昆虫採集をする上で、公園にお世話になることは多いと思います。しかし、公園は公共の場。法的な規制はない場合でも公園ごとの守るべきルールが定められていることがほとんどです。昆虫採集を禁止する看板(埼玉県)今回の記事では、特に昆虫採集に関係する公園のルールを確認していきましょう。採集禁止について検索されることが多い代表的な公園をいくつかピックアップして紹介します。<目次>必ず「公式ホームページ」などを確...
本気でやる昆虫採集の楽しさと現実を伝えたい。 あまり広く知られていないようなマニアックな昆虫の魅力を紹介したい。 そんな思いで、自身が行なっている長野県を中心とした昆虫採集の記録を残しています。
昆虫採集をする上で、公園にお世話になることは多いと思います。しかし、公園は公共の場。法的な規制はない場合でも公園ごとの守るべきルールが定められていることがほとんどです。昆虫採集を禁止する看板(埼玉県)今回の記事では、特に昆虫採集に関係する公園のルールを確認していきましょう。採集禁止について検索されることが多い代表的な公園をいくつかピックアップして紹介します。<目次>必ず「公式ホームページ」などを確...
はじめに生物標本は過去のある時点における生物の存在を示すものです。そしてその標本の内部には、当時のDNAが残されている可能性があります。生物標本の新しい活用方法として、近年注目を集めているのがDNA解析です。標本に含まれるDNAを取り出すことで、分類や保全の上で役に立つ情報を得られることもあるのです。最近出た書籍、『タイムカプセルの開き方: 博物館標本が紬ぐ生物多様性の過去・現在・未来』(種生物学会,2024)...
2024.10.20この日はいつもより調子のいい日でした。「散歩行くか」休日の習慣になっている散歩へ、いつものように出かけます。そういえば……今日は何日だっけ。もう、20日……20日!?10月もう終わってしまうのか!!10月も終わりが近づいてきて、だいぶ寒くなってきましたよね。日中活動する虫を探せる時期も終わりが近いが……やり残したことが、ある__ダラダラと1日を溶かしていていいのか。散歩を始めてから数分でUターンし、準備...
サシガメ(科)はカメムシ目に属するグループで、日本にはおよそ120種が生息しています。捕食性の格好いいカメムシで、色や形のバラエティに富むグループでもあります。美しいキイロサシガメ。ライトトラップに飛んでくることもある。そんなサシガメたちを狙って探してみたことはありますか?私は夜間ルッキングやライトトラップ、冬季採集でポツポツと採集する事はありましたが、特定の種を真剣に探した事はありませんでした。今...
2024.08.24ことの発端は、とある日の採集で。このようなオギの多い河川敷でスウィーピングをしていた時のことです。何やら見覚えのある毛虫が網に入っていました。この黄色い毛虫は……スゲドクガ Laelia coenosa sangaica Moore, 1877ですね。スゲドクガはドクガ科に属しますが幼虫・成虫とも無毒なガです。幼虫は湿地環境に生えるスゲ類(カヤツリグサ科)のほか、ガマ科、ヨシやオギなどのイネ科の葉を食べます。湿地の減少に伴い...
キョウチクトウスズメについて【ウンモンスズメとの違い、幼虫の飼育】
キョウチクトウスズメ Daphnis nerii (Linnaeus, 1758)は緑色のスズメガの仲間です。同じスズメガ科のウンモンスズメとは色合いや雰囲気が似ていて、間違えられることもあります。本題に入る前にまずはウンモンスズメとの違いを確認しておきましょう。キョウチクトウスズメとウンモンスズメは模様で見分ける両種は模様が異なります。キョウチクトウスズメの方が大型でやや複雑な模様をしています。キョウチクトウスズメとウンモン...
2024.09.07わりと調子がよかったこの日は、朝から車で少し遠方に出かけることにしました。天気もよい日で、この季節に現れるオオトラカミキリを探しにモミ林に行きたくなりました。が、着いたのはクヌギやコナラの多い典型的な里山の雑木林モミ林の徘徊は今の私にはまだちょっとキツイかなと思ったので、今日は片道1時間もかからないような丘陵地に来ました。森の中や林縁を歩きながら、ゆったり虫探しをできるような計画にしてい...
昆虫の採集というのは趣味で行われるものばかりではありません。ある場所で各種の事業(土地開発とか)が起こるとき、事前調査や事後調査によって決まったエリアの動植物が調査されることがあります。こういった調査はたいてい何らかの環境調査会社が実施しており、調査で得られたサンプルも多くはその会社で保管されます。そのサンプルが最終的にどうなっているか、知っていますか。調査の証拠として一定期間保管された後……廃棄処...
日本においてコオイムシ属(Appasus)は、コオイムシ Appasus japonicus Vuillefroy, 1864オオコオイムシ Appasus major (Esaki, 1934)の2種が知られています。コオイムシもオオコオイムシも北海道・本州・四国・九州に分布します。ただし対馬にはコオイムシのみが分布します。♂が卵を背負う姿から「子負い虫」の名で呼ばれますどちらも水生植物が豊かな止水域を中心に生息する水生昆虫で、時には混生します。2種は非常によく似て...
北海道~四国でみられるチビタマムシ図鑑(18種類のTrachys属を検索)
日本国内からはこれまでに20種のチビタマムシ属(Trachys)が見つかっています。私はこれまでにタマムシ採集を頑張って、このうち18種までを集めることができました。ヤノナミガタチビタマムシ。冬季の樹皮めくりではおなじみ。北海道・本州・四国に分布する種としては、UMAのクサビチビタマムシを除いた全種が手元にそろっています。せっかくなので、集めた標本の写真を使って各種を比較してみました。※本記事は日本産タマムシ大...
2024.08.18今日は曇りの予報で、気温もそこまで上がらないようだったので採集に出ました。朝早くから出て、午前中には帰ってくるような計画での近場採集です。これくらいなら今の私でも無理なくやれそうでした。6時頃に家を出て、河川敷に向かいます。ギンイチモンジセセリの夏型は銀色の筋が目立たない河川敷ではギンイチモンジセセリの夏型が出ていました。環境省レッドリストにおける準絶滅危惧種ですが、この辺りではごく普通...
休職から復帰して3ヶ月ほど経ちました。当初は週に2、3日は調子が悪くて休んでいましたが、最近は会社に出れる日が多くなりました。先月はようやく欠勤ゼロを達成。中で仕事する分には問題なくやれています。調子が良い日も多くなり、週末も半日ほどなら近所に採集行ったり出かけたりできるようになってきました。そんな中でまだ出来ていないのが、遠方での一日採集。近所の採集なら疲れた段階で帰宅することができますが、遠方だ...
科博の特別展「昆虫 MANIAC」で昆虫のマニアックな世界に浸ってきました
今年、東京都の上野にある国立科学博物館では「昆虫 MANIAC」という特別展が行われています。(7/13(土)~10/14(月・祝))2018年に行われた特別展「昆虫」に続く内容ということで、今回はよりマニアックな内容になっていました。会場内では基本的に自由に写真撮影ができる今回の記事では、筆者が実際に特別展をまわってみての感想をまとめました。行こうか迷っている方の参考になれば幸いです。また、行かないけどどんな感じな...
2000種以上の生物写真を全てフリー素材にします【iNaturalist】
私が生物の写真を撮り始めたのは、2013年秋にスマホを手に入れてからです。ブログを始めたこともあり、これまでに多くの昆虫や野鳥の写真を撮りためてきました。2024年7月現在、2316種の生物写真があります。せっかく撮りためた写真。何らかの利活用を図ってみたいと思いまして、全ての写真をフリー素材にすることにしました。写真データの公開にはiNaturalistを用いました。写真の質はお察し(笑)なので、全部無料にしています。も...
