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プロフィール
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海外オヤジさんのプロフィール

住所
東南アジア
出身
東京都

仕事術、健康(サラリーマンとして)、思想、歴史、陰謀論(趣味用)、教育、金融(家庭の維持用)などの本を読んでいきます。今年は息子のスタディサプリで世界史を勉強します。

ブログタイトル
海外オヤジの読書ノート
ブログURL
https://lifewithbooks.hateblo.jp/
ブログ紹介文
40代、全く出世しない窓際おじさんが、成長し生き抜くために読書をします。その読書録。最近、生き抜くより息抜く読書が多めです。2014年から海外で生活しています。因みに奥さんは外人。
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2019/12/13
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海外オヤジさんの新着記事

1件〜100件

  • 英字で金融情報を読みたい人には激推し ― 『金融英語入門』著:柴田真一

    翻訳ものを読んでいて、原文を読んでいなくても「こなれているなあ」と思ったことはありませんか。 そういう意味で、本作は、金融英語についての「こなれた」感が強くにじみ出ている英語本だと思います。 内容は全4編で金融の内容について章だてが分かれています。2章が株式、3章が債券とかそういう形です。その扱う内容は非常に基礎的で金融業界で働く我が身からすれば初歩に近い極々簡単な内容。 でも、出色はその例題。和訳と英訳の練習問題がついているのですが、この模範解答が実に「こなれている」 例えば第1章の例題と模範解答はこんな感じ: In the late 1990s, many banks and securi…

  • 大手マスコミ不信と、情報ソース取捨選択という自由と困難 | 『戦う石橋湛山』著:半藤一利

    皆さんはマスコミやメディアを信じていますか? 恐らく多くの方が多少の疑いやポジショントークの可能性を考慮しつつも、まあ信じるという方が多いのではないでしょうか。私もそうです。 しかしもしマスコミが、戦争を推進する、戦争へのムードを後押しする、なかんずくそのムードを作り上げたとしたら、それでも我々は今まで通りの関係をマスコミと続けるべきなのでしょうか。 本作は、2021年に逝去された半藤氏によるマスコミ批判書です。タイトルに「石橋湛山」とありますが、決して元総理大臣の石橋湛山についての本ではありません。日中戦争開始前後に、戦争反対・満洲撤退という持説を大いに唱えた石橋湛山率いる東洋経済新報社と、…

  • 一見お下劣なYA本も、読後に強い苦み ― 『The Absolutely True Diary of a Part-Time Indian』著:SHERMAN ALEXIE

    id:AgentScullyさんのブログで、全米の『最も抗議・異議が寄せられた本ベスト10』なるものを目にして以来、これらが一体どういう本であるのか読んでみたくてウズウズしておりました。 blog.the-x-chapters.info 最初に”To Kill A Mockingbird”(邦題『アラバマ物語』)を読んでみたところ実に面白く、これが2作目のチャレンジです。 ざっくりとあらすじを言えば、居留地で悶々と生活する中学生の主人公Arnoldが、勇気を出して白人だけの高校へ転校・進学し、カルチャーショックや地元での摩擦、あるいは近親者の死を経て成長してゆく、というお話です。 ん?これって…

  • デリバティブの仕訳の本。以上。 ― 『そのままわかるデリバティブ取引の会計・税務』編:みずほ総合研究所、プライスウォーターハウスクーパース税理士法人中央青山

    新年になり、何故かちょっと忙しく本が読めていません。ということで本年一冊目は仕事の本となりました。 これまでデリバティブの本を幾つか読んできました。その多くが入門書でしたが、本書はその中でも特に仕訳に特化していると思います。ですから、デリバティブの仕訳を知りたい人には最適。 デリバティブの仕訳を知りたいという方は本職で経理をしている方、金融企業の有価証券報告書を芯から理解したい人、あとは、、思いつきませんが、そういう方にはベストチョイスです。 かれこれ20年前の本ですので現状と違うところも多いかとは思いますが、そこがまた基礎を学びたい方などには逆によろしいような気もします(包括ヘッジとかそうい…

  • 社会での不正にどう向きあうか ― 『To Kill a Mockingbird』著:HARPER LEE

    公民権運動を経て黒人差別が撤廃されてからまだ100年もたっていないと聞くと、私なぞはちょっと驚いてしまいます。LGBTQなど多くの性的な差別すら解消されようとしつつある昨今に対し、自分たちの父母ないし祖父母が若かったころ、アメリカではいまだに堂々と黒人差別がまかり通っていた。そして本作は、そのような差別に対する善良な人々の対応を描く素晴らしい作品でありました。 あらすじ 本作の語り手であるScoutは兄Jem、弁護士である父親Atticus、通いのお手伝いのCalpurniaとアラバマ州のMaycombという田舎町で生活をしている。とある日、父親は公選弁護士として黒人被疑者のTomのレイプの罪…

  • 2021年読書を振り返る(印象に残った10選)

    おかげ様で、当方のブログも開設2周年を迎え、そして2021年もつつがなく終えることが出来ました(年内にUPをもくろみましたが失敗しました)。昨年、本サイトに訪問して下さった皆さまに改めて御礼申し上げます。ありがとうございます。 さて2021年も前年に続きコロナ一色でありました。 そんな中ですが、私は一年の殆どを自宅勤務で過ごし、外出もあまりせず自省的・内省的な生活に終始しました。おかげで体重も3kgほど増え、心身共におっさんらしさが増した一年でもありました。 2021年の読書は大体140冊 さて、2021年の読書は大体140冊でした。正確言うと144冊らしいのですが計算に自信がありません。。。…

  • 七人に七様の人生と七様の決断 - 『物語のおわり』著:湊かなえ

    人によって考えや感じ方は違う。この至極当然な考えが本作のテーマだと思います。 未完の小説『空の彼方』をめぐる7人の物語。この未完の小説が北海道を旅する旅人たちの間を行き交う。そしてその終わり方をそれぞれ7人が考えるというもの。 面白いのは、やはり同じものを見ているのに人によって全く受け取り方が異なるというもの。また舞台が北海道ということもあり、旅行欲をそそります。 ちなみに私は、自転車で北海道を旅行する綾子が主人公の「ワインディングロード」が一番好みです。綾子が付き合っていた剛生という男のディスりが結構なくずっぷりで圧巻。また私事ですが大学生の時に自転車旅行で鹿児島や屋久島に行ったことがあり、…

  • キリスト教についての興味が中程度(?)以上の方は読んで損しません ― 『なんでもわかるキリスト教大事典』著:八木沢涼子

    キリスト教って何なのか?知っているようでいまいちよくわからない。ちょっと勉強してみたい。そんな方は結構いるのではないでしょうか。 私の場合、興味の始まりはユダヤ陰謀論(笑)。そして世界史で十字軍やビザンチン、そして米国史を学ぶうちにキリスト教についても興味がわき、さらに文学作品を渉猟するにあたり、どうもキリスト教内部でもいろいろあるらしい、と気づきはじめました。 キリスト教を包括的に学ぶのに何かいい本はないかとネットで調べていたら、とあるサイトでお勧めにあったのがこちらの作品。 新教・旧教ひっくるめて、すべて説明! で、読んでみましたが、非常にわかりやすかった。この人は一体何者か?とむしろ筆者…

  • 株屋が業務説明を英語でするときには重宝しそう ― 『英和和英デリバティブ証券化用語辞典』著:可児滋

    基礎的で実直な辞書・辞典だと思います。 デリバティブってホントによく分からなくて、私もいろいろと本を読んできましたが、本書は非常に基礎的な部類に属すると思います。 デリバティブというより、株式市場や先物市場の用語、テクニカル分析の用語なども掲載しており、その点は非常に幅広いと感じております。「ナンピン買い」とか「現引き」とか株屋が日常で使っている業界用語など、確かに英語で何というかよくわかりませんでした。 また、古代ギリシアの哲学者「タレス」の逸話からデリバティブ(証券分析)の用語にギリシア文字(αとかβとか)を使うようになったとのことです。ちょっとした学びでした。 ja.wikipedia.…

  • こどもの無垢をいつくしむ大人向け小説 - 『赤毛のアン - 赤毛のアン・シリーズ1』著:モンゴメリ 訳:村岡花子

    私が子供のころから有名だった本作。どうも女子向けというイメージもあり、子供のころから手を伸ばさずにおりました。長じて後、数年前にローティーンになった娘に読書習慣をつけるべく本作を与えてみたのですが、「つまらない」「眠くなる」との反応。そこで初めて私も読んでみたのでしたが、確かにすごい面白いわけではない。サスペンスはないし、アンの自意識過剰感もなんというか「やかましい」。一通り読んだのですが、特に大きな印象を持つこともない読書体験となりました。 最近、少し英米文学を読む機会があり、興味がわき本作も再読してみる気になったのですが、前回と大分印象が違いました。なぜだかわからないけど。美しい自然の描写…

  • 密度の濃い世界史本。というか教科書! ― 『詳説世界史研究』編:木村靖二、岸本美緒、小松久雄

    かつて息子の高校受験用に契約したスタディサプリ。コンテンツ見放題なことをいいことに、一念発起して大学受験用の世界史の講義を聞き始めて早一年。猿人の発生から現代までを4回通して視聴し、思いました。耳だけでなく目でしっかり文字で追って内容を読みたい!と。 そして、色々探してこちらをチョイスしました。こちら通読し終えて、これで世界史5回転達成!さて、私はどこへ向かっているのでしょうか。。。。 長年、勉強しなかったことにちょっとしたコンプレックスを感じていた世界史。40代後半にもなって、酔狂なことにこの世界史に手を出しました。 でも、知れば知るほど面白い。これほんと。今ある現代はすべて過去の結果である…

  • 金融系ユダヤ陰謀論(やや不満がのこりました) ―『金融の仕組みは全部ロスチャイルドが作った』著:安部芳裕

    いわゆるユダヤ陰謀論をコンパクトにまとめたものです。タイトルにもある通り金融の内容に比重が重いのが特徴だと思います。 お金の仕組みについては面白い意見かと ユダヤ陰謀論の系譜にあたる本だと思いますが、これまでの陰謀論と比べて新味が感じられるのは通貨論に踏み込んでいる部分でしょうか。 米国で通貨発行権を持つFRBという私企業(!)から米国政府へ貸し出されたドル。通貨発行にかかる費用と実際貸し出される価値との差異はFRBの儲けになります(シニョリッジ)。ドルがWW2以降基軸通貨として世界に流通するのですから、流通に応じてその差益は膨大になります。しかも金本位の停止を経て金の裏付けがなくなても流通し…

