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  • 『三国志』再び 横山光輝 三十四巻

    この表紙すっごく怖い。 先日横山氏はホラーミステリー作家の道もあったと書いたんだけど、ここにそ片鱗が見える。 落鳳坡のタイトルと龐統の道号「鳳雛」を重ねればその恐怖の謎は解ける。 ネタバレしますのでご注意を。 冒頭で張松が死す。もうはっきり言って『三国志』で一番ショックだったかも。(知らないし) 史実でもここで斬られてしまってるからどうしようもない。賢者であったが惜しむらくはここでの玄徳(孔明)の本来の目的に気づかなかった、ということですか。 そしてここから次なる悲劇が近づいてくる。 ようやく玄徳が蜀征伐を決意し龐統が軍師として活躍し始める。 騙し打ちをしようと近づいてきた劉璋の将を逆に討ちと…

  • 『三国志』再び 横山光輝 三十三巻

    趙雲子龍。最も頼りになる男であるが人を愛するのではなく思想を愛する人なのでその人が堕落すれば離れてしまう怖い人でもある。 こなみかん。 ネタバレしますのでご注意を。 魏の曹操に頼ろうとして赴き蜀の要人であるにもかかわらず自尊心を傷つけられ百叩きの上追放という憂き目にあってしまった張松はこのままでは帰れぬと荊州の劉備のもとへ進む。 すると道半ばで趙雲が彼を出迎え旅の疲れを労い休息の席を設けてくれた。さらに荊州まで供をして夕暮れには宿を案内してくれる。そこでは関羽が彼の到着を待っていた。 ここでも丁重なもてなしを受け関羽自ら寝所へ導いてくれた。 翌朝も関羽・趙雲伴って張松を城へと誘う。見ると城門の…

  • 『三国志』再び 横山光輝 三十一二巻

    三十一巻に続き同じく馬超表紙。同じ人物が続けてと言うのはあまりないので(最後あたりは孔明続きだが)お気に入りのキャラクターだったのではないでしょうか。 ネタバレしますのでご注意を。 曹操対馬超戦は長引く。季節は厳しい寒さの冬を迎える。が、曹操陣は城を築くことができずにいた。何度築こうとしても途中で馬超軍に破壊されてしまうのだ。 ここで曹操に秘策を授けた老人がいた。築いた砦に水をかけておけば自然に凍って火水にも潰えぬというのだ。 この策に曹操は喜びすぐに造らせ翌朝には氷の城塞が現れたのだ。 様子を伺いに近づいてきた上曹操に迫った馬超を許褚が許さない。その名を聞いた馬超はいったん引くことを決意する…

  • 『三国志』再び 横山光輝 三十一巻

    馬超~~~~『三国志』でイケメン描写は多かれど最高峰と思えるのは馬超なのです。 小説『三国志演義』において、馬超は作中でも屈指の武勇を誇る武将として登場する。「冠の玉のような顔、流星のような眼、虎の体に猿の臂、彪の腹に狼の腰」を持ち、「生まれつき白粉を塗ったように色白、唇は紅をさしたよう」な美将であり、「錦馬超」(きんばちょう)と称えられている。 とウィキに記されている。虎と猿と豹と狼が合体してる上に名前が馬だから物凄い創造物になってしまう。 横山光輝氏作画でも馬超は獣のような面を付属する兜を常に装着した独特の風貌を見せています。頭上の飾りがなんとなくウルトラセブンを思わせてめちゃくちゃ強いの…

  • 『三国志』再び 横山光輝 三十巻

    周瑜、超絶美形なのにあまりにも気の毒で。ほんとなぜ孔明と同じ時期に生まれてしまったの。 という感じで戻ってきました、『三国志』の旅続けましょう。 ネタバレしますのでご注意を。 さて孔明は赤壁の戦いで孤軍奮闘じゃないな、ひとりであっさり呉軍を引っ搔き回し周瑜を騙くらかして颯爽と劉備が待つ船に乗って呉を離れる。 孔明のこういう言い方が意地悪なのだ。褒めつつバカにしてるんだな。(大好き) 周瑜も陸路を取る。 しかしそこに現れたのは関羽だった。さらに黄忠、魏延が登場(魏延が出てくるたび胸が痛む。ここでやつがいなくなっていたら・・・たらればはなし) たまらず周瑜は船に戻って逃げる。 関羽・黄忠はその逃げ…

  • 『夜光る犬』横山光輝/愛蔵版初期作品集『闇におどる猫』収録

    以前表題作『闇におどる猫』についてのみの記事しか書かなかったけどやはりこちらも記事にしておくべきでしょう。 ということで。 ネタバレしますのでご注意を。 これに収録されてます。 横山光輝作品と言えばSF・ロボット・アクション・忍者などのイメージが強いだろうけどホラー的ミステリー的な要素も含まれている。初期作品にはこのようなミステリー作品も数々あってその要素が内包していることを示している。 横山氏をリスペクトしていると明言している荒木飛呂彦作品は全般にわたって(初期作品から『岸部露伴』などなど)ミステリー要素を強く出しているのもこれらの影響なのではないだろうか。 さて『夜光る犬』表紙には何も書か…

  • 『コマンドJ』横山光輝

    ひらさんから教えていただいた「横山先生が単行本化を認めなかった」ものの1作品『コマンドJ』偶然購入していたので早速読んでみました。 選んだ理由は「聞いたことなかったけど凄くカッコいい表紙」です。 予告編付き。こんなにカッコいいのに単行本化認められずとは。 楽しい。残念ながら日本中でブームを巻き起こしたとは聞いていないですがそうだったのでしょうか。 ネタバレしますのでご注意を。 これもかっこいい。 しかしなかなか主人公の「J」が出てこない。 コマンド隊長、紳士でステキだ。しかもやさしい。 あれっ。あなたは・・・ も、もしかして・・・ひらさん?コマンドの一員でしたか。 (ま、今の私はヨミの一員です…

  • 『竜神伝説』横山光輝

    (1976年週刊少年アクション掲載/休刊により未完) かっこいい少年が描かれた表紙をめくるんじゃなくて滑らせると またもや表紙!巨匠登場!!昔のはやたら巨匠であることが強調されている。大型新連載第二弾!!大型ってなに?第二弾とは? カラーページが続く。 これからどんな『竜神伝説』になっていくのか楽しみだな。 ネタバレしますのでご注意を。 主人公は血気溢れる少年。 戦国時代。敗者は落ち武者狩りに会う運命である。 が食べ物は必要だ。村落で食糧を探そうとした主人公を含む人群れはやはりそこで落ち武者狩りに襲われる。 それを高みから見ているふたりがいた。 孫策と于吉老人(チガウ) と思ったらほんとに于吉…

  • 『少年忍者 風よ』横山光輝/原作:葉山伸

    amazon検索してたら出てきた。が、すでに古本のみ、での購入となる。とはいえ見つけられて嬉しい。 うーむやはりなんとなく出会うのを待つだけでなく自力で探す努力も必要なのだと改めて思う。 デジタルになってはいないようだ。 しかもこの作品本2006年発行の裏表紙に 「週刊少年マガジン1000号記念」新連載作品。1978年1月1日号~8月27日号を忠実に復刻した初めての単行本、完成!! と書かれている。 つまりお蔵入りとなっていたわけだな。ファンの方々、さぞや待ち長かったであろう。私なんかファンになってすぐに手に入ってしまい申し訳ない。 (まあその逆は数えきれないほどあるだろうけど) とはいえこん…

  • 『片目猿』横山光輝

    タイトル『片目猿』でこの表紙は謎すぎる。のでもうひとつのカットを置いておこう。 ちょっと小首傾げて可愛いが凄腕の忍者猿彦。 人呼んで片目猿である。 ネタバレしますのでご注意を。 紹介文を読まずに読み始めたのでいったい何が始まったのかと思った。 片目の忍者(これはタイトルでわかるが)が傷を負い逃げ込んだ家にいたのが庄五郎だった。庄五郎は昔覚えた塗り薬を作り重傷の忍者の手当てをする。しかしその忍者が持っていた文書を見て驚く。そこには各地の大名の兵力食糧などが詳しく記されていたのだ。庄五郎は忍者が眠り込んでいる間にその文書を写し取り「長井の殿様」に渡して自らが武士になりたいと願い出たのだった。 傷を…

  • 短編集『影の世界』横山光輝 「黒い沼地」「時間警備隊」「13番惑星」「タイムマシン」

    短編集『影の世界』の続きです。 ネタバレしますのでご注意を。 第四話「黒い沼地」(別冊少年サンデー1960年秋季号) これ言っちゃいけないのかもしれないが横山先生、昔の色塗りは凄く上手くて良いのに後に行くほど変な感じになっておられる。 なにか理由があるのかしらん。なのでこの時代の色塗りは最高です。 さて内容は。 設定はアメリカ西部劇。 偏見かもしれませんが少女マンガに比べると少年マンガは異国設定というのがかつては極端に少なかったと思う。 特に日本人はまったく出てこないというものは。 そんな中で横山光輝作品は中国も含め異国ものは男性マンガの平均よりも多いのではなかろうか。 主人公の名はケリー(こ…

  • 短編集『影の世界』横山光輝 第一話「未来をのぞいた男」

    ちょっと切りの良い所(だったかな)で『三国志』中断し横山光輝の他作品を投入します。 まずは短編集『影の世界』1960~1962年作品ということです。 表紙スタイルが良くてカッコいい男性たちによるスタイリッシュなデザインになっていますね。 ネタバレしますのでご注意を 第一話「未来をのぞいた男」(1960年週刊少年サンデー) いろいろおもしろい。タイトルの「のぞいた」がひらがなになっているのは「覗いた」と「除いた」をかけているのかなと考えたり。 「私の命は、あと一週間しかない」 『百日後に死ぬワニ』の先取り、ではないけどね。 表紙、ふたりの村雨竜作が描かれ怪しい白髪科学者が間にいるという謎めいた演…

