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2018/12/25

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  • 男性主役を飲み込むインパクト!お気に入りの女性バディが出てくるミステリーシリーズ2選

    海外ミステリーで男性刑事が主役の場合、ありがちなのが花を添えるべく出てくる魅力的な女性の相棒。同僚であったり、弁護士だったり職業はまちまちだが、最初は反発したりしながらも、協力して事件を解決し、最後には結局いい仲になってたりする。 別にそれはそれでいいのだけど、やっぱり主役は男なので、いくら優秀でも魅力的でも記憶に残らない。続編で出てきても「誰だっけ、この女」と思い出すのに苦労する場合も多い。 そんな中、主役を食ってしまうくらいインパクトのある魅力的な女性の相棒。この2人はおすすめ。 ストーンサークルの殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者:M W クレイヴン 早川書房 Amazon まずは、…

  • 「耳鼻削ぎの日本史」から見える室町・戦国時代の人々の常識

    戦国時代、合戦で討ち取った相手の鼻を削ぐ――という風習を知ったのは谷崎潤一郎の「武州公秘話」 読んだ当初は、作者が作者だけにかなり偏った変態的な描写なのだと思ったが、後々当時としては特異なものではないということがわかった。 その耳鼻削ぎという特殊なテーマを深く切り込んでわかりやすく話してくれるのがこの本。 耳鼻削ぎの日本史 (歴史新書y 54) 作者:清水 克行 洋泉社 Amazon 清水先生の中世をテーマにした本はとても面白くて、初めて「室町は今日もハードボイルド」を手に取って以来、ほとんど読んだ。 結果的に「耳鼻削ぎの日本史」を読む前に、軽めのもので慣らしといてよかったかも。といってもグロ…

  • 結局善人も悪人もいないホラー「ペット 檻の中の乙女」「ブライトバーン 恐怖の拡散者」

    この2本の映画、ストーリーはとってもありがちで珍しくない。どちらもホラーサスペンス系で、話が展開する過程は「ああ、そうだろうなあ」と予想どおりに平和に運んでいく。 共通しているのは、はっきりとした悪が見えないこと。襲う方も襲われる方も徹底的な善人、徹底的な悪人といえないのだ。 なので、ラストはスカッとハッピーエンドで終わらない。割り切れない恐怖を残したまま終わるが、それでもやっぱりそれはそれなりに面白い! ペット 檻の中の乙女 ドミニク・モナハン Amazon まず、「ペット 檻の中の乙女」 動物保護センターで働くセスは、バスでかつての同級生ホリーを見かけて声をかける。が、見るからにあか抜けな…

  • 迫力イラストでかわいいものから気色悪いものまで「共生する生きもの図鑑」

    共生生物とは、有名なクマノミとイソギンチャクのように共に協力することで利益を得ている生き物だ。 共生する生きもの図鑑 作者:サミ・ベイリー 原書房 Amazon とはいえ、共に利益を得る相利共生だけでなく、片方だけが得をする片利共生や、片方が害を被ってしまう寄生などいろいろなパターンがある。 また、協力しなくても生きていけるどっちでもいい場合や、移動手段に使ったり勝手に住処にしている厚かましいやつなど目的も様々だ。 反対に、絶対に相手がいないと生きていけない、つまり一方が滅ぶといっしょに滅んでしまうという命をかけた結びつきのものもいる。 そんな共生生物はこんなにもいるのか、と驚かせてくれるのが…

  • 「ドント・ウォーリー・ダーリン」で聞いてみたいのは男性の感想

    まずは、おしゃれで優雅で完璧な結婚生活が、これでもかというくらい押し付けがましく展開していく。 旦那を送り出した後、若い奥様たちの優雅な時間。料理、おしゃべり、習い事、プールにパーティー… これがまたいちいちおしゃれで、ちょっとレトロ感も加味したインテリアやファッションに見入ってしまう。 ドント・ウォーリー・ダーリン(字幕版) フローレンス・ピュー Amazon 見せ方もうまくて、生活をミュージカル化したような美しさとテンポが心地よい。これでもかというくらいイチャツキまくるのが気になるが。 とはいえ、これはスリラー映画なのでこのままではすまない何かが起こるのを見ている側は知っている。それまで存…

  • 恐竜たちの生きた濃密な地球の雰囲気とサバイバルが楽しめる「65/シックスティファイブ」

    CGのおかげで、昨今スクリーンの中ではリアルな恐竜の姿を目の当たりにして、ずいぶん楽しめるようになった。この映画もめいいっぱいCGの恩恵を受けることができる快作。 65/シックスティ・ファイブ Adam Driver Amazon 探査の仕事で長期間宇宙船に乗り込むことになった主人公のミルズ。彼の気がかりは家で彼の帰りを待っている難病の娘。 必ず無事に帰ってくると家族に約束しミッションに挑んだ彼だったが、思わぬアクシデントに見舞われる。 彼の乗った宇宙船が小惑星帯に突入し、衝突の衝撃で大破してしまう。乗組員もほぼ全滅状態の中、ミルズだけが奇跡的に脱出に成功する。 見知らぬ星に不時着した彼は、恐…

  • 「ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人」実は天真爛漫で可愛い女性

    かつて読んだ「ベルサイユのばら」で強烈なインパクトを残したデュバリー婦人。その割には、この時代が描かれている映画や小説エッセイなどでもほぼ目にする機会はなかった。その理由が映画を見てわかった。彼女はとても無邪気で天真爛漫なのだ。ある意味それだけの人だった。 ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人【DVD】 [DVD] ジョニー・デップ Amazon デュバリーより前のルイ15世の愛人であるポンパドール婦人があまりにも政治に関わり世の中に影響力のあった人物なので(ちなみに髪型名としても現在にその名が残るほど)、デュバリーが薄く感じてしまうのだろう。 デュバリーはあくまでもルイ15世の愛人であり、…

  • リゾートでもないグルメでもない島の話「日本の島で驚いた」

    この本を本屋で見つけた時、外人さんが日本の島をめぐって起こす珍道中なのかな、と思ったが、全然違った。 でもそのとおりだったら逆に買ったことを後悔していたかも。 日本の島で驚いた 作者:カベルナリア吉田 交通新聞社 Amazon どちらかというと自分は海派ではなく山派なので、島には縁遠いしほとんど行ったことがない。 うちのじいちゃんは島育ちなので、故郷の話をよく聞いたが、それでも実際行ったのは大人になってから、じいちゃんが死んでからだ。生きているうちにいっしょに行きたかったと今頃思う。 島といって思い浮かべるのは、ビーチリゾート、海鮮がうまい、車がないと動けない…他に浮かばない。 ようするに島イ…

  • 「インビジブル・ゲスト 悪魔の証明」はホラーではなくスペインの上質のサスペンスミステリー

    悪魔の証明なんて、まるでホラー映画のとってつけたようなサブタイトルだと思いきや、ヨーロッパに昔からあるたとえの表現で、証明することが非常に困難な事象のことをいうらしい。 てことで、こちらはスペインの正真正銘サスペンスミステリー映画です。 インビジブル・ゲスト 悪魔の証明 [DVD] マリオ・カサス Amazon 殺人容疑の裁判を三時間後に控えた実業家ドリア。保釈中の彼の元に、凄腕のおばちゃん弁護士グッドマンが訪ねてくる。 ドリアにかけられた容疑は、完全な密室状態での殺人容疑。チェーンまでかかった出入りのできないホテルの一室で、何者かに殴られ気を失っていたドリアが目覚めると、部屋には殴り殺された…

  • ミステリーとホラーの両方で満足「名探偵ポアロ ベネチアの亡霊」

    景色やインテリアが美しくて、いつも見ているだけで旅情たっぷりで癒されるケネス・ブラナーのポアロシリーズ。 第三作目はベネチアが舞台ということで、水の都を堪能…と思いきや、事件が起こるのは古いお屋敷で、ストーリーが完結するまでポアロを含め登場人物たちはここから一歩も出ないという、今までとはちょっと変わった設定。 名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊 ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray] ケネス・ブラナー Amazon ベネチアで引きこもりを続けていたポアロは、友人の作家に引っ張り出され、ある有名霊媒師の真贋を見定めるべく降霊会に参加するはめになる。 古いお屋敷とはいえ、その雰囲気と映像美は十分満…

  • 「ナイトスイム」は水の中からのゆらゆら視界が怖い

    制作陣の顔ぶれに期待して見たホラー映画。 ナイトスイム ブルーレイ+DVD [Blu-ray] ワイアット・ラッセル Amazon プール付きの憧れのマイホームを手に入れたファミリーが、そのプールに潜む怪奇現象に襲われるというホラー映画としては定番のシンプルな設定。 たぶん、これもまた白塗り系の悪霊みたいな化け物が出てくるんだろうな、という予想どおりそういうのが出てきた。 しかしそいつがファミリーの力でぶちのめされるんだろうな、という予想とは、実はちょっと違った。 引っ越してきたファミリーは幸せいっぱいではなく、ある問題を抱えていた。パパは元メジャーリーガーだが、病気を抱えていて休職中。思い通…

  • 「奇妙な絵」で罠にかかったようにスルスル読めるホラーミステリーを体験

    大ヒットした「変な家」は、具体的な間取りの図を挟むことによってリアルさと不気味さが一層増幅されたが、この「奇妙な絵」も実際の絵をバンバン挟んでくることで、ホラー感とスピード感が倍増している気がする。 奇妙な絵 作者:ジェイソン レクーラック 早川書房 Amazon 薬物依存から更生する努力を続けているマロリーは、世話人の紹介であるお屋敷のベビーシッターの職に就く。 世話をするのは5歳の少年テディ。内気で他の子供たちともあまり遊びたがらない彼は、絵を描くのが好きだった。 マロリーのことを気に入ったテディは、描いた絵を見せてくれる。始めは無邪気で子供らしいお絵描きだったが、その絵がだんだんと変化し…