クワコの幼虫を見つけたので飼育して成虫を羽化させてみた【カイコの原種】
クワコ幼虫の発見5月4日に河川敷に出かけた時のことです。道沿いに生えているヤマグワにクワコの幼虫がいました。若いクワコの幼虫はアゲハの幼虫に似ているクワコ Bombyx mandarina mandarina (Moore, 1872) はカイコガ科のガの一種で、養蚕に用いられているカイコ B. mori (Linnaeus, 1758)の原種(野生種)=祖先と考えられています。クワコの分布は広く、国内では北海道からトカラ列島まで各地に広くみられ、台湾、朝鮮半島、中...
昆虫標本における同定ラベルとコレクションラベル【データラベル以外のラベル】
昆虫標本には必ずラベルをつけますが、そのラベルにもいくつか種類があることを知っていますか?昆虫標本のラベルは以下の4種類に大別されます。データラベル 採集地、採集年月日、採集者名など「標本を得た状況に関する基本情報」を示すもの(必須)。タイプラベル新種を記載する際に基準となる標本につけるもの。同定ラベル和名、学名と記載者名、同定者と同定年など「同定の結果」を示すもの。コレクションラベル標本ごとに固...
文献をPDF化してスマートに管理しよう ~ScanSnap iX1300~
写真は2024年6月現在の私の本棚の一部です。この段の半分近くを占めている白い冊子は「月刊むし」や「埼玉昆虫談話会」などの雑誌・同好会誌です。こういった文献は後で参照することもあるため、読み終えても捨てずに保管するのですが……毎年少しずつ増えて本棚を圧迫していきます。限界が来る前に対策を、と思い……「文献のPDF化」をやってみることにしました。自炊の選択肢:裁断するか非破壊か文献を電子データ化する作業のことを...
アオマダラタマムシ / Nipponobuprestis (Nipponobuprestis) amabilis (Voollenhoven, 1864)
葉上に降り立った(2023.05.21 埼玉県)アオマダラタマムシは国内では本州・四国・九州と対馬に分布する、タマムシ科の甲虫です。タマムシの仲間としては大型で、大きさは16-29mmほど。翅のまだら模様がたいへん美しいことが特徴のタマムシです。地域によってはやや珍しい昆虫で、埼玉県や千葉県、石川県、高知県、長崎県など12の県でレッドリスト(レッドデータブック)に掲載されています。(2024年6月現在)本記事ではそんなア...
ホソヒメヒラタアブとミナミヒメヒラタアブの比較(ヒメヒラタアブ属の同定)
最もよくみるハナアブ明るい草地に咲いているハルジオンなどの花には多くの昆虫が訪れています。その中でも一番よくみるのは以下のような虫ではないでしょうか。これはミナミヒメヒラタアブというハナアブ科の昆虫で、花によく訪れています。ハナアブ科はハエ目の昆虫で見た目はハチに似ていますが、針は持たず人を刺すことはありません。本記事ではこの仲間としては最もよくみられるホソヒメヒラタアブとミナミヒメヒラタアブの2...
それ、セボシジョウカイですか?こんな虫を見たことはありますか?春から初夏に草地や林縁部でよく見かける、オレンジ色のこの虫は……セボシジョウカイ Lycocerus vitellinus (Kiesenwetter, 1874) かもしれません。セボシジョウカイはジョウカイボン科に属する甲虫の仲間で、北海道から九州までの各地に広く分布しています。多くの個体で背中に黒い点があることが特徴で、これが名前の由来(背星)です。人家の庭にもあらわれる虫...
昆虫標本データを公開しました。標本を活用してくれる方に無料で提供します。
私が2012年から2023年までに趣味で作成した昆虫標本は、10000件を超えるほどになりました。コレクションラベルを全ての標本につけたことで集計できるようになりましたせっかく作った標本。いろいろな利活用を図ってみたいと思いまして、標本のデータを一部公開することにしました。標本データの公開には個人収蔵.comを用いました。そして、一定の条件をご理解いただける方に限定して、(基本的に調査・研究などの目的の方に)データ...
【昆虫標本】現在持っている標本箱を全て紹介します(2013~2023)
本記事では私が持っている標本を、標本箱の単位で紹介しています。前にも同じ記事を書いていますが、あれから3年分の採集品が加わり、標本箱の中身も変わりました。(前回記事:【昆虫標本】現在持っている標本箱を全て紹介します(2013~2020))改めて、現在の標本箱の状況とその変化を伝えられたらと思います。前回は標本箱そのものに関する説明が抜けていたので、今回はそれを前半に追加しました。<目次>2種類の「ドイツ箱」を使...
ゴールデンウィークということで、春に出現する昆虫類も出そろう時期になってきました。晴れても暑すぎるということは少なく、暖かい日差しが心地よい季節。こんな時期には、野外に出かけたくなるものです。今回は家の近くのよく通っている河川敷周辺を巡りながら、春の昆虫たちに会いに行きました。低地の昆虫採集にもいろんな楽しみ方があることを知っていただければと思い採集記を書きました。2024.04.25ひどい夢を見た。1つ目...
データベースの内容をExcel上でまとめて昆虫標本のラベルを作る
昆虫標本にはラベルをつけますが、ラベルをパソコンで作る際の効率化について悩む方が多いのではないでしょうか。全自動でできるならそれが一番いいけど、書式や形の制約があるのは困る。かといって自力でマクロとか使ってプログラムを組めるほどの知識もない……それでもExcelでデータベースを作るところまでできていれば、少しの工夫である程度の効率化が可能です。本ブログでは過去にスマホアプリでを使って現地でデータを取得し...
昆虫標本のデータベースをExcelで作る ~スマホアプリで取得したデータから~
データベースとはデータベースとは、決まったルールのもとで入力されたデータの集まりです。MicrosoftのExcelでも簡易的に作成することができ、1行目に「各項目の名前」を、2行目以降に「実際のデータ」を入力して作れます。筆者が作成した昆虫標本のデータベース(一部を隠しています)データベースにまとめた内容は、項目ごとにフィルタを設定することで検索、抽出を簡単に行えます。博物館などに収蔵される標本のデータも、かな...
シロコブゾウムシとヒメシロコブゾウムシの違い&よく似た4種の紹介
シロコブゾウムシとヒメシロコブゾウムシシロコブゾウムシとヒメシロコブゾウムシはどちらもゾウムシの仲間としては大型の種類です。野山を歩いていると目につきやすい昆虫だと思います。名前はよく似た2種ですが、見た目にはいくつかの違いがあります。背面からみた2種の比較名前の通り2種とも「コブ」を持つゾウムシですが、シロコブゾウムシの方がとがった大きなコブが目立ちます。ヒメシロコブゾウムシは上翅の基部中央部分が...
関東平野部で出会える冬夜蛾(キリガ)類【春キリガ編:10種】
本記事では冬を中心に出現するガの仲間である冬夜蛾(キリガ)類のうち、いわゆる春キリガ(春に成虫が羽化する種類)を紹介します(低地帯の近所で出会えた種のみ)。春キリガは関東の低地では2月半ば頃から3月いっぱい頃まで観察できます。「キリガ(冬夜蛾)」についての基本的な説明は以下の記事をご参照ください。関東平野部で出会える冬夜蛾(キリガ)類【秋キリガ編:8種】冬の夜の蛾、と書いてキリガ蛾の仲間にはまさしく...
昆虫標本に欠かせないラベルの書き方と作り方まとめ【2024年版】
ラベルがなければ標本ではない昆虫に限らず生物の標本を作る上では欠かせないのがラベルです。クリストフコトラカミキリの標本ラベルは標本に学術資料としての価値を与えるものです。ラベルがないものを標本とは呼びません。私もそうですが、趣味として昆虫採集を行い、主にコレクションとして収集する目的で昆虫標本を作るという方も多くいます。しかし、研究で使うかどうかなどの目的に関わらず正確で保存性の高いラベルをつける...
