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  • 『伊賀の影丸』横山光輝 14巻

    「闇一族の巻・その一」 村雨五兄弟が登場する回です。 ではネタバレしますのでご注意を。 数年にわたって凶作が続くという山城の国。餓死者も出る中で人々は他の土地に移り始めた。 (というところでひっかかって江戸時代に農民が勝手に別の場所に移動できるのか、と思って検索したら江戸時代、農民は悲惨な生活をしてると思われているが案外自由な生活をエンジョイしていたと書かれていてそうなのか、と納得した。飢饉はエンジョイできないだろうが) そんな中で代官・山形三郎兵衛は集めた年貢で贅沢な暮らしをしていた。 この男の屋敷を襲った忍者たちがいた。彼らは山形を倒した後、蔵から財産を奪い去った。 その知らせを受けた服部…

  • 『伊賀の影丸』横山光輝 13巻

    「由比正雪の巻・その三」表紙はなんとなく昔の方が丁寧に描かれている気がする色塗りも。 ネタバレしますのでご注意を。 そうなのか ヌードというよりスカートはいてる感じの邪鬼様。影丸の仲間である源心と戦いその力量を見せつける。 邪鬼様、着やせするタイプというのか脱ぐとけっこう凄い体なのだ。 邪鬼は源心を高い樹に吊るして影丸を誘う。 あくまでも邪鬼の狙いは影丸だからね。 こ、これは影丸くんの女装、だよね? なぜここで女装せねばならないのか、必要なのか。少年だからこそできるものかもしれないが。 右コマのセリフ、ちょっと気になるがこういう言い回し以前はしていたのか。 「しわざくさいぞ」ではなく? 邪鬼は…

  • 『伊賀の影丸』横山光輝 12巻

    「由比正雪の巻・その二」 ネタバレしますのでご注意を。 左近丸の活躍が続く。 甲賀忍者・鏡月は伊賀忍者獅子丸を倒したものの最期に「血しるべ」をつけられ獣に追われる。目を傷つけられ満身創痍となった鏡月を左近丸と源心が追いつめる。 末期の水を願った鏡月に一ぱいの水を差しだすと鏡月は残った水をこぼし美女が舞う幻影を見せ源心を惑わせた。 だがむろん盲目の左近丸にはこの幻術は意味をなさなかった。 幻術で惑わせ逃げようとした鏡月はあっけなく左近丸に斬り捨てられる。 一方、邪鬼はあくまでも影丸ひとりを追っていた。 一途な男だ。 ところで邪鬼と正雪が似てるので紛らわしいが正雪は目がパッチリしてる 由比正雪が古…

  • 『伊賀の影丸』横山光輝 11巻

    なにこの表紙、笑わせたいのかwww 「由比正雪の巻・その1」 ネタバレしますのでご注意を。 由比正雪は『時の行者』で読んだので知っているわけだけど「慶安の変」とも言われる史実で自分の記憶にもなにやらドラマとか何かであった気もする。 正雪は幕府転覆を謀った後失敗追い詰められ自刃し見せしめのため磔(本作ではさらし首)となったが本作ではそれが偽物で本人は生き延びていた、という『魔界衆』の冒頭のような設定になっている。 本作での白眉はやはり左近丸。その存在感は影丸の影が薄くなるほど。 忍者の一味なのにとても綺麗な衣装の美少年剣士。 慌てふためく影丸をクールに諭す。 しかも盲目という。前髪があるので14…

  • 『伊賀の影丸』横山光輝 10巻

    はい。第十巻「若葉城の巻・その二」です。 ううむ。あれほど「読みにくい」と言っていたのが嘘のように「読みやすい」 そりゃそうだよねえ、とひとり赤面する。読みやすいものも順不同になればよくわからなくなるのは当然だ。 読みにくい考察までしてしまったのが恥ずかしくて削除したいけど「読みにくい」のはこういうわけですよ、という道標になるかもしれないのでそのままにしておこう。 そして道標様たちのおかげで読み進めていきます。 ネタバレしますのでご注意を。 うんかっこいい。 こういう構図で心がつかまれる。 たくし上げた袴も良い。 そして影丸を助けにくる彦三。 飄々としたクールキャラ。萩尾望都に影響与えてる気が…

  • 『伊賀の影丸』横山光輝 9巻

    ht なかなか読みこなせないのでこれは読み方が悪いのではないかと検索してみました。すると「巻の正しい順番」を示してくださっている方が・・・・ひらさんだったw 「伊賀の影丸」を、秋田のサンデーコミックスで連載順に読む場合の順番は、9巻→10巻→11巻→12巻→13巻→14巻→15巻→1巻→2巻→3巻前半→7巻後半→8巻→3巻後半→4巻→6巻→7巻前半→5巻といった感じです。面倒くさい。(^^;) pic.twitter.com/TxHZFM0oBd — ひら (@hira282828) 2018年3月11日 ありがたい。 早速9巻から読んでみましたよ。 なるほど。ここからなら読みやすい。当たり前…

  • 『伊賀の影丸』横山光輝 1

    再々挑戦『伊賀の影丸』なぜか私には『伊賀の影丸』が難しくてなかなか読めない。 かなり横山マンガ読んできたので今度こそは扉を開ける鍵を手に入れたのではないかと期待して読んでみよう。急ぐ必要はないのだからじっくりと。 ネタバレしますのでご注意を。 表紙の影丸がとんでもない魅力があるということだけはすぐに理解。 何故本作が読みにくく感じてしまうのか。 例えば横山氏の代表作『三国志』はまったく読みにくいとは思わなかったのにだ。 というのは無論『三国志』はずっと後の作品なので横山氏の技術が圧倒的に進化してきちっと整理された作品になっているからだ。 wikiを見ると本作『伊賀の影丸』は 「それぞれ固有の特…

  • 『魔界衆』横山光輝 その3

    こ、これはどうなんだろう?この場面の前に兵馬と話していたからうっかり口調が残ってしまったのか。 幸村がわざと口真似したのかとまで思ったけど、そんな感じでもなく。 普通に「そんなことは人間にはできない」でいいはず?佐助が言ったとも思えずw ネタバレしますのでご注意を。 魔界衆の里から五人の若者が代表で外へ出ることとなった。 幸村はこの機に魔界衆の力を利用したいと考える。 ここで兵馬は追っ手忍者との戦いで窮地にい陥るが里からついてきた太一によって救われる。 太一はまだ小さな幼児なのだがなんと御神器の一つを持ち出しておりそれで敵忍者を撃ち殺したのだ。 太一、おそろしい子 仲間の一人岩五郎もこの御神器…

  • 『魔界衆』横山光輝 その2

    横山先生の描く赤子はかわいいなあ。赤ちゃんを可愛く描ける人って案外いないんですよ。 ネタバレしますのでご注意を。 向かって右側が赤子を背負った佐助。中央が真田幸村。 さて昨日の続き。 燃え盛る火の海に入って行けと幸村に命じられ従った才蔵は黒焦げになって戻ってきた。 今度は佐助が「行ってみよ」と命じられる。 悲壮な忠義心を見せる佐助。 こういうのがたまらなくおかしくてむずむずするのが横山マンガの醍醐味だ。ふたりとも跪いてるのもおもろい。 幸村は背負った赤子が泣きださないのはおかしいと告げる。 意を決した佐助は赤子をおぶったまま燃え盛る炎の中へ入った。 佐助は熱さにたじろぐが赤子はばぶばぶと笑うだ…

  • 『魔界衆』横山光輝

    何も知らず読了。 なんという面白さ。驚きました。参りました。凄い。 タイトルの下に「横山光輝時代傑作選」と書かれているので短編集かと思っていました。そのくらい何も知らなかったのですが。 ebookでひとつだけのレビューがついていて悪評になっていますがお気になさらず。これは横山光輝の要素つまった傑作です。(って書かれているけどね、題目に) ネタバレしますのでご注意を。 始まり、真田幸村が登場する。『伊賀の影丸』など数々の忍者ものを描いてきた横山氏の実績がここで生きる。 誰もが「お得意の忍者ものの系譜なのだな」と信じて疑わない。というか私が疑わなかったw しかも地道な歴史ものの雰囲気だったのでこれ…

  • 『織田信長』横山光輝/原作:山岡荘八 その2

    読了しました。 ネタバレしますのでご注意を。 横山光輝戦国時代シリーズ(1980年代以降において)『徳川家康』『織田信長』『伊達政宗』『武田信玄』『武田勝頼』『豊臣秀吉』これは年表順に書いたが読んだのは順不同だった。(実はあと一作『平家物語』があるのだが) 先日も書いたように『織田信長』は後にとっておいた感があるのだけど先に他の作品で主人公張りに活躍する最も華やかな武将である。 が、そのせいもあってか信長主人公の本作は他で読んだ信長ほどには強い印象が残らなかったのは不思議である。 他の人の目を通した方が強い印象になるのかもしれない。 横山光輝はオーソドックスな表現方法を取る作家だと思う。ベーシ…

  • 『織田信長』横山光輝/原作:山岡荘八

    横山光輝戦国原作ものは一度味わったらやめられない。永久に続けてほしいと無理な願いを持ってしまう。 ネタバレしますのでご注意を。 織田信長。一番気になる人物なので後に残していた感がある。 常に鮮やかにこの国の人々の心を騒がしてきた男だ。 といっても戦国ものはつながっているので横山作品でも『徳川家康』『武田信玄』『豊臣秀吉』と読んでくればどうしたって信長は出て来るしどの作品でも主人公であるが如くの印象となる。 その織田信長を主人公にした本作にはどうしたって期待してしまうではないか。 本作は信長の幼少期は省いて濃姫と結婚する直前から始まる。 マムシと呼ばれる斉藤道三が愛した娘でありうつけと呼ばれる信…