  • 見終わってうーん…と突っ伏した「ゴーン・ベイビー・ゴーン」

    楽しく浮かれたい年末であるというのに、ドーンと重たい映画を見てしまった。 ゴーン・ベイビー・ゴーン [DVD] ケイシー・アフレック Amazon 子供にまつわる犯罪をドラッグや性犯罪などに絡めた、解説どおりまさにアメリカの闇に切り込んだという内容そのもののクライムミステリー。 2007年制作ということで思ったより昔の映画だったが、それを知らないこちらとしては「何を今さら…」と感じてしまったが、そう思うほど、子供がらみの犯罪の現状はまったく変わっていないということだ。 日本でも、この時代と比較すれば明らかに子供を守らなければならないという感覚は強くなっている。野放し状態で冒険し放題だった昔は、…

  • 「一〇三歳になってわかったこと 人生は一人でも面白い」

    元気におしゃれに日常を送って長生きしているじいちゃんばあちゃん(圧倒的にばあちゃんが多いが)の本を最近よく見かける。 SNSで自身の日常を発信したりして、実際これから老いていく身としてはとても参考になる。 フォロワーも多いということは、やっぱりみんな元気をもらえたり自信をもらえたりするのだろう。 本屋さんでこちらの本を見た時も、そういう感じの本なのかと思って購入した。でもまったく違った。 一〇三歳になってわかったこと 人生は一人でも面白い (幻冬舎文庫) 作者:篠田桃紅 幻冬舎 Amazon 2021年107歳で亡くなられたが、この本は103歳のときに出されたもの。ベストセラーだったということ…

  • アガサ・クリスティーの「ねじれた家」はいろいろとねじれっぱなし

    アガサ・クリスティーは定期的に見たり読んだりしたくなるが、今がその時期のようで、今回は本ではなく映画を探した。 アガサ・クリスティー ねじれた家 [DVD] グレン・クローズ Amazon 大富豪の屋敷で起こった殺人事件。殺されたのはその大富豪本人で、容疑者は屋敷に同居する三世代の家族。 ねじれた家という題名は、その家族のねじれ切った性格や関係性を、マザーグースの童謡「ねじれた男がおりました」にかけているらしい。 今回探偵役はポアロでもマープルでもなくチャールズという若者で、彼は殺されたレオニデスの孫ソフィアの元恋人という、またこれもねじれたややこしい関係。 ソフィアに依頼されたチャールズは、…

  • 話題の「君のクイズ」を読んだ

    話題だったミステリーをようやく読んだ。でんでんむしのようなペースで本を読む自分が、なんと二日で読み終えた。読みやすいというのもあったけど。 君のクイズ 作者:小川 哲 朝日新聞出版 Amazon 話題になった本でも、「面白かったけどすぐ忘れそうだなあ」とか、「自分が若かったらもっと面白いかも」とか思うこの頃。 実際、ゲームみたい、何も残るものがない、などの声も時折耳に入る。でもこの本は世代を問わずウケると素直に思う。面白かった。 あらゆる世代に共通し、魅了してきたクイズ番組というもの。文字を追いながら、読者の頭の中には自分が見てきた様々なクイズ番組が去来するだろう。 ストーリーはごく単純なのだ…

  • 「死体で遊ぶな大人たち」は絶対有りえないけどちゃんと納得させられる

    これはあくまでも自分にとってですが、倉知さんの作品はだんとつ猫丸先輩シリーズで、それ以外を手に取るときはちょっとドキドキする。 「これはいける!」か「あー、これは無理…」というのがはっきりしている。この作品もどうも世間的にはダメな方もいるようだ。でも私的には面白かったし楽しめた。 死体で遊ぶな大人たち 作者:倉知 淳 実業之日本社 Amazon 短編集なのだが、全部に共通しているのが冒頭で、まず死体の描写から始まる。食われるはずの無いゾンビに食われたようなありさまの友人の死体目が覚めるとまるで自分が殺したような状況で側に転がっていた見ず知らずの死体わざわざこんな殺し方する…というような壮絶な心…

  • 犯人がわかるまでもわかってからも面白い「9人の翻訳家」

    久しぶりに面白いミステリー映画を見た。 9人の翻訳家 囚われたベストセラー(字幕版) ランベール・ウィルソン Amazon フランスの地方にある洋館に、9人の翻訳家たちが集められた。彼らの仕事は世界的にヒットした人気ミステリー小説のシリーズ完結編を翻訳すること。 まだ誰も知らない内容と結末を、各国に同時発売されるため、さまざまな国の翻訳家たちが集められたのだ。 しかしそれは異常なほど特殊な設定だった。9人は仕事が終了するまで外部との接触を一切絶たれた状態で地下室に閉じ込められる。もちろんネットは使えず、携帯も没収。 ご丁寧に屈強なロシア人の見張りまでついた状態で、毎日20ページだけ渡され、もち…

  • もっと知りたくなるお坊さんたちの特殊怪奇体験「僧の怪談」

    職業柄、絶対見たことあるでしょう?と、法事でお寺さんを見るたびに聞きたくてうずうずする怪談好きの好奇心を満たしてくれる体験ルポ本。 僧の怪談 (竹書房怪談文庫) 作者:川奈まり子 竹書房 Amazon 死というものと常に身近に接しておられるお坊さんたちならではの、独特の体験談が集められている。 亡くなった檀家さんが訪ねてくるような軽めの話から、大震災の地で出会った不思議な話、修行中深夜の墓地で見たマントの怪人など、信じられないようなエピソードが並ぶ。 しかし一般人の体験談と違うのは、みなさん一様に落ち着いておられる。泣いてわめいて逃げ出したりしない。 不思議な体験を自然に受け止められるのは、や…

  • 「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」で横溝ワールドアニメ体験

    この夏に水木しげる記念館を訪れ、水木ロードも歩いたので、せっかくだから映画も見ることにした。 アニメに馴れていなくても見れると聞いていたし、何より横溝ワールドを堪能できるらしい。 鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 通常版DVD [DVD] Happinet Amazon 確かに。犬神家のお馴染みの場面に加え、いろんなお話がいちいち浮かんで楽しかった。また、見たことあるショットも目白押し。松子さんや弁護士さんなんかそんままでしょ。 とはいえ、これは妖怪映画なのであくまでも主役は鬼太郎のお父ちゃんと水木さん。予想以上にお父ちゃんがかっこいいという話も聞いていたが、なるほど。 河童やつるべ火、お父ちゃんといっ…

  • これも1つの昭和の歴史「コミック雑誌なんかいらない」

    北野たけし監督のファンである娘は、たけしが出演している映画も網羅しようとしているが、「わからないことが多すぎる」として解説要請してきた映画がある。 NIKKATSU COLLECTION コミック雑誌なんかいらない! [DVD] 内田裕也 Amazon ロス疑惑や豊田商事事件など、有名なものは予備知識を仕入れたが、出ている人たちがさっぱりわからないし、きっとこれは何かをパロディってるんだろうな、と予想はつくけど、元になる何かを知らないので面白さがわからない なので、もう一度見るから隣で解説してくれまいか、という要請。 ずーっと前に見たことはあるけど、正直強烈インパクトのたけしの場面しか覚えてな…

  • スズキタゴサクという人物の濃さに全部もっていかれる「爆弾」

    話題どおり確かに一気読みの勢い 爆弾【電子限定特典付き】 (講談社文庫) 作者:呉勝浩 講談社 Amazon 酔っぱらって暴れ、些細な傷害事件で連行された男スズキタゴサク。記憶喪失なんです、酒のせいです、などとぼけた応答ばかり並べる彼に、うんざりしていた捜査官。 しかし、彼は突然とんでもないことを言い出す。自分には霊感があり、「10時に秋葉原で爆発がある」のがわかると― 予告通りに起きた爆発。そしてタゴサクの霊感は次に起こる爆発も予言し、その後数時間おきに起こる爆発を予言していくのだ。 物語は、この怪しい人物と捜査員の緊迫したやりとりを中心に描かれる。ウソはつきませんと断言し、だらだらとしゃべ…

  • 残された満載の謎に意味がありそうな変わったホラー「バーバリアン」

    ちょっと変わったホラー映画を見た。 バーバリアン ジョージナ・キャンベル Amazon 仕事の面接のためネット予約した宿泊先の貸家を訪れた女性テスだったが、そこにはすでに男性が住んでいた。 ダブルブッキングだとわかり、とりあえず出ていこうとするが外は嵐。おまけに辺りは廃墟のような寂れた町で、家にいた男性キースもさすがにテスに泊まっていくようにすすめる。 警戒に警戒を重ねながらも夜を明かすことにしたテスだったが、キースは思いの他気心の知れる相手だった。 そしてテスはベッドで、キースはソファで眠りについた深夜、テスの居る部屋のドアが静かに開く―― 前半まるでサスペンスのような展開に、ぐいぐい惹きこ…

  • 混沌の戦国はまさにホラー!狂気に満ちた笑える本能寺「首」

    ようやく配信されました。待ってました! 首 ビートたけし Amazon 高い評価をつける人と生理的に合わないという人に分かれるたけし映画。今回も汚い、残酷、おぞましい、お姫様が出てこないという、特に女性ファンは少ない傾向のたけし映画の特性を、ここでも存分に発揮してくれた。 織田信長・羽柴秀吉・明智光秀を中心とした戦国時代の大定番、本能寺の変をメインにストーリーが展開される。 ストーリーはもう何回見たことかの本能寺の変だから、たけしがどんな本能寺を描いてくれるのか楽しみにしていた。 中心になるのは秀吉と光秀で、それに関わる様々な人物たちがそれぞれの思惑で動いていく。凄い俳優さんたちの集まりなので…

  • ヴィクトリア朝の切り絵作家というめずらしい職業が描かれるミステリー「象られた闇」

    まず「何て読むのだろう…」と本屋で考えてしまった題名 象られた闇 作者:ローラ パーセル 早川書房 Amazon 予想が当たって変に嬉しかったこの漢字「象る」の読み方は「かたどる」 切り絵作家が主人公というめずらしいミステリー。舞台がヴィクトリア朝ということで、馬車やドレスの時代なのもよいなあと思い読んでみた。 写真というものが世に出始めたものの、魂を抜かれる恐ろしい物という認識でまだまだ人々が受けいれにくかった時代、肖像画といえばもっぱら絵画だった。 それ以外に切り絵というものも肖像画としての需要があった。主人公のアグネスはその切り絵の肖像画を生業にしている女性だ。 とはいえ、売れっ子という…

