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化学徒の備忘録 https://www.syero-chem.com/

化学に関することを記事にしています。大学レベルの内容が多いですが、高校や中学レベルの内容もあります。また化学であれば、無機化学、有機化学、生物化学、分析化学、物理化学、量子化学、電気化学など幅広い分野の内容の記事を書いています。

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2019/06/05

1件〜100件

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  • 【Writefull】英語論文のアカデミックな言い換え・書き換えの便利サイト

    Writefull 学術論文を執筆する際は、ほぼ間違いなく英語で執筆するのが、現在の主流です。 ただ、英語で文章を書くのは、慣れてないとなかなか大変です。他の論文の英文を借用しようとする人もいますが、きちんと単語や文章を変えて借用しないと、盗用や剽窃などの機械的なチェックで引っかかってしまい、それが原因で、論文が査読までまわしてもらえないというケースも想定できます。 ただし、最近は、Google翻訳やDeepLなどの言語も翻訳も充実はしてきましたので、とりあえず英語の文章を作るまでは、比較的どうにかなります。 ここでは、その次の英語の文章の英語の単語を類語を調べて適切な単語を探したり、英文をア…

  • あなたの大学に論文が引用された回数のトップ層は何人いますか?

    毎年、ClarivateからHigly Cited Researchers (直訳すると、高被引用論文著者)が発表されています。2022年の報告についても発表がされています。 被引用回数についての解説 被引用について、詳しくない方に説明しますと、科学では最新の研究成果を論文として発表します。この時、どこまでが自分の新しい研究成果で、どこまでは他の人の研究成果や、アイデアなどで影響を受けているかを、ハッキリさせる必要があります。 そのために、論文の形式として、過去に出版された論文を引用して、その研究分野の背景や、他の研究者の結果や知見を示したうえで、自分の研究のどこに新規性があるかを、示します。…

  • 【分析化学】ケルダール分析:タンパク質の定量方法の解説

    ケルダール分析とは ケルダール分析は、ドイツの化学者ケルダールが開発した、タンパク質分析の方法の1つである。 ケルダール分析は、タンパク質などの窒素含有化合物に含まれる窒素を正確に分析する方法である。タンパク質中の窒素含有率からタンパク質の定量を行う。 タンパク質の定量には、ケルダール分析以外の手法もあるが、ケルダール分析はさまざまな分析対象に対する標準法となり、他の多くの分析法もケルダール分析に基づいていることが多い。 ケルダール分析では、硫酸で試料を分解し、試料中の窒素を硫酸水素アンモニウムに変換する。化学式で表すと、以下のようになる。 溶液を冷却した後、濃アルカリを加えて溶液を塩基性にす…

  • 【分析化学】化学平衡と電解質効果、その性質の解説

    モル平衡濃度 化学平衡は、化学平衡の法則や質量作用の法則によって考えていくことができる。さらに、活量でより詳細に考えることができる。 しかしながら、溶質であれば、モル濃度で簡易的に代用することができる。 以下のような化学平衡を考える。 ここで、モル濃度平衡定数を考える。モル濃度平衡定数は、温度、共存物質の組成などによって変化する。これを式で表すと次のようになる。 化学平衡と電解質効果 実際に水溶液中の化学平衡の一例である酢酸の解離反応を考える。 反応式は以下のようになる。 モル濃度を用いた化学平衡の式は次のようになる。 ここに例えばNaClなどを溶液に加え、共存する電解質の濃度を変化させてモル…

  • 【理系就活】2025年に求められるスキルと修士・博士課程の過ごし方

    2025年版 トップ10スキル 少し古い話ですが、2020年10月に世界経済フォーラムで発表された主にビジネスパーソンに2025年に求められるトップ10スキルの内容を、どこかで目にした方は多いのではないでしょうか。 そのスキルの内容は以下の10種です。 引用 World Economic Forum 人によって、多少は捉え方が違うかもしれませんが、日本語にすると、だいたい以下のような感じです。 分析的思考力とイノベーション(革新) アクティブラーニング(主体的学習)と学習戦略 複雑な問題の解決能力 クリティカルシンキング(論理的・批判的思考力)と分析力 クリエイティビティ(創造性)・独創性・問…

  • 男子理系学生は大学教員になる進路は諦めよ!!

    大学関連のニュースを目にする方は、最近は、東京大学の女性教員300人採用計画のような、女性教員の採用を加速させる取り組みのニュースを目にした方もいるのではないかと思います。 まずは現状を整理しましょう。 2022年現在、大学では女性研究者や女性教員の割合を増加させる取り組みが行われています。男性、女性が共に、その能力を最大限発揮できる環境を整えていくことは、様々な社会問題の解決のためにも必要な課題でしょう。 そもそも、大学の理系の学部に通ったことのある学生は、同じ学部や学科の男女比率だったり、教員の男女比率などから、なんとなく分かっているように、基本的に多くの理系分野は男性の割合が多いのも事実…

  • 【分析化学】過マンガン酸カリウム滴定とCODの測定

    過マンガン酸カリウム滴定法 過マンガン酸カリウム滴定法は、頻繁に用いられる滴定法の1つである。 過マンガン酸カリウム滴定法の利点の1つは、終点の検出に指示薬がいらないことである。過マンガン酸カリウム標準溶液は、それ自体がMnO4-の赤紫色をしており、当量点前は、MnO4-が全て消費されて、Mn2+となるため、無色になる。実際にはMn2+は非常に淡いピンク色をしているが、吸光係数が低いため、ほぼ無色に見える。一方で、当量点を過ぎるとMnO4-の色が残ることで、溶液が淡いピンク色になるため、終点が求められる。MnO4-の半反応式は以下のようになる。 過マンガン酸カリウム滴定とCOD測定 過マンガン…

  • 博士号は足の裏の米粒ってイヤミなの?

    大学などで研究を行い、論文を執筆し、1st author(第一著者)の論文を2報や3報とacceptまで準備し、さらに博士論文の執筆や、海外ではDefense(ディフェンス)とも呼ばれる審査会や公聴会をやり遂げて得ることのできる資格が博士号です。 修士課程などの大学院に進学した経験のある人であれば、この大変さは少しは想像ができると思います。 一方で「博士号は足の裏の米粒」って言葉聞いたことはありますか? おそらく日本では数十年前から言われているであろう例えです。意味は人によって多少異なりますが、大きく以下の2つです。 とらないと気になる とっても食えない とらないと気になる 特に修士号をもって…

  • 【理系研究発表】卒論発表のスライド例とポイントをわかりやすく解説

    大学の理系の学部4年生は1年間程度研究室に配属され、卒業研究を行い、卒業論文を執筆し、その内容を審査する教員の前で発表することが多いと思います。 この記事では、参考文献のnature communicationに発表されている論文を題材に使用して、卒論発表(研究発表)のスライド例と、意図やポイントを解説します。 ここでは、卒業論文を提出した学生が、その内容について10分間で発表し、5分間質疑応答を行うという設定でスライドを作成しました。 また、本記事で使用した論文にはCC BY 4.0のライセンスが付与されています。 タイトルスライド 研究背景 研究目的 実験内容、結果と考察 結論スライド 謝…

  • ゼミで質問が思いつかないときは"なぜ"を活用するといい3つの理由

    この記事は研究室やゼミに配属されて日が浅い学生を主な対象にしています。 大学で研究室に配属されると、順番に発表者が教科書の一部の担当部分や最近の論文、本人の研究の進捗などを発表するゼミやセミナーなどが実施されていることが多いです。 発表者が内容を文章にまとめたりや発表内容を動画に撮影して共有したほうが、大勢のメンバーの都合を合わせやすいはずですが、あえて研究室のメンバーが集まってゼミやセミナーを行う理由の一つは、その場で質疑応答をすることで、発表者とやり取りを行うことでお互いに理解を深められたり、議論をすることができるからだと思います。 せっかくのゼミやセミナーの場で、一回も質問をしなかったり…

  • 【分析化学】分配平衡・分配係数・分配比と抽出

    分配平衡・分配係数・分配比 分配について考えるために、物質が溶媒に溶けることについて考える。 塩や極性分子は水によく溶ける。一方で、無極性の有機分子は水に溶けにくい。 反対に、ベンゼンのような無極性の有機溶媒には、塩や極性分子は溶けにくいが、無極性分子はよく溶ける。 そして、水と無極性の有機溶媒は、水と油を混ぜたときのように、お互いに混じりあわず2相を形成する。 溶質Sが溶けている水溶液に、水とは混じりあわないヘキサンを加えて、充分に振り混ぜた後に静置する。こうしたとき、溶質Sの一部は水相にとどまるが、一部はヘキサン相にも溶ける。このときの、溶ける割合は、その溶質の性質よって大きく異なる。 溶…

  • 【分析化学】錯滴定の原理と最適な試薬の条件

    錯滴定の原理 錯生成反応を利用することで、金属イオンを滴定する方法を錯滴定という。 特にキレート試薬を用いるキレート滴定は一般に広く知られており、その中でもエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を用いるEDTA滴定はよく知られている。 ただし、全ての錯生成反応が錯滴定に適しているわけではない。錯滴定に用いりやすい錯生成反応としては、以下のような条件を満たすものが挙げられる。 金属イオンと滴定試薬が1:1の錯体を形成する 錯滴定に対して、充分に大きい錯生成定数をもっている 錯生成の反応速度が充分に大きい 反応速度が大きいものが錯滴定に適している理由は、反応速度が小さい場合は、滴定に長い時間が必要にな…

  • 【そのD進、ちょっと待った!】学振DC不採択者へのメッセージがTwitterで話題に!