  • 読んでみて!としか言えない、傑作ミステリ ― 『THE MURDER OF ROGER ACKROYD』著:AGATHA CHRISTIE

    いやあ結局驚いた。ああ、そういう事か!と最後に膝を打つ。 多作のアガサ・クリスティーの作品群の中でも代表作として挙がることが多い本作。確かに面白かった。 (因みに今回もインド亜大陸版につき表紙はAmazon版と異なります) あらすじ とあるイギリスの町で、金満家ロジャー・アクロイドが自分の屋敷の書斎で殺害される。容疑者は継息子、同居する妹(姉?)、その娘、ロジャーの友人、秘書(執事?)、そしてかかりつけ医。一体誰の仕業か。 難事件を解決するのは、引退したはずのエルキュール・ポワロ! 上流階級の様式美の雰囲気がよい 今からもう100年程前に出版された作品(1926年)なのに全く古びてない。 もち…

  • 救いのない今を生きるポーランド女性たちの物語 - 『カティンの森』著:アンジェイ・ムラルチク 訳:工藤幸雄、久山宏一

    カティンの森事件という事件をご存じでしょうか。 第二次世界大戦中、約1万人のポーランド人将校がソ連公安当局によって虐殺されたといわれている事件です。 ja.wikipedia.org 事件発覚以降戦後も引き続き、ソ連に進攻したドイツ軍の仕業であると言われていました。しかしゴルバチョフのペレストロイカにより、ソ連軍の仕業であることが50年の時を経て明らかになったものです。 こちらも世界史の講義で知り、より内容を知ってみたいと思い購入に至りました。 いわゆるカティンの森事件を題材にしたフィクション。全編通じて美しくも陰鬱な雰囲気に満たされた内容でした。 とはいえ、カティンの森事件の内容を説明するも…

  • 超常現象を小気味良く解決。ガリレオシリーズ第二弾- 『予知夢』著:東野圭吾

    もうこれ虐待に近いのかもわかりませんが、中2の娘に毎月1冊本を読ませています。ページ数を日数で割って、1日どのくらいまで読めば終わるかとかカレンダーに書き込ませます(こんなんしたら面白いものもつまらなくなるかもしれませんが。。。)。まあ3か月やってギリギリ2か月はきちんと読んでくれるくらいですが。 で東野圭吾氏。 彼の本は、本嫌いの長男が本を読むきっかけになったものなので、二匹目のどじょうをという事で娘にも薦め始めました。次回娘が「次はミステリーを読んでみたい」と希望が来たら渡せるように、下読みをしてみました(自分から作家を探すつもりは全くないようです)。 物理学准教授のガリレオ先生こと湯川が…

  • 十字軍行軍の徒花と消えた特殊法人 ― 『テンプル騎士団』著:佐藤賢一

    世界史の講義で、講師が「テンプル騎士団はフリーメイソンの源流であるという噂も」と聞き、その神秘性に惹かれ、何か新たな事実が分かるかも?と本書を購入。 学生時代は中世というのは一番つまらないし中世を研究する人たちの気が知れない(ごめんなさい!)と考えていましたが、50近くになって私、最近中世がブームっぽいです。 世界史を勉強していると、宗教騎士団というのが出てきます。主に三つ取り上げられることが多いのですが、ヨハネ騎士団(十字軍+病院系)、テンプル騎士団(十字軍+護衛系)、ドイツ騎士団(十字軍+護衛系、のちに開拓系)というイメージでしょうか。 中世において、王家、教会という二大勢力がある中、特殊…

  • シンプルな例文に微妙なニュアンスをのせる例文。上級者向き英語本― 『ロジカルイングリッシュ 英語力は文法より「話す順番」で決まる!』著:有元美津世

    アジアに渡ってきて早8年目。業務の連絡は英語を使いますし、厳しいインドなまりや華僑のなまりにも大分慣れました。アジアでは何とか英語で意思を伝えることができると感じますが、いかんせんストリートファイト仕込みという引け目が未だにあります。 今年の目標に英語を勉強すると宣言し、残りあとわずか一か月強。英語の本はけっこう沢山読んだのですが上達した気がしない今日この頃、本棚の本書を再読してみたものです。 侮れない本。これが印象です。 例文がシンプルで優しいのですが、その実伝えるニュアンスは時に繊細。なんというか、ネイティブっぽい英語のニュアンスを表現している例文や解説が多い。 一例を申し上げます。例えば…

  • 没落する日本で生き抜く宣誓 ― 『日本の没落』著:中野剛志

    本作は、官僚・評論家である中野剛志氏による、ドイツの歴史家シュペングラー『西洋の没落』の解釈本というのが端的な説明になると思います。 曰く、100年前に書かれたシュペングラーの著作には、現代社会の諸相(経済成長の鈍化、グローバリゼーション、地方の衰退、少子化、ポピュリズム、環境破壊、非西洋諸国の台頭、機械による人間の支配等々)を見事に言い当てており、その没落への過程は西洋文化ドップリの日本にとって参照に値するのではないかというもの。 よくもまあそこまでドイツ語文献をしっかり読んだこと 先ずもって賞賛したい点は、ドイツ語文献をよくぞここまで読み込んだなあということ。学生時代の私の僅かな原書購読体…

  • タイトルまんまですが、基礎的銀行経理の本。 ― 『Q&A 業種別会計実務9 銀行』著:トーマツ 金融インダストリーグループ

    本棚整理と復習を兼ねて再読。本サイトを見てくださっている奇特な方には申し訳ないのですが本ポストは普通に読み飛ばしてください。。。 実務書であり、題名がこれ以上内容を表すこともないと思います。そのまんま。 当然のことながら経理財務の方向けの本。私は経理畑の人間ではなく、別のミドルファンクションとして本書を読みましたが。 さて内容ですが、銀行の経理実務について特長的な項目を絞って書いてあるものです。銀行業界の経理の特殊性は有価証券報告書などを見ればすぐに気づくことと思います。経引後利益の事を業務純益と読んだり。収益の種類もアップフロントフィーとか、デリバティブ収益とかありますし。 こうした銀行特有…

  • 今年一番のインパクト。自分を変えるプリンシプルのつくり方 ― 『PRINCIPLES』著:RAY DALIO

    事のはじめはメンターからの一通のLINE。7月の暑いさなか、相変わらずぶっきらぼうに以下の動画リンクだけが送られてきた。 youtu.be 16分の結構長めの動画。見ると、どうやら本のサマリーのようです。 ・・・この本を読めという事だと忖度する。まあ確かに面白そうだし。ただ、Amazonを探すも、どうも検索に引っ掛からず(PRINCIPLESと英語で検索していました・・・)、仕方なくBookDepositoryという世界中送料無料で送ってくれる英国のチョイ安本屋さんにて7月末に購入。船便で手元に届いたのは8月の末。ようやく10月に読み始め、その後読むのに6週間かかりました(疲れました)。でも届…

  • 中世イタリアを堪能しました ― 『デカメロン(下)』著:ボッカチョ 訳:平川 祐弘

    いやー、長かった。でも中世イタリアを堪能しました。たっぷりと。 タイムスリップができるのなら一週間くらい中世に飛んでみたいなあ等と思いました。作品のように結構退廃的だったのか、あるいはやっぱり宗教的価値観の軛にぎっちぎちにつながれたような社会だったのか・・・。 時は、聖書が民衆の言葉(イタリア方言)に翻訳されるより前。だからこその教会による支配が可能だった時代、きっと牧歌的な時代だったのだろうなあ。 上巻・中巻に続き、本巻が最後。8-10日にわたる30話を収録しています。 話の内容は相変わらずトンデモ話やエロ話なのですが、一番強烈だったのは第9日第10話。ピエトロ親父の妻を神父さんが魔法で雌馬…

  • 恥部をさらけ出す話の数々こそ、人間中心主義の証か ― 『デカメロン(中)』著:ボッカチョ 訳:平川 祐弘

    本作表紙にはオレンジ色の背景で黒字ででかでかとタイトルがあります。 どうやら家内も娘もこの本のタイトルが気になっていたようです。デカメロンって、音の響きも口に馴染みますよね。。。娘に至っては自分の知らない食べ物か何かかと思ったの事でした(「メロン」に引っ張られてますね笑)。 さて、3巻からなる大作の中巻は4日目から7日目の計4日間・40話を収録しています。 当『デカメロン』ですが、実は毎日テーマが決められ、話が展開していきます。例えば4日目は「その恋が不幸な結末を迎えた人の話」、7日目は「女たちが夫に対してやらかした悪さの数々」など。でも、艶話・面白話もこうも続くと、多少の変化が日々ついている…

  • 中世世界の豊かでエロい人間模様を描く ― 『デカメロン(上)』著:ボッカチョ 訳:平川 祐弘

    世界史を勉強中、14世紀のペストの大流行のトピックで出てきた作品。読みたいとずーっと考えていたのですが、この度、上中下をまとめて購入しました。すべて読んでから記録を、と当初は思ったのですが、自らの更に老化しつつあるサメ脳(要は容量すくない)を思い、上巻を読み終えたところで記録を残そうと思い立ちました。 その前に、皆さんデカメロンってご存じでしたか? 私は、世界史でボッカチョを習うまでは、デカメロンと聞けば私には「少年隊」しか思い浮かびませんでした(ほとんどの方の頭に?が浮かぶことでしょう)。 youtu.be ボッカチョは世界史ではルネサンス期の文学者として登場しますね。本デカメロンは、ペスト…

  • アクセルとブレーキを両方踏んでいる。だから変われない。 ―『なぜ人と組織は変われないのか』著:ロバート・キーガン、リサ・ラスコウ・レイヒー 訳:池村千秋

    変わりたい、変わろうと努力している。なのに全然改善できない。そんな思いを抱いたことはないでしょうか。 痩せたいけど、甘いもの・脂っこいものを食べちゃう。勉強しなければいけないけど、携帯見ちゃう。話を聞けるよい父親になりたいのに、また怒鳴ってしまった等々。 本書はそうした変わりたいけど変われない人の心理に潜む構造を明らかにし、人は幾つになっても変わることができる、と主張する作品です。 変化を阻む原因とは では変革を阻む原因とは何か。それは、自己に潜む「強力な固定概念」です。 人は矛盾を抱える生き物です。向上したい・自分を変えたいという気持ちに偽りはないものの、その裏には自分の変革を阻む固定概念が…

