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海外オヤジの読書ノート https://lifewithbooks.hateblo.jp/

40代、全く出世しない窓際おじさんが、成長し生き抜くために読書をします。その読書録。最近、生き抜くより息抜く読書が多めです。2014年から海外で生活しています。因みに奥さんは外人。

仕事術、健康(サラリーマンとして)、思想、歴史、陰謀論(趣味用)、教育、金融(家庭の維持用)などの本を読んでいきます。今年は娘の高校受験のお供に英語と数学を勉強します。

海外オヤジ
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2019/12/13

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  • 瀧本式一段深い読書のススメ 『読書は格闘技』瀧本哲史

    余談から始めるのもなんですが、昨夏に続き現在一時帰国しております。娘の高校受験に際して入学手続き等の関係で二カ月ほどは滞日する予定です。 「よくそんなに休めるねー」とは年配の親族の発話ですが、休んでいません。リモートで仕事をしています。 それにしても、外国の法人に雇われ(日本企業の現地法人ですが)、現地通貨建てで給料が払われる一方、日本で仕事をこなし、何ならケータイで外国の口座から日本の口座にちょいと足りない金を送金するなんてことも居ながらにできてしまいます。文明の利器と制度を利用してのリモート生活ではありますが、我ながら隔世の念があります。 今は、ただただ、ネットワークが無事につながり、PC…

  • 若者はいつだって、どこに居たって、無鉄砲! 『ペルセポリス』<I><II>マルジャン・サトラピ、訳;園田恵子

    イラン、というと皆さん何かイメージは湧きますでしょうか。 正直、なかなか難しいのではないでしょうか。 私もイスラム教、イラン・イラク戦争、くらいしか直ぐには思い浮かびませんでした。多少詳しい方ですと、シーア派、ホメイニ氏、などは思い浮かぶかと。 さらに世界史に詳しい方ですと、作品名にもなっている古代都市のペルセポリスを思い起こすかもしれません。 www.hankyu-travel.com 我々日本人は、ムスリム、というとそれだけで身構えてしまうことも多々あろうかと思います。ましてや原理派のシーア派の国というと、ちょっと恐怖すら覚えてしまうやもしれません。 じゃあ、そうした国の人たちがみんながみ…

  • コンパクトで理解しやすい脳梗塞入門書 |『詳しくわかる脳梗塞の治療と安心生活』監修:高木誠、四津良平

    それは今年の一月二日の夕方でした。 家内の下半身のたるみが伝播して脳までたるんでボケられては困る、などと結構なディスりを吐きつつ家内をコンドのジムに連れていき、共にひとあせ流してジムから出ようとしていたところでした。 私を見る家内の顔がどんどん曇ってゆきます。家内は私に近寄ると、やおら私の右腕をグイと引っ張り上げます。え? 何するんだよ!やめてくれよ、大丈夫だから。いやほんと大丈夫だから。大丈夫だから。 でも、自分で自分の声に気づきました。 「だひひゃうぶだはあ」 喋れていないのです。 そして、自力で立っていることもできない状態でした。 ベンチプレスに腰を下ろし、家内が私を落ち着けます。 右半…

  • パルプフィクションぎりぎりをエンタメへ昇華!?|『土か煙か食い物か』舞城王太郎

    お名前は見かけていましたが、その名前故に避けていたところがあります。だって、なんというか狙っている風のネーミングというのでしょうか、ちょっとふざけている?感を勝手に感じていたのです(作者名も作品名も)。読む前から「キャッチーな外面で内面をごまかしてはいないか?」という疑念がありました。 でも、やっぱり名前が、そしてタイトルが、気になるのです。そして、いくつかの機会をやり過ごしたのち、この度とうとう購入に至りました。 結論としては、自分の思い込みは大いに翻りました。 クセがつよいけど、惹きつけられる な、なんなの、この作風は? 感想をぎゅっと絞ると、これです。 主人公は米国で救急外科医として勤務…

  • ロジカルシンキングで考える移住!? 『継続できる海外移住』五十嵐唯、宮下なみ子

    移住って言葉は私にとってはかなり魅力的。 日本を離れて、誰も知らない国で暮らしてみたいなあって思います。というか、しちゃいましたが。ただもう9年も同じ土地に住むと少し飽きが来るのも確か。 気力があるうちにもう一か国行けるか?最近同じことを繰り返す家内がボケないように、刺激の多い環境に置きたいなあ・・・。でもそもそも移住にコツとかあるのかな? なんて、うつらうつら考える今日この頃。 今の移住は家内の故郷へ行くという観点では、助けは山ほどありました。何しろ家内の家族が生活をフルサポート。でも全くの見ず知らずの土地で夫婦二人で生きていけるかしらん? そんな思いで手に取ったのが本作です。 微妙に自己啓…

  • 副業の手始めに。視野の広がる本 『小商いのはじめかた』監修:伊藤洋志 編:風来堂

    近年、企業でも副業を許すっていう報道があると思うんです。終身雇用や年功序列が崩れ、ラインの管理職になれない年配者がどこの会社にもわんさかいるんじゃないかと想像します。そういう給料が上がらない人は自分で知恵を絞って稼いでね、という社会からのメッセージなのかなと捉えています。 振り返れば私なんぞは、そんな出世できない年配者の一人でして、氷河期ドンピシャのうらぶれた中年であります。出世できないまま海外に出てしまっているので、日本の年金も望めず(国民年金のみ)、おまけに退職金制度も今の会社にはありません(私の在所ではないのが普通)。 ということですと、やっぱり、自分には副業?というか何か別口の収入が必…

  • 読み聞かせに使いたい素敵な絵本 『ラ・フォンテーヌ寓話』ラ・フォンテーヌ 絵:ブーテ・ド・モンヴェル 訳:大澤千加

    うちの母ですが、積読がすごい。 一回買った本を読まずに積み、忘れてもう一度買いまた積む。それを同居するうちの息子(祖母と孫の関係)が指摘したりしなかったり。そんな母も八十の声を聞き、娘(私の姉)の助けを借りてもう読まないだろう本を根こそぎ整理されていました。 そんな処分本の含まれていたのが本作であります。 母の本棚から拝借した一冊。 動物が繰り広げる寓話集です。そのベースはイソップ童話ともいわれ、多くの人になじみがある内容かと思います。 特筆すべきはやはりその絵の可愛さです。ブーテ・ド・モンヴェルという方の絵なのですがとにかく素敵。 他にも多くのバージョンがあるかと思いますが、絵とともに理解で…

  • 中小国家群の悲哀、違いを包含しASEANへ 『入門 東南アジア近現代史』岩崎育夫

    昨年、現在居る国のいわゆる永住権を申請しました。移民局に何度か赴き、家内と一緒にインタビューを受け、さらには警察本部で現地語のインタビューも受けたのでした。英語ならまだしもローカル現地語はさらりとしか勉強しておらず、「妻を愛しています!」「この国が好きです!」「〇〇(食べ物)が好きです!」など恥ずかしい限りのサバイバル現地語に終始した発言しかできなかったのでした。 その時、「まあ現地語は難しいけど、国のこととかよく勉強しておいてよ」といわれ、正直に手に取ったのが本作であります。なお、合否は分かりません。知人は三年間以上合否を待っているとのこと。この緩さもまた東南アジア的であります。 キーワード…

  • 押し寄せる閉塞感。とにかく重い|『どうしても生きてる』朝井リョウ

    朝井氏というと、どうしても若いなあというイメージがあります。 先般読んだエッセイ『時をかけるゆとり』も若気の至りを十全にエンジョイしている様子で、非常に瑞々しく感じました。 ならば小説はどうかと手に取った本作。前回感じた感想とは正反対の、ひたすらに息苦しい作品でありました。 重いなあ 本作は6篇の短編からなりますが、とにかく重い、閉塞感がハンパない。 自分は一向に平気なのに、常識から判断して妙にいたわりの情を貰う。まっすぐに生きる人生を諦めた自分、そんな流される自分に絶望する自分。未婚で派遣で、自分の人生に意味を見出せない苦しさ。下らないプライドと分かりつつ、自分より年収の上がった妻に不能にな…

  • 実践的PDCA本。徹底したロジカルシンキングでPを明確化する 『鬼速PDCA』冨田和成

    一年の計は元旦にあり、と申します。私もこれまで、正月休みを利用して、今年はこれをやるぞ、あれをやりたいなどと散々決意を固めたりしてきました。 だけれども、残念ながら、そうした目標が大概うまくいかず、時に忘れ、時に三日坊主程度、良くて数カ月しか続かないことは皆さまも経験があるかと思います。 そうしたときに、社会人ならPDCAというフレームワークを思い浮かべると思います。 私も仕事でもプライベートでも、見様見真似でPDCAを回してきましたが、どうもC(Check)がうまくできません。 目標を設定して計画はするものの、計画倒れ、一部分を実行したっきり、予定はしたけど遅延に遅延が重なり結局やりたいこと…

  • 意思決定論を超えてもはや人間論に |『ファスト&スロー』(下)ダニエル・カーネマン、訳:村井章子

    昨年末から読んでいる本シリーズの下巻です。 上巻では所謂直観や素早い判断を得意とするシステム1(早い思考)と、熟慮担当のシステム2(遅い思考)についてフォーカスが当たっておりました。 下巻では上記のシステム1とシステム2が混在するいわゆる『ヒューマン』と経済学が措定する合理人『エコン』とを対照的に描き、結局我々が『エコン』でいられない、結局『ヒューマン』であることを多くの事例や心理学理論から例証しています。 参照点、面白いですね。 面白い理論が沢山ありました。すべては書ききれませんが覚えているものを紹介。 参照点という概念は印象的でした。これは同じ効用の二つの事例でも、参照点によって効用が変わ…

  • ジャングル版「真夜中のピクニック」+サバゲ-アクション?|『上と外』(上)(下) 恩田陸

    気軽に手に取る本としては、ついつい選んでしまう恩田陸さんの本。『夜のピクニック』以降、どうもあの絶妙な青春描写が個人的にはまった模様であります。 今回は前回帰国した際にブックオフで仕入れておいた本作を新年一作目として読んでみた次第です。 あらすじ 離婚によって離れ離れになった家族四人が年一回の行事としている再会を中米G国で過ごす予定も、最中にクーデターが発生、子供たちはヘリコプターからジャングルに突き落とされる。果たして兄妹は生きてジャングルを抜けることができるのか。 『夜のピクニック』的要素を見出してしまう? 自ら認識してはいますが、私のお気に入りの『夜のピクニック』を本作でも見出してしまい…