  • 『単行本未収録傑作集 死神 』横山光輝 その2

    さて続けます。 ネタバレしますのでご注意を 4.『あの麻薬(ヤク)を追え』 最近麻薬をヤクと言わないですね。 ううむ、困ったこの作品。 見分けがしにくいほどかっこいい二人組。腕利きの秘密情報局員の彼らが麻薬運搬人を尾けて本拠をつきとめようとしたがまんまと巻かれてしまいホテルに泊まるのだが。 えーとこういう時って男二人ベッドを並べて寝るのが当たり前なのか?横山マンガではよくあるのだけど、さすがに別部屋にしないのかなあ。 男っぽい系と可愛い系なのも気になる。 ここだけ切り取ったらいかん すごくやさしいんだねえ(別にいいだろ) すごく仲良しなかんじ 男の尻は描いちゃいけなかったのだろうか。なぜ隠すの…

  • 『単行本未収録傑作集 死神 』横山光輝 その1

    タイトル通り横山光輝傑作短編集です。 最後の一作品を除いた八作品が青年向けマンガであり1960年後期に描かれたものです。最後の一作品だけは70年代前半のものです。 ネタバレしますのでご注意を。 八作品の特徴は青年向けを意識したもので好青年ではない「悪男」と「悪女」の攻防でありシニカルどんでん返し人生の悲劇といったものが強く出ています。 なぜそんな表現が多いのかは巻末の中野晴行氏による解説を読むとよくわかる(おっと中野晴行氏というのは昨日書いた『さいごの山嵐』収録本の監修の方ではないか) 氏の解説によると「1960年代というのはマンガの読者が12歳以下の子供だけではなく中・高生大学生さらには社会…

  • 『さいごの山嵐』横山光輝

    『別冊少年ジャンプ』1970ん10月号 収録本『バビル2世』8巻、潮出版社 と書かれていますが、私にはこの収録本がわかりませんでした。 こちらの拾い画像では『最後の山嵐』とタイトルされていますが私が読んだ(上の)本の表紙にはひらがなで『さいごの山嵐』と描かれています。 小さなところでややこしい。 その私が読んだ本作はこの本に掲載されていたものです。 金の星社/監修:中野晴行 ちなみに図書館で借りましたw 表紙でわかるとおり他の漫画家さんとの同時収録の上、税抜き3200円なのでちょっとこの本を買う余裕はない・・・。 いつか横山短編集のようなものに収録されることを願います。 ネタバレしますのでご注…

  • 『セカンドマン』横山光輝 その2

    かっこいいA1(アタックワン)ターミネーターかレプリカントか。 でもこっちが先。 さて昨日の続きです。 ネタバレしますのでご注意を。 ここにきて「???」という展開になっていく。 テレパシーに導かれいきなり遭遇したA1を倒すことができた健児はその声の主がいる場所へ歩き続けると「早く来てくれトカゲの大群にみな食べられてしまう」と今まで頼もしかった声が気弱になる。 とはいえ健児が急ぎ駆け付けるとそこには声のいうとおりオオトカゲの大群が人々をパクッパクッと飲み込んでいた。 健児はA1から取り上げた銃で次々とオオトカゲを倒し「誰かいるか」と呼びかけた。 「ここにいるよ。どうやらわしだけはトカゲのえじき…

  • 『セカンドマン』横山光輝 その1

    「小学四年生」昭和49年(1974)5月号~50年3月号掲載 おお!美女が一緒に描かれている。希少価値。小学生には美女w しかし中の扉絵では主人公ひとり。かっこいい。 ネタバレしますのでご注意を。 まず、小学四年生向けにしてはかなりハードな内容に思える。自分がそのとき読んでいたらそういう意味でも感動しただろう。 以前読んだ少年少女向け作品でも横山氏は重い内容をぶちこんでくる。そんなところにも愛読者が増えたに違いない。 美しい地球の姿を描き、廃墟と化した建物が示され「冷凍室」と書かれた壊れたドアの中で眠っていた少年が目覚める。 少年は五十年間冷凍ボックスに入っていて今その冷凍が解かれたのだ。 し…

  • 『マーズ』横山光輝

    昨日はあらすじを追った時点で力尽きてしまったので感想を少しは書いてみたい。 ネタバレしますのでご注意を。 リアルタイムで読んでいたならすぐに重ね合わせたのであろうけど『マーズ』は横山光輝版の『幼年期の終り』だったしあの頃、というか『幼年期の終り』以降のSFはそれをなくしては描けないに決まっている。 そして『幼年期の終り』が最初から非常に精神的な物語だったのに反抗するかのように横山『幼年期』は人類がそのような高みに行けるわけがないと叩きつけているようだ。 横山氏のプロフィールを見れば小学生までを戦時中に過ごしている。子供時代を戦争の中で過ごし疎開することを強いられた「幼年期」を送った人にとって戦…

  • 『マーズ』横山光輝 ⑤

    最終巻です。 少年マンガとして5巻で不足なくきっちり終わるというのは最初から計画していたということなのだろうか。 『デビルマン』も5巻で終わるのだけどあの物凄い話が全5巻でできるのだから全5巻というのはそういうものなのかもしれない。 ネタバレしますのでご注意を。 破壊された東京。 その中で記者会見が行われた。まずは官房長官が「我々には戦う気はありません。いや戦えないんです」と説明する。「六神体の五体まではマーズが片付けた。しかし残りの一体をやっつけると地球が吹っ飛ぶのです」 さらにマーズとは何者なのか、を毎朝新聞社が語る。「わかったことはこの少年も人工細胞によって生み出された無性生殖人間です」…

  • 『マーズ』横山光輝 ④

    ガイアーの表紙かっこいいではないですか。 ネタバレしますのでご注意を。 大地震を引き起こすシンとの戦いで虫の息になってしまったマーズ。 その頃自衛艦は噴火が収まってきた新島に上陸し捜索を始めようとしていた。だがその時またも奇妙な物体が海面に出現し自衛艦はこの世界から消滅した。 その様子を知ったのはマーズの部屋にいる岩倉記者だった。解読を続けた彼は現れたものがウラエウスだとわかる。 ウラエウスはマーズの部屋を破壊するために現れたのだ。 マーズの部屋には部屋を守るための破壊光線の仕組みがあり今まで溶岩で動かせずにいたものがウラエウスの攻撃で溶岩が飛ばされ作動し始める。 ウラエウスと部屋の攻防で部屋…

  • 『マーズ』横山光輝 ③

    この表紙もかっこいいです。 ネタバレしますのでご注意を。 この造形 そしてこの アイディアである。小さく「トン」「トン」と書いてあるし。 しかもこの感想が ふつう。 横山魔術にかかったらもう抜け出せないんだと思う。 四体と見えたスフィンクスの実体はひとつだけで他三体はまぼろしだとマーズは気づく。海に逃げこんだマーズを追ってスフィンクスで煮えたぎらせてやろうとしたがそこにガイアーが登場した。 ガイアーが発する光の球にスフィンクスはあっけなく消滅した。 そしてここでフジツボに包まれていたガイアーの本来の姿が現れる。 ううむ。いったいこれは何からの発想なのか。 髭を見るとツタンカーメンを思わせるが。…

  • 『マーズ』横山光輝 ②

    ①の表紙は衝撃ですが②のマーズはなんかセクシーで素敵です。 ネタバレしますのでご注意を。 横山光輝マンガをずっと読み続けてきた方にはあまり感じられないものかもしれませんが長い時を経て読み始めた者にとっては(年齢は若くなくても)今の感覚ではちょっと(・・?的になる場合がちょこちょこあります。 (いやそれが楽しいのでしょうが) 例えば『三国志』だとそれは殆ど感じないのですが『マーズ』は特にそれが多くて読みづらかったのです。 再読して少しずつその(・・?感が薄れより深い所へ入りこめていく気がしています。 その一つが六神体メンバー。無性生殖人間というにはあまりにおじさんキャラなので奇妙にも思える。マー…

  • 『マーズ』横山光輝 ①

    『マーズ』再読します。再読の再読です。 この作品も私には凄く難しくてすぐにピンとこなかったのですが気になってしょうがないので再挑戦します。 ネタバレしますのでご注意を。 『マーズ』をとりあえず完読すればやはり『バビル2世』との類似点と相違点を考えてしまう。 似ているのは主人公が特別な能力を持った少年であること、その能力が宇宙由来のものであること、特殊能力を持つグループではなく個体の戦いだが補佐役がいること、戦う相手が同等の特殊能力者だということ、などだろうか。 違いは『バビル2世』がほぼバビル2世の視点であるが『マーズ』はむしろ社会に視点が置かれている。バビル2世も孤独感があったがマーズは心を…

  • 『闇におどる猫』横山光輝

    「冒険王」(秋田書店)昭和32年5月号付録 先日、ひらさんのⅩポストで知った『闇におどる猫』横山先生ご自身が登場するというのと猫が出てくるというので読みたさを抑えられず古本購入しました。 ネタバレしますのでご注意を。 36ページの短い作品ですが横山氏独特の不思議な味わいがあります。 ひらさん(と別の方のやり取り)ポストで横山先生が自殺する話だけどそれは最初からなのでネタバレではないと知っていたのですが確かに冒頭も冒頭に「ある漫画家の死」と書かれていてその下で横山先生が「ね、猫め!き、きえろ」と苦し気につぶやいている場面から始まります。 いつもながら読む者を引き込む力がすごいです。 気になるでは…

  • 『豊臣秀吉』横山光輝/原作:山岡荘八 その2

    読了しました。 ネタバレしますのでご注意を。 ふむふむ。横山光輝という方はほんと「かっこいい男」が大好きでかっこよければ物凄い力量で丹念に描いていくがかっこ悪いと思うと一ページも描く気がないのだろう。 その潔さに感心する。 秀吉というか藤吉郎の名前で織田信長に仕えている頃の藤吉郎はおおいに魅力があるけど(将来天下を取るという予感を含めて)後になっていくほどその爆発的な魅力が薄れてしまう。 本作は信長とのつながりが感じられるまでを描かれているように思える。 心に残ったエピソードとしては最初の頃の荒んだ社会。百年にわたって続く戦国の世において人々の心も荒み切っている。 馬を縛り付け生きたまま焼き殺…

