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  • 増幅に頼らず極めてわずかな量のDNA分析に成功! 火星など極限環境での生命の発見を可能とする装置“MinION”

    現在の火星に生命は存在するのでしょうか?この疑問は、長年の探査を通して検証されていますが、現時点では火星の表面に生命の痕跡は発見されていません。ただ、探査機に搭載される分析機器には性能上の限界があるので、痕跡を検出できていないだけという可能性もあります。今回の研究では、わずかな量のDNAを分析する装置“MinION”を使用して、火星の土壌を模した物質でその性能を検証しています。その結果、“MinION”の精度であれば、最小で2ピコグラム(5000億分の1グラム)のDNAも検出できることが確認されました。この結果が意味しているのは、地球上で最も生命が少ない環境でもDNAを確実に検出できること。将来的な火星からのサンプルリターンミッションで求められる土壌分析の精度を満たしていると考えられます。この研究は、アバ...増幅に頼らず極めてわずかな量のDNA分析に成功!火星など極限環境での生命の発見を可能とする装置“MinION”

  • 過去の地球の公転軌道を予測することは想像以上に困難! 恒星の接近を考慮したモデルの検証で分かったこと

    地球の公転軌道は、長い時間の中で少しずつ変化することが知られています。過去に起きた極端な気候変動は、この公転軌道の変化が原因となっているのかもしれません。でも、公転軌道の変化を数学的に解析することは困難なんですねーこれまの研究でも、過去の公転軌道を正確に予測できるのは、5000万~1億年前までが限界だと考えられてきました。今回の研究では、正確な軌道予測を行うため、太陽系の近くを恒星が通過したことで、巨大惑星の軌道が乱される影響を考慮しています。その結果、5000万年より短い期間であっても、正確な軌道予測が困難なことを突き止めています。恒星が通過することは、これまでの計算ではあまり考慮されていなかったことでした。この研究により、地球の公転軌道を正確に予測できる期間は、さらに約10%ほど短くなるようです。この...過去の地球の公転軌道を予測することは想像以上に困難!恒星の接近を考慮したモデルの検証で分かったこと

  • 銀河全体の5%に満たないリング銀河を大量検出! 銀河の渦巻き構造とリング構造を検出するAIプログラムによる成果

    今回の研究では、市民天文学“GALAXYCRUISE”の分類データを活用し、深層学習アルゴリズムを用いて銀河形態の大規模分類を行っています。その結果、すばる望遠鏡が7年かけて構築した画像データベースから、40万天体に及ぶ渦巻銀河と3万天体ものリング銀河を検出することに成功しました。本研究の成果は、昨年報告されたGALAXYCRUISEの分類結果を活用した第一例。今後もこのような市民天文学と、すばる望遠鏡による競争的研究成果が続々と出てくることが期待されます。この研究は、早稲田大学、国立天文台、東京大学の研究者からなる研究チームが進めています。本研究の成果は、日本天文学会欧文研究報告書“PublicationsoftheAstronomicalSocietyofJapan;PASJ”に2024年1月29日付...銀河全体の5%に満たないリング銀河を大量検出!銀河の渦巻き構造とリング構造を検出するAIプログラムによる成果

  • 宇宙の膨張速度“ハッブル定数”を正確に算出できる! 銀河団“G165”での“Ia型超新星の観測”と“重力レンズ効果の地図活用”

    私たちの宇宙が膨張していることは観測から分かっています。でも、その膨張速度を表す“ハッブル定数”は、観測方法によってその値が異なるという大きな問題を抱えているんですねーこの問題は、“ハッブル緊張(Hubbletension)”と呼ばれ、現代宇宙論における大きな謎の一つとなっています。今回の研究では、ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡で撮影された画像の中に、観測史上2番目に遠い“Ia型超新星”が写っていることを発見。その性質を元に、ハッブル定数を精密に測定できるのではないかとする研究結果を発表しています。研究チームでは、ハッブル定数の謎解きに繋がるという“希望”を込めて、このようなIa型超新星を“H0pe型超新星”と名付けています。この研究は、アリゾナ大学が設置したスチュワード天文台に所属するBrendaL.Fr...宇宙の膨張速度“ハッブル定数”を正確に算出できる!銀河団“G165”での“Ia型超新星の観測”と“重力レンズ効果の地図活用”

