桜の茶会が終わると宗家は茶会以外の行事で大忙しだった。まずは光翔の小学校入学で、英徳小学部の制服を着た光翔を囲み、庭の桜の下で家族全員の記念撮影。この時も祐子の悪阻は酷くなく、孝三郎と共に入学式に出席することが出来た。建翔の面倒は志乃さんがみることになり、嬉しそうな顔の3人を乗せた西門の高級車が走り去るのを皆で見送った。英徳の制服は有名デザイナーのもので、カバンもランドセルじゃなく共通の通学バッグ...
花より男子の二次小説サイトになります。特に類と 総二郎が大好きですべてハッピーエンドなります。
読むだけでもの足らず、とうとう自分で書いてしまいました。自己満足の表現不足とは思いますが、楽しんでいただけたらと思います。
「ちょっとーーっ!真音、こっちにしなさいってば!」「牧野さん、大丈夫だから・・・」「つくしママ、まぁ君、これがいいってよ?」「ママ、ぼく、こえ~~~♪」「いやいや、わざわざ高いの買わなくていいからっ!」「牧野さんも付ければ?」「えっ///?!」あれだけ周囲を気にしていたのに、エントランス近くのショップではつくしの声が響いていた。何故なら美来と真音が3000円もするカチューシャを買おうとしていたから・・・流石...
キラッキラの生しらす丼をいただき、それには大満足♪私にしては超豪華、西門さんにしてはリーズナブルのその店を出たのは12時15分で、今から本格的な観光になった。とは言え、鎌倉の名所は殆どが寺。その中でも有名なお寺に行くことにしたんだけど、それが鶴岡八幡宮。鎌倉の中心に建つ神社で、源頼朝が鎌倉幕府を開いた時に建てられ、鶴岡八幡宮を中心に鎌倉の町が整備されたとかなんとか・・・私がその話に無言でいたら、西門さ...
ホームセンターを出たつくし達はすぐにレストランを探した。そして見付けたのはファミレスで、躊躇わずにそこに決めた。何故ならピューロランドの駐車場がなかなか入れないから・・・少し離れた場所に停める覚悟だったため、時間が惜しかったのだ。ただそのファミレスは少しばかり値段が高く、つくしは焦った。「結構高いなぁ・・・私、今日はそこまで余分がないんだけど。お土産代に使いたいし・・・」「心配しなくていいって。言っただろ...
「よし、こんなもので良いだろう・・・」俺が鋏を置いたのはあれから30分後。生け花が完成したので床の間に飾り、若干傾いていた掛け軸も真っ直ぐにしてやった。そして牧野のところに行こうと思ってキッチンに入ると・・・誰もいない。しかも伯母さんの声もしないし、シーンとしている。一体何処に行ったのかと不安になり、リビングに戻ったがそこにもいない。「牧野?・・・美津子伯母さん?」名前を呼んだが返事もなく、リビングを出て...
日曜日、つくしはいつも通りに起きたが、3人はなかなか起きてこない。だがそれを急かしたりはせず、自分の珈琲を淹れて静かに飲んでいた。その時に見ていたのは真音のクリスマス会の舞台の動画・・・本郷に頼んで、ビデオカメラの画像をスマホに転送してもらったのだ。これを類が見たら喜ぶだろうと思い、それを想像しながら眺めていた。『真音、頑張れーーっ!』『ちょっ、類ったら静かにしなきゃダメだよ///』『え?だって応援した...
西門さんの伯母さん・・・高嶋美津子さん。その人は家元夫人のお姉さんだけあって、2人はとてもよく似ていて美人だった。歳は50代後半らしいけど、着ている服はピンク、髪は茶髪、ピアスはダイヤ、化粧はバッチリ、スタイルは抜群・・・気持ちは私よりも若いんだと思った。そしてお金持ちの親戚はやっぱりお金持ち。この家も豪邸の部類に入るし、部屋も庭もだだっ広かった。とは言え私も西門家を知ってしまったので、そんなに驚きはし...
日曜日の朝、今日は真利愛を迎えに行く日だ。昨日までの重たい気分はすっかり消え、どこか浮かれた感じの類・・・初めて会う美央の伯母だが、話の様子からカジュアルな服装でも良いだろうと判断し、楽な物を選んだ。そしていつも通りにダイニングに行き、朝の珈琲を飲む・・・その時に加代が来たのだが、瞬間昨日の事を思い出して手が止まった。遙香が帰った事に油断して、あの御守りを手に持ったまま寝ていた・・・その時に加代が入って来...
よく判んないけど鎌倉に行く事になり、西門さんは荷物を取りに何処かに消えて行った。私には30分で支度しろって言い残して。「なによ、血相変えて・・・私、変な事言ったかな?」幸いここには可愛い服しかないから選ぶのには苦労しない。取り敢えず女の子らしくしようかと、ベージュのワイドパンツとピンクニットのミニ丈カーディガンに白シャツ。髪の毛はご飯に困らないポニーテールにして、メイクはいつもより少しピンクっぽく♪ア...
つくしと本郷が保育園に行くと、そこには沢山の保護者が集まっていた。当然だが友人はいない。だから2人はそっと端の方から中に入り、クリスマス会が行われる講堂に向かった。その途中にある子供たちの教室では、保育士が最後の説明をしているようで、子ども達の賑やかな声が廊下に漏れていた。その廊下の壁には沢山の飾りがしてあり、画用紙で作られたサンタやトナカイの切り絵もある。それに園児達が練習している写真も展示され...
