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  • 彗星コマ中のアンモニア分子はどこから来たのか? 別の分子などから二次的に放出されているのかも

    今回の研究では、C/2014Q2(Lovejoy)彗星で観測されたアンモニア分子(NH3)を生成する謎の未同定分子について、彗星コマとガスのシミュレーション結果と観測結果との比較から、太陽紫外線での光解離寿命を約500秒とする結果を得ています。近年、彗星核にはアンモニウム塩(※1)が、窒素原子のキャリアとして豊富ではないかと指摘されています。でも、今回の研究結果においては、シアン化アンモニウム(NH4CN)や塩化アンモニウム(NH4Cl)といった単純なアンモニウム塩の存在は否定的と言えます。※1.アンモニウム塩は化学式ではNH4Xと表記される分子種の総称。XにはCNやClなどが入る。それでは、どのような分子がアンモニア分子の生成起源となっているのでしょうか?今後の分光実験による研究の進展が望まれています。...彗星コマ中のアンモニア分子はどこから来たのか?別の分子などから二次的に放出されているのかも

  • 小惑星の軌道を意図的に変更するミッションで予想外の結果! 少なくとも4個の岩が火星に衝突する可能性があるようです

    小惑星の軌道を意図的に変更できるかどうかを検証したミッションがありました。それは、NASAの小惑星軌道変更ミッション“DART”で、目標天体となった小惑星の衛星“ディモルフォス”の公転軌道を変更することに成功しています。ただ、実験では事前に予測されていない結果をもたらしているんですねーその一つが、幅数メートルの岩がいくつも飛び出したことでした。今回の研究では、DARTミッションで飛び出したことが観測された37個の岩の軌道を追跡。そのうち4個が、将来的に火星に衝突する可能性があることを突き止めています。この分析結果は、地球や火星に衝突する小さな天体の起源を考察する上で、重要なものになるようです。この研究は、地球近傍天体調整センター(NEOCC)のMarcoFenucciさんとイタリア国立天体物理学研究所(I...小惑星の軌道を意図的に変更するミッションで予想外の結果!少なくとも4個の岩が火星に衝突する可能性があるようです

  • なぜ、コロナはこんなに超高温になるのか? 熱以外の手段でエネルギーを伝える仕組み光遷移とその確率を上げる電弱ホール効果

    太陽の表面温度(※1)は5500℃なのに、数千キロ上空の“コロナ(太陽コロナ)”の温度は100万℃にもなります。なぜ、コロナはこんなに超高温になるのでしょうか?このコロナが加熱されるメカニズムはまだ分からず…“コロナ加熱問題”と呼ばれるこの謎の解明は、太陽研究における大きな課題になっています。※1.太陽を含めた恒星の“表面”は、通常は不透明な部分の最表層部のことを指す。これは“光球”と呼ばれ視覚的な表面と一致する。今回の研究では、“電弱ホール効果”と呼ばれる現象を通じて、コロナ加熱のカギは素粒子“ニュートリノ”が崩壊して“光子”となるとする理論を発表しています。この研究は、北海道大学の石川健三さんと北海道科学大学の飛田豊さんの研究チームが進めています。熱以外の手段でエネルギーをコロナへ伝える仕組み地球から...なぜ、コロナはこんなに超高温になるのか?熱以外の手段でエネルギーを伝える仕組み光遷移とその確率を上げる電弱ホール効果

  • JAXAが発表! H3ロケット3号機は先進レーダー衛星“だいち4号”を載せて6月30日に打ち上げへ

    H3ロケット3号機による先進レーダー衛星“だいち4号(ALOS-4)”の打ち上げ予定日が決定したと、4月26日にJAXAから発表されました。設定された打ち上げ日は2024年6月30日。打ち上げ予定時刻は、日本標準時間の12時6分42秒~12時19分34秒。打ち上げ不備期間は7月1日から7月31日としています。H3ロケットは、種子島宇宙センター大型ロケット発射場から打ち上げられることになります。図1.H3ロケット試験機2号機打ち上げライブ中継より先進レーダー衛星“だいち4号”搭載される先進レーダー衛星“だいち4号”は、2014年に打ち上げられた陸域観測技術衛星2号“だいち2号”の後継機となります。Lバンド合成開口レーダーを搭載し、新開発のデジタル・ビーム・フォーミング技術などを活用することで、“だいち2号”...JAXAが発表!H3ロケット3号機は先進レーダー衛星“だいち4号”を載せて6月30日に打ち上げへ