  • 名優たちの演技にうたた寝せずに見れた不倫サスペンス「運命の女」

    不倫ものの映画はあんまり見ないのだけど、監督とキャストの顔ぶれとサスペンスということでずっと気になっていた映画。 運命の女 (特別編) [AmazonDVDコレクション] ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社 Amazon エロティックサスペンスという触れ込みであるにも関わらず、さほどエロさを感じなかったのは、個人的に好きなダイアンレインが可愛かったっていうのがあるかも。 不倫相手の若いにーちゃんと出会ってから、徐々に狂っていくダイアンレイン演じるコニーの状況がストーリーの主軸になっているので、確かにそういう場面はとても多いが、ナインハーフや危険な情事の方がよっぽどエロく感じる。 ダイアンレ…

  • UFOを撮影して儲けたいだけだったのに「NOPE/ノープ」

    「ゲットアウト」「アス」のジョーダン・ピール監督の新作ということで、見るの楽しみにしていた。 NOPE/ノープ [DVD] ダニエル・カルーヤ Amazon 期待通り、これまでの作品同様独特な世界観と体験したことのない怖さ。 アメリカの広大な土地にあるハリウッド牧場は、映画の撮影に馬を貸し出して収入を得ていたが、経営は厳しく大切な馬を売りながら生計をたてていた。 そんな牧場にある日事件が起きる。牧場主が空からの落下物に直撃し、死んでしまうのだ。 世間では飛行機の落下物とされたが、跡継ぎ息子であるOJは、実はその瞬間空に異様なものを目にしていた。 妹エムの強い圧しで、OJは自分が見た謎の飛行物体…

  • 興味深い特殊な仕事の人たちの映画と本3選

    特殊な職業の方々のお話を読んだり聞いたりするのは、とても楽しい。最近たまたま立て続けにそんな職業の本やら映画やらに出くわした。 ずっと勧められていながらようやく見た「南極料理人」これはもう究極の特殊なお仕事で、出てくるご飯も美味しそうなのだけど、個性的なキャラクターたちがとても良い。 南極料理人 堺雅人 Amazon 8人で過ごす一年間の共同生活は、想像を絶するものだけど、あっけらかんとした男同士感が意図せずとも勝手にコメディになっている感じで、女には絶対真似のできない世界だなと、うらやましさを通り越して妬ましくなった。 家族に反対されつつやってきた生瀬さん演じる元さんが、「やりたかった仕事が…

  • 楽しい知識と刷り込まれてる不安も解消「残念な理系の常識」

    「ざんねんな○○」というタイトルやサブタイトルがやたら目につくようになって、見ただけで手にとる気がうせていた。なのでこの本もスルーしようとしたのだが、理系のこういう知識本は好きなので一応パラパラとめくってみたら面白そうだったので、読んでみた。 日本人の9割が信じている 残念な理系の常識 (青春文庫) 青春出版社 Amazon サブタイトルどおり「日本人の9割が信じている」というのは、大げさでないかもしれない。もちろんこっちがある程度無知でないとそうはならないのだろうけれど「へえ~知らんかった」「え、そうなん?」と、本の思惑どおりの声を上げてしまった。 「バナナの皮はほんとうに滑るか」や「実はへ…

  • 時代物に馴染みがなくてももお勧めできる時代ミステリー「木挽町のあだ討ち」

    時代物に馴染めない人にも勧められる小説だなあという感じです。 木挽町のあだ討ち 作者:永井 紗耶子 新潮社 Amazon ここんとこ「なんじゃこりゃ」という時代物に当たる回数が増えていたので、こんなにわかりやすく読みやすく、小気味よい時代物に出会うと嬉しくなる。 遊郭や芝居小屋などを舞台にした時代物やミステリーが好きなので、読んでいて楽しかった。 ある年の冬、江戸の芝居小屋の側で美しく壮絶なあだ討ちが行われた。父を殺した下男をみごと討ち取った若侍の菊之助。 その派手なあだ討ちの一件は、菊之助が美青年であったことも相まって、民衆の注目や喝采を浴びた。 菊之助はあだ討ちを成し遂げ、国に帰って念願ど…

  • 前作を見てから見た方が絶対いい「インシディアス 赤い扉」

    とりあえずインシディアスシリーズは、日本未公開であろうと何であろうと見なければ。と、気合をいれて挑んだが…感想を述べるのがとても難しい作品だった。 インシディアス 赤い扉 パトリック・ウィルソン Amazon まず、怖さを味わいたいだけならおすすめしない。というのも、過去のストーリーをベースにしているため、前作を見ていないと内容がたぶん頭に入ってこない。 見ていても、「あれ、どんな展開だっけ…」と思う部分が多々あるので、けっこう戸惑う。なので、見ている人と見ていない人とでは評価が極端に分かれるだろうし、見ている人の中でも分かれると思う。 かつての恐ろしい出来事から10年後、ランバートファミリー…

  • 新しいタイプのエクソシストはおぞましさよりもエンターテインメント感豊富

    このタイプの悪魔祓いホラーはパターンが決まっているので、意外性やジャンプスケアはそれほど無いが、時代劇が持つような定番ホラーの独特の世界観が楽しめる。 ヴァチカンのエクソシスト Russell Crowe Amazon ラッセル・クロウ演じる実在したエクソシストアモルト神父の活躍を描いたストーリー。 イタリアの田舎町にある古い教会を改築して売却するため、アメリカからやってきたファミリー。母親とティーンエイジャーっぽい姉と弟の三人は父親を亡くしてお金に困っている様子。 その弟が、ある日突然おかしくなる。家族はお約束のように医者に見せるが、精神の異常を疑われて激怒しつつ戸惑う。 日ごと異常さを増し…

  • ビクトリア朝時代の不気味で優雅な幽霊たち「英国クリスマス幽霊譚傑作集」

    本でも映像でも怪談特集が組まれるのは、日本ではだいたい夏っていうのが一般的だけど、イギリスではクリスマスということになるらしい。 英国クリスマス幽霊譚傑作集 (創元推理文庫) 作者:チャールズ・ディケンズ,ほか 東京創元社 Amazon といってもイギリスは年中通して怪談大好きなお国柄だけど、クリスマスはやはりあのディケンズの名作「クリスマス・キャロル」の影響が大きく、そこに敬意を表してという感じのようだ。 この本の冒頭に登場するディケンズの詩のような一編「クリスマス・ツリー」は、解説によるとクリスマスを飾る怪談アンソロジーを編む場合、しばしば冒頭を飾る定番ものであるらしい。 とはいえ、何も知…

  • 「ダダ」ってこんな可哀想な話だっけ

    初代ウルトラマンの宇宙人「ダダ」といえば、見た目が怖い、不気味というので有名なキャラクターだが、先日改めて鑑賞するとけっこう可哀そうな話だった。 BANDAI(バンダイ) ウルトラ怪獣シリーズ 83 ダダ バンダイ(BANDAI) Amazon 地球人の標本を持ち帰るという仕事で、単身地球にやってきたダダ。彼はさっそく条件に合う地球人を集め始めるが、そのやり方がいささか荒っぽかった。 たちまち世間の注目を浴び、あろうことかウルトラ警備隊のキャップを巻き込んでしまい、当然ウルトラマンが出てくることになる。 ウルトラマンの強さを実感したダダは、自分の星に通信をおくり、「無理です」と報告するが、上司…

  • まるで映画「頬に哀しみを刻め」の壮絶バイオレスに酔った

    2023年のミステリーで話題だった海外ミステリー。謎解き系ではなく、こんな感じのゴリゴリのバイオレンスは普段あまり読まないので、読み切れるかなあという不安はすぐにどっかへ行ってしまった。 頰に哀しみを刻め (ハーパーBOOKS) 作者:S・A コスビー ハーパーコリンズ・ジャパン Amazon 主人公、黒人のアイクと白人のバディ・リーはかつてムショ経験のある初老のおっさん。2人には親とは正反対の真面目で優しく優秀な息子たちがいるが、彼らはカップル。 息子たちの考え方や生き方を拒絶し、対立して傷つけあってきたお互いの親子。そんな中、息子たちが惨殺される。 彼らが殺されることによって初めて顔を合わ…

  • 冒頭の豪華で華麗なスプラッター場面が有名「ゴーストシップ」

    幽霊の怖さというよりは、どちらかというとグロさが際立つホラー。 ゴーストシップ (字幕版) ジュリアナ・マルグリース Amazon ストーリーは題名そのままのシンプルな幽霊船ストーリー。突如現れた無人の船に乗り込んでしまったメンバーたちが、恐ろしいものを目撃し、恐ろしいめに合っていくお話。 複雑でない分、どんな風に怖がらせてくれるのかというのがこの手の映画の見どころになる。 海難救助船の乗組員たちに内々に依頼されたのは、突如現れた奇妙な船の調査。なんとその船は40年前に遭難したまま行方不明だった豪華客船だった。 メンバーたちは、その船のお宝を手に入れようと乗船するが、そこで待っていたのは恐ろし…

  • 「ほの蒼き瞳」で1830年代のドレスの素敵さと夜の暗さで冬を実感

    ネットフリックスの映画って今まで馴染めないものが多かったのだけど、これは個人的にしっくり来た。 【大判】映画ポスター 海外版 ほの蒼き瞳 (68.5 cm x 101.5 cm) APMPS-GB89365 [U.S. Made Poster] アメリカンプレミアム Amazon 「陸軍士官学校の死」という傑作ミステリー小説が原作の映画。読んだのは随分前で、毎度のごとく内容はうろ覚えだったが、面白かったことに間違いはないので、映画でその面白さを再認識したくなって見てみた。 1830年のニューヨーク州の冬が舞台。ウエストポイントの士官学校で、1人の士官候補生が死体となって発見される。状況から首吊…

  • 「パール」と「X」は人の感情を爆発させてむき出しにしたいろんな意味でエロくてグロいレトロホラー

    映画館で予告を見た時から「見に来るぞ」と決意していたのに、上映期間があまりにも短くて、気が付けば終わっていた映画。「X(エツクス)」の続編ということで、しっかりそちらも見て気合入れていたのに。 Pearl パール [DVD] ミア・ゴス,デヴィッド・コレンスウェット,タンディ・ライト,マシュー・サンダーランド Amazon 1900年代前半が舞台のレトロ感たっぷりのスラッシャーホラー。主人公パールは、農場で両親と暮らしているが、異常なほど厳格な母親と病気で車椅子に座ったきりの父親の世話をしながらのしんどい生活だ。 パールの夢はダンサーとして映画に出ることだが、夢を見ることさへ許さない母親への反…