  • 『三国志』再び 横山光輝 二十九巻

    玄徳やっぱり可愛いと思う(今更) ネタバレしますのでご注意を。 呉の孫権、やはりまだ若いせいか合肥城を攻め落とせない。挑発に乗ってかっとなり大戦するが有能な将を失うだけで勝負はつかない。 若気の至りを反省するが太史慈が作戦を言い出し孫権はこれを許した。 太史慈の部下戈定兄弟による合肥城放火計画である。 横山先生は兄弟モノがかなり好きな気がする。まあそもそも『三国志』って兄弟モノではある。 生き生きしてる。 しかし張遼の冷静な判断により彼らはあっという間に捕まり斬首されてしまう。 張遼は外部と示し合わせているに違いないと考え「謀叛人だ」と叫びながら開門させる。 外でこれを待っていた太史慈軍は中へ…

  • 『三国志』再び 横山光輝 二十八巻

    趙雲の(だけじゃないけど)いつもは目をつぶっているのに何かの時には片目だけ開ける(?)というのはどういう意味なんだろう。表現としてむしろ好きなんだけど謎ではある。 ネタバレしますのでご注意を。 「玄徳軍」というだけで人々が恐れおののくようになっている。 玄徳かっこいい。 まさかりを担いだ邢道栄の前に現れたのは四輪車に乗った孔明である。 孔明、言う時は言う。そして邢道栄が襲ってくると 不思議すぎる四輪車。 直後、邢道栄は張飛・趙雲と戦う羽目になりあっという間にお縄を頂戴することとなる。 「今の世有能な者はつとめてこれを生かす」と孔明は言う。「今の世って」w なにしろ西暦208年頃、この年代を見る…

  • 『三国志』再び 横山光輝 二十七巻

    周瑜、優秀な人なのにほんとうに気の毒です。 ネタバレしますのでご注意を。 赤壁の大戦で大勝利を収めた呉軍の勢いはまさに天を突くばかりであった。 降伏する曹軍の残兵を自軍に組み入れその勢いで南郡攻略を開始した。 そこへ玄徳からの祝いの品が届きさらに居場所を移したことを聞いた周瑜はここで玄徳に釘を刺しておかねばと自ら返礼に向かう。 「この程度の儀式になぜ」と訝しむ玄徳に孔明は周瑜への返答の方法を教えた。 「恩義あるゆえ荊州を奪うことはできぬ」とあれほど義侠心を固辞し続けていた玄徳がここにきて突然「よるべき土地を持たねばならぬ。事情は大きく変わったのだ」と言い出してる。何があったのか。 しかしここで…

  • 『三国志』再び 横山光輝 二十六巻

    やっぱり曹操様はステキだ。 ネタバレしますのでご注意を。 総勢百万の曹軍の出陣。威容の艦隊を見て周瑜は慄いた。 折しも強風で「帥」旗が折れ、曹操はこの日は引き揚げた。 が、周の旗もまた同じように折れてしまい周瑜はその下敷きとなって倒れてしまう。 孔明が見舞った時も周瑜はまだ起きれずにいた。が、怪我はなかったのだ。 孔明は周瑜に会うなり「なにがそれほど不安なのです」と問う。 周瑜は「不安など何もない」と答える。孔明は「それは気の病です」と言い「良い薬を差し上げましょう」と続けた。 人払いをして孔明が紙に字を書き周瑜に手渡す。「これが薬でござる」 そこには「ただ東風を欠く」と書かれていた。 周瑜は…

  • 『三国志』再び 横山光輝 二十五巻

    諸葛亮&魯粛そして霧深し。ステキな表紙だ。 ネタバレしますのでご注意を。 前にも書いたかもしれないが周瑜のモデルはクラーク・ゲーブルだと思う。 蒋幹は周瑜の床に供に入るが眠れず起き出し側の卓に手紙が置かれているのを見つける。それには蔡瑁と記されており周瑜からの返事がくれば内乱を起こして曹操の首を討つ所存であるという内容だった。 蒋幹は周瑜の陣を抜け出し曹操の元へと急ぐ。 蒋幹がもたらした手紙を見た曹操は激怒し直ちに蔡瑁の首を討ちとってしまった。 これぞ周瑜が望んでいた計略結果だった。水軍の将たる周瑜にとって曹操の巨大な水軍は脅威だった。 だがその曹操水軍も蔡瑁さえ取り除けば恐るるに足らぬものと…

  • 『三国志』再び 横山光輝 二十四巻

    美周郎と呼ばれた優れた才能を持つ周瑜。演義でも活躍するが実際はもっと穏やかな人格者だったという。そっちの周瑜も読んでみたい。 でも本作のおもしろい周瑜は気に入ってる ネタバレしますのでご注意を。 でもやっぱり大好きなのは魯粛さん。横山キャラの中でも魯粛さんは特出。 呉に到着した孔明はいきなり孫権の重臣たちとの舌戦を体験する。 日本ならば「知の甲子園」というところか。(ちっちゃ) 居並ぶ呉の重臣たちを相手に若き孔明はたじろぐことなく応戦する。 いやもうすごい。私なら何を言われているかすらわからずあわあわしてるだろう。 これは孔明自身なんども失望した件なんだよなあ。玄徳のあの潔癖性というかグズグズ…

  • 『三国志』再び 横山光輝 二十三巻

    張飛が物語を面白くしてくれる。 ネタバレしますのでご注意を。 読書目的である許褚の活躍もむなしく曹仁軍はまたも大きな犠牲を出してしまう。(この人これでいいのだろうか) 張飛は深追いすることなく皆が待つ船へ向かう。 もうすっかり昔から軍師であるかのような孔明。素直に返事する張飛もかっこいいね。 こうして玄徳は大戦果をあげたのち農民とともに樊城にむかったのである。 宛城では曹操が第一軍の大敗北の報を受け全軍出陣を命じた。が、部下は直ちにこれに反対し玄徳に対して降伏を求める使者を出すべきと講じた。 その使者には徐庶をという。 徐庶は玄徳の元に仕えていた。だからこそこの使者の任につき戻らなければ物笑い…

  • 『三国志』再び 横山光輝 二十二巻

    ところで横山光輝先生と言えば登場人物特に主要キャラが似すぎていて見分けがつかない、とよく言われていますね。確かに多くの作品で主要キャラが極端に顔が違う、と思うことはあまりありません。本作で言えば玄徳タイプと曹操タイプは繰り返し使われていて他の人物もあまり造作を変えようとさえ思っていない気がします。 そんな横山作品の中で本作『三国志』は非常にキャラ造形の試みが行われたのではないでしょうか。 まず関羽と張飛は他にない髭キャラなのですぐにわかります。 それとなんといっても「考え抜かれたんだろうなあ」と思うのが孔明です。 髭面というような極端なキャラではなく微妙な特徴が作り出されています。 恐ろしいほ…

  • 『三国志』再び 横山光輝 二十一巻

    この表紙で舞い上がってしまう。ついについに。 しかし横山光輝氏はそう簡単には会わせてくれません。 ネタバレしますのでご注意を。 そう。読者のある意味、目的でもある孔明についにこの21巻でまみえるというので動悸も激しくなるのだが横山御大はそんなに簡単に歩を進めたりしないのだ。 まずは前巻の続きで命からがら逃げのびた曹仁が樊城に戻ろうとするとそこにはすでに「関」の旗がなびいていた。樊城は関羽によって落とされていたのだ。 この後玄徳は県令に会い県民を痛めつけるようなことはしないと伝えて安心させる。県令の劉泌も「玄徳様は民百姓を大切になさる方と聞いてございます」と最初から信頼している様子である。 玄徳…

  • 『三国志』再び 横山光輝 二十巻

    20巻目突入です。表紙がすでにわくわくです。 ネタバレしますのでご注意を。 以前も書きましたが横山『三国志』(だけじゃないだろうけど)は三幕になっていて19巻までの「玄徳青春期」20巻からの「玄徳熟成期」そして「玄徳亡後」と続きます。 「玄徳青春期」はただがむしゃらに玄徳が己の信念を貫く正義の時代を突き進む時期でもあり身の置き場がなく彷徨い続ける時期でもあった。 おおよそ40歳手前までのかなり長い迷走の青春期である。 ただただ帝を敬い漢の復興を望んでいたのだけど力のない玄徳はあちこちの権力者に頼っていくしかなかった。宿敵ともいえる曹操とも親しく交わらねばならない時期があったが曹操を騙して逃走す…

  • 『三国志』再び 横山光輝 十九巻

    ということで横山『三国志』に戻ってきました。 うむ、どうしても今の私は『三国志』が一番居心地よくてな。 ネタバレしますのでご注意を。 ところで吉川『三国志』を読んでいたら先の部分で関羽が玄徳から手紙をもらいそこに「お前が曹操に仕えて出世したいと思うのなら私は快くそれを許したいと思う」と書かれていたのを「私のことをそんな軽々しい男と思っておられたのか」と悔しがる場面として描かれていて「それもまた良いねえ」とにやにやしてしまった。 一方、横山『三国志』では関羽も玄徳もまったくそんな余計な心配などせずお互いまっしぐらに相手を信じ切っているのだけど。 やっぱり横山氏は浮気など考えもしない一途さを描いて…

  • 『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』古賀豪/原作 水木しげる

    アマゾンプライムにて鑑賞。 この一年弱の毎日の自由時間を横山光輝マンガ読書かその関係に費やしてまいりました。 「一年間は」と思っていたのですがちょうどこの時期に『鬼太郎誕生ゲゲゲの謎』がプライム配信されるとの情報でどうしようかと迷ってもいたのですがあっさり負けてしまいました。むむむ。 ネタバレしますのでご注意を。 とはいえまだ観終わったばかり。すでにもう何度か観てみる予定をしております。 よかった。 観る前にものすごく情報入っててマンガも知ってたり読んでみたりいろいろ予備知識多めだったし「あんまり期待してもな」という態勢でもあったのですが思った以上によかったし皆さんが感動したのもわかるしその気…

  • 『三国志』再び 横山光輝 十八巻

    はい、関羽が愛しい人の元へと一散に駆けていく巻です。幸せいっぱい。 表紙も笑みが我慢できないという感じだ。 ネタバレしますのでご注意を。 昨夜とうって変わってかっこいい関羽です。やはり赤兎馬にまたがる関羽は決まってるね。横山先生の描く馬はほんとうに美しい。 まずは「まき餌の策」により曹操が文醜を計略によって倒すのだがもしかして顔良の時と一緒で関羽がやっつけたら終わりだったのでは、という気もするがそれでは曹操が活躍できないからかもしれない。曹操も関羽にカッコいいとこ見せたいだろうし。 どっちにしても関羽の「ドバッ」という一撃で終わるのだけど。そして関羽の活躍で玄徳自身もその姿を確認する。そのまま…

