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  • 蛍図小柄 後藤廉乗

    蛍図小柄後藤廉乗後藤宗家十代廉乗の作であることを、同十六代光晃が極めた作。古式の赤銅魚子地高彫された地板嵌め込み式ではなく、直接彫り込んだもの。裏板に川辺の様子を銀で表現している。地板に刻された鑢も川の流れを想わせる構成。この鑢目が興味深い。蛍図小柄後藤廉乗

  • 寿老人図小柄 後藤悦乗

    寿老人図小柄後藤悦乗朧銀地に毛彫と、ごくわずかな量感を持たせた肉合彫風の手法で彫り描かれている。裏板は片切彫。悦乗は程乗の子。寿老人図小柄後藤悦乗

  • 鯨図小柄 二題

    鯨図小柄岩本派表に鯨の頭の辺りのみ描いている。このような部分の描写だけでも鯨と理解できよう。裏面が波。鯨図小柄吉岡因幡介照次表の表現はよく似ている。面白いのは裏板に鯨漁の様子が片切彫で描かれているところ。波文だけでは物足りなく感じられたのであろう、裏面は平滑に仕立てられるため、毛彫や片切彫とされる。右端に小さく描くことによって大海原の様子が一層強く感じられる。鯨図小柄二題

  • 扇流し図小柄 古金工

    扇流し図小柄古金工幅広く少し長めに仕立てられた、所謂大小柄。扇流し図は、川に落としてしまった扇が、流されることによって思わぬ美観を呈したことから図に採られたというエピソードがある。着物や他の器物の図として頗る多く、またこれが展開されて破れ扇図が生まれたのも面白い。背景は具体的な描写もあるが、所謂青海波文に簡略化された例も多い。この小柄は、表の扇の背景が立波、小柄の裏面が青海波風の線描写。裏行きにまで美観が求められたものである。扇流し図小柄古金工

  • 鏃図小柄 後藤程乗

    鏃図小柄程乗作光壽(花押)小柄にも表裏がある。小柄の裏面は、小柄櫃に収められているため、拵に装着されている状態では見ることができない。多くは平滑に仕立てられて鑢が切り施されているのみで装飾がない。後藤の作では金の薄板が焼き付けられた金哺(きんふくみ)とされる。時に小柄の裏面にも装飾が施されることがある。例えば、後藤家でも江戸時代中頃には装飾性の高い裏板とされるようになる。加賀前田家に出仕した理兵衛家の顕乗や程乗などが優れた作品を遺している。写真は程乗と極められた小柄。赤銅地に金の削継。次は加賀金工の小柄で、朧銀地に金の割継。さらに三つ目は時代の降った町彫金工の作で、色金が多用されている。鏃図小柄後藤程乗虫尽図小柄加賀金工月に雁図小柄無銘園部鏃図小柄後藤程乗

  • 達磨図鐔 一東子龍翁

    達磨図鐔一東子龍翁金家も達磨図鐔を製作しているが、本作は金家とは表現が全く異なっている。裏面は達磨大師が揚子江を葦に乗って渡ったという伝説を意味し、表は壁に向かって座り続けた修行の様子。いずれも伝説ながら具体的な情景を想わせるような試みとしている。達磨の左側の余白に彫り込まれた短い斜めの刻線は洞窟に射し込む陽の光であろうか壁面を意味しているのであろう。すると、かなり具体的になり、余白ではなくなる。ではない方がいいのだろうか。いや、ほんのわずかの加刻だが、かなり効果的だと思う。達磨に光明が射し込んできたことを暗示しているとは考えすぎか・・・達磨図鐔一東子龍翁

  • 蝸牛図鐔 政随

    蝸牛図鐔政随鐔の下方に蝸牛。中間から上は平滑に仕上げられているのみ。地鉄に凹凸も鑢目もない。これも余白なのであろうか。一つ気になるのが耳の処理だ。打ち返し処理がなされていることによって鐔の耳が端部でなくなり、広がりを生み出している。金家とは違った意味での空間表現と捉えて良いだろう。蝸牛図鐔政随

