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2018/12/24

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  • 「鈴木陽美処女歌集『スピーチ・バルーン』(ながらみ書房・2018年)」を捲る(其のⅡ)

    〇 鎮もれるルネ・マグリットの絵をかけてふしぎな夢をみたい月の夜〇 双六に似る地下鉄の路線図を五つ進んで乗換えしたり〇 測量士のはたらくそばを通るときわれはつかのま黒猫になる〇 たっぷりと雨の雫をはらみたる形とおもう「霽(はれる)」の文字は〇 束ねたる反故紙で切りし指の傷傘さすときにぴりんと痛む〇 たんぽぽの綿毛残らず風に飛び<負ける勇気>をおもう日曜〇 近づけばわがた...

  • 「鈴木陽美処女歌集『スピーチ・バルーン』(ながらみ書房・2018年)」を捲る(其のⅠ)

    〇 相性が悪かったのだ 糸偏は吉を選ばず冬を選んで〇 明け方の夢のおわりはあるようなないような虹の脚に似ていて〇 熱き風吹いているらむマティスの絵の開けっ放しの扉の向こう〇 「いまどこに?」「天神裏の珈琲屋」きみと重ねるスピーチ・バルーン〇 右舷から吹く風はらむ帆が立てりどこにも行かぬボトルシップに〇 後ろからアシスタントの現れて前後左右の髪乾きゆく〇 うすものを纏うが...

  • 「山中律雄第五歌集『淡黄』(現代短歌社・2022年)」を読む

    〇 大きなる鯉のあふりにたゆたへる水の濁りはしばしにて澄む〇 大なゐにさきがけて鳴るケータイはよそ事思ふことを宥さず〇 おのずから窪みにみづは集まりて秋の干潟にひかりを返す〇 海上に雲去りゆきてはつ夏の風吹く街は空軽くなる〇 貨車過ぎてふたたびわれのめぐりには春のあめ降るやさしき音す〇 カーテンを閉ざして高さうしなへる高層二十二階に眠る〇 繰りかへし池の面を打つ噴水が五...

  • 「稀覯本『短歌 現代短歌のすべて そして、ピープル』」の記事より(其の1)

    山本健吉著『現代短歌 三十年の証明』 私はここに、ちょっとさしはさんで言いたいことがある。 それは、日本にはまだこれまで一冊の詩華集<アンソロジー>が編まれていないというの怠慢についてである。 あれほどやかましく国民文学について言われながら、 誰ひとり詞華集の編纂について発言した人がないのだ。 記・紀・万葉以来の詩歌を、本当に国民のもの...

  • 『短歌 現代短歌のすべて そして、ピープル』(総合雑誌『短歌』昭和五十二年七月臨時増刊号)

    「『短歌 現代短歌のすべて そして、ピープル』いうB4版の大型短歌雑誌が、「(総合雑誌『短歌』昭和五十二年七月臨時増刊号)」として角川書店から発売されたのは、今から五十五年前の七月十五日である。. その当時の私は、神奈川県内の高校の国語教師であったが、毎月、月決めで購入していた雑誌の一つが「角川『短歌』」であったから、勤務校に出入りしている横浜市内のある書籍販売店の外交員の方から薦められるままに、こ...

  • 今日の一首

    〇 土蔵から黴の生えたる写し絵を掘り出してきて魅せゐる爺様〇 風涼し今は何処に向かはむか!行くさき孰れ冥途にあれど ...

  • 古雑誌を読む(『短歌』2022年6月号)

    〇 理科室へ続く廊下が長くって赤い消火器目印にする (和歌山県)中尾加代 題詠部門の「大賞」受賞作である。 一首の意は、「娘の学校の理科室へと続く廊下はあまりにも長いから、私は、その途中にある赤い消火器を目印にして行くのである」といったところでありましょうが、三句目の「長くって」は、苦肉の策と思しき五音である。 更に言うならば、「理科室へ続く廊下が長くって」という、凡そ韻律らしきものが感じられ...

  • 古雑誌を読む(『短歌』2022年6月号)

    〇 まだ少しこの世を覚えている祖母は友理子と私を母の名で呼ぶ (東京都)野田鮎子 病床にふしてい...

  • 古雑誌を読む(『短歌』2022年6月号)

    〇 鋭角に燃ゆる藁火に初鰹焼いて待ちおり久しき悪友(とも)を 篠崎俊二 神奈川県厚木市在住の篠崎俊二氏の傑作であり、題詠部門の都道府県賞(神奈川県)を受賞した作品である。 「鋭角に燃ゆる藁火に」という、歌い出しの二句の着眼点が宜しく、真に適切を得た表現である。 作者の篠崎氏の職場は、厚木市の在の神奈川県愛甲郡清川村とお聞きしておりますから、おそらくは「藁火」で以て「初鰹」を実際に焼いてみた経験...