  • 臨場感たっぷりの師匠の面白トークが聞ける「まくら」

    〝まくら〟とは落語の本題に入るまえに話してくれるお話のこと。挨拶でもあり雑談でもあり、本題に入っていきやすいようにお客さんの心をつかむ楽しいトーク。 ま・く・ら (講談社文庫) [ 柳家 小三治 ]価格: 764 円楽天で詳細を見る そのまくらばかりを集めためずらしい本。著者…というべきか、お話を聞かせてくれるのは柳家小三治師匠。 子供の頃、テレビで普通に落語が流れていたので、結構よく見た。名前も顔も全然覚えなかったが、本の写真を見て「あ、知ってる」と、今回初めて小三治師匠というお名前だったのだなと知った次第。 エッセイみたいだけどエッセイじゃないのは、やっぱり臨場感。ほんとにありきたりな表現…

  • 時代物怪談が怖いという長話と「数えずの井戸」

    古典的な日本の怪談が怖い。幼い頃、怖い話をせがんだ姉弟に父親が話したのはいきなりの四谷怪談だった。内容どうこうよりも、お岩さんの怖さは壮絶だった。 加えて、じいちゃんばあちゃんの家のテレビでしょっちゅうかかっていた怪談ドラマも凄かった。毎回違うストーリーだったのだが、記憶に残っているのはほぼ時代物であったこと。 いったい何のドラマだったのか今だにわからないが、小泉八雲の怪談みたいなものだったのかな。幼いながらに怖い話は好きだったのでついつい見てしまっていたが、女の人が夜中に目を覚ますと側に死んだ坊さんが座っている場面を見てトラウマが決定的となった。 以後、大人になるまで四谷怪談はもちろんのこと…

  • 小説と映画で「64」の世界再び!

    この映画が公開されたのが2016年ということで、もう7、8年くらい前になるのだけど、出演者の顔ぶれがとにかくすごいので、見たいとは思っていた。 64-ロクヨン-前編 通常版DVD 佐藤浩市 Amazon 見よう見ようと思いつつ、その前に原作を再読しておさらいをしようとしていたが、これも読もう読もうと思いつつ、長い年月がたちました。 先日古本フェアで偶然見つけたとても状態の良い「64」。前回読んだのは確か図書館の予約待ちだったので、手元になかったのだ。 64(ロクヨン)(上) D県警シリーズ (文春文庫) 作者:横山秀夫 文藝春秋 Amazon しかし、読み始めたものの「え、ほんとにこれ読んだっ…

  • 孫と遊びたいがために仕事を辞めたいFBIの特殊捜査官「ブラック・ライト」

    ここんとこほんわか映画やドラマばっかりみていたので、脳がスピーディーで迫力のあるものを欲しだした。 ブラックライト リーアム・ニーソン Amazon 今年公開されたリーアム・ニーソンのアクション映画。リーアム・ニーソンといえば、「トレイン・ミッション」「96時間」の強すぎる只者ではないお父ちゃんのイメージなのだが、しばらくお会いしない間に、強すぎるおじーちゃんになっていた。 見た目ももちろん老けてはいるが、設定そのものが「孫ともっと遊びたいのでFBIの極秘任務の仕事を辞めたい」というおじいちゃん。 主人公のトラヴィスは、FBIとはいえ、長官から直に雇われている特殊な存在。彼の仕事はFBIの潜入…

  • 切なさと気持ち悪さと爽やかさを残すSFホラー「クロニクル」

    ずっと以前に見て面白かったという記憶があるので、久しぶりに見てみると、やっぱり面白かった。 クロニクル (字幕版) Michael Jordan Amazon 当時ホラーという認識で見たのだけど、どちらかというとSFで超能力もの。この映画はカメラ目線のモキュメンタリ―なのだけど、まったくそういう記憶がなかったので意外だった。 ある出来事に遭遇してしまったために、超能力を手にいれてしまった三人の高校生。ストーリーはその中のアンドリューの記録映像を中心にして展開していく。 手を動かすだけで、物を動かせることに気づいた三人は、女子のスカートをめくったり、スーパーでぬいぐるみを動かしたりといたずら程度…

  • キャラクターだけで腹いっぱい!刑事ドラマ感に溢れた「リバー」

    1人1人のキャラクターが強烈なので、頭の中で俳優さんとか有名人を当てはめて読んでいくと楽しい。 リバー (集英社文芸単行本) 作者:奥田英朗 集英社 Amazon リバーとは栃木県と群馬県を流れる渡良瀬川。その河川敷で若い女性の死体が発見される。 十年前にも同じ手口の事件が起こっていて、容疑者は捕まったものの決めてを欠いて不起訴処分で釈放。 今度の事件もそいつの仕業なのか、それとも模倣犯なのか―—。警察も市民も凍り付いている状況の中、第二の死体が――。 本格推理とかではなく、警察小説。栃木と群馬の警察の方々が、コツコツと事件を捜査していく状況がストーリーの軸になっている。 と同時に、なんとかし…

  • どんな決断をくだすのか「ウーマン・トーキング」

    まさに題名どおり女たちが話しているだけの映画、ということでいったいどんな感じなんだろうと見てみた。 ウーマン・トーキング 私たちの選択 ケイト・ハレット Amazon テーマは閉鎖的なコミュニティ、女性蔑視、そして性暴力。重たいテーマ満載でありながら、女性たちの議論の中にいつの間にか加わって、気が付けば真剣に耳を傾けていた。 自給自足の生活を続けていたある村では、女性たちがたびたび薬をもられてレイプされる。しかし、それは悪魔の仕業と言われ、あるいは妄想として抑え込まれる。 宗教的教えとコミュニティの圧力で、薄々何かしら気づきながらも耐えざるを得なかった女性たちだったが、ある出来事をきっかけにし…

  • 繰り返される戦いの虚しさが予想以上にずっしり来た歴史「トロイ」「新少林寺」

    世界中戦いだらけで、ほんと心底嫌になりますが。たまたまこの映画を見た直後に、ハマスによるイスラエルへの攻撃が起きて、戦いの虚しさとか、何前年たっても変わらない人の愚かさとか、今この瞬間も歴史の一部であること、トロイや少林寺で死んでいった兵士や庶民が決して他人事ではないことを実感させられた。 「トロイ」 トロイ [DVD] ブラッド・ピット Amazon ブラピ演じる不死身の勇者アキレスが有名なこの映画。気になりつつも上映時間3時間に恐れをなしてなかなか手が出なかった。 オーランド・ブルーム演じるトロイの王子パリスが、スパルタの妻ヘレンと不倫関係になり、挙句の果てに連れて逃げてしまうという己勝手…

  • ワニの恐怖より日本人にはリアルな恐怖「クロール 狂暴領域」

    サメやらワニやらのパニックホラーは、単純明快な食われる怖さ。でもそこにプラスアルファが加わると、見ごたえのあるストーリー展開になる。 クロール ―凶暴領域― [DVD] カヤ・スコデラリオ Amazon 夏に見たロストバケーションは、サメとの戦いもさることながら、海の美しさとサーフィンの楽しさで見せてくれた。 今回は、巨大なワニとの戦いなんだけど、プラスアルファは川の美しさではない。川の怖さだ。 ハリケーンが襲ってきたフロリダで、競泳選手のへイリーの元に姉から電話がかかってきた。避難命令が出ているにも関わらず、実家の父と連絡がとれないという。 様子を見に行くため、帰りに実家に立ち寄ろうと車を走…

  • 眉間にしわ寄せて自給自足に挑むいち子が良い「リトル・フォレスト」

    以前に夏秋バージョンを見てから、そのうち冬春バージョンも見なければと思いつつ、月日がたって、今ようやく見た。 リトル・フォレスト 冬・春 三浦 貴大 Amazon 夏秋を見たのが、リアルに夏だったこともあり、案にたがわずいろんなことをしたくなって、いろんなものを食べたくなって、平和な気分になったが、今回の冬春バージョンは、まだまだクソ暑い今だったこともあり、雪みてもさほど入りこめなかった。 ただ、年末や正月の行事なんかは見てて引き込まれるけど。考えてみれば、まだぎゅんぎゅんに半そで着て過ごしてるけど、あと二か月もたてば年末だ。日本はほぼ夏になってしまった。 リトル・フォレスト 夏・秋 橋本愛 …

  • 予想外なサスペンス感「エクソシスト3」と「ザ・ライト エクソシストの真実」

    今年の夏にミーガンの予告でヴァチカンのエクソシストを見て、面白そうだったので見に行く予定だったのだが、気が付くと公開期間が終了していた。短! その腹いせではないが、エクソシスト系の映画を配信で立て続けに見た。と言いつつも、元祖エクソシストも一回しか見ていない。 元祖エクソシストは、予告だけでトラウマになって、長い間見ることがなかった。意を決してテレビで見たときは、怖いというよりおぞましかった。また、悪魔という日本人には理解しがたい存在も、怖さとして受け入れにくかった。 ゆえに、悪魔祓いのエクソシスト映画はいまいち見たいとは思わなかったのだが――予想外に、ちょっと変わった視点から描いたこの2本は…

  • 「バーレスク」という店でおしゃれなショーを見せてもらった

    ここ何年か、ディズニー以外のミュージカル映画を見ていない。嫌いじゃないのに見る気がしなくて。だからあの「ラ・ラ・ランド」すら見ていない。 映画配信でも無意識に素通りしていたのだけど、迫力のある歌声に手が止まった。もちろん題名は知っていたけども、これも途中で飽きるかなあ~と思いつつ…… バーレスク [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray] シェール Amazon アメリカの田舎町から出てきたアリは、ロサンゼルスにあるラウンジ「バーレスク」のショーに魅せられる。自分もここで歌いたい!と願い、ウェイトレスとして働き始めた。 時にはうざがられながらも、辛抱強く経営者であるテスに自分をアピ…