  • 『豊臣秀吉』横山光輝/原作:山岡荘八

    秀吉の話はさすがにもうよく知ってるだろうと思っていたのですが本作の中身はまったく知らない話ばかりでした。 いや歴史もの知らないのでアタリマエなんですが。 信長様はいつ見てもかっこいいです。 ネタバレしますのでご注意を。 読み始めて半分ほどなのですが面白くて止まらなくなってしまいます。 中で寧々が「まるで禅問答を聞いてるみたい」という場面がありますがほんとうにその通りです。 藤吉郎・蜂須賀小六・信長・竹中半兵衛・大沢治郎左衛門、交わる台詞が丁々発止と研ぎ澄まされた小刀のようで読む者までが緊張を強いられます。 以前は秀吉が人気だったと思うのですが今の時代は秀吉の時代ではないと感じるのは何故なのでし…

  • 『元禄御畳奉行の日記』上その2&下 横山光輝/原作:神坂次郎

    上の途中から続きます。下まで行けるか。 ネタバレしますのでご注意を。 タイトルのとおりこの日記が書かれたのは元禄時代。元禄時代と言えば江戸時代でも最も文化華やかなりし頃というイメージと同時に綱吉の「生類憐みの令」という行き過ぎた悪法が人々を苦しめた、という評価もされますね。 本作でもこの法令の愚かさが描かれその法令にもかかわらず文左衛門は仲間を引き連れ川で網打ちによる魚取りを76回もやったというのです。これは文左衛門が江戸ではなく尾張に住んでいるからこそできたのかもしれません。 しかしこの「生類憐みの令」で日本人の動物への愛情が生まれたのではなかろうかと私は思ってもいます。現代においては犬猫を…

  • 『元禄御畳奉行の日記』横山光輝/原作:神坂次郎

    電子書籍で見つからなかった横山作品のタイトルをamazonで見つけてしまうと注文するしかないではないですか。 しかも本書の紹介文の冒頭が 武芸も役目もそっちのけ、本当の元禄武士は酒と艶の浮世三昧だった…!? とは昨日「横山光輝は武将を選択し名もなき人を選ばない王道の作家」的なことを書いたのが翌日覆されでしまいます。 いやいやそれだけでなく酒はいいとしても艶の方はそれこそ横山マンガではほぼ忌避されてきた事柄でそれを描いているとなれば気になってしまいます。 というわけでいってみましょうか。 ネタバレしますのでご注意を。 まずは本当にまじで 武芸も役目もそっちのけ、本当の元禄武士は酒と艶の浮世三昧だ…

  • 『その名は101』横山光輝

    『バビル2世』のいわば続編ですね。 名作でありみんな大好き『バビル2世』と違い本作はその評価は低いようです。 私としても『バビル2世』の時のように一巻ずつ読んで感想というのではなく全体として感想を書いてみようと思っています。 ネタバレしますのでご注意を。 まずそのタイトルについて考えてみたいのですが「101」というコードネームの意味というのはどこかで説明もしくは分析されているのでしょうか。 「101」の意味を検索してみると入門編だとか素数だとか他にも様々な意味を含むようですがいまいちつながりを感じません。 そもそも『バビル2世』の時点で私はあの作品がSF忍者ものだと思いさらに白土三平の『カムイ…

  • 『バビル2世』横山光輝 ⑫

    最終巻です。 ネタバレしますのでご注意を。 理由は不明だが続けて男たちが「おねがいだ。助けてくれ。俺の言うことを聞いてくれ」と訴えながら自分で自分を撃ち抜く、市街で高速で車を走らせぶつかって死んでしまう、という出来事が描かれる。 バビル2世は保安庁の局長からの新聞広告(暗号)を見て訪れる。 数か月にわたって異様な自殺者が増えているというのだ。 調査によると自殺者の共通点は皆同じ日に事故などで片足や片腕をなくして同じ病院で手足の移植手術を受けたという。その日自分の体を切り刻んで不幸な人たちのために使ってくれという死体の提供者があったのだ。 その死体提供者の写真を見るとその顔はヨミの死体だったのだ…

  • 『バビル2世』横山光輝 ⑪ 外伝

    ネタバレしますのでご注意を。 バビル2世は登場しない外伝です。 9巻の冒頭、バビル2世がヨミからの攻撃の防御に疲弊し深い傷を負って意識を失い治療中となりバベルの塔のコンピューターも激しい損傷を受けて修理を急ぐもその力は半減していた時期偶然ひとりの男がバベルの塔にたどり着いた。 その男は飛行機に乗る前に占いで「乗客全員死亡」と出てその占い師に止められたのを振り切って事故にあったのだった。 ただ一人生き延びたものの砂漠を彷徨いバベルの塔へたどり着く。その塔の中では巨大なコンピューターが自分自身を修理していた。 そのために男は内部に入り込んでも何の攻撃を加えられることもなく再び外へ出られたのだ。 渇…

  • 『バビル2世』横山光輝 ⑪

    ヨミはF市の地下に作った基地へと戻り部下たちに総攻撃をかけるよう指示した。 サントスというロボットが大量に出動し次々と自衛隊の戦車を破壊していく。自衛隊が対抗したがまったく歯が立たない。 最終兵器的に投入されるロボットが巨大ロボットではなく人間大のものではあるがまったくこちら側の攻撃が効かず一つ目から発射されるビームであっという間に人間が焼失されてしまう、というのが恐ろしい。無論乗り物も簡単に破壊されてしまう。 局長はバビル2世に「なんとかならんか」と訊ねる。バビル2世の答えは「しもべたちを使えば戦えるが逆にヨミに操られてしまえば逆に襲われる」そして自衛隊隊長に空軍への救助を頼み自分に与えられ…

  • 『バビル2世』横山光輝 ⑩

    こういう襲い掛かる男たち、って構図が横山と覚えた。 ネタバレしますのでご注意を。 これはかっこいいっ ヨミはバビル2世に対し大勢のビールス超能力者と戦うことがお前の死を意味すると告げる。 バビル2世自身はその上でエネルギー衝撃波を使うしかない。 バビル2世はロプロスをガソリンスタンドに誘導しつっこませ大火を起こした。 ビールス超能力者も街もいっせいに燃え上がった。 ヨミ組織はバビル2世を見つけることはかなわぬまま町に着陸した。 その頃、伊賀野氏はバビル2世から与かったニンニクエキスを保安局へ持ち帰り大量生産を進めていた。 伊賀野すっかり変わったなって顔の局長 おっさんたちの呼び声を聞いて天女の…

  • 『バビル2世』横山光輝 ⑨

    さて問題の九巻である。読み返しをしているわけだがここで『バビル2世』が突如変わってしまうのだ、と私は感じてしまう。 ネタバレしますのでご注意を。 というのは本作はSFというジャンルを借りた忍者ものと言っていいと思うのだ。横山氏はたぶん白土三平『カムイ外伝』のようなクールな一匹狼的キャラクターの作品を生み出したくてバビル2世を描いたのだ。 それは以前自分で描いた忍者ものが組織に属したものであったため「抜け忍」のようなハードな戦いを強いられる主人公を作ってみたかったのではないか。 それはバベルの塔というコンピューターそして人間ではない三つのしもべという形にして大成功した。カムイも鳥や犬や熊を味方に…

  • 『バビル2世』横山光輝 ⑧

    なんかすごくかっこよくなってきたあ。 ネタバレしますのでご注意を。 ヨミはロボットでバビル2世を襲わせロプロスに救いを求めたところにミサイルを撃ち込むという作戦を決行した。 ロプロスは命じられた通りにバビル2世とロデムを庇って覆ったが山が崩れ三体はその下敷きとなる。 モニターでそれを確認したヨミはひとまず安堵したが部下たちには警戒を促した。(用心深いね) 一安心のヨミは人体研究所で成果を訊ねる。人体に宇宙ビールスを注射すると三分の二は死亡し残りは異常な力を持ち始めるという。 試しに一人の被験者に炎を出させた。さらにもうひとりと手をつながせ超能力を出させるとその力は二倍になるのだ。 ヨミはこの成…

  • 『バビル2世』横山光輝 ⑦

    おお!これはかっこいい。 シビレル。 ところで『バビル2世』の表紙。いつもバビル2世だねえ。ヨミ様がいっこうに使われない・・・少年誌に中年男はダメってことか。(三巻でビリビリされてた、顔は見えないけど。九巻でやっとバビル2世と同時撮影です) ネタバレしますのでご注意を。 海の中の戦い。再びしもべたちが命令を聞かなくなることでバビル2世はヨミが復活したと知る。 そしてヨミもまた水死したと思われたバビル2世のテレパシーを感じて彼の生存を知るのだ。このあたりはもうまるで恋人同士よ。 ヨミはバビル2世と相対して戦い超能力が以前より強くなったことを示す。バビル2世はこれまで感じたことない激烈な衝撃波を受…

  • 『バビル2世』横山光輝 ⑥

    主人公は追い詰められるほど話は面白くなっていく。 ネタバレしますのでご注意を。 ヨミは超能力増幅器に座ることによってバビル2世の三つのしもべを以前より確実に操作できるようになった。 これによってバビル2世は次々としもべたちに襲われ傷つき流血しながら進まざるを得なくなる。しかもさらにヨミの基地にいる超能力者たちとも戦わなければならない。 弱っていくバビル2世。ふふふ。 ヨミ様親衛隊盛り上がる。(ヨミ「と」っていうのがちょっと気になる?「の」かなあ?「様」もつけたい気もするし「ヨミ様の忠実な部下である超能力者たちよ」って言うべき?「ヨミと忠実な部下」って何かのタイトルみたいでw)健気で良いねえ。 …

  • 『バビル2世』横山光輝 ⑤

    表紙が手抜きになってきた感がありますが中身は逆に凄いです。Ⅹで「(アニメ)バビル2世は学生服じゃなくなってからつまらなくなった。戦闘服の方が古臭い」と書かれている方がおられましたがたぶん観ていた世代ほとんどの意見でしょう。私もそうでした。なので後半はもう覚えていません。 今原作改変事件が話題になっていますが過去どんなに読者視聴者の心を傷つけてきたのか図り知れません。(良いものもあるけど) ネタバレしますのでご注意を。 この五巻、背景なども含め作画が物凄いことになっている。 まずは四巻からの「扉を開けて・・・どうなるっ??」のワクワクを引き受けてロボットバランと超能力者ダックは壮絶な光を浴びる。…