  • 2022年を振り返る(印象に残った5冊)

    この一年もあっという間に終わろうとしています。本日は大晦日であります。 おかげ様で、当方のブログも開設から3年をつつがなく迎えることができました。本サイトに訪問して下さった皆さまに御礼申し上げます。本当にありがとうございます。 改めて、今年の読書記録を見るにつけ、あー、ほんと読んだ本をただ記録しただけで、他人にはまったく付加価値がなかったなあと、その極私的ポジションに我ながら少し引きました笑。 その一方で、私勝手に、ブログってのは自分自身に語る・ないしは見知らぬ他人への問わず語りを行う、と考えております。そのくらいの訪問者と距離感が非常に心地よいと感じています。Twitter, YouTube…

  • 文章は素敵、何となく面白い。でも、哲学的にはよくわからん|『この人を見よ』ニーチェ 訳:丘沢静也

    ニーチェ。皆さん読んだことありますか? 実は私は初めてででありました。 何となく中二病、のイメージがあったんです。自意識やプライドが高く、劇的で劇画的。著作のなかの「神は死んだ」「ルサンチマン」などの言い回しは、哲学に関心のない方でも耳にしたことはあるのではないでしょうか。 ただ、最近はどうでしょうか。ニーチェの研究者ってのはあまり聞かない気もします。どんくさいみたいな雰囲気なんでしょうか。殆どイメージで語りますが、哲学の専攻でも英米倫理学とか、経済学とのつながりでJ・S・ミルやベンサム、A・スミスなんかはまだ読まれているような感じがあります。分からんけど。 いずれにせよニーチェは、個人的には…

  • ビジネス文章のバイブルたりえる名著かと 『考える技術・書く技術』バーバラ・ミント 監修:グロービス・マネジメント・インスティテュート 訳:山﨑康司

    思いを伝えることは難しい。 大学では文学部ではありましたが、レポートでの文章の構成等はめちゃくちゃだったし教わった覚えすらありません。世に出ても、上司に報告するとき、喋りつつ「俺はいま一体なにを喋っているんだ?」と感じつつ報告することも一度ならずともありました(走りながら考えることの良くない例)。 ましてや、海外で働くことになり、従業員がお互い外国語として英語でコニュニケーションをする環境にある昨今、思いを伝えるということにこれまで以上に意識的になりました。それでもすれ違いというのは往々にして発生します。 どうすればより自分の思いがより伝わるのかという命題は、ここ数年来の個人的テーマであります…

  • 二つの思考が意思決定をつかさどる!?因みに翻訳が素晴らしい! |『ファスト&スロー』ダニエル・カーネマン、訳:村井章子

    人間は思った以上に合理的ではないという言説は最近つとに聞くようになった気がします。その言説を学問として裏付ける行動経済学は、人間の非合理がシステマティックに、そしてロジカルに働く様を明示していたりします。 私もそんな人間の非合理さに深い興味を持つものでありまして、昨年はダン・アリエリーの「予想通りに不合理」「ずる 嘘とごまかしの経済学」を読んできました。 そして今般、もう少しこのカテゴリを読んでみようかと、行動経済学でノーベル経済学賞をとったカーネマンの本を読んでみた次第です。内容が濃すぎるので上下巻一冊ずつ振り返ります。 頭の中に二つの自我:早い思考と遅い思考 本作のアイディアの白眉は、その…

  • 美しき組織プレーにより真正の報道を実現する物語|『大統領の陰謀』ボブ・ウッドワード、カール・バーンスタイン 訳:常盤新平

    マスコミ、特にテレビについての不信感が個人的に強いです。バラエティは面白く見れるのですが、報道という観点からすると、ポジションテークを明示しない報道姿勢が私にはとても狡猾に感じるのです。とりわけ政治問題に対する報道はそうです。どういう立場での報道なのか、旗幟鮮明にせよ、さもなくば立場が分からない、問いたくなります。 さらに時代は一応総つぶやき社会へ。誤字脱字にあふれたネットニュース(人の事言えないけど)、個人の伝聞(ポスト)が即確からしく語られる昨今、何が信じられるニュースソースなのかよくわからくなってきました。むしろ気概のある個人の発信情報の方が時として信頼できる可能性も増してきました。口コ…

  • 007のボンドをホロウィッツ氏が上手に料理。面白い 『TRIGGER MORTIS』ANTHONY HOROWITZ

    海外モノの小説は実は小さいときから割と好きでした。なかでもモダンホラーの先駆的な存在であるスティーブン・キングとD.R.クーンツの二人の作品は中高生の時に貪るように読んだ記憶があります。 年を経て、中高生の我が子らに本を読ませたいという意図(言い訳)から、また色々と小説を試し読みするようになりました。そして、外国ものだと、ずーっと気になっていたのがこのアンソニー・ホロウィッツ氏。 で、例のごとく読みたいけどお金を余りかけたくないというシブチンぶりを発揮し、御用達の近所の新古品を扱う書店で氏の小説を物色。 氏は、ヤングアダルトものも多く手掛けており、そうしたシリーズは在庫があったのですが、最近の…

  • 小学生向け自己啓発的な? 『はずれ者が進化を作る』稲垣栄洋

    皆さんは生物学ってお好きですか? 私はなかなかに好きで、生まれ変わったら進化生物学者になりたいとすら(ちょっとだけ)思ったこともありました。自然の中に戯れる生物ですが、実はその行動は非常にロジカルで理にかなっていることが生物学者の弁で色々と明らかになるのに、非常に感銘を受けたものです。 ですから、コンラート・ローレンツとか、リチャード・ドーキンスとか、ジャレド・ダイアモンドとか、日本人の方ですと長谷川真理子さん、日高敏隆さんとかの著述を若いころは結構読んだものでした。 さて、時は移り令和の昨今。中学生の娘の教科書に出ていたのが稲垣栄洋氏の著作の一部。生物系の蘊蓄が面白く、これは読んでみたいと買…

  • 戦場でも失われなかった科学者の視点 『虜人日記』小松真一

    戦記ものに惹かれるおっさんの独り言 戦記物を読むと、我ながらおっさんになったものだなあと感じます。我々戦後生まれからしたら戦争は既に歴史の話であり、これを経験した私の祖父母も過去を語ることなく亡くなってしまいました。今になって、何でわざわざそんな辛気臭い本を読むのかと。 年を経て徐々に感じるのは、集団や組織が、個々の考えから離れて迷走し始める事例です。いわゆるグループ・シンク。個々人は多くの人が心配しているのに、組織としてはどうにも変わらないこの不可思議。みんな心配しているのに一向に改革の兆しがない年金行政、これまたしばしば叫ばれるようになった貧富の差の拡大。ひょっとしたらこれらもグループ・シ…

  • 理想図は美しいも導入は相当厳しい 『キャプランとノートンの戦略バランスト・スコアカード』ロバート・キャプラン、デビッド・P・ノートン 監訳:櫻井通晴

    期末期初の悪夢 期末期初になると頭を悩ませることがあります。自分の評定についてであります。 人事課は”SMART(Specific/Measurable/Attainable/Related/Time-bound)に基づいてお願いします”、”会社の施策にあった目標を設定してください”とか言いたい放題であるが、会社の施策ってなんだ? お客様第一とかというあの歯の浮くようなセリフか? そんなの聞いたことがないという感じであります。いや、正確にいうと、えらい方々はことあるごとに何かしゃべっているのだけれど私にはあまり響かないという。 取り敢えず作りますが、いつも不満足と不完全燃焼感でいっぱいになりま…

  • 米国の冤罪ノンフィクション|『イノセント・マン(上)(下)』ジョン・グリシャム 訳:白石明

    ひとこと 終始、腹の底で不活発な疼きを感じる読書体験でした。 例えていうならば、結論の読めない単館映画(それも東欧あたりの)で、主人公とその周辺、美しい情景描写が淡々と続く感じ。 オクラホマの片田舎出身、大リーグに憧れるマイナーリーガーのロンが、夢破れ、やんちゃが治らず、精神疾患を患いつつ、冤罪に巻き込まれていく様を描きます。その筆致があまりに淡々としていて、余計に恐怖を感じました。これがほんの20年ほど前に終わった出来事なのかと。 ノンフィクションです ということで、本作はいわゆる冤罪を扱ったノンフィクション作品です。筆者ジョン・グリシャム氏はリーガルサスペンスで有名な作家。私は手に取るのは…

  • 二作目は肩透かしか|『獄中記(2)煉獄篇』ジェフリー・アーチャー 訳:田口俊樹

    突然ですが、月曜日にコロナ陽性となり家庭内隔離をさせられています(こんなこと書くので、軽症ですが)。 先週ずーと調子が悪かった家内に代わり、掃除、洗濯、料理、子供の送り迎え、子供の教育、と仕事そっちのけで家を優先させ、「あー、たしかにワンオペってのはものすごく大変だな」なんて気安い感想を感じていているさなか、妻の陽性が分かったのが木曜。至急家内を寝室に隔離したものの、次第に私も調子が悪くなり翌週月曜日に陽性反応。アウト。 ただし家内は逆に調子が良くなり、私が交代で寝室で隔離。 したら、ワンオペの反動か、何だかめっちゃ快適!?掃除も洗濯も、子供との勉強も、すべてやらなくていい(というかできない)…

  • 英国ベストセラー作家の獄中記|『獄中記(1)地獄篇』ジェフリー・アーチャー 訳:田口俊樹

    先日、氏の”Not A Penny More, Not A Penny Less”を読んだのですが、非常に面白く、感銘を受けました。そんな中、ブラック・フライデーセールなんでしょうか、Kindle版ですが氏の本がなんと55円で売っており、安値につられて購入、読んでみた次第です。 ちなみに、こちらも安かったので同時購入笑 英国ベストセラー作家の獄中記です。ベルマーシュという無期刑の多い刑務所での体験記。 もうそれ以上でもそれ以下でもありませんが、日本語版の帯は「堀江貴文氏 推薦!!」とのこと。これでおおよその方向性は推測できるかもしれません。 数奇な人生の数々 面白かったのは、まさに小説より奇な…

