「死の虫ツツガムシ病との闘い」小林照幸(中公文庫)医療系というか、未知の病の解明と対策、そして薬の開発を追う系の作品を多く手掛ける著者。ただ、自分は「死の貝日本住血吸虫症との闘い」に続いて(まだ)2作目の読み終わり。死の貝と同じく、日本のとある地方に古くからある、農業を営む人々たちに恐れられていた、とある虫を媒体とした死に至る病。死の貝と同じく、祈祷などに頼るしかない時代から、医学の進歩による原因の究明、治療薬の開発までを今回も丁寧にたどる。丁寧にたどるゆえに、(控え目な表現で)半分くらいまでは、命名権をはじめとした死の虫の周辺、関連にまつわる話が続く。死の貝もそれなりにあったが、本作はなかなか本筋というか、取り上げる病そのものの話が進まず、「んん?」とはなる。が、後半の「昭和の時代<戦後>」に至り、それ...読書のよもやま(2025.03.31)