  • 恒星と思っていた天体は、約238億光年彼方にある観測史上最も明るいクエーサーだった! 明るすぎて遠くの天体と認識できず…

    クエーサーは、銀河中心にある超大質量ブラックホールに物質が落ち込む過程で生み出される莫大なエネルギーによって輝く天体です。銀河の初期形態とも考えられていて、100憶光年以上という遠方にあるにもかかわらず明るく輝いて見えます。これまでに約100万個も発見されているクエーサーですが、極めて明るいものはごく少数にとどまっています。今回の研究では、“J0529-4351”という天体がクエーサーであること。その明るさは太陽の約500兆倍、典型的なクエーサーの約200倍もあり、観測史上最も明るいクエーサーであることを突き止めています。“J0529-4351”は天体カタログの上では、99.98%の確率で天の川銀河にある恒星という誤ったラベル付けをされていました。このことから、すでに観測されているのに極端に明るいクエーサ...恒星と思っていた天体は、約238億光年彼方にある観測史上最も明るいクエーサーだった!明るすぎて遠くの天体と認識できず…

  • ブラックホールは実在する? 似た性質を持つ別天体“グラバスター”が入れ子構造になった“ネスター”を理論的に発見

    ブラックホールは現代物理学が破綻する領域なので、それを回避するための理論的な提案がいくつも出されています。その代表的な回避策の一つは“グラバスター(Gravastar)”です。今回は、アインシュタイン方程式を解くことで現れるグラバスターについて研究しています。その結果、グラバスターの中にグラバスターがある天体が存在可能なことを示しました。この入れ子構造は何重でも可能なもので、研究ではこの天体を“ネスター(Nestar)”と名付けています。ネスターが実際に存在可能かどうかは分かっていません。でも、この研究結果は重力に関する数学的な視野を広げることに繋がるはずです。この研究は、ライプツィヒ大学理論物理学研究所のDanielJampolskiさんとLucianoRezzollaさんが進めています。図1.今回の研...ブラックホールは実在する?似た性質を持つ別天体“グラバスター”が入れ子構造になった“ネスター”を理論的に発見

  • 宇宙の膨張速度を表すハッブル定数の不一致問題は依然として存在 ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡による観測から裏付けられる

    今回の研究では、ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡を使い、計8個の“Ia型超新星”が出現した6個の銀河について、合計で1000個以上のケフェイドの光度と変光周期を高い精度で観測しています。観測の結果、ケフェイドの周期・光度関係の誤差を数百分の1に減らすことに成功。これにより、ケフェイドに別の星の光が混入しハッブル緊張が生じている可能性を否定することができていました。ただ、銀河までの距離は、過去にハッブル宇宙望遠鏡が“Ia型超新星”を観測して求めた値と、ほとんど変わらず…宇宙の膨張速度を表すハッブル定数の不一致問題が、依然として存在することが確かめられました。この研究は、アメリカ・ジョンズ・ホプキンズ大学のAdamRiessさんたちの研究チームが進めています。図1.渦巻銀河“NGC5468”。ハッブル宇宙望遠鏡の...宇宙の膨張速度を表すハッブル定数の不一致問題は依然として存在ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡による観測から裏付けられる

  • 後期宇宙と初期宇宙にS8緊張は見られないことが判明! X線天文衛星による宇宙の地図作りから分かったこと

    宇宙には無数の銀河ありますが、その大雑把な配置は初期宇宙のわずかな“デコボコ”に由来すると考えられています。でも、初期宇宙の観測結果から推定されるデコボコと、それよりも後の時代の観測結果から推定されるデコボコには大きな食い違いがあるんですねーこのことは、現代宇宙論の大きな謎の一つとなっています。デコボコに関連するパラメーターは“S8”と呼ばれているので、これは“S8緊張(S8tension)”と呼ばれています。今回の研究では、X線での宇宙の観測結果を元に、S8やその他のパラメーターを計算。観測には、X線天文衛星“Spektr-RG”に搭載されたX線宇宙望遠鏡“eROSITA”(※1)が用いられています。※1.“eROSITA”はロシア・ドイツのX線天文衛星“Spektr-RG”に搭載されたX線宇宙望遠鏡。...後期宇宙と初期宇宙にS8緊張は見られないことが判明!X線天文衛星による宇宙の地図作りから分かったこと