    そのD進、ちょっと待った! いわゆる学振の結果が出たタイミングで博士課程への進学(D進)について、学振に不採択だった学生へのメッセージが話題になっているので紹介します。 ※記事内容は特に学振(DC)不採択者にとって、酷な内容となっている可能性があります。苦手な方や精神的な面で不調な方は読まないことを、おすすめいたします。 tweet内容 連投tweetになっているため、以下にまとめて引用します。元のtweetは記事下の参考リンクからご確認ください。 【そのD進、ちょっと待った!】学振の話題でTLが賑わってますね。通った人は素直におめでとう。ただ、7~8割近くの人間は落ちるのでそういう人たちに向…

  • 【学会発表】研究発表ポスター製作の時の8つのポイント

    初めての学会発表は、まずはポスター発表と促される学生も多いのではないでしょうか? 一般的に、プレゼンテーションソフトを用いる口頭発表と比べると、ポスター発表の方が、発表件数も多く、敷居が低い傾向があります。この記事では、ポスター製作するときに気を付けたい8つのポイントを紹介します。 1. 盛りすぎない 研究をするといろいろな実験を行い、その解析データなども膨大になるでしょう。グラフを少し小さくし、文字も小さくすれば、一枚のポスターにかなり多くの情報を盛り込むことができます。でも、その情報がいっぱいのポスターは果たして分かりやすいポスターになっているでしょうか? ポスターを作り始める前には、手元…

  • データから見る、"化学の研究は化学の分野でしか利用されていない"のか?

    例えば、触媒の開発の研究を行うとき、触媒分野の論文だけを読んで、参考にしながら研究を進めていくのでしょうか? 実際は、ほとんどの研究者は違う分野の論文も読みながら、研究を進めることでしょう。 例えば、高効率、高耐久な排ガス触媒の開発を行うとしたとき、触媒材料として合金に着目したとします。そうすると、触媒としての研究はされていないが、合金として研究がされている材料分野の論文を読んで、触媒の合成方法を検討する参考にするかもしれません。 触媒の耐久性が低い原因を探るために、反応中、もしくは反応後の触媒の状態を分析しようとするかもしれません。このときは、分析方法を検討するために、分析化学分野の論文を参…

  • 企業の新規採用研究職における博士号保持者の割合は減少傾向が続く

    2022年8月に公開された科学技術指標2022の結果から、メディアを中心に日本の科学技術力の低下が話題になっています。 学生にとっては、論文数やTop1%論文数と同じくらい、以下のデータも気になる人がいるのではないでしょうか? 引用文献より引用 企業の新規採用研究者(研究職)のうちの、博士号取得者の推移を示したデータです。単純に人数を見ても、新規採用研究者のうち博士号取得者の人数は製造業で前年比-16.3%、非製造業で前年比-12.6%と一割以上減少しています。 さらに採用者のうちの博士号取得者の割合も、2019年前後を境に、2021年はほぼ全分野で減少傾向が続いていることがわかります。 例外…

  • 【有機化学】二分子求核置換反応(SN2反応)

    二分子求核置換反応(SN2反応) ハロアルカンの炭素-ハロゲン結合は、炭素原子とハロゲン原子の電気陰性度の差によって、大きく分極している。 炭素原子は正に帯電しているため、孤立電子対をもっている求核剤と反応することで新しい結合が生成する。 ハロゲン原子は負に帯電しているため、結合電子を取り込むことで、炭素-ハロゲン結合が開裂し、ハロゲン化物イオンが生成する。 この反応は、全体で見ると、ハロゲンと求核剤が置き換わるため、求核置換反応と呼ばれる。 ここでは求核置換反応の中でも、二分子求核置換反応(SN2反応)といわれる反応について説明する。SN2反応のSは置換(substitution)のS、Nは…

  • 研究の申請書が"新規性"だけではダメなワケ

    研究を行ううえで、研究費や予算を獲得するために、申請書を書くいたり、プレゼンをすることがあります。こういった場合には、その研究内容を申請書にまとめたり、研究内容をプレゼンテーションすることでしょう。 このとき研究テーマは、これまで研究されたことのない内容、つまり新規性をアピールすることは、よく行われることです。たしかに、これまで研究された内容と同じことを研究することは、新たに発見できることがあまり無いと思われるため、研究されることはほとんどありません。 しかし、研究費や研究予算を獲得するためには、それ以外にも考える必要があることがあります。 それは、シンプルに言うと、新たな価値が生み出されるこ…

  • 【放射化学】核反応に関わる粒子の種類・核反応式

    核反応に関わる粒子の種類 核反応には多くの粒子が関わります。 最も一般的なものは、図1に示すように、陽子、中性子、アルファ粒子、ベータ粒子、陽電子、ガンマ線です。陽子(、とも表される)と中性子()は原子核の構成要素です。 アルファ粒子(、で表される)は、高エネルギーのヘリウム原子核です。 ベータ粒子(、で表される)は高エネルギーの電子で、ガンマ線は非常に高エネルギーの電磁波の光子です。 陽電子(、とも表される)は正電荷の電子(反電子)です。 図1 参考文献より改変 陽電子は、電荷が反対であることを除けば、電子と全く同じです。 陽電子は反物質の最も一般的な例で、質量は同じだが別の性質(例えば電荷…

  • 【放射化学】概要・原子核結合エネルギー・質量欠損・原子核の安定性の解説

    原子核の化学 放射線や核に関する化学は、1896年にフランスの物理学者アントワーヌ・ベクレルが発見した放射能に始まります。その後、20世紀から21世紀にかけてエネルギー、医療、地質など様々な技術の基礎となりました。 原子の原子核は陽子とを除く中性子で構成されています。 よく、原子核に含まれる陽子の数をその元素の原子番号(Z)、陽子の数と中性子の数の和を質量数(A)といいます。原子番号が同じで質量数が異なる原子は、同じ元素の同位体といわれます。 1種類の原子核を指す場合、核種という言葉を使うことが多く、Xは元素記号、Aは質量数、Zは原子番号(例えば)であるという表記がされます。 多くの場合、核種…

  • 有機金属構造体(MOF)の合成方法の概要

    有機金属構造体 MOF (Metal-Oraganic framework) 有機金属構造体(MOF, Metal-Oraganic framework)は、ここ30年ほどの間、材料分野で注目されている材料の1つです。 MOFは分子サイズで見ると、穴(細孔)を有しており、金属と有機配位子の組み合わせによって細孔のサイズや形状、物性などコントロールできることや合成後に官能基などを導入することができることから、ガスの貯蔵、ガスの分離、触媒などへの応用が期待されています。さらに、近年では生物や医学分野への応用なども研究が行われています。 その用途に応じて、MOFも結晶の大きさや結晶の形状、薄膜や膜な…

  • 冷やした果物がおいしい理由・ぬるい清涼飲料水が美味しくない理由

    糖と温度の関係 甘さを感じる主成分は糖である。 フルクトースは最も甘い糖のうちの1つであり、グルコースと比べると約2倍甘いと言われており、スクロースよりも甘い。 このフルクトースは、熱すると甘味が減少する。これは低温では甘味を強く感じるピラノース型のフルクトースとなるが、高温では甘味を弱く感じるフラノース型のフルクトースに変化するためである。 このため、フルクトースが多く含まれている果物などは冷やしたほうが甘く、おいしく感じる。 また清涼飲料水の甘味料として用いられるコーンシロップにもフルクトースが含まれているため、温めた清涼飲料水は甘味が弱く感じられることがある。そのため、ぬるい清涼飲料水が…

  • 【物理化学】理想気体の混合の各変化

    理想気体の混合の変化 2つの系に入ったmolの気体Aとmolの気体Bの混合を考える。 ここでどちらの系も温度、圧力であるとする。ここでは気体を理想気体とする。 ここでは混合前を、混合後をで表す。 混合前の状態では、それぞれの気体の化学ポテンシャルは以下のように表される。 ただし標準圧力としている。 混合後のそれぞれの成分の分圧を、とすると化学ポテンシャルは次のようになる。 混合後の全圧はである。 混合のギブズエネルギーの変化 混合前の系のギブズエネルギーを、混合後の系のギブズエネルギーをとすると次のようになる。 よって混合のギブズエネルギーの変化は次のようになる。 理想気体の混合は自発的に進行…

  • 【物理化学】ギブズ-デュエムの式:示強性変数の変化に関する式

    ギブズ-デュエムの式(ギブス・デュエムの式) 2成分の混合物のギブズエネルギーは以下の式で与えられる。 この全微分は以下のようになる。 この式を次の多成分系のギブズエネルギーの全微分式と比較する。 このようにして次のギブズ-デュエム式(Gibbs-Duhem式)を導出することができる。 ギブズ-デュエムの式は、1つの示強性変数の変化は、残りの3つの変数の変化によって決定されるということを意味している。つまり、これはすべての示強性変数のうち1つは従属であるということもある。 温度と圧力が一定である場合には、次のようになる。 これは、部分モル体積、部分モルエンタルピー、部分モルエントロピーなどの他…

  • 【物理化学】化学ポテンシャル(部分モルギブズエネルギー)