  • 隣の大切な人の存在が私の日常を作ってくれている ・・・- 『僕らのご飯は明日で待ってる』著:瀬尾まいこ

    人は大切な人を失ったとき、どのようにすれば回復できるのか。 時間が解決してくれるというのは一つの真理かもしれません。しかし、喪失の傷はあまりに深いもので、どれほどの時間がかかるのか想像すらできません。 人が受けた傷は人によってしか癒されないかもしれない。本編でもそう仄めかされていますし、私も直観的にそう感じています。 あらすじ 因みにあらすじは以下の通り。兄を中3時に亡くして以来、もぬけの殻と化していた亮太の前に現れた小春。彼女の存在が亮太の心を開いていき、やがて2人は結ばれるが、彼女に病魔が襲う。超ザックリ言えばこんな感じ。 ベタベタの中に光る日常・存在の尊さ 暗いトピックで物語は幕を開けま…

  • ストレステストの根本思想は経営そのもの ― 『これからのストレステスト』編:大山剛

    そんなの想定して意味あるのか?という想定。 10mを越す津波がやってくる。原子炉がメルトダウンする。近所の都市銀行が破綻する。 起こる前はあり得ないと考えていたことが起こる。これが現実です。 その一見起こり得ないこと、「例外的だが起こりうること」を想定して備えなさい。これが極々簡単に言えばストレステストの意味合いだと思います。 本作はそのようなベース思想のもと金融機関で行われているストレステストについて、歴史的経緯と思想、そして実務的要点について詳述しているものです。 基本実務家向けの本ですが、、、 実務に関わっていないのでそこまで大きな関心はないのですが、金融機関のFinancial Sta…

  • 世界史で読む人類と感染症の歴史 ― 『人類 vs 感染症』著:岡田晴恵

    感想を一文で申し上げるならば、非常によくまとまっており、面白くためになる作品だったと思います!! タイトルにもある通り、本作は人類と感染症との絶えざる闘いを歴史的事柄を交えて説明しています。病原菌が種としての生き残りをかけて宿主に感染し子孫を増やすという構図に、私はR.ドーキンスの『利己的な遺伝子』をふと思い出しました。 例えば天然痘。死亡率は20%程度でクスリもなかった当時、人々にできるのはただ祈ることだけ。その威力はスペイン人ピサロが南米インカ帝国を滅ぼす際に、人口1000万人から130万人までへと激減させたほど。 そんな天然痘を予防することに成功したのは英国の医師ジェンナー。彼は近所の牧…

  • 不機嫌な「ちびまる子ちゃん」が毒を吐く ・・・- 『円卓』著:西加奈子

    先日日本にいる息子から船便で本が届きました。ブックオフでまとめて買っておいたものを段ボールで年に数回送ってもらっています。 実は買ったのは二度目。読み始めて、あ、これ読んだことある!と気づきました。前のはすでに売ってしまい気づきませんでした。 この本をごく簡潔に表すとすれば?と自問し、不機嫌な「ちびまる子ちゃん」と自答してみました。 渦原琴子、三年生。通称コッコ。 頑固でひねくれている。切れやすく、二言目には「うるさいんじゃボケ。」 孤独になりたく、不幸になりたく、同じ公団に住む同級生のぽっさんのドモりのリズムが素敵だと感じている。自分はとんがりたいのに、周囲からは猫かわいがりされる。それがま…

  • 宗教改革の起爆剤となった諧謔の書 ― 『痴愚神礼賛』著:エラスムス 訳:沓掛良彦

    エラスムス。 確かにマイナー。訳者があとがきで嘆く通りです。世界史ではルターの宗教改革のくだり、そしてトマス・モア(『ユートピア』の著者)の友人というくだりで出てくる位ではないでしょうか。しかし一度読めば、本作が豊かなヘレニズム的教養の詰まった、それでいてユーモアに満ち溢れる作品であることがわかります。 中世きっての知識人エラスムスによる本作、一言で表現すれば、当時の世間と宗教界を批判する諧謔の書、であると思います。痴愚(アホ)の女神という架空の神を作り、彼女が自分がいかに偉大であるかを自画自賛・礼賛するというもの。 彼女が居るおかげで世界は楽しく回る。その彼女が従えるのが「ウヌボレ」「追従」…

  • 宗教は集団になると恐ろしい?宗教集団アメリカ!? ― 『キリスト教でたどるアメリカ史』著:森本あんり

    総評 この本はアメリカ史?についての本です。しかし、焦点を当てるのはむしろアメリカの歴史のダイナミズムの下に隠れる宗教の強さ。あるいはこうも言えるかもしれません - 宗教という隠れ蓑にひそむ人間の汚さ・狡さ。 いずれにせよ、イデオロギーは人を聖者にも殺戮者にもしうるし、本来倫理に悖るような行為についてもひとたび神を持ち出すことで正当化される。これが読後の正直な感想です。 南北戦争の原因は宗教観の違いが原因ではない? さて内容ですが、個別トピックの中では、南北戦争がちょっと引っ掛かりました。 筆者の分析は南北戦争の背景に宗教的分断があると見ているようでして、このような記述があります。 「聖書は、…

  • リベラル願望に潜む差別意識、でも大家族パーティーやってみました! ― 『IT’S ALL RELATIVE』著:A.J. JACOBS

    以前米国人の知人と話をしていた時、私が思想系が好きだと言うと彼が教えてくれたのがJames Altucherです。 jamesaltucher.com このJamesは、超ではない有名人をゲストに呼び話を聞くというPodcastをしており、私も通勤途中で聞きながら面白そうな人がいたら著作をWish Listに入れたりしていました。James自身はちょっと下品?というか微妙に薄っぺら目な感じなのですが、ゲストは元米最高裁判事とか元宇宙飛行士とかが来たりしてなかなかに人選が興味深いのです。そうした中で発見したのが本作の著者のA.J. Jacobsです。 筆者のA.J. Jacobsはユダヤ系の米国…

  • 市場を出し抜こうとすることそのものが敗者のゲーム。市場平均(インデックス投資)で十分 ― 『敗者のゲーム』著:チャールズ・エリス 訳:鹿毛雄二

    皆さん投資してますか? 個別株をマーケットで売買したり、持株会で自社株を月々購入したり、あるいは毎月分配型の投資信託とかを買ったりしていますか。 若い頃は私もしました。個別株、外国株、投信と色々やりました。幸いタイミングが良く100万ちょっとくらい儲かったと思います(日経平均8000円割れを経験しましたからねえ)。ま、移住に際してすべて処分しましたが。。。 年金や退職金が覚束ないとすれば、やはり貯蓄・投資というトピックは避けて通れない課題の一つだと思います。 要旨は『インデックス投資一択』! 本書の要旨を極荒っぽくまとめるならば、『個別株投資(投信)はやめときなさい、負けるから』ということです…

  • 会計から知るタイ・マレーシアのお国柄 ― 『タイ・マレーシアの会計・開示制度』著:御園恵、的手美与子 監修;平松一夫

    今年は自分の仕事や業界の復習をしています。併せて在住している東南アジアのことも勉強・復習しようと思い手に取ったものです。 グローバル化が叫ばれて久しいです。 会計の世界でもIFRSという国際会計基準への収斂が少しづつ進んでいるように思います。ただ、それでもなお各国独自の会計・制度や「テイスト」が残っているものです。 本作はほぼ30年前の作品であり、実務書としては現状から大きく乖離している可能性があります。しかしながら、いわば国のもつ「テイスト」を知る上では、悪くはないテキストだと思います。 特にその会計制度の歴史にページを割いている点は非常に興味深く読めました。 タイは歴史を通じて西欧に征服さ…

  • ヒトとの繋がり・人的資本の重要さを考えました ― 『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』著:宮台真司

    21世紀をいよいよ迎えるという1990年代、若者文化の分析と小難しい言い回しを手に登場した氏。一世を風靡した感がありましたが、当時高校・大学時代を過ごした私は(つまり若者です)「けっ、俺の事なんか分かられてたまるか」とばかりに見向きもしませんでした。 おっさんになって大分たちますが、Kindleのセールで本作を発見しまして、「はて彼は結局今、どういうことを言う人になったのか」と気になり手に取ってみた次第です。 端的に言えば、本書は宮台氏による日本論であると思います。 あとがきに「衒学的」とある通り、確かに時に言葉遣いは思想業界用語のクロスオーバーとなり思想・哲学・社会学に馴染みのない方には到底…

  • 小気味良いエンタテイメント!ガリレオシリーズ第一作 ・・・- 『探偵ガリレオ』著:東野圭吾

    ワクチン接種後気分が優れず、やる気が起きない倦怠感にとらわれ、普段読んでいる本も集中して読めない日が2日程続きました。そこでもっとライトな本を読んでみようと思い立ち、もう二回は読んでいる本作を試しに読んでみる。普通に面白く読めました! 東野氏による有名シリーズ「ガリレオシリーズ」の記念すべき第一作。 短編5編による本作ですが、小気味良い展開と驚くばかりの科学トリックは25年前の作品とは思えないほどです。面白くてサクサク読めます。 気になる点。 ドラえもんなどの長期シリーズで当初のものと時代が下ったものでキャラが結構違っているように、本作のガリレオ先生こと湯川は最近の作品の中とではちょっと雰囲気…

  • 社会学の名著!注釈がやたら長い・・・―『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』著:マックス・ヴェーバー 訳:大塚久雄

    世界史で宗教改革になると必ず出てくる著作です。本棚で10年以上積読になっていることに薄々気づいていましたが、手元の日本語の本がなくなってきて(海外だとこういうのが面倒)、渋々読みだしてみた次第です。 ・・・ 世界史や思想史で頻繁に言及される本書。高校時代や予備校で耳にしたことがある方も多いと思います。で、その趣旨たるや、「天が授けた過分の賜物。この賜物を用いて天職を全うし蓄財することこそ神の栄光に適う行為である。そしてこのエートスこそ、近代資本主義の一因となった。」 こんな感じだと思います。 私は、まっさらな状態から本を読みだすというより、本当に上記のようなことが書いてあるのかな、と探り探り読…

  • 中国製コロナワクチン・シノバック接種一回目

    * image is taken from https://www.straitstimes.com/asia/se-asia/sinovacs-covid-19-shot-highly-effective-against-serious-illness-malaysia-study 中国製ワクチンを打ちました 今更ですが、東南アジアの片隅でワクチンを打ってきました。こちらでは主流である中国製シノバック(Sinovac)。幸い副反応はなく、強いて言えばやる気が起きないくらい(いつも)。なお家内も一足先に打ちましたが、大きな異常はありませんでした。ただ、首周りにアトピー様の湿疹・あせもが多発して…