  • 超大質量ブラックホール周辺に分布するプラズマガスの構造を解明! 二つの半径が異なるリング状に分布し性質も異なっているようです

    宇宙に無数に存在する銀河の多くには、その中心部に太陽の100万倍以上の質量を持つ超大質量ブラックホールが存在していることが知られています。超大質量ブラックホールは、強い重力によって周囲のガスを集めることで質量を獲得し成長していきます。そのガスの分布や速度の情報は、超大質量ブラックホールの成長過程を理解する上で非常に重要なものなんですねーただ、未解明な点が多く残っていて議論が盛んな分野と言えます。今回、研究グループが発見したのは、超大質量ブラックホール周辺に分布するプラズマガスのこれまで知られていなかった構造でした。研究では、観測史上最大規模の明るさの変動を示した天体“SDSSJ125809.31+351943.0”の多波長時系列データを使用して、明るさの変動に伴う周囲のガスへの影響を調べています。その結果...超大質量ブラックホール周辺に分布するプラズマガスの構造を解明!二つの半径が異なるリング状に分布し性質も異なっているようです

  • 観測史上最も重く、最も接近した超大質量ブラックホールの連星を発見! 何度も合体することで成長してきたようです

    楕円銀河の中心に位置する超大質量ブラックホール連星の質量が、周囲の恒星の運動から求められました。この超大質量ブラックホールの連星は、これまで観測された中で最も質量の大きなもの。2つのブラックホールを合わせた質量は、太陽の280億倍にもなるようです。しかも、超大質量ブラックホール連星の間隔はわずか24光年…ブラックホール同士の間隔が直接測定された連星としては最も接近した天体でした。この超大質量ブラックホール連星は、なぜか過去30億年間にも渡ってこの間隔を保っているようです。この研究は、アメリカ・スタンフォード大学のTirthSurtiさんたちの研究グループが進めています。図1.2個の超大質量ブラックホールからなる連星(イメージ図)。超大質量ブラックホール連星の合体は長年予言されているが観測例はない。(Cre...観測史上最も重く、最も接近した超大質量ブラックホールの連星を発見!何度も合体することで成長してきたようです

  • 星のゆりかご“分子雲”に大質量星が存在すると、周囲の若い惑星系では惑星の形成において重要な影響を受けている

    今回の研究では、オリオン星雲に属する年齢百万年以下の誕生したばかりの原始惑星系円盤“d203-506”(※1)を観測しています。観測には、ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡とアルマ望遠鏡を用いられました。その結果、誕生したばかりの年齢百万年以下の若い惑星系の形成に、近傍にある質量の大きな星が重要な役割を果たしていることを明らかにしています。この研究の成果は、フランス国立科学センター(CNRS)のオリヴィエ・ベルヌさんを中心に、東京大学の研究者も参加した国際共同研究チームによるもの。研究の詳細は、アメリカの科学雑誌“Science”に掲載されました。※1.原始惑星系円盤とは、誕生したばかりの恒星の周りに広がる水素を主成分とするガスやチリからなる円盤状の構造。恒星の形成や、円盤の中で誕生する惑星の研究対象とされてい...星のゆりかご“分子雲”に大質量星が存在すると、周囲の若い惑星系では惑星の形成において重要な影響を受けている

  • 超新星“SN 1987A”では中性子星が生成されていた! 重い恒星が一生の最期に起こす大爆発で残されたコンパクトな天体の正体

    1987年に観測された超新星“SN1987A”は、現代の天文学者が間近で観測できた“II型超新星”として、現在でも大きな注目を集めています。ただ、爆発から間もないことから多くの謎も抱えているんですねーその一つが、“SN1987A”によって生成された天体が中性子星なのか、それともブラックホールなのかという謎です。今回の研究では、ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡がとらえた“SN1987A”の観測データを分析。その結果、中心部の環境が中性子星以外では説明がつかない、という直接的な観測証拠を提示しています。この研究結果は、“SN1987A”や一般的な超新星爆発に対する新たな視点を提供することになるはずです。この研究は、ストックホルム大学のC.Franssonさんたちの研究チームが進めています。図1.ジェームズウェッブ...超新星“SN1987A”では中性子星が生成されていた!重い恒星が一生の最期に起こす大爆発で残されたコンパクトな天体の正体