俺の部屋で2人で食べただの、それが良かっただの、俺が厨房に行くまでずっと隣を歩きながら色々言ってくるお袋。それを完全無視してんのに、「牧野さんはどうしたの?」とか「今日は何するの?」とか・・・「牧野はまだ足が完全じゃねぇからさっさと部屋に返した。今日は庭を歩いてリハビリするそうだ」「そうなの?どこにも行かないの?」「・・・・・・・・・」「こんなに良いお天気なのに、お外に出たら・・・」「天気がいいから外で遊べって...
2024年 類くんお誕生日チャット会のお知らせ本年の類誕イベントは、都合により開催することが難しくなりました。・゚・(つД`)・゚・楽しみにしていて下さった皆様、大変申し訳ございません。その代わりと致しまして、team Rui主催のお誕生日チャット会を開催したいと思います。開催期間:3月29日 21時~ 3月30日 23時59分開催場所:LINE オープンチャット(開催時間まではパスワードがかかっております)メンバー...
遊びに来てすぐに叱られた真利愛だったが、障子を貼り終えた和代がその後はずっと笑っていたので機嫌を直し、彼女に懐くのも早かった。張り替えが終わると昼になり、この日は和代が作ってくれていたクリームシチューとベーコンときのこたっぷりの洋風炊き込みご飯。それを装うのが美央で、真利愛は台所に入る事も、母がそんな事をするのを初めて見るので不思議そうにしていた。「真利愛ちゃん、シチューは熱いからお母さんに飛び付...
朝飯だと言われてポカン・・・よく見ると部屋の真ん中のテーブルにこいつが持って来たと思われる盆が置かれていて、その上から俺の分をテーブルに移していた。何故それを牧野が持って来たのかと思って聞くと、「自分のを取りに行ったら時にあんたの分を運ぶって聞いたからだよ!」と怒りモード全開で睨まれた。だからついでにこいつが運んだらしいが、ノックしても返事がなかったから勝手に開けて入ったとのこと。それを聞いて慌てて...
「まぁ、よく来たわねぇ、美央」「伯母様、こんにちは!数日間、お世話になりますわ」「・・・・・・・・・・・・」日野の京極邸に着いた美央は、花沢家ではあまり見せたことがない明るい笑顔だった。それとは正反対に真利愛の方が緊張して美央の後ろに隠れ、怖々と玄関から出て来た老婦人を見ていた。京極和代は背の高い美央とは違い、小柄で細い女性だ。まだ62歳の和代は独身のせいか老けた印象はなく、髪だって茶色く染めてお洒落だった。...
すごく良い香りで目が覚めた日曜日・・・何だろうと思ったら、昨日西門さんにもらったライラックの花だ。ベッドのすぐ隣のテーブルに置いてたんだけど、それがここまで香ってたんだ・・・・・・お布団の中からそれを眺めたんだけど、目に入るのは5枚の花びらがあるラッキーライラック・・・でもそのうち枯れるんだろうと思ったら悲しくなった。どうにかして保管出来ないかと考えたけど、思い付くのは「押し花」くらい。「ライラックって押し花...
翌朝の朝食時、花沢家はいつもより緊張感があった。遙香にも真利愛にも変化はないが、類と美央の表情が硬すぎるのだ。加代にはすぐに判ったが、その理由までは判らない・・・とにかくピリピリした空気の中、ベテランの加代でさえ指先を震わせながら皿を置いた。そして当然会話などない。そんな中、真利愛だけが楽しそうにパンを頬張っていた。「かよしゃ~~~~ん」「は、はい!真利愛様、どうなさいました?」「こえ、もういっこ食...
「じゃあ稽古を始めようか」そう言われてキョトン・・・てか、それよりも私には頭が大混乱する出来事が!西門さんが私の指を舐めたーーーーーっ!!その時の感触と温度がまだ指に残ってて、そこが痛いんだから熱いんだか全然判んないっ///その指を右手でガッチリ掴んでるんだけど、もう恥ずかしくて恥ずかしくて耳まで熱いんだけど!しかもあんな事、普通に誰にでもやっちゃうの?って聞きたいけど聞けない!こんな気分でお稽古なんて...
その日の夜も遙香は何処かの会社役員との会食で帰宅は遅いとの事だった。先に自宅に戻ったのは類で、美央はソワソワしながら「夫」が食事を済ませて部屋に戻って来るのを待っていた。それは20時30分・・・真利愛はもう寝る時間だ。だが父を見ると眠たそうにしながらも類に近寄り、抱っこをせがむ。類は上着だけ脱いで美央にそれを渡し、真利愛を抱くとそのままソファーに座った。「ぱっぱ~~~、おかえり~~」「うん、ただいま...
頭からすっぽり布団被って・・・マジで体調が悪いのかと思ったが、それよりも昨日泣いていたって事の方が気になる。だからベッドの端に座ると、「顔出さねぇのか?」と声を掛けた。そうしたらもっと潜ったようで、布団が山のように・・・不登校の子供か?って行動に若干笑いが出たが。「ずっとそのままに出来ねぇだろ・・・頭、痛いのか?」「・・・・・・・・・・・・」「薬はあんのか?飯食えたようだから、ちゃんと飲んどけよ」「・・・・・・・・・・・・」「返...