  • 会計職には基礎固め的、関連職には入門書か ― 『金融機関のための金融商品会計ハンドブック』著:岡本修

    今年の6月くらいから自分の仕事や業界をもう一度勉強し直そうと考え、本棚に眠っていた本を事業仕分けがてら読んでおります。本作はその過程で手に取ったものです。 ハッキリ言って金融関連ないし経理・会計職関連の方以外には全く面白くないと思います。だって読んでる私だって面白いと思いませんもん。50歳近いので今更ですが、仕事選び間違えたかなー?? 本作の内容ですが、本の題名の通りです。 金融機関にお勤めの方、ないしは経理・会計職の方以外には用なしの本であると思います。内容もタイトルすばりです。金融商品の会計方法の解説本です。 ・・・とこれで終わってしまうと身も蓋もありませんので特徴をかいつまんで幾つか。 …

  • ロンドン近郊を舞台にした連続作人事件。面白い! ― 『ABC MURDERS』著:AGATHA CRISTIE

    先月読んだ『MURDER ON THE ORIENT EXPRESS』が存外に面白く、かつ直近で読んでいた英語の本が非常にストレスフルであったので、気分転換にこちらの本を読んでみた次第です。 lifewithbooks.hateblo.jp (実は5冊セットのボックスを購入しました。そのうちの一冊。相変わらず良く行く近所の新古本の店で2,500円ほどで購入したものです。デザインはすべてIndia-Subcontinent版; インド亜大陸特別版とのこと) ・・・ これまでアガサの作品は『オリエント急行~』しか読んだことがなく、本作で二作目。前回同様面白かったです。 さてこの『ABC~』ですが、…

  • 人間の認知・理性の「くせ」が分かる本 ― 『予想どおりに不合理』著:ダン・アリエリー 訳:熊谷淳子

    先日著者の『ずる』という作品を読みました。人間が実に巧妙に自らを正当化してずるをする様子が描かれており面白く読みました。 lifewithbooks.hateblo.jp 今回読んだ作品は上記『ずる』と一緒に買っておいた作品。『ずる』よりもちょっと分厚めだったのですが、はっきりいってこっちの方が面白かった!! 非常に面白く読めました。彼の作品は二作目ですが、どちらも人間の非合理を明らかにしている点が非常に興味深かったと思います。 全部で15章もありなかなかのボリュームなのですが、私は特に『相対性の真相』(1章)、『扉をあけておく』(9章)、『価格の力』(11章)が気に入りました。 第1章は人間…

  • 暴君をいただいた家族の哀しい結末 ・・・- 『血と骨』著:梁石日

    昭和を駆け抜けた韓国人の、その暴力と性と身勝手さが突き抜けており、ドライブ感に圧倒されました。ただ、読後にはどんよりと胸の底に苦しいものが残る、イヤミス的な(ミステリではないけど)感覚を憶えました。 本作は筆者である梁石日氏が父親をモデルに執筆したもので第11回山本周五郎賞受賞作品。 独善、放蕩、意固地、暴力等、およそ家族を持つのにふさわしくない性格の主人公金俊平が正妻と妾と多くの子供達を成して、また事業でも成功するも、晩年は北朝鮮へ帰国し死去するまでの物語。 正妻の英姫、どうして逃げなかったのか もっとも印象的なのは、家族(金俊平?)という呪縛のような逃れられない繋がり。 暴力的な夫を持った…

  • 日本人の『空気』の源とは ― 『「空気」の研究』著:山本七平

    以前山本氏の『一下級将校のみた帝国陸軍』を読み、その徹底した日本帝国陸軍批判に感銘を受けました。軍隊という命を預かる組織にあって、非合理的な決断が横行していた様子、そして上級軍人の余りにも軽い転向がビビッドに描かれたからです。 それ以後、お名前を記憶しておりKindleで安くなっていた本作を購入した次第です。 lifewithbooks.hateblo.jp 本作の印象 先ず簡単に感想を。話が具体的で分かりやすく面白い。日本人が空気に縛られる様子が良く描かれています。ただ、その先の議論について書き起こそうとすると途端に手が止まってしまいました。その意味で本作は一見簡単そうに見えますがその核心は…

  • かつての悲惨なロンドンが生々しい。ストーリーは普通か ― 『OLIVER TWIST』著:CHARLES DICKENS

    以前、『大いなる遺産』を読みました。凄くではないのですが、150年以上前のものとしては読めるじゃん、意外と面白いよ、というのが感想でした。 lifewithbooks.hateblo.jp その時の「意外と面白かった」が頭に残っている時分、近くの新古品を売る書店でこちらの本を見つけ、購入したものです(これまた500円弱)。 本作、A4より若干大きいサイズで厚さは1cmくらい。絵本です。まあこれならクラシックをすいすーいと読めそう。 しかし、ページを開いて驚愕。字が細かくないですか!! 絵本ですよね!? (これを見た途端、見なかったことにして本棚に戻しました。そして半年は寝かせました。。。) で…

  • 反グローバリズム入門、かな―『グローバリズムが世界を滅ぼす』著:エマニュエル・トッド、ハジュン・チャン、柴山桂太、中野剛志、藤井聡、堀茂樹

    新自由主義とかグローバリズムとか、しばしば耳にし、また口にもする割に、どこが良くて何がどう良くないのかについては、実はよくわかっていないようにふと思いました。 過日、トッド氏の『問題は英国ではない、EUだ』を読み、類書にあたる本書も読んでみようと思った次第です。 lifewithbooks.hateblo.jp グローバリズムのどこが危ない? グローバリズムって何ぞやとなりますが、誤解を恐れずに言えば、ヒト・モノ・カネが自由に行き来できるようになることです(間違っていたらごめんなさい)。当然、その前提になるのが規制撤廃・規制緩和です。さらにこうした規制撤廃・規制緩和が含意するのは金融・経済・法…

  • 深すぎる愛の果てにたどり着くところとは? - 『容疑者xの献身』著:東野圭吾

    本嫌いの長男が中二くらいのときに、初めて「この本、読んでみたい」と言ってくれた我が家にとっては記念すべき一冊。その後高校に進学して本には見向きもしていないようですが(本人曰く、忙しい)、夏休みには東野作品をブックオフで調達し、読んでみているようです。 物理学者兼探偵の湯川が活躍する、いわゆるガリレオシリーズの本作。 とくれば、ジャンルとなるとスリラー・推理小説と言えるでしょう。 その中で、本作の特徴は犯人が当初から分かっていることです。ではどうやってストーリーが展開していくのか。 突然ですが、あらすじ あらすじはこんな感じ。スナックから足を洗い弁当屋で働く靖子のもとを訪ねてきたのは別れた元夫の…

  • 生物の妙!生物学は面白い―『ゾウの時間ネズミの時間 サイズの生物学』著:本川達夫

    今から30年くらい前、私が高校生の頃、大学受験用の現代文でしばしば取り上げられていたのが本作「ゾウの時間 ネズミの時間」でした。生物学って面白いやんか!と感動したことを覚えています。もっとも、数式も結構出てくるので、数Iで数学に挫折した私には読みにくい文章であったことも印象に残っていますが。 そんな本書を通読するのは初めてでしたが、非常に面白かったです。 動物の妙、と言うのでしょうか、生物の構造、行動圏、食餌等と生物の大きさに相関があることを明快に示している点に感銘を受けました。 動物のサイズともう一つの要素(例えば生活圏、例えば食事量)を数式でとらえて、これを各動物ごとにプロットすると綺麗な…

  • ちょいめんどくさい自意識過剰女性、自己回復の話。分からんでもないけど・・・- 『うつくしい人』著:西加奈子

    この本、読中めちゃくちゃ疲れます。なんというか、そう、メンドクサイ! あらすじ 小金持ちの家の娘、百合の話。けっこう自意識過剰。姉は天真爛漫で美しく、でも引きこもりとなった。対して百合は世間の空気を読みつつ学生時代も社会人時代もサバイブしてきた。しかし実は、自分にひとかけらの実力も姉ほどの美貌もないことを理解していた。周囲にあわせて自分を偽っていることも息苦しかった。 あるとき、些細なミスを犯し、それを慰められたことをきっかけに彼女は切れた。オフィスで号泣。その後退職。そうした自分を認めるのも嫌で、ある時彼女は一人旅に出ることにした(ちなみにその旅費も親の金でそれも本当は嫌)。この旅で彼女は少…

  • 人は多様にずるをする!ずるの正当化がすごい!―『ずる 嘘とごまかしの行動経済学』著:ダン・アリエリー 訳:櫻井祐子

    私の個人的なテーマとして人間とは何か、という疑問があります。 生物学的な仕組みも、感情の動きも、精神と肉体の繋がりもすべて興味があります。その関心は、学部生の卒論時から細々とですが途切れることなく続いています。 その点、本作も人間の癖や性向について行動経済学の観点から述べており、非常に興味深く読めました。特にずる、という倫理的な側面に焦点を当てている部分が私好みでした。 著者ダン・アリエリーはイスラエル系の米国人で、デューク大で教鞭をとっている。イグ・ノーベル賞も受賞。人間の行動、心理、倫理規範などの連関についてこれまでのコンベンショナルな考え方を覆し新たな定式を提示する点が斬新であると感じま…

  • 机のわきに置いておきたいデリバ辞書―『デリバティブキーワード300』著:住友信託銀行マーケット資金事業部門

    この使い古された本は、私のメンターが日本へ本帰国になった際に置いていったものです。「じゃ、これ、どうぞ」 こういう時は、これくらい分かっておいてくださいという意味です。 ロックダウンが続き、通勤が不要になってから大分経ちますが、ふと「俺最近成長していない」と今更ながら気づき、改めて本書を一から手繰って内容を確認してみたものです。時間の余裕、大分あったはずなのにねえ。 実務書というのは得てして詰まらないものです。 一から通読するという(私のような)頭の悪い読み方をすると当然のごとく眠気を誘います。ただ一般のただただ分厚い実務書と比べると、本書は非常に明快で具体性を備えている、そして簡潔であると感…

  • 箴言集、あるいは政体論。政治ないし中世ローマ等の専門家向けか―『ディスコルシ 「ローマ史」論』著:ニッコロ・マキァヴェッリ 訳:永井光明

    正直言うと、安さにつられて買ってしまったんです。 ひと月くらい前でしょうか。通常価格1,700円くらいの本作が499円でした。しかもポイントがさらに200円分。ということは実質300円。安くないか!?しかも私の好きな歴史関連!Amazonレビューでもなかなかいいこと書いてある。じゃ、買うしかないじゃん、ということで深夜寝る前に半ば衝動的にポチった本作。 ・・・貧乏性って、本当に嫌。自分の性分をちょっと恨みました。 君主論で有名なマキャヴェリが表した著作。 一言で言うと「専門家向け」です。素人?というか気合いが入った人以外には中々おすすめし辛いというのが本音です。 内容は、端的に言えば国家論でし…