  • 時代を感じる、小中学生お悩み相談 『バカのものさし』養老孟子

    先日知人に頂いた本です。 プライベートで追い詰められてどうしようかと考えているときに、現実逃避して数時間で読了した本笑 ちなみに困難に対しては、向き合って一つ一つ対処する以外に方法はないのですが、心が萎え気味の際はケータイに逃げるのではなく読書に逃避というスタイルを最近はとっています。 ひとこと感想 率直に申し上げると、可もなく不可もなく、という印象でありました。 お悩み相談です 元東京大学の養老先生が、小中学生の子供たちの質問に答えるという内容です。 子どもたちの素朴な質問にたいして、脳科学をベースにやさしく回答するというつくりで淡々と進行します。 なるほどと思うところはありました。 近頃の…

  • 英語でも、読む手が止まらない傑作小説 『Not a Penny More, Not a Penny Less』JEFFREY ARCHER

    Jeffrey Archerという作家さんはうっすらとお名前は存じ上げていましたが読んだことがありませんでした。 そもそものきっかけは『木曜殺人クラブ』が読みたいなあとAmazonを検索したのが端緒。一緒によく買われている作品ということでリコメンドで出てきたのがAnthony Horowitz。フーン、面白そうだけど、この人も読んだことないわ。どんな内容なんだろ、と彼の作品をクリックすると、関連商品として挙がったのがJeffrey Archer。あ、この人は確かに聞いたことある、でも読んだことない。 でも、しばしば訪れるムっくん (id:nmukkun)兄さんのところで作品が紹介されていること…

  • 文語調?がくせになる京都の学生譚|『夜は短し歩けよ乙女』森見登美彦

    わたくし的には、今月は、「新たな作家さんを渉猟する月間」であります。 海外に居ると店頭でのジャケ買いも難しいですし、さりとてネットのAmazonでAIにリコメンドされる本を買うのもなんだか癪だし、新たな出会いを生み出すことは結構難しいかもしれません。 そういう点では、皆さまのブログというのは非常に参考になります。まさに百人百様で、自分だったら手にすら取らなそうな作品、全く知らない作品などが沢山紹介されています。 で、今回の作品は少し前にClariceさん(id:Lavandula-pinnata)のブログで発見したものです。 lavandula-pinnata.hatenablog.com で…

  • 大人になってからの自発的な勉強こそが勉強 『勉強の価値』森博嗣

    本作ではないのですが、先日、娘がやっていた国語の問題で森博嗣氏の論説が出てきました。娘の回答は散々でしたが、筆者の作品は読んだ事がなく、氏に興味を持ちました。その結果、氏の小説と本作を購入したものです。 lifewithbooks.hateblo.jp ということで、本作は娘の論説文練習の本と相成ります。例によって私が先に読んでみた次第です。 勉強の意義について 「なんで勉強しなくてはいけないのか」という問いは中高生くらいまでは多くの学生が胸に宿す疑問だと思います。また大学生以降も「こんなの意味あんの?」「んなの将来使わないでしょー」という発言に形を変え、同質の疑問を引きずることもしばしばだと…

  • 真剣なアホが素敵すぎる|『時をかけるゆとり』朝井リョウ

    アホが真剣過ぎて素敵 青春 ・・・この言葉を、すべての人が納得いくように形容したりや換言してみることは、きっと難しいことでしょう。それはもちろん、その若き時代に経験した思い出深い事象が各人によって異なるからです。恋散った甘酸っぱい青春もあれば、部活に打ち込んだ汗くさい青春もあるでしょう。 でも局所的に首肯してもらえるような青春、膝を打つようなあるある。そんなのもあると思うんです。その筆頭に私は、真剣にアホをやる青春、を挙げたいと思います。 そしてこの言葉こそ、読後にまず思い浮かんだ言葉でした。こいつらはすげえ。真剣にアホをやっている。 懐かしくも憎めない、ある種可愛いさすら感じるエッセイ体験で…

  • ガールズトークの盛り上がる中、男一人残された気分(話は面白いんだけど) 『平成ガールフレンズ』酒井順子

    とある日のこと、中三の娘が「古典マジで意味が分からない」と申します。見れば国語で芭蕉の奥の細道を読まされているそう。 夏草や兵どもが夢のあと ・・・この儚さをどう説明する? 「もののあはれ」とか辞書で引いてみるか? 藤原氏の隆盛から凋落、武家社会と源氏の勃興とかを話すべきか? 何なら推古天皇とかの飛鳥時代の中央集権体制から説明するか? ていうか、うちの子、日本史殆ど知らないぞ。うーむ。 ということで、日本の文化・歴史・地理等がわからいキコクの子に、古典の良さ・面白さを説明するのは存外に難しいと感じたのでした。今さらですがね。 長男の時はもっとガサツなアプローチで、「伊勢物語」を音読させて体で覚…

  • オルタナティブ進路で世間を生き抜く?でも決めるのは難しい 『13歳の進路』村上龍

    『13歳のハローワーク』という本とセットで買いました。“ハローワーク”は世の中にどんな仕事があるのかを紹介するいわば職業図鑑。職業が教科別に配置されており、教科についての興味から職業を引くという謂わば職業事典とでもいった風采でした。 こんな進路もあるという気づき 一方、本作『13歳の進路』は一般的ではないかもしれないけど役に立つ道筋、の紹介とでも言ったものといえるかと思います。 前提にあるのは、多くの子供たちが一般的的な中学卒業後、普通科の高校へ進学、そして大学へ進み、就活を経て就職というものです。ただしこのマジョリティたちは、一部のトップティアのタレント以外は差別化が難しく、レッドオーシャン…

  • 漢字とひらがなによる日本語が美しい|『蜘蛛の糸・地獄変』芥川龍之介

    この前、海外にきて初めて本を売りました。今でいうところの海外版「メルカリ」みたいなサイトでのことです。今まで3回売れたのですが、ぜーんぶ現地の方が購入者。ちょっと驚きました。ひょっとしたら業者か?笑 で、せっかくだから何か出物はないか、安くてよい本はないかと同サイトを探していて購入できたのが本作。他の書籍と併せて4冊で400円強。ちなみに、うち2冊はニーチェ関連。こちらは日本人の出品者でした。海外にいてニーチェ本を読むなんて、何か思い悩んでいるのか、はたまたその悩みが解消し無用となった末の出品か。 妙な想像と気恥ずかしさが入り混じる購入体験でありました。 ひとこと感想 久しぶりに読んだ芥川龍之…

  • 李鴻章は河豚を食べなかった!もったいない! 『歴史のかげに美食あり』黒岩比佐子

    食べることが好きです。 食材が調理によって姿を変える――千切り、短冊、乱切り、千切る、そぎ切り、ぶつ切り、サイコロ、三枚おろし等々の下ごしらえ。そしてこれらを、焼く・炒める・揚げる・蒸す・煮る等の加熱を施す。あるいは生食も。たった一つの食材でもカットと調理の組み合わせて数え切れないほどにその姿を変化させ、さらに添え物との組み合わせを考えれば無数のバリエーションが存在することになります。 また食材や調理法には、地方独特のものがあったり、その独自性も風土であったり天候であったり文化であったり、はたまたま歴史的な理由や由来があったりするわけです。 そう、料理って素敵なのです。これを舌で味わい、感じ、…

  • なかなか良い。管理会計についても触れる会計入門 |『この一冊ですべてわかる 会計の基本』岩谷誠治

    今年の8月に英国の某会計資格の試験を受けました。 3時間ノンストップの記述式(もちろん英語です・・・)という純ジャパには結構厳しい試験なのですが、150点満点中80点が合格点ボーダーであるところ、78点で不合格・・・泣 10月の末に発表がありました。 ウインドウは年に4回、3カ月ごとにやってくるので次は11月末のウインドウで再チャレンジ。ただ、試験代がスターリングパウンドでGBP299-。今のレートだとGBP299って・・・え?あれ?5万円超えてる!うわー、高くない?いや高い!いやだ、こんなに高いって今知りました。普段東南アジアのローカル通貨で換算して考えていて気にしていませんでした(インフレ…

  • ニコニコ動画式政治で民主主義をアップデート!?|『一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル』東浩紀

    いやあ、これはすごい考えでした。読中もむむぅと唸りがとまりませんでした。 なお筆者は哲学・現代思想が専門であり、本作は言わば「夢」を語ったもの、と注意書きをしています。 どういうものかというと、、、 「民主主義後進国から民主主義先進国への一発逆転。ユビキタスコンピューティングとソーシャルメディアに浸透された、まったく新しい統治制度の創出」(P.7) 私の理解でいうと、法案審議や国会中継をニコニコ動画(風なもの)を見ながらやるべし、というなんともドラスティックな話です。 この時点で胡散臭さ満載かもしれません。既にユビキタスとか死語ですしね(筆者も予見していましたが)。でも、日本の哲学界のエース(…

  • くすっと笑える米国版爆笑小ネタ集 『ANT FARM』SIMON RICH

    お笑いやジョークというのは実は非常に高度で難しいものだと思います。あえて言葉を字義通りに表現せず同音意義をとってみたり、有名な諺やクオートに当て擦ってみたり。 かくいう我が愛妻も「日本のお笑いで笑えるようになってやっと日本語が上達したって感じた」と言っています。その割にキレると語尾が「〇΃ΑΑΓ.ДԢהג∑∰∤≃」とかってなっちゃうのはどうにかならないかなあって思うけど。。。 ひとこと感想 一言でいえば本作はユーモラスな小噺集といったところ。探偵ナイトスクープで例えるならば爆笑小ネタ集といったところ。 要は小ネタ集 ひとネタ2~3ページのごくごく短い小噺で、くすっと笑えるようなものが60弱収録…

  • 純文学のような探偵もの!?|『ダマシXダマシ』森博嗣

    本との出会いは様々 本との出会いは様々です。店頭でのジャケ買い、友人知人からのおすすめ、新聞の書評欄、電車のつり広告など、はたまたブログでの書評など。 私の場合、やはり子供が切っ掛けであることが多いです。要は子供の取り組んでいる国語の問題文です。でもこれ、実際面白いんですよね。インスパイアされます。重松清さん、瀬尾まい子さん、森絵都さんは本当によく見かけます。実際これがきっかけで読み始めました。そして論説文ですと、最近よく目につくのは鷲田清一さんとか東浩紀さんとか。こんなのも高校受験で出ちゃうんだぁ、と驚いてしまいます。あ、もちろんほかにも色々ビッグネームも含め出てきますが、あくまで私に「刺さ…