    化学ポテンシャル(部分モルギブスエネルギー) 部分モル量は、体積以外の示量性の状態量について定義することができる。 溶液を構成する物質については成分の部分モルギブスエネルギーは、その成分の化学ポテンシャルとして以下のように定義することができる。 つまり化学ポテンシャルは温度、圧力、以外の成分の物質量を一定とした溶液に成分を微少量加えた場合のギブズエネルギーの変化である。 一般的に、独立変数として温度と圧力を用いた場合が便利であることが多いため、上の式で定義された化学ポテンシャルを用いることが多い。 一定温度、一定圧力にある2成分系溶液に対しては、以下の関係が成り立つ。 これを多成分系に一般化す…

  • 【物理化学】部分モル体積の求め方の図的方法

    部分モル体積の求め方 部分モル体積の求め方として、図的方法といわれるものがある。 ここでは、2成分系の場合について考える。この時、平均モル体積は以下の式で求めることができる。 は全体積である。とは成分AおよびBの物質量 (mol)である。とは成分AおよびBのモル質量である。とは成分AおよびBのモル分率である。 そこで、溶液の密度の測定から決定して、モル分率に対して図を書くと下のようになる。この曲線に対して、任意のモル分率に引いた接線がとでの縦軸と交わる切片から、それぞれの成分AとBの部分モル体積とが決定できる。 ここで下の関係が成り立つ。 このことから、次の関係が成り立つ。 この上の式を下の式…

  • 【分析化学】難溶性固体の溶解度積と共通イオン効果・異種イオン効果

    難溶性の塩と共通イオン効果 難溶性の塩の場合、溶解平衡は以下の式の左側に非常に大きく偏った溶解平衡と考えることができる。 難溶性の塩の溶解度積はとすると、以下のように取り扱うことができる。 溶解度積は、それぞれのイオンの濃度が変化した場合でも一定である。つまり、溶解度積が大きな別の塩MYを添加することで、の濃度を増加させた場合、の溶解度は次の式で表されるに減少することになる。 このことからわかることは、難溶性の塩から生じるイオンと共通のイオンを加えると、難溶性の塩の溶解度は減少するということである。 このことを共通イオン効果という。 異種イオン効果 難溶性の塩が存在する溶液に、共通イオンがでな…

  • 【化学ニュース】Ca-Sn合金二次電池の充放電時の電極の構造変化が解明

    カルシウム(Ca)二次電池は、理論エネルギー密度が高い、安全性が高い、原料である天然資源が豊富であるといった点から、ポスト・リチウムイオン電池として注目されている。しかしながら、実用化には課題が残っており、今も研究が世界中で行われている。 今回紹介する論文は、カルシウムイオン電池の実用化に向けて、図1のようなCa-Sn合金を用いた二次電池について報告している。 図1:電池の概要図出典:参考文献 カルシウムイオン電池とその課題 リチウムイオン電池は世界中で用いられているが、コバルトやニッケル、リチウムといった原材料の長期的な確保には課題があり、リチウムイオン電池に替わる電池についても多くの研究が…

  • 【電池用語】ハーフセルとフルセル:リチウムイオン電池の用語解説

    ハーフセルとフルセル リチウムイオン電池やポスト・リチウムイオン電池の研究開発において、ハーフセルとフルセルが使われる。 ハーフセルは正極や負極にLiなどを用いたセル(電池)である。 フルセルは正極と負極の両方に通常の電極材料が用いられているセルである。 ハーフセルを用いる理由 リチウムイオン電池やリチウムイオン電池に替わる次世代のリチウムイオン電池(ポスト ・リチウムイオン電池)の研究開発では、電極の材料などを開発し、その電池としての充放電特性などの性能を評価することが多い。 このとき、電極の材料は正極のみを開発したり、負極のみを開発するという研究が行われることも多い。例えば正極のみの性能を…

  • 【物理化学】ギブズの相律と自由度・ギブズの相律の導出

    自由度 物理化学や熱力学において、系の状態は温度、圧力、モル分率などの組成などの示強性変数によって決定される。こういった変数の中で、系の状態を決定するために自由に(独立に)定めることのできる示強性変数の数を自由度という。 ギブズの相律の導出 ここで個の成分を含む系において、個の相が共存しており、平衡状態にある場合を考える。 このとき、各相()は個の成分を含んでいる。そのため、各相の組成(例えばモル分率など)はである。よって()個のモル分率を指定する必要があるということになる。 つまり、各相の状態は、これに温度と圧力の合計2を加えた、()個の示強性変数によって決定することができる。ここで相の数が…

  • 【分析化学】緩衝液と緩衝作用・緩衝液のpHの一般式

    緩衝液と緩衝作用 溶液に酸や塩基を加えたり、溶液を薄めても、pHが大きく変化しない溶液を緩衝液という。 そして緩衝液によるpHを一定に保つはたらきのことを緩衝作用という。 緩衝液は弱酸とその共役塩基、もしくは弱塩基とその共役酸の混合溶液である。 緩衝液のpHの一般式(計算式) よくある例として、酢酸(HA)と酢酸ナトリウム(BA)の混合溶液、つまり酢酸と酢酸ナトリウムの緩衝液について考える。(Aは酸acidのA、Bは塩基baseのBである) このとき緩衝液では、以下の平衡が成り立っている。 そして、酢酸()も酢酸イオン()も多く存在している。 ここで、酢酸の総濃度を、酢酸ナトリウムの総濃度をと…

  • 【化学ニュース】Ni触媒による鈴木クロスカップリングによって有機フッ素化合物の合成が報告

    ここ数十年で、フッ素を含む分子は薬として利用されるようになっており、その割合は全体の30%以上になっている。特に、gem-ジフルオロメチル類のような有機フッ素化合物は、薬効作用から薬に用いられる化合物として注目されている。 図1の(a)に紹介されているように、フッ素含有有機化合物は様々な薬効がある。 今回は、ニッケル触媒を用いてフッ素含有化合物の一種であるアリールジフルオロメチルアリールエーテルを簡単かつ効率的に合成する方法が報告された。 これまでの合成方法の変遷 図1 (a)薬効作用のあるフッ素化合物 (b)これまでの合成方法の変遷出典:参考文献 アルキルジフルオロメチルアリールやアルキルジ…

  • 【分析化学】電解質の溶解の水の比誘電率とイオンの水和の影響

    水が電解質を溶かす理由 水が電解質を溶かす理由については、未解明な点もあるが、水の大きな誘電率とイオンの水和が主な要因であると考えられている。 比誘電率の効果 距離((m))離れた電荷、と(C)の間に働く力(N)はクーロンの法則で考えることができる。 は真空の誘電率、は比誘電率であり、電荷がおかれた媒体の性質によって決定する無次元の定数である。 大きな比誘電率をもつ媒体におかれた電荷間に働く力はクーロンの法則に従う。そのため働く力は比誘電率の値の反比例する。一方で、水は大きな比誘電率をもつ液体である。よって、水の中に存在する電荷間に働く力は、他の溶媒と比べると小さくなる。 ここで塩の溶解につい…

  • 【化学ニュース】水へ塩素と紫外線の処理で有害な物質の生成が促進される可能性

    有害性が危険視されているハロベンゾキノン類 ハロベンゾキノン類(HBQs)は水の消毒の副生成物として、飲料水やプールから検出されることが最近報告されている。さらに、ハロベンゾキノンは毒性が高く、ハロベンゾキノン類は、現在規制がかかっているトリハロメタン(THM)などの前駆体でもある。このトリハロメタンは公衆衛生や環境に高いリスクをもたらすことで知られている。 引用:https://phys.org/news/2022-07-exploring-adding-uv-treatment-chlorination.html?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter …

  • セリワノフ反応(アルドースとケトースの識別テスト)と反応機構について

    セリワノフ反応 セリワノフ反応 (Seliwanoff's test or Seliwanoff's reaction) はケトースとアルドースを識別する呈色反応である。 セリワノフはロシアの化学者 Feodor Feodorovich Selivanovに由来している。 糖のうち、ケトン基を含む糖はケトースであり、アルデヒド基を含む糖はアルドースである。セリワノフ反応を用いた試験では、試料にレソルシノールと塩酸を加え、湯浴上で加熱すると、多糖類やオリゴ糖のケトース酸で加水分解され、より単純な糖となる。この糖を加熱したときにケトースはアルドースよりも急速に脱水しフルフラール誘導体 (5-ヒドロ…

  • 【分析化学】測容ガラス器具(メスフラスコ・ホールピペット・ビュレット)

    試薬を実験に用いる際や、未知試料の分析を行う際には、正確な濃度の測定が重要となる。この決まった濃度の溶液を調製するために、欠かせないものが測容ガラス器具である。ここでは、精密な測容器であるメスフラスコ、ホールピペット、ビュレットについて解説する メスシリンダーや駒込ピペットは簡単に使用することができるため、便利であるが、測容器としては精度が低いため、定量分析を行う際の溶液の正確は調製には使用されない。 メスフラスコ(全量フラスコ) メスフラスコは、一定の濃度の溶液を調製する際や、試料溶液を正確に希釈する際に用いられる。一般的には、10 mL ~100 mL程度のものが使用されることが多いが、サ…

  • 物質波と電子波とドブロイの関係式

    物質波 ミクロな視点では、電子のような粒子が波の性質をもつ。 アインシュタインの相対性理論によると、エネルギーと運動量の間には次の関係が成り立つ。 ここでは質量、は光の速さ、は運動量である。 光子の場合は、となるため、となる。 そこでとを用いると、光子の運動量は次のような式が成り立つと考えられる。 この式が成り立つことは、コンプトンが電子がX線の光子によって散乱されるコンプトン効果を観察し、確かめられている。 さらに上の式を書き換えると次のようになる。 つまり粒子に関する運動量と波動に関する波長の積は量子に関する値であるプランク定数となる。 ド・ブロイの関係式 ドブロイは電磁波が光子としての粒…

  • 1eVのエネルギーをもつ光子の波長は何nmか?