  • 初期の天の川銀河に合体した2つの銀河の痕跡を発見! 大量の恒星データから見つけた古く運動方向や速度が揃った2つの集団

    初期の天の川銀河は、複数の小さな銀河が合体して誕生したと言われています。近年、恒星の位置や運動方向に関する大規模なデータが揃ったことで、合体した銀河の痕跡を具体的に知ることができるようになってきました。今回の研究では、大量の恒星が記録されている“ガイア”と“スローン・デジタル・スカイサーベイ(SDSS)”のデータを組み合わせて分析。そこから、合体した銀河の痕跡を探っています。その結果、今から約120~130億年前という極めて初期の時代に、天の川銀河と合体したと推定される2つの銀河の痕跡を発見することに成功。これらの銀河を、ヒンドゥー教の神話に因み“シャクティ(Shakti)”と“シヴァ(Shiva)”と名付けられたそうです。この研究は、ドイツ・マックス・プランク地球外物理学研究所(MPE)のKhyatiM...初期の天の川銀河に合体した2つの銀河の痕跡を発見!大量の恒星データから見つけた古く運動方向や速度が揃った2つの集団

  • 濃いガスの中で生まれた星が成長している間にも材料は外部から流れ込んでいる! なので星は絶えず化学的特徴を変え続けるようです

    太陽を始めとする恒星(星)は、材料となる分子ガスが雲のように集まった分子雲の中でも、特に分子ガスの密度の高い場所“分子雲コア”で生まれます。その星が生まれつつある分子雲コアで、外部から星の材料となるガスが追加で流れ込む構造が、最近の観測から見つかっています。このような構造は“ストリーマー”と呼ばれています。最近の研究からは、太陽系の形成段階においてもストリーマーが存在していた可能性が指摘されていて、その研究の重要性が認識され始めています。ストリーマーは、最終的に出来上がる星や惑星の化学組成に大きく影響すると考えられます。このことからもストリーマーを調べることは、生命を育む惑星系環境がどのように形成されるかを調べる上でも重要なことと言えます。今回の研究では、太陽と同程度の質量の星が生まれているペルセウス領域...濃いガスの中で生まれた星が成長している間にも材料は外部から流れ込んでいる!なので星は絶えず化学的特徴を変え続けるようです

  • 星の赤ちゃんの“くしゃみ”をアルマ望遠鏡による観測で発見! 星が誕生する過程で磁束を外に捨て去る仕組み

    太陽を始めとする恒星(星)は、材料となる分子ガスが雲のように集まった分子雲の中でも、特に分子ガスの密度の高い場所“分子雲コア”で生まれます。分子雲コアには磁力が働いていて、星が誕生する過程で磁束として分子雲コアのガスとともに星に持ち込まれます。でも、磁束をすべて持ち込んでしまうと超強力な磁力を持つ星になってしまい観測事実と合わなくなってしまいます。では、磁束を捨て去る仕組みは、どのようになっているのでしょうか?このことは磁束問題と呼ばれ、研究者の間で40年以上にわたり議論されていています。これまでは、磁気拡散という効果によって、星の周りの円盤から磁束のみがジワジワと染み出すように抜けていくと考えられていました。今回の研究では、地球から約450光年と星の誕生現場としては最も近いおうし座分子雲にある、“MC2...星の赤ちゃんの“くしゃみ”をアルマ望遠鏡による観測で発見!星が誕生する過程で磁束を外に捨て去る仕組み

  • 太陽系外縁天体は数十億年に渡ってほとんど変質を受けていない原始的な天体なのか? 小惑星アロコスの内部構造をモデル化した研究

    太陽系の8つの惑星のうち、最も外側を公転している海王星の公転軌道のさらに外側。そこには、“太陽系外縁天体”(※1)と呼ばれる天体が無数あります。※1.元の論文では、アロコスなどのような天体を“カイパーベルト天体(KBO)”と表現している。ただ、エッジワースとカイパーが予測した天体の存在や分布は、現在知られているものとは大きく異なっていて、この名称には異論もある。最近では、正確にはイコール関係ではないものの、ほぼ同義語かつ中立的な語として“太陽系外縁天体”という呼称が使われる傾向にので、ここでは太陽系外縁天体と表現を使用している。その太陽系外縁天体は、形成時に取り込んだ揮発性物質(低温でも蒸発しやすい成分)を、現在でも保持しているのではないかと考えられています。でも、揮発性物質がどのような形で保持されている...太陽系外縁天体は数十億年に渡ってほとんど変質を受けていない原始的な天体なのか?小惑星アロコスの内部構造をモデル化した研究