遙香の部屋に入ると、「そこに座って」とソファーを手で示された。言われたとおりに美央が座ると、遙香はその対面に座る・・・美央の緊張は最高潮に達していた。少し酔いそうな部屋の香り。若夫婦の部屋とは違い全体的に暗めな家具と装飾品。ほんの少し乱れたベッドの上にはガウンが置いてあり、コートクロークには毛皮のコートが無造作に掛けられていた。普段使わないので必要最低限のものだけ・・・ローボードに家族写真があったが、何...
その怒声は土曜日のまだ薄暗い早朝、俺の頭上に落ちた。「ちょっと総二郎さんっ💢💢!!「ーーーーーっ!!」「いつまで寝てるの、起きなさい💢!!」「・・・・・・は?」俺はまだ布団の中で、何が起きたのかサッパリ・・・薄目を開けると真上に鬼婆がいて、今にも噛み付きそうなほど口をひん曲げ、目は見開き・・・それが自分の母親だと言うことに気がついたのは数秒後だった。いつまで寝てるのと言われて、時計を見ると5時半・・・なんの罰ゲーム...
月曜の朝、つくしは2人分の保育園グッズを確認するのに大忙しだった。新しい保育園は昼寝布団一式も必要だったので大荷物だ。それぞれの鞄にハンカチなどの小さなものから着替え・連絡帳まで、「あれ?何かが足りない!」と叫んでいるとき、本郷は2人の朝食の世話をしていた。「牧野さん、今日からこの子達、慣らし保育じゃないんだっけ?」「そうなんですよ、今日は16時まで預ける予定です・・・あ~~っ!美来ちゃんの歯ブラシ...
「ほれ、着いたぞ・・・本当にここでいいんだな?」「つまんな~~~い!もう降りるなんて~!」「「・・・・・・・・・・・・」」←後部座席西門さんが素の声でそう言うと、龍崎さんは超甘えた声で文句をタラタラ・・・てか、ここまで来るのに何度も同じ道を走らされたんだけどっ💢?!マジで車酔いするかと思ったじゃん!!どうして自宅に戻るのにあんなに迷うのよ💢!!右に行ったら左だといい、曲がったらもう1つ先の交差点だったと言い、通り過ぎ...
「ぱっぱ~~!ママ、おかえりなちゃい~~~♪」「お帰りなさいませ、類様、美央様」「真利愛、お利口にしてた?」「・・・・・・ただいま、真利愛ちゃん」自宅に戻ると出迎えてくれたのはニコニコ顔の真利愛と、同じく楽しそうな加代だった。類はスーツを着ていることも気にせず、飛び付いてきた娘を抱き上げ、頬にキス。その後ろで顔色の悪い美央の様子に気が付いた加代は、慌ててその側に向かった。そして身体を支えて「具合が悪うご...
グランドオープン特典のケーキ、俺の分は麻衣に譲ってやった。そうしたら仲悪そうだったのに2人でキャアキャア言いながら選び、運ばれて来たのは小さめのケーキ8個・・・・・・・・・って多くね?!「よく毎回それだけ食えるな・・・」「え~~~?だってふた口じゃん、こんなの」「牧野さん、痩せの大食いなんだね・・・」「ほ~~んと!その栄養、どこに消えてるんですかねぇ~~~?」「悪かったわね💢!」「胸に回せるようにセルフコントロー...
柑菜は所謂「一般家庭」で育った、極普通の女性だ。ただし両親は仲が悪く、いつも喧嘩が絶えなかった。罵り合う声、お互いの不貞行為、平手打ちの音、物が壊れる有様・・・その原因が家の経済状況に繫がっていたため、柑菜は同じ目に遭いたくないと思って高校まで過ごしてきた。父親も母親も柑菜のことは二の次で自分のことばかり・・・そんな冷えきった家族の中で育ったのだ。幸い勉強は出来る方で、なんとか頑張って奨学金を得て有名大...
「俺と牧野のことはあんた達には関係ねぇよな?てか、恋人だって抱き合うまでは友達・・・そうじゃね?」その言葉を聞いて3人がフリーズ・・・・・・確かにそうかもしれないけど///今の流れだと、そのうち私が・・・私達が・・・///そういうコト、するって言ってるみたいに聞こえるんだけどっ!!そんな言葉を出した西門さんはシレッとノンアル飲んで、「俺、変なこと言った?」なんて私に笑いかける・・・でも、こんな雰囲気が龍崎さんのハンター魂...
「随分仲良く話しているのね、あなた達。いつからそんなに親密な関係だったの?」「お義母様・・・」「まぁ、花沢副社長!もう義父とのお話は終わりまして?」少しの間3人で話していたら、そこに来たのは遙香だ。妖しいまでに美しい笑顔を浮かべ、ワイングラスを片手に類の横に立った。遙香の質問に答えるのは類が妥当だと思った美央は、まるで助けを求めるかのように「夫」を見上げる・・・逆に目の前の柑菜は話したくてウズウズしてい...
「お昼だって高嶋さんとすっごく仲良かったじゃないですか~~~」「その言い方やめてくれない?!」仲良かったんじゃなくて、極普通に接してたのよ!だって高嶋さんは大人だし、常識人だし真面目だし、誰かさんみたいに怒られるような事はしない・・・だから笑って話せるだけで、それを仲良しとは言わないっつーの!しかもさっきのはあんたが鞄をぶつけてきたからで、それも絶対ワザとだったよね?!「え~~~?ダメなんですか~?...