  • 意味深な例文にハッとする笑 単調でない読み取りドリル

    今春から日本の高校で学ぶ息子の楽しそうな姿を見聞きし、中学生の娘も『私も日本の高校に行きたいかも』と言い始めました。 本当に行きたいのならいいけど、あたな、日本語大丈夫? 結構ルー大柴みたいだよ!? とはいえ、やる気があるのにそれを潰すのも忍びなく、親子で勉強に勤しむことに。で、涙ぐましい漢字練習の最中に出会った本作。ちょっと面白かったのでご紹介。 子どもに漢字の練習をさせる時はいつも迷います。漢字練習って単調だし。 ネットでいい本の紹介はされてないかとしょっちゅう探しています。いっとき流行った『う〇こ漢字ドリル』も試しました。はじめの食いつきはいいものの、うちのような学力の低い中学生に与える…

  • 親日はうれしいけど、真の融和はどうすれば可能か分からない―『親日派のための弁明』著:キム・ワンソプ 訳:荒木和弘、荒木信子

    大日本帝国が20世紀初頭から第二次世界大戦までに繰り広げた蛮行に関し、メディアで報道されるたびに、その子孫の一人である私は悲しくなります。 学校でも習うし、きっとそんな蛮行は本当なんだろうなとは思いますが、本当に悪いことだけだったのか、という疑問も頭の片隅にはあります。 そうした疑問がある人には、今後の読書の参考になるような本です。 作者は日本とは縁もゆかりもない韓国人の方のようで、ソウル大物理学部出身というからきっとエリートだと思います。ただ、意見は相当ドラスティックであり、韓国で禁書となるのも納得の内容でした。 その幾つかをかいつまんで述べれば、日本の韓国併合は合法、併合により韓国は発展し…

  • 正しいとは何か?んなの分からないよ!!―『これから「正義」の話をしよう』著:マイケル・サンデル 訳:鬼沢忍

    今から約10年程前の作品。あのころは非常に盛り上がっていたように思います。コロナやオリンピックで騒がしい昨今、古本屋に並んでいた本作に、ブームは完全に去ったと判断し、そろそろ読んでみようと思い手に取りました。 しかしまた長いタイトル。原題は”Justice - what’s the Right Thing To do”であります。英語のタイトルの方が伝わりやすそう。 グローバル化が進む中、価値観の多様化は社会で広く受け入れられつつあると感じます。しかし、多くの倫理的疑問が世の中には残っています。そうした疑問に対し、社会としての正しい判断、つまり「正義」とは何か、を過去の哲学者の思想を紐解きつつ…

  • ユニークなキャラたちが雪山でひと騒動(サスペンス系)- 『疾風ロンド』著:東野圭吾

    妙に寝つきが悪い晩、読みかけの本を一冊読み切り、それでも眠れず読み始めたのがこちら。ふて寝ならぬ、ふて夜更かしを決め込み、あっという間に読了。 雪山を舞台にしたスリラーであるこの作品、東野作品としては安定した楽しさを味わえる一方、既視感にも似た感覚も感じました。 読めない筋書きと人物の面白さ まず面白かったのは筋の読めなさ。 大学研究所で無許可で開発してしまった細菌兵器を持ち出され、脅迫される研究所責任者。なんと細菌兵器は雪山に隠されます。ところが、事件の犯人、脅迫メールを送ると程なく死んでしまいます。これを上司から指示を受けた、研究所の冴えないおっさん栗林が、スノボ得意な息子秀人に事実を隠し…

  • ミステリの名作。作品が面白く英語でもどんどん読める。―『MURDER ON THE ORIENT EXPRESS』著:AGATHA CHRISTIE

    娘が学校の友人から借りてきて激賞していたので、そうなんだぁー、へー、と言いつつ自分も読んでみたくなり、早速試してみた次第です。 因みにこちらのジャケはインド亜大陸特別版とのことです。買ったのは東南アジアですが。 名前はよく聞いていましたし、ひょっとしてどこかでドラマ化でもしていたら見ているかも、と思いつつ読み始めましたが、読んだことはなかったようです。 高級寝台列車で起こる殺人ミステリーですが、90年ほど前に書かれたとは思えないほど現代風で普通に面白かったです。 時代背景を深読み 個人的には1933年初版という情報が世界史と絡めて想像を掻き立てました。 大恐慌やウォール街が話題に出ていたりとか…

  • 自由主義の成立は中国から!?今後の日本を考える良書―『中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史』著:與那覇潤

    購入して通読二度目。相変わらず面白い。 lifewithbooks.hateblo.jp 本作は歴史書の顔と日本論の二つの顔を持つと言えますが、そのどちらの切り口も非常に興味深いものだと思います。 中国化とは自由主義のこと!? 歴史書としては「中国化」の概念の導入。 宋代以降の中国にこそ自由主義の形が形成され、皇帝による支配と理念の体現(中華思想・朱子学)および活動の自由というセットを提示。自由主義はこの時すでに完成していると言えます。アメリカで言えば、理念としては「自由」、そしてあとは個人の競争(自由主義)でどうぞと。現代中国は政治としては共産党一党独裁も、経済活動は自由主義。とこのような感…

  • ジェンナー伝を読んで、ワクチンやら自己決定権やら相互理解をつらつらと。―『ジェンナー伝』著:小酒井不木

    コロナ禍の下、これほどまでに予防接種について世間が関心を持ったことは、私の40年強の人生ではなかっと思います。 ジェンナーは世界史でほんの一瞬ちらっと「予防接種の祖」、のような説明で出てきて興味が湧きました。ジェンナーについて知りたいなと思って調べてみたのですが、あいにく気に入ったものがAmazonでは見つからず、Kindleの青空文庫(パブリックドメイン)の子供向け伝記ものが発見できたため、これを読んでみた次第です。 30分で読める短いものですが、非常に面白かったです。 青空文庫は大抵のものは古く、言葉遣いがほぼ古文の域の作品もしばしばですが、本作は口語調で実に分かりやすい。 若き医師ジェン…

  • 「君臨すれども統治せず」の伝統はここから。イギリス貴族の気風の歴史を面白く伝える良書!―『MAGNA CARTA』著:DAN JONES

    世界史を勉強していると、やれフランス革命だ、やれアメリカ独立戦争だと勉強するのですが、その都度引用されるのがマグナ・カルタ。したらマグナ・カルタって何なの?と思い、近くの新古品を並べる本屋で本書をゲット。円換算で500円程度でした。 読後の感想ですが、英語がまあ分かるという方には是非読んでほしい!と思う程なかなかに面白かったです。 歴史物語がおもしろい 時は昔、13世紀のイギリスはプランタジネット朝。ノルマン・コンクエスト以降のイギリスがメインの舞台です。マグナ・カルタに合意したのはジョン失地王。親から土地を譲ってもらえず(次男坊)、それでもうまいこと王位につくも大陸側の領土をも失った情けない…

  • ちょっとかじった初級者の復習用にピッタリ!?―『世界一簡単なフランス語の本 すぐに読める、読めれば話せる、話せば解る!』著:中条省平

    数年前、奮発して家族でフランス旅行に行きました。 その際、こなせないとわかっていながらも、4・5冊はフランス語の本を買ったでしょうか。 因みに、私のフランス語歴は2年。ドイツ哲学が専攻でしたのでちょっとは役立つかなと学生時代にチャレンジしました。言っても、かれこれ20年以上前の話となりますが。 そして本作は、旅行前のやる気空回りの残骸でございます。 この度じっくり読んで供養してやることにした次第です。 さて、本書の副題ですが、非常に野心的ですね。本文中ではなんと、本書終了のあかつきにはル・モンドも読める(音読ですが)と豪語しています。 でも内容は伊達ではないです。 まず軽妙なタッチで非常に読み…

  • やや雑然とした論説集、だけど面白いオジサンだと思います―『問題は英国ではない、EUなのだ 21世紀の新・国家論』著:エマニュエル・トッド 訳:堀茂樹

    以前、私のメンターが筆者のエマニュエル・トッドのことを引き合いに出してモニョモニョいっていたことがあり、どうやら読めと言うことだなと忖度し購入したものです。それから少し時間がたったのですが読んでみた次第です。 カバー裏の窓には筆者の肩書として歴史人口学者・家族人類学者とあります。私は存じ上げなかったのですが、数字を引き合いに出して議論するちょっと面白いことをいうオジサンだな(失礼!)、という印象でした。 何が面白いかというと、時事的なトピックについて欧州人として率直かつ分かりやすく語っている点。例えば表題ですが、Brexitの件です。私がぼんやり考えていたのは、折角国連みたいな連帯組織であるE…

  • イタリア諸都市の教科書。世界史(文化史)の復習用に―『ヨーロッパの世界遺産①イタリア・ギリシア』監修:水村光男

    巣ごもり生活も早一年強つづき、最近外に出たくて出たくて頭がおかしくなりそう笑 脳内旅行で我慢する日々ですが、今回は旅行エッセイではなく、結構真面目な文化史の話です。 私事ですが、今年の目標は世界史の勉強。子供たちのために契約したスタディ・サプリで大学受験用の世界史を勉強しております。村山秀太郎先生、いつもお世話になっています笑 その講義、政治史だけでなく文化史もあり、面白く視聴しておりますが、今回読んだヨーロッパの世界遺産は、こうした世界史の復習にピッタリであると感じました。 特に建築関係は重点的に学べます。ローマ皇帝たちの凱旋門(パリやインドだけではないですもんね)の話、バジリカ様式やビザン…

  • 内容に新味はない陰謀論も、時宜にかなう考える材料に―『医療殺戮』著:ユースタス・マリンス 訳:天童竺丸 監修:内海聡

    以前読んで驚きと共に妙な感激(“そうだったの?知らなかった!的な”)を覚えた陰謀論。コロナ禍の下、改めてどんな内容であるか確認したく再読してみました。 再読後の感想は、イマイチ微妙、という感じです。 医療をはじめ社会に溢れる欺瞞を暴いて見せているのですが、真実かどうかは別として一部周知のものも散見されます(アルミの鍋の話、フッ素の話とか)。啓発・暴露という点では価値はあるかもしれませんが、内容に新味はなく、この手の話はキリがないという感を受けました。 ・・・ 本作は題名にインパクトがありますが、原題はMurder by Injectionであり、殺人注射、とでもいった直訳もできます。米国医師会…