    1eVのエネルギーをもつ光子の波長は何 nmとなるか? まずは 1eV J となります。 次に の式を用いることによって計算することができます。 は振動数、は波長、は光の速度、はプランク定数です。 nm となり1240 nmと求めることができます。

  • 【量子化学基礎】エネルギー遷移とボーアの振動数条件

    基底状態と励起状態 水素原子のスペクトルを観測すると、飛び飛びの波長のスペクトル線が観測される。これは、原子のエネルギー準位によって考えることができる。 エネルギー準位のうち、量子数の状態はエネルギーが最低の状態である。これを基底状態という。 基底状態より高いエネルギーの状態は、励起状態という。のときのエネルギーは0になる。 このの状態は、電子が原子核の引力を受けない無限に遠くに離れている状態であり、位置エネルギーと運動エネルギーが両方とも0となっている状態である。 エネルギーが0以上の状態は、電子が原子から離れているということを意味し、イオン化した状態でもある。 基底状態の原子から電子を取り…

  • 【量子化学基礎】ボーアの原子模型とボーア半径(電子の円運動の軌道半径)

    ボーアの原子模型 ボーアは1913年に原子模型(ボーアの原子模型)を提案した。 ボーアは水素原子のスペクトル線の波長が飛び飛びの値で観測されることから、原子の構造を解明しようとした。このとき、ボーアが着目した原子模型は1911年にラザフォードが提案した原子模型である。ラザフォードは、放射線の一つのα線が金箔に衝突し、散乱されるときに、α線が来た方向に跳ね返される現象に着目し、正電荷をもつα線が跳ね返される理由は、原子の中心に正の電荷もつ原子核が存在しているためであると考えた。一方で負の電荷をもつ電子は、太陽に対する惑星のように、原子核の周りを回っているため、α線の散乱には、ほとんど関係していな…

  • 水素のスペクトル線とバルマー系列

    水素原子のスペクトル線 水素ガスを入れた放電管に高電圧をかけると、放電して光が放出される。この光を分光器で波長毎に分けると、飛び飛びの波長のスペクトル線となっていることが観測される。これは、水素原子のスペクトル線であり、この波長は以下の式によって、求めることができる。 この式はバルマーが発見した式を、リュードベリが一般化したスペクトル式である。 とは各スペクトル線に割り当てられる整数である。はリュードベリ定数といわれ、である。 水素のスペクトル線はバルマー系列といわれ、、に相当する4本の線が可視光線の領域に観測される。さらに紫外領域まで含めると、が7以上に対応する線も観察され、は∞まで続く。 …

  • 1eV (電子ボルト)について

    1eV (電子ボルト) 1eV (電子ボルト) は、電子1個分の電気量をもつ電荷を1V(ボルト)だけ電圧 (電位差) の高いところへ移すために必要な仕事 (エネルギー) である。 電子が関連するエネルギーには単位にeVが用いられる場合が多い。 具体的には、電子1個が1Vの電位の上昇で増加する位置エネルギーは1eVということになる。また、静止している電子に1Vの電圧をかけて加速する場合、電子が獲得する運動エネルギーも1eVとなる。

  • 【量子化学基礎】光電効果と仕事関数・光量子説

    光電効果 光(電磁波)が物質に当たったとき、物質から電子が飛び出る現象を光電効果という。またこのとき飛び出した電子は光電子という。 光電効果を起こす限界となる波長を限界波長という。限界波長に対応する振動数を限界振動数という。この限界波長や限界振動数は物質の種類に依存する。限界波長はアルカリ金属やアルカリ土類金属とその合金では可視光線の領域にあるが、他の多くの物質では紫外線の領域となる。 限界振動数は光電管につないだ電気回路に流れる電流(光電流)を調べると、求めることができる。光電子を出す電極(陰極)と光電子を受け取る電極(陽極)の間に負の電圧をかけ、その電圧を徐々に大きくしていくと、ある大きさ…

  • 【量子化学基礎】エネルギー量子と電磁波の基本式

    エネルギー量子 プランクは、熱放射のスペクトルと温度について研究を行い、電磁波(光)が物質に出入りするときのエネルギーの受け渡しの大きさが光の振動数に比例する、飛び飛びの値しか許されないと仮定すると、実験結果と一致することを発見した。つまり、エネルギーは、どんな値でもとることができるわけではなく、振動数に比例するエネルギーの整数倍に一致する値だけをとることができる。 これを式にすると次のようになる。 ここで、は整数、はプランク定数である、プランク定数の値はである。 は振動数の光に関係したエネルギーの粒と考えることができる。こののことをプランクのエネルギー量子ということがある。 電磁波の基本式 …

  • 熱放射・キルヒホフの法則・ウィーンの変位則・シュテファンの法則

    熱放射と3つの特徴 熱くなった物質が出す電磁波(光)は熱放射といわれる。この熱放射には3つの特徴がある。 1. 熱放射のスペクトルの形は温度のみで決まる。そのため、物質の種類によらない。これをキルヒホフの法則という。 2. 熱放射のスペクトルの最大値を与える波長と絶対温度の積の値は、ほぼ一定となる。 つまり一定 これはウィーンの変位則といわれる。 この関係式を用いることによって、右辺の定数を決めておくと、温度系を使わなくても、スペクトルを測定し、を求めることによって、温度を求めることができる。 3. 熱放射で放出されるエネルギーは、絶対温度の4乗に比例する。これをシュテファンの法則という。その…

  • 【論文紹介】MOFに関する論文に多数のデータの使い回しの疑い

    結晶学に関する論文で800報以上の論文で、架空の金属有機構造体(Metal-Organic Frameworks, MOF)や、架空のMOFの医療分野への応用についての論文が出版されている可能性について、指摘している論文を紹介します。 doi.org 研究職やアカデミックポストを目指す研究者にとって、学術論文の投稿と出版が、研究者の能力の指標の一つとなっています。そこで論文を出版するために、必要なデータの捏造や悪意のあるデータの加工などを行って、論文を投稿し、そういった論文が出版されるという事件が、残念ながら日本の研究室からも何度も起こっています。また、論文の著者が論文の原稿を執筆するというこ…

  • 【錯体化学】配位子場遷移と電荷移動遷移・分光化学系列

    配位子場遷移と電荷移動遷移 遷移金属錯体は特有の色を示すものも多い。そのため、可視吸収スペクトルなどを測定すると、可視領域に特有の吸収が表れる。吸収は錯体の分子軌道では、電子によって占有されたエネルギー準位から空のエネルギー準位へ電子が可視光によって励起されることに由来している。遷移可能な軌道の間のエネルギー差をΔとすると、吸収振動νはΔ=hνとなる。 光による励起によって起こる電子遷移は大きく2種類に分類することができる。 遷移可能な分子軌道が両方とも、主に金属のd性をもつ場合はd-d遷移もしくは配位子場遷移という。吸収波長は配位子場分裂の大きさに依存する。 片方の軌道は金属性が大きく、他方…

  • 【錯体化学】遷移金属錯体のσ結合とπ結合

    遷移金属錯体の結合 金属d軌道と配位子軌道の相互作用の結果、結合性、非結合性、反結合性の錯体分子軌道が形成される。一般に配位子軌道の方が金属結合より低いエネルギー準位にあるため、結合性軌道は配位子性が大きく、非結合性および反結合性軌道は金属性が大きくなる。 σ性とπ性の分子軌道の形成について考えると次のようになる。 σ結合 直行座標系の原点に金属を、座標方向に配位子を配置し、金属のs、p、d軌道と配位子の軌道の相互作用のうち、M-Lのσ結合を考える。σ結合は結合軸方向に節がない結合である。そのため、配位子のσ性の軌道と、+、-の符号で表される対称性、軌道の形が適合する場合は、金属のs結合(a1…

  • 【錯体化学】配位子場理論と6配位正八面体型錯体・平面正方型錯体・ヤーンテラー効果

    配位子場理論 配位子場理論は錯体の電子構造の理論として知られているが、もともとはイオン結晶に関する理論である結晶場理論を錯体系に適用したものである。 6配位正八面体型錯体 遷移金属の陽イオンの5つのd軌道は縮退している。そのため5つのd軌道のエネルギーは等しい。金属陽イオンの周りに球対称の負電場が来ると、静電相互作用によって全エネルギーは自由陽イオンのときよりも安定化する。しかし同時に、金属軌道の電子と負電場の反発相互作用によって不安定化もおこり、ある程度相殺される。その変化を縦軸をエネルギーとして考えると、下図のようになる。 錯体形成による電子エネルギー変化 球対称の負電場の代わりに6つの配…