コガシラアオゴミムシとニセコガシラアオゴミムシほか2種の同定【Achlaenius亜属】
実はほとんどが「ニセコガシラ」だって?こんなゴミムシを見たことはありませんか?この虫は河川や湿地の周辺でよくみられるアオゴミムシの仲間です。保育社の『原色日本甲虫図鑑 II』を見ると、コガシラアオゴミムシという種にどうやら近そうだという印象をもちます。しかし本種によく似た「ニセコガシラアオゴミムシ」という種も知られています。これは原色図鑑が出た後に存在が発覚した種で、2種は日本各地で混生しているようで...
Happy New Year 20232023年1月1日うっかり年を書き間違えました、ではなく……去年の話です。年始は家族でどこかに出かける、という事をよくやっています。(2024年は筆者がダウンし、実施できず)2023年は淡路島に行こうという話になりました。1月1日お昼頃から新幹線で兵庫県に向かいます。初日は神戸で観光して1泊。翌日の朝、淡路島に渡ります。神戸でみた夜景2023年1月2日朝、家族よりも早く起き上がった私は一人、駅に向かいま...
スマホアプリを活用した生物標本データの現地記録と、記録データの整理・出力
データをどうやって取り、標本につなぐのか?生物標本には必ずラベルをつけますが、ラベルには「採集地の情報」や「採集日」などを必ず記さなければいけません。このブログを訪れる方には昆虫採集・標本作成を行っている方も多いと思いますが、みなさん「データラベルに記載する情報」ってどのように記録、整理(管理)されていますか?昆虫の場合、作成したラベルを虫と同じ針に刺すことで情報が付加され、昆虫標本が出来上がる訳...
2023年最後の日ですが、どんな年末を迎えていますか……?今日は、床と平行になって半日過ごしました。年末の振り返りくらいはしたいなと思い、体調が回復した午後から一気に記憶を呼び起こしています。今年は思い出深い虫を抜粋し、以下の内容で書いてみます。<目次>最も印象的だった4種 ご近所採集編県内採集編県外採集編その他最も印象的だった4種まずは2023年に出会った昆虫の中で最も印象的だった4種を紹介します。いずれも初...
関東平野部で出会える冬夜蛾(キリガ)類【越冬キリガ編:14種】
本記事では冬に出現する蛾の仲間である冬夜蛾(キリガ)類のうち、いわゆる越冬キリガ(成虫で越冬する種類)を紹介します。(低地帯の近所で出会えた種のみ)秋キリガ編↓からの続きです。関東平野部で出会える冬夜蛾(キリガ)類【秋キリガ編:8種】冬の夜の蛾、と書いてキリガ蛾の仲間にはまさしく「ヤガ科キリガ亜科」という分類群が存在していますが、冬夜蛾(キリガ)はこのグループを指す言葉ではありません。ここで言われる...
カシワオビキリガ・ミヤマオビキリガと近縁5種の見分け方【冬夜蛾】
コニストラ問題カシワオビキリガを始めとするConistra属(コニストラ、と呼ばれる)は、平地から山地までの雑木林に広く生息し、一般的に個体数も多いグループです。同所的に複数種がみられることも多く、冬夜蛾の観察や採集をしていればこの仲間の同定には苦労させられると思います。かつて、みんなで作る日本産蛾類図鑑に、Conistra属の見分け方を分かりやすくまとめたページがあって、すごく重宝していたのですが......近年のサ...
冬の夜の蛾、と書いてキリガ蛾の仲間にはまさしく「ヤガ科キリガ亜科」という分類群が存在していますが、冬夜蛾(キリガ)はこのグループを指す言葉ではありません。ここで言われる「キリガ」というのは、ヤガ科の中でも下に示した4つのグループに含まれる蛾類のうち、特に冬季(晩秋~早春)を中心に出現する一部の種のみを指した呼び方です。<日本の冬夜蛾(亜科別の種数)>キリガ亜科 :61種ヨトウガ亜科 :28種モク...
昆虫採集者の理想というか、ゴールって何でしょうね?趣味で昆虫を採集し、標本を作る方は「最後こうしたい、こうなりたい」っていうような具体的なイメージを持っていますか?特定のグループを制覇したコレクションを作り上げたいとか、標本をこういう風に使いたいとか......。1年前、遠征先でふと「ゴールって何だろう」と考え始めた......。私は……そんなことをこれまで考えたこともありませんでした。趣味としてずっと昆虫採集...
本日、2023年10月28日を持ちまして本ブログは開設から10年が経ちました。このブログを開設した2013年当時の私はまだ高校生でしたが、今は社会人。今年で3年目になります。年齢も25歳、もうアラサーになっちゃいました……。10年の振り返りまではしないにしても、何か書こうと思い……こんなものができました。この10年はどんな感じ?昆虫に、昆虫採集に対する解像度をより一層高められた10年でした。大層な目標もなく遊びの延長で始め...
【Excel】和名の生物リストから学名を取得する(著者名・発表年付き)
私は趣味で昆虫採集をして標本を作っていますが、標本に付けるラベルを作る際に学名を調べる必要があります。作るラベルの数が少なければ1種ずつ調べていけば良いのですが、その数が膨大になると調べるにもかなりの労力を要すことになります。インターネット上には特定のグループの学名をまとめたページ(※1)やデータベースを検索できるサイト(※2)など役立ちそうなものがいろいろあり、これらを上手に使えばこの作業をかなり効...
↓前回気づきを得た日2022.07.13泊まったホテルに門限があり、朝6時まで出られなかったので6:00ジャストを狙ってチェックアウト。目的の山へ向かいます。3日目になる今日からは新潟県での採集となります。目標は現在までに新潟県でし...kontyuki.blog.fc2.com本記事はこの記事の続きです。2022.07.14日の出と共に起床、というか目が覚めました。……あんまり引きずってなさそうだ。もう動けるかな。初日の車中泊は何度も夜中に目が覚...
前回↓ズミチビタマムシとの邂逅2022.07.12ゴオオオオ……という凄まじい音で目を覚ますと、まだ朝の5時でした。音の正体は雨。外は大荒れの天気です。4日間の中で今...kontyuki.blog.fc2.com本記事はこの記事の続きです。2022.07.13泊まったホテルに門限があり、朝6時まで出られなかったので6:00ジャストを狙ってチェックアウト。目的の山へ向かいます。3日目になる今日からは新潟県での採集となります。目標は現在までに新潟県でし...
前回↓”聖地”と呼ばれる場所今年は7月の中頃に有給を使って6連休を錬成することができました。せっかくなので少し遠出しよう! ということでレンタカー借りて3泊4日の採集遠征に行きました。宿泊を伴う単独での遠征採集、実は今回が初めてです...kontyuki.blog.fc2.com本記事はこの記事の続きです。2022.07.12ゴオオオオ……という凄まじい音で目を覚ますと、まだ朝の5時でした。音の正体は雨。外は大荒れの天気です。4日間の中で今...
今年は7月の中頃に有給を使って6連休を錬成することができました。せっかくなので少し遠出しよう! ということでレンタカー借りて3泊4日の採集遠征に行きました。宿泊を伴う単独での遠征採集、実は今回が初めてです。なのであんまり無理はせず、本州でずっと行けてなかった場所へ向かうことにしました。2022.07.14まず初日に目指すは久々の長野県(東信)です。かなり遠いかと思ってましたが、高速を使えば自宅から3時間半ほどで...
私の父はトンボが好きで、子供の頃はよくトンボ採りをしていたと言います。「マルタンヤンマは昔、♂を奈良の家(父の実家)の前で採ったよ」 「あの眼の色が標本で残ったら良いのにな」父とトンボの話をすると毎回、必ずと言っていいほどこの話題が挙がります。父はかつて標本も作っていたそうですが、色が残らないことが残念でやめてしまったというのです。私がまだ標本作りを始めて間もない中学生の頃、こんな質問をしたことがあ...
