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  • 『パトリシア・ハイスミスに恋して』エバ・ビティヤ その2

    不思議なドキュメンタリーだった。 「私はミステリーを書いていない」と言う。 『見知らぬ乗客』『リプリー』(つまりは『太陽がいっぱい』)の原作者でありながらそんなわけはないだろう。 彼女を評して「欧米ではアガサ・クリスティに並ぶ人気作家」と銘打たれるというハイスミス。 クリスティは自分でもミステリー作家といっていただろうがハイスミスは自己認識ではそうじゃないのだ。 こうなるとまったく作品を知らない自分としてはなんともいえない。 ではなぜ私がハイスミスを題材にしたドキュメンタリーを観たのかと言えば映画『リプリー』が大好きだからだ。 年齢的には『太陽がいっぱい』が好きでリメイク映画はどうもね、と言っ…

  • 『パトリシア・ハイスミスに恋して』エバ・ビティヤ

    以前は映画・ドラマ記事を書き続けていた私ですがこの数年(たぶん横山光輝沼にはまってから)マンガひとすじになってしまい映像作品を見ると退屈で耐えられなくなってしまいました。 昨日まで「諸星大二郎作品」に没頭していたのですがアマゾンプライムで本作『パトリシア・ハイスミスに恋して』というドキュメンタリーを偶然見つけて昨今ない鑑賞欲求を覚えてしまいました。 「おもしろくなかったらやめればいいや」と捨て鉢気味に観始めたのですがこれが素晴らしい映像作品で予想しない感激でした。 ネタバレします。 パトリシア・ハイスミスと言う名前で観始めたのに関わらず私は彼女の作品をまったく読んではいません。 知っているのは…

  • 『西遊妖猿伝 西域篇』「火焔山の章」諸星大二郎 その4

    モーニング増刊「月刊モーニングtwe」2021年12月号~3月号、5月号~8月号 ネタバレします。 【第十二回 勇躍して双童師命を受け 機を見て公主戦場を走る】 悟空の前に再びサソリ女が現れ激しい戦いとなる。 共にいたアシャイバンダクは持っていた剣を蹴落とされ妖物の毒を浴びてしまう。 サソリ女の鋭い蹴りで悟空のマフラーが裂ける。 悟空が追いかけるとサソリ女は地上へと向かう。 「まずい。上にはあの二人が」と思った悟空は先ほどの蹴りで毒が回ったと見せかけるかのように呻いてうずくまる。 それを見た女はとどめを刺しにきた。 が、それは悟空のブラフであった。 女が近づいたところで悟空は金箍棒を振り回す。…

  • 『西遊妖猿伝 西域篇』「火焔山の章」諸星大二郎 その3

    ネタバレします。 【第八回 悟空 児を捜して寧城に入り 牛王 威を顕して陋巷を震わす】 悟空は再び双子と一緒に行動することになる。 行先は寧戎城である。 双子は祆教寺院に悟空はバザールへ行って古着屋を捜そうとしていた。 が、暴動のためかバザールは荒れ果てていた。 こっそりと物を拾い集めていた女とこどもに古着屋の場所を訊く。 古着屋も荒らされたらしく主人はうんざりした様子で悟空の質問に答える。 子供たちは暴徒と一緒に西北のスラムの奥に立てこもっているらしい。 が、スラム街の人々は暴徒よりも略奪や暴行を繰り返す役人や兵隊たちを怖れていた。 さらに町の隅々に奇妙な化け物がおり悟空の頭痛を引き出す。 …

  • 『西遊妖猿伝 西域篇』「火焔山の章」諸星大二郎 その2

    ネタバレします。 【第四回 城外に悟空 毬を追い 市場に公主 虎を見る】 約束通り悟空は玄奘と共に公主の邸に行く。中華風の屋敷であった。 公主の母君は玄奘に懐かしい隋の話をしてほしいと所望する。 その間、悟空は公主に付き合うことになる。 公主とその母親は宮廷の中でも特殊な存在だという。 公主の父親である先王はかつて隋に赴き当時の天子に拝謁した。その時天子から降嫁したのが母上である華容公主なのだという。 今は腹違いの兄が国王となった。 悟空は公主の話を聞いていてもピンとこない。 そんな悟空を公主は街へと連れ出す。 途中、警備の突厥兵たちがポロをしていた。 その中に先王の奥方のひとりである可賀敦さ…