  • 立体異性体(エナンチオマー・ジアステレオマー)とは

    立体異性体とは 化合物の物理的な性質や反応性は、分子の立体的な形によって決まるものも多い。この記事では、この立体化学の概要について説明をする。 同じ分子式をもつ2つの構造があるときに、その2つの構造を重ね合わせることができる場合と、重ね合わせることができない場合がある。この重ね合わせができるものは同一物であるが、重ね合わせができないものは異性体といわれる。 重ね合わせることができない場合にもいくつかの種類がある。まず原子の繋がり方が違う場合である。例えば分子式がC2H6Oである分子としてエタノールとジメチルエーテルがある。 こういったエタノールとジメチルエーテルのように原子の繋がり方が違うもの…

  • 「勉強と研究の違いを山登りに例えると」という話

    この記事は、勉強と研究の違いを山登りに例えてみるという話です。特に、まだ研究活動に取り組んだ経験の無い人や、研究の経験が少ない人は、勉強と研究の違いのイメージが湧いていないのではないかと思います。そういった方の参考になれば幸いです。 まずは勉強を山登りに例えてみましょう。勉強は、学習する内容が決まっており、到達目標に向かって進んでいきます。このとき、学習する内容は学問の世界では、すでにわかっている内容になります。これは、山頂というゴールに向かって、道が整備されている登山道に例えることができると思います。到達目標までに学習する内容は、多くの人が経験し、どんどん理解しやすい解説などが増えていきます…

  • 低速電子顕微鏡(LEEM)の解説

    低速電子顕微鏡とは 低速電子顕微鏡はLEEM (Low Energy Electron Microscopy)ともいわれる。 透過型電子顕微鏡(TEM)は高速の電子を用いて観測する試料を透過して像を得る。一方で低速電子顕微鏡は、表面試料に数~数十 eV程度の低エネルギーの電子を照射する。このとき、弾性散乱された電子を光学系を用いてマイクロチャンネルプレート (MCP)に拡大投影することで、局所的表面構造の違いにより、散乱強度に差が生じるため、回折、干渉コントラスト像が得られる。低速の電子を用いるため、再表面のステップや欠陥、粒界、転位が線や点となって確認することができる。 さらに、像の局所的な…

  • 低速電子回折法(LEED)の解説

    低速電子回折法とは 低速電子回折法はLEED (Low-Energy Electron Diffraction)ともいわれる。 この手法ではまず、10~200 eV程度の低速の電子線を試料に照射する。このとき、表面原子によって後方散乱を起こした電子を蛍光板に叩きつけることで、発光をカメラで撮影する。 得られた回折像は、表面原子の周期構造を表す回折スポットをもっていることになる。この回折像を回折理論に基づいて、解析すると金属表面や半導体再構成表面の周期構造を推測することができる。 特徴として、電子の侵入深さは3~10Å程度であり、表面感度が非常に高い。一方で、超高真空が必要となる。

  • 【学振申請書】令和5年度(2023年度)DC1・DC2記入例

    博士課程に進学を予定している学生であれば、日本学術振興会 特別研究員(DC1・DC2)(通称 学振、がくしん)の申請書を申請すると思います。 学振に絶対採択される方法は存在しませんが、採択される可能性を上げる方法はあります。それは、早めに申請書を書いて、周りの人(友達、先輩、ポスドク、指導教員)にコメントをもらい、推敲を繰り返すことです。 そこで、とにかく早いうちに申請書の草稿を作り上げられるかが重要になります。この記事では、令和5年度(2023年度)の草稿の記入例を執筆できた部分から順次公開していきます。誰かの参考になればと思います。なるべく、最後まで執筆する予定です。 草稿なので、反面教師…

  • 他大学・他分野から大学院に入学を考えている人に参考になる情報

    他大学・他分野から大学院に入学を考えている人に向けて 理系の場合、大学で進級していくと4年次に研究室に配属されて、卒業研究を行い、卒業論文の提出や卒論発表を行って、学部を卒業する人が多いと思っています。その後の進路として、卒業研究を行った研究室と同じ研究室ではなく、他大学の大学院の研究室に進学するという人もいると思います。 筆者自身は他大学に進学した経験はないですが、他大学から研究室に進学してきた人を何人も見てきたので、その経験をもとに、今、他大学に進学しようと検討している人に参考になりそうな情報をこの記事に書いていきます。 大学院・研究室選び 学生が今後進学する研究室を選ぶ方法は大きく2通り…

  • 【研究発表】質疑応答のチェックリスト・よくある質問

    研究発表の質疑応答 大学で研究室に配属され、研究成果がまとまると、卒論発表(卒業論文発表)や修論発表(修士論文発表)、学会発表、就活の技術プレゼンテーションなどで研究発表を行うことになるケースが多いです。そして研究発表は発表の後に、質疑応答の時間が設けられている場合が多いです。ただ、その質問はある程度想定することができます。 この記事では、研究発表に対して、よくある質問について挙げていきます。ただし、分野や研究内容、研究発表の場によって、当てはまらない質問、重箱の隅をつつくような質問もあると思います。一部重複する質問もありますが、自分のスライドのブラッシュアップのための自問自答や、質疑応答の対…

  • 【研究発表】わかりやすい発表を行うために押さえるべきポイント(卒論発表・学会発表向け)

    わかりやすい研究発表 大学で研究室に配属され、研究を進めると、卒業論文発表や修士論文発表会、学会発表、就活の技術プレゼンテーションなどのスライド資料を使った研究発表のプレゼンテーションを行う場合がよくあります。このとき、研究発表がわかりやすいか、わかりにくいかによって聴衆からの評価が変わります。そして誰しもがわかりやすい研究発表をしたいと思っているのではないでしょうか? この記事では、わかりやすい研究発表のスライドを作るうえで、押さえておきたいポイントについて解説します。 そのポイントとは「発表の"聴衆"と"場"を把握する」ことです。 わかりやすい研究発表の要素 そもそもわかりやすいとは、どう…

  • 【科学基礎】数値の有効数字と誤差の計算方法

    数値の取り扱いについて 科学実験において有効数字と誤差ほ非常に重要です。学生実験などでは、数値の正しい扱い方ができるかどうかは、大きく評価される部分です。測定によって得られた数字から計算し、表記するということは研究者の理解度が表れているといえます。 数値において、最終的に示す必要があるものは「最確値」と「信頼度」です。 例えば1.632×102 ±0.006×102と記入する場合、1.632×102が最確値であり、±0.006×102が誤差です。 有効数字について レポートや論文を書くためには、この数値の有効数字と誤差の取り扱いからが重要になります。 まずは、有効数字から説明していきます。 有…

  • 【化学系】論文のジャーナル(雑誌)名の略号の調べ方

    科学技術分野において、さまざまな論文を掲載している雑誌は非常に多く存在する。分野によって、名前が似たような雑誌もあり、論文の引用文献欄から、引用した論文に正確にたどり着けるように、する必要がある。 論文などを投稿する際には、論文を掲載している雑誌名略号で表す場合がある。 化学系でこの論文の雑誌名の略号を調べることのできるサービスの一つがCAS Source Indexである。 このサイトの検索窓から検索をすると雑誌名とその略号などの情報が得られる。 必要に応じて、活用していただきたい。 cassi.cas.org

  • 【理系】投稿論文の構成と査読について解説

    投稿論文とは 研究を行い、新たな発見をしたときには、論文を投稿し、論文雑誌に論文を掲載できる可能性があります。 この記事では、投稿論文の構成と、投稿後の審査である査読について解説します。 投稿論文は、表現に曖昧さがなく、簡潔に、論理的に事実と考察を記述していく必要があります。投稿論文の形式は各雑誌社、雑誌によって異なります。また各項目を書く順番も異なります。webページなどに論文投稿者向けのページがありますので、webページを確認しましょう。 以下に論文の一般的な構成を紹介していきます。また多くの論文は、主論文以外に主論文には掲載しきれない図などを掲載する補足資料(Supporting Inf…

  • 【理系】学会発表の準備方法とポイントについて丁寧に解説

    学会とは 学会とは、ある共通の研究分野について研究を行っている研究者や、興味関心を抱いている会員によって構成されている組織です。そして、その研究分野の発展や会員同士の交流を図るために、年に1度など定期的に大会を開催しています。「学会で発表した」と言われた時の学会はこの春季年会といった学会の主催した大会のことを指しています。大会では研究者である会員が研究成果を発表し、その成果についての意見の交換が行われます。 卒業研究や高校生の研究だとしても、学会発表に値する内容であれば、その成果を学会で発表する機会を得ることができます。 学会発表の主な目的は、同じ研究分野の研究者に自分の研究成果を発表し、その…

  • 【理系研究発表】スライドのポイントとKISSの法則(具体例を紹介)

    研究発表(卒論発表・学会発表・就活技術プレゼン) 理系の学生は、卒業研究や修士課程の研究が終わると卒論発表や修論発表などの研究発表を行うことが一般的です。また理系は学会での発表や、就活中に自身の研究発表を行うことも多いです。 この記事では、研究発表プレゼンテーションのスライドを作るときのポイントを紹介します。 研究発表プレゼンテーションのスライドの原則 プレゼンテーションは「スライド1枚につき、1分間の説明」が目安になります。 ただし、あくまで原則というだけで、写真を一目見せるだけなら10秒程度で十分な場合もあります。スライド1枚につき1分間で作り始め、最後は伝えたい内容が伝わるようにページを…