  • 太陽観測衛星“SOHO”の画像から見つかった彗星が5000個に到達! ボランティアによる市民科学プロジェクトによる成果

    NASAとヨーロッパ宇宙機関の太陽観測衛星“SOHO”は、太陽を観測しながら、太陽のごく近くを通過する彗星を次々と見つけてきました。“SOHO”は彗星を観測する衛星ではないにもかかわらず、これまでに“SOHO”以外が発見してきた全ての彗星を上回るほどの数の彗星を発見しているんですねーそして、観測開始からもうすぐ28年となる2024年3月25日のこと、“SOHO”の撮影画像から発見された彗星の数がちょうど5000個目に到達。このマイルストーンは多くの人々の協力なしには達成できなかった数値で、市民科学が科学的研究に影響を与えていることを示す一例となりました。図1.太陽観測衛星“SOGO”のイメージ図。“SOHO”は太陽を観測するために設計・運用されていたが、図らずも彗星観測にとって有用なこと分かった。(Cre...太陽観測衛星“SOHO”の画像から見つかった彗星が5000個に到達!ボランティアによる市民科学プロジェクトによる成果

  • 天の川銀河で最大の恒星質量ブラックホールを発見! 重元素の少ない恒星から生まれたようです

    恒星質量ブラックホールは、大質量星が超新星爆発を起こした後に誕生する、太陽の数倍~数十倍程度の質量を持つブラックホールです。今回発見されたのは、これまで天の川銀河で発見された中で最も重い恒星質量ブラックホールでした。このブラックホールが位置しているのは、わし座の方向約1962光年彼方、質量は太陽の約33倍。ヨーロッパ宇宙機関の位置天文衛星“ガイア”(※1)のデータから、恒星が見えざる天体に振り回されているように見える事例を探すことで発見されました。“ガイア”はヨーロッパ宇宙機関が運用する衛星で、天の川銀河の精密な3次元マップを作ることを目的とし、天体の位置や運動について調査する位置天文学に特化した宇宙望遠鏡です。天の川銀河に属する莫大な数の恒星の位置と速度を、きわめて精密に測定・記録しています。※1.“ガ...天の川銀河で最大の恒星質量ブラックホールを発見!重元素の少ない恒星から生まれたようです

  • ホットジュピター“WASP-76b”は光輪が確認された初の系外惑星かも? 虹色の円が何重にも重なる大気現象のメカニズム解明へ

    最も研究されているホットジュピターの一つ“WASP-76b”では、金属鉄の雨が降るような極端な環境があると推定されています。でも、観測データのすべてを科学的に解釈できる訳はなく、多くの謎も残されているんですねー今回の研究では、“WASP-76b”の謎の一つである、“ターミネーターゾーン(昼側と夜側の境目)”における反射光の非対称性について調べています。その結果、“WASP-76b”では“光輪”と呼ばれる大気現象が発生しているかもしれないというユニークな結果が得られました。もし、この結果が正しい場合、“WASP-76b”は光輪の発生が確認された初の太陽系外惑星(系外惑星)になるそうです。この研究は、ポルト大学のLlivierDemangeonさんたちの研究チームが進めています。図1.“WASP-76b”で発...ホットジュピター“WASP-76b”は光輪が確認された初の系外惑星かも?虹色の円が何重にも重なる大気現象のメカニズム解明へ

  • なぜ表面温度が高いの? 観測的な証拠によって潮汐ロックが証明された初のスーパーアースを加熱しているもの

    太陽以外の恒星を公転する“太陽系外惑星(系外惑星)”が初めて見つかったのは1995年のこと。これまでに発見されている系外惑星の多くが、恒星のすぐ近くの軌道を公転しているものでした。これらの系外惑星は、恒星から受ける潮汐力が大きいことから、地球の月のように公転周期と自転周期が一致し、常に同じ面を恒星に向けている“潮汐ロック”をしていると考えられています。ただ、系外惑星の潮汐ロックは、ほとんどの場合推定にとどまっている状況です。特に、地球より大きな岩石惑星“スーパーアース”では、これまで観測によって実証されたことはありませんでした。今回の研究では、スーパーアースの一つ“LHS3844b”について、NASAの赤外線天文衛星“スピッツァー”の観測データを惑星モデルに当てはめることで、潮汐ロックの証拠が見つかるかど...なぜ表面温度が高いの?観測的な証拠によって潮汐ロックが証明された初のスーパーアースを加熱しているもの