  • 『西遊妖猿伝 西域篇』「火焔山の章」諸星大二郎 その1

    今になってここも『西域篇』だと気づきました。その中の「火焔山の章」だったのですね。 ネタバレします。 『第1回 聖僧 夜を徹して高昌を目指し 行者 山中に孤兒群を見る】 五世紀末から七世紀にかけて西域トルファン盆地に高昌国はあった。 漢族の麴氏が支配する天山南路のオアシス国家である。 その中心である高昌城の東方三十kmほどのところに白力城という城市があった。 悟空を除く玄奘一行がトルークシュに案内されてこの白力城に到着したのは日が暮れかけた頃だった。 疲れ果てた玄奘たちはここで悟空を待ちたいところだったがトルークシュは一休みしたらすぐに王城へ向かうというのである。 小さな姉弟たちは瓜を摘んだ馬…

  • 『逆旅奇談』ー西遊妖猿伝異聞ー 諸星大二郎

    前編は2011年12月21日「モーニング4・5合併号」(後編わからず) タイトルの読みは『げきりょきだん』であります。「げきりょ」とは宿屋のことらしいです。 ネタバレします。 こ・れ・は! さすが諸星大二郎と言う作品だった。 唐代の中国を舞台にして妖怪をモチーフにしたミステリーという幾重にも困難な設定をして楽しませてくれる。 本作の主人公たる書生くん李信のいで立ちは本来玄奘三蔵の天竺への旅装束として描かれるものとしてここに描写されたのではあるまいか。 冒頭で李信はいきなり妖怪に襲われ逃げ込んだ祠で雨宿りをしていた強面の武人と見える男性に助けられるところから物語が始まる。 雨の中、道連れとなって…

  • 『西遊妖猿伝 西域篇』諸星大二郎 その10

    ネタバレします。 【第34回 一雄 往きて突厥に独り挑み 三騎 並びて胡兵を迎え撃つ】 イリーシュカは悟空に会うなり「なぜ私の邪魔をした」と咎める。トルークシュを殺す邪魔をしたからだ。 悟空は「キルク族が落ち着ける場所を作るよう西突厥に交渉をさせるためだ」と答えた。 イリーシュカは「うまくいかなければ次は邪魔するな」とくぎを刺す。 悟空もまたイリーシュカに「叔父を殺したな」と問いかけた。 「それがどうした」と答えるイリーシュカ。 悟空はイリクに「一度でも浮気をしたら・・・いや、したと思われただけで殺されるぞ」と案じたのだった。 さてついに本篇のクライマックスとなる。 悟空、イリク、イリーシュカ…

  • 『西遊妖猿伝 西域篇』諸星大二郎 その9

    ネタバレします。 【第32回 胡娘 鋭舌にて心猿を責め 吐窟 甘言にて悟空を宥む】 至近距離で本当に外さないか試してやるという悟空とそれに応じようとするイリーシュカをイリクは止める。 イリーシュカは矢を収め「なぜ弟を連れて行った?」と問う。 カマルトゥプはイリーシュカの弟だったのだ。 悟空の話を聞き裏が読めてきた、として「おまえの命はイリクに預けといてやる」と落ち着いた。 だが、イリクが「キルク族が山から下りてきたと伝えにきたんだ」と言った途端イリーシュカは馬を駆って去る。 イリクと悟空もその後を追った。 キルク族は固有の遊牧地を持っていないため他の部族と衝突するのだ。 さて玄奘たちはトルーク…

  • 『西遊妖猿伝 西域篇』諸星大二郎 その8

    ネタバレします。 【第27回 女怪 箱より出でて毒爪を振るい 悟空 薩宝邸を大いに鬧がす(承前)】 ヴァンダカ率いる射手の列はサソリ女に向かい一斉に矢を射るがサソリ女はまっすぐに突っ込んできた。 矢の方向に直線になることで被害を最小限にしたのだ。 無事に矢を避けた女は毒針で射手を次々とさしていく。 が、ヴァンダカは自らのケープを脱ぎ目の前に広げることによって防御し剣を抜いた。 手ごたえを感じたがサソリ女は姿をくらます。 悟空たちもまた厩に入ったはいいが外に出る方法でためらっていた。 悟空は長安でやった手を使うことにする。 屋敷に火をつけ厩の馬を解き放つ。悟空たちは各自馬に乗って屋上へ向かう。 …