  • おしゃれでかわいいホラー「ラストナイト・イン・ソーホー」

    おしゃれでかわいいホラー・サスペンスといっても、そこはやっぱりホラーなのでラスト近辺はなかなかスラッシャーだけど。 ラストナイト・イン・ソーホー [DVD] トーマシン・マッケンジー Amazon デザイナーを夢みてイギリスの田舎町からロンドンにやってきたエロイーズは、念願の専門学校で勉強を始める。しかし寮生活の人間関係に馴染めず、一人暮らしをする決意をした。 探し当てた部屋は、古めかしくて、大家は厳しそうなばあちゃんだったが、エロイーズは満足し、パブでアルバイトも始めることに。 しかしある夜、彼女は夢の中で60年代の繁華街ソーホーに出向き、そこでサンディという同じような年代の歌手を夢みる少女…

  • 脳が暴走するとこんなにカッコよくなるのか「LUCY/ルーシー」

    アクション映画だとずっと思っていたが、SFだった。アクション付きの。 LUCY/ルーシー (字幕版) スカーレット・ヨハンソン Amazon 冒頭いきなり、スカーレット・ヨハンソン演じるルーシーがホテルの前で男と口論している。怒りで喚きちらしながらも仕方なく臨時の運び屋を引き受け、ホテルに入っていくのだが、そこで恐ろしい目に遭遇することになる。 怒りの次は不安、そして究極の恐怖、最初から冷静なルーシーをまったく見せてはいない。常に感情丸出しの場面が続くのは、以後、感情を徐々に失っていくことになるルーシーを、きっと強調するためだ。 マフィアにつかまり、ヤバい薬を体の中に埋め込んで運ぶという恐ろし…

  • ジャンプスケアも薄気味悪さもそなえた「スマイル」

    なんとも薄気味の悪いホラー映画でした。 スマイル Sosie Bacon Amazon 精神科医のローズは、ある若い女性患者を診察する。彼女は始終取り乱していて、普通の人には見えない人物たちが見えると怯えていた。 しかもその人物たちはみんなゾッとする笑いを浮かべて近づいてくると。明らかに妄想を見ているらしき彼女をなだめようとするローズだったが、女性が突然激しい恐怖に襲われ、部屋の中を逃げ惑い始める。 そして恐ろしい事件をローズは目の前で目撃してしまう。それがきっかけでトラウマになってしまったかのようなローズだったが、恐怖はそこから始まった。 常軌を逸した出来事が、彼女自身や彼女の周りで起こり始…

  • 楽しかったあ!お腹が空いたあ!「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」

    この映画空腹状態で見ると死ぬなぁ。特にチーズトロトロのサンドや肉好きには。 シェフ 三ツ星フードトラック始めました (字幕版) ジョン・ファヴロー Amazon 有名レストランの料理長だったカールは、自分の作りたい料理を作ろうとして、オーナーと衝突しクビになる。心配した元妻の勧めで妻の故郷マイアミに帰ったカールは、キューバサンドに出会い、一大決心をする。 「フードトラックでサンドを売りながらロサンゼルスまで帰る」陽気な弟子と小学生の息子パーシーが加わり、楽しく美味しい夏休みの人生を変える旅が始まる。 とにかく料理が美味しそうという評判は聞いていたが、確かに本当。肉やこってり系なので、まさにアメ…

  • 斬新すぎて笑いながら高評価「ジェイソンX13日の金曜日」

    子供の頃、初めてばあちゃんの家で「13日の金曜日」を見て以来、すっかりジェイソンの虜になってしまい、新作がテレビで放送されるたびに欠かさず見てきたが、次第に飽きてきた。 この手のスラッシャーホラーはワンパターンなので仕方ないが、その元祖ともいうべきジェイソンはやはり時折思い出す存在で、先日もふと「ジェイソンはどうしているんだろう」と思い、何か見ようとシリーズを調べたら面白そうなのがあった。 ジェイソンX 13日の金曜日(字幕版) ケイン・ホッダー Amazon 殺戮を繰り返すパターンは同じなのだが、なんと舞台が宇宙になってしまっていた。400年後の地球は、有毒な星としてもはや人が住めない場所に…

  • ワンパターンのホラーの続編を覆す「エスター ファースト・キル」

    劇場で見ようと思っていながら見逃した。早々映画配信に飛びつく。 予想では同じキャストでは無理があるのではないか。前作の終わり方が続きっぽいので、そこからまた新たな狂気と悪事が始まり、結局同じパターンなのではないか。 エスター ファースト・キル イザベル・ファーマン Amazon であったが、見事に裏切ってくれた。これは面白い。ファーストキルってことで、エスター誕生の秘密を明かしてくれる。基本的にやっぱりこれは、確かに続編であって、前作を見てないと値打ちがない。 ある町で行方不明になっていたエスターという少女。その事実を見つけたのが、悪賢い主役の狂人エスター。 彼女は予想通り、その家族にエスター…

  • 海の美しさと怖さの臨場感たっぷり「ロスト・バケーション」

    猛暑続きの毎日で家にこもりがちな中、せっかくなので夏のバケーション感を感じさせてくれる映画を見ようと選んだのがこちら。 ロスト・バケーション [DVD] ブレイク・ライブリー Amazon サメに襲われる映画なので、内容は全然爽やかではないが、特筆すべきはその海の描写の美しさ。主人公はサーファーなので、透きとおった海の美しさに加え、波やサーフィンの動きのある映像は見ているだけで、夏気分をたっぷり味わえる臨場感。 どこまでCGだろうが本物だろうが、どうでもよくなってくる。なんせ美しいのだもの。 主人公は医学生でありながら、母の死をひきずり、医者への夢も投げ出そうとしている女性ナンシー。鬱々とする…

  • 「ザリガニの鳴くところ」シンプルだけど濃密な文学ミステリー

    小説には無い映画の良さは、その時代の雰囲気を視覚的に楽しませてくれること。1960年代が舞台ということで、レトロなファッションが新鮮だった。主人公が着ているワンピースやシャツの小花柄がかわいい。 ザリガニの鳴くところ (字幕版) デイジー・エドガー=ジョーンズ Amazon 湿地で暮らす大家族だったカイアは、6歳の時に独りぼっちになる。それでも自然と共に暮らす術を身に着けていた彼女は、数少ない親切な近隣の夫婦の手を借りながら、大人の女性になるまで暮らし続けていた。 映画の冒頭は、一人の男性の死体が湿地帯で発見されたことから始まるが、すぐさま疑われたのが「湿地の少女」と蔑まれているカイアだった。…

  • SFみたいな特殊設定のミステリー「方舟」

    しっかり「やられたあ!」感を満足させてくれたミステリー。 方舟 作者:夕木春央 講談社 Amazon 軒並み評価の高い作品だったので、期待値を上げ過ぎないように挑んだが、それでもしっかり楽しませてくれた。 外からの往来が絶たれた状況で事件が起きるクローズドサークルだが、この作品の状況はかなり特殊。ある意味SFのようだ。 語り手である主人公は、大学時代の友人たちとの旅先で、朽ちかけた地下建築を探検することになる。何に使われたかわからない不気味な地下3階のその建物は、徐々に水没していてるようだった。 そこで起こる予期せぬ地震。それによって、彼らは建物内に閉じ込められてしまう。誰にもしられていないこ…

  • 「完璧な家」でラストはざまあみろという気持ちになる

    読んだとたんに「これは絶対映像化されるな」と思ったサイコサスペンス。 完璧な家 (ハーパーBOOKS) 作者:B・A・パリス ハーパーコリンズ・ ジャパン Amazon ジャックとグレース夫妻の家で催されたホームパーティーの場面から物語は始まる。弁護士でハンサムなジャック、料理の腕も抜群で夫に心から愛されているグレース。 非の打ち所がない完璧な幸せを手に入れた夫婦として見られている2人だったが、そこには地獄のような秘密があった。 ベストセラーでありながらも、宣伝用に紹介されているこの本のあらすじや解説はとても薄い。しかし読み始めるとその薄さがわかってくる。詳しく書けないのだ。 ホームパーティー…

  • じじばば予備軍も要注意の「じじばばのるつぼ」

    帯に書かれている「TPO無視時事」「レジで世間話ばば」などの目次だけで、どういう本なのかわかる。しかも群さんのエッセイだ。面白くないわけがない。 じじばばのるつぼ (新潮文庫) 作者:群 ようこ 新潮社 Amazon 予想通り、ちまたに溢れる困ったじじばばや笑えるじじばばの言動を、作者の体験を踏まえて面白く読ませてくれる。 ほとんど誰もが「ああ、いるいる」と納得するじじばばたちが登場して、全国共通のものなんだと実感させられ、笑いながらため息ももれたりする。 「ばばのファッション」や「ラブホじじ」なんかは、すげえなあと感心するだけだが、他人に迷惑をかける言動は身近で体験したりすると、ほんと困るし…

  • こんな凄い80代「インディージョーンズと運命のダイヤル」

    ハリソン・フォードのラストインディージョーンズということで、これはぜひ見届けないといけないだろうと、夏休みになる前に早々見に行った。 インディ・ジョーンズと運命のダイヤル (オリジナル・サウンドトラック) Walt Disney Records Amazon 一般的な老人と比べるのがそもそも間違いなんだろうけど、あの80代は驚異的。さすがにこれまでインディがやってきたスーパーアクション的な場面は、ヒロインであり補佐的な役目も担うおねーさんが努めていたけど。 ストーリー展開は、文句なしのいつもの冒険アクションの世界観。とにかく最初から若き日のインディーが出てきて、かつてのアクションをCG技術で見…

  • 自分らしく生きていいんだなと感じさせてくれた「アメリ」と「土を喰らう十二ヶ月」の日常

    アメリは小ジャレた女性が好きなイメージだったので、絶対合わないだろうなあと思って気になりつつも見なかった。 で、この年になってようやく鑑賞して、それはそれでよかった。 アメリ [Blu-ray] ジャメル・ドゥブーズ Amazon フランス映画は途中で寝てしまう確率が非常に高いが、この映画はしっかりラストまで見れた。出てくるのは変なキャラクターばっかりで、作りもの感いっぱいで面白いのに、変な現実感も感じる。 主人公のアメリも空想好きなちょっと変わった感性をもった女の子で、変化にとんだストーリーを持った映画ではなく、彼女の独特な日常感を楽しむ映画だ。 まるで童話のような展開にも関わらず、けっこう…