  • 研究は研究者だけのものではない! 市民天文学者も貢献できる銀河分類のプロジェクト“GALAXY CRUISE”

    天文学者と一般市民が力を合わせ銀河の謎に迫る、国立天文台の市民天文学プロジェクト“GALAXYCRUISE(ギャラクシークルーズ)”から、初めての科学論文が出版されました。このプロジェクトでは、すばる望遠鏡の高感度・高解像度の画像と、市民天文学者による高い分類精度を組み合わせて、銀河が衝突・合体する際に銀河の中の様々な活動性が高くなることを明らかにしています。“GALAXYCRUISE”の分類結果は公開されているので、世界中の天文学者による利用で更なる発見がなされることが期待されます。本研究の成果は、日本天文学会欧文研究報告“PublicationsoftheAstronomicalSocietyofJapan;PASJ”に2023年9月26日付で掲載されました。図1.日本初の市民天文学プロジェック“GA...研究は研究者だけのものではない!市民天文学者も貢献できる銀河分類のプロジェクト“GALAXYCRUISE”

  • 衛星タイタンの場合だと、氷天体表面から地下海へ生命維持に十分な量の有機化合物を供給することは難しいようです

    太陽系には、表面を覆う分厚い氷の層の下に、広大な海が存在すると予想されている天体がいくつもあります。海というと生命の誕生や存在を期待させますよね。でも、液体の水の存在が“保証”されれば生命がいるかもしれないと考えていいのでしょうか?今回の研究では、天体表面に豊富な有機化合物を有し、地下に海があるかもしれないと考えられている土星の衛星タイタンについて、地表から地下へと輸送される有機化合物の量を推定しています。その結果、有機化合物の輸送量はグリシン換算で7500kg/年以下と、生命の維持には到底足りない量だと推定されました。今回の研究が示しているのは、有機化合物が豊富なタイタンでさえ生命の維持が困難なこと。他の天体では、より条件が悪い可能性を示唆しているようです。この研究は、ウェスタンオンタリオ大学のCath...衛星タイタンの場合だと、氷天体表面から地下海へ生命維持に十分な量の有機化合物を供給することは難しいようです

  • 太陽から遠く離れた天王星と海王星に3つの暗い衛星を発見! いずれも異なる場所で形成され現在の軌道に捕らえられた不規則衛星

    太陽系の惑星には大小様々な衛星が見つかっています。なかでも、木星や土星といった巨大な惑星は2桁以上の衛星を従えていますが、実際の総数がいくつなのかは分かっていません。今回、カーネギー研究所のスコット・S・シェパードさんたちの観測チームは、天王星の新衛星“S/2023U1”と、海王星の新衛星“S/2002N5”および“S/2021N1”の発見を公表しています。天王星は約20年ぶりに衛星が追加され、その総数は28個。海王星も約10年ぶりの衛星追加で、総数は16個になりました。さらに、海王星の新衛星“S/2021N1”は、太陽系のすべての衛星の中で、惑星から最も遠くを公転する衛星の記録を更新したそうですよ。図1.今回発見が公表された3つの新衛星。(Credit:ScottS.Sheppard,Magellant...太陽から遠く離れた天王星と海王星に3つの暗い衛星を発見!いずれも異なる場所で形成され現在の軌道に捕らえられた不規則衛星