  • “ボイジャー1号”で発生していた読み取り不能なデータ送信の解決策は、破損メモリを経由せずにデータを読み出すこと

    NASAが1977年に打ち上げた惑星探査機“ボイジャー1号(Voyager1)”は、2023年11月から読み取り不能な状態のデータを送信するトラブルを抱えていました。今回、NASAが公式ブログ(2024年4月4日投稿)で公表したのは、このトラブルの原因を特定できたこと。原因は、問題が発生したコンピュータのメモリの一部が破損していことでした。問題解決には数週間から数か月かかる可能性があるものの、NASAは壊れたメモリを経由せずにデータを読み出せる方法を見つけられると、楽観的な見方をしています。図1.星間空間を航行するNASAの惑星探査機“ボイジャー”のイメージ図。(Credit:NASA/JPL-Caltech)星間空間を航行する老探査機“ボイジャー1号”が抱える問題1977年に打ち上げられたNASAの“ボ...“ボイジャー1号”で発生していた読み取り不能なデータ送信の解決策は、破損メモリを経由せずにデータを読み出すこと

  • 天の川銀河の起源解明へ! 外からやってくるガス雲の重元素量分布を世界で初めて作成

    宇宙における重元素量(※1)は、宇宙の進化を解明する上で必須の重要な値です。特に天の川銀河周辺における重元素の定量は、銀河系の起源解明におけるもっとも重要な課題の一つと言えます。今回の研究では、天の川銀河に落下するガス雲(高速度雲・中速度雲)(※2)の重元素量分布について、全天に渡る精密な地図を世界で初めて作成しています。※1.天文学では、水素とヘリウムよりも重い元素のことを“重元素”と呼ぶ。重元素は、恒星内の核融合反応や超新星爆発によってのみ合成されるので、銀河系内を循環するガスには多く含まれ、銀河系外から飛来するガスには少量しか含まれない。ただ、いずれの場合でも水素に比べればごく微量である。水素に対する重元素の割合は重元素量と呼ばれ、太陽表面で水素に対する質量比は約1%となる。※2.太陽系から観測され...天の川銀河の起源解明へ!外からやってくるガス雲の重元素量分布を世界で初めて作成

  • 大マゼラン雲に10個の低金属星を発見! 初代星の性質や初期宇宙の環境に関する見方が変わるかも

    宇宙で最初に誕生した恒星“初代星(ファーストスター)”の性質を知るには、今のところ初代星が放出した物質を取り込んだガス雲から生まれたと考えられている“低金属星”を調べる間接的な方法が頼りです。ただ、低金属星は10万個に1個程度という非常にまれな存在。なので、これまで性質が詳しく調べられたもののほとんどは、天の川銀河に属するものでした。今回の研究では、天の川銀河の衛星銀河“大マゼラン雲”に含まれる恒星を調査し、その中から低金属星を10個ピックアップして分析を行っています。その結果、大マゼラン雲の低金属星は、天の川銀河のほとんどの低金属星とは異なる元素の比率を持つことが判明しました。元素の比率の違いは、低金属星が形成された環境の違いを反映していると考えられます。なので、今回の発見は初期宇宙の様子探る重要な手掛...大マゼラン雲に10個の低金属星を発見!初代星の性質や初期宇宙の環境に関する見方が変わるかも