  • 『バビル2世』横山光輝 ④

    足の描き方、萩尾望都が影響受けているの感じる。三巻までに比べるとかなり急いで描いた感じだ。忙しかったのだろうな。 ネタバレしますのでご注意を。 局長命令で司令官の監視をしている男。後に出てくる伊賀野氏かと思ったがすぐ殺されるので違った。伊賀野氏がこの頃からバビル2世とバディ的に活躍する作品だったら、と悔やまれる。 それでは違う作品になってしまう、と怒られそうだが『バビル2世』が今流行らないのはそこに原因があると思ってしまうのだ。 とはいえこの4巻面白い(どっちなんだ) 伊賀野氏ほどではないが局長・副局長が良い感じだ。 バビル2世襲われる。足が萩尾望都『トーマの心臓』の頃。(しつこいが)(萩尾氏…

  • 『バビル2世』横山光輝 ③

    読み返しているとバビル2世の強さに惹かれるというより恐ろしくなっていきます。自分が年を取ってしまったから思うのでしょうが。 ネタバレしますのでご注意を。 まあ、wikiを見ても横山氏は『バビル2世』を短期でやめるつもりだったというのでとんでもない超能力少年を描いて終わりという感じだったのだろう。 それにしても彼はあまりにも孤独で可哀そうに思える。 前にも書いたが今『バビル2世』をそのままリメイクしても受けないだろう。 『チェンソーマン』にしても『進撃の巨人』にしても同じような意識と能力を持つヒーロー仲間が幾人もいる、という設定で守られている。この世にたったひとりしかいないという孤独なヒーローは…

  • 『バビル2世』横山光輝 ②

    何度も同じこと言ってしまうけどバビル2世のかっこよさは格別。しかし読めば読むほどカムイを意識していると確認できます。ううむ仕方ない。(だっていちばんかっこいいんだよカムイは) ネタバレしますのでご注意を。 正義の少年バビル2世はとにかくカッコいいけどその分あまりおもしろくはない。それは(私の勝手な憶測ですが)カムイ的なクールなヒーローを意識したためにバビル2世が孤高の存在になってしまって仲間とのやり取りがないからだ。 萩尾望都レッド・セイはバビル2世をイメージしたヒロインだけど萩尾氏はセイを孤独にはせず仲間を作ったのでセイはずっと誰かとの連携が生まれていく。 現在のマンガ作品を見れば極端に孤独…

  • 『バビル2世』横山光輝 ①

    去年2023年の6月17日(思えば横山光輝氏誕生日の前日)にこのバビル2世の一巻を買ってそこから横山沼潜行が始まりました。 正直に言うと私は『バビル2世』世界がそれほど共感できなくてバビル2世のかっこよさに頼る読書でしかなかったのですがこの8か月ほど横山作品にほぼ浸かりこんでいたので少しは世界を知ることができるのでは、と再読に挑戦してみます。 なにしろ一度目の読書記録は殆ど意味を成していません。今度はじっくりと読み進めてみたいものです。 ネタバレしますのでご注意を。 バビル2世のこのかっこよさはすぐわかる。少年期のエネルギーですよね。 ふむう。 とはいえ読み返しても『バビル2世』という物語がど…

  • 『四枚の女王(クイン)』横山光輝

    少女ブック1961年1月~7月号 やはり横山光輝描く女の子はかわいい。 60~70年代の荒んだ作品ばかり見ていると心がささくれてしまうのでちょいと癒しを。 しかしあらゆる分野を描いてしまう横山先生。ほんとマンガの達人だったのだと思わされる。 水木しげるマンガも今読んでいるのだけどこちらはほんとマンガ不器用だったのだと思う。可愛い女の子は描けなくてアシさんに描かせたという。そして正義の戦いが大嫌い。横山氏とは対照的だ。 ネタバレしますのでご注意を。 横山氏は導入部で引き込んでいくのがうまい。 シルクハットにマントといういで立ちの謎めいた男が説明を始める。 背が真っ白なトランプ、クインのカードを四…

  • 『影丸と胡蝶 ほか七編』横山光輝時代傑作選 「ムササビ」

    「ムササビ」週刊少年キング1969年 同じタイトルで三作品ある・・・・? 連載で三作品あった、ということなのかな。なのに目次では二作品・・・・? いろいろ謎である。と思ってたら2・3作目は末尾に「マンガ少年版①②」と書かれていた。そういうことだったのか。 ネタバレしますのでご注意を。 前も書いたことですが、私、横山作品の中で一番忍者ものが不得手です。 これはたぶん自分の中の忍者もの、というのが白土三平を基準にしているせいだと思えます。 白土三平の特に『カムイ外伝』を読み親しんできたので横山氏の忍者ものはどうにも生ぬるい気がしてなかなか受け付け難いのでした。 とはいえ横山氏自身主人公に影丸という…

  • 『影丸と胡蝶 ほか七編』横山光輝時代傑作選「仇討ち始末」「ほらふき陣左」「恋と十手とお銀ちゃん」

    さてネタバレしますのでご注意を。 「仇討ち始末」増刊漫画サンデー掲載1968年 腕は立つが道場破りをしてはその日の糧にしているだけの貧乏浪人である主人公。 仇討の助太刀をする報酬を受け取るが・・・・という物語。 横山氏はこういうみみっちく生きている男の話は不得手なのではないだろうか。顔を赤らめたりして可愛すぎる。 「ほらふき陣左」原作:辻真先 別冊漫画アクション1972年 表紙の陣左衛門は自分の武勇伝を長屋の子どもたちに語って聞かせる。子どもたちはそれを楽しみにしているのだが実際の陣左は武士の間では臆病者として嘲られていた。 このキャラは辻真先氏によるものだからだろうか。横山オリジナルではなか…

  • 『影丸と胡蝶 ほか七編』横山光輝時代傑作選 「影丸と胡蝶」

    さて本編より先に外伝を読むシリーズ。 ネタバレしますのでご注意を。 別冊マーガレット掲載1964年 おおっと。少女マンガでしたか。だからこんなにヒロインかわいいんだな。 影丸が葉山の里を通る時に必ずある墓に立ち寄るという。その墓には捧げられる花のきれたことがない。わたしと同じようにこの里の人々も彼女のことが忘れられないのだろう。 という出だしで始まる。 その彼女というのがタイトルにある「胡蝶」であり胡蝶はその村の名主の娘なのだ。村は凶作なのにもかかわらず領主から例年通りの年貢を取り立てられ人々は飢えて死ぬ者が絶えない。胡蝶の父である名主は領主に惨状を訴えに行ったもののそのまま帰らぬという。 胡…

  • 『横山光輝セレクション』「伊賀の影丸」「魔界地帯」「飛猿斬り」

    あの『伊賀の影丸』に幻の読み切り作品があった! これはすごく気になる惹句ですなあ。早速中に入りましょうか。 ネタバレしますのでご注意を。 「伊賀の影丸」 などと言って、す、すみません。横山光輝の代表作の一つなのに私はまだ未読了です。『鉄人28号』読めたのになぜなんだ。心の中の白土三平が立ちはだかるのだろうか。(ものすごい白土ファンなのです。幼い時は白土アニメばかり観てた気がする) ものの本によると『伊賀の影丸』は1961年~66年の作品と記されていますがこれは番外的読み切り企画として別冊少年マガジン1970年7月号掲載のようですが横山氏の作品年表に記されていなくて「?」となりました。「その後の…

  • 『捨て童子 松平忠輝』横山光輝/原作:隆慶一郎 その2

    魅力的な人物を描いてくれたものだと思う。 ネタバレしますのでご注意を。 まだすべて知ったわけではないのだけどここまで読んできた作品でおおまかにいえば横山光輝は戦いの歴史を描いてきた。そしてそれが大きな人気を呼んだと思う。『鉄人28号』しかり『バビル二世』しかり『三国志』しかり多くの忍者もの、そして戦国時代の武将たち。それらは胸躍る男たちの戦争のドラマだ。 が晩年、年表を見ると90年代に入ってからになるが『史記』『殷周伝説』などが並んでいる。 横山氏の作品の中でも非常に面白く読んだのだがやはり人気という点では低いのではないだろうか。(思っただけなので事実はわからない) 本作『捨て童子』もその時期…

  • 『捨て童子 松平忠輝』横山光輝/原作:隆慶一郎 その1

    読了してから書いています。同じく横山光輝著『徳川家康』を先に読んでいたのはとても良かった。 ネタバレしますのでご注意を。 これはいわば「もうひとつの徳川家康と忠輝と秀忠」ともいうべき作品なのだ。 ドラマ『如懿伝』を観て『瓔珞』と比較したことがあるならその妙味がわかるだろう。 とりあえず(諸説あるだろうが)史実的な『瓔珞』で悪女とされた嫻妃=如懿が『如懿伝』ではなぜ彼女が「悪」と皇帝から退けられたのかがわかる。 本作も山岡荘八『徳川家康』で「悪」とされ父親・家康から退けられた忠輝の物語の真実とは、という仕掛けになっている。 『如懿伝』が面白かった人は本作もきっと興味深いに違いない。私がそうなのだ…

  • 江戸川乱歩妖美劇画館 3巻(『白髪鬼』『闇の顔』)横山光輝 その2「闇の顔」

    購入した本ではモノクロページでした。 なんか期待してしまうえっちな表紙ですね。 「白髪鬼」が読みたくて購入したのですがこちらの「闇の顔」だけでよければ 別バージョンの本もありました 闇の顔 (講談社漫画文庫) 以下ネタバレしますのでご注意を。 昨日書いた「白髪鬼」よりその一年前に描かれた本作のほうがより横山光輝らしい作品といえるだろう。 一応乱歩『白髪鬼』を下敷きにしていると思われるのだがなにしろこちらは男性しか出てこない。 「白髪鬼」では美しいルリ子がなんと言っても目を引くがその役が大田黒という髭のおっさんになっている。これでは一般男子が喜べない。 なぜルリ子がおっさんになってしまうのだろう…