  • 今日の朝詠み(まほろばの島)

    〇 「久々に草刈機など振り回し疲労困憊気味」とのMALE〇 四時半に布団抜け出し草刈に専念せむとすれども眠し〇 爺様に睡魔が襲う早朝のブログ更新とても不可能〇 足腰に痛みが生じ往生す老齢なれば足取り重し〇 在庫から選出したる写し絵は海霧湧きて沈む粟島〇 貨物船「BARI GOLD」停泊中、在来船だがパナマ船籍?〇 特攻の訓練基地の在ったのは荘内半島香田集落〇 海霧もすっかり...

  • 「鶴田伊津第二歌集『夜のボート』(六花書林・2017年)」を読む(其のⅦ)

    〇 ゆうぐれに開くというを教えたりオシロイパナに指を染めつつ〇 ゆっくりとさよならをするアメンボにれんげに雲に広い背中に〇 茹で蛸をずんだずんだと切りながらゆうぐれという半端を端折る〇 ゆびさきのよろこびゆびはくりかえし味わうポン・デ・リングちぎりて〇 ゆるみたる微熱のからだ横たえて子の弾くハノン遠く聞きいる〇 夜毎夜毎しずかに編まれゆくものか夢の被りしくさかんむりは〇 ...

  • 「鶴田伊津第二歌集『夜のボート』(六花書林・2017年)」を読む(其のⅥ)

    〇 まお・こはる・ゆい・はるな・ひより 子の友に「子」の字のつきし名を持つ子なし〇 また夏は来る くるけれどこの夏のたった一度を文箱に仕舞う〇 まだわれの受け止められるかなしみもあるのだ夜泣きの子を抱きしめて〇 ママ友というはおらねど『綾野剛写真集』貸してくるるひとある〇 真夜中に眼鏡売りきて電燈のわずかな揺れを指し示しおり〇 「みおちゃんママ」などと呼ばれて手を振りしわれ...

  • 「鶴田伊津第二歌集『夜のボート』(六花書林・2017年)」を読む(其のⅤ)

    〇 葉桜を新緑と言いかえている四月しずかな朝のひかりよ〇 走りゆくものの背中を追うたびに脱皮ののちの蛇を思えり〇 はじめての子の前まわり鉄棒の鉄の匂いをてのひらに込め〇 外れゆく星の軌跡のそのままに黒鍵のみの音をつらねる〇 離れればたちまち淡くなりてゆく水溶性の愛を淋しむ〇 春浅き付箋だらけの子の辞書がことばこぼさぬように立ちおり〇 一通り叱りし後も止められず怒りは昨日...

  • 「鶴田伊津第二歌集『夜のボート』(六花書林・2017年)」を読む(其のⅣ)

    〇 足し算の生を紡ぎている吾子をわがちちははは何枚も撮る〇 旅人算ノートに途中まで解かれ地球のどこかが凍えておりぬ〇 抱くという円環を子と結ぶ日々 先に離すはあなたであろう〇 だんだんとだいたんになるかんのうはくるしきまでにひと恋えという〇 躊躇なく「いや」と言い切る三歳を叱ることにも疲れてしまう〇 鎮痛剤抗生剤と『蓼喰ふ虫』並べておきぬ夜半の目覚めに〇 ていねいにはな...

  • 「山川藍処女歌集『いらっしゃい』(角川文化振興財団・2018年.)」を読む(其のⅦ)

    〇 待ち合わせ場所は北条早雲の像この人は誰なんだろう〇 無職歴ベテランの兄新米のわたしと家の猫を取り合う〇 目が覚めてもうおしまいの夜半なれば無職の兄とゾンビ映画を〇 目を閉じてしまいあぶない階段でむずかしいこと言わんといてよ〇 もういちど始めるできるこんにちは生きて帰ってきた女の子〇 もう好きじゃないなと言えばじゃあ嫌いなのかと聞いてくる人滅べ〇 痩せたこと一度もない...

  • 「山川藍処女歌集『いらっしゃい』(角川文化振興財団・2018年.)」を読む(其のⅥ)

    〇 母親はフェリスを出てはおりますがオトコという語をカタカナで言う〇 母の声刺さらぬように身を低くしつつご飯がそれでもうまい〇 羽虫減りハエトリグモが五ミリほど大きくなっており秋の昼〇 判読はほぼできないがとても良い人だとわかる連絡ノート〇 非正規の人にも届くボーナスのお知らせだけでボーナスはない〇 人前で大声出してキレる人一〇〇パーセントおじいさんです〇 日の丸の旗を...

  • 「山川藍処女歌集『いらっしゃい』(角川文化振興財団・2018年.)」を読む(其のⅤ)

    〇 七年(ななとせ)を勤めて今日が最後だと言って廃棄のケーキをもらう〇 何かせねば何かせねばとつぎつぎとYahoo!知恵袋を開きゆく〇 なんだあのカップル十五分もおる「あーん」じゃないよ あとで真似しよ〇 日曜の接遇マナー研修の懇親会のビンゴで一位〇 猫が餌ねだりに来たでもう朝だ大人の不眠は本当に夜が明ける〇 ねこたちが居間でうろうろアドベンチャー ピアノに乗ってさらに欄間へ〇 ...