  • 塔山水図鐔 金家

    塔山水図鐔金家多分写真だけでは理解していただけないのではなかろうか。実物を手にしたとき、ちょっとした光線の加減で様々な景色が見えてくることがある。でも、金家とはそのような視覚的な問題でもなさそうだ。主題の図柄はどうでもいいわけではないが、鉄そのものが滲みだす風合いも鑑賞の要素であることは、同じような古甲冑師や古刀匠鐔の例で理解できると思う。良い作品を実際に掌の中で、指先で鑑賞することだ。金家を説明すると、つい観念的になってしまう。塔山水図鐔金家

  • 猿猴図鐔 金家

    猿猴図鐔金家簡単に言うと、何も描かれていない部分があるのだが、そこに景色が感じられたらそれでいい。金家とはそのような作品である。猿猴図鐔金家

  • 山城國伏見住金家

    飛脚図鐔金家羅漢図鐔金家余白を巧みに表現した鐔工として第一に挙げられるのが金家。因みに、この金家も基本的に表裏異なる図柄を彫り描いている。飛脚図や猿猴図は山中に取材したものと捉えれば表裏連続しているが、羅漢図のような表に主題を描き、裏面を京都近辺に取材した山水図にした例が頗る多い。猿猴図も飛脚図も達磨図もみな同じ意識下にあると考えて良いだろう。鐔より水墨画で視点となるのが余白。鐔においてその空間美を追求したのが金家とも言えようか。さて、余白だが・・・まずはじっくりと鐔を鑑賞してほしい。飛脚図鐔羅漢図鐔山城國伏見住金家

  • 山水図鐔 古正阿弥

    山水図鐔古正阿弥これも表裏の図変り。確かに山水で関連しているのだが、視点が異なる。意図しての図変わりであることは間違いない。山水図というと金家を思い浮かべるのだが、金家は余白を活かした鐔を遺している。比較すると、似たような題に取材していながら趣がずいぶんと異なっている。これはこれで面白いことは確か。鎌倉鐔も同様に間を埋めるように様々な素材を配置しているのだ。山水図鐔古正阿弥

  • 春蘭図鐔 政晴

    春蘭図鐔梶田政晴これも表裏図変わりなのだが、こうなると意味合いがぐっと身近になってくる。裏側の金銀の平象嵌散しを、色紙の裏の装飾と捉えれば、表裏の意味がわかり易い。春蘭図は、背景を省略して主題を鮮明に浮かび上がらせている。即ち余白を活かした表現。春蘭図鐔政晴

  • 古金工

    黄石公に張良図鐔古金工裏が木賊刈図の表裏図変りの鐔。鐔の表裏で図が異なっている作例が間々ある。特に時代の上がる金工鐔に見られるのだが、その意味、目的が判らない。この作例では謡曲に原題が求められそうである。唐草文図鐔古金工これも同じ風合いだが表裏図柄が異なっている。山水図鐔古金工これも表裏異なっている。なぜなんだろう。表裏付け替えが可能で・・・ということなのだろうか。先人の研究者はこれについての答えを出していない。古金工

  • 七宝象嵌

    宝尽図鐔平田鉄地に七宝象嵌による文様表現。平面的表現になる作品を紹介している。平面表現の代表格が平象嵌。時代の上がる真鍮象嵌の鐔にも、結果として平面描写となっている例がある。七宝象嵌も、高彫の印象がない。文様表現であり、写実描写ではない。七宝象嵌

  • 宝尽図小柄 加賀

    宝尽図小柄加賀赤銅地に金銀素銅など多彩な色金を平象嵌した作。裏は片切彫による獅子図。特に加賀平象嵌に間々みられる繊細な線象嵌を加えているわけではないのだが、文様が鮮やかであり、これに色金が影響して華やか。宝尽図小柄加賀