  • 『三国志』再び 横山光輝 十七巻 後半

    笑っちゃうくらい可愛い関羽雲長。なぜこんなにかわいくなったん。 目がかわいすぎるぅ ネタバレしますのでご注意を。 張遼は曹操のために関羽の心の内を聞きに行く。(なんだか女学生みたいだな) いつもはこんな風だ 関羽のセリフが良すぎて悶え死ぬ。なんでこんな言葉言えるのか。 これもなあ。一番えっちなセリフだと思うのよ。 いったいどんなことがあったのかなあ。 こういうカットを見ると曹操を小柄に描くつもりでいるのはわかるな。でもやっぱり大きく感じるのだよね。 その頃玄徳は命からがら冀州にたどり着き袁紹の手厚いもてなしを受けていた。 (いやあ弟を死に追いやった人を・・・とは思ってしまうんだけど) とはいえ…

  • 『三国志』再び 横山光輝 十七巻 前半

    ちょっぴりほっこりだった前巻とうって変わって大きな変化が生まれる。 しかも関羽と曹操の物語がここで。 ネタバレしますのでご注意を。(上の文もネタバレではある) 董承の血判状に名を連ねた吉平。 曹操の侍医でもある名医吉平が企んだのは頭痛持ちの曹操の毒殺。自分が施す頭痛薬に毒を仕込むことだった。 だがこの計画を聞いた董承の下男の密告ですべて曹操の知るところとなる。曹操は暗殺計画に加担した者の一族郎党をことごとく捕らえ斬殺した。その数は七百人にのぼった。 曹操暗殺は帝の密詔からとはいえ帝を処刑することはできない。そうすれば国中の反感を買うのは目に見えているからだ。 しかし加担した西涼の馬騰と徐州の玄…

  • 『三国志』再び 横山光輝 十六巻

    かっこいい表紙。張飛はすっごく絵になるんよな。 ネタバレしますのでご注意を。 この巻は比較的ほっこり巻。曹操の配下である二将軍がオマヌケで笑って読んでいられるのである。ひきかえ関羽がめちゃくちゃ二枚目に描かれている。横山先生、関羽をどうしてここまで美形にしたんだろうか。(わけのわからない疑問) 曹操は死んだ袁術の供が持っていた玉璽を手に入れて大いに喜ぶ。が、一方突然脅威を感じ出した玄徳に貸した五万の兵がそのまま徐州に残されているという報告を受けて慌てだす。 この上は徐州城の留守番をさせていた車胄に玄徳討伐を命じるしかない。 車胄はその玄徳討伐を(こともあろうに)陳登に命じた。 陳父子は今も玄徳…

  • 『三国志』再び 横山光輝 十五巻

    『三国志』このあたりからやっと劉備玄徳が本格的に活躍し始める、と言っていいのではないか。 通常のマンガの構成としてはとんでもない。 とはいえここからの玄徳の活躍はそれを越えるとんでもなさだ。どうしてそういう構成なのかはこの巻を読めばわかるといえよう。 ネタバレしまうのでご注意を。 曹操と玄徳が馬車に隣り合って座っている貴重なショット。 ふたりは皇帝に謁見する。その際皇帝は劉備が自分の一族であると知り「玄徳よ。これからも朕の力になってくれ」と親しく話しかけられた。 曹操の側近は玄徳が力を持っていくのではないかと危ぶむが曹操は意に介さずそれよりも狩りを催して人々の心を計りたいと画策する。 狩りの中…

  • 『三国志』再び 横山光輝 十三巻後半から十四巻

    女子がちょっぴりだけとはいえ描かれている珍しい横山『三国志』表紙絵。 呂布とその娘だけど。呂布の危機を描いた名場面(?)とも言える。 ネタバレしますのでご注意を。 呂布軍に襲われ玄徳は逃げ延びたが行方知れず、小沛城は奪われてしまった。 ひとり逃走し彷徨う玄徳は近くの村の男から「小沛の玄徳様ではございませぬか」と問われる。男は続けて「玄徳様は民百姓にとても思いやりがございました。こんな時こそふだんの御恩返しがしたいと村の者も語っております」というのだ。 しかし玄徳は自分はそうではないと否定した。 男は自分の持つ食べ物を玄徳に渡す。玄徳はありがたく受け取り立ち去った。 それからも玄徳が行く先々に食…

  • 『三国志』再び 横山光輝 十三巻 前半

    『三国志』再読なんでざっとやろうと思っているのにどうしても一巻ペースになってしまうのですよ。どうしても書きたいことがあるのだな。 ネタバレしますのでご注意を。 冒頭、あの有名な曹操の「この先に梅の実があるぞ」事件が描かれる。 張繍と荊州の劉表が組んで怪しい気配があると聞き曹操は南陽へと向かう。 季節は5月から6月。最も暑い季節なのだ。 河南の伏牛山脈の道は険しく兵士たちは倒れ水を求めた。 そんな兵士たちに曹操は「皆の者、もう少しのしんぼうだ。この山を越えると梅の林がある」と呼びかける。兵士たちは「梅の実が食える」と言い合った。すっぱい梅の味を想像し口の中に唾をわかせいつしか喉の渇きを忘れたのだ…

  • 『三国志』再び 横山光輝 十二巻

    物語が曹操パートに入る。 なにしろずーっと曹操様を観ていられるのですぞ。眼福眼福。曹操は小柄だと言う史実というか記録があるので横山先生も意識しておられるようだけど、どうしても好みのためか(氏は好きなキャラをすらりと描きがち)大きめに描かれているように思えます。とにかく際立つ美形だというのは確か。私は壮年期以降の曹操デザインもとても好きです。 ネタバレしますのでご注意を。 曹操と彼が守護する帝は許昌にいる。その許昌を李傕・郭汜の敗残兵らが狙っていると聞き曹操は討伐軍を考えたが呂布の存在が出陣を迷わせる。都を空にすれば呂布は確実に略奪に動くからだ。 そのため曹操は呂布に平東将軍の称号を与えて忠誠を…

  • 『三国志』再び 横山光輝 十巻

    孫策。小覇王と呼ばれるだけあって頼もしい。周瑜との関係も描かれて居たらなあと思ったりもする。 ネタバレしますのでご注意を。 冒頭、孫策と太史慈の一騎打ちで互いに相手への敬意が生じたふたりが主従になっていくまでが描かれる。 孫策は劉繇を討たんとし太史慈は劉繇の家来ではあったがその劉繇の了見の狭さに失望してしまう。 さらに太史慈は劉繇が戦意を失って逃げ落ちてからも古城に立てこもって孫策軍と戦い続けた。孫策は太史慈を罠にはめ生け捕る。「早く首を刎ねろ」と言い続ける太史慈を説得し孫策は彼を部下とした。 太史慈は「三日の自由をくだされば優れた大将と兵を三千集めて精兵を作ってみせましょう」と言い出し孫権は…

  • 『三国志』再び 横山光輝 十巻

    張飛よ。しかしこの時が伏線ともなるのだ。 悲しいなあ。 ネタバレしますのでご注意を。 この巻もとても辛い巻だ(おおよそどれもツライ巻)が演出としてとてもうまい。 「酒を飲むんじゃないぞ」と玄徳に釘を刺されて留守番を任されたのに(しかも自分からすると言い出したヤツ)あっという間に酒を飲み始めしかも酔っ払って文官をぶん殴りそのために呂布に告げ口されて玄徳の留守に張飛達城兵が酔いつぶれているとばらされてしまう。 ここで面白いのはその呂布も「玄徳は俺を優しく迎え入れてくれた男だ」と言いながらもそれを裏切り城と領土を奪ってしまおうと決意してしまうというふたりの豪傑の心の弱さを並べて描いているところだろう…

  • 『三国志』再び 横山光輝 九巻

    天下を狙う曹操。 ネタバレしますのでご注意を。 玄徳結婚したことがここでお披露目されて草。普通主人公の結婚って一番華やかな場面となるものじゃないのん?ストーリーに関係なければ主人公でもカットされる。 曹操は玄徳がちゃっかり徐州を領土にしたと聞かされカッとなる。これを部下に諫められまずは自国を取り戻すことにした。よかったよかった。 兗州城は呂布の部下たる薛蘭と李封が留守を預かっていたが軍規は乱れたるみきっていた。曹操軍はそこを突け目に攻め込んだのだ。 この頃の許褚の可愛さよ。 ところで横山先生はおおよそ忠実に原作(?)をマンガ化しているように思える。オリジナルキャラみたいなのはほぼないみたいだけ…

  • 『三国志』再び 横山光輝 八巻から九巻冒頭

    あなたは曹操✖○○は誰ですか? ネタバレしますのでご注意を。 八巻冒頭の呂布・董卓討伐に戻るが本作の原作ともいえる吉川英治『三国志』ではこの貂蝉による誘惑作戦は王允の策略ということになっている。 横山氏がこれを「貂蝉自身が言い出した作戦」に変えたのは理解できる。つまり「董卓討伐という正義」を行っている王允を「女の性を利用する悪党」にするのに嫌悪感があることと奴隷ゆえにやむなく飼い主の命令を聞かざるを得ない女の悲劇にはしたくなかったということだろう。 貂蝉から言い出した、ということにすれば女性でありながら戦い抜いた気高さという描写にできる。 とはいえ現在の感覚で見れば貂蝉が自死する必要はない。仕…

  • 『三国志』再び 横山光輝 七巻後半から八巻冒頭

    呂布。横山三国志の中で一番女に弱い豪傑。 女に弱いと言うべきなのか、女に優しいと言うべきなのか。 女にとことん冷たい玄徳とどっちがいいのか。 ネタバレしますのでご注意を。 ほんとはこんなデザインじゃないよね???すごくかっこいい孫堅軍船 孫堅軍を待ち受けるのは荊州の(見なかったことにしておこうの)劉表。まずはその第一戦の大将江夏城の城主黄祖であった。 孫堅の軍船を発見して合図を送る。 というので気づいたけど、ここまで横山三国志で有名な「ジャーンジャーン」はあったんだっけ。(なかったような。あっても控えめだったのか) この合図を機に大将黄祖は孫堅軍船を迎え撃つ。 というので思い出したけどある頃か…