  • 『西遊妖猿伝 西域篇』諸星大二郎 その7

    ネタバレします。 【第22回 孤影 ふたたび強箭を射 祆僧 夜陰に怪を視る】 アマルカを追ってひとり馬を駆る悟空は岩場に入り込みふたたび謎の射手に襲われる。 悟浄は祆教徒たちと行動を共にし夜になって火をつける時息を吹きかけて咎められる。 マルボーロ達の馬車が到着しないことを懸念している。 祆教徒たちは突然巨大なサソリに襲われる。 それは女性の顔をした不気味なサソリだった。 悟浄が焚火を投げたことでそれは逃げていくが祆教徒たちはここでも聖なる火を投げたことを怒る。 誘拐されたアムを捜してハルとワユがやってくる。 そこで悟空と出会いハルは悟空を脅してアムを捜させようとする。 悟空は見破りながらもそ…

  • 『西遊妖猿伝 西域篇』諸星大二郎 その6

    毒敵山の章 ネタバレします。 【第19回 八戒 酒を欲して浄財を偸み 胡婦 企みを懐きて妹を訪ぬ】 玄奘一行はようやく伊吾国の中心伊吾城へ入ることができた。 ここには仏寺がいくつかありそのひとつに宿泊することになった。 八戒はもともと欲深いので今でもまだおかしくなったことに気づかれないでいるがそれでもあまりにも度が過ぎている。 世話になっている寺の老僧に酒をせびり、足りずにお布施を持ち出してしまう。 悟浄から「それならバザールでしょう」という情報を得て悟空はともにバザールへ行く。 やはりバザールでお布施の布地を売りさばこうとしていた八戒だったが途中で馬車に乗ったメーウザーイと出会ってしまう。 …

  • 『西遊妖猿伝 西域篇』諸星大二郎 その5

    ネタバレします。 【第16回 童女 城に入りて祆僧を誑かし 悟空 怪を追って胡宅を鬧がす】 砂漠の描写が続いた後に湿気を感じさせる夜の描写が多い粟特城回は諸星大二郎の特色が色濃く表れている。 粟特城門内に入ったアマルカはナササラルの者たちに見つかり呪文を唱えられるが老婆の妖怪に変化してその呪文さえ封じ込めてしまう。 ガ、アシャイバンダクの登場にアマルカも消える。 悟空はバクラクッチ家の裏門を叩く。 トプチンは盗んだ妖怪羊の首が入った袋を持ってうろうろするばかり。 そんな時バクラクッチの妻メーウザーイは裏庭にこっそりと悟浄を呼び出した。 その様子をトプチンが見てしまうのだが背後には昼間眠っていた…

  • 『西遊妖猿伝 西域篇』諸星大二郎 その4

    ネタバレします。 【第13回 胡兵 馬を連ねて悟空を襲い 単騎 虚を突きて強箭を射る】 悟空はカマルトゥプを後に乗せて馬を急がせた。 だが前方から騎馬集団が攻撃してきた。 応戦する悟空を取り囲む騎馬隊。 それを止める男が現れる。 それでも騎馬隊の攻撃は止まなかったが今度はどこからか矢が飛んできて騎馬隊のひとりのこめかみを直撃した。 さらにもうひとりも。 見るとはるか遠くに弓を持つ人影がある。慌てて逃げ出す騎馬隊になおも矢が射かけられる。 悟空が「おかげでやつらを振り切れそうだ」と思った瞬間自分自身にも矢が当たりそうになり思わず落馬する。 馬はカマルトゥプを乗せたまま走り去る。 追いついた悟空は…

  • 『西遊妖猿伝 西域篇』諸星大二郎 その3

    ネタバレします。 【第9回 流沙河を去りて 伊吾に至り 胡宅に宿を借りて 復た妖を見る】 『西遊記』にのっとって悟空・悟能・悟浄をつれた玄奘三蔵。 しかし本作では悟空は弟子のつもりはない。 そして西域を知っている悟浄によって案内されながら旅をする。 悟能=八戒は悟浄におまえの元の名は何なのだと問いかけそれに悟浄は「忘れました」と答える。 しかし八戒は「お袋から呼ばれていた懐かしい名前は思い出した、と言ってたじゃないか」としつこく訊く。やむなく悟浄は「小鳩ちゃん」だと答えそれを聞いた玄奘と悟空は笑うまいとしても笑いがこみあげてくるのであった。 やがて砂漠は草原と変わる。伊吾が近いのだ。 幼い羊飼…

