifewithbooks.hateblo.jp 結果としては本作の方が良いと思います。 会社の目標って? 私は部署の予算とかKPIとかを見るような仕事をしています。 自分の評価もそうですが、部署・拠点全体もそうした評価軸を本部から与えられたりします。KPI(Key performance Indicator)というやつです。 で、これがまたいつもOne-size-fits-all的な地域横断的な目標を課され、評価ゲームという観点はありがたく楽々ゲットみたいなところがある一方…

  • ルッキズム、個性、孤独など。寓意に満ちた短編集 『炎上する君』西加奈子

    はじめに 西氏の2010年の作品。8編の短篇からなる作品。 なお、表題作「炎上する君」は映画化もされた模様。 youtu.be ひとこと これまで「ことば」の女王として私の中で(だけ?)際立っていた西氏。 しかし、本作を読み、かなりふかぁーく感じた次第です。 何というのでしょうか、彼女の夢・深層心理、はたまた幻想?を本作で追体験しているかのような感覚でありました。 それ程までにシュールで、心を逆撫でするような、ざわっとした肌触りの作品であったと思います。 お気に入り とりわけ気になったのは、「炎上する君」、「トロフィーワイフ」、「私のお尻」、「舟のまち」、「ある風船の落下」ってか5/8ね。 「…

  • ホテルが舞台の群像劇。杉江氏の渾身の解説が印象的 『夏の名残の薔薇』恩田陸

    はじめに 最近、月一で読んでいる恩田氏の作品。 今回の作品、結構ドラマドラマしているな、というのが印象ですかね。 概要 内容をザックリ言うと、夏の人里離れた高級ホテルで繰り広げられる群像劇、といったところ。 一代で財を成した沢渡グループが運営するホテル。先代の娘たち(と言っても既に60過ぎ?)三人がホステス(招き主)となり、ゲストたちと交流するというもの。 奇怪な事件が起こったり、身内の不実が暴露されたり、過去の不祥事が明らかになったり。 人里離れた格式高いホテルは「密室」であり、まさに用意された「舞台」。そして事件は起こるべくして起こる、そんな予定調和さえ感じさせます。 解説の分析の細かさに…

  • 日本の日常食、ミニマムスタンダードの提案 『一汁一菜でよいという提案』土井善晴

    会社の元同僚の姉さんみたいな方からもらった本。ぷらっと小旅行に行っている時に読んだものです はじめに 料理研究家の土井善晴氏による料理本。内容はといえば、日本の日常食、ミニマムスタンダードの提案、とでも言ったものかと思います。 手作り神話と日本 その前に、世界を見渡すと、日本ほど手作りにこだわる国はないのではないか、とか思います。もちろん、日本と、今住んでいる東南アジアの端くれしか知りませんが。 日本では、スーパーに行けばきれいで安全で状態の良い野菜が所せましと並び、数多くのレシピがネット上にあふれ、テレビをひねれば(チャンネルを回すノブなんか殆どわからないか)あったか手作り的料理なCMは未だ…

  • つまづいた人たち恋愛小説。ある意味ほっこり系!? 『どれくらいの愛情』白石一文

    はじめに 白石氏の作品はこれで二作目。 前回読んだ『僕の中の壊れていない部分』が見事なまでのダメンズ小説!?であったので、今回もきっとスかした女ったらしみたいな主人公がわぁわぁいう小説かなあと勝手なイメージを描いていました。ところが、かなりほっこり系の作品でした。 ちなみに本作、短篇二つと中篇一つの計三篇からなる作品となっております。 誰かのことを思いやる幸せ? なかでも印象的であったのは表題作の中篇「どれくらいの愛情」です。 内容は言ってしまえば、オクテな甘味店経営者が一度別れたスナック嬢と最終的に結ばれる、という筋。 なんて書くと、女性慣れしていない小金持ちが、手練れの器量よしとなんだかん…

  • けっこう上級者向け? でも光明が見えたかも 『VBA開発を超効率化するプログラミングテクニック』深見祐士 監修:大村あつし

    はじめに 仕事でVBA、所謂マクロを使っている方は結構いらっしゃると思います。 私もその一人です。 私は幸いSEのバックグラウンドがあったためコーディングにはそこまで抵抗感がありませんでした。 ただ、次第にもたげてくるダルさ・・・。だっていつも似たようなコーディングしてるじゃん。 「てか、サブプログラムとか、サブプロシージャを共通化できないの!?」 これですよ。 そんな思いから手に取ったのがこの本です。 挫折ぎみ・・・ で読んでみたのですが、結論からいうと大分なえました。 私のように古代言語のアセンブラを3流の技術・心意気でやっていたSEとしては、本作で開陳される部品化の徹底さに驚くばかり。 …