  • 『三国志』再び 横山光輝 六巻から七巻冒頭

    読み返していて、こんなに面白い作品を読めることが幸福だとしみじみ感慨に震えています。これを読まずに死ななくてほんとうによかった。 ネタバレしますのでご注意を。 という奇妙なる感動を覚えているけど曹操様の一大事だ。 袁紹の言葉を退け己の軍だけで董卓を追い詰め李儒の策略にはまってしまう。 曹操は何度も死の際まで行くけどこの時どうして死んでしまわなかったのか(どういう感想か)不思議なほどだ。 死の淵にまで追い詰められると誰かが助けにくる。不思議な男でもある。 「もはやこれまでか」と思い詰めると「殿!早まってはなりませぬ。ここは拙者にお任せくだされ」と家来が我が身を犠牲にする。 「殿!ご無事で」と祈っ…

  • 『三国志』再び 横山光輝 五巻

    ところで横山『三国志』を読んで初めて私は水島新司『ドカベン』設定が『三国志』からなのだと気づきました。 岩鬼が一番わかりやすく張飛ですね。破天荒さと体力が共通点です。 主人公たる劉備は里中智くんです。志は高いけど体力が足りない。母子家庭で貧しいけどお母さん思いというのまで一緒ですよ? では山田太郎君は? 私は孔明と関羽を足して2で割っていないと確信しています。山田君は孔明の頭脳と関羽の腕力を合わせ持っていると思うのです。 そして里中君へのあの忠義心はまさしく関羽でしょう。 そして姿かたちは趙雲wwwいや趙雲が山田君を真似たのかwwwというわけで 山田太郎君は孔明+関羽+趙雲になります。もの凄す…

  • 『三国志』再び 横山光輝 三巻後半から四巻

    赤に身を固めた曹操。そうか彼は赤い彗星だったのか。 赤い彗星曹操。 ネタバレしますのでご注意を。 さて。 片田舎の警察署長になったものの賄賂をせびる督郵をこらしめて飛び出した玄徳たちは張飛の知り合いである劉大人の屋敷と客人となる。 そこで以前助けた芙蓉姫と再会した玄徳は夜中の逢瀬を続けた。 この時の関羽の狼狽がかわいくてしかたない。 ぷーくすくす 玄徳を女にとられてしまうのは我慢ならん関羽である。 そこへ劉大人が吉報をもたらしてくれる。巡察がこの屋敷を訪れるというのだ。 関羽、速攻で玄徳に知らせにいく。 たぶんめっちゃ速足。すたたた。 玄徳、言い方が投げやり、心ここにあらず。関羽むかついてるw…

  • 『三国志』再び 横山光輝 二巻から三巻冒頭

    再び、っていうよりもっと読んでますが解りやすくしましたw ネタバレしますのでご注意を。 「再び」読むと、この2巻時点の劉備・関羽・張飛たちの若々しさに涙してしまう。 明日をも知れない流浪の身、「国のために」と命懸けで戦ってもなんの後ろ盾もない彼らは礼をされるどころか侮蔑の態度で追い出されるばかり。 が、後に関羽が曹操の客人になりその忠義心を自分に向けて欲しいと望んだ時関羽は答える。「玄徳様とは長い間貧しい食を分け合い苦労を共にしました。その思い出があなたとの間にはない」と(だいたいこのような) マンガに描かれていない部分でもこの三兄弟が寝食を共にしたエピソードが数知れずあるのだと二次創作的な想…

  • 『咬竜-風雲児黒田如水伝ー』横山光輝

    『ジャイアントロボ地球の静止する日』に引き続き横山原作アニメを見ようと予定していたのですがどうしても観続ける気になれずマンガに戻ってきましたw 横山マンガに限らず原作を愛した者はアニメには失望するきらいがあるとは思いますが横山作品は特に甚だしいのではないかと思ったりします。 横山作品はアニメとは相性が悪いのか、それとも良い巡り合わせがないのか、そもそもこんなものなのか。 やむなくやっぱりマンガ作品を読み進めることにします。 ネタバレしますのでご注意を。 表紙はなんだかすごく可愛いけど中身の黒田官兵衛がめちゃくちゃかっこいいです。 こういう正統派二枚目は横山キャラが最高峰。 ヒラリ スマートです…

  • 『ジャイアントロボ』横山光輝の原作と『~地球が静止する日~』今川泰宏

    上の『ジャイアントロボ』が下になります。 さて昨日も書きましたが今川『ジャイアントロボ~地球が静止する日~』はそれはそれでとても楽しみましたのでそれをどうこう批判はしないのですがそのアニメ作品によって原作横山作品の特徴・価値もまたひとつ明確になるのでここであえて「お楽しみ」として記してみたいと思います。 今川泰宏版『ジャイアントロボ』もまた監督の愛が満ちたひとつの傑作と思いますのでその上での記述としてご理解ください。 ネタバレしますのでご注意を。 なんといっても横山原作と今川版の違いはその実直さと騒々しさにあると思います。 これは横山氏が言われていたことだけどクライマックスの一場面を描くために…

  • 『ジャイアントロボ THE ANIMATION ~地球が静止する日~』今川泰宏/原作:横山光輝

    実はこの作品初鑑賞ではありません。 といってリアルタイムではなかったのですが話題だったので気になって鑑賞しました。横山光輝沼にはまる前だったけどとても面白く楽しみました。 で、横山光輝にはまってしまいかなり作品を読んだ現在もう一度観なおしたくなった、という次第です。 まだ途中ですが感想としては 「横山光輝を知ってしまうと感想変わるかと思ったけどあまり変わらなかった」 です。 確かに色々なキャラクターの原作を知ったのだからまったく変わらないわけはないのですが 「そうだったのかああ!!!」 という驚きはなかったですね。 たぶん監督の今川泰宏氏の色があまりにもはっきりくっきり出ているためなのでしょう…

  • 『平家物語』横山光輝 その3

    ネタバレしますのでご注意を。 少し話が戻る。 以仁親王(もちひとしんのう) 源三位入道頼政(げんさんみにゅうどうよりまさ) この顔、横山マンガの晩年によく出てくる。良いキャラです。 驕る平家と戦おうという声が上がり僧侶が立ち上がるが「格下の寺と同格になるのは我慢ならん」というようなことで破綻する。 清盛は比叡山の僧侶に絶大な寄進をして反逆を阻止するがこの寄進の品を僧侶たちが奪い合う。 以仁親王は宇治川の対岸にある平等院に入る。 清盛は四男知盛を総大将にして二万八千騎を率いさせた。 結果だけを書くと武力にものをいう平家は反逆者を討ちとってしまうがその抵抗ぶりが面白い。横山氏はどちらの戦いぶりも見…

  • 『平家物語』横山光輝 その2

    それほど書けることはないのだけど少し書きます。 ネタバレしますのでご注意を。 『平家物語』を読んで平家贔屓側として思うのはなんといっても「なぜあの時頼朝の首を討ちとってしまわなかったか」という清盛の言葉そのままだ。 もちろんそれはそれで仇討的な源氏の動きがあっただろうし「それでいうなら義経も」ということにはなるのだけど。 歴史にたらればはない。それが清盛であり頼朝だったということだけなのだから仕方ない。 おもしろいのは今はあまりそういうイメージがないのにこの時代は僧侶たちがすごい豪傑だということ。 中国では少林寺があるけどかつては日本でもそうした武闘派の寺もあったりしたのだろうか。おもしろがっ…

  • 『平家物語』横山光輝 その1

    横山光輝『平家物語』読み始めました。 まだ途中なので言えるのは 馬が小さくて可愛い(今までは大きく美しい馬を描き続けてきた横山氏が本作では「らしい感じのする」小型馬をしっかり描かれているのに感服しました) 私自身が源平合戦なら圧倒的平家贔屓なので清盛には頑張っていただきたい。 (もちろん大河ドラマ『平清盛』も観ていましためずらしく) このような歴史漫画を丹念に描いてくれるのはやはり横山氏の力量あってのこと。萩尾望都氏が『王妃マルゴ』青池保子氏『アルカサル』のような歴史漫画が素晴らしいのは横山氏の先鞭があってこそと思われます。 そして気になるのは本作が横山光輝氏の遺作に近いということです。 本作…

  • 『風盗伝』横山光輝

    昨日の『血笑鴉』の真逆のような作品。 ネタバレしますのでご注意を。 昨日の『血笑鴉』のカラスが己の欲望を満たすために人殺しを続け女を抱き長生きしていくのに対し本作『風盗伝』の武造はひとりの女性だけを好きになり戦ってもどうにもならないのを知ってなお命を落とす若者である。 『風盗伝』が1968年作品であり『血笑鴉』は1970年作品 他の方の感想を探ると「このあたりの横山作品も面白い『血笑鴉』とか『風盗伝』とか」とひとくくりにされてる感があってなるほどそういう括りもできるかなと思わされたりした。 とはいえ私には真逆の作品として認識させられる。 好みはそれぞれだろうけど私は本作『風盗伝』が自分にとって…

  • 『血笑鴉』その1 横山光輝

    ケッショウガラスと読むのだなあ。 ネタバレしますのでご注意を。 だからいつも半笑いなのね。 横山マンガの主人公と言えば美形、かっこいい、正義漢の手本といえるけどあえてその逆にしたのが本作なのだろうか。 あえてブサイクを主人公にしてみよう、としたら横山先生の感覚ではそういう人は正義ではない、となったのか。 下衆な性格の主人公にしてみようかと考えたら美形にならなかったのか。 それとも同時発生で不細工で下衆な性格として生まれてしまったのか。 主人公は「なぜか」物凄い殺しの腕前を持つ男である。 数年前に崖に突き出た木の枝にぶら下がっていた、という以前の記憶がすっかりなくなっており自分の本名も判らずどう…

