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りおりお
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2017/11/17

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  • 53

    沈黙が流れる中、シリウスが息を吐いた。「アーサーには改めて感謝する。 これで王妃と宰相の内情は分かった。 結婚前から愛情があったとしても、兄上が二人の子供だったとしても、それでも陛下を殺そうと画策した事は許される事ではない。 しかも兄上を出産後も宰相との関係を続け三人も妊娠し内密に堕胎している。 これは決してあってはならない事だ。 その上、兄上が愛してやまないビアンカにも危害を加えようとしている。...

  • 52

    食後、類は与えられた部屋でシャワーを浴びた。そこには小さなバスタブも有りお湯を張る事も出来る。(類:元の世界と何ら遜色も無い。 部屋もスイッチ一つで電気がつく。 便利な生活の裏ではドロドロとした王位争い。 しかも身内が暗躍している。 大変だな。 元の世界でもスパイが暗躍したりランサムウエアを仕込まれ情報を抜かれたりいろいろだけど、それでも親族間での暗殺行為はない。 シリウスもこの先心許せる相手とは...

  • 51

    類とつくしと侍女は薬師の元へ向かった。室内には乾燥中の薬草がぶら下げられている。それにパッと目を通すが毒を持っている物はなさそうだ。「これはマキノ様。」「どうですか? 傷薬は作れていますか?」「はい。 ご指摘いただいた通りの分量で作っています。 今までと粘り気が違うのに驚かされています。」つくしは製造途中の傷薬を見る。すぐに分量が目の前に表示され、それは自分が作っていた物と変わりない事にホッとする...

  • 50

    類はスッと歩を進め、「失礼します。」と言いながらつくしの頭上を手で払う。(つ:何? 何をやってるの?)「何をしているのです!」王妃の苛立つ声が室内に響き、類はサッと直立し告げる。「上から大きな埃が落ちてくるのが見えましたので払っておりました。」つくしはハッと手元のカップを見る。確かに大きな埃が浮かんでいる。(つ:いつの間に? どうやって入れたの?)つくしが驚きを見せる中、類は平然と告げる。「王妃様...

  • 49

    つくしの部屋では、いつの間にか類を中心に作戦会議が始まっている。「まず王妃の周辺を洗い出す必要がある。 既にやっていると思うけど手こずっているんじゃない?」「そうだ。 医師が毎日診察をし薬を手配しているが、医師、薬師、付き添いの侍女の誰が毒を手配しているのか分からない。 王妃は草花に詳しいが王宮内で自分で薬を作っているとは思えない。 薬師の素性を調べたが王妃の血縁者はいなかった。」「だろうな。 つ...

  • 48

    つくしの私室のテーブルに四人が着く。ブランシュ騎士団長はシリウスの背後で立っていたのだが、それだと話しを聞き漏らす可能性があるという事で席に着かせた。「まずシリウス殿下に改めてお礼を言わせてください。 類を王宮に、あたしの元に連れて来てくれてありがとうございます。」「お礼を言われるほどではないし、すぐに村へ帰すと約束したのを破ったのは私だからな。 これは折衷案という事にしておこう。」「それでも嬉し...

  • 47

    二人掛けの丸テーブルへ移動したつくしとビアンカ。そのビアンカの姿を見た時につくしの頭にピコンと情報が入る。(つ:ポリタギリス? 避妊に効くけど飲み続けると子供が出来ない体になる? どういう事?)つくしは困惑しながらもまずは会話を試みる事にする。侍女が紅茶とクッキーをテーブルの上に置き少し離れたところで待機したところでビアンカが話し始めた。「マキノ様を誤解していました。 殿下から側室の話を聞いた時、...

  • 46

    類の言葉にシリウスは納得するものがある。ずっと兄を支えようと思っていた。自分が王位を目指せば貴族は二手に分かれ国は混乱する。それを避けたかったが、既に父上は毒殺されかけ自分もドラゴン討伐という命の危険にさらされた。全て兄上の周囲の者達が起こしている。兄上が王位に就けばその人達が大手を振って更に好き勝手する事が目に見えている。シリウスはギュッと拳を握る。「確かにその通りだ。 今まで兄上が王位につき私...