  • 内容は実はほっこり目、読み口はサラサラ。 『ウォーク・イン・クローゼット』綿矢りさ

    皆さん、こんにちは。 私、普段は不機嫌の固まりで、毒を吐き、口喧嘩も辞さない問題中年です。ところが、最近罰が当たったか、同様に不機嫌・不平を突き返されることが増えてきました(涙)。 それが影響してか、さっぱり眠れなくなったのがこの前の週末。 こうしたときついついスマホに手が行きがちですが、個人的にはスマホは時間の無駄。眠れない夜は本を読もうと決めておりまして手にしたのが本作。 はじめに 2015年に世に出た綿矢氏の作品。中篇「いなか、の、すとーかー」および表題作の「ウォーク・イン・クローゼット」からなります。 なお綿矢氏は17歳でデビュー。2004年で芥川賞受賞。すごいですねー。 飲み口のよい…

  • 終始食い違う意見に苦笑しつつ読了・・・ 『死という最後の未来』曽野綾子、石原慎太郎

    はじめに 自分の病気や親の痴呆をうけ、死について考えることが増えてきました。 で、とある日にブックオフに行って目に留まったのが本作。 石原氏は既に他界されていますが、本作上梓したとき、曽野氏90歳、石原氏89歳。この年齢で現役というのがすごいのですね。 これだけ死が近い年齢の人がどう考えているのが知りたく読んでみたものです。 大きく異なる二人のスタンス で、読んでみましたが、なんというか、よく対談がまとまったな、という印象でした。 というのも、まるっきり二人のスタンスが対照的なのです。 曽野氏のスタンスは、もう頑張らない、なるようにしかならない、全ては神の思し召し、夫のものもすべて処分、亡夫も…

  • <僕>の喪失と恢復の物語 『ノルウェイの森』村上春樹

    はじめに 25年以上ぶりの再読。私にとっては村上氏の代表作といっても良い作品。 大学時代によく読んでいました。苦悩し、文学・哲学をたしなみ、音楽を愛し、性的に満たされる「僕」に憧れていたと思います。 一回読んでは期間をあけ、また読んで。そういうことを何度か続けた作品です。 本棚縮小計画に沿って、再読後に本作手放す予定です。 どういう話なの 高校時代の親友キヅキを自殺で失った<僕>は、地元の神戸を離れ東京で平凡な寮暮らしを始める。そして19歳を迎え、キヅキの元恋人の直子に偶然東京で出会う。共に近しい人をなくし傷を負う者同士も、直子の精神状態は立ち直ってはいなかった。そして直子が20歳の誕生日に二…

  • 淡泊かつ単調に衰退を描く 旧約聖書 列王記 『聖書 新共同訳』

    はじめに サムエル記では、ユダヤのメジャーな王、サウル・ダビデと続きました。 そしてこの列王記ですが、賢者として名高いソロモン王の話が冒頭にあります。 それ以降は小物がおおく、神の道にも従わず、結果イスラエル国とユダ国に分裂、そしてアッシリアに国境を脅かされ、最後にはバビロンのネブカドネザルの捕囚となります。 大味な記録!? 今回の列王記は名前の通り、王様がたくさん出てきます。 大抵が神の道にならわない行いをするのですが、そのためか、章の最後あたりに「詳細は『イスラエル王の歴代誌』に記されている。」と置き、バッサリ端折る章が頻出します。 ソロモン王も、大岡裁き並みの裁きの名士?みたいな話が有名…

  • 珍妙?西遊記、エクソシスト、合唱団、証券誤発注、断片的印象が残るエンタメ作品 『SOSの猿』伊坂幸太郎

    皆さんこんにちは。 先週家族旅行でハノイ(ベトナム)に行ってきました。 私と家内は居所のアジアの端から。大学生と高校生の子供たちは日本から。つまり現地集合。 私と家内は20年ぶりのハノイでしたが、ハノイは大分変わったという印象。観光客だらけ。でもハロン湾とかはかなり整備されたなあと感じました。当時は竹船でおばさんたちがよって着てこれ買えあれ買えとうるさかった。今はそういう物売りはあのあたりにいません。 さて台風のおかげで子どもたちはフライトが一日延期となり、急遽ホテルを2名で一泊延泊するなどしつつ私たちは居所へ戻りました。旅にトラブルはつきものですね。 子供は親をみて育つと言いますが、完全に親…