  • ショートガンマ線バーストの駆動機構を解明! 中性子星合体により形成されたマグネター内部で強磁場が生み出されているようです

    今回の研究では、ドイツ・マックスプランク重力物理学研究所のスーパーコンピュータ“SAKURA”と理化学研究所のスーパーコンピュータ“富岳”を使用し、中性子星同士の連星による合体イベント“連星中性子星合体”に関する世界最高レベルの解像度の一般相対論シミュレーションに成功しています。その結果分かったのは、連星中性子星合体で形成される中性子星の一種“強磁場星(マグネター)”であれば、“ショートガンマ線バースト”を引き起こせる可能性があることでした。このショートガンマ線バーストは、ダイナモ機構と呼ばれる過程で駆動されるることも明らかになったようです。本研究の成果は、京都大学基礎物理学研究所の木内建太特任准教授(ドイツ・マックスプランク重力物理学研究所グループリーダー兼任)、同・柴田大所長/教授、東邦大学関口雄一郎...ショートガンマ線バーストの駆動機構を解明!中性子星合体により形成されたマグネター内部で強磁場が生み出されているようです

  • どの恒星の周りも公転していない自由浮遊惑星に連星は存在する? 候補の一つ“JuMBO 24”で観測データを得ることに成功

    どの恒星の周りも好転していない“自由浮遊惑星”は、どのように誕生するのでしょうか?これまでの理論では、惑星系内に破壊的な力学が働いた結果だと考えられてきました。でも、その場合には自由浮遊惑星は単独で存在することになるはずです。今回の研究では、ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡による観測で2023年に発見されたばかりの連星関係にある自由浮遊惑星の候補、全42組を“カール・ジャンスキー超大型干渉電波望遠鏡群(VLA)”で観測しています。その結果、唯一“JuMBO24”の観測に成功し、連星関係の自由浮遊惑星だという追加の証拠が得られることになります。このような連星関係にある自由浮遊惑星の誕生は、これまでの形成論ではうまく説明できないので、興味深い観測対象として注目されています。この研究は、メキシコ国立自治大学のLui...どの恒星の周りも公転していない自由浮遊惑星に連星は存在する?候補の一つ“JuMBO24”で観測データを得ることに成功

  • 鉄より重い元素の生成プロセスは“キロノバ”かも! 中性子星同士の合体で生成されたものが多いテルルやランタノイドの放射を観測

    天文学では、水素とヘリウムよりも重い元素のことは“重元素”と呼ばれています。その重元素は、恒星内部の核融合反応により生成され、恒星の死に伴い星間空間へと放出されます。なので、星の生と死のサイクルが十分に繰り返されていない初期の宇宙では、現在の宇宙に比べて重元素量が低かったと考えられています。ただ、恒星のエネルギー源となる核融合反応では、鉄(原子番号26)までしか生成されません。なので、鉄より重い元素が生成されるには、異なるプロセスが必要になります。中でも特に注目されているのは、超新星爆発や中性子星同士の合体といった超高エネルギーの天文現象です。その超高エネルギーの天文現象の一つに“キロノバ(Kilonova)”がありますが、その詳細な観測が困難なんですねー今回の研究では、観測史上2番目に明るいガンマ線バー...鉄より重い元素の生成プロセスは“キロノバ”かも!中性子星同士の合体で生成されたものが多いテルルやランタノイドの放射を観測

  • なぜ、火星の大気に含まれるメタンは1日という短時間で濃度が変化するのか?

    火星の大気には、わずかながらメタンが含まれています。メタンは自然現象だけでなく生命活動によっても放出されるので、その起源は注目されていました。ただ、火星のメタンには多くの謎があるんですねーその1つが、激しい濃度変化を示唆する測定結果です。そこで、研究チームが考えたのは、火星の大気構造の変化によって、メタンの濃度は1日以内の短時間でも変動するということ。研究では、比較的簡易なモデルではあるものの計算を実施。その結果は、これまでの測定結果を裏付けるものになりました。もし、この研究内容が正しい場合、日の出の直前にメタン濃度の激しい上昇が予測されるので、研究チームではこの時間帯に計測が行われることを期待しています。この研究は、ロスアラモス国立研究所のJohnP.Ortizさんたちの研究チームが進めています。図1....なぜ、火星の大気に含まれるメタンは1日という短時間で濃度が変化するのか?