  • 江戸川乱歩妖美劇画館 3巻(『白髪鬼』『闇の顔』)横山光輝

    横山沼にはまりebookでのデジタル作品を購入読み続けてきたのですがさすがに食指が動くものが少なくなってきたと思い涙ぐんでいました。 年末には「まだまだ続く」と書いたばかりなのにとしょげていたら「いやまだたくさんある」ことに気づきました。 世界はすべてデジタル化されているわけではなかったのです。 いやいや今までもいくつか(『長征』とか『狼の星座』とか)読んできたのにうっかりしてました。 横山世界はまだまだ広かった。 とにかく嬉しい(私がうっかり屋なだけですが)さらに沼を潜水していきましょう。 偶然ネットで画像を見て「横山作品こういうのもあったのか」と驚きました。私は横山先生をまだ全然わかってい…

  • 『武田勝頼』横山光輝/原作:新田次郎 その2 読了

    読了しました。 ネタバレしますのでご注意を。 信玄が作り上げた最強の軍団が短期間で恐ろしいほど崩れ落ちていく。 おおよそ9年の間、勝頼27歳から36歳の死亡で壊滅する。 私はほとんど武田家の話を知らないので本作によってのみの感想になるのだけど勝頼の描かれ方が悲しいほど孤独だ。 頼りになるはずの親類衆とは心が通っておらず最も近しいはずの穴山梅雪が最も勝頼を嫌っている。これではうまくいくはずもない。 唯一勝頼を盛り立てようという意志があるのは真田昌幸のみに見える。とはいえ昌幸も勝頼に惚れ込んでというのではなくあくまで武田家への忠義と思える。 信玄の時の山本勘助のような存在は勝頼にはない。事実がどう…

  • 『武田勝頼』横山光輝/原作:新田次郎 その1

    横山光輝歴史もの、読み始めると止まらなくなる。物凄い中毒性ある。 ネタバレしますのでご注意を。 神の如き威力を持った武田信玄の死後の武田軍。信玄の大きな失敗は後継者を明確にしていなかったことだった。 当然跡を継ぐべき嫡男勝頼は今も最強の武田軍の中で采配を振るうことも許されず手をこまねいているしかなかった。 読み始め、さすがに信玄のいない武田軍の物語は味気ないものに思われたが登場人物が次々と「信玄様がいない今」「先代様亡き後」「先代様のご遺言」と言う言葉で物語が進んでいくのだ。 これはなんか『桐島部活やめるってよ』的なものを感じてしまう。 ならばこれはデュ・モーリアの『レベッカ』であり萩尾望都『…

  • 『鉄甲軍団』横山光輝 「闇斬り」「かげろう伝」「隻影」「鉄甲軍団」

    昨日のシリーズは終わってここからはいつもの横山美形シリーズ。 横山先生はやっぱり美形の方が好きだったのかな・・・基本的には。 ネタバレしますのでご注意を。 「闇斬り」(1976年月間少年ジャンプ) 今までの作品の後だからか主人公の左近くんがまばゆいほど美しい。 そしてやはり美形男子は心もまっすぐ、と描かれていく。 伊賀、葉隠れの里(葉隠れは佐賀なんじゃ?)でひとりの忍者がお頭を暗殺する事件が起きる。 が、左近はお頭の受けた傷を見て疑惑を持った。これは別の忍者の仕業だと。左近は裏切者たちを殺すが自らも傷を負い老忍者たちの住む場所に逃げ込む。 左近は経緯を話し茶を飲むがその茶には毒が入れられていた…

  • 『鉄甲軍団ほか八編』横山光輝 「愛執」「蝦蟇」「浅い川」「死者踊り」「笛」

    さてさっそく読んで参りましょうか。 ネタバレしますのでご注意を。 「愛執」(1969年プレイコミック) 極めて端正な美形主人公が多い横山光輝作品の中で珍しい不細工系主人公。 しかも冒頭から「男は見るからに醜男で背も低く風采があがらなかった」と説明されてしまう。 このブ男・作蔵は美しい未亡人志乃が夫を殺害した男を仇討せんと旅をする供をしている。 その旅はもう三年も続いていた。 作蔵は美しい奥様にお仕えすることに異様なほどの喜びを感じている。 ある宿で作蔵は仇討の男を目撃してしまうのだが未亡人志乃には伝えず密かに男を殺害してしまうのだ。 そして作蔵は何もなかったかのように再び愛しい未亡人志乃と共に…

  • 『長征』(上下) 横山光輝

    『長征』1973年(昭和48年)3月~12月「ビッグコミックオリジナル」連載の初単行本(2004年)すでに廃刊になっており古本にて購入しました。 先日書いた『横山光輝超絶レアコレクション』横山光輝 その3「長征」とは違う作品です。(作品の舞台は同じです) 1973年の年表を見れば横山光輝氏が手掛けた『バビル二世』『三国志』『戦国獅子伝』『闇の土鬼』他にも怒涛のように作品名が記されている時期です。その中でこんな壮絶な作品を描いていたとは恐ろしい思いがします。 とはいえこの作品が2004年まで単行本化されなかったのは残念です。私は最近になってやっと氏の作品を読みだした者なので悔しい思いをせず読めた…

  • 『刺客伝』横山光輝

    1974年「少年チャンピオン増刊号」掲載 同じく横山光輝著『史記』7巻の第3話「刺客荊軻」の原型作品、と横山光輝オフィシャルウェブで記されています。 ネタバレしますのでご注意を。 まずは先日読んだ『史記』と絵を比べてみましょう。 『史記』「刺客荊軻」の荊軻 『刺客伝』の荊軻 若い!若くて色気がある!(カラーページと言う意味ではない) 『史記』荊軻 『刺客伝』荊軻 うーむやはり横山光輝若き頃の男性には魅力がほとばしっていますな。 とはいえ真摯な感じは同じ。こういう一途さが横山男子の味と言えます。 では内容は。もちろん同じ話なので本筋は同じですが受ける印象は大きく違うのが面白いです。 『史記』「刺…

  • 『武田信玄』横山光輝/原作:新田次郎 その2

    ついつい一気に読んでしまいました。 マンガで最初勢いよく面白いのにだんだんつまらなくなっていくのはよくあることですが本作は逆で進むごとに面白くなっていきます。 原作ありだからこそかもしれませんが横山先生も後に行くほど面白いと思われての漫画化ではないでしょうか。 ネタバレしますのでご注意を。 というか若い頃の武田晴信より信玄になってからが面白いのでしょうか。 若い頃は女性関係のごたごたが多いのですが横山氏の魅力はどうしてもそこにはないので仕方ない。 とはいえ横山作品としては珍しいほど最後まで女性が活躍するのも面白い。というか日本戦国時代の物語でここまで女性が第一線で活躍するのは稀有ではないでしょ…

  • 『武田信玄』横山光輝/原作:新田次郎 その1

    気になる人物なのに今まで特にその人生を知らずにきた武田信玄。横山光輝氏マンガで読めるなら一挙両得と読んでみました。 ネタバレしますのでご注意を。 先日読んだ山本勘助が勿論出てくる。が、主人公だった時はすごい男前だったのがここでは不細工男として描かれる。そもそも勘助は不器量だったと記されているのでこちらが本来なのだろう。しかも(今のところ)両目がある。そして韓信だ。 『項羽と劉邦』で韓信のキャラデザインをすごく褒めたのだけどもともと山本勘助だったのか。(さらに元ネタがあるのか) 横山氏は家康・信長・秀吉と描かれていてさらに伊達政宗そして武田信玄なのだけど上杉謙信はないようだ。(本作に登場はするが…

  • 『横山光輝超絶レアコレクション』横山光輝 その4 「怪物ーモンスター」

    「小6ホームクラス」1学期号旺文社1970年4月・非売品 横山光輝の描く少年の魅力よ。 表紙の主人公少年だけでも充分すぎるほどなのだが中へ入るともっと凄い少年がいます。 ネタバレしますのでご注意を。 表紙の少年は兄と南アルプスの黒岩岳に登る。 爽快な気分で登山をしていたのだが午後から酷い霧が立ち込める。ふたりは立派な洋館を見つけそこで一休みさせてもらおうと行くのだが。 最初優しそうな女性が出てきて「それはお困りでしょう。でも息子がなんと言いますか」と言ってしばらく待たされる。やっと中に通されると今度は父親らしき男性から「決して息子に逆らわないでください」と忠告される。 よほど怖い男がいるのかと…

  • 『横山光輝超絶レアコレクション』横山光輝 その3「長征」

    資料:岡本隆三『長征』 横山光輝著単行本上下の『長征』というマンガ作品があります。これも現在廃版で古本としてしか購入できない状態です。 本作の中に同タイトルの作品があったので驚いてしまったのですがこれは45pで無論別の内容です。 単行本の方はすでに読了していました。横山沼にはまってからこの『長征』という作品があるのに気づき中国ものに興味がある私としては横山氏が中国近代史をどのように考えておられるのかすぐに読みたくなったのでした。 きっと重苦しく読み難いものだろうと身構えたのですが実は想像したものと全然違ったのです。それはこの45ページの「長征」も同じでした。 ネタバレしますのでご注意を。 単行…

  • 『横山光輝超絶レアコレクション』横山光輝 その2「城と太陽と名探偵」

    さて『横山光輝超絶レアコレクション』の三作目は「城と太陽と名探偵」です。 ネタバレしますのでご注意を。 「城と太陽と名探偵」原作:梶原一騎/高一時代1970年8月号」 解説でみなもと太郎氏が語られるに「本書の中ではこれが珍品中の珍品」 原作が梶原一騎で横山光輝漫画というのは他にないものなのですね。確かにイメージできません。横山氏は描く主人公に明確なこだわりがあるからなあ。 そして本当にこのマンガに登場する男子は他ではあまり見られない感じです。 さらに驚きなのは表紙を見るとわかるのですが「東芝ICアクセス」という新商品のPRを兼ねたものになっていて本作出版のために編集部が東芝に許可を願い出たとこ…