  • 傑作の名に恥じない面白さ。150年前が信じられないモダンさ 『A STUDY IN SCARLET』SIR ARTHUR CONAN DOYLE

    最近集中力に欠けています。10月はPride&Prejudice(Jane Austen)を読んでいたのですが、英語が難しく全く集中できず、遅々として進まず。結局忙しさにかまけて読まなくなってしまい、挫折。積読棚へ移行しました笑 英語は習慣的にコンスタントに触れていたいので、取っつきやすさ第一でこちらをチョイス。実はそこまで取っつきやすい英語ではなかったのですが、結果的には大満足な読書体験でありました。 シャーロック・ホームズシリーズは今まで映像モノは随所で見ていたものの、書籍では初めてでした。1884年に医業の余暇(!)で綴った処女作、いやあ面白かったです。多才な人は羨ましいですね。 英語は…

  • イヤミスの真骨頂!第六回本屋大賞受賞作|『告白』湊かなえ

    特に用事もなかったのですが、今週有給を一日取りました。ところが、どうしたことか前日夜から寝つきが悪くどうしても眠れず、そういう時は読書をしようと午前2時ごろから手に取ったのが本作。まあ当然ですが余計に眠れなくなり、本作読了し、朝の7時に就寝しました。無駄な時間の使い方ですが、贅沢なひと時でありました。 以前ネットフリックスで映画を見て、インパクトがある作品だなあと感じていました。その後書籍で買ったのですが、本屋大賞受賞作というのは知りませんでした。 あらすじ(裏表示から) 「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」わが子を校内で亡くした中学校の女性教師によ…

  • 教科書が語らない”意図”を一緒に考えてくれる本 『「なぜ?どうして?」をとことん考える高校数学』南みね子

    数学を放棄した過去 「数学が苦手だから文系、というネガティブな選択はやめた方がよいと思います」 今年の夏に、息子の担任と面談をしていただいた際の一言。 「そ、そうですね」 と言いつつ、冷や汗。・・・親であるの私も30年前にはその口で文系を選んだわけですから。 いやあ高校進学当初は結構頑張っていました。でも高校1年?の進路相談で色弱の事を指摘され、理系を選んでも大学卒業後の就職は厳しいとの話でした(当初は理系・化学に行きたいと考えていました)。また、数学教師のカワサキさんという方とどうしてか衝突し、途中から数学は完全放棄したのでした。その後点数は右肩下がりならぬ、直下。 数学をキチンとやってない…

  • ドラマの絵が頭から離れない|『危険なビーナス』東野圭吾

    今回もムスコ文庫から拝借。 ちなみに、うちの子はいまいち本を大事にしない?ので、たまにカバーやページが水(雨)でヨれたり、本の四隅が少し折れていたりするのですが、あれが個人的とっても許せないんです笑 私はA4の裏紙とかで文庫本のカバーを作ったりしてきれいな状態で古本屋に売るのが信条だったんですが・・・。 ↑ こういう、ヨレヨレにするのが嫌なんです。私の本でもないですが。。。皆さんどう思います!? ひとこと感想 東野圭吾氏の作品にはいつも驚かせられます。後半部のツイストもさることながら、やはりその画力、映像力には驚かされます。作品を読むと、いつも絵が思い浮かびます。 ただし、今回はTBSの日曜劇…

  • 子供向け職業図鑑、大人が読んでも噛み応えあり 『新13歳のハローワーク』村上龍

    昔の自分を思い出す 実はこの本、2000年頃の初版も買いました。 その当時、新卒でITエンジニアになった私は、3カ月間の研修を経てシステム開発現場へ放り込まれました。IT、といっても華やかなものではなく、窓の一切ない空調の管理された部屋で、自分の年よりも古いプログラムの修正をアセンブラという今では殆ど見かけない言語で行っていました。 学びは大いにあり、それなりに(というか大分)忙しく、そんな中でも会社が課した資格試験に着実に受かっていく同期や先輩が多くいました。一方私は資格試験は大分落ちました。ああ、やっぱりに「好き」にはかなわないときっと感じたのでしょう、そうした時分にこの本を買ったのでした…

  • 人間の特質としての共感を描くディストピア小説|『アンドロイドは電気羊の夢を見るのか』フィリップ・K・ディック 訳:朝倉久志

    実家の本棚に眠っていた本。たぶん20年ぶりくらいに読んだものです。学生時代、哲学を勉強しており、その時に設定したテーマは「人間とは何か Was ist das Mensh.」 きっとそのテーマの一環で読んだのだと思います。 今般本作を再読し、学問への小熱い(決して熱狂的ではない)気持ちが昨日のことのように蘇ってきました。 まず冒頭に非常に面白い作品であるということを申し上げたいと思います。物語の展開もスピーディーで予想がつかない。人間の本性を問うかのような伏線も張られおり、考える素材としても非常に秀逸であると感じました。 あらすじ 本作、SFやディストピア小説に分類されることが多いかと思います…

  • 優しく厳しく自己実現を促す寓話|『アルケスミト 夢を旅した少年』パウロ・ウエーリョ 訳:山川紘矢+山川亜希子

    あらすじ(文庫本裏表紙より) 羊飼いの少年サンチャゴは、アンダルシアの平原からエジプトのピラミッドに向けて旅に出た。そこに、彼を待つ宝物が隠されているという夢を信じて。長い時間を共に過ごした羊たちを売り、アフリカの砂漠を超えて少年はピラミッドを目指す。「何かを強く望めば宇宙のすべてが協力して実現するように助けてくれる」「前兆に従うこと」 少年は錬金術師の導きと旅の様々な出会いと別れの中で、人生の知恵を学んで行く。 ひとこと感想 メッセージは素晴らしい! 内容も面白い。だけど現実はちょっと難しいか。これがストレートな感想笑 ネタバレありです(まっさらに読みたい方は飛ばして!) 本作、羊飼いのサン…

  • 肩の凝らない英国歴史エンターテイメント 『A POINTLESS HISTORY OF THE WORLD』ALEXANDER ARMSTRONG & RICHARD OSMAN

    近頃、テレビやニュース、雑誌などを殆ど読んでおりません(世捨て人!?)。それでもやめられないのが皆さんが書かれているブックレビュー笑 その中でこの一年良く目についたのがリチャード・オスマン氏。氏の書いた『木曜殺人クラブ』のレビューで、どの方もとても面白いとおっしゃてて私もぜひ読みたいと思ったんです。が、新品はやっぱ高いし手が出ません泣。そこで同じ作者なら作品違くても面白いかもと、近所の新古品の本屋さんで発見したのがこちら。結果は泣泣って感じでしたが笑 筆者について 私は筆者を『木曜殺人クラブ』の作者として知りましたが、実はテレビ番組の司会やプレゼンターが本業の業界人。そうした筆者がテレビ番組の…

  • 子供の脳死を扱う異色の東野作品|『人魚の眠る家』東野圭吾

    この夏に日本に一時帰国した際、息子の本棚から回収した本です。 本嫌いの息子に多少なりとも本を読ませる習慣をつけさせてくれた(私にとって)神作家の東野圭吾氏。その時息子が読んでいるというので、どうよ、と尋ねると「いやあ、だるい」と。いつもだるいだるいじゃ伝わんねえんだよと思いつつ、もう読まないというのでこちらで引き取りました。 読了して「だるい」の意味はまあ分かりました。でも私の琴線にはよく響きましたが笑 これまでホイホイと人が死ぬ刑事ものを書いてきた筆者にあって、本作の死はこれまで登場した死と比べると格段に重いと感じます。今回のテーマは脳死です。 あらすじは他所に任せますが、本作、植物状態(所…

  • イスラムが「創った」ヨーロッパ世界 『マホメットとシャルルマーニュ ヨーロッパ世界の誕生』アンリ・ピレンヌ、監修:増田四郎、訳:中村宏・佐々木克己

    歴史が面白い、と感じる瞬間があります。まあ簡単に言えば「風が吹けば桶屋が儲かる」的な話が聞けたときです。言い換えると、一見普通に見える事象の裏に、思いもよらない事実が隠されていた時。また、どうも腑に落ちない不可解な史実の背後に、状況証拠等を駆使して人が考えもしなかった動機を探ったりするときです。 マホメットが欧州を作った!? で、本作。世界史の授業でしばしば言及される作品です。面白いのは「イスラムがヨーロッパを形作った」とする言説です。 もう少し丁寧に言うと、現在のヨーロッパを基礎づけたのはイスラム教の侵入とカロリング朝だという言説。なお本作第二部でのメインテーマです。 「桶屋が儲かる」しくみ…

  • 海外+食べ物=たいてい気に入る作品|『かもめ食堂』群ようこ

    本とは関係なく、全くの私事なのですが、私、四半期に一度くらいのペースで、無性に逃げ出したくなります。仕事も家族も放り出して、ふらっと放浪とかに出たくなります(ほら、コロナとか大分収まって旅行とかもできそうだし笑)。面倒くさいおっさんで申し訳ないです。 面白味のない仕事を真面目にこなす、大分年下の上司に色々と教えてあげる、更年期で感情が荒れがちな嫁をうんうんとなだめる、母娘喧嘩が目の前で始まってもまあまあと割って入る。口先だけは偏差値急上昇な娘にもキレずに大人な冷静な対応をする。。。こういうのが徐々に面倒に感じてきます。 50近いおっさんが何を今更世迷いごとを言っているのか、と思うかもしれません…

  • 英国の伝説・伝統的冒険譚。ファンタジー嫌いも楽しく読める 『KING ARTHUR AND HIS KNIGHTS OF THE ROUND TABLE』ROGER LANCELYN GREEN

    世界史を勉強すると英国史で言及されることが多いアーサー王伝説。英国の伝説・伝承文学にして最も有名なものと言いうると思います。サクソン人(Saxon)を撃退し、英国(Briton)を平和に導くアーサー王と彼を支える円卓の騎士の物語です。 で、これが予想をはるかに超える面白さでした。同じタイトルでキンドルで無料であったので読んでみようかと思います。ちなみにキンドル無料版で翻訳物もダウンロードしたのですが、恐ろしい量の旧漢字の山(おそらく戦前のもの)で、そちらは挫折しました笑 伝説に基づく口承的な性格があるためか、同じタイトルでも多くのバージョンがあるようです。本バージョンは20世紀初頭の作家Rog…

  • 精神論ゼロ!理性的で完璧な若者の「確かに」な勉強本 『シンプルな勉強法』河野玄斗

    アホ高校生の息子のために、今年はこれまで勉強法の本を5,6冊ほど読んできました。テクニック集や体験談、人生論的なものなど、参考になるものは多かったです。 ただ、サラリーマン的な仕事術の観点でいうと、私はこの本が一番だと感じました(こどものために読んだんですがねえ)。 勉強の意義を問うことの大切さ そのポイントといえば、第0章と第1章で合計80頁を費やした、勉強の意義とモチベーションについて、だと思います。最終的には「やる気が出るんだったら目的なんて何でもいい」というスタンスのようですが、筆者の場合は自らの「幸福の最大化」という観点を意識しつつ、「将来の選択肢が増える」という外発的要因と「ゲーム…