  • 銀河とブラックホールはほぼ同時に誕生し、お互いの進化に影響を及ぼし合っている

    ほとんどの銀河の中心には、太陽の100万倍から100億倍の質量を持つ超大質量ブラックホールが存在すると考えられています。その銀河は、その中心にある超大質量ブラックホールとともに進化をするとされています。それでは、その銀河と中心ブラックホールは、どちらが先に生まれたのでしょうか?これまでの定説は、銀河が形成された後にブラックホールが誕生したというものでした。今回の研究では、ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡による宇宙初期の観測データとシミュレーション結果を組み合わせています。その結果、銀河とブラックホールは、ほぼ同時に誕生し、ブラックホールが銀河の星形成を加速したことが分かりました。これは、ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡の観測で示された初期の銀河が予想より多く存在する可能性を裏付ける成果といえます。この研究は、ソル...銀河とブラックホールはほぼ同時に誕生し、お互いの進化に影響を及ぼし合っている

  • 遠方宇宙に大量の活動的な巨大ブラックホールを発見! なぜ、宇宙誕生からわずか10~20憶年の時代に既に存在しているのか?

    今回の研究では、ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡の観測データを用いて、120~130憶年前の遠方宇宙に10個の巨大ブラックホールを発見しています。(図1)この数は、これまでの研究で予想されていた数と比べて50倍も高いもの。宇宙の誕生からわずか10~20憶年後の遠方宇宙に、すでに大量の巨大ブラックホールが存在していたことを示す重要な研究成果になります。この研究は、東京大学宇宙線研究所の播金優一助教を中心とする研究チームが進めています。本研究は、米国の天文学誌“アストロフィジカル・ジャーナル”に掲載されました。図1.研究チームが発見した、120~130憶年前の10個の巨大ブラックホールの疑似カラー画像。ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡もしくはハッブル宇宙望遠鏡で取得された3色の観測データを合成することで、画像に色を付...遠方宇宙に大量の活動的な巨大ブラックホールを発見!なぜ、宇宙誕生からわずか10~20憶年の時代に既に存在しているのか?

  • なぜ、小さな小惑星カリクローでは安定して環が存在するのか? 羊飼い衛星が1つ存在し、環との軌道共鳴状態にあることが条件

    カリクロー(Chariklo)は、環を持つことが知られている珍しい小惑星です。ただ、直径約250キロと小さいカリクローに安定した環がどのようにして存在しているのか、その理由は分かっていません。今回の研究では、シミュレーションを通じてカリクローの環が安定化する理由を探っています。その結果、カリクローに直径約3キロの衛星が1つ存在すれば、観測結果と一致する細い環が形成されることが分かりました。仮に衛星が存在するとしても、現在の観測技術では確認することは困難です。それでも、本研究の成果は、他の環を持つ小さな天体の観測に、役立つものなのかもしれません。この研究は、惑星科学研究所のAmandaA.Sickafooseさんとトリニティ大学のMarkC.Lewisさんの研究チームが進めています。図1、カリクローの環に接...なぜ、小さな小惑星カリクローでは安定して環が存在するのか?羊飼い衛星が1つ存在し、環との軌道共鳴状態にあることが条件

  • 表面を厚い水の層に覆われた惑星かも!? ハッブル宇宙望遠鏡が約97光年先の太陽系外惑星で水蒸気を検出

    モントリオール大学のPierre-AlexisRoyさんを筆頭とする研究チームは、うお座の方向約97光年先で見つかった太陽系外惑星“GJ9827d”の大気中に存在する水蒸気を検出したとする研究成果を発表しました。研究チームによると、“GJ9827d”のサイズは地球と比べて直径は約1.96倍、質量は約3.4倍。主星の“GJ9827”を約6.2日周期で公転しています。公転軌道が主星の近くになるので、表面温度は金星に近い約425℃と推定されています。主星の“GJ9827”は太陽と比べて直径と質量がどちらも約0.6倍、表面温度は約4030℃の橙色矮星(K型主系列星)で、“GJ9827d”以外に2つの系外惑星“GJ9827b”と“GJ9827c”が見つかっています。本研究の成果をまとめた論文は“TheAstroph...表面を厚い水の層に覆われた惑星かも!?ハッブル宇宙望遠鏡が約97光年先の太陽系外惑星で水蒸気を検出