  • 『サンダー大王』横山光輝

    「巨大ロボット&少年」シリーズ。 ネタバレしますのでご注意を。 横山光輝氏巨大ロボットの魅力は計り知れない。 しかし何も知らず読み始めたので最初変な男の命令を聞いて「サンダー大王」が動き始めたのを見て 「あれ?別展開かな?」と思ったのだがやはり登場したのは少年だった。 (ま、表紙に出てるしね) なんとアトランティス生まれで生き残りでもある少年、名前はシンゴ。もちろん熱い正義の心を持つ。 いきなりアトランティスの守護神である「サンダー大王」を強欲で貧弱な男に奪われてしまうところから登場するのだがなんとしてでも「サンダー大王」を奪い返すという意気込みがある。 そこへ無敵のサンダー大王が欲しくなった…

  • 『ダイモス』横山光輝

    小学館「小学四年生」1973年11月号~1974年3月号、「小学五年生」1974年4月号~1975年3月号連載 ネタバレしますのでご注意を。 上の表紙画像からして興味を持つ。 かっこいいロボットに鎖。そして少年の足元におじさんふたりが倒れているがなぜか同じ容貌でメガネのおじさんふたりだ。 表紙からして描き間違い?ということはあり得なくもちろんこれが導入のヒントになっている。 本作は「小学四年生」から「小学五年生」という極めて限られた対象向けに連載されていたわけですが特にそうした低年齢向けだからという手抜きは感じられません。 むしろ非常にセンシティブと言ってもいいほど特殊な条件を扱った設定ではな…

  • 『兵馬地獄旅』三巻 横山光輝 最終巻

    早くも最終巻です。 兵馬の地獄旅見届けましょう。 ネタバレしますのでご注意を。 くノ一・楓。一途な女でその腕は確かだから見ていて頼もしい。 何が何でも大好きな兵馬を守りたい、という強い意志を持つ女。 『忍者武芸帳』の明美、最近では『進撃の巨人』のミカサを思い重ねてしまう。 とはいえ兵馬も楓を思ってしびれ薬を撃ち込まれながらもまったく効いていないかのように耐えて動きばたりと倒れてしまうところがかっこいいではないですか。余計惚れてしまうばかりですわ。 この兵馬の優しさは上に挙げた明美に対する重太郎、ミカサに対するエレンにもなかった。なぜかこの『兵馬地獄旅』が一番のラブストーリーになっている。 楓と…

  • 『兵馬地獄旅』二巻 横山光輝

    いやあ楽しい地獄旅です。 ネタバレしますのでご注意を。 女との出会いは簡単にすまされてしまうが男との出会いは濃密に描かれる。 ヒロイン登場 なかなか見目麗しい。いや絶対女よりも丁寧に描いてるから。 驚いた表情の視線の先は・・・ しかし えーと、これは隠喩とみていいのかな。 ヒロインは兵馬を我が家に招き入れる。 ある意味寝室 ここで兵馬はヒロインの名が後藤又兵衛だと知る。 又兵衛は飲む前に周囲に落ち葉を撒く。怪しいものが近づいてもわかるというのだ。 こんなに接触する場面を描くのも珍しいかも 兵馬は野盗から又兵衛を討ちとれば仕官できるという企てで近づいたのだが又兵衛の人となりを知るに惚れ込み逆に又…

  • 『兵馬地獄旅』一巻 横山光輝

    おもしろくて一気に読んでしまいました。 ネタバレしますのでご注意を。 冒頭、気ままに一人旅をする兵馬が旅の坊さんといういで立ちの数人から襲われ激しい戦いとなる。 これは常々思っている横山光輝氏の「白土三平リスペクト」というのか「白土三平凄いけど俺ならこう描く」という意識を感じてしまう。 上の画像を見ても兵馬が少しおかしな短いスカートになってるのもミニスカートカムイを意識してではないだろうか。さすがにこの年齢でミニスカートはやばかったのだろう。 しかも本編に入るとしっかりズボン姿になってる。 こ、こっちが落ち着くよ どうやら兵馬も抜け忍であるらしい。 追っ手との戦いで負傷した兵馬は岩にもたれ座り…

  • 『伊賀の影丸』横山光輝 5巻

    はい。最終巻です。全巻15巻ですが最終巻は5巻です。 「影丸旅日記の巻」 ネタバレしますのでご注意を。 この巻で終わりと思うと感慨ひとしおです。 何度読もうと思っても読み難かった本作の理由はこの秋田サンデーコミックス版が掲載順が違うのだと教わり正しい読み順を示していただいたらするすると読み進めていけたのはなんともありがたくも不思議でした。 そ、そんなにやっぱり読み順は大切なのね。読み切り短編形式とはいえ作者もやはり説明をしなくなっていくものなのでしょう。 それでもどこか本作の重要性と作者横山光輝氏の偉業をどこか解らずにいたのですが前回読んで言葉にはしにくいのですが白土三平忍者ものとは違う意義に…

  • 『伊賀の影丸』横山光輝 7巻 前半

    「土蜘蛛五人衆の巻」 ネタバレしますのでご注意を。 土蜘蛛党の首領でありただひとりの生き残りとなった金目の後を追った善鬼はその秘術にかかってしまう。 だが影丸にひとことでも伝えたいと必死で半蔵屋敷に戻り目的を果たして死んだ。 そこへ金目からの矢文が届き鴨が原で一対一の勝負をしたいというのだった。 影丸は受けて立った。 かわいいふたり。 これを見ると吾妻ひでお氏の可愛い男の子は横山光輝からだったとわかる。 かわいすぎてずっと切り取ってしまう。 でも十郎太も好き。つまり村雨兄弟が好きということだな。 村雨家の庭には薬草と毒草が植えられている。影丸がその匂いを嗅ごうとすると源太郎は「その毒花をかぐと…

  • 『伊賀の影丸』横山光輝 6巻

    「土蜘蛛五人衆の巻」 ネタバレしますのでご注意を。 秋月藩で暗躍した土蜘蛛党の残党に命を狙われる影丸。 半蔵は手下の忍者たちに影丸の警護を命じた。 正直言うとこの巻はかなり手詰まりを感じてしまう。 これまで半蔵からの指令を受けて攻撃していたものを影丸の護衛という変化を持たせたのだろう。もしかしたら抜け忍のカムイが常に追っ手に狙われる状況なのを影丸に与えてみたのかもしれない。 が、本作品のこれまでの史実をない交ぜにしたストーリーと比べてしまうと物足りない。 敵が再登場の土蜘蛛党(恨みを持ってという設定だからやむをえないが)というのもあって得体のしれない恐怖、というのも期待できない。 唯一嬉しかっ…

  • 『伊賀の影丸』横山光輝 4巻

    「邪鬼秘帳の巻」影丸の背後に可愛い猫耳忍者がいっぱい。 ネタバレしますのでご注意を。 いつもながらお布団シーンがかわいすぎる。大の男が三人布団を並べて寝るかなあw お行儀良いし。 邪鬼案外優しい。一角を心配して外へ出る。 しかし優しさの見返りはある。大好きな影丸と出会えるのだ。というか出会えそうな気がしたので向かった気がするが。 しかも 覚えていてくれた。ジーン。 影丸は自分を「おれ」呼びしたり「せっしゃ」呼びしたりするけどここでは「ぼく」呼び。なんだか気を許している気がして邪鬼感激。 邪鬼と影丸は戦いはせず別れる。 邪鬼はあとのふたりを起こして現場に連れて来る。この辺そつがない。 一角を抱え…

  • 『伊賀の影丸』横山光輝 3巻 後半

    はい。『伊賀の影丸』3巻後半「邪鬼秘帳の巻」行きます。 あの邪鬼が再登場するのかとわくわくしますね。 ネタバレしますのでご注意を。 「秋月藩」での事件、なのですがこの「秋月藩」っていうのは現在の福岡県にあるあの秋月藩とは違うなにかなのでしょうか。このような城はないのではと思ったり。 それとも秋月藩というのは他にもあったのか、黒澤映画『隠し砦の三悪人』でも秋月家復興というのが出てきますがなんでこうあちこちで秋月?となっています。 全然関係なくて単に「秋月」という名前が良いので使われやすいということなのでしょうか。 とりあえず秋月藩では辻斬りが横行していた。ふたりの酔っぱらい武士が辻斬りにいとも簡…

  • 『伊賀の影丸』横山光輝 8巻

    「地獄谷金山の巻」&「ムササビ」 この表紙はwww影丸くんはキリっとかっこいいけど後のおじいさんともう一人の忍者もふざけているみたいに見えて笑える。 おじいさんじゃなくて女の子かもしれない(ウソです) ネタバレしますのでご注意を。 嵐月之助。火薬を自在に使う恐ろしい男である。 だけど仲間の影丸を真剣に心配する優しさも併せ持つ。 優男みたいなのに額の傷もあってちょっとつかみどころのない味のあるキャラクターだ。 横山先生のお布団シーン(変な意味ではない。だいたい変なシーンないし)はいつもなんとなく微笑ましくて笑ってしまう。きちんとしすぎ?なのか? ここなんか寝心地良いように敷布団が二枚重ねになって…

  • 『伊賀の影丸』横山光輝 7巻 後半

    7巻の後半「地獄谷金山の巻」行きます。この表紙もかっこいいです。 ネタバレしますのでご注意を。 お目めパッチリでかわいい。 忍者たちに襲われ倒れていた男を救おうとした半蔵。が、男は刀傷を受け「かくし金山がある」という言葉を残して死んでしまった。その手には刀に塗られていたのであろう毒による症状があらわれていた。 半蔵はすぐさまこの情報を家老に伝える。家老は「金山銀山はすべて幕府の直轄になっている。これは軍資金を蓄えるのをふせぐためじゃ」と言い、隠し金山を持つ者がいるという報告を怖れた。家老は「すべてお前に任せる」と半蔵に命じた。 半蔵はその男を自宅に運び配下の忍者たちに「どこのものか、かぎだせ」…

  • 『伊賀の影丸』横山光輝 3巻 前半

    三巻前半「半蔵暗殺帳の巻」を続けます。 ネタバレしますのでご注意を。 気のせいか、この回は絵がすごく急いでいるというか雑な感じがする。それともこういうタッチを意識した描き方なんだろうか。 しかしとても可愛い場面もある。それはフクロウ。半蔵配下の甚内が用いる。 忍犬ならぬ忍フクかわいい。頭が良くてかわいい。 飼い主・甚内もやさしい。 めっちゃ役に立つ。かわいい。 ホウホウかわいい しかし飛騨忍者は伊賀忍者の死体に化けて屋敷内に侵入し再び半蔵の巻物を狙う。 またまた睡眠薬をかがされる半蔵。たるんどるぞ。 しかし巻物は見つけきれなかった。 そして半蔵忍者も侵入者である飛騨忍者独眼房兵馬を見つけきれな…