はじめにトンボの仲間は、チョウのように美しい種を多く含む魅力的なグループです。採集も楽しい(重要)。しかしながら、その美しさを維持したまま標本を作るのは難しいと言われます。普通に乾燥させただけのギンヤンマ普通に乾燥させるだけでは綺麗な複眼は黒や茶色に変色し、胸部や腹部のストライプ模様も濁ってしまいます。ただし標本作成の過程でいくつかの点に注意すると、多少なり色を残すことができます。色残しを試みたギ...
2022.06.25今日は県内、山奥の方に行きます。2021年の秋に一度訪れた場所で、その際に「ここは6,7月ぐらいに絶対再訪しなきゃ」と思ったのを覚えています。なぜそう思ったのか、具体的にどんな環境があったのかは忘れてしまったけど(記録しとけよ……)。実際に行ってみて、どんな環境か確かめるのが今回の目的です。この日も出張明けでだいぶ疲れていたので、現地着は9:30とかそのくらいにした気がします。(道中ほんと眠すぎて、...
2022.05.28今日は親の車を借りて採集には行ける……けど。ここ最近は出張続きでだいぶ疲れが溜まっていたので、無理のない範囲で出掛けることにしました。今日は去年も訪れた中流域の川にやってきました。あの日↓採り損ねてしまった虫に、再び出会うために……中流域の水上戦2021.05.30さて、どうするよ今日。今日は親の車を借りられる日だけど......天気は夕方で崩れるようです。本来はホソツツタマムシの生息環境を掴むために、過去...
4月上旬の奥秩父で越冬中のオサムシと早春の蛾類を一緒に狙ってみました
2022.04.09久々に遠方に採集に出られそうなタイミングが来ました。この数週間、親の車が借りられる日と天気の都合が合わず採集に出れていませんでした。というか、日中晴れてても夜に少し雨マークとかついてるだけで行く気が失せてしまっていた......。遠方と言っても県内ですが、今回は早春の山地にみられる蛾類を狙いにいってみました。夜間ライトトラップやるだけでは勿体ないので、朝から行って別の虫探したり鳥見たりもしよう...
新発売の「タマムシハンドブック」を駆使してタマムシの仲間を探しに行こう!
絶版になっていたタマムシ大図鑑2013年にむし社から発売された『日本産タマムシ大図鑑』は、タマムシ類の同定を行う上で欠かせない図鑑でした。(むし社HPより)しかし、いつの間にか絶版になり、しばらくの時が経ちました。以降タマムシに興味を持つも、同定の壁に直面する方も少なからずいた事でしょう。(元々、2万円近くする大図鑑だったので購入を躊躇、断念した方もいたのではないでしょうか)中古でたまに出回る大図鑑の価...
春を感じる虫ってなんですか?例年大体2月の中~下旬頃でしょうか。日中の気温が10℃を超えるようになると、名前や写真をネット上で目にする機会が増える虫がいます。それがこの虫.......フッチーことフチグロトゲエダシャクです。彼らの発生時期は年により変動はあるものの、関東平野部では2月中旬~3月中旬頃にかけて(という印象)で、日中暖かくなり春を感じるようになる時期に出現し、本格的な春を待たずに姿を消します。雌の...
トゲフタオタマムシだけで終わらせない! ~早春のモミ林で会える虫~
2022.02.26今日は親の車を借りて少し遠くに行きます。あんま無理せずにしっかり寝てから家を出て、8:00頃に現地着。今日の目的地はここから少し山登りした先です。今回は忘れずに持ってきた、スパイク付き地下足袋。通ってた大学の学科では実習のために必ず購入しますが、実習後に使う機会はあんまない……これがあればキツい斜面の移動も怖くない……!そう……今日はそういう採集をやりに来たのです。久々に全力で挑もうということで今...
「生き物の飼育はやらないの?」どんな形であれ、生き物を相手にする趣味を持っている以上、「飼育はしないのか?」と聞かれる事は少なくありません。幼い頃から虫とりばかりやってきた私ですが、昆虫やその他の野生生物の飼育をやっていた時期も勿論ありました。小学生の頃は野外で採ってきたクワガタやコオロギは毎年のように飼育していました。外国産のカブト・クワガタは飼育したことないけど......。(買ってもらえなかったの...
【昆虫標本】現在持っている標本箱を全て紹介します(2013~2020)
標本整理は順調ですか?基本的に私は年一回くらいのペースで標本整理を集中的に行う時期を設けるようにしています。好きで昆虫採集をしている人間なので標本作成が苦になることは基本ありませんが、やはり採集が優先になって標本作りや整理が後回しになりがちです。しかし私は少なくとも趣味の範囲で採集した標本をちゃんと処理せずに溜め込みたくないとは常々思っているので、手が空きやすい秋~冬とかで一気にやるのが恒常化して...
2021年、遠方が撮れるカメラを買ってから鳥の写真を撮るようになりました。しかし撮った後は特にどうするでもなく写真フォルダが積み重なっているのが現状です。そこで今回、管理人(昆虫採集者、2021年春からちょっとずつ鳥見)が撮影した鳥類写真をまとめつつ、自身が出会ってきた鳥類を振り返るためのものとして本記事を作成しました。本記事に限った話ではありませんが画像の利用は自由です。(クオリティお察しのため)ただし...
ふるい採集で土の中のアリなどを探すのは意外と楽しかった【シフティング】
アリ類といえば……?この記事を読んでいる皆さんはアリってどんな虫のイメージですか?アリ(アリ科)は膜翅目(ハチ目)に含まれ、日本国内には300種程度が生息しています。といっても南西諸島に分布が限定される種が大半。『アリハンドブック 増補改訂版(寺山・久保田, 2018)』によれば本州では141種、埼玉県では88種が確認されているようです。。大抵の種は人間に危害を加えないこと(安全性)、社会性昆虫という特性(生態的...
2021.10.02 採集に行っている最中に本ブログのアクセスカウンターがついに200000を突破しました。(※写真は10/05、ジャストのタイミングでスクショ出来なかったので諦めました)最近はあまり更新できていないブログではありますが、たくさん読んでいただけて嬉しいです。本当にありがとうございます。更新ペースはゆっくりになってしまっても、多くの方に読んでもらえるような丁寧な記事作りを心がけていきます。(悪ふざけしない...
1日で直翅目(バッタ、コオロギ、キリギリスなど)何種類出会えるかチャレンジ@埼玉県平野部
2021.08.198月も半分が過ぎ、夏の終わりを感じ始める頃。夜間に外を歩けば、コオロギやキリギリスなどの直翅目の鳴き声をよく聞く季節になりましたね。私が小学生(4年まで)の頃は、周辺に雑木林とか全然ない奈良県の市街地で生活していました。そんな中で身近に、かつ複数種がみられた直翅目……バッタやコオロギの仲間は私の虫とりの主な対象として、ずいぶん長い間お世話になったグループです。しかし標本作成を始めてから、その...
2021.05.30さて、どうするよ今日。今日は親の車を借りられる日だけど......天気は夕方で崩れるようです。本来はホソツツタマムシの生息環境を掴むために、過去の記録を参考にもう少し上流側の河川敷に行く予定でしたが......ホソツツタマムシが昨日採れてしまったのでやることが特に思いつかないという事態。初夏の河川敷とシャーペンの芯2021.05.29今日は比較的天気もいい。そろそろ6月だし、新しい虫もいろいろ出てきているだろ...
2021.05.29今日は比較的天気もいい。そろそろ6月だし、新しい虫もいろいろ出てきているだろうか......昼からここ最近マークしているポイントを巡っていこう。「..............................」この春に鳥を見るために買った双眼鏡を駆使してこの木の樹幹をひたすら眺めるのが最近のマイブームです(笑)今日も今日とて、正午からの一時間くらいの間だけ見てましたが、ヨコヅナサシガメを見たのみ。まだまだ、シーズンはこれから......