  • 読みだしたら止まらないというのは嘘じゃなかった「彼は彼女の顔が見えない」

    またまた謎かけのような題名で。前作「彼と彼女の衝撃の瞬間」同様、特にストーリーとは関係ないんじゃないかと思ったが、「ああそういうことか」とすぐにわかった。彼は相貌失念という脳の障害を持っていて、人の顔が認識できないのだ。 彼は彼女の顔が見えない (創元推理文庫) 作者:アリス・フィーニー 東京創元社 Amazon そんな彼(アダム)と彼女(アメリア)の夫婦は、結婚生活に危機を迎えていた。カウンセラーの勧めもあり、2人で旅行に出かける。 それは人里離れた古いチャペルを改造した不気味なホテル。しかも、大雪に見舞われ携帯も通じない、隔絶された状況に。 この2人に起こる奇妙な出来事を中心にして語られる…

  • 人生で見逃さないでよかった映画part3「ゲーム」

    見たのか見てないのか曖昧な映画の1つ。 あらすじを読むと、見たような気がするし、マイケル・ダグラスが主演の感じも記憶にあるようなないような――てことでちゃんと見てみることにした。 ゲーム ユニバーサル思い出の復刻版 ブルーレイ [Blu-ray] マイケル・ダグラス Amazon 投資家で成功を収めている富豪のニコラスは、48歳の誕生日に弟コンラッドと久しぶりに再会する。コンラッドは兄に一通の招待状を渡す。それはCRSというゲームに参加する招待状だった。 ちょっとした好奇心からこの会社を訪ね、流れるままに一日がかりの奇妙なテストを受けてしまう。 後日、彼が車で帰宅すると、自宅の前で突然人が落ち…

  • 「M3GAN/ミーガン」を堪能してきました!

    公開中の映画「M3GAN/ミーガン」を見てきました。チャイルドプレイみたいな映画なのかと思っていたが、さすがAI、おもちゃを超えた。 M3GAN (Blu-ray + DVD + Digital Code) Unbranded Amazon 友達として遊び、教育係としてしつけをし、姉妹のようにいつもいっしょにいる存在として開発されたAIロボットミーガン。 おもちゃとしての部類に入るアイテムだったが、チャイルドプレイのチャッキーのような無邪気さはもう無い。彼女はおもちゃでも人でも無いもの。 そこがこの映画の一番の怖さでもあるのだけれど、怖さにプラスしてどこかおかしい。そうだった、AIは優秀だけど…

  • ロンドン塔の幽霊アン・ブーリンのことを知る「ブーリン姉妹」

    歴史的心霊スポットというと必ず出てくるのがロンドン塔。多くの有名人が幽閉されたり処刑されたりしているが、その中でもこちらも必ず出てくるアン・ブーリン。 ここで処刑された女性は多いが、彼女が有名なのは王妃にのぼりつめるまでのしたたかさと、何よりあのエリザベス1世の母親であるということだろう。加えて、ロンドン塔に出る幽霊の正体がアン・ブーリンだといわれていることもある。 とはいえ、詳しいことはよく知らない。歴史をわかりやすく知るには映画が一番。ということでアン・ブーリンの事を知るにはもってこいの映画だった。 ブーリン家の姉妹 (字幕版) ナタリー・ポートマン Amazon この映画は、アンとその妹…

  • かわいいクマとクリスティーの共通点は「パディントン」

    パディントンというのが、駅名とは最近まで知らなかった。女王陛下とお茶したあのかわいいクマさんのお名前なんだと、ずっと思っていた。なんせ本も読んだことなかったんで。 パディントン発4時50分 (クリスティー文庫) 作者:アガサ・クリスティー,松下 祥子 早川書房 Amazon だからこの小説はクマさんとは何の関係もない。アガサクリスティーの作品はまだまだ未読のものが多く、たまたま古本屋さんでかわいい名前を見つけたので選んだ。 パディントン発4時50分の列車に、ミス・マープルの友人が乗る。クリスマス前にマーブルを訪ねていくためだが、彼女はその列車の窓の外でとんでもないものを目撃してしまう。 隣を走…

  • 理科実験的グロテスク「インビジブル」

    随分前になるけど、この映画やたらテレビでやっていた記憶があり、何回も見たのだけど、改めてDVDで見てみるとけっこうグロテスクだったんだ。 題名はインビジブルではなく、ずばり“透明人間”だったような。 インビジブル (字幕版) Gary Hecker Amazon ケビン・ベーコン演じるセバスチャンは、天才科学者であるが性格が悪い。なので、恋人だった同僚である美人科学者にもどうやら逃げられたようだ。 セバスチャンは、政府から透明人間化のプロジェクトを依頼されていた。苦労を重ね、動物実験も繰り返し、ようやく透明化に成功していたが、問題は透明化した生き物を元の状態に戻すこと。 どうやらそちらの方がむ…

  • 昭和の事件を平成の記者たちが取材した名著を令和に読む「未解決事件 グリコ・森永事件捜査員300人の証言」

    グリコ森永事件をテーマにした「罪の声」は以前から気になっていたが、フィクションだしなあ、と思って読んでいなかった。 で、このあいだ古本屋で見つけてようやく読んで、けっこう面白く、映画もみていると、どこまでがフィクションでどこまでが事実だったのか気になり始めた。 知らない事件ではないはずなのに、この事件はどこか記憶の中で茫洋としていて、はっきりと思い出せない。 有名な事件なのでドキュメンタリーな本はたくさん出ているが、やはりそこは信頼のNHKでしょう。 未解決事件 グリコ・森永事件捜査員300人の証言 (新潮文庫) 作者:NHKスペシャル取材班 新潮社 Amazon あまりにも有名なキツネ目の男…

  • ホラーやバイオレンス好きを楽しませてくれるサンタクロース登場「バイオレント・ナイト」

    クリスマスを舞台にした映画はいっぱいあって、自分にとってはケーキよりもツリーよりも、クリスマス気分に浸るには欠かせないアイテムなのだが、あまり心優しいファンタジーは逆に見ない。 ホラーだったりアクションだったりの要素は不可欠。せいぜい寛大になってナイトメア・ビフォアクリスマスってとこか。しかしここにきて強力なのが出てきました。 バイオレント・ナイト ブルーレイ+DVD [Blu-ray] デヴィッド・ハーバー Amazon クリスマスの夜、大富豪の家に強盗に入った残虐無比な強盗グループ。そこに遭遇してしまったのがサンタクロースなのだけど、このサンタかなりヤサグレ気味で、今年でサンタをやめようと…

  • チェンジリングとオーメンを合体させたような内容かと思いきや「クワイエットボーイ」

    オーメンとチェンジリングを合体させたような内容なのかと思っていたけど――。 クワイエット・ボーイ(字幕版) アレッサンドロ・コラービ Amazon 大人が化物の扮装して子供たちを驚かす祭り。なまはげみたいなものに見えるが、神様の使者であるなまはげと違い、こちらはもっと邪悪なものに思える。 怖さに耐えかねた一人の幼い少年が、「もう帰ろうよ」と父親にせがむ。しかし父親はその化物に扮装している大人たちの一人で、すでに酒のせいでベロンベロン。 酔った勢いで少年を「うるさい」と突き飛ばす。少年は仕方なく一人で家を目指して森の中を駆け抜けるが――。彼はそのまま姿を消してしまう。 当然世間から攻められ倒す父…

  • ニコラス・ケイジそのものがコメディでホラー「ウィリーズ・ワンダーランド」

    ニコラス・ケイジがいないと成り立たないといっても過言ではないB級コメディホラー。 ウィリーズ・ワンダーランド [DVD] ニコラス・ケイジ Amazon コメディなのにゲラゲラ笑う場面とか、そんなに無い。でも設定自体がおかしいのと、何よりニコラス・ケイジのキャラクターそのものがコメディになっている映画。 ニコラス・ケイジ演じるハードボイルドな風貌の男は、田舎町で車がパンクし呆然としながら無人の道路に立ち尽くし続ける。 運よく通りがかったトラックに助けられ、町で車の修理をしてもらうが代金が払えず、やむなく清掃員を一晩引き受けることに。 かつて陰惨な事件が起こった廃墟となった屋内遊園地。そこで一晩…

  • ブラックなどんでん返しがクセになる「#真相をお話しします」

    私たちの「今」に向かって強烈な皮肉をこめた読む人を選ぶであろうミステリー短編。 #真相をお話しします 作者:結城真一郎 新潮社 Amazon 「マッチングアプリ」「リモート飲み会」「YouTuber」などを題材にしているので、おじさんおばさん、加えてじーさんばーさんたちにはキツイかもしれない。 ちなみに作者の方の年齢を見てみると、まさしくうちの娘と近い世代。だろうなあ。 「リモート飲み会で寝落ちして絨毯ビールまみれ」「○○のYouTuberはなんかいらつく」などのセリフは日常で、先日もマッチングアプリで出会って結婚した友達の結婚式に出かけていったばかりだもの。 そんな若者たちを中心に据えつつ、…

  • 気軽にネットで見れる楽しさと怖さ「夜の訪問者」「カウントダウン」

    イギリスの有名な傑作戯曲で、何度も映像化されている名作。 夜の来訪者(字幕版) デヴィッド・シューリス Amazon サスペンスとは言え、けっこう文学っぽい雰囲気漂う古典的作品なので、なかなか見る機会もなく、気合をいれて見よう!という気も起らない。無料配信がなければ最近映像化されているなんて知らなかった。 ましてやBBCのドラマ映画なんて。こんな名作を気軽にネットで見れるのだからほんとにいい時代になった。 こちらはほぼワンシチュエーションに近い設定で、舞台は1900年代前半。ファッションや小道具みているだけでも楽しいので、面白くなくてもいいやとボケーと見ていたが、毎度のごとく気が付けば釘付け。…