車の中でも類と美央の間に会話はなかった。とは言え険悪な空気などではなく、お互いに無口なだけ・・・運転手の方が何故か緊張し、時々バックミラーで類たちの表情を確認してしまうほどだ。ただ会話がないだけで、時々視線を向けている。今日の美央はパーティーメイク・・・それは結婚式以来で、とても美しかった。ブルーと黒という組み合わせなのでアクセサリーはゴールド・・・だが派手ではなく、トレスダイヤネックレスと言って、3つの...
西門さんがお迎えに来てくれる・・・だから今日は何が何でも定時で帰るために自分の仕事をさっさと終わらせ、龍崎さんの研修日報も早めにチェック。ものすごくお粗末な日報だけど、そんなのどうでもいいから私までテキトーに「来週も頑張りましょう」と書いて終り。・・・と言うか、こんなに丸っこい字で書くなっつーの!これも立派な会社の書類だってのに・・・・・・マジ、宇宙人っ💢!!西門さんの小筆文字、見せてやりたいわっ!「・・・でもあ...
12月9日・・・黒田の新会社設立記念パーティーの日の前日になった。遙香がパリを出たという報告は既に受けており、花沢家でも女主人の帰国に緊張感が溢れていた。遙香の部屋の空気の入れ替え、遙香の好きな食材、それに新しい寝具。各部屋の掃除は隅々まで徹底して行われ、庭師達も手入れに余念がない。シェフ達も遙香の滞在期間のメニューを練り直し、この数日間は誰もが焦った顔をしていた。それを取り仕切る加代は特に厳しい表...
会社に復帰して数日後・・・相変わらず龍崎さんは私に対してナメきった態度をとっていた。涼子達にも似たような態度だったけど、その中でも私には特に酷く、事ある毎に女としてのマウントを取られているような・・・?その理由は判らないけど、ホントに腹が立つ・・・💢でも新人を簡単に辞めさせない努力もしなくちゃいけなくて、やる気を引き出すような言葉を出しつつ、注意もしつつ・・・しかも初日には決まっていなかったんだけど、昨日正式...
朝食を食べ終えると、再びコテージに戻って10時前にはチェックアウト。その後、隣にある遊園地に向かい、そこで暫く遊ぶことにしていた。それはこの遊園地のフリーパスまで含まれているプランを予約したからだが、ここも4歳児までが遊べるアトラクションは然程多くない。だが絶叫系や危なっかしいものに乗るつもりはなかったので、つくしと本郷は真音を基準に遊ぶものを選んだ。「まぁ君、見て~~!アスレチックだぁ~」「のり...
スリランカ料理・・・つまりはカレー。でも今日はカレーの気分じゃなかったから、さっぱりと「しゃぶしゃぶがいいなぁ~」と言うと、西門さんは車を停めて何処かに電話してた。その口調が「西門だけど、今からOK?」みたいなノリだったので、居酒屋みたいな場所かな?と思っていたら・・・西麻布のお洒落なお店に来てしまった。しかもその入り口・・・・・・気軽な居酒屋じゃないし!!「あの、西門さん・・・ここは?」「あ?あぁ、この店は予...
21時になると子ども達は眠くなり、本郷と話し合った結果、2段ベッドの下の1つに2人を寝かせる事にした。そして真音が夜泣きをしたらいけないのでつくしがもうひとつある下段のベッドに寝て、本郷は子ども達の真上のベッド。ただ大人が寝るには少し早く、着替えだけを済ませて部屋の真ん中に座っていた。そしてつくしは温かいココア、本郷は何本目かのビール・・・既に顔が赤く、少し酔っているようだった。とは言え紳士的な態度は崩さ...
「総二郎さん、どうかしたの?何度もスマホをチラ見して」「・・・いや、なんでもない」月曜の昼飯・・・2週間だけだが俺の右隣に牧野が居たのに、今日は当然空席・・・だからなのか右腕がすげぇ寒く感じられて変な気分だった。それに何かメッセージでも入るかと思ってスマホを見るが、特に連絡はナシ。仕事が忙しいのか、それとも久しぶりで疲れ切ってるのか、将又足が痛いのか・・・そんな事を考えても判るはずもなく、俺から連絡するのもお...
自室に戻った類は、自分の案を美央に話した。すると美央は予想に反して「お義母様が帰国しているのに、それは出来ませんわ」と反対・・・美央が類の意見に反対することなど、これまでになかったので少しばかり驚いた。だが自分のいない時に美央と真利愛に何を言うかと思うと・・・美央は大人なので上手く対処するだろうが、真利愛はそうはいかない。しかも、もうすぐ3歳になる真利愛は周囲の物事への興味や関心が増し、好奇心や探求心も...
「西門さんとデキてんでしょ?」「は?!」「いいのいいの、隠さなくて!私、見ちゃったのよね~~」「なにを?!」仕事復帰初日のお昼、涼子が突然そんな事を言い出し、私は心臓にバズーカ砲撃ち込まれた気分!他の人がいる休憩室だったから私の大声でみんなが注目・・・それでも涼子はニヤニヤして「いつからなのよ~~!」と、その話をやめない。「あんた、あの合コンの後も会ってたんだ・・・」「涼子!ちょっと来て!!」私は彼女の...