  • 頑張ることって素晴らしい。元気になれるスポ根小説|『DIVE!!』森絵都

    本が好きな方だと、積読が先行しているうちに同じ本を二冊買ったりとか、売った本をまた買ったりとかってありませんか? 私はたまにやらかします。 本作「DIVE!!」は上の息子が高校受験に挑んている最中に上下巻そろえて買ったものです。下の娘(現在高校受験の真っ最中)にも読ませてみようと本棚を見るとなんでか下巻しかない。きっとせっせと売ってしまったんです。で先日の一時帰国の際にブックオフにて上巻も再購入したものです。 ちなみに、娘の中学には始業前(いわゆる0時間目)に読書の時間があるんです。とてもいい習慣だなあと感じております。 ひとこと スポ根でちょっと暑苦しいかもしれないし、ヤングアダルト向けで大…

  • デビュー作から村上色満開|『風の歌を聴け』村上春樹

    先月8月に2年半ぶりに実家に帰りました。実家の書籍については度々処分しているのですが、それでも残っている本が数十冊ほどあります。私の記憶ではこの十年くらいは伊坂幸太郎さんとか恩田陸さんとかを結構読んだのでそういうのが残っているのかな、と予想。ところが実家においてあったのは、開高健、太宰治、谷崎潤一郎、そしてこの村上春樹の作品群。なかでも村上氏の作品が一番多くありました。別にハルキストを自称するわけではないのですが、大分好きだったのねえ、と過去の自分に感慨にも似た気持ちに。ということで、数冊をトランクに突っ込んで、東南アジアの居所に戻りつつ、道すがらで読了したのが本作であります。 ひとこと 本作…

  • 無料なのは別著作への導入ゆえ? 『BEST VERSION OF YOURSELF』 JIM KWIK

    James Altucherという方のポッドキャストを以前聞いていました。そのゲストで著者が出ており存在を知りました話しぶりはなかなかに面白く、かつアジア系なので印象に残っていました。 そんな著者の名前をAmazonで打ち込んでいたら本作Kindle版でタダ!ということでどういうものだろうかと思いダウンロードしてみたものです。 概要 本作は米国で著名?な脳トレーニングコーチの書籍になります。内容は自伝+自己コントロール入門、とでもいったところ。 いまいちまとまりに欠けるか 内容の一例としては、筆者が暗闇恐怖症?のような状態で、これを試行錯誤の末克服したことが書かれていました。きっとそうした体験…

  • ミドルおやじの人生見つめなおしに効きそう 『50歳からの勉強法』 童門冬二

    先般、一時帰国中に見舞う予定であった叔父を亡くしました。末期ガンでした。享年78歳。旅行を愛し、50代で脱サラし、居酒屋や喫茶店を経営し、やりたい放題(と私には見えましたが)しつつ、最後は奥様に介護され息を引き取られました。 彼の人生を思い返し、自分は今後どうするべきかいやでも自問してしまいます。子供たちはいまだ片付かず、家内は更年期に足を踏み入れ、親のボケが始まるなか、自分の人生をどのように進めてゆくかはいまだ解を得ないところです。ならば先達の教えを聞くに限ると本作を手に取った次第です。 50代からの生きざま、ケーススタディ 世の中には勉強・独学に関する本が山のように存在します。最近は東大生…

  • 青春小説かと思いきや東野氏の自伝!?|『あの頃ぼくらはアホでした』東野圭吾

    引き続き長男の本コーナーから東野シリーズを発見。相変わらず彼の感想は、「だるい。無理」とのこと。お前さぁー、もっと伝わる表現をしてくれよ、と言おうと思ったものの、自分の高校時代といえば、親に対しては、忘れた・知らない・どっちでもいい・別に、の4単語しか使っていなかったことは息子には言えません。よっぽど今の息子の方が態度的にはマシに見えます。「おお、そうか。じゃあちょっと俺も確認してみるわ」と動揺を隠しつつ本作を読み進めてみた次第です。 自伝です、これ 高校生の長男の本棚にあった本作、どうやら本人は読了まで持たず挫折したそうです。だるい、だるいと訴えます。要は面白くないと。 だるいじゃ分かんねえ…

  • 人生やキャリアを考えるヒント 『悩みどころと逃げどころ』 ちきりん、梅原大吾

    忙しさにかまけて読了したままにしておくと、何を書いていたかあっという間に忘れてしまうんですよね。そういう経験は皆さんありませんか? 本ブログの当初の趣旨はそんな風のように消えてしまう私の読書活動に、アウトプットという作業を加えるためのものだったのですがね笑 ということで少し前に読み終わった本について記します。 いやあ、非常に面白かった。 本作は、所謂学歴エリートのちきりんさんとプロゲーマーの梅原さんという謂わば極に居る二人が人生について語るものです。ちきりんさんも梅原さんも存じあげない方々でしたが、書いている内容は非常にまっとうであると感じました。 どっちも正しい正反対の意見 その出色といえば…

  • コンパニオン嬢が活躍!肩がこらない推理小説|『ウインクで乾杯』東野圭吾

    こらえ性のない長男が唯一読書でとっかかりを見いだした東野圭吾先生。二年半ぶりに会う彼の本棚にたたずむ本作。「どうだった?」と聞くと「うーんいまいち、あんま覚えてない」とのこと。神通力もこれまでか、親として確認してみた次第です笑 裏表紙あらすじ パーティ・コンパニオン小田香子は恐怖のあまり声も出なかった。仕事先のホテルの客室で、同僚牧村絵里が、毒入りビールを飲んで死んでいた! 現場は完全な密室。警察は自殺だというが・・・。やがて絵里の親友由加利が自室で扼殺され、香子にまで見えざる魔の手が迫ってきた。誰が、なぜ、何のために!? ミステリー界の雄が放つ長編本格推理の傑作! いつもいつも感じるのですが…

  • ワークライフバランス先駆者の人生談。壮絶 『50歳からの生き方』 佐々木常夫

    アラフィフの私。窓際であり昇進がなく、その上子供たちが高大へと進学する一番家計的に厳しい時。そんな折、何かの足しにはならないかと本作を手に取った次第です。ちなみに2年半ぶりに帰った実家で親父が初期の痴呆であることがわかり(私の勤務先を毎日聞かれる、私の年齢も覚えていない)、一つ懸念が増えました笑 昭和の時代を「ライフ」優先で生きたツワモノ 壮絶。すごい。 まずもってこうした言葉が出てきます。自閉症の子息を抱え、奥様がうつの末自殺未遂をしたり。そうした家族の面倒を見つつ、会社を定時にあがる。 これで上場企業の取締役にまで駆け上るのであるから、著者の仕事力・効率性はとんでもないのでしょう。また、い…

  • 村上流、自己の受容と過去の受容の物語?|『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』村上春樹

    4、5年ぶりに本作を再読。これだけ経つと筋もあらかた忘れており、フレッシュな気分?で改めて楽しく読むことができました。 主人公に自身を重ねる? 本作の主人公である多崎つくる。他の村上作品同様、非常に自制的・自省的、言葉に敏感、そして適度な運動を好むという、自分があこがれていた方向であり、勝手に自身を重ねて読んでいました笑 再読して改めて感じたのは、本作が生死・友情・グループ・信頼・過去の清算など、多くの人が遭遇する人生における困難に主人公を対峙させていることです。多くの人が日々の生活でこうした問いに悩みつつ、時に間違えたりしつつ自ら答えを出していると思います。読者は主人公を通じて、自分がするか…

  • 自己省察力が光る幸せ追求ノンフィクション 『THE HAPPINESS PROJECT』 GRETCHEN RUBIN

    「幸せ」とは、なかなかにむつかしい。 特に日本人は幸福度ランキングが低いことで有名?です。他国や他人と比較すれば、色々な点で恵まれている。だけど幸せと感じない。。。 そんな「あるある」に正面から取り組んだのが本作。ちなみに筆者の義理の父は米国の財務長官を務めたR・ルービン。てか筆者、結構セレブ!? 概要 ふとバスの窓から外を眺めていて「私は幸せになりたい」、と強く思った筆者。二人の娘とのほほん気味なご主人(C型肝炎持ち)との生活にてんやわんやしつつ、自ら課した毎月のテーマを一年間実践し、幸せ感を増強する、という体験型ノンフィクション。 感想 結論から言うとなかなか面白かった。 初めのとっかかり…

  • 興味深いマイクロファイナンス、日本での展開は未知数 |『構想 グラミン日本』菅正広

    先日、子供つながりで友人となったオヤジたちとオンライン飲みをしていて話題になったのが55歳役職定年や早期退職。会社を辞めるかどうするか、第二の人生どうするか、等々。私の会社にはそうした制度はありませんが(そもそも役職についていないし。。。)、子供たちが大学を卒業するまで金銭的に耐えられたら、第二の人生はもう少し世の中に貢献するような仕事をしたいな、と思い手に取ったのがこの本、というわけです。ただ、その前に子供たちの学費で(大分本気で)貯金が底をつく可能性が高いのですが。。。。 ノーベル平和賞を受賞されたグラミン銀行のムハマド・ユヌス氏。マイクロファイナンスというと、貧困層向けの少額無担保貸付、…

  • 勉強もプライベートもどっちも実現させる効率勉強テクニック本 『成績が上がる学びの習慣』紀野紗良

    子どもたちに勉強をやらせるのもいい加減疲れたのですが、ここで放り出したら相手の思う壺!?というか喜ばれておしまいなだけだろうと考え、しつこく子供に合うようなスタイル・方法を模索しています。。。 中高生の親です。 特に上の高校2年の息子がアホ過ぎて、学期ごと下がる成績に感動ではなく恐怖で心が震える今日この頃です。 どうにか愚息のモチベーションを挙げるべく、色々と評価の良さげな勉強本を読んでみました。 「夢を叶えるための勉強法」(鈴木光)・・・総合型入試で東大に入った方。学ぶところは多いものの、スゴ過ぎて真似するのは簡単ではなさそう。 「勉強大全」(伊沢拓司)・・・紆余曲折や自問自答を繰り返し、最…