  • 45

    シリウスとつくしは陛下の部屋を出た後、リチャードの側近に呼び止められた。「マキノ様。 ここにおられましたか。」「はい。 陛下の病状が少しでも改善できないかと薬草茶を作ったのですが、あまり召し上がられませんでした。 治癒魔法も効果が無く力不足を感じていたところです。」シリウスの手にはバスケットがある。不自然にならないよう答えたつもりだ。「そうですか。 あまりお気を落とされませぬように。 怪我を治癒す...

  • 44

    訓練場は静まり返っている。そんな中、騎士団長は威圧感タップリの声を発した。「行くぞ。」「はい。」類は初めて手にする木剣をギュッと握る。剣を模した木製の剣は滑りやすい。視線は騎士団長に向けたまま膝を曲げ何時でも飛び込める体勢を取る。互いに見合ったまま数分が立ったところで、二人は同時に飛び込んだ。ガキッ木と木が激しくぶつかった音が響く中、二人は一歩も引かず睨み合っている。(類:重い。 一瞬でも間合いが...

  • 43

    類は昼前に王都の門に到着した。そこには衛兵がおり、通行証と荷物をチェックしている。(類:隣国からの間者を王都に入れないというつもりだろうが、通行証などいくらでも偽造できる。 俺のように付き添いでも中に入れるんだからザルだ。 それよりも身分階級を意識づける意味合いが大きいような気がする。 農民と王都民との違いを分からせるような? それにここに来てやたら人の声が耳に入ってくる。 元々よく聞こえていたが...

  • 42

    シリウスはつくしと部屋に入る。部屋には侍女も待機しており二人っきりではない。「遅い時間になったな。 申し訳ない。」「とんでもないです。 思ったんですけどリチャード殿下は何も知らないようですね。」「あぁ、私もそう感じた。 その点はホッとしている。」(つ:そりゃぁ兄として信頼しているもんね。 陛下を亡き者にしようとしている人達に加担していたらやりきれないよ。)「明日の朝から薬草園へ行きたいので薬師の手...

  • 41

    陛下はクックッと笑った後、シリウスに視線を向ける。「振られたぞ?」「元々、恋愛感情はありません。」シリウスは即座に答える。「そう言う事にしておこう。 それで私に毒を盛ったであろう人物には一人だけ心当たりがある。 王妃であるカサンドラだ。」「えっ!」シリウスと近衛騎士達は驚く。(つ:何となくそんな気がした。 リチャード殿下を王様にしたいという理由なんだろうけど、それならシリウス殿下を殺害しない? な...

  • 40

    類は町と王都の中間付近にある街に到着し、商会が経営している宿に泊まった。一階には荷馬車を置く場所があり、馬も馬舎で休ませることができる。何より建物の門を閉ざしてくれる為、荷物の見張りをする事が無くゆっくり休める。類とヘンリーは宿屋の食堂で食事を済ませると部屋へ上がる。そこにはシャワーはもちろんタオルまで備わっていた。「これ、、、」「あぁ、タオルを見るのは初めてか? 凄く良いんだよ。 布とは違って水...

  • 39

    つくしが目覚めると、すぐに食事が運ばれた。スープにサンドイッチと果物だ。「どれぐらい寝ていましたか?」「3時間ほどでしょうか? 少しでもお召し上がりくださいませ。」「ありがとうございます。」つくしは遠慮なく頂く。とにかくお腹が空いている。そしてスープとサンドイッチを完食し、果物に手を伸ばした頃にシリウスが入ってきた。「体の調子はどうだ?」「だいぶマシです。」「それは良かった。 食べながらでいいから...

  • 38

    つくしはぐるりと周囲を見渡す。まだまだ怪我人が横たわっている。それを見て見ぬふりは出来ない。「あの。 他の方達の治療は?」「あぁ、もう良い。 薬を塗っておけばそのうち治るだろう。」「えっ? でも、、、」宰相の言葉につくしは戸惑う。(つ:確かに軽い怪我の人はそれで良いけど、明らかに深い傷を負った人もいる。 あたしは不思議な力が少し使えるだけだけど、それでもこの人たちを見て見ぬふりは出来ない。)つくし...

