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  • 「本と歩く人」 カルステン・ヘン

    「本と歩く人」(カルステン・ヘン著2025年6月白水社247p)を読みました。「本と歩く人」とは「本の配達人」のことです。ドイツには本当に本を配達する書店員がいるらしくそれを聞いたヘンはあえて取材をせずにこの作品を書いた。配達人はカールいつも勤め先の書店を退勤する時に本を配達している先代の時代からずっと。でもあとを継いだ先代の娘は配達を止めさせようとしていた。カールを待っているお得意さまは「閉じ込められている」人たちだ。夫に暴力を振るわれているエフィ本当は文字が読めないヘラクレス大きな屋敷にひとりで住んでいるダーシー修道院にひとりで住んでいるアマリリス工場の作業中に読み聞かせをする仕事をしている朗読者カール自身も書店と自分の家を結ぶルートの中に閉じ込められているのかもしれない。そこにシャシャという少女が現...「本と歩く人」カルステン・ヘン

  • 「棺桶も花もいらない」 朝倉かすみ

    「棺桶も花もいらない」(朝倉かすみ著2025年4月U-NEXT281p)を読みました。短編集です。「ドトールにて」と「非常用持ち出し袋」が好きです。お題目はこの世にたくさんあるけれど噛み砕いて語っているひとは案外少ない。朝倉かすみはそれを語れるというよりは「見える」ひとなのだと思う。「非常用持ち出し袋」の芙美は中学生。アパートで父と母と弟の青龍(せいりゅう)と4人で暮らしている。芙美は勉強が得意ではない。でも体育や音楽、美術、家庭科は得意だ。体育の集団行動などはピシッとやれて皆の前で見本をやったりする。父が腰を痛めて仕事を辞めて芙美の家はなかなか困っている。だから芙美は祖母の勤めている工場から内職を貰ってやっている。箱の組み立てなどだが芙美は工夫を凝らして手早く綺麗に数をこなし月に一万円を得ている。半分は...「棺桶も花もいらない」朝倉かすみ

  • 「芭蕉はがまんできない」 関口尚

    「芭蕉はがまんできないおくのほそ道随行記」(関口尚著2025年4月集英社文庫431p)を読みました。芭蕉はおじいさんだと思っていたけれど「おくのほそ道」の時はまだ50前だったとは驚いた。(弟子たちに「翁」と呼ばせている)変な人なのだ芭蕉は。それが弟子の曾良の目を通して描かれる。芭蕉は矛盾に満ちている。そしてそれを隠しもしない。漂白の旅をしているつもりなのに宿はちゃんとしたところでないと絶対に嫌。組織として一派を立てるなんて煩わしいと言いながらもちやほやされたり褒められることが大好き。あんまり丈夫ではないのにがりがりと先を急いでみたり(結構健脚)孤独を好むと言いながら寂しがり屋だったり旅先で出会った「人」に惚れ込んだり……読みどころは芭蕉の「改作」ぽろっと出来た句をなおす。そのなおしたものが素晴らしい。改作...「芭蕉はがまんできない」関口尚

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