  • 金融専門家をほぼ100%否定する投資入門―『臆病者のための株入門』著:橘玲

    お金についての不安。 シングルであろうが、世帯持ちであろうが、若者であろうが、老人であろうが、この問題はついて回る。 ましてはこんな世の中。 政府は滅茶苦茶な政策ばかり、年金不安も拭えない、金融機関はお金に働いてもらいましょうとあおってくる、ネットを見るとFIREとかlierだかこれまた怪しくみえる(オジサンですから許してね)。 ではどうするかというと、やっぱり身近な本を読んでみて、考えてみて、時間があれば検証して、そして行動する(あとはPDCA)、これしかないと思います。 そして、お金に関しては私は橘氏の洞察をかなり参考にしています。 本作は、筆者による投資心構えと言ったテイストの内容です。…

  • 食材の糖質を個別に確認することで見えてくるものがある―『食品別糖質量ハンドブック』著:江部康二

    糖質制限ダイエット、皆さん試したことありますか? 私も試してみて効果を得ましたが、極端な反応も多いような気がします。ラーメンの麵残すとか、牛丼のご飯残すとか。極端だからこそニュースになるのだとは思いますが、やりすぎじゃないかなとも感じます。 糖質制限ダイエットは非常に効果がある一方、これまで人類が命をつないてきた食べ物がそこまで悪いものなのか、と個人的には思ってしまいます。 そんな時にはこのガイドブック等で主要食材の糖質量が実際どの程度なのかを確認していただくのが良いかと思います。あ、糖質量というのは、いわゆる炭水化物の中の実際の糖分の量、ですね。 例えば麺類。炭水化物の代表格。うどんやそばで…

  • 旅行に行けない泣 ならば旅エッセイで我慢しよう! 『いつも旅のなか』著:角田光代

    コロナ禍のなか、私が住む地域ではロックダウンが続いており、息苦しい日々から抜け出せずにいます。どうにも旅行に行きたい!とばかりに再読しました。 角田氏、小説は読んだことないけど、旅エッセイは面白かったです。 普通の人は選ばないような場所(ネパール)とか一人で行っちゃうし、結構たくましいなあと思いました。一人でなくても友達とも行くし、恋人とも行くし、なんというか、旅マニアっぽくなくて、柔軟で、とても素直で好感が持てました。勿論もユーモアたっぷり。 取り上げられる国・地域は、モロッコ、ロシア、ギリシア、オーストラリア、スリランカ、ハワイ、バリ、ラオス、イタリア、マレーシア、ベトナム、モンゴル、ミャ…

  • 米国陰謀論を原書でよんで死んだ話―『The FEDERAL RESERVE CONSPIRACY』著:EUSTACE MULLINS

    陰謀論は好きです。ただ、わざわざ原書で読む必要もなかったな、と読後に後の祭り的後悔。いや、大変疲れました笑。 内容はFRBの設立とその仕組みについてなので、金融知識についても相応の知識が求められるものでした。英語も難しかったです。 章立てはすべて人名なのですが、20世紀初頭から半ばまでの米国史の中心人物が揃い踏みです。 NELSON ALDRICH (上院議員)SENETOR ALDRICHSAMUEL UNTERMYER (弁護士)WOODROW WILSON (第28代アメリカ合衆国大統領)CARTER GLASS (政治家。ウイルソン政権で財務長官)PAUL WARBURG (クーン・ロ…

  • 一般サラリーマンにも当てはまる、科学者が負うべき倫理―『科学者とは何か』著:村上陽一郎

    とある図書館で処分品として一冊30円程で売っていて購入しました。村上氏は科学史、科学哲学とか、そういう分野を研究されている方で東大とかICUで教えていらっしゃった方。科学論をテーマに現代文の問題で取り上げられることも多いですね。 読みましたがこれが非常に面白かったです。 内容を極々簡単に言えば、本作は、科学者の倫理はどうあるべきか、という本です。 ざっくりよめる科学史(科学者史!?) まずは科学史が非常に興味深い。 当初は科学者は単なる同好の士であったこと、更には職能集団として機能し、その口伝の中で倫理も伝えられていったこと。大学での教育を経るも19世紀までは神への誓いとして職業倫理が保たれて…

  • 金融犯罪の裏側と送金の仕組みを教えてくれる良書―『マネーロンダリング入門 国際金融詐欺からテロ資金まで』著:橘玲

    マネーロンダリング(以下、マネロン)というとちょっとおどろどろしい雰囲気があります。暴力団やテロ組織の資金洗浄とか、新聞やニュースでもよく目にする言葉です。 金融機関で働いている人でも、自信をもって説明できる人は結構まれだと思います。きっと概念はわかっていると思いますが、実際にしょっちゅう見るわけでもなく、むしろ日常業務ではレアキャラだと思います。 本作は、そのような立ち位置のマネロンが、具体的にどのようになされるのか、どのようにして可能か、そしてその底に流れる思想について説明してくれます。 私が理解しているところでは、マネロンとは、お金のトラックが出来なくする、という事です。とりわけいわゆる…

  • 明治の日本人論。実はアイデンティティ・クライシスの克服が原因か?―『武士道』著:新渡戸稲造 訳:岬龍一郎

    かつて五千円札の肖像となっていたことで有名な新渡戸稲造。そしてこの『武士道』も国際的に有名な作品ですね。少なくとも名前は結構聞きますよね。 明治維新期の日本人論 in English こちら、一言で言えば、日本人論です。もっと詳細に言えば、日本人の道徳論です。 明治の開国以来、それまで明文化されていなかった日本人道徳論を文字に表した初めての作品であろうと思います。 ただこれ、理解するのはなかなか簡単ではないと思います。 まず、日本人が意識せずに持っている中国の儒教的思想を知らないといけません。本書では、義、勇、仁、礼、誠、名誉、忠義、等々が語られます。これらが大まかにどのような意味なのかを知っ…

  • 自己認知・コンディショニングの一環としてのマインドフルネス―『世界のエリートがやっている最高の休息法』著:久我谷亮

    正直言うと、ビジネス書が苦手です。「最高の」とか「ハーバード流」とか、そういう形容詞がついている、まず避けます。私の第一の反応は「うさんくさい」です。 とはいえ、最近、マインドフルネスとかレジリエンスとかよく聞きます。私はヨガが好きなのですが、一応近年の周辺状況も知っておこうとおもい、たまたま中古で安かったので本書を購入しました笑。 読んだ感想です。 ためになる。 本書の趣旨は、瞑想の効果を脳科学的に解明し、これをビジネスシーンに生かしていく、ということです。 意識散漫になる、気が散る、解決しない未来の不安や失敗してしまった過去へのとらわれから自由になる、怒りをコントロールする等々、これらを瞑…

  • 万華鏡、あるいは3ウエイバッグ? 要は色んな切り口のある本 『ものを食らう人びと』著:辺見庸

    面白かった。 この作品を良さを言い表すのにふさわしい言葉が見当たらず、3ウエイバックなどという仕様もない書き方をして申し訳ない。要は、切り口によって意味合いが異なる、多元的な読み方ができる本と言いたかったものです。 そもそもは息子の高校受験の過去問で出会った作品であり、なかなか面白かったので一つ読んでやるかと購入したのがきっかけ。 さて、本作ですが、以下3つの切り口から読めると思いした。 1.紀行文 2.現代史 3.生活史あるいは個人史 元祖ハイパーハードボイルドグルメリポート まず、紀行文として面白い。要は旅行本。 旅行がしづらいコロナ禍の下では一層焦がれてしまう海外。本作は特に食べるという…

  • 旧帝国陸軍幹部の思考力の貧困さを、経験者が克明に描く―『一下級将校の見た帝国陸軍』著:山本七平

    非常にショッキングな本だと思います。 戦争のおそろしさ・生々しさは言うに及ばす、硬直的・融通無碍で変われない帝国陸軍の構造的な欠陥にショックをうけました。 自分の祖父達が、こんなに下らない組織のためにシベリアや中国に連れていかれたのかと思うと、悲しくやるせない気持ちになります。 改めて全体を概観しますと、本作は、筆者山本氏が青学卒業と共に徴兵され、訓練を受け、その後フィリピンへ送られ、死の淵を彷徨いながらもかろうじて生還した、という話です。回想の中で語られるのは、帝国陸軍の愚かさ・駄目さ加減です。 旧来体質のブラック企業に通じるオソロシイ日本軍 まず、筆者は砲兵として訓練を受けます。のっけの訓…

  • おすすめしづらいアーユルヴェーダ健康本―『毒を出す食 ためる食』著:蓮村誠

    以前スリランカに旅行に行ったとき、あー、アーユルヴェーダやってみたいなぁと思いました。自然というかナチュラルな雰囲気、ヒンドゥとかの宗教・神話・文化的な香りも嫌いでないし、と。ただその時は子どもも小さく放っておくこともできず、アーユルヴェーダも合宿みたいに数日間こもらなくてはならないということで断念しました。 そんな個人的な思い出に私をいざなったアーユルヴェーダ本ですが、個人的にはおすすめしづらいと感じました。 本作、食材についてバッサリ二分法で「うそ」「本当」という分け方をしております。私は独断的な判断が好きではなく、さらに「うそ」という言葉遣いにとても攻撃性を感じてしまい、読んでいて拒否反…

  • 舌鋒鋭い政府・銀行批判―『金融立国試論』著:櫻川昌哉

    本棚整理を兼ねて、以前に買った本を再読。 なぜとっておいたのか覚えていませんでしたが、再読してやはり光るところがある(上からでごめんなさい)なあと感じました。 本書ではバブル崩壊後から21世紀初頭までの10年強の銀行・金融周りを概観しての筆者の金融立て直し論です。三点纏めますと、筆者の主張は以下の通り; ・そもそも政府の政策がおかしい ・銀行のガバナンスがおかしい ・日本は金融業で頑張れるはず 政府の金融政策がおかしい まず政府の金融政策として、ペイオフがあげられます。今となっては信じ難い話ですがかつてはペイオフがありませんでした。だから銀行がつぶれても預金は国が税金で賄ってくれる。そんなんだ…

  • 自分に真剣な選択へは素直にリスペクト!ユーモア漂う海外生活ストーリー―『パリで飯を食う。』著:川内有緒

    パリで、自分らしい生き方をする。素敵です。 アジアの辺境で細々と暮らしている私ですが、アラフィフになってもまだヨーロッパ暮らしの夢を捨てきれずに、たまにLinked-inで仕事を探したりしてしまいます笑(完全時間の無駄)。 本作は花の都パリを舞台にした、勇気ある日本人の人生のストーリーの幾つかです。 当然ですが10人いれば10のストーリーがあり、それぞれが理由や背景やタイミングがありパリで暮らしています。そのそれぞれが面白い。 恋愛、キャリア、学業、自分の夢、お金、ビザ、住宅など、現地でのトラブル・文化の違い等々様々な困難に直面します。それぞれが自分なりの方法でその困難を乗り越えていきます。そ…