  • 37

    類は早朝からずっと走り続けた。それは同行しているハンターも同じだ。途中、小川で水を飲んだものの食事はしていない。とりあえず危険な森を抜ける事だけを考えていた。だが魔物とは一度も遭遇しなかった。「こんな事は今までで初めてだ。」「あぁ。 ハギ―の一匹も出なかったな。」そう告げるハンター達だがスムーズに森を抜ける事が出来て安堵していた。ただ町は至る所に魔物の爪痕があり建物が崩れている場所が多数あった。「...

  • 36

    翌朝、つくしは白いストンとした足首までの長さのワンピースが用意され、それを着た。(つ:なんだかんだで第二王子はきちんと話を聞いてくれる人のようで良かった。 でもこれって小説で言う所の聖女様が着る服なんじゃない? まあ昨日のドレスよりはマシかな? それよりも類は眠れただろうか? 今日には帰れると良いんだけど。)侍女に促され朝食会場へ行くと、そこにはリチャード第一王子とシリウス第二王子が着席していた。...

  • 35

    第一王子の近衛騎士と魔法師はデイジー村に転移魔法で訪れた。そしてギルド商会へ向かう。「こちらにマキノの夫がいるはずだが、家はどこだ?」「マキノの夫ですか? 彼なら私たちの制止を無視してマキノを追いかけるように森へ入りました。」「森へ?」「えぇ。 マキノとの同行を拒まれましたが、どうしても心配だと言ってね。 私たちが止めるのも聞かず直ぐに森へ入りました。 ご存知の通りこの村から王都へ向かうには森を抜...

  • 34

    つくしの元にシリウス第二王子がやってきた。「待たせたな。 先ほどまで兄上と魔法師、騎士達との話し合いが行われていたんだが、マキノの提案した魔石の再利用に関しては魔法師に委ねた。 もちろんこれに関しては魔法師と魔道具師に頑張ってもらわなければならないからな。」つくしはホッとする。(つ:良かった。 あたしの意見に耳を傾けて貰った。)「ただ魔石についてはまだまだ必要だ。 あなたの住んでいる村まで魔道具が...

  • 33

    類がハンター達と共に村を出た後、商会長が村人に告げる。「あの状況でマキノをこの村に留めておくのは無理だった。 それにきっとマキノは帰してくれないだろう。 あれほど効能の高い薬を作れる人物だし、ドラゴンの傷すらも治せたんだからな。 そしてマキノの伴侶であるルイを殺しに来るだろう。 マキノがこの村に帰りたい理由は愛する夫がいるからだ。 その夫を殺せば後は好きに出来る。 それこそ王子の側室とかな。」「あ...

  • 32

    つくしは侍女に連れられて大きな扉の前まで歩く。侍女がドアをノックし開くと同時に、中の人達の視線が一斉につくしに集まった。「「「ほう、、、」」」何とも言えない声がした後、侍女に促されつくしは中に入った。両側には沢山の男性が並び立っている。その中にはドラゴン退治に来ていた騎士や魔法師の姿もある。そして前方には5段ほど登った先に立派な椅子に座った若い男性がいる。その隣には年配の男性が立っている。(つ:若...

  • 31

    魔法陣を抜けると、そこは綺麗な庭が見えた。その先に大きく綺麗な建物がある。背後は高い壁になっている。「どこ?」「王宮だ。」王子がそれだけ告げると直ぐに庭を抜け王宮内へ入り侍女を呼び指示を出す。つくしはボーと王宮内を見る。天井にはシャンデリアがありエントランスもものすごく広い。(つ:電気がある?)「マキノ。 この侍女について行け。」「えっ? 説明は?」「先に着替えてからだ。 その姿では謁見できない。...

