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  • 歳寒二雅図小柄 後藤誠意

    歳寒二雅図小柄後藤誠意梅と竹の組み合わせ。寒さに耐えて咲く梅と雪の中でも清らかな青さを絶やすことのない竹。表は平象嵌を駆使して判りやすい。裏の竹は片切彫。先に紹介した政鑢の猛虎図小柄に通じる描法。歳寒二雅図小柄後藤誠意

  • 猛虎図小柄 政盧

    猛虎図小柄政盧政随の同図を手本とした、浜野門流の政盧の作。表は目玉を活かした構図。裏は簡潔でしかも力強い片切彫で、虎の潜む竹林を暗示する竹を表現している。縦長の小柄そのものを竹の幹として捉えている点が面白い。猛虎図小柄政盧

  • 馬師皇図小柄 乗意

    馬師皇図小柄乗意乗意は奈良四天王の一人で、本作のような精巧な肉合彫を得意とした。この描画はごく薄い肉彫仕立てであるにもかかわらず立体的。裏面も同様の薄肉表現による肉合彫。もちろん、小柄櫃に触れないよう、わずかに鋤き下げた部分に子供の姿を彫り出しているのだ。表と同様に立体的で精巧。ここまで写実的に裏面を描いた作品は少ない。馬師皇図小柄乗意

  • 能舞台図小柄

    能舞台図小柄広重(花押)演題は何だろう。裏面は能舞台を意味する若松。毛彫と金の色絵か平象嵌で舞台を描いている。平坦な描法を採らざるを得ない裏面だが、色金を用いることによって、表現域が広がったと考えて良いだろうし、裏面を使うことの面白さも理解されるようになったに違いない。能舞台図小柄

  • 三国志図小柄 横谷英精

    三国志図小柄横谷英精武人の高彫表現に迫力があって魅力的な小柄。裏板も力のある片切彫で松樹が彫り表わされている。裏板は当然のこと高彫表現ができない。だから切り込んだように彫口の深い描法として変化をつけている。片切彫というと横谷宗珉が得意とした。その技術を受け継いだもの。特に松樹の幹の質感が、切り込む際の鏨遣いで際立つのであろう。三国志図小柄横谷英精

  • 蛍図小柄 後藤廉乗

    蛍図小柄後藤廉乗後藤宗家十代廉乗の作であることを、同十六代光晃が極めた作。古式の赤銅魚子地高彫された地板嵌め込み式ではなく、直接彫り込んだもの。裏板に川辺の様子を銀で表現している。地板に刻された鑢も川の流れを想わせる構成。この鑢目が興味深い。蛍図小柄後藤廉乗

  • 寿老人図小柄 後藤悦乗

    寿老人図小柄後藤悦乗朧銀地に毛彫と、ごくわずかな量感を持たせた肉合彫風の手法で彫り描かれている。裏板は片切彫。悦乗は程乗の子。寿老人図小柄後藤悦乗

  • 鯨図小柄 二題

    鯨図小柄岩本派表に鯨の頭の辺りのみ描いている。このような部分の描写だけでも鯨と理解できよう。裏面が波。鯨図小柄吉岡因幡介照次表の表現はよく似ている。面白いのは裏板に鯨漁の様子が片切彫で描かれているところ。波文だけでは物足りなく感じられたのであろう、裏面は平滑に仕立てられるため、毛彫や片切彫とされる。右端に小さく描くことによって大海原の様子が一層強く感じられる。鯨図小柄二題

  • 扇流し図小柄 古金工

    扇流し図小柄古金工幅広く少し長めに仕立てられた、所謂大小柄。扇流し図は、川に落としてしまった扇が、流されることによって思わぬ美観を呈したことから図に採られたというエピソードがある。着物や他の器物の図として頗る多く、またこれが展開されて破れ扇図が生まれたのも面白い。背景は具体的な描写もあるが、所謂青海波文に簡略化された例も多い。この小柄は、表の扇の背景が立波、小柄の裏面が青海波風の線描写。裏行きにまで美観が求められたものである。扇流し図小柄古金工

  • 鏃図小柄 後藤程乗

    鏃図小柄程乗作光壽(花押)小柄にも表裏がある。小柄の裏面は、小柄櫃に収められているため、拵に装着されている状態では見ることができない。多くは平滑に仕立てられて鑢が切り施されているのみで装飾がない。後藤の作では金の薄板が焼き付けられた金哺(きんふくみ)とされる。時に小柄の裏面にも装飾が施されることがある。例えば、後藤家でも江戸時代中頃には装飾性の高い裏板とされるようになる。加賀前田家に出仕した理兵衛家の顕乗や程乗などが優れた作品を遺している。写真は程乗と極められた小柄。赤銅地に金の削継。次は加賀金工の小柄で、朧銀地に金の割継。さらに三つ目は時代の降った町彫金工の作で、色金が多用されている。鏃図小柄後藤程乗虫尽図小柄加賀金工月に雁図小柄無銘園部鏃図小柄後藤程乗