つくし達のコテージではバーベキューが始まった。子ども達は本郷が焼くのを見ながら大はしゃぎで、つくしは焼き上がったものをトングで掴んで紙皿に乗せていった。「はい、熱いから気をつけて食べてね~」「うわぁ~~い!おばちゃん、トウモロコシ、まだある~?」「ママ、ぼくのは~?」「真音の食べられるもの、すぐに用意するから待ってね」まだ2歳の真音には分厚いステーキ肉や味の濃いものは食べさせられない。それに主食は...
野久保課長の話を聞き終わったら久しぶりの業務開始。机の上に置かれた山のような書類に目を通しながら、ふと顔を上げると涼子と目が合った。すると何故かニヤリと笑い・・・それが不気味で、小さな声で「なによ?」と言うと、向こうも小さな声で「お昼休みに話があるのよ」と言ってきた。なんだろう・・・?私、何かやらかした?・・・と考えたけど何も思い当たらない。しかも涼子のあの顔は仕事じゃない気がする・・・と、首を傾げていたら新...
土曜日の朝はいつもよりゆっくり始まる。でもこの日のつくしは逆にいつもより早く目が覚めた。そしてまだ寝息をたてている真音の横で、ぼんやりと天井を眺めていた。今日は本郷親子と一緒にキャンプに行く日・・・本当に今夜はあのコテージに泊まるのかと思うと落ち着かなかった。だから睡眠も浅く、頭が重い。でも子ども達は楽しみにしているので、今更中止と言う訳にもいかない。しかも予報では今日も快晴・・・土砂ぶりなら中止も出来...
4月の第3週目、私は職場に復帰することになった。その日の朝はいつも通りに起きて朝食をいただいたんだけど・・・何故かご機嫌ナナメなのは家元夫人。何度も「本当に大丈夫?」と言われ、その度に「大丈夫です」と答えるんだけど・・・「でもお顔の端っこ、まだ少し擦り傷があるんじゃない?」「このぐらい何ともないですし、痛くも痒くもないんで・・・」「でも足だってまだ庇いながら歩いてない?」「まぁ、完全完治までは6週間って言わ...
つくしが東京に戻って半月が経過した。その頃になって希望していた保育園の入園許可が出て、美来と真音は12月から同じ保育園に行くことになった。それが決まると必要な物を準備するために忙しくなり、つくしは「ほんごうみらい」と「まきのまこと」の名前を持ち物に書いていく作業に追われた。そんな木曜日の帰宅後、つくしが保育園の書類に目を通していると、本郷が申し訳なさそうに隣に座り・・・「本当にごめんね、美来の事を全...
真理子さんの爆弾発言で一同唖然・・・野久保課長は鬼のような顔で真理子さんを睨み、ワナワナと震えていた。でも言い返さないところを見ると、これは真実?そして私が着たのは・・・そんな着物だったってことーーーーっ?!西門さんもポカンとしてるし、真理子さんは俯いたままだし、私は社長達を見て震えが止まらない。多分この沈黙は数秒間だっただろうけど、私にはもの凄く長く感じた。そして低い声で「本当なのかね、野久保課長!」...
類が大分から戻って数日後、10月末日には別府のマンスリーマンションの契約が終了した旨の通知がスマホに届いた。その後、レンタカーも返却されて別府での調査は終了。が、その日の夕方に浦田からメールが入って来た。その内容はつくし事ではなく、本郷の引っ越しについての情報だ。それによると本郷の引っ越しは土曜で、つくしと同じ日ではなかった。そして行き先は関東・・・それを読んで、類は執務室の隣にある休憩室に入り、そ...
お店に入って来たのは野久保課長、そしてその後ろには4人のおじさんがいたんだけど、その中には見覚えのある人もいた。でも今はそれを思い出す作業よりも、この面子でご飯食べてる状況を見られたことで大パニック!!いや、まだ真理子さんが振り向いてないから大丈夫か?と思った瞬間、真理子さんが私の視線に気が付いたのか、ゆっくり振り向いてしまった!そして当然、野久保課長も真理子さんに気が付いて・・・「・・・・・・・・・っ!!」...
類が東京に戻ったのは日曜日の真夜中・・・日付が変わった頃だった。本当は19時前に着く大分発羽田行きの便に乗っていたが、わざわざ北海道の最終便に合わせて帰宅したのでこの時間になった。どうしてそんな時間にしたのかと言えば、美央にも真利愛にも今の顔を見られたくなかったから・・・明るい表情で真利愛に笑いかける自信がなかったからだ。だから土産も買わず、静かに屋敷に入った。出迎えたのは加代・・・まだ寝る支度もしておら...
赤羽のお店に着いたのは12時ジャスト!西門さんが急いでくれたので何とか間に合った。しかも真理子さんが教えてくれたお店も判りやすかった♪ただ駐車場がなかったので、近くのパーキングに停めることに・・・それを真理子さんにメールすると、『気にしないでいいよ~、お店で待ってるね~♪』との明るい返事。運良くすぐに入れることが出来たのはいいんだけど、私は急げないのでゆっくり歩いて店に向かっていたら、急に西門さんに「...
類と浦田が次に向かったのはひろみのアパートだった。彼女もこの土地でつくしと話している人物の1人だからだ。「でもこの女は牧野さんと関わってる本郷拓篤と言う男を狙ってた保育士ですからね・・・正直、あまり良い話は聞けないと思いますよ」「・・・・・・それ、勘違いだって言ってたよね」「まぁ、そこは俺でも判りませんよ。彼女も真実は知らなさそうでしたしね・・・ただ子供同士が仲の良い、シングルマザーとシングルファザーですから...