  • おすすめ!孤独と向き合いつつ、自分の道を歩むための本 『ミライの武器』 吉藤オリィ

    先週、子供の学校見学に幾つか行ってきました。最近は高校でも模擬授業をしてくれる所があったりして、近年の学校の変化がよく分かり勉強になります。他方、高校も大学もオープンキャンパスの類はすぐに満席になり、コロナの蔓延と相まってキャパシティを制限することが多く、結果見学の機会を逃すことも多々あります。そういうとワクチンの効果ってどこまであったんですかねえ。。。 近年、いわゆるおひとり様向けのサービスが充実してきたように思います。先日も、とある商店街をブラついていて、窓ガラスに「一人焼肉歓迎」とある焼肉屋さんを発見。店内はパーティションで区切られた様子でした。 思えば、嫌煙者であったり、LGBTQであ…

  • 理屈っぽい大人が読むと失敗するYA本?|『お父さんはユーチューバー』田口倫太郎

    この度、無事日本に一時帰国を果たしました。2年半ぶりに両親と息子(日本の高校に通っている)と会い感慨に耽るも、あまりの暑さに思考も鈍っています。もともと鋭くもないけど。そしていつの間にかなくてはならないエアコンとの生活。これに今一番驚いています。熱帯気候の国に住んでいるものの冷房のない生活をしていたので、ちょっと複雑な気分ですね。。。 9年間の義務教育のうち、小1の1学期以降8年ぶりの日本語での教育を受けている中3の娘。天然のルー大柴よろしく、日本語がわからないと英語の単語を混ぜてしゃべることが多かったのですが、学校に馴染むにつれて日本語がスムーズになってきました。 そんな娘にこの数年間、日本…

  • むしろ中国古典学習の副教材として 『論語と算盤』 渋沢栄一

    皆様ご無沙汰しております。2年半ぶりの日本への一時帰国を控え、仕事に子供の勉強にバタバタしておりました。ついでに家内の更年期?の諸々もあり、読書に全く取り組めていない今日この頃であります。 ひとこと感想 端的に言えば、論語と同様、ややまとまりに欠けた箴言集、というのが率直な印象であります。 そもそもの購入の動機 手に取ったきっかけはKindleのセールで激安だったことはもとより、世の中全般にゆるやかに浸透する金銭至上主義への自分の中での違和感が本書により裏打ちされるのではとの期待があったからです。あるいは自分が金銭的な十分さに至らないでいる現状へのルサンチマンが自分をして本書を取らしめたのかも…

  • 論語を現代語で解説付で! 『現代訳論語』訳:下村胡人

    先日アマゾンの日替わりセールで渋沢栄一の『論語と算盤』を購入しました。併せてレビューなんかを読んでいると、「事前に論語は読んどいたほうが良い」との言葉を発見。で、かつてKindleにダウンロードした本作品を思い出し繙いてみた次第です。 ひとこと まず何より、非常に読みやすかったです。 多くの青空文庫収録作品が文語調であったり、旧漢字であったりして昭和というより戦前の雰囲気漂うものが多い中、本作は旧漢字も少なく、口語調で普通に読むことができました。 概要 論語ですが、通して読んでみた感想は、雑多な格言集・アフォリズム、といった感じです。一方向へ論が展開されるわけではないのでその点はやや読みづらい…

  • 投資銀行のキラキラした一ページを描写。最後は勧善懲悪的か | 『トップ・レフト ウォール街の鷲を撃て』黒木亮

    今期より月一回自分に課している自主出社?を先週して参りまして、休憩室にある本棚に置いてあった本作を持ってきて読んでみたものです。 二十年前以上に発表された本作。日系銀行から米系外資系投資銀行に移籍したやり手のインベストバンカーと、その同期で日系銀行に留まるエリート銀行員を中心とした、ロンドンを舞台にしたディール獲得を巡る金融系小説です。 ・・・ バブルが弾けて21世紀が産声を上げたころ、外資系投資ファンドはハゲタカなどと揶揄され、貪欲だとか強欲だとか言われた時代が日本にありました。しかしグローバル化が十分進んだ今、外資系金融機関を即強欲な投資銀行、とみなす風潮は殆どなくなったように思います。 …

  • ルネサンス期の文学を読んだあとに読む本 『CHAUCER’S PEOPLE』著:LIZA PICARD

    近くの新古本を売る書店で一年ほど前に500円ほどで購入したもの。でも寝かせておいて正解でした。その後デカメロンとカンタベリー物語を読んだので、相応の下地ができました。にしてもAmazonで評価4.5。本当か? 評価を確認してから購入しましたが、読後に評価見返しました。そんなに英国中世史って人気あるのか?って。でもどこぞの国で鎌倉時代の大河ドラマがそれなりに人気らしいので、さもありなんってことかしら。まあ楽しく読めたから良かったんですが。 本作は、カンタベリー物語の舞台となった14世紀英国を中心にした文化史的読み物です。 従い、カンタベリー物語は事前に必読です。世界史もかるーく舐めておくとより良…

  • 独学のための強力な道しるべ。ただし自分を変えるのは自分だけ 『独学大全』著:読書猿

    本書の帯を見て、中3の娘が言いました。『これ全部お兄ちゃんに当てはまってるじゃん』 娘よ、その慧眼には敬服するが親としては一抹の悲しさを覚えるぞ。 その帯は下のイメージの通りですが、こうあります。 「自分を変えたい」すべての人へ。頭が悪い 続かない お金がない やる気がでない 読むのが遅い 時間がない 本作、もともとは高2の息子のモチベーションを何とかしようと購入しました。隗から始めよの心意気で私から読んだものですが、実践を含めて自分からはじめてみたいと思います。 やっと読み終わった。752頁にも渡る、この辞書のような本を通読し終えるのに何日かかったか。しかしこれは終わりではなく始まり。そう、…

  • 安定の面白さと、安定の驚き!?|『沈黙のパレード』東野圭吾

    今、大分長い本を読んでいます。ページ数を見たら実に、752ページ! そういう長い本を読んでいるときはついつい寄り道で他の本に手を出してしまいます。 ということでこちらがその『寄り道』の本。実は本作、会社の本棚に置いてあったものです。 ・・・というのもですよ、この前、昨年の業績評価のフィードバックがあり上司に聞いたんです。私『私がよりよくなるためには何か改善点はないでしょうか? 気づいた点はなんでも。』上司『いやー、昨年度は色々と本当にオヤジさんのおかげで助かりました。特にないのですが、もしもう少しオフィスにいらっしゃると、議論や問題がより直接的に解決できるかなとー思いました。もちろん、全然強制…

  • 曰くつきの学園で起こる殺人の謎とは|『麦の海に沈む果実』恩田陸

    最近、シンガポールの地域本部と喧嘩をしまくっていて、ちょっと疲れたので小説で休憩。メールだと通常の発話の1.5倍くらい攻撃的に(個人的見解)感じますが、ridiculous/disappointing/unbelievable などの単語でディスられてちょっと落ち込みました。シンガポール人とは反りが合わないのかもしれません。…そういえば、こういう関連部署からのディスりってのはパワハラになるのかな? ちなみに私の上司はCCに入っているもののだんまり。これはまあ毎度のことですが。 私の高校時代。アクティブに鬱屈していたことを思い出します。思春期ど真ん中で親との会話は常時不成立(こちらが拒んだ)。バ…

  • ヒトの認知の癖に気づく 『ファクトフルネス』著:ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド 訳:上杉周作、関美和

    会社でとっている電子版の新聞。内容は当地(東南アジア)の日系企業がらみの記事が大半。ただ、毎週月曜日に八重洲ブックセンターでの新書売り上げと文庫売り上げのベスト10が載っており、結構楽しみにしています。そのコーナーに、数年前まあーよく目にしたのが、このタイトル。天邪鬼な私は「絶対中古で買ってやる」と息巻いていました。が近頃、子供の本が入用になることが多く、うっかりポチってしまいました。 海外からアマゾンで本を購入すると送料が結構バカになりません(1万円分で大体3千円程度)。ただ消費税は海外居住者にはかからないんです。結果本体価格約0.9万円(税抜価格!)+送料0.3万円=1.2万円程度。大好き…

  • FIREを達成した趣味人の発掘記録の数々 『古代への情熱 シュリーマン自伝』著:シュリーマン、訳:関楠生

    「まるでマンガみたいだ」 現実離れしていて、あり得ない・有り難い状況を形容するのに使用したりしますね。外国語ペラペラ、お金もたんまりあってFIRE達成。日頃は趣味の文化的活動にいそしみ、教科書に載ってしまうほどの業績を挙げる。果ては、欧州人の年の離れた若い奥さんをもらう。 羨ましいと思われる御仁もいらっしゃるかもしれまんが、これこそが本作の筆者シュリーマンの自伝で語られる内容です。彼が、ホメロスによる『イリアス』に描かれたトロイア遺跡を発見したという事実は、多くの世界史の教科書に掲載されていると思います。 初め1/3はドラマチック、その後はやや単調… 自伝の内容ですが、これがまた紆余曲折ありド…

  • 社会規範よりも愛を選択したとき 『完訳チャタレイ夫人の恋人』著:L.H.ローレンス、訳:伊藤整、補訳:伊藤礼

    大学で軽音楽サークルに入りました。「オヤジ君は、そうだな、むっつりスケベでしょ?」先輩にこう言われて即座に否定しました。普通にスケベであると自任していたから。 その点、本作『チャタレイ夫人の恋人』も謂わばむっつりじゃないスケベ、おっぴろげエロです。むしろどぎついかもしれない。 あらすじ チャタレイ夫人ことコンスタンスは中流ながら自由な空気の下で教育と経験を積み、貴族であるクリフォード卿と結婚する。しかしクリフォード卿は第一次大戦で下半身が不具となり、いなかの炭鉱町テヴァーシャーの屋敷に夫人と引っ込み隠遁的生活を送る。クリフォードはいくつかの文芸作品で名声を得つつあるなか、コンスタンスは閉じこも…

  • この本読んで子供向けにパワポ作ります 『大学受験 志望校に「合格する子」の親がやっている6つのこと』著:鈴木優志

    実をいうと、この手の本ははあまり買いたくはありませんでした。甘っちょろい話をすると、子供には伸び伸び育って欲しかったし、言われなくてもやる気を出してほしいと感じていました。 高校二年にもなっても全くやる気を出さず(というか学校の勉強すら余裕でしないんです)、下宿先の祖母が心配する始末。ということで、子供のやる気を何とか盛り上げるために勉強法の本を幾つか読んでいます。 で、生徒に語りかける本はいくつか読んだのですが、親向けの本はこちらが初めて。 親の心を透視している? 最初の一ページ目ですでに私の心を鷲掴み。曰く、 子供に勉強をさせようと、評判の良い参考書をインターネットで探したり、塾・予備校に…