  • 【化学基礎】水和のシンプルな解説

    水和 物質が水に溶ける場合、その物質の周りには水の分子(H2O)が存在します。この時、水よりも量が少ない方の物質は溶質といいます。溶質と水分子が静電的に引き合って、その溶質分子を取り囲むように水分子が結合する現象を水和といいます。 水は分子全体で見ると電気的に中性ですが、部分的に見ると電荷の偏りがあります。具体的には水分子の酸素は陰性、水素は陽性になっています。そのために、電気的に陽性の物質には水分子の酸素が、陰性の物質には水素が引き付けられます。 陽イオンの水和は水分子の酸素の非結合電子対が金属イオンと配位結合を作る現象です。逆に陰イオンの水和は、陰イオンが水分子の水素原子に配位する現象です…

  • 【理系】研究発表(卒論発表・学会発表)の準備とポイント

    研究発表 大学で研究室に配属された学生は、卒業研究を行った後に、卒業論文の内容について口頭発表を行うようになっている大学などが多くあります。この記事では、研究発表(卒論発表)の準備から当日までのポイントを説明していきます。 発表形式 数年前まではpowerpointなどのプレゼンテーションソフトを用いて、スライド資料を作成し、講義室などでプロジェクターで投影して発表を行うことが一般的でした。 しかし、新型コロナウイルスの流行以降はZoomなどのオンライン上での発表や、オンラインと現地発表のハイブリッド形式での発表も多くなっています。 そのため、事前に発表形式は調べておきましょう。 しかし、基本…

  • 【理系】卒業論文(卒論)の書き方とポイント

    卒業論文とは 大学の3年次や4年次に研究課題に取り組み、その研究結果を論文の形にまとめたものが卒業論文である。多くの大学では、研究室に配属され、指導教員から提案された研究課題に取り組む。 授業である学生実験との大きな違いは、実際に行う実験や測定、反応は既知のものではなく、未知のものでありという点である。ほとんどの場合、世界で初めての実験に取り組むことになるため、その学問の最先端の研究に取り組むことになる。 そのため、卒業論文と授業課題での実験レポートとの違いは以下のような点がある。 最先端の未知の事象について実験を行う 研究内容が学術的に高度な内容である 長期間に行われた実験結果についてまとめ…

  • 【理系】論文を書く際の各項目を書く順番の話

    論文の構成 研究論文は 諸元(イントロダクション) 実験方法・条件 実験結果 考察 結論 参考文献 謝辞 の順番で記述することが一般的である。ただし、論文を投稿する際には、その雑誌によって、特に実験方法の記述の位置などが決められており、この順番とは異なる順番が指定されていることもある。 実際に論文を書いてみようとしたときに、この順番どおりに1から順番に書く必要はないというテクニックは覚えておくとよい。ここも研究者によって、個性が出る部分でもある。 例えば、研究を行ってその実験内容をまとめて、今から論文を書くという場合を考える。その際の執筆していく順番の一例を以下に示す。 実験方法 まず確実にか…

  • 【化学学生向け】実験レポートの書き方と注意するポイント

    実験レポートとは 実験レポートは学生実験を通して学ぶべきことを十分に習得したかを示すものである。そのため、実験レポートの作成は実験前と実験中に学び経験した知識や技術を身に着ける機会ととらえておくと良い。さらに学生実験のレポートは反省点の抽出だけでなく、改善点の提案など、考察を深くし、創造的なレポートを作れるとよい。 実験レポートの体裁 基本的に指導教員の指示に従って準備するとよい。体裁が整っていないために、実験レポートが受理されないこともあり得るため、確認は怠らないようにしたい。 用紙サイズ 大きさや紙質などが指定されていないか確認する。 作成方法 現在は、wordなどのドキュメントソフトを用…

  • 【化学基礎】疎水性と親水性疎水性相互作用のシンプルな解説

    極性分子とは 正電荷と負電荷が偏った分子は極性分子とよばれる。水分子は極性分子の代表例である。極性分子が集合した場合、プラスとマイナスを帯びた部分が引き合うことによって、一定の構造を形成する。特に水分子の場合は、水素と酸素が互い違いに水素結合を形成する。 疎水性相互作用 このような極性分子の集合体の中に、極性の小さい炭化水素などの分子を加えると、非極性分子は拡散しないで集合する。これは極性分子間の安定な静電相互作用の間に、非極性分子が割り込んで静電相互作用を切断することが難しいからである。 この現象は疎水性相互作用によって非極性分子が集合した状態である表現される。 身近な例では、ラーメンのスー…

  • 【化学演習】滑らかな物質はなぜ接着剤でくっつくのか?

    化学演習問題 滑らかな金属やプラスチックでも接着剤を使用することによって、つなぎ合わせることができます。この接着剤による接着の科学的原理を説明しなさい。 答え 固まる前の接着剤は低分子モノマーや溶媒和したポリマーなどによる流動性のある状態である。そのため、接着したい物質の分子の隙間に入り込む。そして、物質と接着剤が近づくと、分子間の静電的引力は急激に大きくなる。つまり、接着力は固まった接着剤と物質の分子間引力によって、接着している。 他にも、接着剤と分子が共有結合を形成し吸着する場合もある。 接着剤だけでなく、水に濡らした二枚の下敷きを重ね合わせるとくっつく現象も、同様に物質と水間の静電的引力…

  • 【学振申請書】申請書に問われる攻撃力と防御力の話

    この記事の参考にしている内容は暗殺教室などの作者として知られている松井先生の漫画の攻撃力と防御力の記事です。SNSなどでも拡散されたため知っている人も多いと思います。 この記事を読んだときに、これは漫画だけではなく、学振などの申請書やジャーナルへの投稿論文にも当てはまる内容だと感じました。そこでこの記事では、申請書や投稿論文の攻撃力と防御力についての考えを示しています。また元の漫画の攻撃力と防御力の記事も大変参考になるので、一読することをオススメします。 結論は申請書もまずは防御力が大切という話なのですが、最後まで読んでいただけると嬉しいです。 申請書の採択者側から見たメリットとデメリット い…

  • 【有機化学】カルボン酸の解離と共鳴構造・アルコールとの比較

    カルボン酸の解離と酸性 酢酸CH3COOHのようなカルボン酸RCOOHは、水溶液中では下に示すような化学平衡によって解離し、酸性を示す。 CH3COOH ⇄ CH3COO- + H+ 多くのカルボン酸は水に対する溶解度が小さいが、アルコールのような有機溶媒中でも、同じように解離することが知られている。 解離の程度を示す酸解離指数pKaは酢酸で4.86であるように、大きい値ではないが、エタノールなどのアルコールのpKaは17程度であり、アルコールに比べればかなり大きい値を示す。 このカルボン酸とアルコールを比較すると、酢酸の解離指数は12桁ほど小さく、酢酸の解離平衡はエタノールの解離平衡よりも、…

  • 【化学学生向け】実験ノートの書き方の原則とポイント

    実験ノートとは 実験ノートは、実際に行った実験の記録をするものである。そして、この実験ノートに記載された内容にもとづいて、実験レポートや論文を執筆する。また、実験ノートに記載された情報に基づいて同じ実験を行い再現性を確認する場合もある。 よって、実験ノートには実験操作や観察した内容について、必要な情報だけでなく、必要となる可能性のある情報をできるだけすべて記録することが好ましい。 当然、よい実験ノートとは、レポートや論文を書くために必要な情報がわかりやすく記録されているものである。大学での演習実験や大学の研究室の習慣などによって実験ノートの書き方のルールが存在する場合もあるが、基本的に共通の決…

  • 【錯体化学】錯体・中心金属・配位子・配位数と構造の解説

    遷移元素または遷移金属、は中性および陽イオン状態で不完全なd殻、またはf殻を有する金属元素である。これらの遷移元素はScからCuまでの3d元素、YからaGまでの4D元素、HfからAuまでの5d元素のdブロック元素がひとまとめになり、LaからLuまでのランタノイド元素、AcからLrまでのアクチノイド元素はfブロック元素に分類される。また、Sc、Yはdブロック元素だが性質はランタノイド元素に似ている。 この記事では特にdブロック遷移金属の錯体について取り扱う。 錯体とは ウェルナー錯体と非ウェルナー錯体 中心金属 配位子 錯体の配位数と構造 2配位錯体 3配位錯体 4配位錯体 5配位錯体 6配位錯…

  • 酸化数と酸化・還元・ラティマーダイアグラム(ラチマー図)

    酸化数 化合物、もしくはイオン中において、元素の電気陰性度の大小に応じて、電荷の偏りを極端にした場合の各構成原子の荷電を酸化数という。同じ原子の場合は電荷の偏りがないとみなせるため、酸化数は全体の荷電を原子数で割ったものとする。異なる原子から構成されている化合物やイオンの場合は、電気陰性度が相対的に大きい原子を陰イオンとし、それに対応する陽イオンの組み合わせとして考える。 例えば N2分子では窒素が0価 O2-2では酸素は-1価 NO2では窒素が+4価、酸素が-2価 NH3では水素が+1価、窒素が-3価 となる。 つまり、相手によって同じ原子でも酸化数が異なる。また、構成原子は酸化数で合わらす…

  • 【化学基礎】分子の結合と構造に関わる有効核電荷・イオン化エネルギー・電子親和力・電気陰性度

    化合物の結合や構造は、構成している原子の引き付けやすさや、電子間反発、価電子が占める分子軌道などの電子は関与する性質によって決定される。立体因子も電子間相互作用に含めることができるため、電子因子ということもできる。 有効核電荷 一般的に価電子よりも内側の電子殻にある内部電子によって核電荷が遮蔽を受ける。そのため、外部の電子が感じる原子核の正電荷は、電子番号と同じ整数電荷より小さくなる。この現象を遮蔽定数で表す。このとき、原子核の実質的電荷を有効核電荷といい、次の関係が成り立つ。 イオン化エネルギー 気相(g)の原子から1つの電子を取り除くために必要な最小エネルギーをイオン化エネルギーという。単…