金曜日、私は13時少し前に真理子さんに電話をかけた。丁度彼女はランチタイムだったようで、電話にはすぐに出てくれてラッキー♪しかも真っ先に言ってくれたのは『元気にしてますか?怪我はどう?』・・・相変わらず明るくて優しくて、こんな人の着物をダメにして本当に申し訳ないと涙が出そうだった。怪我は順調に治ってるし、すでに固定も外してサポーターだけになったことを伝えると、それにもすごく喜んでくれた。『茶道の先生も...
「俺が探してるから逃げたってこと?それ・・・もう最悪だよね」消え入りそうな類の呟きに、総二郎はすぐには何も言えなかった。この男とてつくしには特別な想いがある・・・それは「愛」だとか「恋」だと言うものではなく、あの道明寺司を変えた女性であり、人に心を開かない類を笑顔にさせた女性だからだ。それ故に諦めるような言葉は聞きたくない。本当は怒鳴りたかったが、その勢いは自分の胸の中に押しとどめ、総二郎も声を抑えなが...
事故から10日間が過ぎた。この家の空気にはすっかり慣れて、客間のお布団でもぐっすり寝られるし、広すぎるトイレも快適になった。サッちゃんに頼んで自分でお洗濯もさせてもらって、複雑怪奇な廊下も1人で歩けるようになった。短い距離なら松葉杖がなくても痛くはないけど、明日病院に行ってシーネを取るかどうかの判断がされるのだそう。捻挫の治療で大切なのは”損傷度合いを正確に把握し、必要な固定を必要な期間だけ行い、...
浦田に言われた場所に着いたのは17時過ぎだった。類が浦田に直接会うのは今日が初めてで、タクシーから降りても何処に彼がいるのか判らず・・・コーポ坂井と書かれたアパートの前で、その建物を見上げていると1人の男が駆け寄って来た。「花沢さんですか?」その聞き慣れない声に振り向くと、中年のボサッとした男が目深に被った帽子の下で鋭い目を光らせる。「あんたが浦田?」そう尋ねると軽く頷き、辺りをキョロキョロしながら...
「待ってたわ~~~、さぁ、入ってちょうだいな」「お邪魔します・・・」「お袋、時間ねぇから早くしろよ」「判ってるわよ、せっかちねぇ、総二郎さんは!」西門さんと一緒に家元夫人の部屋に行くと、そこはやっぱり豪華な・・・と言うか、想像通りの超高級旅館仕様だった。しかも良い香り・・・複雑な模様の和箪笥にお洒落な1枚板のテーブルにはお花が飾られてるし、衣桁ってのがあって、そこには着物が掛かってた。しかもお部屋は奥にも...
夕暮れが近付いた空・・・下降する飛行機に真音が大きく手を振っていた。それが滑走路に着くのは見ることが出来なかったが、そろそろ門司に向けて出発しても良い頃だろう。つくしは真音を車に乗せ、新門司までのルートを確認・・・日出IC(ひじインターチェンジ)に向かい、そこから東九州自動車道を北上し、北九州JCTで九州自動車道に入り新門司ICで降りる・・・途中何度か休憩を取ってもフェリーの乗船時間には間に合いそうだ。これから2...
翌日の朝食時、西門さんが家元と家元夫人に、昨日の夜に話したことを伝えた。私が暇だから何かお手伝いさせて欲しいって事・・・そうしたら初めは「そんな事しなくていいからゆっくりして!」って言っていたけど、彼が「それが苦痛だっての!」って説得。話し合いの結果、お2人が許可してくれて、西村事務長さんの補佐で事務処理をする事となった。仕事内容としては後援会名簿のパソコン入力とか、会社で言う「総務系」の仕事。ずっ...
土曜日・・・朝から大分に行くつもりだった類の誤算は、前日来日したアメリカの取引先の要望で、昼までの時間を奪われたことだった。それは観光などではなく商談だったために受け入れるしかなく、午前中を花沢物産の役員会議室で過ごすことになった。「専務、そのような恐ろしい顔をしないでください」「してないよ・・・君がそう思うだけだろ」「・・・相手の社長もチラチラ見ていましたよ。特に専務は表情が伝わり難いので、少しは考えて...
勝手に会議室から出ていった野久保課長・・・💢一体なんだったんだ?!と腹は立ったが、真理子さんの事を話さなくていいのなら助かったとばかりに私も会議室を出た。そうしたらあの人はもう業務に戻っていて、私の方には目も向けない。涼子達には「何かあったの?」って聞かれたけど、「別に何も~」とだけ言って、業務終了後にはさっさと帰ることにした。更衣室から出たら野久保課長以外の課長と、部長には深々と頭を下げ、「次に来る...
金曜日になった。今日はつくしの引っ越し荷物を出す日で、朝から最後の荷物詰めでてんやわんやしていた。真音はいつもと違う様子に落ち着かず、つくしの服を引っ張って離さない。それがとても邪魔だったのだが、そんな事を言えるはずもなく・・・♪~♪~~「もしもし、本郷さん?」『引っ越し始まった?』「いえ、あと1時間ぐらいしたら引っ越し業者さんが来るんですよ」『じゃあ今から行くから、真音君を連れ出していい?』「え!真音...