  • 『西遊妖猿伝 西域篇』諸星大二郎 その2

    ネタバレします。 【第6回 流沙を脱して二僧 死を逃れ 死者を倒して行者 水を得る】 窮地に悟空が現れ玄奘は喜びその名を呼ぶ。 悟空と仮面の男の戦いが始まる。 が、仮面の男は流沙の上を歩くことに慣れており悟空はどうしてもうまく動けない。 それでも悟空は金箍棒の鋭い突きで男を脅かす。 男は笑いながら去っていく。 八戒は流沙に呑まれそうになってもどうしても見つけた金貨の壺を手放そうとしない。 呆れながらも悟空は八戒を助け出す。 しかし改めて見てみると金貨と思ったものはすべて古い銅貨にすぎなかったのだ。 悟空たちはさっさと立ち去ろうと考える。 馬と荷物は見つかったが水袋の水が抜き取られていてそのまま…

  • 『西遊妖猿伝 西域篇』諸星大二郎 その1

    西域篇 入ります。 こちらはまったくの初読みです。 ネタバレします。 【第1回 校尉 意気に感じて客を通し 悟空 唐僧を追って烽を破る】 玄奘と悟空たちはそれぞれ別々に進み、大唐国の国境玉門関を遠くに望み瓠蘆河に木を倒して渡り禁忌である密出国を犯しなおも進んだ。 かつて西域貿易が華やかなりしころは大勢の商人や駱駝のキャラバンが行き来したこの区域も今は国境を守る守備兵が五つの烽火台に駐屯するばかり。 さらにその先には莫賀延磧という大砂漠が広がる。 この五烽が唐の目の届く一番外れなのだった。 その五烽の一番手前には王祥という校尉が烽官として詰めていた。 辺鄙なところにいるせいかもともとそういう素地…

  • 『西遊妖猿伝 大唐篇』諸星大二郎 その26 完結

    ネタバレします。 【第96回 玄奘 玉門を望みて河を渡り 通臂 革袋に入りて讐を報う】 玄奘、石槃陀、八戒の一行は玉門関を遠くに望みながら気取られぬように瓠蘆河に切った木を渡しゆっくりと馬を引いて渡った。 ついに玄奘は密出国を犯したのである。 羅刹女は退屈していた。 阮馮河だけでは満足できなかったのだ。 そこに通りかかったのは恵岸行者であった。 恵岸は物思いにふけっていた。 玄奘そして悟空が気にかかってはいたものの国境まで追いかけるとは思ってもいなかったのだ。 ふと落ちている革袋が奇妙に膨れているのが気になり錫杖を突き刺した。 空気がはいっているだけだ、と恵岸は自分を安心させる。 そして未練が…

  • 『西遊妖猿伝 大唐篇』諸星大二郎 その25

    ネタバレします。 【第92回 通臂 甕を転がして行者を悩まし 妖虫 錦を食いて腹中に入る】 あれほど執拗に悟空を追い詰めていた黄袍があっけなく死んでいた。 加害者である石方相もまた黄袍の毒矢によって苦しみながらも百花羞を捜している。 ちゃっかり漁夫の利(かどうかはわからないが)を得た通臂公は金蚕蠱に丘が残した錦を与える。 どうやら金蚕蠱は錦を食するらしい。 そして今金錦蠱は一回目の脱皮をしようとしていた。 しかしその時通臂公は恵岸行者が近づくのを感じる。 金蚕蠱は一度目の脱皮後人の腹中にはいるという。 通臂公は恵岸の腹に金蚕蠱をつけてやれないかと考える。 通臂公は恵岸行者に近づき甕に入って襲い…

  • 『西遊妖猿伝 大唐篇』諸星大二郎 その24

    ネタバレします。 【第90回 孫行者 岩窟院を脱れ 丘秀才 金蚕蠱を調う】 岩窟院堂守が百花羞を襲い石方相がこれを追い払う。 小柄な堂守はするりと岩窟の穴に入り込んだが大男の石方相はその穴から入るのはできず馬鹿力で穴を壊し始めた。 中では一升金を抱えた黄袍が悟空と玄奘を追い詰めている。 そして入り込んできた堂守にまたも楽慧の亡霊が「法楽さまは」ととりついた。しかも「参詣人を殺していたのはおまえだろう。おまえが法楽さまを」 石方相は岩窟をこじ開けてしまうがその反動で自分自身が上から落ちてしまう。 一升金が抜け出したその瞬間黄袍は弓矢を発する紐を引く。 悟空は玄奘とともに外へ飛んだがそこは流沙だっ…