2021.05.04この日は親の車を使わせてもらえることになりました。自転車のみで学生生活をゴリ押してしまった私は、免許取得から4年経った今でも単独での運転経験は2回ほど(短距離)しかありません。運転の練習も兼ねて、この日は朝から一人で少し遠くに採集に行ってみることにしました。とにかく事故らず帰ることを目標にしよう……1時間ほどの運転を経て、今回の目的地へ無事に到着。時刻は8時前くらい。さっと流したけどこれだけで...
2021.04.28最近は昼から採集に出ることが多かったのですが、ゴールデンウィーク突入で精神的余裕があったため、この日は朝から出かけました。何か新しい虫に出会うには、河川敷以外の環境にも行かねばならない。ということでこの日はまず、今までほとんど採集で訪れていない近所の雑木林へ向かいました。左:ナミガタチビタマムシTrachys griseofasciata E. Saunders, 1873右:ウグイスナガタマムシAgrilus tempestivus Lewis, 189...
4月に入ってから木々の葉も開き始め、暑さを感じる季節になりました。ナガタマムシを始めとする各種のタマムシは、関東平野でも続々と活動を始めているようです。長野では5月くらいまで待たなければだったので......ありがたいです。私はというと、4/10に河川敷(あんま行ってないエリア)を訪れていくつかのタマムシを確認しました。※ヒシモンナガ、ムネアカナガ、クワナガ、ウグイスナガ(とナミガタチビ)。2021.04.18それから...
タマムシ類の生息環境と採集方法などに関するまとめ ~ナガタマムシ・チビタマムシなど~
タマムシとはタマムシChrysochroa fulgidissima fulgidissima (Schoenherr, 1817)タマムシ、といえば玉虫厨子に用いられた本種(ヤマトタマムシともいう)はご存じな方もいると思います。本種に代表される『タマムシ科』の甲虫類は日本に200種以上が生息しています。そしてその大部分を占めているのが『ナガタマムシ亜科』。この亜科はナガタマムシやナカボソタマムシ、チビタマムシなど小型種のほとんどを含んでいます。中でもAgr...
2021.03.24長野県の下宿先から完全撤退し、新天地に到着したのが16時くらい。これ採集いけるなあ、行くか。糖蜜が余っていたので消費しようということで、近くの手ごろな河川敷にやってきました。見覚えしかない景色だなあ......「ただいま......(笑)」そう......ここは中学生の頃から散々通ってきた埼玉の河川敷です。就職を機に埼玉に戻ってきてしまいました......今後転勤とかあると思うけど、スタートはここから。ということで...
2021.03.20明日は卒業式です。私が大学生であることの証、学生証の有効期限は3/31までですが、卒業式と同時に学生証を返還することもできます。その場合はその時点で大学生としての資格を失うとも言えます(厳密にはそうでないのかもしれないけど)。つまり……明日学生証を返還する私は長野県で、大学生として採集できるのは今日が最後になるということです。ネジロカミキリPogonocherus seminiveus Bates, 1873昼間も少しだけ外に...
※長野にいた頃の採集記です(あともう一記事くらい書く予定)。3月18日になり、私は23歳になりました。自分にとって、この日に採集し作った標本は何気ない虫でも特別に思えるものです。しかし、せっかくならなにか新しい虫の採集に挑戦してみたいと思うもの。しかしこの時期に出来る採集は限られています……...
先日、大学(学部)を卒業しました。4年間の長野県生活を終え、春からは別の場所で新生活を始めようというところです。(どこに移ったかっていう話はいずれ採集記で話すことにしてもいいかな?)本ブログの開設時は高校1年生だった私も、この春から社会人です。マジかよ……学生生活を振り返ると、記憶とともにいろいろな思いが込み上げます。楽しかったこと、キツかったこと、いろいろな人と出会ったこと、新しく出来るようになった...
本ブログで糖蜜採集に関する話は全然してきませんでしたが……2019年の晩秋頃に初めて糖蜜採集をやってからというもの、その楽しさと奥の深さにすっかりハマってしまいました(笑)本来であれば過去のいろいろな体験談を踏まえて、糖蜜採集について私が知る範囲の事をまとめる記事を書きたかった……というか書いていて、先にそちらを上げたかったのですが、もう今季の糖蜜キリガ採集シーズンは終わりが近いので、もう少し経験を積んで...
この回は数少ない2020年の趣味採集の中でも特に思い出深かったので今更ながら採集記を書きました。この地域での採集をやり始めて3年目、2020年度がここで採集を行える最後の1年となります。これまで、大学入学時に買った2万くらいのショボい自転車(ママチャリ)で頑張っていろいろな方面へ行き、採集を行ってきました。しかしどれだけ採集を重ねても『ここは絶対にママチャリでは突破できない』と思っていた場所がありました。先...
雪上昆虫とは雪上昆虫というのは、読んで字の如く雪の上で活動することができる昆虫であり、雪が積もったタイミングでなければ簡単には出会えない冬限定の昆虫でもあります。中でもユキクロカワゲラ(セッケイカワゲラ)やクモガタガガンボの仲間は翅を持たず、雪の上を歩いて移動することがよく知られた虫です。どちらも雪が積もりやすい高標高地を中心に分布する虫ですが、幸いなことに長野県の下宿先では少し山に行くだけでみら...
「材料は拾った。」秋も終わりの11月頃。林縁で静かに生き絶えていた虫は、何気に初めて見るヒロオビモンシデムシ / Nicrophorus investigator Zetterstedt, 1824でした。綺麗な死骸だったので、今回はこちらを標本にしていこうと思います。軟化と汚れ落とし野外で拾った甲虫の死骸というものは大抵パリパリに乾燥していて、脚の形を整えるのも難しいというか無理な場合がほとんどです。そこでまず、お湯(蒸気)による軟化を行い...
イナオサムシ(交雑地域個体群: アオオサムシ信濃亜種×ミカワオサムシ天竜川中流域亜種)
オサムシの仲間には後翅の退化により飛翔能力を失った種が多く存在します。したがって高山や河川などの地理的隔離を受けることで狭い地域内でも様々な亜種に分かれることがあります。長野県の伊那谷はその一つの例といえる場所ではないかと思います。伊那谷の中央を流れる天竜川と、それに合流する複数の河川はオサムシ類の種分化を促す上で重要な障壁になっているようで……この地域のオサムシはまあ、めちゃくちゃなことになってい...
見たことのない大きなサシガメを拾ったので育てることにしました。
変なサシガメを拾う2020.08.11「ん? なんだこれ」ススキ草原の端っこで休んでいたら、草地を素早く歩く虫を見つけました。追いかけて見てみるとサシガメのようでしたが……かなりデカかった。しかし翅がついていなかったのでまだ幼虫と思われました。こんなに大きなサシガメなら調べればすぐに分かるだろう、と思ってその場で検索をかけてみましたが……何なのか分からず。形はよく見るハラビロマキバサシガメみたいですが、体長は18...
冬尺蛾。シャクガ科の中のナミシャク亜科、エダシャク亜科、フユシャク亜科を含む35種が知られています。(最近増えたんだっけ?)成虫が晩秋から早春の間、年一回のみ発生する事が最大の特徴で、冬場こそ観察できる数少ない虫の一つです。……とはいえ、その姿は地味極まりないものが多く、私も去年まではガードレールとかコンクリの壁とかに冬場止まってる細長くて薄茶色の二等辺三角形みたいなやつ、という認識でした。しかしこの...
トオヤマシラホシナガタマムシ / Agrilus ventricosus Fairmaire, 1888
トオヤマシラホシナガタマムシAgrilus ventricosus Fairmaire, 1888彼らは、7月から8月の真夏の暑い日に寄主植物であるエゾエノキの樹幹部に現れます。日本のナガタマムシの中でも大型で屈指の美麗種です。日本産タマムシ大図鑑での珍品度は★★★(やや少ない)。本州のみに分布し、生息地は限られているようです。幸いにも私の住む長野県では、他県と比較しても本種の生息地は多いのではと思われます。私は行ったことないですが、有...