  • アメリカ独立への呼びかけ!難解古典英語に萎え気味も、読後の達成感あり―『COMMON SENSE』著:Thomas Paine

    世界史で、アメリカのイギリスからの独立に際して米国民を一丸とするきっかけとなったと紹介されており、買ってみました。ちなみにたったの58ページ!! ですが、メチャクチャ難かったです!! 世界史の授業では、当時英国と対峙する米国にあって独立派・王党派・中立派と別れているなか『何を言っているんだ、ピルグリム・ファーザーズが英国を捨て清きを求めて新大陸に来たんじゃないか、そうした気概や宗教的使命こそが我々の共通感覚(=common sense)ではないか。その感覚を今こそ思い起こそう』といって団結を促した、と教わりました。 しかし、読後の感想といえば、え?そんなこと書いてあった?みたいな。 本当に難し…

  • 基本が分かる中級者向きか。気になる箇所を取り入れて!―『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン 人を引き付ける18の法則』著:カーマイン・ガロ 訳:井口耕二

    本友達が紙袋にどさっと本をいれて貸してくれました。その中の一冊です。どんな意図でかしてくださったのかは不明ですが・・・笑 私、趣味と実益を兼ねて、5年程前から英語スピーチクラブみたいなところでスピーチをしております。故に、おおむね話の構成やどうすれば聞いてもらえるかということについては理解しているつもりでした。 それでも、本書で新しい学びを発見することができました。 例えば、「シーン6 敵役を導入する」「シーン9 数字をドレスアップする」「「ビックリするほどキレがいい」言葉を使う」などは私にとってはヒントになりました。 敵役というのはいわば現状の悩みや課題点であり、そのソリューションとして自分…

  • 日本の将来が心配・・・―『アメリカに潰された政治家たち』著:孫崎享

    陰謀論チックですが、本当にアメリカって怖い国だと思います。 別にアメリカ人一人ひとりが怖いというわけではありません。寧ろ知人にはいい人が多いし、ダイナミックで素敵な国だと思います。しかし、国家として国益を優先するとき(国家として当然のことながら)、アメリカは日本の事なんか気にしていません。日本どころか、アジアや中東の国々のことだって考えていません。そこが怖いのです。 これは都市伝説でもなんでもなく、世界史の一部でもあります。 英国のアヘン戦争、フランス・英国のアロー戦争、あるいは米国の米西戦争は、意図をもって起こされた戦争でした。決してギリギリの外交努力の末やむなく行われたものではありません。…

  • ダイエットの本というより生理学と歴史(人類進化)の本!?カラダを真剣に考える人には超おすすめ―『炭水化物が人類を滅ぼす』著:夏井睦

    これまで体形維持には大いに悩んできました。 30代の頃は自称ふとマッチョ・はたから見れば中年デブというナリで、とにかく運動をすること以外は自分をコントロールをすることはできませんでした。40歳頃から食事量を減らすことで7-8kg程度のダイエットに成功しました。まあ嫁と子どもが実家に帰って(やばいやつでなくて普通に長い帰省をしていたのですが)、その間食事を作るのが面倒で食事の回数が減ったら、結果として痩せてしまった、という感じですが。痩せたのはうれしいけど周囲からめちゃくちゃ心配とかされちゃったりでちょっと複雑な気分でした。 今も、食事習慣やダイエット・健康に関する本を読むときに思うのは「そんな…

  • こんなにも豊かなアイヌの文化と自然!―『アイヌと神々の物語 炉端で聞いたウウェペケレ』著:萱野茂

    昭和の時代に、『まんが日本昔ばなし』という番組がかつてありました。アニメで日本の昔話を描く、素敵な作品でした。 本作『アイヌと神々の物語 炉端で聞いたウウェペケレ』を読んで、そんな30年も40年も昔のアニメ番組を思い出しました。 子ども向けテレビ番組を思い出したからと言って、このアイヌの話が子供だましかというと、全く違います。むしろ私は本作は実に素晴らしい作品だと思いました。はい、実に面白かったのです。 一番いいなあ、と思ったのは自然との一体感。 どのお話もクマを狩る、鹿を狩る(そして必要な分だけを狩る)など狩りの話がされており、生命の豊かな自然が謳われています。日本の場合でも八百万神なんて言…

  • この著者にしては並の出来か!?英語学習には使えるかも―『THE COMPLETE ADVENTURES OF CHARLIE AND MR WILLY WONKA』著:ROALD DAHL

    その本が原著であれ、日本語であれ、読者として本に求めるものは「面白さ」だと思います。 もちろん、その面白さにはスリリングさであったり、知的好奇心を促すものであったり、あるいは文章の美しさであったり、その切り口や感じ方、求めるものは人それぞれですが。 で、本作は残念ながら、どの切り口から見ても私にはピンとこず、「凡」という字しか浮かんできませんでした(同一当筆者作品比)。 内容は、超貧乏なチャーリーが、偶然も偶然、幸運も幸運、一年に一度買ってもらえるだけのチョコレートで、世界で5枚しかない当たりくじを引き、Mr.Wonkaのチョコレート工場へ招待される、という話です。映画化もされているため、タイ…

  • 穏当すぎてやや物足りないか―『右であれ左であれ我が祖国日本』著:船曳建夫

    早く書けばいいのにダラダラしていて感想を書くのが延び延びになり、内容を忘れかけています笑。 内容ですが、東大教授による日本論です。過去500年の間に見られた政体をそれぞれ、「大日本」(豊臣型)、「小日本」(徳川型)、「国際日本」(織田型)、という三つのモデルに分け、そのモデルの特徴を手掛かりに、日本が今後どうあるべきかを占うものです。 中庸国家日本!? 筆者が唱えるのは中庸日本という、引きこもり型日本(「小日本」)でもなく、ナンバーワンを目指す「大日本」型でもなく、中庸型国家で行こうというものです。言ったら上記3タイプのハイブリッドでしょうか。 その立ち位置の不明さから国際的にプレーヤー(「国…

  • 男性目線の青春小説!?―『霞町物語』著:浅田次郎

    かつて子供の高校受験用の国語の問題文で一部が掲載されており、それをきっかけに購入したものです。 端的な読後の感想は、男性目線の青春小説だなーということ。 舞台は東京の中心街、青山・麻布・六本木の才知に囲まれた谷間の霞町。そこは昔からの旧家や商家が存在し、そこのぼんくら達の成長の過程を描いています。 ぼんくら、と表現しましたが、高校生で車とか持ってたり(もちろん親から買ってもらう)ちょっと鼻につきます。 ただ、うっすらと将来への不安を感じながらも、エッチなことばかり考えていたり、男の友情が妙に固かったりとか、そういうのは微笑ましく楽しく読めました。 これが森絵都さんや瀬尾まいこさんの青春小説だと…

  • 男性こそ読むべき!子育てアンガーマネジメント入門―『子育てのイライラ・怒りにもう振り回されない本 お母さんのためのアンガーマネジメント入門』著:篠真希

    イクメンという言葉が大分一般的になった今日この頃ですが、世の男性諸氏、もっと子供にかかわりましょう! 本書を読んでそう思いました。 副題に「お母さんのための」と銘打ってあるのはわかります。それでもなお、筆者がこうした限定的なタイトルをつけた背景に男性パートナーの助けはあてにできない、という意図を裏読みせざるを得ません。 世の男性諸氏。 子育ての負担が続くのは永遠ではありません。寧ろあっという間に子は巣立ってしまうものです。 うちは、上の子が希望の高校に入るため15歳で親元を離れました。もう助けたくてもできない現状です。せめて助けられるうち、父親として身近に接することができるうちにその役目を果た…

  • まっとうな国際政治の本―『これから世界はどうなるか』著:孫崎享

    皆さん都市伝説ってどう思います? 私なんかは、下らないとか言いつつ、ついつい引き込まれてしまいます。 さて、実は私は陰謀論とか結構好きです。なんか都市伝説と似ていませんか。今のご時世ならば(不謹慎ながら)コロナはどこぞの国が作った人工ウイルスとか、あるいは製薬業界の仕業とか、いやいや常識的にはないでしょと言いつつ、心の底でまったくないとは言い切れんかも、とか思いつつ。 実は本作の著者の孫崎氏もこれまでは私の中では陰謀論者のカテゴリーに所属しておりました。それは以前「戦後史の正体」という本を読んだからでした。 戦後史の正体 「戦後再発見」双書 作者:孫崎 享 創元社 Amazon 陰謀論の源泉 …

  • 純文学?ディストピア?スリラー?イヤミス?いや、驚いた。これは凄い。―『わたしを離さないで』著:カズオ・イシグロ 訳:土屋政雄

    この読後の気持ち良くない感触をどう形容すればいいのかはよくわからない。 でもこれは凄い作品だと思った。いわゆるエンタメが好きな方には淡々としたストーリーの展開が詰まらなく感じるかもしれない。しかし、その底に横たわる不気味さや奇怪さは私のような読者には途轍もないゾクゾクとした魅力がありました。 本作は、優秀な介護人キャシーの介護の様子と回想。 始めは過去の学生時代の回想ばかりで、しかも思春期特有の面倒なガールズグループの内輪もめみたいな話ばかりで、時に船をこぐ有様だった(まあダルい話でした)。そこで、カバーのあらすじを読んで今後もこんなだるい感じなのかと思い、確認してみるとこんな一文 「彼女の回…

  • 英国・フランスの両国民国家の夜明け―『英仏百年戦争』著:佐藤賢一

    世界史を学んだ方なら、ノルマンコンクエストの1066年が英国建国年号となっていることを授業で教わったかもしれません。覚えていますか。 その時、一部の方は疑問を持たれませんでしたか? え、だってフランスのノルマンディ公が英国をとったのならある意味英国ってフランスじゃねって? はい、その通りです!ある意味その時イギリスはフランスでした! 本作はそんな英仏100年戦争前後にフォーカスし、その当時、英国もフランスもなかった、あったのは王侯貴族の陣取り合戦だけで、100年戦争の終結とともに国民国家の萌芽のようなものが見えてきた、と論じるものです。 そんなのどっちでもよくね?と思われる方も多いと思います。…

