★取材レポート★<漱石の名作を視覚で支えた若き芸術家>夏目漱石の代表作『吾輩ハ猫デアル』が刊行された当時、「たとえ売れなくても、美しい本を作りたい」という漱石の願いに応えたのが、画家・橋口五葉でした。五葉は、まだ「ブックデザイン」という言葉すらなかった時代に、大胆な発想と美意識で装幀を手がけ、日本の近代装幀史に残る名作を生み出しました。■第1章展示風景五葉は漱石と、水彩画の絵葉書を通じて交流を深めた間柄で、互いに美術への深い関心を持っていました。漱石の処女作である『吾輩ハ猫デアル』は、五葉にとっても装幀家としての第一歩となった作品です。■第1章展示風景ジャケット(カバー)、表紙、天金、アンカット(無裁断本)と、従来にはないデザインで仕上げられた一冊は、猫の活躍と相まって評判を呼び、重版を重ねていきました。...漱石文学を包んだ美のデザイン