  • 観測史上2番目となる火星のL4トロヤ群小惑星を発見! 火星と同じ公転軌道を同じ距離を保ちながら運動する小惑星群の起源に迫る

    太陽を惑星が公転しているときに、太陽や惑星と比べて質量がずっと小さい小惑星などの天体が、太陽や惑星の重力に対して静止した状態を保てる5つの場所があります。その場所をラグランジュ点と言い、その中でもL4・L5付近を運動する小惑星のグループのことをトロヤ群と呼びます。トロヤ群は、惑星の公転軌道を移動する小惑星のグループのことで、太陽から見て惑星に対して60度前方あるいは60度後方の軌道に分布しています。ここでは、太陽と惑星の重力や小惑星のグループにかかる遠心力が均衡しているんですねーこれまでに発見された火星のトロヤ群小惑星は16個。その大半は火星に従うように公転しているように見える“L5点付近(公転する火星の後方)”に属していて、火星に先行し公転しいるように見える“L4点付近(公転する火星の前方)”に属する小...観測史上2番目となる火星のL4トロヤ群小惑星を発見!火星と同じ公転軌道を同じ距離を保ちながら運動する小惑星群の起源に迫る

  • 紀元前1万2351年に発生した史上最大の太陽嵐の痕跡を発見! 1年単位という非常に高い精度での炭素14濃度の決定が決め手

    太陽活動に伴う“太陽嵐”は、大規模なものでは現代の文明に致命的な影響を与えかねない現象です。そのような活動は過去何度も繰り返されてきたと見られていますが、過去の太陽活動を知るのは容易なことではないんですねー今回の研究では、年代測定で重要となる“炭素14”の濃度を調査。そこから、紀元前1万2351年からの1年間という非常に正確な年代の範囲内で、炭素14の発生量が顕著に増大した“三宅イベント(Miyakeevent)”があることを突き止めています。他の角度からの調査も合わせると、紀元前1万2351年の三宅イベントは知られている中で最大の太陽嵐の痕跡と見られています。今回の研究と校正によって得られた年代測定は精度が高く、これほど細かく年数を特定することができるという点も重要な成果と言えます。この研究は、エクス=...紀元前1万2351年に発生した史上最大の太陽嵐の痕跡を発見!1年単位という非常に高い精度での炭素14濃度の決定が決め手

  • うみへび座銀河団で謎の電波放射を発見! 銀河団が持つ巨大な重力エネルギーはどのように変換されているのか

    近傍銀河団の中に、これまで見つかっていなかった電波放射(※1)が見つかりました。※1.電波放射(シンクロトロン放射)は、光速に近い速度の荷電粒子(主に電子)が、磁力線の周りを円運動しながら進む時に放出される電磁波のこと。この発見は、低周波の電波観測の必要性とX線を放射する高温プラズマとの比較の重要性を明確にするとともに、銀河団の進化を解明する新たな道筋をつける成果になるようです。この研究は、名古屋大学素粒子宇宙起源研究所の中澤知洋准教授、理学研究科の大宮悠希博士、後期課程学生及び、国立天文台水沢VLBI観測所の蔵原昂平特任研究員をはじめとする研究チームが進めています。この研究成果は、Kuraharaetal.“DiscoveryofDiffuseRadioSourceinAbell1060”として、202...うみへび座銀河団で謎の電波放射を発見!銀河団が持つ巨大な重力エネルギーはどのように変換されているのか

  • 天体衝突シミュレーションで衛星エウロパ表面を覆う氷の殻の厚さに迫る! ヒントは氷殻の構造に強い影響を受ける多重リング盆地

    表面が厚い氷で覆われる木星の第2衛星エウロパでは、潮汐加熱によって内部に広大な海が存在すると考えられ、生命が存在する可能性がる天体として注目されています。今回の研究では、エウロパの表面“多重リング盆地”と呼ばれる地形に着目。国立天文台が運用する計算サーバを用いて天体衝突シミュレーションを行うことで、多重リング盆地の形成過程を調べ、エウロパの氷殻の厚さを導き出しています。計算の結果、“硬い層”と“もろい層”からなる少なくとも約20キロの厚さの氷殻があると考えると、多重リング盆地の地形をよく説明できることが明らかになりました。氷殻の厚さはエウロパでの生命居住可能性を議論する上で重要な情報となるので、今後の進展が期待されます。この研究は、アメリカ・パデュー大学の脇田茂研究員たちの研究チームが進めています。本研究...天体衝突シミュレーションで衛星エウロパ表面を覆う氷の殻の厚さに迫る!ヒントは氷殻の構造に強い影響を受ける多重リング盆地