  • 「山川藍処女歌集『いらっしゃい』(角川文化振興財団・2018年.)」を読む(其のⅣ)

    〇 退職の一日前に胸元のペンをとられるさようならペン〇 退職の存じ上げない方からのお菓子をもらう「樹齢千年」〇 タマネギとダイコンキャベツ熱すればみな透きとおる美しきもの〇 大根でガラスの破片あつめたりその大根は燃えるごみなり〇 大根ともっと仲良くできたらと思う炒めたりしないまま 〇 誰からも怒られたくはなくて行く文房具屋のはさみコーナー 〇 地下鉄を待って二列でうつむ...

  • 「山川藍処女歌集『いらっしゃい』(角川文化振興財団・2018年.)」を読む(其のⅢ)

    〇 才能のない人はいてそれはもう生き方だろう近づかないで〇 細胞よ全部忘れろ入れ替われ短い爪で頭を洗う〇 叫び声が台所からする兄だゴキブリ見たな 働きなさい〇 去る人がひとりひとりに置いていくアドレスの無いやさしい手紙〇 仕事いま三つしてると言えば皆「何を」も「なぜ」も聞かずに黙る〇 下ばかり見て帰り来しそのままに開ける冷蔵庫の野菜室〇 しにたいと言う後輩につきあって二...

  • 「鶴田伊津処女歌集『百年の眠り』(六歌書林・2007年)」を読む(其のⅤ)

    〇 まだ外に世界があると思い出すきみの上着の夜気の匂いに〇 まだ小さきけものの吾子は甘噛みを覚ゆふふんと笑いを含み〇 水満ちてわらう地球の我の上 るななるなるな月はうたえり〇 水を産む夏の身体を陽にさらすたった一人を憶うは難し〇 身の内に子を浮かべたる女らに囲まれ我は沙羅の木になる 〇 もたれれば障子のように頼りなきものかもしれず父という人〇 問診は水の言葉で続けられ性...

  • 「鶴田伊津処女歌集『百年の眠り』(六歌書林・2007年)」を読む(其のⅣ)

    〇 葉桜となりて心はおちつきぬ からだに季(とき)をめぐらせながら〇 ハッサクにずんと爪立て傷つけしものの香気に清められおり〇 離れればたちまち淡くなりてゆく水溶性の愛を淋しむ〇 はるかはるかそらのかがみにうつるのはだれもさわれぬひとりのわたし〇 ひたすらに求められたる恍惚に発酵し始む母性というは〇 百年の眠りがほしい誰からも傷つけられず傷つけもせず〇 ヒヤシンスの根の...

  • 「鶴田伊津処女歌集『百年の眠り』(六歌書林・2007年)」を読む(其のⅢ)

    〇 細胞の分裂の音聞きながら夏の木々より我は艶めく〇 人生を寂しい水と思うとき余生を生きている心地する〇 スカートの裾いっぱいの歩幅もて勝どき橋の夕暮れをゆく〇 スズランの花の萎れし部屋に帰りただかなしいというをかなしむ〇 せいよくはふいにきざしぬさくさくとハクサイの浅漬け食みおれば〇 抱き合えばさざなみの立つ身体持つ我ら水から生まれしものは〇 たんたんとすぎゆくときに...

  • 「鶴田伊津処女歌集『百年の眠り』(六歌書林・2007年)」を読む(其のⅡ)

    〇 かなうなら琥珀に眠る虫のごと三千万年貫く思い〇 変わらないものなどないという君の言葉に蜂は羽音ひびかす〇 感官をひらきてわれは蝉よりも声を限りに鳴かねばならぬ〇 木が我を抱くのか我が木を抱くかわからぬままに安らぐ身体〇 きみという窓から外をみていたか言問橋をひとりで渡る〇 君の背にひかりのかけら集めれば古代大陸浮かび上がれり〇 君の名をつぶやくたびに胸のなか繰り返さ...

  • 「鶴田伊津処女歌集『百年の眠り』(六歌書林・2007年)」を読む(其のⅠ)

    〇 ああそうかわたしは泣きたかったのだ 布団ふわりと子にかけやりつ〇 愛し合う姿は時に滑稽でトンボ連なり飛びゆく真昼〇 朝起きてすぐに告げたきことばあり夏草の生む水の清さで〇 あと何度後悔すれば薄荷糖なめたるようにすんとするのか〇 会わぬ日の続いて我はユリノキのようにまっすぐ背中を伸ばす〇 いつまでも〈われ〉と〈わたし〉がつながらず蝕まれたる薔薇の葉ちぎる〇 「生まれる...

  • 粟島在住の友への手紙

    「瀬戸内国際芸術祭2022」の「秋会期」が華々しく行われているご様子ですが、先ずはおめでとうございます。 先日、たまたま目にした民放テレビの関係番組に登場したある中年男性のお話に依りますと、「今会期の目玉は粟島での展示 」との事でありました。 また、インターネットで検索したところ、「<瀬戸内国際芸術祭2022>の<秋会期(9月29日~11月6日)>の舞台となる粟島、そして粟島の周辺(三豊市エリア)には、1日では...

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