  • ひな人形図鐔 吉岡因幡介

    雛人形図鐔吉岡因幡介後藤家と共に幕府の御用を勤めた金工が、吉岡因幡介。多くは赤銅魚子地に高彫色絵の技法を用い、伝統的な図柄や家紋図金具、時代が降っては瀟洒な意匠の作品を製作している。平象嵌による作品は比較的少ない。加賀金工と同様に赤銅地に精巧な処理をしているが、地面は磨地とされている。要所に毛彫を加えている点も同じだ。ひな人形図鐔吉岡因幡介

  • 紅葉に鹿図鐔 加賀象嵌

    紅葉に鹿図鐔加賀象嵌繊細な処理が為された作。何度か紹介している。平象嵌の処理はもちろん美しいのだが、地面に腐らかしの手法で秋草や紅葉の葉を表現しているのが見事。消え入りそうなその描写により、木々の陰に生じた暗闇の様子も浮かび上がってくる、といった風情。部分拡大で観察されたい。紅葉に鹿図鐔加賀象嵌

  • 桐紋唐草図鐔 小池与四郎直正

    桐紋図鐔和泉守与四郎小池直正江戸時代の平象嵌には分類されず、鉄地真鍮象嵌を専らとする平安城象嵌の流れの中でとらえられるのが、この与四郎鐔である。平滑な表面処理と所々にくわえられた片切彫あるいは毛彫の組み合わせは平象嵌の手法に違いない。平滑な文様表現の手法としては、布目象嵌がある。加賀の平象嵌の源は、鐙など馬具を製作した職人による布目象嵌などの平滑な文様技術にあるそうだ。本作のような文様表現から次第に風景図、古典に取材した図などが採られるようになったと考えてよいだろう。桐紋唐草図鐔小池与四郎直正

  • 九年母図鐔 埋忠明壽

    九年母図鐔埋忠明壽何度か紹介している。平象嵌を説明する上では欠かせないのが明壽。素銅地や真鍮地に、地面よりわずかに量感のある平象嵌とするのが特徴。地面は腐らかしなどで微妙な凹凸があり、これも鑑賞の要点。特に赤銅地で文様を表すことにより、墨絵のような効果を持たせた。九年母図鐔埋忠明壽

  • 雪ノ下図鐔 加賀象嵌

    雪ノ下図鐔加賀象嵌特に繊細な線状の平象嵌の処方になる作。鐔面に抑揚をつけた造り込みも品が良く魅力となっている。線の幅は0.3ミリぐらいのところもある。これはすごいと思う。図柄デザインもいい。雪ノ下図鐔加賀象嵌

  • 紅葉に鹿図鐔 加賀象嵌

    紅葉に鹿図鐔加賀象嵌繊細な平象嵌と、]高彫象嵌の組み合わせになる作例。耳際を薄手に造り込んでおり、その曲面からなる景色も風雅。■紅葉に鹿図鐔加賀象嵌

  • 虫尽し図鐔 加賀象嵌

    虫尽図鐔加賀象嵌これも平象嵌に高彫が加えられた作。虫の触覚の極細の線象嵌が魅力。金銀素銅の素材で華やか。夜露が金の点象嵌で丸みがある。■虫尽し図鐔加賀象嵌

  • 万歳図鐔 桑村克久

    万歳図鐔桑村克久季節はずいぶん違っているが、お正月の街角で見られた万歳を題に得たもの。加賀の平象嵌に技術に、高彫色絵を加え、常にない彫口鋭く彫り込んだ片切彫も見どころの作。顔が高彫。快活な動きがいい。加賀象嵌というと平象嵌が有名だが、このような作もあることを紹介しておく。万歳図鐔桑村克久

  • 梅樹図鐔 加賀象嵌

    梅樹図鐔加賀象嵌季節はずれな画題だが、綺麗な加賀象嵌を紹介する。古樹は金、花弁は銀。これに繊細な毛彫、片切彫を加えている。龍が這っているかのような枝振りがいい。梅樹図鐔加賀象嵌

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