  • 傾圧不安定波が極から赤道へと熱を運んでいることが観測から判明! これにより太陽の磁気活動の源“差動回転”が維持されている

    太陽の磁気活動の源“差動回転”の維持には、極が赤道に比べてわずかに暖かいことが必要となります。今回の研究では、観測されている慣性波の中でも、特に極域で時速70キロという大きな速度振幅を持つモードに着目。最新の数値シミュレーションを実施することで、傾圧不安定波が極から赤道へと熱を運ぶことで、極と赤道間の温度差を7度以下に抑える働きをしていることを突き止めています。どうやら、傾圧不安定波が太陽の自転分布に決定的な役割を果たしているようです。この研究は、ドイツ・マックスプランク太陽系研究所(MPS)の戸次宥丸人さんたちの研究チームが進めています。太陽の磁気活動の源“差動回転”太陽内部の自転速度は緯度によって異なり、極は約34日周期で比較的ゆっくり回転しているのに対して、赤道は約24日周期と速く回転していることが...傾圧不安定波が極から赤道へと熱を運んでいることが観測から判明!これにより太陽の磁気活動の源“差動回転”が維持されている

  • 地球型惑星が生命の存在に適した環境になる条件の一つ! 原始星周辺の氷の粒から複雑な有機化合物を発見

    私たち生命の起源を宇宙の視点から解明することは、宇宙生物学の目的の一つかもしれません。ビッグバン以降、水素やヘリウムといった元素が生成され、“恒星内部の核融合反応”や“超新星爆発などの激しい天体現象”を通じて、様々な原子や分子が誕生してきました。このように生成された原子や分子は、恒星の星風や超新星爆発によって周囲に放出され、やがて新たな世代の星に受け継がれていくので、宇宙の原子や分子は恒星の世代交代が進むとともに増えていくことになります。また、これらの過程で生じた炭素を含む有機化合物は、生命の基本的な構成要素になります。そのため、有機化合物から生命が誕生したシナリオを宇宙の歴史の中で作り上げることは、地球以外の惑星に知的な生命体が存在するのかを考える上で重要なヒントになるはずです。今回の研究では、ジェーム...地球型惑星が生命の存在に適した環境になる条件の一つ!原始星周辺の氷の粒から複雑な有機化合物を発見

  • 月の南極地域は科学的調査や有人探査計画で注目されているけど、月固有の地震“月震”のリスクは考えなくてもいい?

    地球唯一の衛星“月”は、太陽系全体を見渡しても5番目に大きな衛星で、周回している惑星との直径比・質量比は太陽系で最大になります。月と同程度の大きさの他の衛星は、地球よりずっと大きな惑星を周回していることを考えると、月は特別な存在と言えます。その月は内部が冷えることで徐々に収縮しているんですねー月の表面は固くもろい岩石でできているので、収縮によって表面には断層や崖が形成されています。今回の研究では、月の南極地域の地形から、月の表面を覆うレゴリスの斜面における崩れやすさを推定。過去に南極地域で発生したことが考えられるマグニチード5.3の月固有の地震“月震”の影響を調べています。(※1)※1.マグニチュードには複数の定義があり、後述するN9事象の規模は、リヒタースケールで約5、実体波マグニチュードで5.5以上と...月の南極地域は科学的調査や有人探査計画で注目されているけど、月固有の地震“月震”のリスクは考えなくてもいい?

  • ボーイングの新型宇宙船“スターライナー”の有人飛行試験は2024年5月6日に実施! ULAの“アトラスV”ロケットで打ち上げへ

    ボーイング社の商業用旅客機“ストラトライナー”や“ドリームライナー”に連なる名前が付けられた開発中の有人宇宙船“スターライナー(CST-100Starliner)”。NASAによると、早ければ2024年5月6日(アメリカ現地時間)に、有人飛行試験“CFT(CrewFlightTest)”による打ち上げを実施するそうです。(2024年4月2日発表)図1.2022年5月に実施された無人飛行試験“OFT-2”で国際宇宙ステーションに接近するボーイング社の新型宇宙船“スターライナー”。(Credit:NASATV)“スターライー”はスペースX社の“クルードラゴン”とともに、NASAのコマーシャルクループログラム(宇宙飛行士の商業輸送契約)のもとで開発がスタートした4人乗りの有人宇宙船です。初飛行は、2019年12...ボーイングの新型宇宙船“スターライナー”の有人飛行試験は2024年5月6日に実施!ULAの“アトラスV”ロケットで打ち上げへ

