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  • 『パトリシア・ハイスミスの華麗なる人生』アンドリュー・ウィルソン/訳:柿沼瑛子 その5

    ネタバレします。 写真6枚目、母メアリーとパット。7枚目、メアリーとスタンリー。8枚目、ネコ型風船?を持つパット。 彼女は子供時代のことを「小さな地獄」と呼んでいたのだそうだがこの写真を見る限りそう見えない。ホームズなら見破るのか。 第9章「未知のかすかな恐怖」1945-1948 第二次世界大戦終了直後のニューヨークはヒトラーから逃れてアメリカに移住してきたヨーロッパの知識人たちによって爆発的かつ創造的活動の中心となっていた。 トーマス・マン、ナボコフ、ブレヒト、、作曲家のストラヴィンスキーなどといった多彩な顔ぶれであった。 そんな戦後のアメリカニューヨークでブームを巻き起こしたのはカフカだと…

  • 『パトリシア・ハイスミスの華麗なる人生』アンドリュー・ウィルソン/訳:柿沼瑛子 その4

    ネタバレします。 巻頭の写真について書くのをすっかり忘れたいた。 まずはミナ・ハートマン。 ハイスミスの父方の祖母。1985年撮影。 2枚目。ハイスミスの母方の曽祖父。ギデオン・コーツ。迫力ある響きの名前だと思ったら旧約聖書に登場する指導者の名前だった。 3枚目。ダニエルとウィリー・メイ・コーツ。ウィリー・メイは特に良いおばあちゃんのイメージ。 4枚目。パットの母メアリー・コーツ。 女優を思わせる写真。パットをして「母と結婚した」と言わせる。 今では「毒親」と言われる存在だ。 5枚目。実の父であるJ・B・プラングマン。メアリーがこの人と離婚していなかったらパトリシア・プラングマンになっていたっ…

  • 『パトリシア・ハイスミスの華麗なる人生』アンドリュー・ウィルソン/訳:柿沼瑛子 その3

    ネタバレします。 第4章「抑圧」1933ー1938 1933年。1921年生まれのパットは12歳。祖母のウィリー・メイは孫娘の保護者としてサウスジェニングス・アベニューにある中学校に入学の申請をしている。 この時期のパットは友人もできず孤独に苛まれているがよりどころになる23歳のいとこと兄妹のような関係でいたという。 また実の父と初対面するが仲は深まらずパットが欲していたのは母メアリーだった。 12歳という時期に母を失ってしまったことは彼女にとって「母親の裏切り」と感じられ彼女の人間関係に大きく影響していく。 「関係が安定すると相手を拒絶してしまう。何度も同じことが繰り返される。母は継父と離婚…

  • 『パトリシア・ハイスミスの華麗なる人生』アンドリュー・ウィルソン/訳:柿沼瑛子 その2

    ネタバレします。 第1章「彷徨い続ける者」1921 以前 ハイスミスは「わたしは何者であり、なぜ存在するのでしょうか?」と問い続けた作家であり世界中を旅したくさんの人々と出会いながら孤独であり「わたしは永遠に探し続ける者だ」と記していたという。 13歳のハイスミスは南部連合軍のものである南北戦争時代の刀剣一対を13ドルで買った。 後年居を移すたびにこの由緒ある武器一式を部屋の一番人目につく場所に飾ったのである。 うわべこそヨーロッパ人のようだったが彼女の本質はまぎれもないテキサス人そのものだった、と語られる。 伝統的な南部料理トウモロコシのパン、スペアリブなどを好み晩年もっとも落ち着く衣服はリ…

  • 『パトリシア・ハイスミスの華麗なる人生』アンドリュー・ウィルソン/訳:柿沼瑛子 その1

    書肆侃侃房 (2024/12/27) 単行本で7480円、kindleで7370円。とても手が出ず図書館で借りました。 第36章にプロローグ・エピローグ・あとがき付きの分厚い本です。期間は二週間。 ええい、一日3章ずつ読めばいいのではないかと適当な計算をして読み進めて行こうと思います。 初日の今夜はまずプロローグです。 ネタバレします。 表紙と冒頭の写真も少しずつ紹介してみましょうか。 まずは表紙。 昨今の紹介写真では晩年のちょっと強面なハイスミスになってしまいますが、これは何歳くらいでしょうか。かなりの美人ではないでしょうか。 昨日観た映画『キャロル』の若い娘テレーズに憧れられる美貌の人妻キ…

