予言売ります
怪文書が出廻った。 標的は、日本全土の富豪たち。 「今なら二百円ポッキリで貴方に未来の情報をこっそりお伝え致します」と、──つまり予言の押し売りを試みた馬鹿があったのだ。 以下が即ち、問題の文書、その中身。 「十二月十一日までに金二百円以上送金せば人生の大福音たるべき神示に基く大予言録を送附す、右は将来発生する軍事、経済、政治、天変地異に関する予報をなすべし…(中略)…書面を受けた者は至高の幸運者なれば必ず期日までに送金せよ」 実に大正十三年十一月の沙汰だった。 (viprpg『ジャマイカじゃまいか』より) 帝都が瓦礫の山と化し、十万人が死亡した大震災の惨禍から、やっと一年を経たばかり。 人心…
2025/07/06 17:07