  • 太陽系の外側に広がるエッジワース・カイパーベルトはどこまで広がっている? 冥王星よりもずっと遠くでもチリは減少しないようです

    太陽系の外側には冥王星などの氷天体が無数にあり、それらが密集したエッジワース・カイパーベルトという領域を作っています。ただ、エッジワース・カイパーベルトがどこまで広がっているのかは、よく分かっていません。これまでの予測では、太陽から約75億キロを超えた距離で天体の密度が低くなり始めること。その場合、空間内にあるチリの量も少なくなるはずでした。今回の研究では、NASAの冥王星探査機“ニューホライズンズ”の観測データを分析しています。その結果、チリが減少すると予測された距離を超えても、ほとんど低下していないことを突き止めました。この結果が示しているのは、エッジワース・カイパーベルトが予想よりも遠くまで広がっている可能性があること。ひょっとすると、外側にもう一つエッジワース・カイパーベルトが存在するのかもしれま...太陽系の外側に広がるエッジワース・カイパーベルトはどこまで広がっている?冥王星よりもずっと遠くでもチリは減少しないようです

  • 爆発的に星を生み出す銀河のメカニズム解明へ! 分子の検出が星の進化の各段階の指標として使えるようです

    今回の研究では、アルマ望遠鏡を用いて銀河系外の爆発的に星を生み出している銀河“NGC253”の中心部を観測し、100以上の分子種を検出。その解析により、“NGC253”中心部には星の進化の様々な段階にある領域が混在している様子を、これまでになく詳細に描き出しています。また、得られた多数の分子種の分布図に機械学習の手法を適用。すると、これまで星の進化段階を知るための“指標”として使われてきた分子種に加え、いくつかの分子種が指標として使えることが明らかになりました。現在進行中のアルマ2計画により、広い周波数範囲の観測に要する時間は格段に短縮されるはず。このアルマ2計画の後押しを受けることで、今後より多くの指標分子の同時観測により、爆発的に星を生み出すメカニズムの理解が進むと期待されます。この研究は、国立天文台...爆発的に星を生み出す銀河のメカニズム解明へ!分子の検出が星の進化の各段階の指標として使えるようです

  • 木星の衛星エウロパの地下海に供給される酸素の量は少ない? 探査機“ジュノー”の観測データから分かったこと

    表面が3キロに及ぶ氷で覆われる木星の第2衛星エウロパ。この衛星では、潮汐加熱によって内部に広大な海が存在すると考えられています。潮汐加熱とは、別の天体の重力がもたらす潮汐力によって天体の内部が変形し、加熱される現象のこと。この変形を繰り返すことで、発生した摩擦熱により衛星内部は熱せられることになります。エウロパには、この潮汐加熱によって作られた地球の海水の2倍という大量の水をたたえた地下海が、氷の外殻の下に広がっているのではないかと考えられていて、生命が存在する可能性も指摘されています。さらに考えられるのは、地下海に表面の氷が分解して生じた酸素が供給されていること。地下海に酸素呼吸を行う生命がいれば、貴重な供給源となっている可能性もあります。でも、エウロパの酸素発生量を推定するためのデータが乏しく、推定さ...木星の衛星エウロパの地下海に供給される酸素の量は少ない?探査機“ジュノー”の観測データから分かったこと

  • 核融合反応を終えた天体“白色矮星”は冷えていくはず… 重い白色矮星の約6%でしか起こらない加熱プロセスを解明

    超新星爆発を起こさない比較的軽い恒星(質量は太陽の8倍以下)が、赤色巨星の段階を経て進化した天体が白色矮星です。赤色巨星に進化した恒星は、周囲の宇宙空間に外層からガスを放出して質量を失っていき、その後に残るコア(中心核)が白色矮星になると考えられています。標準的な恒星進化論で考えると、太陽は今から約70億年後(誕生から約120億年後)には赤色巨星になり、外層が地球を飲み込むほど膨張した後に少しずつ離れていき、最終的には白色矮星を残すと考えられています。一般的な白色矮星は直径こそ地球と同程度ですが、質量は太陽の4分の3程度もあるとされる高密度な天体。誕生当初の白色矮星の表面温度は10万℃を上回ることもありますが、内部で核融合反応は起こらず余熱で輝くのみなので、太陽のように単独の恒星から進化した白色矮星は長い...核融合反応を終えた天体“白色矮星”は冷えていくはず…重い白色矮星の約6%でしか起こらない加熱プロセスを解明

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