  • 子供たちが活躍するミステリーって確かに面白かった「ロンドン・アイの謎」

    子供たちが活躍するミステリーってこんなに面白かったなあ、というのを再認識させてくれる本だった。 ロンドン・アイの謎 作者:シヴォーン・ダウド 東京創元社 Amazon 12歳の少年テッドがパパ・ママ・姉のカットと暮らす家に、ある日叔母さんと従兄のサリムがやってくる。どこか遊びに行こうということになり、ロンドンの観光名所である大観覧車ロンドンアイに乗りに出かける。 大行列でうんざりしているところに、幸運にもチケットをゆずってくれる人が現れ、せっかくだからとサリムが一人で乗ることに。 テッドとカットに手を振り、ロンドンアイに乗り込んでいくサリム。しかしサリムがそこから降りてくることはなかった。彼は…

  • 誰もが善人でもなく悪人でもない奇妙な事件「インサイド・マン」

    立てこもった強盗と警察の心理戦が展開される映画は、どちら側にスターがいるかによって、展開や結末が違ってくる。 インサイド・マン [DVD] デンゼル・ワシントン Amazon 警察側にデンゼル・ワシントンがいる以上、結果的には警察側の勝利になるんだろうと思っていたが、犯人のクライブ・オーウェンがそうはさせるかと巧みな演出を見せてくれる。 見ている側がどっちの側にも立てない、とにかく展開が楽しい映画だ。加えて利口で小ずるそうなジュディ・フォスターの弁護士の登場によって、本当に悪いやつがあぶり出されていく仕組み。 この映画に単なるエンターテインメント炸裂感を感じないのは、正義に貫かれているキャラク…

  • タランティーノの問答無用のストーリー展開「ヘイトフル8」

    タランティーノの映画は、いつものことだけどちょっとしたゾンビ映画よりも凄まじい。絶対ご飯食べながら見れません。 ヘイトフル・エイト(字幕版) サミュエル・L・ジャクソン Amazon 密室殺人みたいな宣伝文句だったので、本格謎解きっぽい内容なのかなと思っていたけど謎解きではないな。雪に閉ざされた山小屋で連続殺人がバシバシ起こるので、密室の殺人には間違いないけど、犯人が誰だとかそういう問題ではない。 ただ、ストーリー展開が面白い。吹雪の中、山小屋に閉じ込められた8人の人間。馬と拳銃が必需品の時代、賞金稼ぎや新米保安官、絞首刑人などややこしそうな人々が一堂に会する。 お互いが少しずつ知り合いであっ…

  • 歌わない踊らない2時間無いインド映画「インド・オブ・ザ・デッド」

    前からずーと気になっていたゾンビ映画、ようやく見ました。 インド・オブ・ザ・デッド [DVD] サイフ・アリー・カーン Amazon インド映画のネックは恐ろしく長い上映時間という点だが、これは2時間無いということで、昼飯食いながら見たんだけど、昼飯食いながら見るものではなかった。 ゾンビ映画のグロ度は幅広く、顔のメイクと変な歩き方だけというのから、内臓リアル系までいろいろあるが、こちらなかなかのものだった。でも回数は多くない。 基本コメディなので、ゾンビそのものよりもコメディ映画として笑える。しかも、インド映画にしてもめずらしく、ほぼ歌って踊る場面が無い!ゾンビが歌って踊るとマイケルジャクソ…

  • 冒険ものみたいな題名の山田流で描かれた地味な時代の個性派キャラ「室町少年倶楽部」

    京都で言う〝戦前〟と〝戦後〟は太平洋戦争以外にもあり、それは「応仁の乱」というのはどっかで聞いた話だが、それほど京都という場所をめちゃくちゃにした京都最大の戦乱の1つ。 とはいえ歴史好きでも、どんな戦いだったかというと意外と説明しにくい複雑で首尾一貫してない戦いのような気がするが、まさかそんな発端を教えてくれる内容だとは、初めてこの本と出合った時には思いもしなかった。 室町少年倶楽部 (文春文庫) 作者:山田 風太郎 文藝春秋 Amazon 山田風太郎の伝奇ものが好きなので、これもそんな感じなんだと軽い気持ちで読んだ。なんせ表紙に鎧を着たインコみたいなやつが描かれているんだから、そう思うでしょ…

  • 「ラリー スマホの中に棲むモノ」はいろいろと辛辣な子育てホラー

    Netflixで配信されていたので、さっそく見ました。どっちかっていうと、「スケアリーストーリーズ」の中の1つに入っていそうな物語。 ラリー スマホの中に棲むモノ (字幕版) ギリアン・ジェイコブス Amazon スマホの中に棲んでいる友達がほしい孤独な化物。そいつに目をつけられたのが自閉症の少年。この子がまた美形ったら!少年をいじめる悪ガキ。この子がまた、こ憎たらしい面構えったら! 少年オリヴァーをスマホの中に連れて行こうと画策する化け物だが、それを邪魔するパパママにまで魔の手が伸びて―― わかりやすく目新しい設定は何もない。激しい驚かしやグロさのホラーを期待して見る人は肩透かしをくらうだろ…

  • 一番近未来なSFかも「ミッション8ミニッツ」

    始め「ハッピーデスデイ」と「トレインミッション」を合体させたようなSFかなと思って見ていたが、話しはなかなか複雑だった。 ミッション:8ミニッツ [DVD] ジェイク・ギレンホール Amazon いきなり電車の中で目覚めた、というより我に返った男に、目の前に座っていた女性は「助言をありがとう」とほほ笑む。 何のことやらさっぱりわからない男。しかも自分がもっていた身分証はまったく知らない人物だった。 混乱を極めて電車の中を歩き回るが、そのうち電車は爆音と共に炎に包まれる。目覚めると、今度は狭い操縦席のような場所で座っている。目の前のモニターには軍関係者らしい女性が写っており、彼女に記憶を徐々に呼…

  • つい聞き入ってしまい結果見入ってしまった映画「12人の優しい日本人」

    正直、三谷幸喜の映画はほとんど見たことがなかった。ドラマはほぼ全部楽しませてもらっているが。きっとそういう人少なくないだろう。 12人の優しい日本人【HDリマスター版】 [DVD] 塩見三省 Amazon 家族がこの映画をDVDで見始めたその同じ部屋で、自分はパソコンに向かって違うことをしていた。映画をBGMにしてしまうという申し訳ないクセは、幼少期、テレビ垂れ流し祖父母の家に出入りしていた時から身に付いたものの1つだ。 見る気のない映画に限るけど。この映画も、三谷さんには申し訳ないけど見る気なかった。というのも、この映画は1950年代のハリウッド映画「12人の怒れる男」のパロディ・オマージュ…

  • 新しいタイプの読者への挑戦「ポピーのためにできること」

    分厚い文庫を手に取って「ヒマかかりそうだな」と思ったけど、杞憂に終わる。あっという間に読めた。 ポピーのためにできること (集英社文庫) 作者:ジャニス・ハレット 集英社 Amazon もちろん面白いというのが第一なのだが、この小説はすべてがメールのテキストや新聞記事、関係者の供述などの資料から成り立っているので、行間が多い!というのも大きい。 まずはさまざまな登場人物たちが、それぞれいろいろな相手にメールを送っているので、いきなり混乱する。最初から登場人物表で確認しても、まだよくわからない。 でもあまり大したことは言っていないので、なんとなく流しておくと、言葉の使い方や内容などから、それぞれ…

  • 見たいのはここ!「美女と野獣」と「シンデレラ」

    お話も知ってるし、アニメ版も見たし、ディズニーアニメの実写版で求めるものは驚きとスッキリ感。そしてみたい場面は決まっている! 美女と野獣 MovieNEX(実写版) [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray] エマ・ワトソン Amazon 美女と野獣の場合は、まずやはりディナーの場面。魔法に掛けられて日用品にされてしまった家臣たちが歌って踊るあの楽しさ満載のシーンは、アニメそのままにディズニーならではのテンポと華やかさ。 もう一つは、いうまでもなくベルと野獣のダンスシーン。豪華絢爛なシーンではあるがアニメだからこそあの描写に驚いたという…

  • すさまじい勢いで読んだ面白さ「裏切り」

    凝りすぎる題名は嫌だけど、こちらはもう少し凝った方が良いんじゃないかと言いたくなる愛想のない題名。 裏切り 上 (創元推理文庫) 作者:シャルロッテ・リンク 東京創元社 Amazon そう思ってしまうほど、題名の愛想の無さとは裏腹に面白かったのだ。怒涛のように読み進め、下巻なんかすさまじい勢いで読んだ。久々にこんな本に出合えてうれしい。 スコットランドヤードに勤務する女性刑事ケイトが、故郷のヨークシャーに帰郷したのは、一人暮らしの父親が惨殺されたためだった。元は優秀な警部だった父は、現役時代の恨みをかったのだというのが警察の見解だった。 それに対してどうにもしっくりこないケイトに、知らない人物…

  • サービスエリアから忽然と消えた彼女「ザ・バニシング 消失」

    めずらしいオランダ映画のサイコサスペンス。 【メーカー特典あり】ザ・バニシング - 消失-(メーカー特典:メモ帳付き) [DVD] ベルナール・ピエール・ドナデュー Amazon キューブリック監督が最も恐ろしいと絶賛した映画。サービスエリアで飲み物を買いにいった恋人が、いつまで待っても戻らず、そのまま忽然と姿を消してしまうという考えただけでも恐ろしい内容。 待って待って待ち続ける彼がとにかく哀れで気の毒。彼女にいったい何が起こったのか―― いろんなことを考える。人であふれているサービスエリアで誘拐?自ら失踪?とてもそんな雰囲気ではなかったし、それにサービスエリアからどうやって?彼女はただ飲み…

  • ようやく見れた渋時代劇「闇の歯車」

    ずっと見たくて探していた「闇の歯車」ようやく見つけた。 闇の歯車 [DVD] 瑛太(永山瑛太) Amazon 原作は読んでいないのだけど、サスペンス時代劇ということで面白そうだと思っていた。時代物って面白いものはほんとに面白いので。 橋爪功演じる伊兵衛が、飲み屋「おかめ」で狙う人物を物色する。闇の世界で生きる無気力そうな佐之助、病気の妻を抱えている浪人、女との別れ話がこじれている若旦那、孫の世話ばかりでいつも愚痴ばかりこぼしている老人。 彼らはみんなわけありだが、共通しているのは喉から手が出るほど金がほしいこと。店の常連というだけで、何の共通点もない、お互い話をしたこともない彼らに、伊兵衛が声…