  • インド奴隷的召使い→(殺人者)→起業家。何があった!? 『THE WHITE TIGER』ARAVIND ADIGA

    はじめに みなさんブッカー賞という賞はご存じでしょうか? 私の生半可な理解では英国版の芥川賞ないし直木賞、あるいは足して二で割ったみたいな賞。英国でその年出版された長編小説に与えられる賞で、Longlisted, shortlistedと順を追って候補が絞られ、最終的に受賞作が決まる、というもののようです。 thebookerprizes.com で、今回読了したのが、2008年にブッカー賞を受賞した”The White Tiger”という作品。 いやはや、何ともドラマティックでアクションのある作品でした。マジでPage-turner。 ちなみにNetflixで映像化されている模様。また、日本…

  • ドロドロ系家族ドラマ。TBSでドラマ化も。 『夜行観覧車』湊かなえ

    はじめに イヤミスの湊かなえ氏による2010年出版の作品。2013年にTBSでドラマ化されたようです。 www.tbs.co.jp 家族の物語ということで 本作、医師のエリート一家、背伸びして高級住宅街に越してきた一家、そして元から住宅街に住まうハイソも品性の汚い一家、の三つで構成される家族ドラマです。 医師のエリート一家で、家庭内殺人が起きる。 背伸び家族は娘と母が不和で、夫婦のコミュニケーションも疎遠。 ハイソ家族は、息子家族から煙たがれ・・・。 殺人事件が起きたことで、近所であることからこの三家族が絡み合い、当初すました顔で付き合ってきた人物たちが次第に本性・本音を表していくところが良い…

  • 元裁判官が主役の推理小説モノ 『象と耳鳴り』恩田陸

    皆さんこんにちは。 最近日々自己分析を進める中で、如何に自分の性格が悪かったかということをつくづく思い知らされる日々であります(おっさんのくせに今更か、ですよね)。 こと両親との関係については顕著です。 これまではいつまで反抗期かというくらい反発し(30代末までは相当な反抗期だった!?)、彼らが80を超えて、やっとこ私も50代を目前にして少し自分が分かってきました。 父親の認知症が始まり、母親も大変だろうと、こっちが心配する・面倒を見たい気になっても、母は「そんなに長くいるときはウイクリーマンションでも借りてください」と来た。ということで押しかけるわけにもいかず困っています。 これまで散々勝手…

  • 軽妙な死にまつわるエッセイ 『遺言未満、』椎名誠

    脳梗塞をきっかけに、40代にして死を意識し始めました。 もちろん、死に対する意識は長らく持っていました。小学生で飼っていた猫が死んだとき、大学生で友人を亡くしたとき、30前後に立て続けに3回ほど入院をしたとき。 そしてこの度、脳の血管のバイパス手術ということでまあ死んでも何らおかしくない、と勝手に考え、当地でWillを書いたり、銀行口座・保険等を減らす、また一覧にしてPCのデスクトップに置き、妻や息子に何かあったらこれをあけろと指示したり。つまり、マジで死ぬことを意識したということです。 無駄なものを減らし、無駄なことに時間も使いたくない、大切な人と時間を過ごしたい、と思うようになりました。 …

  • 僕が感じた大阪、こんな感じだったなぁー 『通天閣』西加奈子

    大阪、ミナミのパワー。 グリコと道頓堀がお出迎え。 20を越して初めて踏んだ大阪の地は、東京生まれ・東京育ちの私にとってはおよそ「異世界」という言葉では尽くしきれない、尋常ならざる世界でした。 天王寺公園の青空カラオケ。週末に行くたびにお祭りが多い町なのかと勘違いしました。その先の露天では靴片方とかが売っており、売り子のおっちゃんに理由を聞くのすら怖い笑 そのそばには朝っぱらから男性が倒れている。酔っ払っているのかか死んでいるのか・・・ そんな場景を見下ろすのが、我らが通天閣。 本作は、そんな通天閣の横にすむうらぶれた40代の男性と、そんな通天閣付近の場末のスナックの黒服を勤める女性の話であり…