「つくしーーーーっ!あんた本当に事故ったの?!」「牧野先輩、大丈夫なんですか?!」「その顔、どうすんのよーーーーっ!」「顔は死守しなきゃでしょうが!」「・・・おはよう、みんな・・・心配してくれてるのかどうか判んないけど、なんとか生きてるわよ」野久保課長を放っといて、急いで更衣室に入った途端、全員に叫ばれた。そりゃ頭に包帯巻いた人間が出勤したら驚くのは納得・・・こんな格好で仕事する方がヤバいって言われれたの...
数分後、それまで握り締めていたスマホをしっかり持ち直すと、すぐに電話をかけた。相手は別府で調査中の浦田。すぐにでもこの情報を教え、調べるように言うためだった。それは3コールめで繋がり、浦田は疲れたような声で『もしもし・・・』と気怠そうに電話に出た。そしてすぐに『そう急かされてもねぇ~』と言ったのだが、その言葉を最後まで聞かずに類が声を張り上げた。「明日、A町の○○保育園に行ってくれないか!」『えっ・・・・・...
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桜の茶会が終わると宗家は茶会以外の行事で大忙しだった。まずは光翔の小学校入学で、英徳小学部の制服を着た光翔を囲み、庭の桜の下で家族全員の記念撮影。この時も祐子の悪阻は酷くなく、孝三郎と共に入学式に出席することが出来た。建翔の面倒は志乃さんがみることになり、嬉しそうな顔の3人を乗せた西門の高級車が走り去るのを皆で見送った。英徳の制服は有名デザイナーのもので、カバンもランドセルじゃなく共通の通学バッグ...
夏美さんが呆然としてる・・・・・・流石に自分でも不味いコトしたと思ってる。でも流れた玉子は拾えなかったし、真ん中の穴みたいなところ(ディスポーザー)にス~~~っと落ちていき・・・「どうしましょう、夏美さん・・・」「残った玉子は4個ですから、小さめのを作りましょうか💦」「ごめんなさい・・・」「大丈夫です!これも慣れですからね!」でも玉子をキレイに割ることは覚えたので、気を取り直して玉子4個を割った。そして夏美さんに...
翌日の紅葉の野点では、家元夫人のお茶席で祐子さんと一緒にお手伝いをした。まだまだ阿吽の呼吸とはいかないけど、とにかく自分の出来ることを頑張るしかない。2人とも家元夫人と色違いの着物で、それだけで周りの人達には意味が判ったようでザワザワしたけど・・・それでも笑顔を絶やさず、大失敗をしないことだけを願いながら。野点茶会が始まって2時間後にやってきた花沢類と美作さんは、何故か総二郎のお茶席じゃなくて家元夫...
「はぁ~~~~~!12時になったぁ!」「社食に行く?今日の日替わり、なんだったっけ?」「池上君、今日は13時30分には芝崎産業に行くから遅れるなよ~~」「はい、すぐに飯食ってきます!」「花沢課長、キリがいいところで食事にしませんか?」「・・・ん」・・・なんとか午前中の業務終了。俺も昼食に行こうと席を立った。他の社員のように社食に行ってもいいんだけど、俺の場合は周りにいる社員の方が気にするってことで、いつ...
1時間後・・・・・・クタクタになった私達は母屋に戻っていた。後援会の皆様への挨拶は道明寺達のおかげで滞りなく終わり、むしろ後半はこの人達によって私達の結婚が西門流にとってもこの上ない幸運だと言わんばかりに盛り上がってた。総二郎の親友なんだから特別顧問的な役割は続くのに、オマケに私の後ろ盾だなんて・・・家元ご夫妻も彼らとニコニコしながら会話し、「今日はどうもありがとうね~」なんて言ってる。そして鬼みたいな顔...
マンションに戻ったのは11時30分。ここで夏美さんが「すぐにご飯を炊きましょう」って言いながら、さっき買ってきた食料品の中からお米を取り出した。「お米を・・・たく?」「えぇ、炊飯器で炊くんです。これも忘れました?」「・・・・・・あ、あは・・・あっははははは!」「簡単ですからすぐに思い出せますよ」野菜を炊いたものなら知ってるけど、基本私達のご飯は玄米を蒸して強飯にしたり、水をたっぷり入れて煮るお粥がほとんどだっ...
「つくし様、終わりましたわ」「・・・ありがとうございます、志乃さん。うわぁ・・・私じゃないみたい///」「うふふ、よくお似合いですわ。では総二郎様をお呼びしますね。お客様もすでにお待ちのようですので」「・・・・・・は、はい!」今日は後援会の皆さんとの顔合わせの日・・・家元夫人から譲り受けた色留袖を着て、ドキドキしながら控えの間で待っていた。総二郎が選んでくれたのはすごく綺麗な袷の色留袖で、地色は象牙色、柄はすべて手...
夏美さんとホームセンターに行くと、真っ直ぐ向かったのは「キッチン○○」ってことろ。(↑○○=用品だが、まだ漢字が読めない)そこにはキラキラした(金属)ものが沢山あるんだけど、私には何のことやら・・・だから全部彼女に任せることにした。まずは”包丁”・・・「このまえ買ったかどうか忘れたんですけど、2つあっても良いと思うので」「は~~い」「ぺティナイフも買いましょうか」「・・・は、は~~い」(←わかっていない)夏美さんが...