  • 『横山光輝超絶レアコレクション』横山光輝

    すでに絶版になっているようで古本で手に入れましたが今やそれも期待できないようです。 単なる復刻版ではなく長い時間をかけて原画を蘇生する、という労力が注がれた復活本となっています。(と説明がされています) すばらしい作品群なので是非また販売されることを願うばかりです。 (デジタル化されているのかは不明です) ネタバレしますのでご注意を。 みなもと太郎氏による解説が懇切丁寧で重要です。 まず巻頭に「イラストポエム」というのが2pあります。1970年10月号の高1コースに掲載されたもの。 可愛い、というより知的でちょっと勝気そうな綺麗な少女の顔のアップとその少女を想う少年が描かれ恋心が謳われています…

  • 『隻眼の竜』横山光輝

    山本勘助が武田信玄に仕官するまでとその後を描く。 ネタバレしますのでご注意を。 とはいえ物語はほぼ横山氏の創作のようで思う存分氏が望む男性像を描いていると思える。 70年代の作品、横山氏の40代の筆によるものなので勢いと色気を感じさせる。 とにかく主人公山本勘助がかっこよく描かれている。横山氏の特色はこの美形主人公には女性を関わらせたくないところにあるのだがその分相棒の源蔵を女性担当として登場させている。 源蔵はかなり小柄な男として表現されている。「マンガ」なのでデフォルメとしてとらえられるがそのままで見てしまえば小人症とも思えてしまう。そう思ってしまうとどうしても思い起こしてしまうのが『ゲー…

  • 『伊達政宗』原作:山岡荘八/画:横山光輝 その4

    四巻で中断していた『伊達政宗』続きから最終巻(八巻まで)読了しました。 ネタバレしますのでご注意を。 先に山岡荘八原作の『徳川家康』を読んでいたので復習するような形で読め非常におもしろかった。 最後に行くほど政宗の人生には家康の影響が大きくなっていく。 政宗を評して「あと二十年早く生まれていたら天下を取っていた」と言われるが一二年ならまだしも二十年は大きすぎる。 むしろ二十年遅く生まれたからこそ政宗たり得たのではないかとも思うのだが。結局歴史でたらればはあり得ないと思うのだ。 なぜなら歴史は様々な要因が関わってできていくもので単純に計算できるものではないからだ。 深い知性と勇猛さを併せ持つ政宗…

  • 『狼の星座』横山光輝 その4

    ついに最終巻です。ネタバレしますのでご注意を。 章嘉ラマの寺に逃げ込んだ健作。寺と言ってもそこは一国の城のように壮大なものだった。 健作は大僧正に礼を言い自分を救い出すために死んでいった者たちを取り戻し手厚く葬りたいと願い出る。 その為には義兄弟の力が必要だった。彼らを呼び健作は遺体を返さない経棚の知事のいる城へと向かう。 話し合いに応じない知事を健作は自ら仕留める。 そして遺体に手を合わせた後丁重に棺に入れ章嘉ラマの寺まで連れ戻った。 しかしこの一件で健作には政府から通輯令が出てしまったのだ。これによって健作は別の省に逃げても逮捕されるし彼を隠した者も同罪になるというのだ。 これを聞いた健作…

  • 『狼の星座』横山光輝 その3

    ネタバレしますのでご注意を。 部下たちを遊ばせてやろうとした健作は街中で警察に逮捕されてしまう。 部下たちは金貨四千枚の賄賂で健作を救い出した。 外へ出た健作は初雪の夜、山中で凍った河を渡る。 そして谷間を進む千匹以上もいる狼たちの群れを見る。健作は「これだけの狼を引き連れる狼のボスはどんなやつだろう。男ならこれくらいの部下を引き連れる大攬把になってみたいな」とつぶやく。 これは後に横山氏が描いた劉邦を思わせる。 がその直後、健作は行く手を阻む包麻兄弟の縄張りに入り込み銃撃戦となる。 敵はゆうに健作たちの二倍以上いたがこれまで負けたことのない健作は猛然と突き進んだ。しかし劣勢すぎた。「半分以上…

  • 『狼の星座』横山光輝 その2

    『狼の星座』横山光輝 その2 - ガエル記

  • 『狼の星座』横山光輝

    横山光輝『狼の星座』は今現在デジタル化もされておらず古本でしか買えない状態のようでやむなく自分も古本購入。 ネタバレしますのでご注意を。 時は明治末。(ゴールデンカムイと同じ頃か)主人公日向健作は新潟の田舎で生まれたが幼い時に大病を患い生死を彷徨う。村の祈祷師のお祓いで命を長らえたものの「この子はよく言えば人の上に立つ人間、悪く言えば大盗賊になる」とその人相を判じられ「魔除けとして六つになるまで女の子として育てるように」と言われた。 両親は我が子を守りたい一心で言葉通り健作が六つになるまで女の子として育てた。 が、健作は女の子の格好と言葉遣いをしながらも村のガキ大将をやっつけてしまうほどの胆力…

  • 『伊達政宗』原作:山岡荘八/画:横山光輝 その3

    物語というのはそれが小説にしろマンガにしろ映画にしろ魅力的な人物をいかに描いていくかにあると思いますが本作の伊達政宗は確かに秀逸にキャラ立ちしています。 ネタバレしますのでご注意を。 勇猛果敢でありつつ人を食った智謀も持ちしかも容姿端麗なれど独眼であるという傷がよりキャラを強くする。あまりにもマンガのキャラクターすぎる。しかもなぜか実の母親に殺されそうになるほど憎まれてしまう。いったいどうしてこんな話ができたのか。 さらに毒殺されそうになっても「母に罪はない、母を咎めるな」と苦痛の中で訴える政宗に心打たれてしまう。 まあ私としては政宗・小十郎コンビもとい主従が話し合っている場面を見ているだけで…

  • 『伊達政宗』原作:山岡荘八/画:横山光輝 その2

    ネタバレしますのでご注意を。 とにかく伊達政宗をまったく知らなかったのでこんなに面白い人だと思わなかった。 それは幼少期の教師である虎哉禅師による教育の賜物なのだ。虎哉禅師は幼い政宗をみて「素直すぎ繊細過ぎる」と感じる。「武将の条件は豪快さと慈悲を併せ持ち細心でありながら清濁併せ呑む度量を持つこと」として「強情我慢とへその曲げ方」を教えていくのだ。 果たして政宗は虎哉禅師が望んだ以上にへそ曲がりの強情に成長していく。 すでに大物になっていた秀吉や家康を相手にしても怯まない武将となる。 まずは父親の輝宗の度肝を抜いていく。 戦談義において算盤をはじく基信を父・輝宗は叱るが政宗は「算盤の名手だから…

  • 『光る君へ』その1

    久々にNHK大河ドラマを観る気でいます。 自分が観る気になると低視聴率になってばかりなのでとても申し訳ないのですが仕方ない。今まで好きで観たものが『平清盛』『いだてん』と思い切りワーストなのです。 しかし『真田丸』も好きだったので今回なんとかそちらの方へ行ってくれたらと願います。 とはいえそもそも今までにない平安時代舞台で戦争ものではなく女性の人生を描いたものになるであろう。しかもそのヒロインはお姫様ではなく小説家という二重三重の変わり種であります。 しかし『源氏物語』の光源氏ではなくあくまでも紫式部という女性にスポットを当てたという時点でかなり「おっ」と興味を持ち待っていました。 第一話目、…

  • 『伊達政宗』原作:山岡荘八/画:横山光輝 その1

    すみません。ちょっとだけと本作覗き込んだら面白くて止まらなくなりました。 なので急遽こちらを読み進めます。 ネタバレしますのでご注意を。 原作:山岡荘八/画:横山光輝と記されているほどなのでよほどそのままなのだろう。 私の伊達政宗知識は以前に読んだ横山光輝『徳川家康』の最後あたりに出てきたものとかつての大河ドラマでのうっすらとした記憶くらいなので本作がどのくらい伊達政宗かはわからないのだけど物凄い力で引き寄せる魅力がある。 横山マンガはいつも淡々と物語を進めていくのだがそれがとても心地よい。 政宗は早熟に才能を花開かせる人物だが母親からは疎まれるという運命を背負っている。 代わりに父親からはそ…

  • 『三国志』横山光輝 再読その1

    確かにこう切り取ると意味深だ。 『三国志』再読します。まあ最初もかなりじっくり読んだのですが。 横山作品ほぼ長編を読んでしまい、と言ってもまだ『伊賀の影丸』や幾つもの作品があるのですが主作品がなくなってしまった感に襲われ(いわばロス状態なのでしょうか)寂しくなって今ここで『三国志』に戻ってみたくなりました。 ネタバレしますのでご注意を。 一巻、まだ何者でもない劉備玄徳。一仕事を終え久しぶりに会う故郷の母に当時貴重品だったお茶を買い求め大事に持って帰る、というエピソードから始まる。 しかしそのお茶を守るために張飛に助けられお礼に宝剣を渡してしまう。その宝剣は玄徳の由緒を示す大事なものだった。 そ…

  • 『水滸伝』第七部(完結編)まで 横山光輝

    はい、第七部(完結編)まで読了。 第八部は番外編のようです。 ネタバレしますのでご注意を。 なるほどなるほど、と読み終わりました。 腐りきった社会。力なき皇帝を良いことに金儲けと遊興にふける政治家たちのために人々は塗炭の苦しみを味わう。 そしてさまざまな理由で行き場を失った男たちが集まったのが梁山泊だった。最初はただの山賊集団だったのが晁蓋を統領にしてから義侠心に厚い壮士たちの軍団になっていく。 とはいえ主人公は宋江と言われるものの読んでいると林冲・呉学人・鉄牛の活躍の方が印象に残る。 と、この三人後に林冲は劉備、呉学人は孔明、鉄牛は張飛になるのではないかと思われる。 特に鉄牛がやたら活躍して…