  • 大人が味わう童話集 『THE CANTERVILLE GHOST, THE HAPPY PRINCE AND OTHER STORIES』著:OSCAR WILDE

    ここ数か月、忙しさにかまけて読書ペースが落ちています。本作は英語の本ですが、読了に一か月かかってしまいました。英語の本はどうやったら早く読めるのか?。。。今更単語の暗記とかもしたくないしなあ。。。うーむ。 オスカー・ワイルドという作家をご存じでしょうか。 ん?オリバー・ツイスト?(それはディケンス)、ジョージ・オーウェル?(1984ね)、ジョージ・ルーカス?(大分離れたよ!映画監督ね)…近現代の作家は数多くいらっしゃいますが、本作者、名前はうっすらご存じ、という程度の知名度ではないでしょうか。マイナーとも言えないけどメジャーというにはちょっと、という世間的位置づけに感じます。 で、オスカー・ワ…

  • 中学生以上の勉強テクニック集 『自宅学習の強化書』著:葉一

    同じようなネタでごめんなさい。このシリーズ、あと数冊続くかも。。。 突然ですが、よく、職人の徒弟制度等では、見て学ぶ・技を盗む、なんてことが言われます。何かが直接教えられるのではなく、主体的に「取り」に行って、ノウハウやコツを体得する。 現代の一般企業で新入社員を放置プレイにして、能動的に先輩を真似して学べ、なんてやろうものなら、すわ育児放棄ならぬ教育放棄だとか新手のパワハラだとか言われかねませんね汗。それでもなお、主体的に真似ることの重要性は減じることはないと信じます。 効率的な勉強テクニック集 そして本作、勉強に関しての真似たいポイントが詰まった本であると思います。その意味では本作、テクニ…

  • 自己省察+自己決定のPDCA。社会人でも役立つ。 『勉強大全』著:伊沢拓司

    一括りにするのは申し訳ないのですが、さすが開成-東大だな、と思える本。徹底した自己省察と自己決定のPDCAは社会人でもなかなかできないもの。逆に言えば並みの高校生はここまで自己省察ができるかなあと思いました(できたらできたで、完成しすぎててちょっとイヤかもしれないけど笑)。少なくてもうちの愚息は無理。でも、子供に読ませてみます。 移り行く社会の中で、人生を引き受ける、ということは存外に難しい。言い方を変れば、覚悟を持つ、ということですが。何となく高校生になって、何となく大学生になって、そして何となく就活をして社会人になり、(人によっては何となく)結婚して家庭も作り、老いていく。もちろん才能の…

  • 素直で実直な勉強本 『夢を叶えるための勉強法』著:鈴木光

    愚息についての愚痴 いつの時代もそうかもしれませんが、子供は大概勉強が好きではない。勉強は将来に役立つと言われ、理屈では分かるがどうにも腹落ちしない。何しろ親の言い方が気に食わない。挙句、そんなことないのに、やれケータイ見過ぎとかいわれる(ちなみに私の時代はテレビゲームがやり玉に挙がっていました)。 同様にいつの時代も親は子の心配する。なぜにあんなに勉強をしないのか。他の子はみんなしっかり将来について考えているのに(まあ全体の数割でしょうが)。思春期ゆえか、少しずつ子供の気持ちもよくわからなくなってきた。自分が親になって、自分の親がどれほど自分のことを心配しているのか(そして子供はどれほど親の…

  • 逆境を超える企業の背後には骨太なストーリーが。個人の生き方にも示唆に富む作品 『ストーリーとしての競争戦略』著:楠木建

    引き続きリモートワークが続いています。先日約2か月ぶりに出社して、会社の本棚に本作が安置されているのにふと気づき手に取りました。GWを利用して読んでみたものです。 戦略という言葉が嫌いです。 これまで勤務していた会社では、どれもが現場感覚の希薄な経営層だったり、現場の気持ちが分からない本部の方が作っているという印象が強かったからです。日々業務にあたる私からはなんとも空疎に聞こえるのです(カスタマーファーストとかさ、顧客から搾り取った方が上司からほめられるのに、ジレンマを与えて判断に迷わせたらダメじゃん、みたいな)。そんなんだから、中期経営戦略とか5か年計画とかも、色々やっているけど、上の人たち…

  • 読んでるだけで脳内テレビドラマ|『禁断の魔術』東野圭吾

    GW真っ只中ですね。皆さまいかがお過ごしでしょうか。私は日本には居りませんが、居住国がイスラム教国で今年はたまたまこの時期に断食明けの祝日となり、くしくも4/30から5連休。 リモートワークが常態化し、休みなのに結局毎日PCを開けてカチャカチャやっていますが、その合間に息抜きを楽しみました。 結論を端的に言えば、普通に面白い!(上からに聞こえたらごめんなさい) あらすじ 将来を嘱望されるほどの優秀な高校生。ガリレオ先生こと湯川の高校の後輩であったが、折角受かった帝都大学を入学直後に退学、近くの町工場で働いていることが判明する。ところが、とあるフリーライターの殺人事件の嫌疑の末に彼は行方不明に。…

  • キリスト教的価値観で締めるも、やっぱりルネスサンス期の息吹 『完訳カンタベリー物語(下)』著:チョーサー、訳:桝井迪夫

    上巻・中巻と読んできましたが、最後は若干飽きを感じつつ、他の本に目移りしつつ、たらたらと読んでおりました。GWに入り何とか読了した次第です。 下巻では修道僧の物語、尼僧付きの僧の物語、第二の尼僧の物語、錬金術師の徒弟の話、賄い方の話、教区司祭の話、の計6話を収録。 最後はキリスト教的説教でゴール どちらもルネサンスを代表する文学作品といえるデカメロンとカンタベリー物語。前者は人間賛歌の色調を常に感じる作品でしたが、後者カンタベリー物語は、上巻こそデカメロンに似ていた雰囲気ですが、最後の下では宗教関係者の話が多く、トリは教区司祭の話で締めくくられました。この点は著者チョーサーのキリスト教的価値観…

  • 黒人社会の閉塞感を描く作品か 『THE BLUEST EYE』著:TONI MORRISON

    以前読ませて頂いていたブロガーさん(id:AgentScully)が全米図書協会(American Library Association)の”禁書リクエストランキング(Most Challenged Books)” を纏めており、そこに掲載されており、読んでみたいと思った次第です。残念ながらこの方のサイトに今はうまくアクセスできないのですが、新たな世界を教えて頂き非常に感謝しております。仕方なく、自ら全米図書協会のページを調べると、本書は2021年の禁書リクエストでベスト8位だそうです。 www.ala.org 本との出会い ALA(American Library Association)…

  • 文明は発展するも人類の本性は進歩なし!? 『歴史の大局を見渡す』著:ウィル・デュラント/アリエル・デュラント、訳:小巻靖子

    昨年2021年私が最も感動したと言っても過言ではない「PRINCIPLE」という作品で言及されており、結果私のウィッシュリストに入っていた本作。この度手に取ってみた次第です。 著者は夫婦で歴史学者・哲学者ということで、10巻にもわたる歴史書を記し、ピュリッツァー賞も受賞しているとのこと。本書はその筆者の大部にわたる代表作のエッセンスを、13のエッセイにまとめた歴史読み物。 本書で書かれているのは、歴史は繰り返す(正確には、類似の原因により類似の事象が生起する)とか、貧富の差が対立を生むとか、国家は自由を制限するとか、まさに『歴史の大局』の話。ある意味で新奇性があるわけでもなく、言い古されてきた…

  • 収録話数が多いなあ 『完訳カンタベリー物語(中)』著:チョーサー、訳:桝井迪夫

    上巻を読んでから少し間があきました。某ブログで「中英語で書かれた初の文学作品であり、中英語で書かれたという以外、内容には特に重要性はない」等のコメントを見たら、鵜呑みにしないまでも何となくそうなのかなー、と思ううちに次第に歩みが遅くなってしまいました。 上巻に続き中巻ではバース女房の話、托鉢僧の話、召喚吏の話、学僧の話、貿易商人の話、近習の物語、郷士の物語、医者の物語、免罪符売りの話、船長の話、尼僧院長の物語、トパス卿の話、メリベウスの物語の計13話を収録。 個々の話の印象は薄くなる デカメロンもそうでしたが、収録される話が多いと、個々の印象はどうしても薄れます。 妙な譬えですが、私、結構韓国…

  • 旅情をくすぐる2時間ドラマ的な|『クレオパトラの夢』恩田陸

    読んだ冊数を比較しても意味がない、と子供には散々言うくせに、ちょっと忙しくなって読了する冊数が少なくなると、何かこう、ちょっと数を稼ぎたくなります笑 で、気晴らしも兼ねて私の好きな恩田さんの作品をチョイスしてみました。 裏カバー あらすじ シリーズ第一作『MAZE』で非凡な才能を見せた神原恵弥。その彼が北国のH市を訪れた。不倫相手を追いかけていった双子の妹の和見を連れ戻すためだが、もう一つは重大な目的があった。それはH市と関係が有るらしい「クレオパトラ」と呼ばれるものの正体をつかむこと。人々の思惑や駆け引きが交錯する中、恵弥は何を知ったのか。粉雪舞う寒空に広がる、恩田陸の無限のイマジネーション…

  • 自らのライフスタイルを見直すきっかけに |『GO WILD 野生の体を取り戻せ!』著:ジョン・J・レイティ、リチャード・マニング 訳:野中香方子

    『無事これ名馬なり』・・・日々仕事に臨むに際し、体調・コンディションには気を付けています。 30歳そこそこで立て続けに手術・入院を繰り返したこともありますが、それよりも40過ぎに出会ったメンターからの影響が大きかった。 「残業しなければ8時間程度しかない業務時間で仕事をこなすのであれば、万全の体調・体制で始業時間からフルスロットルで仕事をするべし」 年下で当時30代半ばほどの年齢ながら老成した感のある彼には本当によく鍛えてもらいした。そして、その一環として渡されたのが著者の前作`『脳を鍛えるには運動しかない』でした。 lifewithbooks.hateblo.jp 以降、定期的にラインニング…