  • 奇怪な現象も消えた。憧れのお姉さんも消えた。 『ペンギン・ハイウェイ』森見登美彦

    小学四年生のアオヤマ君 小学四年生だったころ、自分は何を考えていたか。 ポテチが食べたい、アイスとか買い食いしたい、給食で友人を笑わせて牛乳吹かせたい、野球でホームランを打ってみたい。 そう、つまりは普通の、それも極めて普通の小学生。 しかし、本作の主人公アオヤマ君は違う。 彼は五歳になったときから、以降怒らないと決めている(そして本当に怒らない)。そして多くの研究を抱え、それを父の教えにならい、ロジカルに解決に導こうとする。ましてや、父の「でも本当は何が問題かっていうことが一番難しかったりする」なんていうひとことにも、したり顔でその発言を受け止める。 「ペンギン・ハイウェイ」はそんな「科学の…

  • 介護の声掛け、事始め 『認知症の人にラク伝わる言いかえフレーズ』佐藤眞一、島影真奈美

    皆さん、こんにちは。 独り言ですが、どうやら今後年に3、4回、各一か月くらいの長さで一時帰国をするようになりそうです。 実は、私が勤める会社では自宅勤務が週二日できるという内部制度になっています。ただ結構緩い制度なので拠点長がOKを言えば(加えて業務に支障を来さないのであれば)例外的な取り扱いが許されます。 脳梗塞の手術を受けに日本に三カ月帰った時も例外を適用させていただきました。 で直属の上司には申し訳ないのですが、父親の認知症と過食がヤバい感じなっていることを伝え、年に3、4回、一か月くらい自宅勤務(from日本)を打診したところ「問題ないと思います」との返答。 日本人ローカル社員の恨みつ…

  • 軽妙で肩の凝らない作品。ちょっとシュールな村上テイストも健在 『カンガルー日和』村上春樹

    皆さんこんにちは。 仕事がにわかに忙しくなり、読書はしているものの、備忘録がつけられぬ状況です。 本書も、一週間前に読了したもの。 より短く、端的に記録する、というのもで良いのかもしれませんね。 はじめに 村上春樹氏の短編小説。1983年出版なのですが、村上氏のデビューが1979年であることを考えるとかなり初期の作品になると思います。 軽妙で幻想的 どうも村上氏の作品のイメージというと、<僕>という、アイデンティティ・クライシスに陥った主人公が新しい彼女との出会い・性愛を通じてカタルシスを得る、なんて簡単にいうとファンに怒られそうですが、そういうイメージがありました。ごめんなさい。 で、本作は…

  • 美少年ダビデの成り上がり的ストーリーが印象的。でもオイタでつまづくってねぇ。 旧約聖書 サムエル記 『聖書 新共同訳』

    はじめに サムエル記は、サムエルという預言者が概ねカバーした時代のお話です。 これまでユダヤの民は政教分離、というよりも、『教』しかなかったところに、『政』が持ち込まれます。つまり、民が王を持ちたい言いだしたのです。 その結果、サウル王、ついでダビデ王が即位するというストーリーです。 サウル王治世 サウルの時代の話は結構地味です。 概要をいえば、農夫のちびっ子から王様に選ばれた、スター誕生的な成り上がり物語。王になり、当初はイケイケアゲアゲでしたが、次第に慢が発生し、主への捧げものについて勝手に(間違った)判断をしたことで、主の恩寵から外れてしまう。 忖度が足りない! この後落ち目になってゆき…

  • 東洋哲学も勉強したいな、とつらつら思わせる佳作 『ハーバードの人生が変わる東洋哲学』著:マイケル・ピュエット&クリスティーン・グロス=ロー、訳:熊谷淳子

    タイトルがいいのか悪いのか 結論から言うと、なかなか良かった。 こういってしまうのも少し癪なのです。というのは、『ハーバード式』『スタンフォード式』『成功者が実践する~』などというタイトルが個人的には大嫌いだからです。 ではなぜ買ったか。 東洋哲学には興味がある。でもまんま『論語』とか書いてあったとしても、やはり手は伸びなかったと思う。 やはり一流大学の生徒がなるほどと思うその担保性、これゆえに買ってしまったのだろうと思うに至りました。 その意味でブランドの力・担保は大きく、タイトルをつける編集者の戦略は正しく、多少マンネリがあっても読者には売れる、という事になります。ほら、だって嫌だっていい…