  • 酸化銅(II)触媒を用いた二酸化炭素(CO2)の電気化学的還元の論文紹介

    酸化銅(II)触媒を用いた二酸化炭素(CO2)の電気化学的還元 二酸化炭素の銅系触媒による電気化学的還元反応 触媒の調製方法 触媒の分析について H型セルを用いた触媒の活性 in situ TEM観察による反応中に触媒の状態の分析 オペランドXASによるCuOの電子状態の分析 反応サイクルと生成物の収率・オンセットポテンシャルについて あとがき 今回紹介した論文について 酸化銅(II)触媒を用いた二酸化炭素(CO2)の電気化学的還元 二酸化炭素の還元反応(carbon dioxide reduction reaction, CO2RR)の中でも二酸化炭素(CO2)の電気化学的還元は近年盛んに研…

  • 【物理化学】蒸気圧降下とラウールの法則・浸透圧とファントホッフの法則

    蒸気圧降下とラウールの法則 溶媒に不揮発性の溶質を溶かすと、溶媒の蒸気圧が降下し、その降下率が溶質のモル分率に等しくなる現象をラウールの法則という。 純溶媒および溶液の蒸気圧をそれぞれ、、とし、溶質のモル分率をとする。は溶質の分子数÷溶質の分子数と溶媒分子の総数である。このとき以下の関係が成り立つ。 この現象を利用することによって、蒸気圧降下の測定から溶質の分子数を求めることができる。 浸透圧とファントホッフの法則 溶媒分子を通すが、大きな溶質分子を通さない半透膜を使って、溶液と純溶媒を仕切る場合を考える。このとき、純溶媒の溶媒分子はその膜を通って溶液中に浸透していく。溶媒と溶質分子は互いに衝…

  • 【物理化学】相と分留・蒸留の仕組みについて解説

    相 明確な境界によって、他と区別される物質系の均一な部分を相(phase)という。相が気体、液体、固体の状態であるのに対応して、それぞれ、気相、液相、固相と呼ぶ。 純物質の相を純相、2つ以上の成分を含む混合物の相を溶相という。 ただ1つの相からなるものを均一系もしくは単相系といい、2つ以上の相からなるものを不均一系、または多相系という。身近なものとしては、フレンチドレッシングは水相と油相にわかれるため2相系液体である。 分留・蒸留 沸点の異なる2種類以上の液体の混合物を加熱し、沸点の低いものから順に気化させて分離する操作を分留、または蒸留という。 ただし、混合している2種類の組み合わせによって…

  • 【物理化学】凝固点降下と沸点上昇の原理をわかりやすく解説

    凝固点降下 溶質が溶媒に溶けて、溶液の凝固点が降下する現象を凝固点降下という。希薄な溶液の凝固点降下度(K)は溶媒固有のモル凝固点降下定数(K/質量モル濃度)と質量モル濃度(mol/溶媒1 kg)の積である。 上の関係を式にすると下のようになる。 溶媒1 kg中(溶媒分子数に比例し、分子量に逆比例する数値)に質量1 mol(6.0×1023個の溶質)を含む溶液の凝固点降下度がモル凝固点降下定数である。 未知分子の分子量を凝固点降下度から求める方法を凝固点降下法、または氷点法という。ある溶質の溶液の凝固点降下度がの場合、その溶液の分子量はとして求めることができる。ここで[tex: gは溶媒1 k…

  • 炭素のβ崩壊と放射性炭素年代測定

    炭素のβ崩壊と放射線炭素年代測定 14Cは放射性の不安定元素である。そして、14Cはβ線(電子線を放出して14N(が14N++ 電子)になる。この原子核の変化は1次反応として解析することができる。半減期は5730年である。 大気中の二酸化炭素の同位体14CO2は地球に存在する他の不安定な元素から常に生成される。そのため、14CO2の濃度はほぼ一定となっている。 一方で生きている植物は、常に大気中から二酸化炭素を取り込み、大気と同じ割合で14Cを含むグルコースを生成する。しかし植物が枯れると、植物の14Cの割合は、半減期に対応して徐々に低下していく。そこで植物の化石の14Cの割合を調べることで、…

  • 【電気化学基礎】標準水素電極と標準還元電位

    標準水素電極 25℃において、電池内のすべての物質が105Paで活量が1、電流が流れていない状態を標準状態という。H+イオンが関与する反応では pH = 0 (近似的には1 mol の酸)の条件である。 電極の電位は標準電極を基準として、測定される。電極電位の基準として用いられる水素電極では、活量の強酸溶液中、1 atm(の水素ガスをゆっくり白金黒電極に接触させる。 電位は次の式で表すことができる。 このときの水素電極を標準水素電極(NHE)という。還元電位は通常NHEを基準として表すことが多い。しかしながら、水素電極は取り扱いが不便であるため、電気化学測定実験では、飽和甘汞(かんこう)電極(…

  • 熱力学の用語をシンプルに解説(エンタルピー・エントロピー・ギブズの自由エネルギー)

    エンタルピー エンタルピーは定圧下における系の熱含量を表す値である。エンタルピー変化が負である場合は発熱反応、正である場合は吸熱反応である。標準反応エンタルピーは標準状態(105 Pa, 298.15 K)において、反応物が生成物になるときの値である。 元素(単体)から化合物が生成する場合のエンタルピー変化を標準生成エンタルピーという。エンタルピーは状態量であるため、元素(単体)の標準生成エンタルピーを定義によって0として標準反応エンタルピーを下の式のように求めることができる。 エントロピー エントロピーも状態量の一つであり、一つの状態が他の状態から自発的に到達可能かどうかの判断として使える量…

  • 分子軌道論・結合性、反結合性軌道の解説と窒素、酸素の分子軌道例

    分子軌道論の結合性軌道や反結合性軌道の意味や考え方について解説しています。 さらに窒素や酸素の分子軌道を示しています。

  • 27Al MAS NMRの配位数とケミカルシフト

    27Al MAS NMR アルミニウムは地中殻中に最も多く存在する金属であり、そのため多くの化合物に含まれています。 このアルミニウムの局所構造の解析において強力な方法の一つが27Al NMRスペクトルの測定です。特に固体では、NMRはX線回折や電子線回折、赤外分光法と相補的であり、NMR Crystallographyという考えも提唱されています。 アルミニウム(Al)は磁気的に活性な元素で、27Alという同位体があります。この核種は天然存在比100%で総合相対感度おも大きいため、容易にNMRを測定することができます。しかし核スピンはl =5/2 と1/2よりも大きく四重極モーメントQ = …

  • イオン半径比と配位数の関係

    イオン半径比と配位数 一般的に1価のイオン性化合物MXの全クーロンポテンシャルエネルギーは次の式で表すことができる。 ここで、はアボガドロ定数、はマーデルング定数、{tex: R]はイオン間距離である。この式から考えると、A/R比が大きくなる構造が安定であることがわかる。MX化合物のマーデルング定数は配位数が大きくなるほど大きくなる。しかしMの半径が小さくなると、MとXが接触できなくなるため、配位数を下げてを小さくしたほうが有利となる。 イオン結晶において、半径の陰イオンが互いに接触し、かつ半径の陽イオンとも接触するためのとの比率は配位数によって異なる。 陽イオンを中心として、その周囲に陰イオ…

  • 格子エンタルピーとボルンハーバーサイクル

    格子エンタルピーとイオン結晶の構造安定性 定温、低圧におけるイオン結晶の構造安定性は、結晶構造が各イオンから形成される際のギブズの自由エネルギー変化の大きさに依存する。しかしながら、格子形成は非常に発熱的であり、エントロピー項は相対的に無視できる。そのため、エンタルピー変化の大きさでイオン結晶の構造安定性を議論することができる。 格子エンタルピーはイオン結晶が気相イオンに分解する反応の標準エンタルピー変化で次の式に関連して定義することができる。 ここでsは固体、gは気体、Lは格子を表す。 この格子エンタルピーはボルンハーバーサイクルを用いて各段階のエンタルピー変化の値から間接的に見積もることが…

  • 自主ゼミ(勉強会)の開催の仕方

    自主ゼミ(勉強会)の開催の仕方 自主ゼミや勉強会とは、ここでは大学の単位とは関係なく学生が学習したいことを学習することとします。 自主ゼミを始めたい場合は、「何をどう学びたいのか」をまず明確にしましょう。これを学びたいという問題意識がどこかにあるはずです。 また自主ゼミは2人よりも3人以上で行いましょう。少なくとも司会と発表者が分かれるように3人は必要だと考えたほうがいいでしょう。 自主ゼミや勉強会の開催場所は大学や図書館などの会議室を借りたり、最近ではオンラインでも行うことができます。 自主ゼミや勉強会の主体者は自分自身であり、一人一人の独習がないと、内容が深まることは起こりにくくなるでしょ…

  • 金属光沢が起こる理由(金属光沢とプラズマ振動)

