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穢銀杏
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2019/02/02

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  • 予言売ります

    怪文書が出廻った。 標的は、日本全土の富豪たち。 「今なら二百円ポッキリで貴方に未来の情報をこっそりお伝え致します」と、──つまり予言の押し売りを試みた馬鹿があったのだ。 以下が即ち、問題の文書、その中身。 「十二月十一日までに金二百円以上送金せば人生の大福音たるべき神示に基く大予言録を送附す、右は将来発生する軍事、経済、政治、天変地異に関する予報をなすべし…(中略)…書面を受けた者は至高の幸運者なれば必ず期日までに送金せよ」 実に大正十三年十一月の沙汰だった。 (viprpg『ジャマイカじゃまいか』より) 帝都が瓦礫の山と化し、十万人が死亡した大震災の惨禍から、やっと一年を経たばかり。 人心…

  • 本の聖地の古狸

    そのころ神田の一角に、『エロス堂』なる本屋があった。 あまりに直截な屋号を前に、なにごとかを期待した若い男性客どもがちょくちょく迷い込んだとか。 そして彼らの九分九厘までが、ほどなく苦い失望に渋面を作らされている。 陳列済みの書籍はどれも至って真面目なモノばかり。奥に常連客のみが見(まみ)えることを許された「真の目録」があるかと思えば、別段そんなこともない。なんだこれは、どういうことだ、肩透かしもいいところ、話が違うではないか──。 (viprpg『やみいち!』より) ピンク色の情動に脳細胞を毒されきった馬鹿どもは、怒気を発して、ともすれば、店主に掴みかからんばかりの勢を示してにじり寄る。そう…

  • 主題を求めて

    「農に生まれて農に生き、土に親しみ土に死す」。 日本農民組合が成立間もなき草創期、標語(スローガン)として高く掲げた文言だ。 短く、そして頸烈な、意とするところを見る者に誤解の余地なく叩き込む、名文句だと心底思う。 しかし同時に、以下の思いも兆すのだ。「日本の小説を読んでみる。繊細微妙なその美しさに感歎した。しかし誰も彼も、無意識に寄ってたかってプルーストをやってゐたのだ、つまり死ぬ練習をしてゐたのだ、もう良い加減に、生きる練習をしやうではないか」──作家・横光利一を辟易せしめた日本人性(らしさ)。死を見ること帰するが如く在れるや否や。人間としての出来具合い、完成/未完成の境界線をそのあたりに…

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