  • 『水滸伝』第一部 横山光輝

    『水滸伝』さすがに少しは学生時代に読んだ記憶がある程度だ。 幾人かの人物名は知ってるもののどういう物語なのかはほぼ知らず。なんか梁山泊に悪人どもが集まってる話だよね、というくらい。 さてどんな物語なのか、楽しみである。 出だしはかなりギャグ調だ。 いまからおよそ九百年前大宋国は平和だったがある時疫病が流行る。時の天子仁宗皇帝は竜虎山に住む仙人に病疫退散の祈祷を頼むことに決め使者を送った。 皇帝の使者・洪大将 ご馳走大好きな太っちょだけど「洪大将閣下自ら皇帝の勅書を捧げて登らねば仙人に会えません」と言われ渋々登っていく。めちゃ威張っていたのに「皇帝のために」と言われ虎に出会ったり大蛇に会ったりし…

  • 『地球ナンバーV‐7』横山光輝

    ネタバレしますのでご注意を。 数ある横山作品からこの作品を選んだのは「もしや『スター・レッド』の元ネタなのではないか」と思われるコメントを読んだからなのです。 果たしてどうなのでしょうか。 まずはこの表紙絵。『スター・レッド』のレッド・セイの特徴は赤い目。本作の主人公ディック牧もご覧の通り赤い目で描かれています。 ほほう。それでは中に入っていきましょうか。 冒頭、地球上に生命が生まれ環境に順応し生活に合った体を作り始めた、という説明がなされる。 次に突如飛行機事故が描かれ激しい損壊の中に奇跡的に生き残っていた姉弟がいたという事実が提示される。 時は未来。 地球と火星は戦争になりかねない状態にあ…

  • 『仮面の忍者赤影』『新・仮面の忍者赤影』横山光輝

    実写ドラマをほとんど観ていない私でも『仮面の忍者赤影』はさすがに少しは観た記憶があります。 相当にぶっ飛んだ忍者ドラマで特に凧に乗って飛ぶのが印象的でした。 物凄く二枚目忍者の赤影と生意気な子ども忍者青影と白髪まじりの白影が活躍するのですが私的にはまあまあという感じでそこまではまりはしなかったのでした。 私にとっての忍者ものは『風のフジ丸』『サスケ』『カムイ』という今思えば全部白土三平原作アニメでそのカッコよさにはぞっこんはまり込んでいました。 大人になってからも、というか大人になったらより白土三平作品に傾倒していきます。 と言う私がおそるおそる『仮面の忍者赤影』を初読みしたのですが。 ううむ…

  • 『クイーンフェニックス』横山光輝

    おすすめ機能に現れてちょいと読んだら止められなくなった。 読んだ皆さんが言われてますが横山先生にこんな作品があったとは。 1975年週刊少女コミック掲載作品。 ネタバレしますのでご注意を。 時期的に読んでいても不思議ではなかったのだが、これは全然知らなかった。漫画雑誌を買う人間ではなかったので仕方ない。 男性作者が女性向けを描く時は必ずと言っていいほど「美と若さ」が題材になりがちです。たぶんまあ確かにそれが女性の大問題なのでしょうがここでもそれが語られます。 しかも男性作家の描く男性が女性にそれが重要であることを否定はしないのですからより辛辣ではあります。 それにしても横山先生の描く女性・女子…

  • 『史記列伝/下』横山光輝

    ネタバレしますのでご注意を。 第6話「野心家寧成」 前回の郅都のさらに上を行く恐ろしい酷吏・寧成の物語である。 郅都はただひたすら生真面目で恐ろしかったが寧成に至っては恐怖を与えることを自覚しているのだがそのせいもあってか早めに捕まり投獄され死刑を求刑されるのだがなんとここから投獄して生き延び金もないのに後払いと言う条件で田地を買い込んで億万長者になってしまう。おまけに恩赦が出て死刑が取り消しとなり地方の有力者になってしまうのだが新しい太守が彼を調べ始めたと聞いて逃げ出した、その行方は誰も知らない、と言う終わり方。 なんかよくわからないけど凄い男の人生だった。 第7・8話「冬の月 前編・後編」…

  • 『史記列伝/上』横山光輝 その2

    ネタバレしますのでご注意を。 本作では魯国の朱家について描かれている。 朱家は遊侠の徒として名を馳せたという。 遊侠の徒、とは「約束したことは絶対に守り、なそうとしたことは絶対にやり遂げ、命を懸けても人の窮地を救い、千里の果てにいても信義を守る」ためにはこの世の正義に背を向けることもあるという人々だ。 私は日本の「任侠」は好きになれなかったが中国の「武侠もの」が大好きです。 そこで描かれる「侠」の精神とそれを持つ人への憧れと尊敬がすでに明確に『史記』に記されていたのかと感心しました。 項羽に仕えていたことで追われている季布を朱家がかくまい劉邦の側近である夏侯嬰に目通りを願い「壮士を憎んで敵国に…

  • 『史記列伝/上』横山光輝

    ネタバレしますのでご注意を。 第1話「義に殉ずる」 「刺客列伝」にその名を記された予譲の物語だ。 前五世紀、六人の大夫(家老)が権力闘争を始めた頃、予譲という才能のある男がいた。 が、彼は使い走り程度の役目にしかつけないままでいた。 そんな時、六大夫の中で最も勢力のある智伯が兵を挙げ范氏を討ち中行氏も全滅した。 智伯は権力欲が強く評判の悪い人物であった。 予譲はその智伯に仕官した。ところが智伯は予譲の才能を認め一人の国士として屋敷を与え召使をつけて厚遇した。 智伯は次に趙氏を討つ計画を立てこの計画に予譲を重用し韓氏と魏氏への使者として送り味方につけたのだ。 三氏による趙氏への戦いは三年に渡った…

  • 2023年大晦日 今年を振り返るーそこには横山光輝沼がー

    今年を振り返ると横山光輝しかないW 思えば6月17日。それは今は亡き横山光輝氏の誕生日の前日なのですが当時はそんなことは知る由もなくなぜか突然横山光輝にはまってしまったのでした。とても深い縁があったのではと勝手に思い込んでいます。(当日じゃなくて前日だからあまり関係ない) その大きな原因の一つは何度も語ったのですが「まどそごみ」さんの『三国志』パロマンガでした。それから半年間それまでの映画ドラマブログが嘘のように横山マンガ一色になってしまいました。ほとんどまともには映画ドラマを観ていません。 それでもまだ横山作品たっぷりあるのですから恐ろしい。『三国志』ももう一度読み返したいですしね。 毎年「…

  • 『赤龍王』本宮ひろ志:横山光輝『項羽と劉邦』との読み比べ その2

    怒涛の項羽と劉邦でした。 とにかく勢いが物凄い。 私は横山『項羽と劉邦』を読んでいたので内容はわかるのですがいきなり本作を読んで理解できるものなのでしょうかと心配にはなりました。 ネタバレしますのでご注意を。 一番気になるのは虞美人の変化よりも「陳勝・呉広の乱」の描写ではないでしょうか。 「革命」というものがないこの日本では「陳勝・呉広の乱」はこうした表現になりがちなのかと暗澹たる思いもしました。 少年誌においてこの乱をどう表現するのかは重要なことに思えるのですが。 「陳勝・呉広の乱」は史上初の農民反乱であり、この楚漢戦争の引き金になった重要な事柄です。 それは力及ばずわずか半年で内部分裂しリ…

  • 『赤龍王』本宮ひろ志

    突然の本宮ひろ志。と言ってももちろん『項羽と劉邦』だからである。しかも張良がかなり気になるキャラデザだったので読まずにはおれなかった。 私は横山光輝マンガはまったく読んでこなかったのですが本宮ひろ志は幾つかは読んでいて大好きだったりします。(大好きだけど読んではいなかったという) さて調べてみると本作は1986年から1987年まで週刊少年ジャンプで掲載、のち追加執筆、という形で創作されている。確かに少年ジャンプでこの内容はムリすじな気がする。 対して横山『項羽と劉邦』は1987年から、と入れ替わるように執筆され1992年で完了と横山光輝氏の堅実さが表れている、とここで横山氏を持ち上げるのもなん…

  • 『項羽と劉邦』横山光輝 その4 読了

    ネタバレしますのでご注意を。 昨日は愚痴を書きましたがやはり面白いことに変わりはなく。漫画化というかある作品をもとに別の作品が生まれる時はその作者の血が入るのは当然でだからこそ〇〇版という言い方がされるわけで。本作は横山光輝が生んだ『項羽と劉邦』なわけです。 と書いていて思ったのですが『三国志』の関羽は本名じゃないという話もあるのですが明らかに項羽から羽の字をもらったのではないかと思ったりします。 となると『三国志』では劉邦の子孫と項羽を名乗っている男が兄弟になった、ということになりますかな(チガウ) とにかく最期は項羽でした。 項羽が馬鹿だろうがエゴイストだろうがこの追い詰められて三十万の兵…

  • 『項羽と劉邦』横山光輝 その3

    ネタバレしますのでご注意を。 大変面白く読んでいるのですがここで少し苦言と言うか不満と言うか愚痴を書いてみます。 まずは劉邦と項羽の対比。 青年貴族・項羽 女と酒好き中年男・劉邦 出自の卑しい中年男と貴族の若者、という対比がこの物語の基礎だという前知識がありました。 ところが本作ではほとんどこの差が見えません。 女好きで酒好きで教育のない男・劉邦、と言うイメージも最初こそ描かれていたのですがそもそも横山氏がそういう男を描かないために劉邦は殆ど小綺麗な品の良い男になっていて卑しさが見えません。 逆に項羽は鈍重で粗暴で若々しさがないためほぼ劉邦と同じ年に見えます。 前知識がなければ別に気にしなくて…

  • 『項羽と劉邦』横山光輝 その2

    ネタバレしますのでご注意を。 張良見たさに読み始め充分堪能させてもらっていますが途中からやはり韓信物語になていきます。横山氏は戦闘エピソードが好きなので(選択題材でわかりますが)どうしても韓信の方に重点が置かれるのは当然ですね。 とはいえその韓信の才能を見極め劉邦軍に引き入れようと手引きしたのは張良なのだから嬉しくなります。 そして劉邦自身はなかなか韓信の実力に気づかないのですが側近たちの必死の説得でやっと韓信を大元帥に任じる運びになるのですがいやはや劉邦ひとりではとても全国統一などできなかったのが解ります。 張良が韓信を引き入れる場面。 ところでこうして読んでいくと『項羽と劉邦』は『三国志』…