  • かつての名作をもう一回読みたくなる「硝子の塔の殺人」

    ミステリー好きのための、新本格好きのための――という触れ込みで評価も高い。これは面白そうだってことで読んでみた。 硝子の塔の殺人 作者:知念 実希人 実業之日本社 Amazon ミステリ好きの大富豪が建てた硝子の塔。そこにさまざまな職業のクセの強いメンバーたちが呼び集められる。まずは定番の設定が用意され、そしてお約束のように起こる連続殺人事件。 富豪が集めた数々のコレクションとミステリーの蘊蓄。島田荘司の占星術殺人事件から、ドラマのシャーロックまで事件の合間合間で語られる蘊蓄はなかなか激しいが、特徴的なのはこの作品そのものが蘊蓄になっていること。 面白いのは、この塔で起こるストーリーを追ってい…

  • だるまさんが転んだ的怖さ「ライト/オフ」

    随分前に見たんだけど、冒頭部分しか覚えていないので再見。それほど冒頭のインパクトが強かったということだ。 ライト/オフ(字幕版) テリーサ・パーマー Amazon ライトを消すと暗がりに何かいる。あれっと思ってライトをつけると何もいない。もう一度消すと、やっぱり何かいる。しかもさっきより近い。慌ててスイッチを入れる。何もいない。 そこでやめときゃいいのに、再び確認してしまうのが悲しい性。あんのじょう、めっちゃ近くに―― 冒頭部分、いきなりそんなところから始まるので、強烈に印象に残る。この映画の化け物は、この登場の仕方を繰り返す。まさにだるまさんが転んだ的怖さ。だるまさんが転んだといい終えて振り…

  • カメラの向こうの気持ち悪さ「クリープ」

    日本での劇場公開はなく、ネットフリックスで配信されている映画。 映像作家のアーロンは、報酬のいいビデオ撮影の依頼を引き受け、山の中の別荘へと向かう。そこにはジョセフと名乗る男が一人で待っていた。 口が動く リアル 狼 アニマルマスク 口と連動 毛並質感 電池不要 視界付き 300g フリーサイズ 【 なりきり アニマル ムービングマスク wolf ウルフ 】動物 オオカミ リアルマスク おもしろマスク 着ぐるみ 被り物 お面 仮装 仮面 覆面 変装 コスプレ eモンズ Amazon ジョセフの依頼は自分の日常を撮ること。その理由は、自分は不治の病でもう長くはなく、生まれてくる子のために父親であ…

  • そんなにアホだと知らなかった「ダチョウはアホだが役に立つ」

    面白いのであっという間に読んでしまいました。 ダチョウはアホだが役に立つ (幻冬舎単行本) 作者:塚本康浩 幻冬舎 Amazon この先生テレビに何度も出ていらっしゃるそうなんだけど、知りませんでした。テレビあんまり見ないので。 本屋さんで題名の面白さが目に入り、こういう生き物関係にのめりこむ先生方の本が好きなので、迷わず購入した。 いきなり関係ない話なんだけど、こういう先生方の本を読むと、本当に研究費に苦労されているのが共通していて、その苦労に頭が下がる。廃材やら100均グッズやらを工夫して何やかんやと手作りしてしまうみなさんに脱帽。自分の税金がこんな研究に使ってもらえたらどんなにいいだろう…

  • サスペンスかホラーかラストが楽しみな「ゲスト」

    韓国の古典怪談「箪笥」のハリウッドリメイク。オリジナルを見ていないので、比べることはできないが、あまり期待していなかった分面白かった。 ゲスト (字幕版) エミリー・ブラウニング Amazon 主人公のアナが精神病院から退院するところから始まる。彼女はかつて病気の母が火事で亡くなる場に遭遇し、病んでしまって入院していた。 迎えに来た父と共にご機嫌で帰宅したアナだったが、家には母の看護師だったレイチェルが父の恋人として暮らしていた。姉のアレックスはレイチェルを嫌いヤサグレ気味。 それでも新しい暮らしに馴染もうとするアナだったが、気味の悪い亡霊を見るようになる。もしや母?母は何かを伝えたがっている…

  • 役者さんたちの迫力とリアルな不気味さに今みるとけっこう怖い「八つ墓村」

    何度か見たことがあって、すごい人たちが出演しているのは覚えてたけど、今回十数年ぶりに見て、双子の老婆の片方が市原悦子さんだと気づいて驚いた。なんか聞いたことあるぞこの婆さんの声と思ったら、そうだった。やっぱり違うわ、うまいわ。 八つ墓村 萩原健一 Amazon どうしても金田一シリーズの映画となると、市川監督作品のインパクトが強いので、やはり金田一探偵は石坂さん!と脳が認めたがらないが、今回改めて見ると渥美清の違和感のなさに驚く。逆にあの世界観の中に石坂金田一は合わない。 八つ墓村のストーリーは、ちょっと異質でタツヤという青年を中心に展開していく。身寄りがないと思っていたタツヤの元に、突然祖父…

  • ヨシタケさんの空想・妄想が楽しい「あるかしら書店」

    ヨシタケシンスケさんの本を初めて見たのは何かの展覧会だった。もちろん絵本がらみの展覧会だったと思うけど、なんてかわいらしい人物たち…と動揺してしまった。 なんで動揺したのかというと、この先この作者の本を買いあさりそうな自分が見えたから…。絵本好きだけど、この時期ちょっと絵本から離れていたので、知らないあいだにこんな方が登場していたなんて、と悔やんだ。 このあと どうしちゃおう 作者:シンスケ, ヨシタケ ブロンズ新社 Amazon この時売店でみたのは「このあとどうしちゃおう」男の子が亡くなったおじいちゃんの部屋で、一冊のノートを見つける。それはおじいちゃんが、自分が天国にいったあとの予定やら…

  • お待ちしてましたナイブズアウト続編「グラスオニオン」

    ナイブズアウトの続編を待ち望んでいたので、ワクワク状態の視聴。 「面白い」という感想も聞いていたので、早く見たかったのだが、年末からなかなか余裕の持てる2時間が作れなくて、先日ようやく鑑賞にこぎつけた。 写真ダニエル・クレイグ サイン入り サイン入り 8 x 10 Photo Amazon 個人的には前作よりも好きかも。アガサクリスティを彷彿とさせる設定で、孤島に集められたクセのある人物と呼び寄せた富豪、なぜか偶然的にそこに居合わせた名探偵。ミステリ好きにはもう垂涎ものです。 富豪役にエドワードノートンということで、絶対この人物は一筋なわではいかないな、と察しがつく。犯人であろうとなかろうと、…

  • いろんな意味で引っ越しが慎重になる日常系ミステリー「Iの悲劇」

    題名だけで、怪しい密室殺人の本格推理小説と勝手に思いこんでいた。実は日常系の連作短編小説でした。 Iの悲劇 (文春文庫) 作者:米澤 穂信 文藝春秋 Amazon 「Iの悲劇」の I は、Iターンのことで、6年前に廃村となった集落に、新しい住人を呼び込み村を甦らそうと試みたプロジェクト。 募集により、一人暮らしから家族まで新しい暮らしに希望を抱いた人たちが集まってくる。担当する役所の「甦り課」の万願寺さんという男性を軸に、物語は語られていく。 一見無事にスタートしたプロジェクトだったが、やがてそれぞれの移住者にさまざまな問題が発生する。 近隣トラブルのメジャーなものから始まって、行方不明になる…

  • 探検と怪奇現象を楽しめるタイトルに合わない贅沢B級ホラー「地下に潜む怪人」

    まるで少年探偵団の題名のようなタイトル。このタイトルを真に受けて地下にどんな怪人が潜んでいるんだと期待する人は見ない方がいい。特に怪人なんていないから。 地下に潜む怪人 [DVD] パーディタ・ウィークス Amazon B級ホラーとはいえ、原題が凝っていて意味が伝わらないというのもわかるけど、もうちょっとタイトルは考えた方がいいんじゃないかな。 地下にいるのは怪人というより、得たいの知れない数々の不気味な存在と怪奇現象。まず見た時、インディージョーンズホラー版だと思った。 イランの爆破寸前の遺跡に忍び込み、命がけで暗号を手に入れた考古学者のスカーレット。彼女はかなり強引なのめりこみ突っ走りタイ…

  • これぞアメリカ!の出来すぎストーリーカーアクション「アンビュランス」

    ザ・アメリカ映画!!を存分に楽しませてくれるマイケル・ベイ監督のカーアクション。 アンビュランス(字幕版) ジェイク・ギレンホール Amazon アフガンの帰還兵ウィルは、妻の病の莫大な治療費に奔走するが、どうしても集まらず、血のつながらない兄ダニーに救いを求める。タイミングが良かったのか悪かったのか、ダニーは銀行強盗を計画していた。 仲間に加わるよう要求され、善人ウィルは始めは怒って断るものの、どうしてもほしい大金につられ苦慮した挙句、手を貸してしまう。 誰も傷つけず、段取りよく成功するはずだったが計画が狂い、ウィルとダニーは警察に追われ、通りがかった救急車を乗っ取り逃走することに。しかしそ…

  • 解かれないために作られた難解暗号ミステリー「敗北への凱旋」

    子供の頃、怪人四十面相で黄金髑髏の暗号に出会って以来、暗号ミステリーには目がないが、日本で最も難解な暗号の1つと言われているこちらの名作に挑んでみた。 敗北への凱旋 (創元推理文庫) 作者:連城 三紀彦 東京創元社 Amazon 挑むも何も、いつも暗号ミステリーを読んでもほぼ理解していないし、解いていく過程と、そんな暗号の作り方があったのか、と感心しながら面白がるのが快感なので、当然のことながらこちらの暗号もさっぱりだった。 3つに分散されて存在し、1つ1つを解くことで現れてくる回答を、さらに寄せ集めることで作られた文が、また暗号になっているという凄まじいもので、解けないのが当たり前だろうとい…

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