  • 原作:パトリシア・ハイスミスの考察/『キャロル』トッド・ヘインズ

    観た。 恋愛映画、どころか映画そのものにもしばらく離れていて昔観た映画くらいしか観れなくなっていたけど必死で観た。 よかった。 映画を観るには能力がいる。 観始め最初、いや途中までも観てこれはどうなんだろうかと思ったりもした。 つまりテレーズの彼氏やキャロルの夫があまりにも嫌味に描かれすぎてるのではないかとか。 テレーズとキャロルがあまりにも良すぎに描かれているのではないかとか、少し脳裏によぎったけど頑張って最後まで観てよかったと思う。 人間はもがき続けて生きるしかないのだと。 すべてうまく思い通りにはならなくてもその中でできる限りの努力を積み上げていくしかないのだと。 なぜか不甲斐なく泣いた…

  • 『太公望伝』諸星大二郎

    1987年11月号~1988年3月号「月刊コミックトム」 私は『無面目・太公望伝』という本を持っているのですがこちらの画像を使わせていただきました。 ネタバレします。 太公望=釣りをする人、という意味で最初に知ることも今ではかなり少なくなってきたのではないか。 昔はTVニュースで釣り人が映ると必ずこの表現をしていたのでイヤでも覚えてしまっていた。 後はもちろん藤崎竜『封神演義』の太公望で知った勢は多いだろう。 私も大好きである。 発表年は本作の方が断然早いが読んだ、もしくはちゃんと読んだのはどちらが先かよく覚えていない。 何故なら私は『無面目』の方が好きで何度も読み返したが本作はそこまで読み込…

  • 『無面目』諸星大二郎

    1988年9月号・1989年3月号(全2回掲載) 何度も読んだ作品です。 史実を元にした諸星氏の(いつもの)自由な発想による創作ですが「こんなことがあったのかも」と思わせてしまいます。 ネタバレします。 「巫蠱の禍」をメインに置いた残虐な物語なのだが私はどうしても無面目=欒大のロマンチックラブの物語として印象的なのだ。 ここまで一途な恋物語は他にないのではなかろうか。 物語は上の画のようなところで東方朔と南極老人が碁を打っている場面から始まる。 東方朔はどうやら俗界の皇帝の相談役となって面白い話などをする仕事をしている。 老人はそんな東方朔をからかっている。 東方朔はふいに「「女媧の五色の石を…

  • 原作:パトリシア・ハイスミスの考察/『太陽がいっぱい』ルネ・クレマン

    こちらも何度か観ているはずなのですが、今回パトリシア・ハイスミス考察ということで久しぶりに再鑑賞して映画作りのあまりの違いにあっけに取られているところです。 ネタバレします。 フランス映画、だからなのか、時代のせいなのか、ルネ・クレマン監督作品だからなのか、映画『リプリー』と原作小説との違いが物凄い。 これは「いけない」と言っているのではなくむしろ原作と映画とはこうあるべきではないかと感心したのだった。 現在特にマンガ原作の場合「原作とは違う」という煩い批判が巻き起こるがこのくらいはっきりと違っていいのではないだろうか。 原作を読んで生まれたイメージを映像化するのが映画なのだと改めて感じさせて…

  • 原作:パトリシア・ハイスミスの考察/『リプリー』アンソニー・ミンゲラ

    大好きな映画作品で何度も観てその感想もどこかに書いています。 一時期マット・デイモンにはまっていたこともあって。 今回はパトリシア・ハイスミスの原作であるという点に注目して書いてみようと思います。 ネタバレします。 『パトリシア・ハイスミスに恋して』というドキュメンタリー映画を見て初めて彼女が同性愛者でありそのことに苦しみ続けた人生であると知った。 映画『リプリー』には同性愛そのものの描写はそれほどないがかつての『太陽がいっぱい』に比較すればはっきりと表現されているし原作にはもう明確にリプリーがディッキーに恋して恋人マージを蔑んでいる様子が描かれている。 たぶんこの心理と状況は彼女自身が同性の…

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