    金属光沢とプラズマ振動 金属光沢は、金属に入射した光が金属内部を透過せずに、表面近傍から反射するために起こる現象です。金属結合している金属は光を内部に通すことはありません。一方で、イオン結合や共有結合している物質である金属酸化物や金属塩は光が透過します。 金属結合している金属には自由電子が存在しています。電子は電気的にはマイナスです。ここに光が入射すると光の電磁波によって金属表面近傍の自由電子は加速されて弾かれ移動します。移動した自由電子群はその後、もとの場所に戻ってきますが、慣性力で電子が振動し続けます。これをプラズマ振動といいます。 金属のプラズマ振動数は可視光よりも高い紫外線の周波数です…

  • アルミニウム(ジュラルミン)と時効析出

    アルミニウムと時効析出 アルミニウムに銅を4%程度固溶させて、溶体化処理をおこないその後、時効処理を行うと強度の高いアルミニウム合金が得られます。これはジュラルミンと呼ばれています。さらにマグネシウムを添加すると超ジュラルミン、超々ジュラルミンなどが得られます。 溶体化処理を行って均質な固溶体となっているAl-Cu合金を急冷して、過飽和な均質な固溶体を作ります。過飽和固溶体は、時間とともに変化が起きていきます。 まず銅原子はアルミニウム結晶格子の結晶面に集合します。この集合層はGP1と呼ばれています。さらに時効が進むと、銅原子の集合が規則的な配列をもったGP2という集団になります。さらに時効が…

  • 卒業研究の指導教員と付き合い方

    卒業研究では、研究室のなかでも、指導教員が決まっており、その指導教員から教育を受けながら、卒業研究を進めることが多くなります。この指導教員との付き合い方を簡単に紹介します。 指導教員を自分が決定できる場合には、研究内容や指導方法を直接聞いてみるほうがいいでしょう。この場合、メールなどで教員に研究室の訪問のお願いやアポイントメントを取りましょう。多くの教員は丁寧に対応してくれます。 一方で、指導教員と直接話しをすることが難しい場合は、指導教員や研究室の論文を読みましょう。その論文の投稿から公開までの頻度などからも研究室の様子を伺い知ることができます。 指導日は必ず行く 指導教員によっては、この日…

  • 合金の時効処理と析出と相変態

    合金の時効処理 時効処理は、溶体化処理を行った合金を、急冷して過飽和固溶体にし、常温保持の常温時効か、昇温加熱後定温保持する人工時効を行い、析出物を徐々に析出させる操作のことです。 溶体化させた合金の性質は時間が経つとともに変化します。この場合の析出物は安定しておらず、成長し続けるため、準安定相といいます。 急冷せずに徐冷を行うと、析出物は十分に成長し、これ以上性質が変化しなし安定相を得ることができます。 析出と相変態 溶体化処理をされて完全固溶したあと、急冷却されて過飽和状態になった組織は時間が経過するとともに時効析出が起こります。金属の時効とは、時間経過で性質が変化することを指します。具体…

  • 合金の寸法因子と価電子濃度

    寸法因子 合金の固溶は、固溶される金属Aの原子半径の大きさと溶け込む元素Bの原子半径との比が重要になります。この比を寸法因子といいます。この寸法因子はヒュームロザリーの経験則に基づく法則であり、原子容積効果ともいわれます。 鉄に対するさまざまな元素の合金化のしやすさを調べると、寸法因子が±15%以内のCr、Mn、Ni、Cu、Siならば、ほぼ完全に固溶します。 周期表でこれらの前後の金属であるPb、P、Sn、Ti、B、Cd、Mg、Sなどは寸法因子が大きく、多くの場合固溶が起こりません。 価電子濃度 価電子濃度は、合金を構成する金属の最外殻の価電子数に関する値で、価電子の総数を原子個数総数で割った…

  • 金属のすべり方向と結晶構造

    金属のすべり方向 金属は展性や延性といわれる変形がしやすい性質を持っています。 金属の結晶構造では、同一平面上に最も多くの原子が含まれる細密面が移動しやすいすべり方向と関係があります。 すべり方向とは、結晶構造で一番原子密度の大きい面を調べ、その面に沿って滑りが生じたときに、滑っていく方向のことです。 面心立方構造はすべり方向が12方向と最も多く、等方的変形がしやすい性質があります。常温で加工がしやすい金や銀、銅、ニッケル、鉛などは面心立方構造をもつ金属です。 反対にマグネシウムや亜鉛などの六方最密構造では、すべり方向が3と少ないため、異方性をもち、加工がしにくいという特徴をもっています。

  • 合金の作製方法の解説と共晶合金・包晶合金

    合金・固溶体 複数の金属元素を混ぜ合わせて、均質に溶かし込んだ状態の固体金属を合金、もしくは固溶体と呼びます。このとき、混ぜ合わせる金属の量を変化させて、合金の組成を0%から100%まで変化させることで、用途に応じた性質を発現させることができます。 合金を作製する一般的な方法は、まず液相になるまで温度を上げ、完全に溶け込んだ液体合金にします。そして温度を下げていくと、固液共存相になり、αやβなどの固体が晶出します。そして、さらに温度を下げていくと、液相が固体になり、一定組成の合金が作製できます。合金の組成や、冷却速度によって得られる合金の結晶構造などは異なります。 共晶合金・包晶合金 合金の組…

  • アレニウスの式の解説:速度定数と温度の関係式

    アレニウスの式 化学反応を考えたときに、素反応の速度定数と温度との関係式がアレニウスの式です。 アレニウスの式は速度定数をとしたとき、次のように表されます。 は絶対温度、は頻度因子、は反応の活性化自由エネルギーです。反応の温度範囲が狭い場合には、反応の頻度因子と活性化エネルギーは一定の値となります。 またこのアレニウスの式は拡散や粘性などの輸送現象にも適用することができます。 アレニウスの式のeの指数関数は、温度と活性化エネルギーがわかれば、原料が活性化状態になる確率が予測できるということを意味しています。 また指数関数部分はその温度での活性化エネルギーよりも大きなエネルギーを持っている物質の…

  • アナターゼ型酸化チタンのXAFSスペクトル(Ti K-edge)ピークについて

    まず、最初にX線と物質との相互作用について整理します。 X線を物質に照射したときのことを考えます。まずX線が正と負の電荷をもつ原子核と電子から構成されている原子に照射されると、X線は電磁波であるため、X線の電場によって電子の強制振動が起こります。この振動によって、X線がそのまま周囲に伝搬していく現象はX線弾性散乱もしくはトムソン散乱といわれます。 一方で、物質が結晶のように規則正しい原子配列をもっていると、各原子からの散乱X線が干渉し、その結果、回折現象が起こります。こうなると、特定の方向にX線が集中することになります。これを用いて、結晶の構造などを調べる測定方法がX線回折測定です。 次に、物…

  • 反応速度論:1次反応、2次反応、0次反応、複合反応とは

    反応速度論 物質変化の速さ、つまり反応速度を取り扱う分野を反応速度論という。反応速度は、原料や生成物の時間的な変化率の絶対値で示す。 一般的に、物質の濃度は[]かっこで表される。 基本として、1秒間(単位時間dt)に1モル濃度(mol/L)の原料が生成物に変化する場合には、その反応速度は という関係が成り立つ。 原料の濃度は減少するため、マイナス符号が付いている。時間とともに変化する濃度や反応時間についているdは変化量を表す。原料の濃度が半分になる時間を半減期と呼ぶ。この半減期は反応の速さのメカニズムとして利用されている。 反応速度は、活性化状態の反応物の量に比例する値である。反応物が活性化状…

  • 固体の酸化反応と表現方法

    鉄は酸化すると酸化鉄となります。この酸化は反応速度が大きくなるにつれて、錆びる、燃焼する、爆発すると表現が変わります。 また鉄の酸化反応の反応速度は鉄の表面積に比例します。そのため、スチールウールのような繊維状の鉄や鉄微粒子は、酸化反応は炎を上げて起こることがあります。 このように固体では反応が起こる界面もまた、非常に重要になります。

  • 論文を読むときのクリティカルリーディングのすすめ

    クリティカルリーディングを知っていますか? まず、クリティカルリーディングというものを紹介します。 クリティカルとは「批判的」と訳されます。日本語で批判的というと重箱の隅をつつくような質問や難癖を思い浮かべてしまうかもしれませんが、語源をたどるとクリティカルは既存の価値にとらわれないという意味があります。 つまりクリティカルリーディングは当たり前だと思っている考えを頭の片隅において、本や論文を批評するということです。そのため、趣味で行う読書の読み方は異なった読み方になるはずです。 大学生であれば、レポートや試験、卒業論文、ゼミの抄読会などでクリティカルリーディングのスキルが必要になります。 ク…

  • 検量線の3種類:絶対検量線法、内標準法、標準添加法

    検量線の種類 機器分析定量値を求める場合には、検量線(calibration curve)を作成する方法が一般的である。 この検量線の作成方法には、絶対検量線法、内標準法、標準添加法の3つが存在する。 絶対検量線法 目的成分の標準物質から、段階的な濃度の溶液を作成する。具体的には 1 ppm, 10 ppm 100 ppmなどの溶液を作成する。これらは最低でも3種類以上作成する。 これらの溶液とシヤウブランク溶液を処理して得られるシグナル強度を縦軸に。標準溶液の濃度を横軸にとり、ブランクのシグナルが0を通るような検量線を作成する。 検量線は原点を通る直線であることが理想的である。また直線の相関…

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