  • 旅に出たくなる本!―『深夜特急2』著:沢木耕太郎

    コロナ禍の中、海外旅行はもとより、国内旅行でさえおぼつかない昨今、本書を読んで勝手に脳内旅行をしていました。ああ、旅行っていいですねえ笑 実は私は氏の作品は初めてですが、ノンフィクション作家として有名で、また深夜特急という旅行ルポは良く耳にしていました。 本作は1980年代の初出版であることから考えますと今からもうかれこれ40年も前の話でありますが、時代が違っても旅の本質は変わりません。私が考える旅とは『未知との遭遇』、そして『自分を振り返る』です。 作中では主人公氏は香港からバンコク、ペナン、クアラルンプール、マラッカと渡りシンガポールに到着します。英語と現地語とちゃんぽんしつつ、現地飯をく…

  • よく書くことは、よく自分を見つめること―『伝わる・揺さぶる!文章を書く』著:山田ズーニー

    自分の言いたいことをきちんと伝えるにはどうすればよいのか? ブログ等のSNSで物事を伝える、海外で日本語以外の言語を使う、あるいは物分かりの良くない上司や社内関係者を説得したい等々、思いを理解してもらえないフラストレーションは、日本語でも外国語で多く存在すると思います。 ましてやこのコロナ禍の下、対面的な接触が減り、メッセンジャーやメールなど、文字での伝達が非常に増えたと感じています。 メール返信に費やす時間の膨大な増加、終わらないチェーンメールを見るにつけ、文章力を鍛えるべきだとの判断から手にしたのが本作です。 さて、本作ですが、めちゃくちゃ為になりました。非常に参考になったし面白かった。 …

  • 相手の為を思い、敢えて本音を言う!?なかなか厳しい判断です―『Lying』著:Sam Harris

    同調圧力の強い社会、本音が言いづらい組織。 集団にいても疎外感を感じたり、本音でめいいっぱい喋れたらどんなに清々しいかと、時に良く夢想したものです。 しかし本書を読んだ後、ちょっと考えを改めました。 出来るだけ本音を喋るという倫理戦略は意外に困難かもしれない。というか、寧ろ面倒くさいのではと思い始めました。 筆者のSam Harris氏は哲学・倫理系の作品を手掛ける著述家。 本作は、嘘はつくべきではない、それは所謂White Lie(善意の嘘、おべんちゃら、方便?)すら言わない方が良い、と主張するものです。本論は40ページ程の短いもので、Ronald Howard(スタンフォード名誉教授)との…

  • 昭和の逃げ切り世代に読後もやもや。展開はよい―『円満退社』著:江上剛

    あらすじ 東京大学を出て一流銀行に勤めるも、出世とは無縁。うだつの上がらぬ宮仕えを34年、悪妻に虐げられた結婚生活を26年続けてきた岩沢千秋、56歳。定年退職を迎える日、彼は人生最大の賭けに打て出るが、思わぬトラブルに見舞われ、人生最悪のピンチに追い込まれる……。経済小説の第一人者が描く、哀歓に満ちたサラリーマン小説。(表紙カバーより) 感想 本作を読んで何か複雑な気分になった。 本作は、サラリーマンの最終出勤日を描くコメディ系エンタメ。2005年が初版だから時代設定がやや古びれた感があるが、内容は普通に楽しめた。 ではこの複雑な気分・もやもやは一体何か。自分に問うてみました。 それはきっと、…

  • 読む順番を間違えた!!―『想いの軌跡 1975-2012』著:塩野七生

    塩野氏の作品と言えば、古代ローマやルネサンス期の歴史小説。 歴史好きとしてはいつか挑戦してみたい大作だとかねてより思っていました。ただそのボリュームにひよった結果、手にしたのが本作。 そして思ったことと言えば・・・。 やっぱり塩野氏とくれば歴史小説を読んだ方が良いのではないでしょうか。 という感想となりました。 初めての塩野氏の著作ですが、今更ながら読む順番を間違えたかもしれません。 事前に何らかの歴史小説作品を読んでいれば、作風や著者の人となりを曲がりなりとも感じ取ったうえでこのエッセーを読めるかと思います。 ところが私は本作が初で、しかもこれがエッセーでした。第一章のどこぞで「最近の日本人…

  • 芯ある経営者が良き会社をつくる―『稲森和夫の実学 経営と会計』著:稲森和夫

    自分の会社がどうすればよくなるのか。 考え方が古かったり、前例主義だったり、社員の事を考えない上司が多かったり・・・。おそよ社会人として不承不承でも組織で働いている身であるならば、組織のよろしくない面を目の当たりにし、一度ならずもこうした疑問に突き当たったことがあると思います。 私も当然持ちました。そして、今も持っています。 問いが大きすぎ、また要素が複合的でもあるので、全てを包含する完璧な答えは未だ持ち合わせていません。 しかし、本書を読むと、ああ、いい会社というのは、芯のある(筋の通った)経営者がいるのだ、と思いました。そして、会社が良くなる為にもまた、こういう経営者が必要なのでは、と感じ…

  • 前編も本作も、親子ともども読んでほしい!―『Auggie & me three wonder stories』著:R. J. PALACIO

    先日読んだ、娘のお下がりの”Wonder”は非常に面白かった。感動しました。涙目になりました笑 lifewithbooks.hateblo.jp 本編はその続編。前作が良かったということで、娘にせがまれて購入したものです。こちらをまたぞろ娘の本棚から失敬して読んだ次第です。 さて、感想ですが、これまた前作同様、非常に面白かった! 前回は主人公で顔に障害のあるAugustを中心とした話でした。 今度は、前作では取り上げられなかったJulian(いじめっ子)、Christopher(Auggieの昔の友人)、そしてCharlotte(AuggieのWelcome buddiesの一人)の3人からの…

  • 文具好き必読!文房具で想いを彩る、鎌倉歳時記―『ツバキ文具店』著:小川糸

    代書屋という職をご存じでしょうか。なんでも人の代わりに手紙を書くのが仕事だという。 本のカバーにあるあらすじを見ながらも、けったいな職業があったものだと斜に構えつつも手に取ったのは、七割くらいは東野圭吾の『ナミヤ雑貨店の奇蹟』と取り違えていたからだと思う。いつだかの飛行機で映画『ナミヤ・・・』を見たのだが、あれの小説だったら子供達は読んでくれるかも、と期待してのこと。 というか、カバーのあらすじを見た時点で、この本が自分が意図した作品ではないと認識はしていた。でも代書屋なんて面白そうだし、ということで買ってしまった。そして、実際面白かった! ま、代書屋という不思議な職を見た時点で子どもに読ませ…

  • 悠久の古代ギリシア神話。興味がある人にはお勧め!―『トロイア戦争全史』著:松田治

    先日ギリシア神話の本を読みました。 大興奮というわけでもありませんが、相応の感心をしつつ気のないへぇーなどという相槌を一人うちつつ読了し、一夜漬けの知識をあたかも随分前から知っていたかのように家族に開陳し、まあまあ嫌な顔をされたりしました笑 lifewithbooks.hateblo.jp そうしたさなかに、歴ログの方が、Amazonで歴史本のセールを記事にして下さっていたので、有難く利用させて頂き、その中からピックアップしたのが本作であります。 reki.hatenablog.com 本作への端的な感想は、「歴史好きにはおすすめできる面白さ。一般には薦めづらい」という所でしょうか。 私には、…

  • やや古い!?も、中盤以降グイグイ読めるクライシス・サスペンス―『天空の蜂』著:東野圭吾

    (映り込み済みません。もう直す気力すら最近湧かないもので。。。) あらすじ 奪取された超大型特殊ヘリコプターには爆薬が満載されていた。無人操縦でホバリングしているのは、稼働中の原子力発電所の真上。日本国民すべてを人質にしたテロリストの脅迫に対し、政府が下した非情の決断とは。そしてヘリの燃料が尽きる時…。驚愕のクライシス、圧倒的な緊迫感で魅了する傑作サスペンス~裏表紙より 感想 今から30年程前、トム・クランシーの『レッド・オクトーバーを追え』という作品が流行りました。ソ連の原子力潜水艦が米国へ亡命を企てる。ソ連当局はこれを追うも見つからず、先回りして米国へ通告、曰く錯乱した潜水艦船長が米国への…

  • 残酷でシニカル、でもほんのりと感じる確かな友情―『少女』著:湊かなえ

    ネタ晴らしはしたくないのですが、湊氏らしからぬ終わり方でした。そういう意味では背表紙にあった「衝撃の結末」というのは誇張ではありませんでした。さすがです、湊かなえ氏! あらすじ かつての仲良しであった女子高生の由紀と敦子、今は訳あって少し距離がある。彼らは、転入生の紫織が親友の自殺を目にしたことを告白される。二人はそれぞれ自分も同じように死を目撃したいと願い、一方は病院の読み聞かせボランティアへ、もう一方は老人ホームでのボランティアへと赴く・・。 女性は恐い? さて本作で一番強く印象づけられたのは、主人公たる由紀と敦子のすれ違いです。 周囲からの攻撃を避けるために自分を曲げて無理をする敦子の息…

  • 旅行に役立つギリシア神話。興味深い切り口でギリシア神話を語る―『ギリシア神話 神々と英雄に出会う』著:西村賀子

    日本人は実に外国のものをうまく取り入れる民族だと思います。 英語もフランス語もドイツ語も、すべてカタカナにして日本語に取り込むのです。ランチにヴィシソワーズを取って、デザートはバームクーヘンだった、とか。 日常会話にはこうした言葉がじつに自然に取り込まれていますが、実はギリシア語やギリシア神話に根差すことばも、商品名・作品名などに多く取り込まれている気がします。オリンパス(社名)、アリエスの乙女たち(マンガ―ドラマ、古っ!)、テセウスの船(マンガ―ドラマ)等々枚挙に暇がありません。 そうした、もはや日本語化していて違和感がないけど実はイマイチ由来を知らないギリシア神話について学びたいと思い手に…

  • 死者と再会できる場で起きる殺人事件―『ネクロポリス』著:恩田陸

    死後の世界、皆さんは興味はおありでしょうか。あるいは、亡くしたけどまた遭いたい方はいらっしゃいますか。あるいは、会ったことのない祖先に有名な人がいて会ってみたいとか。 あらすじ 本作はそのような死者と会える場所「アナザー・ヒル」を舞台としたファンタジー系?モダンホラー・スリラー。 聖地「アナザー・ヒル」に入山できるのは一年に一度の「ヒガン」のシーズンのみ。そこは生と死の境界が曖昧な土地であり、「アナザー・ヒル」を抱える国「V.ファー」は民族系統としては日本に近く、イギリスの植民地であった過去がある。この「アナザー・ヒル」に入山する幸運を得た日本人のイトウ・ジュンイチロウ。東大大学院で文化人類学…

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