  • 『西遊妖猿伝 大唐篇』諸星大二郎 その23

    巫蠱の章 ネタバレします。 【第86回 瓜州に至りて強風 更に吹き 玉門を前に法師 心乱る】 瓜州に向かう玄奘と悟空は強風に吹かれる。 通臂公は駱駝の壺に入って移動してきた。 巫蠱使いの男と出会い旅を共にする。 瓜州の寺で玄奘は高僧に「どうしても西域へ行きたい」と願い出る。 禁忌である出国については何もわからないと困惑する僧たちだが玄奘のために一案を呈した。 寺の裏に住む毛さんは去年まで玉門関の守備をしていたから何か知っているかもしれないと教えられる。 玄奘と悟空はすぐに毛さんを訪ねて西域への道を訊いた。 国境の関門が玉門関となる。 その先の砂漠には百里おきに烽台が五つあるという。その先は莫賀…

  • 『西遊妖猿伝 大唐篇』諸星大二郎 その22

    ネタバレします。 【第83回 両雄 空材に戦い 孤僧 巫蠱を破る】 火井鎮では婆の占いが当たった。禍がやってきたと騒ぎになる。 昼間から大トカゲが徘徊し人々は逃げ惑った。 一升金はその様子を見て析易居士は三流だと罵る。 八戒はうっかり寝込んでしまい目覚めると一升金がいないので鎮火石と刻まれた大岩の下を掘り返した。 悟空はぐったりと寝込んでいる玄奘を連れとりあえず火井鎮に行こうとして羅刹女の手下どもに襲われ逆に叩きのめす。 玄奘を馬に乗せ火井鎮へ向かう。 が、村は静まり返り婆巫師の弟子が殺されていた。 さらにいつかの仮面の男がのし歩いている。 そして玄奘の顔をした蜥蜴が「私は死ぬよ。天竺へは行け…

  • 『西遊妖猿伝 大唐篇』諸星大二郎 その21

    火井鎮の章 ネタバレします。 【第78回 陰風 凄々として砂漠を吹き 聖僧 促々として荒野を過ぐ】 こうしてシン・羅刹女は悟空そして玄奘と出会う。 羅刹女は悟空が気に入ったらしく突如襲いかかりそして去っていく。 西域を目指し八戒は駱駝に乗って旅を続ける。早く帰りたいのだが。 これまで人に敗ける気がしなかった恵岸行者が黄袍の飛抓に襲われ傷を負う。 (まあこの後の布石だからなんだけど) 八戒の一行に一升金が合流。 一升金「玄奘がいる」と聞いて覗き込むと八戒だったのでがっかりする。 紅孩児は羅刹女と行動を共にする。 恵岸を助けたのは百花羞だった。 石方相はここでも愚痴を言っている。 玄奘、悟空は岩の…

  • 『西遊妖猿伝 大唐篇』諸星大二郎 その20

    【第74回 真の聖僧 水滸に宿を借り 仮の玄奘 甘州に言をもて弄す】 冒頭、玄奘と悟空が言い争いをする。 珍しいなと思っていたらこれは布石であった。だろうて。 しかしこの後さらに珍しいとは言えないほどの怖ろしい事件が起こる。 一見普通の農民に思えた通りすがりの男女からいきなり襲われてしまうのだ。 突然小刀で斬りつけてきた男を悟空は叩きのめす。 が恐ろしいのはその直後鎌を振り上げた女の姿だった。 悟空は迷うことなく女を叩き殺す。 玄奘は「なにも殺さずとも」と小言をいう。 これに悟空も言い返した。 やむなくふたりが歩を進めようとすると前方に女児が牛に乗っているのに出会う。 女児は悟空が人を殺したの…

  • 『西遊妖猿伝 大唐篇』諸星大二郎 その19

    ネタバレします。 【第71回 百年の仙根 まさに絶えんとし 連理の霊樹 永に生きんとす】 旅を続ける玄奘・悟空一行は砂漠を行くとたちまち砂嵐に包まれてしまう。 その行く手にも扶桑夫人の胞子が化けた植物が生えていたがすでにすっかり枯れ切っていた。 悟空は八戒が今も人参果を持っていると指摘する。 持っていないと言い張る八戒を悟空は脅して白状させた。 玄奘は八戒を叱って去ろうとするが悟空は「これは行きながら草にされた赤ん坊だ」と玄奘を引き留める。 木の根元に埋めるから念仏を唱えてくれと伝える。 悟空は気配を感じていた。 そして人参果を埋めながら「おまえたち、少しでも怨念のようなものがあるのならおれの…