  • 『項羽と劉邦』横山光輝 その1

    ここ最近読みたくてたまらなかった本作ついに手に取る。 と言っても項羽も劉邦も嫌いなんだけど周囲の人間たちに興味がある。特に張良が見たくて見たくて、と期待しているのだけど期待しすぎだろうか。 ネタバレしますのでご注意を。 なにしろ先に『史記』を読んでしまったので本作は「知ってる知ってる」という具合でさくさく読み続けてしまいました。 項羽も劉邦の外見も『史記』の時より細やかに描かれているように感じます。 しかしその成り立ちはむしろ本作が大雑把で特に劉邦がどのような人物だったかは『史記』の方が詳しく描かれていたような記憶です。 さてお目当ての張良は『史記』でも読んだように先に始皇帝暗殺失敗者として登…

  • 『鉄人28号』横山光輝 その6

    ネタバレしますのでご注意を。 やはり私にとっては鉄人よりも金田正太郎クンが気になり読み続けてきました。 前にも書きましたが正太郎クンは現在の「ショタコン」そして単に「ショタ」という表現も当たり前に使われるようになってきた言葉の語源の存在です。 一応説明すれば「ショタコン」は「ロリコン」の対語。成人が幼い少女を愛することをナボコフの『ロリータ』にちなんでロリータコンプレックス=ロリコンと称したのに対し成人が幼い少年を愛することを日本では「ショタコン」と称したわけです。かつてはロリコンに比べかなりマニアックな呼称だったのが今では当たり前になってきた感があります。 小さな男の子のことを普通に「ショタ…

  • 『鉄人28号』横山光輝 その5

    ネタバレしますのでご注意を。 もうすっかり道に乗ったという感じで進んでいきます。 ちょいと飛んで「ブラック博士の巻」に入ります。 18巻84pから。 またもやたらイケメン青年が何者かに追われ逃げている場面から始まる。美女じゃなく美男なのが横山流だ。 この美青年は追われている途中で発砲され銃弾を受けても逃げ続け正太郎クンの家にたどり着き助けられるという展開になる。 正太郎クンは医者を呼んで手術を受けさせた上そのまま静養させるのだ。 昏睡状態の青年はうわごとで「ブラック博士、赤死館」と言う言葉だけを繰り返すのだった。 追っ手から再び奪われそうになるのをいったんは阻止するも結局奪われてしまう。 青年…

  • 『鉄人28号』横山光輝 その4

    かわいい ネタバレしますのでご注意を。 今更気づいただけかもしれませんが横山マンガ独特の「集団のおかしさ」が出始めたような気がします。 大量生産されているせいで鉄人との一対一ではなく集団で襲ってくることになるのですがそれが奇妙におかしい。 ロビーの造形も興味深い こういう集団でいるおかしさですね。 後の忍者ものにも表れる この絵はすごいな そしてこれ なんとなく吾妻ひでおっぽいw なんかおかしいw これはかわいいレーダー虫 こういう絵がうまい 不思議テイスト おかしいんだよすごくあじまだし こういうのがうまい 坊主w 悪ノリw これは楽しいなあとにかく多いw そしてこのかわいいかんじがいいんだ…

  • 『鉄人28号』横山光輝 その3

    不思議な表紙絵、宇宙なのに潜水してるw ネタバレしますのでご注意を。 ところで私はこんな風に驚いた時に帽子がポーンと飛ぶという表現が大好きなのですが(可愛い)最近の漫画家さんはやってくれないので(あるのかもしれないけどw)とても寂しい。 『鉄人28号』ではそれがどんどん出てくるのでそれだけでも楽しいですw こういうやつです。 それから不乱拳博士みたいな布をかぶっているのに表情が見えてタバコや飲み物をのんだりできるってやつも良い。 ところで前回嘆き悲しんだモンスター 生き返りましたw 人気あったのかしらん。 ちょっと不思議な言い回し。 そして ♪よる~のまち~に すいません。自然と頭の中に歌が流…

  • 『鉄人28号』横山光輝 その2

    ネタバレしますのでご注意を。 鉄人のデザインを云々できるほど知識はありませんが 少しの間にかなり描写の進化が見て取れます。 四巻の52pではかなりカッコ良くなっていて重量感も迫力もありますが 地肌が白というのか塗りがないのが 54pでは影がはいります。その分さらに重量感が増します。 さらに201pになるとより影がこなれた感があります。 それが204pになると夜の光のせいもあるかもですが、影がくっきり黒塗りに。 かけアミより黒く塗りつぶす方がより重量感を感じさせます 315pではもう黒影がすっかり定着し際立っています。 これが最初の登場の鉄人ですが デザイン自体はそれほど変わっていませんが影の入…

  • 『鉄人28号』横山光輝 その1

    さてついに『鉄人28号』読み始めます。 あの安彦良和氏をして「横山先生の描く少年はほんとうに魅力的で」と言わしめたその原点がここにあるのだとちょっと緊張もします。 すでに上にあげた表紙絵にその片鱗は伺えます。 しかしこのズボン、今の感覚では短すぎてスカートに見えてしまいますね。昔は極端に短かったので仕方ない。 そして噂の村雨健次氏との出会いは。 はあ、ここですでに上下関係が伺えますな。 きっぱりした態度が横山スタイル。 村雨健次、なかなかお洒落だし弟の可愛さがあるね。 スマートな兄弟。 ふむふむ。かわいいね。 そして 親友が鉄雄だったんか。 『アキラ』はそのままだったんだ。 この鉄人のデザイン…

  • 『殷周伝説』太公望伝奇 その16 横山光輝 完

    最終巻です。 ついについに。 といっても前回記事で少し入ってしまいましたがw ネタバレしますのでご注意を。 武王は盟主として上座につくよう望まれる。辞退するものの「周は仁義道徳を旗印として正しい国を造ると宣言なされ東征を開始された。ここで武王に盟主となっていただき諸侯をまとめていただきたい」という熱い要望と太公望の勧めで武王は引き受けたのだった。 太公望は牛耳の誓いを始めた。 生贄の牛を引き出し眉間を突き倒れた牛の血を取り片耳を落として盃に入れた。 「ではこの地を啜り盟主の命令に従うことを誓っていただきたい」 東伯侯姜文煥、南伯侯愕順、北伯侯崇黒虎、東南揚侯鍾志明、などなど次々と盃の血を啜り「…

  • 『殷周伝説』太公望伝奇 その15 横山光輝

    ネタバレしますのでご注意を。 潼関の援軍に来た鄧昆は相棒である芮吉に自分は周に帰順しようと考えていると打ち明けた。 実は黄飛虎は鄧昆の叔父なのだという。叔父を尊敬して叔父と共に天下のために戦いたいと考えていた。そして芮吉を誘うと芮吉もまたとっくに紂王を見限っていたというのだ。だがどうやって周軍に帰順の遺志を伝えるか、と声に出した時突如どこからか「そのお役目、私がいたしましょう」と語りかける者がいた。 周囲に溶け込んだ土行孫だった。援軍が来たという報告を受け忍び込んで様子を探っていたのだ。土行孫は全裸を顕して二人の気持ちを聞いた。 そして布に気持ちを記させ持ち帰った。 太公望は援軍の将に帰順の気…

  • 『殷周伝説』太公望伝奇 その14 横山光輝

    ネタバレしますのでご注意を。 朝歌。妲己によって鹿台の天井の梁の空洞に琵琶精は安置され半年後蘇った。 妲己は琵琶精に喜媚と名乗らせ紂王に侍らせた。 紂王の宴会は続いた。(よくまあ飽きないね) そして周軍は第三の関門穿雲関を陥落し残るはふたつ、臨潼関、潼関である。 臨潼関の司令官は余化竜。彼には五人の息子がいた。 周軍からは太鸞が出たが思いがけなく敗れてしまう。 それを聞いた蘇護は次はそれがしがと言いつのった。太公望はやむなく折れてしまう。 しかし蘇護そして息子の蘇全忠と討ちとられてしまったのだ。 臨潼関では思った以上の勝利に沸いた。そこへ末っ子の余徳が帰ってきた。が城中に入ろうとしない。死に至…

  • 『殷周伝説』太公望伝奇 その13 横山光輝

    表紙の少年、黄天祥くんです。 おおー。フジリュー版とはかなり違いますな。 手前のおっさんは鄧九公どのです。 ネタバレしますのでご注意を。 太公望は武王に「金鶏嶺の孔宣軍を撃破した」ことを報告し孟津を目指すに五関が立ちふさがるための辛抱をお願いする。 目指す汜水関の左には青竜関、右には佳夢関という出城がある。 太公望はここで周軍を三つに分けた。 黄飛虎将軍の左軍十万は青竜関、洪錦は同じく十万で佳夢関を攻めることとなった。 残る四十万で汜水関攻撃にあたらう。 洪錦率いる右軍は汜水関の出城佳夢関に迫る。 兵は二万ほどと見えた。が、城の防御は案外手強く被害が増えるばかり。洪錦は打開策を問うた。 南宮适…

  • 『殷周伝説』太公望伝奇 その12 横山光輝

    ネタバレしますのでご注意を。 拝将台が短期間で建設された。 武王が即位してから十三年、三月十五日、太公望を東征大将軍に任命する儀式が執り行われた。 武王が太公望を迎えに赴き拝将台を一層ずつ上がりながら祝文が読み上げられる。そして三層にて武王から司令官旗と黄金の斧が手渡されるのだ。 太公望は武王に殷を破ることを誓い皆にもこれを宣誓した。 その後、太公望は十七か条の厳しい軍律を作成し総勢六十万の軍勢による大訓練を行う。 孟津で四大諸侯が集い同盟を結んで朝歌に攻め入る、という報が朝廷にもたらされた。 紂王は決まらずにいた次の西岐討伐軍を急かす。 重臣は三山関の孔宣の名をあげた。この者は西方で修業して…

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