  • 生まれ変わりの神秘?恩田氏の初期作品は心なしか、初々しく癖の薄い作品 『不安な童話』恩田陸

    皆さんこんにちは。 忙しくてバタバタしておりました。そして読んだ本も記録をつけずにほったらかし。危うく忘れるところでした。 はじめに 本作、恩田氏の極々初期の作品。1992年が彼女のデビューの年で、本作は1994年のもの。 初期のころから恩田氏のごった煮ミクスチャー的な作風がよく出ていると思います。本作はスリラーとモダンホラーにしいて言えばカテゴライズできるでしょうか。 生まれ変わりはあるのか 本作、特徴としてまず何が何でも取り上げねばならないのは生まれ変わり、というテーマです。 25年前に『必ず戻ってくる』と言って殺害された女流画家の生まれ変わりだとする、うら若い女性が主人公。 この女性が、…

  • タイトル通りの本です 『地域金融機関の経営・収益管理』編著:谷守正行

    私の仕事 私の会社での仕事というと、所謂数字のとりまとめみたいな仕事。 財務会計のデータを勘定系システムから引っ張ってきて、諸々手補正(インセンティブデータやフロント部署の収益分け)などをして再まとめをする、みたいな感じ。 別に難しくもなくバリューもつけづらいので、早く(期限内にレポートする)・間違いなく、というコンセプトで作業プロセス見直しとマクロ化を進めています。 ワタシなりのやりたいこと 仕事が単調なので、まあ少しずつ内容を深化したいってのは考えています。 個人的には拠点を大きくしたい、とか、他のアジア太平洋の拠点に伍して稼ぎたいとか。 いや、違うかな。最近気になるのが、何だか人員が増え…

  • 異人種家族の困難と悲劇を淡々と描く佳作 『EVERYTHING I NEVER TOLD YOU』CELESTE NG

    皆さんこんにちは。 本日Amazonから一通のメールが来ました。曰く、「あなたのレビューはコードに抵触しました。なので今までのレビューは全消し。そしてこの判定はくつがえりません」。 突然なのでちょっと驚きました。ちょっと残念。でも、ある意味Amazonには感謝。というのもまた一つ身辺が片付いたわけですから。出来ればネットとは距離を置きたいのです。 今更ですが、今後はいっそう自身の言葉遣いに意識的にならねば、と感じた次第です。まあ適当ですが。 さて、本作は娘の中学時代の本棚から拝借しました。多分、今年マックスに刺さった作品かもです。娘よ、お前センスある! はじめに ハーバード卒、ミシガン大院卒の…

  • 孤児院出身の二人の異なる人生。 『境遇』湊かなえ

    ここ数カ月、野球の先発投手よろしく自分の読書にローテーションが出来つつあるのを感じます。 伊坂幸太郎、村上春樹、恩田陸、湊かなえ、西加奈子、の諸氏。このあたりがローテーションの柱。次の候補として呼び名が上がるのが塩野七生、中村文則、白石一文の諸氏。 これらを順繰り順繰り回していくような読書です。 本当は、日々割り当てているビジネス書、英語のペーパーバック、そして聖書がメインで学びたいところ。で、その合間・息継ぎ・息抜きとして小説を読みたい、という意識ではあります。 残念ながら、結果として小説を読む量が圧倒的に多い笑 まあ脳の血管を詰まらせた前科がありますので、あまり無理せず、一日一歩、Baby…

  • さっぱり平明、読みやすくて面白い! 『むかしのはなし』三浦しをん

    皆さん、こんにちは。 日本は暑いようですが、皆さんお変わりありませんでしょうか。 暑いというと、熱い甲子園予選。とうとう始まりましたね。 便利な世の中になったもので、今や予選からネットで中継で(しかもタダで)見られる時代となりました。 昨年最後の予選を堂々たる一回戦コールドで敗退した息子。その高校は晩年一回戦負けなのですが、「今年は大分進化している」との息子談で、今年私はネットで速報を見ていました(平日。仕事しろって話)。最終的に乱打戦となり、8回裏までリードしていましたが、結局9回表に5点取られ、敢え無く一回戦負け。 仕事を頑張っても報われない自分(被害妄想強すぎ?てかはやく仕事に戻れよ)と…

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