昆虫の乾燥標本を作る場合、採集した昆虫はその形質が損なわれないうちに〆る場合がほとんどです。昆虫を〆る、すなわち命を奪うことは昆虫の標本を作る上で避けては通れない道です。標本作りに興味はあるけど殺すことに抵抗がある、という方も多いと思います。しかし、それでも標本を作ってみようと思った方に向けて、この記事を書きました。(まだ標本を作る気がない人は最後だけ読んでください)せっかく標本を作るなら色や形を...
エサキキンヘリタマムシは6~8月頃に山地の河畔林(大抵は上流域)でみることができる非常に美しいタマムシの1種です。2019年の夏、幸運なことに近場でこの虫に出会うことができたので、その時の出来事をまとめて書きました。<目次>・
ウンナンマルガタゴミムシ/Amara (Amara) silvestrii Baliani, 1937
これは普通のマルガタゴミムシAmara (Amara) chalcites Dejean, 1828各地でごく普通に見られるマルガタゴミムシには、よく似ているニセマルガタゴミムシに加え、ウンナンマルガタゴミムシという種類がいます。ウンナンマルガタゴミムシは保育社の原色日本甲虫図鑑にも載っていない種類であったため、恥ずかしながら私も存在を知りませんでした。2018年に有名な場所での記録が報告されたのをきっかけにこれまで以上に広く認識される...
本記事は個人の趣味レベルでの昆虫採集でラベルを作成する場合を想定して作成しています。結構いい加減なことが書かれているので、ちゃんと修正作業が終わるまでは下の文献をご参照ください。(より専門的な内容です)昆虫標本におけるラベルの作り方http://www.museum.kyushu-u.ac.jp/publications/bulletin/018/018-6.pdf昆虫に限らず生物の標本を作る上では欠かせないのがラベルです。ラベルは標本に学術資料としての価値を与え...
2019.12.07(曇)フサヒゲオビキリガAgrochola evelina (Butler, 1879)気温2℃の中、近場で糖蜜採集をやってみたら何頭か来てくれました。この寒い中でも元気に活動できるのは凄いわ……今年から糖蜜採集を始めました。やる度に新しい冬夜蛾と出会えてとても面白いです。糖蜜採集についての記事もそのうち作成する予定です。本種、フサヒゲオビキリガは12月から1月の真冬の時期に羽化し、そのまま成虫越冬して3月頃まで活動するようで...
2019.05.26この日は今年新たに発見した採集ポイントを行けるところまで行ってみようの回をやる事にしました。新ポイントへ向かう道中の林縁でも少し採集できる場所があります。ウバタマムシChalcophora japonica japonica (Gory, 1840)ちょっとしたアカマツ林の下草で思いがけずウバタマムシを発見!!ウバタマムシはこんな風によく分からない場所で人に見つかる事も多いタマムシのように思います。そのため昔から周りの人が次々と...
2019.05.22この日は午後の空き時間を利用して近場で採集。クズノチビタマムシとソーンダーズチビタマムシの混生地でビーディングでもやろうかと。ヒゲブトハナムグリAmphicoma pectinata (Lewis, 1895)目的の林縁に向かう途中、道端のしょうもない草地でヒゲブトハナムグリを見つけました。去年は田んぼ脇の草地で数頭を確認したのみで、そんなにどこにでもいる虫ではないのかなと思っていましたが……今年はこの後もいろいろな場所...
2019.05.10さすがにそろそろカエデの花も咲いているだろう……期待しつつ採集へ向かいました。これはコナラ。コナラやクヌギは葉が開くのと同じ時期に花を咲かせます。時期が早いので集まる虫のほとんどはハエなどの春先から活動開始する虫に限られます。アサギナガタマムシ等が採れるにはまだ早そうな感じです。(実際採れなかった)コナラとクヌギ。一部の木は十分に葉が出ていて、ナガタマムシが採れそうな感じがしたのですが……い...
今年のゴールデンウィークは花すくいでたくさんカミキリムシを採ろう。長野に来てから3年目の春を迎える今年。過去2年連続でゴールデンウィークは実家に帰省しており、長野県での採集を行うことができませんでした。今年はその反省を活かしてちゃんと長野でカエデの花をすくうのだ……そんな思いを抱いていた2019年4月。今年は4月に入ってからも雪が降るなど寒い日は続き、季節の進行は去年より遅れていたようでした。予想と異なる開...
今年の某所でのヨシ焼きは3/16に行われました。野焼き後の湿地帯での石起こしや材割りによるオサムシやゴミムシなどの採集は、毎年恒例になっています。今年は野焼き後採集はできないかと思っていたのですが……このタイミングに合わせて帰省することができたので、結局行くことにしました。去年の野焼き後採集記はこちら↓石起こしだけではない、当地の可能性に気付かされた採集でした。野焼き後だからこそ!!2018.03.20_04:43 a.m....
2018年も、もうそろそろ終わります。今回は恒例になりつつある今年の振り返り記事です。 2018年は「とにかくタマムシに捧げる年にする」を目標に活動した。 今年は自分の狙うタマムシを明確に設定した上で、時期を見ながら適宜採集を行った。また、寄主となる植物を探したり1種の樹木を徹底的にスウィーピングしたりする事で目標のタマムシを一つ一つ採集していく事が出来ていた。来年以降も続けてほしい。 反省点として、遠...
2018.12.29大晦日でも良かったけど、この日は時間が出来てしまったので午後から河川敷採集を行うことにしました。問題は…何をやるのか。・湿地でゴミムシ採集、林でマイマイカブリやオサ堀り…・樹皮めくりでチビタマムシとか…↑もう散々やったし、毎年毎年同じ事やるのも面白くない。なんか新しい虫が期待できるならともかく、全く同じ事の繰り返しみたいな感じの採集は正直楽しくない…ゴミムシなら何か新しい種が望めるかもしれな...
今シーズンはオサ堀りのモチベーションが何故か全然上がらない。イナオサとか、コマガネアオオサとか…ちょっと遠出すれば狙える未採集種もいれば、チュウブオオオサとかテンリュウオサみたいに自転車でも狙いに行けそうな未採集種もいる。なのに何故か全然やる気にならない…去年調子に乗って色々オサムシを採りまくった反動が来たのか、まだしばらくはいいかな、という感じです。まだ手付かずなオサムシには他にも高標高地のオサム...
2018.11.03この日は以前から行こうと思っていた近場のルリクワガタ採集を決行すべく…A谷へ向かいました。7時にアラームをセットしたのに起きたら9時で…やる気を無くして行くか行かないか迷った(汗)結局行くことにしたものの、Google Mapsの最短ルートで近道しようとしたらひたすら登り坂でいつもより余計に時間かかってしまい…11時頃になっていた(汗)前回来てから2ヶ月ほど経って、すっかり秋らしくなっていました。紅葉が綺麗...
気づけば、最後に採集記を更新してから1ヶ月以上経っていました。ここ最近、このブログの更新が途絶えていたのは単に採集の結果が微妙すぎて採集記を書く気になれなかった訳ではなくて(今回は本当に違う)……去年と同様に、大学の文化祭で展示するための標本作りに励んでいて採集記を書く時間が取れませんでした。去年は4〜10月分、1000頭ほどの採集品でしたが、今年は2017年10月〜2018年10月、半年分増えて採集品もおよそ2000頭と...
長野県はナミゲンゴロウが割と多いらしい。ナミゲンゴロウは各地で著しく減少し、いくつかの県では既に絶滅、多くの都道府県のRDBで絶滅危惧種に指定されています。長野県では準絶滅危惧種に指定されているものの、局所的というわけでもなく、県内の広い範囲で最近でも採集記録があるようです。場所によっては個体数も多く、わざわざ県外からナミゲン採集に来る方がいる程です。去年、私も中信で狙えないかと思い、他の採集のつい...