  • 超入門でも完全に理解できず・・・ 『はじめよう!統計学超入門』著:松原望

    高校で数学をあきらめた経験が尾を引いています。 金融業界で仕事をしていますと、証券分析や財務モデル・リスク分析等で数式も出てきますし、本棚に20年くらい積読してある(その間3度はトライし挫折した)アマルティア・センの本などにも数式が。あれを読み飛ばすうちに結局内容が分からなくなるのだ。 …ある程度の数式は理解したいという渇望が、こうした本への購買へ至らせました。 で、結論ですが、途中からやはりよくわからなくなりました。 語り口はとても優しい。三人の登場人物が会話をしながら進めるという形は、ややもすると中学生くらいへの導入本のようにも見えます。それくらいに丁寧です。 内容は、クロスセクション、相…

  • 業績評価の本かと思ったら、実践的なPDCAの本でした。 『最高の結果を出すKPIマネジメント』著:中尾隆一郎

    年度末、年度初めはちょっと憂鬱です。自己評価・自己査定をしなければならないからです。 シンプルに言えばやったことを淡々と書くだけで難しくはない。でも、自分のやったことがいかにすごいことか、とか、とても秀でた事なのだ、とでも言わんばかりに装飾(表現)するのはあまり好きではありません。まあ逆に、自分が大したこともせず、大した人間でもないということを自己評価を通じて認知してしまうのが怖く、認知的不協和に陥るゆえに憂鬱になっているだけかもしれませんが。 で、KPI。 私の拠点では、地域統括から業績評価されるモノサシとして拠点全体にKPIが示達されます。この出来によって拠点全体のボーナスプールが決定され…

  • これまで読んだアガサ作品で一番面白かった! 『FIVE LITTLE PIGS』著:AGATHA CHRISTIE

    近所の新古品を扱う本屋で5冊セットで買ったもの(確か日本円で2,500円程度)。こちらが最後に読んだ作品となります。 これまでアガサ・クリスティの作品を4冊読んできました。”MURDER OF THE ORIENT EXPRESS”, “THE ABC MURDERS”, “MURDER OF ROGER ACKROYD”, そして“EVIL UNDER THE SUN”です。そして、本作”FIVE LITTLE PIG” の5冊を読んだ中では、本作が間違いなく一番面白かったです。 あらすじ 16年前の父親Amyasの殺人の再調査を依頼してきたのは当時5歳であった娘Carla。21歳になったC…

  • 本家より面白い!? 『完訳カンタベリー物語(上)』著:チョーサー、訳:桝井迪夫

    昨年ボッカチオ『デカメロン』を読了し、中世文学に興味を持ちました。そして本『カンタベリー物語』は『デカメロン』を下地にしていると聞き、読んでみた次第です。 文庫本で3冊にわたる本作、上巻を読了した時点の感想は、本家デカメロンよりも読みやすい、と感じました。 本家は10人が1日1話、10日間話を披露するというものでしたが、本作はひとり1話のようです。で、セッティングはまあデカメロンと類似の形式で、ある宿屋で一緒になった身分も職業も違うものがカンタベリー寺院へ共に巡礼に出向く道すがらにそれぞれが語るというものです。 本上巻では序章と5つの話(騎士の話、粉屋の話、家扶(wikiでは親分と訳されていま…

  • 遺跡を巡るミステリー。舞台で演じたら映えそう。 |『MAZE』恩田陸

    遺跡。ロマンを感じます。今は廃墟となり朽ち行く壁際にそっと手を当てて、数百年前、いや数千年前にもそこに人が生を営んでいた。 …なんて考えるだけで少し興奮します。私は遺跡も古墳も行ったことははありませんが。 今回は遺跡を巡るミステリーを読んだ次第です。 あらすじ アジアの西の果て、荒野に立つ直方体の白い建物。一度中に入ると、戻れない人間が数多くいるらしい。その「人間消失のルール」を解明すべくやってきた男たちは、何を知りえたのか? めくるめく幻想と恐怖に包まれる長編ミステリー(裏表紙より) この謂わば「人喰い遺跡」をめぐり、西アジアの果ての人里離れた地域で大人4人がパーティーを組んで7日間を期限に…

  • 心洗われるとともに身に詰まされる本でした 『旧約聖書入門』著:三浦綾子

    わたしは短気である。 50も見えてきて恥ずかしいがすぐにキレる。1日2,3回…は言い過ぎだが、週に1,2回は切れているのではないだろうか。 キレる原因はたいていがメールやメッセンジャーだ。とにかく部外からのクソな依頼が多いのだ。あれせい、これせい、と。たいていが1, 2回仕事で絡んだことのあるシンガポール人だ。昔絡んだからちょっと依頼しちゃおっていう軽いノリで重い球を投げつける。一回電話してこいよ。英語しゃべれんだろ?俺担当違うから。 …仕方ないので、『私はお答えをする立場も権限もございません』とけんもほろろの返信をする。だってJD(Job Description)にもないしマジで専門外なこと…

  • 英語マジ難しいぃ!内容はモダンホラーで傑作 『COLD FIRE』著:DEAN KOONTZ

    モダンホラーとの出会いは中学生か高校生の頃。 当時の私は電車通学でしたが、毎日片道約90分の行程。大抵寝落ちするのですが、落ちるまでは大体読書というのが日課でした。そしてどういう経緯か、スティーブン・キングを読んで以来モダンホラーにはまり、本作者のクーンツ作品も漁るようにして読んでいたことを思い出します。 今回本作を取ったのは日本語より英語ができる娘の為でした。 ところが、与えてみたのに『これ、詰まんない』と1/6程度まで読み進めたところで軽くあきらめてくました。ということで、折角買ったのにもったいなかろうと父親が読んでみた次第です。 あらすじ 自分の才能にもジャーナリズム業界にも幻滅していた…

  • 赤の他人同士が支え合う個の時代の到来 |『52ヘルツのクジラたち』町田その子

    私、新刊は殆ど手に取りません。 基本お金がないので、出来れば十分に値が下がった後でブックオフで100円とか200円とかで買いたいというのが本音。安くなるまで待ち、時の洗礼を経てそれでも廃れない作品ならば読んでみよういうひねくれ者であります。 そんな私が新刊を、しかも新品で買ったのは、娘が『この本を読んでみたい』といい始めたからです。 小学生高学年の時、日本語のポップスを『色とりどりの~♪』と口ずさんでいる時、『色とりどりって意味わかる?』と聞くと、『私だってそれくらい分かるよ。鳥の種類でしょ』とドヤ顔で間違えたあなた。 日本語にも親しめるようにあの手この手を使ってきた甲斐がありました。くぅーっ…

  • 証券アナリストの何たるかを教える本 |『証券アナリストのための企業分析』著:徳増倎洪、阿部大輔、力丸洋

    もうかれこれ20年ほど前になりますが証券システムのSEをやっていた時に証券アナリストの資格試験の勉強を始めました。その際の標準テキストであったものを出来心で再読したものです。 内容は、証券アナリストとしての業務内容・具体的な分析事例などを概観するものです。いわゆる財務分析のさわり等も掲載されており、経営管理的な観点に興味がある方には参考になるかもしれません。 証券アナリストとはいったい何者か? 書きぶりに時代を感じる箇所が多々ありますが、証券アナリストという職業についての自己定義に呻吟しているなあ、との印象を受けました。 証券アナリストっていうのは、本来的には中長期的な企業価値分析が本分であり…

  • ボッティッチェリ画集 『BOTTICELLI』著:ISABELLA ASLTON

    中世イタリアの美術史をひも解けば必ず登場するボッティチェリ。本書はそんなボッティチェリの作品を集めたまさに『絵本』。 初めの10ページほどがボッティチェリとその作品についての小難しい説明。ルネサンス、新プラトン主義、メディチ家の庇護を受ける、生涯独身だった等々。 そこを飛ばせば、あとは彼の80に及ぶ作品が待っています。 そういえば近代の画家でいうと私はルソーという作家が好きなのですが、何となく雰囲気が似ている?感じを受けました。ルソーはキモカワ?的雰囲気ですが、そういうところではなく、表情の薄さやフラットな雰囲気?がぱっと見似ているかなと。 www.artpedia.asia (そういいつつ、…

  • マグナ・カルタ成立の過程と当時の庶民文化を描く ― 『REALM DIVIDED』著:DAN JONES

    一言で言うと 本編は英国のみならず世界の法制度に影響を与えたマグナ・カルタ成立前後の約4年ほどを描く歴史ノンフィクション作品。 同筆者の作品でその名も『Magna Carta』というものがあり、本書とは内容の多くが被っています。『Magna Carta』ではプランタジネット朝より前、ノルマン・コンクエスト以来の英国の内戦の様子から、マグナ・カルタ成立の背景や内容、そしてその後への影響などが中心にそえられています。 lifewithbooks.hateblo.jp では本編の特徴というと、中世英国の庶民の生活や文化史的な観点の内容が中心の一つであることです。もちろん、中心はジョン失地王と貴族との…

  • 収益管理までもを展望するリスクマネジメント |『金融工学とリスクマネジメント』著:吉藤茂

    何のかのと忙しくしているうちに、読了してから大分時間がたってしまいました。おぼろげながらの記憶を頼りに記録を残しておこうと思います。 リスク。奥深い世界です。直訳すれば危険。単なる危ないこと?そんなことはありません。 リスクがないとリターンもない、などという表現も一般によく使われるようになってきました。リスクというのは、マイナス方向のベクトルだけではなく、マイナスにもプラスにもブレる『幅』に近い概念だということは理解されつつあると思います。 ただしやはり、金融業界で使うリスク管理とは非常に専門的な領域であると思います。私のような所謂私大文系型の方ですと、本書表紙にあるような数式を見るだけで軽い…

  • オルタナティブ情報として有用 |『視力を失わない生き方』著:深作秀春

    こういう本を読んでいるとジジ臭い感じがしますね(ジジイに近づきつつあるので仕方がない)。30歳を過ぎて網膜剥離にかかり手術、50近くになり周囲の同年代に等しく私にも老眼が訪れつつあります。海外にいて言葉が不自由である中で病気に対応するためには先んじて学ぶ、これしかないというのが本音です。 で本作ですが、曰く評価しづらい。 いや、私は信じますし、次にかかるのならこの病院に行こうかと本気で考えています(幸い今のところ目に異常はありませんが)。 ただ全般的には筆者の華麗な経験や趣味の絵画の話(多摩美の院卒!)などが自慢気に聞こえ鼻につきそうな内容となっております。 それが気にならなければ面白く読める…

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