  • 『伊賀の影丸』横山光輝 2巻

    なにこの壮絶な美少年。信じられないくらい綺麗な顔なんだけど! 「七つの影法師の巻」「半蔵暗殺帳の巻」 ネタバレしますのでご注意を。 冒頭は「七つの影法師」の最終部。 ここで描かれる「醜い顔になってしまったので包帯でそれを隠している」という題材は横山作品で何度も描かれている。 この時代に多かった題材だったようにも思えるし、他の作者も使っていたようにも思うが包帯男は『鉄人28号』でも使われているので横山氏としては気に入ったもしくは気になる設定なのだろうか。 幽鬼の「かならずお前を道づれにする」という執念によって天鬼もついに倒される。 そして夢麿。 夢麿さんは影丸が好きと見た。 そしてその影丸。 す…

  • 『伊賀の影丸』横山光輝 1巻

    「七つの影法師の巻」 何度この表紙を出してるんだろう、という気になってしまうがめげずに行こう。 とはいえこの表紙かっこいいです。忍者らしい雰囲気です。 ネタバレしますのでご注意を。 というわけで読み進めました。何度目かの一巻ですが、やはり読み順の問題だったと解明しました。 以前の「読みにくい」問題はなんだったんだろう、という感覚です。ちゃんと読めました。 当然ですがキャラクターと物語に馴染んだかどうかで読解力は違ってきますよね。 ということはサンデーコミックス、初読みなら第一巻の時点で脱落しがちなのでは。 これで読まなくなったという案件も多いのでは? あえて読者を減らしてしまう作品順番、という…

  • 『伊賀の影丸』横山光輝 15巻 最終巻

    最終巻ですが読者にはまったく最終巻どころか途中という不思議。 この表紙とても塗りが丁寧で綺麗に思えるのですが。影丸くん、凄すぎて少年というイメージが薄いですがこの絵ではほっぺがぴかっとしてて初々しい。 ネタバレしますのでご注意を。 闇一族・岩風と左門は村雨兄弟の末弟・源太郎を捕え連れ去る。 いちいちイヤラシイ。子供相手によお。 源太郎の目印に気づいた霧丸は跡を追うが解らず、影丸と共に探し始める。 横山マンガには珍しく変形コマになっている。 源太郎は痛々しい姿にもかかわらずここでも勝気に助けにきた影丸に気づき足で柱を叩いて合図を送り「助ける前に武士を追いかけろ」と伝える。 影丸はいったん引き揚げ…

  • 『伊賀の影丸』横山光輝 14巻

    「闇一族の巻・その一」 村雨五兄弟が登場する回です。 ではネタバレしますのでご注意を。 数年にわたって凶作が続くという山城の国。餓死者も出る中で人々は他の土地に移り始めた。 (というところでひっかかって江戸時代に農民が勝手に別の場所に移動できるのか、と思って検索したら江戸時代、農民は悲惨な生活をしてると思われているが案外自由な生活をエンジョイしていたと書かれていてそうなのか、と納得した。飢饉はエンジョイできないだろうが) そんな中で代官・山形三郎兵衛は集めた年貢で贅沢な暮らしをしていた。 この男の屋敷を襲った忍者たちがいた。彼らは山形を倒した後、蔵から財産を奪い去った。 その知らせを受けた服部…

  • 『伊賀の影丸』横山光輝 13巻

    「由比正雪の巻・その三」表紙はなんとなく昔の方が丁寧に描かれている気がする色塗りも。 ネタバレしますのでご注意を。 そうなのか ヌードというよりスカートはいてる感じの邪鬼様。影丸の仲間である源心と戦いその力量を見せつける。 邪鬼様、着やせするタイプというのか脱ぐとけっこう凄い体なのだ。 邪鬼は源心を高い樹に吊るして影丸を誘う。 あくまでも邪鬼の狙いは影丸だからね。 こ、これは影丸くんの女装、だよね? なぜここで女装せねばならないのか、必要なのか。少年だからこそできるものかもしれないが。 右コマのセリフ、ちょっと気になるがこういう言い回し以前はしていたのか。 「しわざくさいぞ」ではなく? 邪鬼は…

  • 『伊賀の影丸』横山光輝 12巻

    「由比正雪の巻・その二」 ネタバレしますのでご注意を。 左近丸の活躍が続く。 甲賀忍者・鏡月は伊賀忍者獅子丸を倒したものの最期に「血しるべ」をつけられ獣に追われる。目を傷つけられ満身創痍となった鏡月を左近丸と源心が追いつめる。 末期の水を願った鏡月に一ぱいの水を差しだすと鏡月は残った水をこぼし美女が舞う幻影を見せ源心を惑わせた。 だがむろん盲目の左近丸にはこの幻術は意味をなさなかった。 幻術で惑わせ逃げようとした鏡月はあっけなく左近丸に斬り捨てられる。 一方、邪鬼はあくまでも影丸ひとりを追っていた。 一途な男だ。 ところで邪鬼と正雪が似てるので紛らわしいが正雪は目がパッチリしてる 由比正雪が古…

  • 『伊賀の影丸』横山光輝 11巻

    なにこの表紙、笑わせたいのかwww 「由比正雪の巻・その1」 ネタバレしますのでご注意を。 由比正雪は『時の行者』で読んだので知っているわけだけど「慶安の変」とも言われる史実で自分の記憶にもなにやらドラマとか何かであった気もする。 正雪は幕府転覆を謀った後失敗追い詰められ自刃し見せしめのため磔(本作ではさらし首)となったが本作ではそれが偽物で本人は生き延びていた、という『魔界衆』の冒頭のような設定になっている。 本作での白眉はやはり左近丸。その存在感は影丸の影が薄くなるほど。 忍者の一味なのにとても綺麗な衣装の美少年剣士。 慌てふためく影丸をクールに諭す。 しかも盲目という。前髪があるので14…

  • 『伊賀の影丸』横山光輝 10巻

    はい。第十巻「若葉城の巻・その二」です。 ううむ。あれほど「読みにくい」と言っていたのが嘘のように「読みやすい」 そりゃそうだよねえ、とひとり赤面する。読みやすいものも順不同になればよくわからなくなるのは当然だ。 読みにくい考察までしてしまったのが恥ずかしくて削除したいけど「読みにくい」のはこういうわけですよ、という道標になるかもしれないのでそのままにしておこう。 そして道標様たちのおかげで読み進めていきます。 ネタバレしますのでご注意を。 うんかっこいい。 こういう構図で心がつかまれる。 たくし上げた袴も良い。 そして影丸を助けにくる彦三。 飄々としたクールキャラ。萩尾望都に影響与えてる気が…

  • 『伊賀の影丸』横山光輝 9巻

    ht なかなか読みこなせないのでこれは読み方が悪いのではないかと検索してみました。すると「巻の正しい順番」を示してくださっている方が・・・・ひらさんだったw 「伊賀の影丸」を、秋田のサンデーコミックスで連載順に読む場合の順番は、9巻→10巻→11巻→12巻→13巻→14巻→15巻→1巻→2巻→3巻前半→7巻後半→8巻→3巻後半→4巻→6巻→7巻前半→5巻といった感じです。面倒くさい。(^^;) pic.twitter.com/TxHZFM0oBd — ひら (@hira282828) 2018年3月11日 ありがたい。 早速9巻から読んでみましたよ。 なるほど。ここからなら読みやすい。当たり前…

  • 『伊賀の影丸』横山光輝 1

    再々挑戦『伊賀の影丸』なぜか私には『伊賀の影丸』が難しくてなかなか読めない。 かなり横山マンガ読んできたので今度こそは扉を開ける鍵を手に入れたのではないかと期待して読んでみよう。急ぐ必要はないのだからじっくりと。 ネタバレしますのでご注意を。 表紙の影丸がとんでもない魅力があるということだけはすぐに理解。 何故本作が読みにくく感じてしまうのか。 例えば横山氏の代表作『三国志』はまったく読みにくいとは思わなかったのにだ。 というのは無論『三国志』はずっと後の作品なので横山氏の技術が圧倒的に進化してきちっと整理された作品になっているからだ。 wikiを見ると本作『伊賀の影丸』は 「それぞれ固有の特…

  • 『魔界衆』横山光輝 その3

    こ、これはどうなんだろう?この場面の前に兵馬と話していたからうっかり口調が残ってしまったのか。 幸村がわざと口真似したのかとまで思ったけど、そんな感じでもなく。 普通に「そんなことは人間にはできない」でいいはず?佐助が言ったとも思えずw ネタバレしますのでご注意を。 魔界衆の里から五人の若者が代表で外へ出ることとなった。 幸村はこの機に魔界衆の力を利用したいと考える。 ここで兵馬は追っ手忍者との戦いで窮地にい陥るが里からついてきた太一によって救われる。 太一はまだ小さな幼児なのだがなんと御神器の一つを持ち出しておりそれで敵忍者を撃ち殺したのだ。 太一、おそろしい子 仲間の一人岩五郎もこの御神器…

  • 『魔界衆』横山光輝 その2

    横山先生の描く赤子はかわいいなあ。赤ちゃんを可愛く描ける人って案外いないんですよ。 ネタバレしますのでご注意を。 向かって右側が赤子を背負った佐助。中央が真田幸村。 さて昨日の続き。 燃え盛る火の海に入って行けと幸村に命じられ従った才蔵は黒焦げになって戻ってきた。 今度は佐助が「行ってみよ」と命じられる。 悲壮な忠義心を見せる佐助。 こういうのがたまらなくおかしくてむずむずするのが横山マンガの醍醐味だ。ふたりとも跪いてるのもおもろい。 幸村は背負った赤子が泣きださないのはおかしいと告げる。 意を決した佐助は赤子をおぶったまま燃え盛る炎の中へ入った。 佐助は熱さにたじろぐが赤子はばぶばぶと笑うだ…