今年の夜回りの目標として挙げていた虫。セアカオサムシ、エゾカタビロオサムシ、ダイミョウアトキリゴミムシ、ヤママユ(他の場所で達成)…まだ残っている虫が2種くらい浮かびますが、その一つが出現し始めたという情報を先輩から教えていただきました。2014年の初夏に東京で死骸を見ただけに終わり、ここ4年くらい、秋になると埼玉の方の公園で夜間ルッキングやって探したりしたのですが何の手がかりも得られていないあの虫が_...
結局、埼玉の方では前回の記事に書いた他にはまともに採集に行けぬまま帰省が終了。(サシゲチビを探しに近所に出かけて、チャイロスズメバチを採った程度)集中講義とかがあったので今年は去年より早い時期に長野まで帰ってきました。1ヶ月弱残った今年の夏休みはこちらで過ごします。集中講義を終えて落ち着いたところで、久々となる長野での近場採集に出ることにしました。2018.09.09A谷へやってきました。ここに来るのは実に2...
2018.08.25いつかは埼玉県の近場河川敷で採りたいと思っているクロケシタマムシ。この虫はいつも私が行っている河川敷の上流の方では記録がある事を今年になって知りました。近場で狙う前に一度その場所の環境も見に行ってみようという事で。(別のタマムシの生息環境視察も兼ねて)疲れてたのでゆっくり起きて準備し、電車で少し遠くへ向かいました。川沿いを適当に歩いていき、東京での採集を思い出しながら良さげな環境を探しま...
2018.08.16栃木遠征から帰ってきて…ここからしばらく埼玉の実家の方に滞在します。とりあえずいつものやついっとこうという事で、河川敷へ向かいました(笑)ナガタマムシの時期もそろそろ終わり、これからはチビタマムシの季節です。…去年も同じような事言って、結局ゴミムシ採集に走って全然真面目にチビタマムシ採集してなかった気がするので、今年は真面目にやります。今回は各種チビタマムシの新成虫と(ヤマト)タマムシが目...
2018.08.12(0日目)でろでろさんとの採集を終えた後…駅まで送っていただき、そこから出る高速バスで新宿へ向かい埼玉の実家を目指します。ちょうどお盆シーズンでめちゃくちゃ渋滞しており、到着は2時間ほど遅れた(汗)そこから埼玉の実家に帰った後、急いで準備して23時頃に再び家を出る。(前の採集品の整理とかに時間がかかってしまい…わりとギリギリだった)ここから1時間半ほど電車に揺られ…次の目的地、栃木県に到着です。...
※今シーズンは平日は運行しませんので、ご注意ください。「マジかよ…」今年こそ行こうと思っていた某所へのチャレンジも断念して、数日後の埼玉への帰省を待つだけになってしまった夏休みの初め頃。今年になって知り合った長野県住みの虫屋さんに「採集行きませんか?」とお誘いを受けたのでした。2018.08.11朝、ありがたいことに下宿先まで車で迎えに来ていただいて…長野県にお住いのカミキリ屋さんであり、Twitterのフォロワーさ...
「ここ、ダイミョウアトキリゴミムシとかいるらしいです」それはまだ、夜回りを始めた初期の頃。この夜回りポイントで、昔ダイミョウアトキリゴミムシが採れたことがある、という情報を入手したのでした。以来、今年の夜回り目標種の一つとなりました。そしてこの間の採集(→採集記)で夜回りポイントではないにしても採集に成功。さらに先輩が夜回りポイントでダイミョウアトキリを召喚したことで確実に現在でも見られる事が判明...
2018.08.02期末考査終了。つまり夏休みの開始です。後期はちゃんと後の事を考えた分かりやすいノートを取るようにしよう、そう決意したのでした(笑)何らかの単位を落としていたとしても文句は言えない、そんな手応えです…終わったことを気にしても仕方がない。この日の午前で試験が全て終了し、午後に時間ができたので近場採集に出ることに。もう時期的には充分、クルミナガタマムシが狙えるようになっているはずだ…今年の夏休み...
連休の最終日、海の日の話。もともとこの三連休は山梨に遠征しようとか思ったりもしたのですが…行くとして目標となるのはトガリバシラホシナガタマムシですが…「長野に住んでるのに山梨までわざわざ狙いに行かなければならないほどの虫なのか?」という疑問が生まれ…ダメ元で一回、近場で狙ってみることにしました。あとはエゾエノキの精霊さんもちゃんと探したかったので。今の自分が山梨に遠征するのはなにかと不安要素が多かっ...
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昆虫採集をする上で、公園にお世話になることは多いと思います。しかし、公園は公共の場。法的な規制はない場合でも公園ごとの守るべきルールが定められていることがほとんどです。昆虫採集を禁止する看板(埼玉県)今回の記事では、特に昆虫採集に関係する公園のルールを確認していきましょう。採集禁止について検索されることが多い代表的な公園をいくつかピックアップして紹介します。<目次>必ず「公式ホームページ」などを確...
はじめに生物標本は過去のある時点における生物の存在を示すものです。そしてその標本の内部には、当時のDNAが残されている可能性があります。生物標本の新しい活用方法として、近年注目を集めているのがDNA解析です。標本に含まれるDNAを取り出すことで、分類や保全の上で役に立つ情報を得られることもあるのです。最近出た書籍、『タイムカプセルの開き方: 博物館標本が紬ぐ生物多様性の過去・現在・未来』(種生物学会,2024)...
2024.10.20この日はいつもより調子のいい日でした。「散歩行くか」休日の習慣になっている散歩へ、いつものように出かけます。そういえば……今日は何日だっけ。もう、20日……20日!?10月もう終わってしまうのか!!10月も終わりが近づいてきて、だいぶ寒くなってきましたよね。日中活動する虫を探せる時期も終わりが近いが……やり残したことが、ある__ダラダラと1日を溶かしていていいのか。散歩を始めてから数分でUターンし、準備...
サシガメ(科)はカメムシ目に属するグループで、日本にはおよそ120種が生息しています。捕食性の格好いいカメムシで、色や形のバラエティに富むグループでもあります。美しいキイロサシガメ。ライトトラップに飛んでくることもある。そんなサシガメたちを狙って探してみたことはありますか?私は夜間ルッキングやライトトラップ、冬季採集でポツポツと採集する事はありましたが、特定の種を真剣に探した事はありませんでした。今...
2024.08.24ことの発端は、とある日の採集で。このようなオギの多い河川敷でスウィーピングをしていた時のことです。何やら見覚えのある毛虫が網に入っていました。この黄色い毛虫は……スゲドクガ Laelia coenosa sangaica Moore, 1877ですね。スゲドクガはドクガ科に属しますが幼虫・成虫とも無毒なガです。幼虫は湿地環境に生えるスゲ類(カヤツリグサ科)のほか、ガマ科、ヨシやオギなどのイネ科の葉を食べます。湿地の減少に伴い...
キョウチクトウスズメ Daphnis nerii (Linnaeus, 1758)は緑色のスズメガの仲間です。同じスズメガ科のウンモンスズメとは色合いや雰囲気が似ていて、間違えられることもあります。本題に入る前にまずはウンモンスズメとの違いを確認しておきましょう。キョウチクトウスズメとウンモンスズメは模様で見分ける両種は模様が異なります。キョウチクトウスズメの方が大型でやや複雑な模様をしています。キョウチクトウスズメとウンモン...
2024.09.07わりと調子がよかったこの日は、朝から車で少し遠方に出かけることにしました。天気もよい日で、この季節に現れるオオトラカミキリを探しにモミ林に行きたくなりました。が、着いたのはクヌギやコナラの多い典型的な里山の雑木林モミ林の徘徊は今の私にはまだちょっとキツイかなと思ったので、今日は片道1時間もかからないような丘陵地に来ました。森の中や林縁を歩きながら、ゆったり虫探しをできるような計画にしてい...