  • 『西遊妖猿伝 大唐篇』諸星大二郎 その18

    ネタバレします。 【第67回 方相 市を鬧がして蛮力を誇り 李靖 花を摘まんと鸚鵡を贈る】 狼頭堡で玄奘を捜しまわる悟空は百花羞を見かけその家を訪ねる。 そこに悟能がおりさらに百花羞目当てに来た李靖とお嬢様を守ろうとする石方相が入り乱れて大騒ぎとなる。 【第68回 同君 畫より出でて車輪を飛ばし 両雄 大いに狼頭堡を鬧ず】 李靖将軍、弼馬温=悟空に腹立ちが収まらないが突厥が竜牙堡のすぐ近くまで来ているとの報せを受け出兵することになる。 待機する部下に弼馬温捜索を命じた。 道整は忙しい車屋の女将に子守を頼まれおんぶすることになってしまう。 そんな道整に声をかけたのが悟空だった。 悟空はついに玄奘…

  • 『西遊妖猿伝 大唐篇』諸星大二郎 その17

    ネタバレします。 【第64回 五荘観に唐僧 人参を届け 霊芝谷に悟空 嬰児を拾う】 狼に襲われた玄奘を救った道教の師らは玄奘を五荘観という道観に連れて行く。 与世同君という人物の棲み処だという。 道教の師らは玄奘に届けていただきたいものがある、と言って籠にはいった包みを渡した。玄奘は馬を引きひとりでその道観に向かう。 「主人が留守だから」と一旦断られてしまった玄奘だが「凌虚子殿から包みを預かっているのですが」と言うとその門は開けられた。 主人の代わりのその人物は第一弟子の陰砒生と名乗った。 中に入り事情を説明した玄奘の目の前で包みが明けられるとそこから赤ん坊のようなものが転がり出た。 「人参果…

  • 『西遊妖猿伝 大唐篇』諸星大二郎 その16

    ネタバレします。 【第60回 黄風の中 大王刀を振るい 砂塵の内 悟空 谷を走る】 これまでと違う悟空。 明確に自分がどうするべきかを考えながら戦い始める。 旅芸人たちは逃げ出す。 玄奘もその中にいる。 しかし黄風大王は旅芸人たちを見逃したわけではなく殺す手段を取っていた。 それに気づいた二娘たちは一行を止める。 大王の手下たちに追われ散り散りに逃げる。 玄奘の行く先には紅孩児がいた。 しかしここでも現れる恵岸行者。 そして悟空の乗る馬が阻まれ悟空は振り落とされる。 【第61回 唐僧を護りて行者 鬼を放ち 大聖を念じて悟空 棒を振るう】 落馬した悟空だが信念は揺るがない。 その時、紅孩児と争っ…

  • 『西遊妖猿伝 大唐篇』諸星大二郎 その15

    ネタバレします。 【第59回 驕りて城門にいのちを落とし 黄風 死児を冥婚させんとす】 李都督は野盗ふぜいが涼州を襲ったことに苛立つ。 黄袍は負傷していたが牢から救い出された小旋風が門を出る寸前、手下どもの目が離れた隙を狙い殺してしまう。 大王の息子の死に驚く手下どもに聞こえるよう「小旋風を殺したのは弼馬温だ」と言い放った。 傷を負わせられた黄袍の小さな復讐だった。 大王の息子小旋風が殺されたとなっては大王に会うことも出来ないと右旋風は馬を駆り涼州へと向かった。 ところがそこに突如として李勣が現れ右旋風は倒されてしまう。 右旋風の口から「弼馬温」という言葉を李勣は聞いた。 天竺楼の遊女たちは黄…

  • 『西遊妖猿伝 大唐篇』諸星大二郎 その14

    ネタバレします。 【第57回 通臂 術を弄して玉女を招き 細作 薬を売りて悟空を誘う】 恵岸行者そして黄袍が暗躍する中で悟空は旅芸人一行から抜け出した。 恵岸行者は通臂公の行き先を見つけ通臂公はそこで玉女降臨の術を披露する。 そして李都督は玉女を招こうとしていた李軌の亡霊を見る。 が、恵岸が観音経を唱えたために玉女は壺に収められてしまい李軌の亡霊も去っていく。 翌朝李都督は「あの鼎をどこかに放り出してこい」と命じる。 悟空が割ったはずの鼎は何故か元通りになっており巨大な鼎をどうするか下男たちは骨董屋に売って小遣いにしようとする。 玄奘は法師に促され出立を決意する。 が、悟能の姿が見えずやむなく…

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