  • 『魔界衆』横山光輝

    何も知らず読了。 なんという面白さ。驚きました。参りました。凄い。 タイトルの下に「横山光輝時代傑作選」と書かれているので短編集かと思っていました。そのくらい何も知らなかったのですが。 ebookでひとつだけのレビューがついていて悪評になっていますがお気になさらず。これは横山光輝の要素つまった傑作です。(って書かれているけどね、題目に) ネタバレしますのでご注意を。 始まり、真田幸村が登場する。『伊賀の影丸』など数々の忍者ものを描いてきた横山氏の実績がここで生きる。 誰もが「お得意の忍者ものの系譜なのだな」と信じて疑わない。というか私が疑わなかったw しかも地道な歴史ものの雰囲気だったのでこれ…

  • 『織田信長』横山光輝/原作:山岡荘八 その2

    読了しました。 ネタバレしますのでご注意を。 横山光輝戦国時代シリーズ(1980年代以降において)『徳川家康』『織田信長』『伊達政宗』『武田信玄』『武田勝頼』『豊臣秀吉』これは年表順に書いたが読んだのは順不同だった。(実はあと一作『平家物語』があるのだが) 先日も書いたように『織田信長』は後にとっておいた感があるのだけど先に他の作品で主人公張りに活躍する最も華やかな武将である。 が、そのせいもあってか信長主人公の本作は他で読んだ信長ほどには強い印象が残らなかったのは不思議である。 他の人の目を通した方が強い印象になるのかもしれない。 横山光輝はオーソドックスな表現方法を取る作家だと思う。ベーシ…

  • 『織田信長』横山光輝/原作:山岡荘八

    横山光輝戦国原作ものは一度味わったらやめられない。永久に続けてほしいと無理な願いを持ってしまう。 ネタバレしますのでご注意を。 織田信長。一番気になる人物なので後に残していた感がある。 常に鮮やかにこの国の人々の心を騒がしてきた男だ。 といっても戦国ものはつながっているので横山作品でも『徳川家康』『武田信玄』『豊臣秀吉』と読んでくればどうしたって信長は出て来るしどの作品でも主人公であるが如くの印象となる。 その織田信長を主人公にした本作にはどうしたって期待してしまうではないか。 本作は信長の幼少期は省いて濃姫と結婚する直前から始まる。 マムシと呼ばれる斉藤道三が愛した娘でありうつけと呼ばれる信…

  • 『単行本未収録傑作集 死神 』横山光輝 その2

    さて続けます。 ネタバレしますのでご注意を 4.『あの麻薬(ヤク)を追え』 最近麻薬をヤクと言わないですね。 ううむ、困ったこの作品。 見分けがしにくいほどかっこいい二人組。腕利きの秘密情報局員の彼らが麻薬運搬人を尾けて本拠をつきとめようとしたがまんまと巻かれてしまいホテルに泊まるのだが。 えーとこういう時って男二人ベッドを並べて寝るのが当たり前なのか?横山マンガではよくあるのだけど、さすがに別部屋にしないのかなあ。 男っぽい系と可愛い系なのも気になる。 ここだけ切り取ったらいかん すごくやさしいんだねえ(別にいいだろ) すごく仲良しなかんじ 男の尻は描いちゃいけなかったのだろうか。なぜ隠すの…

  • 『単行本未収録傑作集 死神 』横山光輝 その1

    タイトル通り横山光輝傑作短編集です。 最後の一作品を除いた八作品が青年向けマンガであり1960年後期に描かれたものです。最後の一作品だけは70年代前半のものです。 ネタバレしますのでご注意を。 八作品の特徴は青年向けを意識したもので好青年ではない「悪男」と「悪女」の攻防でありシニカルどんでん返し人生の悲劇といったものが強く出ています。 なぜそんな表現が多いのかは巻末の中野晴行氏による解説を読むとよくわかる(おっと中野晴行氏というのは昨日書いた『さいごの山嵐』収録本の監修の方ではないか) 氏の解説によると「1960年代というのはマンガの読者が12歳以下の子供だけではなく中・高生大学生さらには社会…

  • 『さいごの山嵐』横山光輝

    『別冊少年ジャンプ』1970ん10月号 収録本『バビル2世』8巻、潮出版社 と書かれていますが、私にはこの収録本がわかりませんでした。 こちらの拾い画像では『最後の山嵐』とタイトルされていますが私が読んだ(上の)本の表紙にはひらがなで『さいごの山嵐』と描かれています。 小さなところでややこしい。 その私が読んだ本作はこの本に掲載されていたものです。 金の星社/監修:中野晴行 ちなみに図書館で借りましたw 表紙でわかるとおり他の漫画家さんとの同時収録の上、税抜き3200円なのでちょっとこの本を買う余裕はない・・・。 いつか横山短編集のようなものに収録されることを願います。 ネタバレしますのでご注…

  • 『セカンドマン』横山光輝 その2

    かっこいいA1(アタックワン)ターミネーターかレプリカントか。 でもこっちが先。 さて昨日の続きです。 ネタバレしますのでご注意を。 ここにきて「???」という展開になっていく。 テレパシーに導かれいきなり遭遇したA1を倒すことができた健児はその声の主がいる場所へ歩き続けると「早く来てくれトカゲの大群にみな食べられてしまう」と今まで頼もしかった声が気弱になる。 とはいえ健児が急ぎ駆け付けるとそこには声のいうとおりオオトカゲの大群が人々をパクッパクッと飲み込んでいた。 健児はA1から取り上げた銃で次々とオオトカゲを倒し「誰かいるか」と呼びかけた。 「ここにいるよ。どうやらわしだけはトカゲのえじき…

  • 『セカンドマン』横山光輝 その1

    「小学四年生」昭和49年(1974)5月号~50年3月号掲載 おお!美女が一緒に描かれている。希少価値。小学生には美女w しかし中の扉絵では主人公ひとり。かっこいい。 ネタバレしますのでご注意を。 まず、小学四年生向けにしてはかなりハードな内容に思える。自分がそのとき読んでいたらそういう意味でも感動しただろう。 以前読んだ少年少女向け作品でも横山氏は重い内容をぶちこんでくる。そんなところにも愛読者が増えたに違いない。 美しい地球の姿を描き、廃墟と化した建物が示され「冷凍室」と書かれた壊れたドアの中で眠っていた少年が目覚める。 少年は五十年間冷凍ボックスに入っていて今その冷凍が解かれたのだ。 し…

  • 『マーズ』横山光輝

    昨日はあらすじを追った時点で力尽きてしまったので感想を少しは書いてみたい。 ネタバレしますのでご注意を。 リアルタイムで読んでいたならすぐに重ね合わせたのであろうけど『マーズ』は横山光輝版の『幼年期の終り』だったしあの頃、というか『幼年期の終り』以降のSFはそれをなくしては描けないに決まっている。 そして『幼年期の終り』が最初から非常に精神的な物語だったのに反抗するかのように横山『幼年期』は人類がそのような高みに行けるわけがないと叩きつけているようだ。 横山氏のプロフィールを見れば小学生までを戦時中に過ごしている。子供時代を戦争の中で過ごし疎開することを強いられた「幼年期」を送った人にとって戦…

  • 『マーズ』横山光輝 ⑤

    最終巻です。 少年マンガとして5巻で不足なくきっちり終わるというのは最初から計画していたということなのだろうか。 『デビルマン』も5巻で終わるのだけどあの物凄い話が全5巻でできるのだから全5巻というのはそういうものなのかもしれない。 ネタバレしますのでご注意を。 破壊された東京。 その中で記者会見が行われた。まずは官房長官が「我々には戦う気はありません。いや戦えないんです」と説明する。「六神体の五体まではマーズが片付けた。しかし残りの一体をやっつけると地球が吹っ飛ぶのです」 さらにマーズとは何者なのか、を毎朝新聞社が語る。「わかったことはこの少年も人工細胞によって生み出された無性生殖人間です」…

  • 『マーズ』横山光輝 ④

    ガイアーの表紙かっこいいではないですか。 ネタバレしますのでご注意を。 大地震を引き起こすシンとの戦いで虫の息になってしまったマーズ。 その頃自衛艦は噴火が収まってきた新島に上陸し捜索を始めようとしていた。だがその時またも奇妙な物体が海面に出現し自衛艦はこの世界から消滅した。 その様子を知ったのはマーズの部屋にいる岩倉記者だった。解読を続けた彼は現れたものがウラエウスだとわかる。 ウラエウスはマーズの部屋を破壊するために現れたのだ。 マーズの部屋には部屋を守るための破壊光線の仕組みがあり今まで溶岩で動かせずにいたものがウラエウスの攻撃で溶岩が飛ばされ作動し始める。 ウラエウスと部屋の攻防で部屋…

  • 『マーズ』横山光輝 ③

    この表紙もかっこいいです。 ネタバレしますのでご注意を。 この造形 そしてこの アイディアである。小さく「トン」「トン」と書いてあるし。 しかもこの感想が ふつう。 横山魔術にかかったらもう抜け出せないんだと思う。 四体と見えたスフィンクスの実体はひとつだけで他三体はまぼろしだとマーズは気づく。海に逃げこんだマーズを追ってスフィンクスで煮えたぎらせてやろうとしたがそこにガイアーが登場した。 ガイアーが発する光の球にスフィンクスはあっけなく消滅した。 そしてここでフジツボに包まれていたガイアーの本来の姿が現れる。 ううむ。いったいこれは何からの発想なのか。 髭を見るとツタンカーメンを思わせるが。…

  • 『マーズ』横山光輝 ②

    ①の表紙は衝撃ですが②のマーズはなんかセクシーで素敵です。 ネタバレしますのでご注意を。 横山光輝マンガをずっと読み続けてきた方にはあまり感じられないものかもしれませんが長い時を経て読み始めた者にとっては(年齢は若くなくても)今の感覚ではちょっと(・・?的になる場合がちょこちょこあります。 (いやそれが楽しいのでしょうが) 例えば『三国志』だとそれは殆ど感じないのですが『マーズ』は特にそれが多くて読みづらかったのです。 再読して少しずつその(・・?感が薄れより深い所へ入りこめていく気がしています。 その一つが六神体メンバー。無性生殖人間というにはあまりにおじさんキャラなので奇妙にも思える。マー…