  • 30

    ドラゴンが飛び立ち魔物が森へ帰り、村には騎士達や魔法師達と村人だけが残った。もちろんほとんどの人がつくしの行動を目にしている。騎士達の前に立っていた若い男性の姿に我に返った商会長がポツリと呟く。「第二王子殿下?」その一言で、若者がこの国の王子だと分かった。(類:王子? そんな人物に対し、牧野は普通の言葉で異論を唱えたが、これって不敬に当たらないか?)(つ:王子? そんな凄い人物がドラゴン退治に参加...

  • 29

    つくしはギルド商会の屋上から下を見ていた。数匹の中型の魔物と対峙しているハンターとカルロと類。その類の剣裁きは圧巻だ。スパッと硬い皮膚を切り裂いている。そして手こずっているハンターの元へ行くと、再び剣を振るっていた。そんな中、怪我を負うハンターもいる。「手当に向かいます。」つくしは黙ってみていられず屋上から一階へ降りる。そして傷薬や包帯等を持ち外に出た。腕や足に深手を負ったハンターは立ち上がる事が...

  • 28

    「もう。 寝坊したじゃない。」「ごめん。 ちょっと張り切り過ぎた。」つくしは起きてびっくりだ。既に太陽が高くなっていた。もちろん理由は分かっている。昨夜の甘いひと時が思いのほか長時間だったからだ。(つ:そりゃぁね、あたしだって嬉しかったよ? 二日目って事も有り最初っから痛みは無かったし、充分類を感じられたし、翻弄されたし、、、気持ち良かったし///。 でもちょっと張り切りすぎって違うでしょ? かなり...

  • 27

    朝食後、二人は傷薬と魔物除けのお香づくりを始める。「牧野。 こっちの薬草はこれくらいの乾燥で粉にしても良い?」「あっ/// うん///」「これはこのくらいで良い? もっと細かくする?」「もう少し細かくして?」「了解。」つくしはずっと椅子に座ったままで、類が薬草や道具を持ってきたりと動いている。というのも目覚めた時につくしの足に力が入らなかったからだ。「ごめん。 張り切り過ぎた。」と申し訳なさそうに、それ...

  • 26

    アレッタの店へ向かった二人。二人は照れた表情でアレッタに揃いの指輪を見せる。「もっと早く指輪を買うべきだったんですが。」「良かったねぇ。 良く似合ってるよ。」アレッタは魔物が襲ってくるかもしれないという情報に恐々した気持ちでいたが、類とつくしからお揃いの指輪を見せられホッコリした気分になる。「ドラゴン討伐が終わればどこかで結婚式をあげたいんですが。」「この村には教会の代りに十字架の塔が立っているだ...

  • 25

    商会から連絡があり、二人は急いでギルド商会へ向かった。「どうやら隣国は魔物一掃作戦に出たようだ。 というのも隣国では高ランクの魔物が村を襲ったらしい。 つまり魔物の数が増えた、或いはドラゴンが襲わせたと考えている。 当然、住処を失った魔物はこの国へ移動することになり、この国も討伐作戦に踏み切る事にしたそうだ。 ドラゴンが飛来した事で王都を攻撃する意思があると思われたみたいだな。」「という事はまだこ...

  • 24

    商会長が指で叩いた山は森の中心にある。当然山の麓は高ランクの魔物が住んでいるだろう。類は商会長に問う。「ドラゴンは普通どの辺を飛行しているんですか?」「山周辺だ。 森から出たことは無い。」「王宮付近からの情報は手に入りますか?」「あぁ、王宮付近の商会に確認できるがどうしてだ?」「これはあくまでも仮説ですが、この山は隣国と接しています。 ドラゴンを退治するために隣国が派兵し、それに怒ったドラゴンがこ...

  • 23

    「牧野の夢は叶った?」「えっ?」つくしはパッと顔をあげる。(つ:あたしの夢は半分叶ってると思う。 イケメンじゃなくても良いから優しくて頼りがいがあり自分だけを好きになってくれる人と田舎のような緑豊かな場所でのんびりと、、、だったから。 最初はイケメンすぎる類は単なる同士という考えだったけど、一緒に過ごすうちに類の良さをたくさん知った。 容姿だけじゃなく気遣ってくれるし優しいし物知りだし怪我をしても...

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