  • 高速電波バーストの謎に迫るカギになる? マグネターの回転速度が上昇する双子のグリッチを発見

    今回の研究では、銀河系内の強磁場の天体(マグネター)“SGR1935+2154”をX線で高頻度に観測。2022年10月14日に発生した高速電波バースト(FastRadioBurst;FRB)の前後に、星の自転が急速に速くなるグリッチが2回起きたことを突き止めています。このことは、宇宙遠方で生じる高速電波バーストの発生機構を解明する上で、重要な一歩になる発見になります。宇宙の遠方から到来する謎の高速電波バーストは、2007年に発見が報告されて以来いくつもの事象が検出されています。でも、その放射源である天体や、その発生機構は現在まで明らかになっていませんでした。2020年に銀河系内のマグネターから高速電波バーストがX線のバーストと同時に検出されたことで、マグネターは高速電波バーストを放射する天体の正体として、...高速電波バーストの謎に迫るカギになる?マグネターの回転速度が上昇する双子のグリッチを発見

  • 保守的なハビタブルゾーンを公転する太陽系外惑星を発見! 惑星表面には大半の期間を通して液体の水が存在しているようです

    バーミンガム大学のGeorginaDransfieldさんを筆頭とする研究チームは、とびうお座の方向約137光年彼方に位置する恒星“TOI-715”を公転する太陽系外惑星を発見したとする研究成果を発表しました。この系外惑星は“TOI-715”のハビタブルゾーン内にあると見られていて、ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡などによる追加観測に期待が寄せられています。この研究の成果をまとめた論文は、“MonthlyNoticesoftheRoyalAstronomicalSociety”に掲載されました。図1.保守的なハビタブルゾーンに位置すると見られる太陽系外惑星“TOI-715b”(右)のイメージ図。(Credit:NASA/JPL-Caltech)太陽よりも暗い恒星の保守的なハビタブルゾーンを公転する系外惑星今回...保守的なハビタブルゾーンを公転する太陽系外惑星を発見!惑星表面には大半の期間を通して液体の水が存在しているようです

  • ヴィルト第2彗星は複雑な起源を持っている? チリの分析で誕生直後の太陽系に関する多くの情報が得られる可能性がある

    NASAの“スターダスト計画”によって、“ヴィルト第2彗星”からチリのサンプルが採集されたのが20年ほど前のこと。実は、現在でもチリの分析が続いているんですねーセントルイス・ワシントン大学のRyanC.Oglioreさんは、数年もの歳月をかけてヴィルト第2彗星のチリのサンプルを分析しています。その結果、当初の予測よりも極めて多様な組成を持つことを明らかにしました。このことは、彗星そのものや、彗星の組成を通じて誕生直後の太陽系の様子を推定する研究に、一定の影響を与えるものかもしれません。図1.NASAの彗星探査機“スターダスト”によって撮影された“ヴィルト第2彗星”の核。(Credit:NASA&JPL-Caltech)故郷は太陽から遠く離れた冷たい場所太陽に近づくにつれ美しい尾を見せてくれる“彗星”には、...ヴィルト第2彗星は複雑な起源を持っている?チリの分析で誕生直後の太陽系に関する多くの情報が得られる可能性がある

  • 太古の温暖な火星環境では生命の材料分子が効率的に生成されていた! “大気の光化学モデル”を用いて発見

    今回の研究では、太古の火星大気に含まれる、アミノ酸などの生命材料分子の原料となる重要分子“ホルムアルデヒド”の生成量を推定しています。用いられたのは、“大気の光化学モデル”という、大気中の化学物質の反応と変化を計算するためのモデル。その結果、ホルムアルデヒド分子が太古の火星の温暖な時代に、継続的に生成されていたことが示されました。この研究成果は、東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻の小山俊吾大学院生、同・寺田直樹教授、同・理学研究科地学専攻の古川善博准教授たちの共同研究チームによるもの。詳細は、英オンライン総合学術誌“ScientificReports”に掲載されました。図1.太古の温暖な火星でホルムアルデヒド(H2CO)が大気中で生成され、海の中で生命の材料分子に変換されるプロセスの概念図。(Cred...太古の温暖な火星環境では生命の材料分子が効率的に生成されていた!“大気の光化学モデル”を用いて発見

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