  • 達磨図鐔 一東子龍翁

    達磨図鐔一東子龍翁金家も達磨図鐔を製作しているが、本作は金家とは表現が全く異なっている。裏面は達磨大師が揚子江を葦に乗って渡ったという伝説を意味し、表は壁に向かって座り続けた修行の様子。いずれも伝説ながら具体的な情景を想わせるような試みとしている。達磨の左側の余白に彫り込まれた短い斜めの刻線は洞窟に射し込む陽の光であろうか壁面を意味しているのであろう。すると、かなり具体的になり、余白ではなくなる。ではない方がいいのだろうか。いや、ほんのわずかの加刻だが、かなり効果的だと思う。達磨に光明が射し込んできたことを暗示しているとは考えすぎか・・・達磨図鐔一東子龍翁

  • 蝸牛図鐔 政随

    蝸牛図鐔政随鐔の下方に蝸牛。中間から上は平滑に仕上げられているのみ。地鉄に凹凸も鑢目もない。これも余白なのであろうか。一つ気になるのが耳の処理だ。打ち返し処理がなされていることによって鐔の耳が端部でなくなり、広がりを生み出している。金家とは違った意味での空間表現と捉えて良いだろう。蝸牛図鐔政随

  • 塔山水図鐔 金家

    塔山水図鐔金家多分写真だけでは理解していただけないのではなかろうか。実物を手にしたとき、ちょっとした光線の加減で様々な景色が見えてくることがある。でも、金家とはそのような視覚的な問題でもなさそうだ。主題の図柄はどうでもいいわけではないが、鉄そのものが滲みだす風合いも鑑賞の要素であることは、同じような古甲冑師や古刀匠鐔の例で理解できると思う。良い作品を実際に掌の中で、指先で鑑賞することだ。金家を説明すると、つい観念的になってしまう。塔山水図鐔金家

  • 猿猴図鐔 金家

    猿猴図鐔金家簡単に言うと、何も描かれていない部分があるのだが、そこに景色が感じられたらそれでいい。金家とはそのような作品である。猿猴図鐔金家

  • 山城國伏見住金家

    飛脚図鐔金家羅漢図鐔金家余白を巧みに表現した鐔工として第一に挙げられるのが金家。因みに、この金家も基本的に表裏異なる図柄を彫り描いている。飛脚図や猿猴図は山中に取材したものと捉えれば表裏連続しているが、羅漢図のような表に主題を描き、裏面を京都近辺に取材した山水図にした例が頗る多い。猿猴図も飛脚図も達磨図もみな同じ意識下にあると考えて良いだろう。鐔より水墨画で視点となるのが余白。鐔においてその空間美を追求したのが金家とも言えようか。さて、余白だが・・・まずはじっくりと鐔を鑑賞してほしい。飛脚図鐔羅漢図鐔山城國伏見住金家

  • 山水図鐔 古正阿弥

    山水図鐔古正阿弥これも表裏の図変り。確かに山水で関連しているのだが、視点が異なる。意図しての図変わりであることは間違いない。山水図というと金家を思い浮かべるのだが、金家は余白を活かした鐔を遺している。比較すると、似たような題に取材していながら趣がずいぶんと異なっている。これはこれで面白いことは確か。鎌倉鐔も同様に間を埋めるように様々な素材を配置しているのだ。山水図鐔古正阿弥

  • 春蘭図鐔 政晴

    春蘭図鐔梶田政晴これも表裏図変わりなのだが、こうなると意味合いがぐっと身近になってくる。裏側の金銀の平象嵌散しを、色紙の裏の装飾と捉えれば、表裏の意味がわかり易い。春蘭図は、背景を省略して主題を鮮明に浮かび上がらせている。即ち余白を活かした表現。春蘭図鐔政晴

  • 古金工

    黄石公に張良図鐔古金工裏が木賊刈図の表裏図変りの鐔。鐔の表裏で図が異なっている作例が間々ある。特に時代の上がる金工鐔に見られるのだが、その意味、目的が判らない。この作例では謡曲に原題が求められそうである。唐草文図鐔古金工これも同じ風合いだが表裏図柄が異なっている。山水図鐔古金工これも表裏異なっている。なぜなんだろう。表裏付け替えが可能で・・・ということなのだろうか。先人の研究者はこれについての答えを出していない。古金工

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