  • 『マーズ』横山光輝 ①

    『マーズ』再読します。再読の再読です。 この作品も私には凄く難しくてすぐにピンとこなかったのですが気になってしょうがないので再挑戦します。 ネタバレしますのでご注意を。 『マーズ』をとりあえず完読すればやはり『バビル2世』との類似点と相違点を考えてしまう。 似ているのは主人公が特別な能力を持った少年であること、その能力が宇宙由来のものであること、特殊能力を持つグループではなく個体の戦いだが補佐役がいること、戦う相手が同等の特殊能力者だということ、などだろうか。 違いは『バビル2世』がほぼバビル2世の視点であるが『マーズ』はむしろ社会に視点が置かれている。バビル2世も孤独感があったがマーズは心を…

  • 『闇におどる猫』横山光輝

    「冒険王」(秋田書店)昭和32年5月号付録 先日、ひらさんのⅩポストで知った『闇におどる猫』横山先生ご自身が登場するというのと猫が出てくるというので読みたさを抑えられず古本購入しました。 ネタバレしますのでご注意を。 36ページの短い作品ですが横山氏独特の不思議な味わいがあります。 ひらさん(と別の方のやり取り)ポストで横山先生が自殺する話だけどそれは最初からなのでネタバレではないと知っていたのですが確かに冒頭も冒頭に「ある漫画家の死」と書かれていてその下で横山先生が「ね、猫め!き、きえろ」と苦し気につぶやいている場面から始まります。 いつもながら読む者を引き込む力がすごいです。 気になるでは…

  • 『豊臣秀吉』横山光輝/原作:山岡荘八 その2

    読了しました。 ネタバレしますのでご注意を。 ふむふむ。横山光輝という方はほんと「かっこいい男」が大好きでかっこよければ物凄い力量で丹念に描いていくがかっこ悪いと思うと一ページも描く気がないのだろう。 その潔さに感心する。 秀吉というか藤吉郎の名前で織田信長に仕えている頃の藤吉郎はおおいに魅力があるけど(将来天下を取るという予感を含めて)後になっていくほどその爆発的な魅力が薄れてしまう。 本作は信長とのつながりが感じられるまでを描かれているように思える。 心に残ったエピソードとしては最初の頃の荒んだ社会。百年にわたって続く戦国の世において人々の心も荒み切っている。 馬を縛り付け生きたまま焼き殺…

  • 『豊臣秀吉』横山光輝/原作:山岡荘八

    秀吉の話はさすがにもうよく知ってるだろうと思っていたのですが本作の中身はまったく知らない話ばかりでした。 いや歴史もの知らないのでアタリマエなんですが。 信長様はいつ見てもかっこいいです。 ネタバレしますのでご注意を。 読み始めて半分ほどなのですが面白くて止まらなくなってしまいます。 中で寧々が「まるで禅問答を聞いてるみたい」という場面がありますがほんとうにその通りです。 藤吉郎・蜂須賀小六・信長・竹中半兵衛・大沢治郎左衛門、交わる台詞が丁々発止と研ぎ澄まされた小刀のようで読む者までが緊張を強いられます。 以前は秀吉が人気だったと思うのですが今の時代は秀吉の時代ではないと感じるのは何故なのでし…

  • 『元禄御畳奉行の日記』上その2&下 横山光輝/原作:神坂次郎

    上の途中から続きます。下まで行けるか。 ネタバレしますのでご注意を。 タイトルのとおりこの日記が書かれたのは元禄時代。元禄時代と言えば江戸時代でも最も文化華やかなりし頃というイメージと同時に綱吉の「生類憐みの令」という行き過ぎた悪法が人々を苦しめた、という評価もされますね。 本作でもこの法令の愚かさが描かれその法令にもかかわらず文左衛門は仲間を引き連れ川で網打ちによる魚取りを76回もやったというのです。これは文左衛門が江戸ではなく尾張に住んでいるからこそできたのかもしれません。 しかしこの「生類憐みの令」で日本人の動物への愛情が生まれたのではなかろうかと私は思ってもいます。現代においては犬猫を…

  • 『元禄御畳奉行の日記』横山光輝/原作:神坂次郎

    電子書籍で見つからなかった横山作品のタイトルをamazonで見つけてしまうと注文するしかないではないですか。 しかも本書の紹介文の冒頭が 武芸も役目もそっちのけ、本当の元禄武士は酒と艶の浮世三昧だった…!? とは昨日「横山光輝は武将を選択し名もなき人を選ばない王道の作家」的なことを書いたのが翌日覆されでしまいます。 いやいやそれだけでなく酒はいいとしても艶の方はそれこそ横山マンガではほぼ忌避されてきた事柄でそれを描いているとなれば気になってしまいます。 というわけでいってみましょうか。 ネタバレしますのでご注意を。 まずは本当にまじで 武芸も役目もそっちのけ、本当の元禄武士は酒と艶の浮世三昧だ…

  • 『その名は101』横山光輝

    『バビル2世』のいわば続編ですね。 名作でありみんな大好き『バビル2世』と違い本作はその評価は低いようです。 私としても『バビル2世』の時のように一巻ずつ読んで感想というのではなく全体として感想を書いてみようと思っています。 ネタバレしますのでご注意を。 まずそのタイトルについて考えてみたいのですが「101」というコードネームの意味というのはどこかで説明もしくは分析されているのでしょうか。 「101」の意味を検索してみると入門編だとか素数だとか他にも様々な意味を含むようですがいまいちつながりを感じません。 そもそも『バビル2世』の時点で私はあの作品がSF忍者ものだと思いさらに白土三平の『カムイ…

  • 『バビル2世』横山光輝 ⑫

    最終巻です。 ネタバレしますのでご注意を。 理由は不明だが続けて男たちが「おねがいだ。助けてくれ。俺の言うことを聞いてくれ」と訴えながら自分で自分を撃ち抜く、市街で高速で車を走らせぶつかって死んでしまう、という出来事が描かれる。 バビル2世は保安庁の局長からの新聞広告(暗号)を見て訪れる。 数か月にわたって異様な自殺者が増えているというのだ。 調査によると自殺者の共通点は皆同じ日に事故などで片足や片腕をなくして同じ病院で手足の移植手術を受けたという。その日自分の体を切り刻んで不幸な人たちのために使ってくれという死体の提供者があったのだ。 その死体提供者の写真を見るとその顔はヨミの死体だったのだ…

  • 『バビル2世』横山光輝 ⑪ 外伝

    ネタバレしますのでご注意を。 バビル2世は登場しない外伝です。 9巻の冒頭、バビル2世がヨミからの攻撃の防御に疲弊し深い傷を負って意識を失い治療中となりバベルの塔のコンピューターも激しい損傷を受けて修理を急ぐもその力は半減していた時期偶然ひとりの男がバベルの塔にたどり着いた。 その男は飛行機に乗る前に占いで「乗客全員死亡」と出てその占い師に止められたのを振り切って事故にあったのだった。 ただ一人生き延びたものの砂漠を彷徨いバベルの塔へたどり着く。その塔の中では巨大なコンピューターが自分自身を修理していた。 そのために男は内部に入り込んでも何の攻撃を加えられることもなく再び外へ出られたのだ。 渇…

  • 『バビル2世』横山光輝 ⑪

    ヨミはF市の地下に作った基地へと戻り部下たちに総攻撃をかけるよう指示した。 サントスというロボットが大量に出動し次々と自衛隊の戦車を破壊していく。自衛隊が対抗したがまったく歯が立たない。 最終兵器的に投入されるロボットが巨大ロボットではなく人間大のものではあるがまったくこちら側の攻撃が効かず一つ目から発射されるビームであっという間に人間が焼失されてしまう、というのが恐ろしい。無論乗り物も簡単に破壊されてしまう。 局長はバビル2世に「なんとかならんか」と訊ねる。バビル2世の答えは「しもべたちを使えば戦えるが逆にヨミに操られてしまえば逆に襲われる」そして自衛隊隊長に空軍への救助を頼み自分に与えられ…

  • 『バビル2世』横山光輝 ⑩

    こういう襲い掛かる男たち、って構図が横山と覚えた。 ネタバレしますのでご注意を。 これはかっこいいっ ヨミはバビル2世に対し大勢のビールス超能力者と戦うことがお前の死を意味すると告げる。 バビル2世自身はその上でエネルギー衝撃波を使うしかない。 バビル2世はロプロスをガソリンスタンドに誘導しつっこませ大火を起こした。 ビールス超能力者も街もいっせいに燃え上がった。 ヨミ組織はバビル2世を見つけることはかなわぬまま町に着陸した。 その頃、伊賀野氏はバビル2世から与かったニンニクエキスを保安局へ持ち帰り大量生産を進めていた。 伊賀野すっかり変わったなって顔の局長 おっさんたちの呼び声を聞いて天女の…

  • 『バビル2世』横山光輝 ⑨

    さて問題の九巻である。読み返しをしているわけだがここで『バビル2世』が突如変わってしまうのだ、と私は感じてしまう。 ネタバレしますのでご注意を。 というのは本作はSFというジャンルを借りた忍者ものと言っていいと思うのだ。横山氏はたぶん白土三平『カムイ外伝』のようなクールな一匹狼的キャラクターの作品を生み出したくてバビル2世を描いたのだ。 それは以前自分で描いた忍者ものが組織に属したものであったため「抜け忍」のようなハードな戦いを強いられる主人公を作ってみたかったのではないか。 それはバベルの塔というコンピューターそして人間ではない三つのしもべという形にして大成功した。カムイも鳥や犬や熊を味方に…

  • 『バビル2世』横山光輝 ⑧

    なんかすごくかっこよくなってきたあ。 ネタバレしますのでご注意を。 ヨミはロボットでバビル2世を襲わせロプロスに救いを求めたところにミサイルを撃ち込むという作戦を決行した。 ロプロスは命じられた通りにバビル2世とロデムを庇って覆ったが山が崩れ三体はその下敷きとなる。 モニターでそれを確認したヨミはひとまず安堵したが部下たちには警戒を促した。(用心深いね) 一安心のヨミは人体研究所で成果を訊ねる。人体に宇宙ビールスを注射すると三分の二は死亡し残りは異常な力を持ち始めるという。 試しに一人の被験者に炎を出させた。さらにもうひとりと手をつながせ超能力を出させるとその力は二倍になるのだ。 ヨミはこの成…

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