昆虫の採集というのは趣味で行われるものばかりではありません。ある場所で各種の事業(土地開発とか)が起こるとき、事前調査や事後調査によって決まったエリアの動植物が調査されることがあります。こういった調査はたいてい何らかの環境調査会社が実施しており、調査で得られたサンプルも多くはその会社で保管されます。そのサンプルが最終的にどうなっているか、知っていますか。調査の証拠として一定期間保管された後……廃棄処...
日本においてコオイムシ属(Appasus)は、コオイムシ Appasus japonicus Vuillefroy, 1864オオコオイムシ Appasus major (Esaki, 1934)の2種が知られています。コオイムシもオオコオイムシも北海道・本州・四国・九州に分布します。ただし対馬にはコオイムシのみが分布します。♂が卵を背負う姿から「子負い虫」の名で呼ばれますどちらも水生植物が豊かな止水域を中心に生息する水生昆虫で、時には混生します。2種は非常によく似て...
日本国内からはこれまでに20種のチビタマムシ属(Trachys)が見つかっています。私はこれまでにタマムシ採集を頑張って、このうち18種までを集めることができました。ヤノナミガタチビタマムシ。冬季の樹皮めくりではおなじみ。北海道・本州・四国に分布する種としては、UMAのクサビチビタマムシを除いた全種が手元にそろっています。せっかくなので、集めた標本の写真を使って各種を比較してみました。※本記事は日本産タマムシ大...
2024.08.18今日は曇りの予報で、気温もそこまで上がらないようだったので採集に出ました。朝早くから出て、午前中には帰ってくるような計画での近場採集です。これくらいなら今の私でも無理なくやれそうでした。6時頃に家を出て、河川敷に向かいます。ギンイチモンジセセリの夏型は銀色の筋が目立たない河川敷ではギンイチモンジセセリの夏型が出ていました。環境省レッドリストにおける準絶滅危惧種ですが、この辺りではごく普通...
休職から復帰して3ヶ月ほど経ちました。当初は週に2、3日は調子が悪くて休んでいましたが、最近は会社に出れる日が多くなりました。先月はようやく欠勤ゼロを達成。中で仕事する分には問題なくやれています。調子が良い日も多くなり、週末も半日ほどなら近所に採集行ったり出かけたりできるようになってきました。そんな中でまだ出来ていないのが、遠方での一日採集。近所の採集なら疲れた段階で帰宅することができますが、遠方だ...
今年、東京都の上野にある国立科学博物館では「昆虫 MANIAC」という特別展が行われています。(7/13(土)~10/14(月・祝))2018年に行われた特別展「昆虫」に続く内容ということで、今回はよりマニアックな内容になっていました。会場内では基本的に自由に写真撮影ができる今回の記事では、筆者が実際に特別展をまわってみての感想をまとめました。行こうか迷っている方の参考になれば幸いです。また、行かないけどどんな感じな...
私が生物の写真を撮り始めたのは、2013年秋にスマホを手に入れてからです。ブログを始めたこともあり、これまでに多くの昆虫や野鳥の写真を撮りためてきました。2024年7月現在、2316種の生物写真があります。せっかく撮りためた写真。何らかの利活用を図ってみたいと思いまして、全ての写真をフリー素材にすることにしました。写真データの公開にはiNaturalistを用いました。写真の質はお察し(笑)なので、全部無料にしています。も...
クワコ幼虫の発見5月4日に河川敷に出かけた時のことです。道沿いに生えているヤマグワにクワコの幼虫がいました。若いクワコの幼虫はアゲハの幼虫に似ているクワコ Bombyx mandarina mandarina (Moore, 1872) はカイコガ科のガの一種で、養蚕に用いられているカイコ B. mori (Linnaeus, 1758)の原種(野生種)=祖先と考えられています。クワコの分布は広く、国内では北海道からトカラ列島まで各地に広くみられ、台湾、朝鮮半島、中...
昆虫標本には必ずラベルをつけますが、そのラベルにもいくつか種類があることを知っていますか?昆虫標本のラベルは以下の4種類に大別されます。データラベル 採集地、採集年月日、採集者名など「標本を得た状況に関する基本情報」を示すもの(必須)。タイプラベル新種を記載する際に基準となる標本につけるもの。同定ラベル和名、学名と記載者名、同定者と同定年など「同定の結果」を示すもの。コレクションラベル標本ごとに固...
写真は2024年6月現在の私の本棚の一部です。この段の半分近くを占めている白い冊子は「月刊むし」や「埼玉昆虫談話会」などの雑誌・同好会誌です。こういった文献は後で参照することもあるため、読み終えても捨てずに保管するのですが……毎年少しずつ増えて本棚を圧迫していきます。限界が来る前に対策を、と思い……「文献のPDF化」をやってみることにしました。自炊の選択肢:裁断するか非破壊か文献を電子データ化する作業のことを...
葉上に降り立った(2023.05.21 埼玉県)アオマダラタマムシは国内では本州・四国・九州と対馬に分布する、タマムシ科の甲虫です。タマムシの仲間としては大型で、大きさは16-29mmほど。翅のまだら模様がたいへん美しいことが特徴のタマムシです。地域によってはやや珍しい昆虫で、埼玉県や千葉県、石川県、高知県、長崎県など12の県でレッドリスト(レッドデータブック)に掲載されています。(2024年6月現在)本記事ではそんなア...
最もよくみるハナアブ明るい草地に咲いているハルジオンなどの花には多くの昆虫が訪れています。その中でも一番よくみるのは以下のような虫ではないでしょうか。これはミナミヒメヒラタアブというハナアブ科の昆虫で、花によく訪れています。ハナアブ科はハエ目の昆虫で見た目はハチに似ていますが、針は持たず人を刺すことはありません。本記事ではこの仲間としては最もよくみられるホソヒメヒラタアブとミナミヒメヒラタアブの2...
それ、セボシジョウカイですか?こんな虫を見たことはありますか?春から初夏に草地や林縁部でよく見かける、オレンジ色のこの虫は……セボシジョウカイ Lycocerus vitellinus (Kiesenwetter, 1874) かもしれません。セボシジョウカイはジョウカイボン科に属する甲虫の仲間で、北海道から九州までの各地に広く分布しています。多くの個体で背中に黒い点があることが特徴で、これが名前の由来(背星)です。人家の庭にもあらわれる虫...
冬の夜の蛾、と書いてキリガ蛾の仲間にはまさしく「ヤガ科キリガ亜科」という分類群が存在していますが、冬夜蛾(キリガ)はこのグループを指す言葉ではありません。ここで言われる「キリガ」というのは、ヤガ科の中でも下に示した4つのグループに含まれる蛾類のうち、特に冬季(晩秋~早春)を中心に出現する一部の種のみを指した呼び方です。<日本の冬夜蛾(亜科別の種数)>キリガ亜科 :61種ヨトウガ亜科 :28種モク...
本日、2023年10月28日を持ちまして本ブログは開設から10年が経ちました。このブログを開設した2013年当時の私はまだ高校生でしたが、今は社会人。今年で3年目になります。年齢も25歳、もうアラサーになっちゃいました……。10年の振り返りまではしないにしても、何か書こうと思い……こんなものができました。この10年はどんな感じ?昆虫に、昆虫採集に対する解像度をより一層高められた10年でした。大層な目標もなく遊びの延長で始め...
昆虫採集者の理想というか、ゴールって何でしょうね?趣味で昆虫を採集し、標本を作る方は「最後こうしたい、こうなりたい」っていうような具体的なイメージを持っていますか?特定のグループを制覇したコレクションを作り上げたいとか、標本をこういう風に使いたいとか......。1年前、遠征先でふと「ゴールって何だろう」と考え始めた......。私は……そんなことをこれまで考えたこともありませんでした。趣味としてずっと昆虫採集...