お義母様との話し合いが終わった翌日から、私はいただいた着物を着て本邸を歩くことになった。そしてここではお義母様から家元夫人に呼び方も変更・・・自分1人では何をしていいのかわからないので、常に家元夫人にくっついていた。玄関の花を変えたりするぐらいなら緊張はしないけど、生徒さんが来たときに挨拶するのは心臓が破裂しそうになる。なんたって生徒さんの半数は名家のご令嬢・・・今はフリーの総二郎がお目当てなんだもん。...
サンルームとやらに干された3日分の下着・・・白に鴇色(ときいろ・ピンク)に空色・・・乾いたらこれを畳んだらいいとのこと。でもそれを何処に仕舞うのかしら?この部屋には唐櫃(からびつ)もないんだけど・・・。出典:e国宝「どこに仕舞っても自由だと思いますけど、確かにお部屋にタンスはないみたいですね~」「服は向こうに置いてあるんですけど・・・」「あぁ、クローゼットですね?でもこんなに広い脱衣場があるし、ここにも棚がある...
つくしと葵が退院してから1ヶ月が過ぎた。梅雨の晴れ間で、気温もそう高くない日・・・・・宗家には客人が来ていた。それは神楽木裕也夫妻で、その手には葵のための祝い着があった。淡い黄色から赤への暈かしがあり、美しい配色の毬に組紐、そして熨斗目が描かれたもので、華やかな芍薬や桜なども。金彩も施され、煌びやかさもある極上のもの。それを見るつくしや祐子は目がテン・・・お袋は涙ぐみながらそれを手に持った。その場には親父...
「まだ始まっていない・・・とは・・・?」「えっと・・・・・・つくしさん、成人してますよね?」「せいじん?」「大人・・・ですよね?」”せいじん”・・・つまりそれが大人って意味?私達の頃は男性は「加冠の儀」つまり「元服」、女性は「裳着の儀」ってのがあった。元服は帝であればおおよそ11歳から15歳まで、皇太子であれば17歳までに行われてたけど、通常14歳前後が多かったみたい。元服式には「理髪の役」と「加冠の役」の役目があって、まず...
出産がこれほどまでに大変だったとは・・・・・・光翔の時には立ち会わなかったからわからなかったし、正直美涼の苦しみや痛みまで考えなかった気がする。でもつくしの様子を見ていると、彼女も必死に産んでくれたのだと・・・・・・もう少し感謝の言葉をかけてやれば良かったと思った。と同時に、これだけの思いをして生んだ光翔を愛おしく思えなかったことに対して疑問が湧いたが・・・「・・・総二郎、どうかした?」「あ、いや・・・なんでもない。...
夏美さんが来てくれたので安心して全身の力が抜けた・・・けど、この人に色々と教えてもらわないといけないので、「よろしくおねがいします!」と元気よく挨拶♪中に入ってもらって、まずは・・・・・・何をする?「え~~~~~と・・・」「あぁ、お茶とか珈琲とかはいいですよ。仕事で来てるので気を遣わないで下さい」「・・・(あぁ、お茶を出すものなのね?そもそも炭汁(珈琲)は作れないし)・・・あはは///すみません」現代社会を知らないフリ...
5月31日は土曜日で、一颯の保育園はお休み。光翔くんの幼稚園もお休みで、子供達は朝から庭で遊んでいた。あんな風に走ったり飛んだり、しゃがんだりが身軽で羨ましい・・・と、自分のお腹をさすりながらそれを眺めて・・・・・・「・・・つくし、平気か?」「へ?あぁ~~~、うん、まだ平気」「陣痛が来る前に入院してもいいんじゃねぇの?」「そんなの病院に迷惑だよ。陣痛間隔が15分ぐらいで行く人もいるんだし」「でも・・・・・・」「そん...
「おはようございます、花沢課長///」「課長、今日も素敵なスーツですね~~♪」「・・・・・・・・・」「無口だけどそこがまた///」←ただの無愛想「ねぇねぇ、今日は少しワイルドな髪型じゃない?」←ただの寝癖「「「花沢課長、おはようございます~~~♪」」」「あぁ、おはよう・・・・・・」「「「きゃあああ🧡今日はご挨拶できたぁ🧡」」」そんな声もほとんど耳に入らず、床の大理石タイルに視線を落として歩いた。頭の中では1人にしてしまった...
墓参りから1週間が過ぎ、明日は桜の茶会。今回もつくしは準備だけで、当日は子供達の世話係。まだ後援会に何も話していないので、姿を見せないように離れで過ごすことにしていた。が、祐子は茶会終了後に挨拶するために数日前からその練習をしていた。お袋から譲り受けた着物を着て、光翔にも着物を着せて・・・その時は流石に一颯の事が気になったが、子供なのであまり深くは考えていないようで助かった。むしろ面倒くさいことをせ...
翌朝、やっぱり私はベッドから落ちて寝ていた。でも類がそこにマットレスってのを敷いててくれたので、今日は身体が痛くないなぁ~と思いながら身体を起こすと・・・もう類はこの部屋にはいなかった。「・・・あ、今日から仕事に行くって言ってたっけ・・・」いつまでも寝てるから、起こさずに出かけたのかと思って飛び起た私。その時にズボンの裾を踏んで転けそうになりなからも、ドアを開けて隣の部屋に行くと・・・・・・「おはよう、つくし」...
桜の茶会の10日前・・・彼岸の日に神楽木家に向かった。車中にはお袋の姿もあり、つくしが後部座席で一颯の相手をし、お袋は助手席。運転席の俺も少しばかり緊張するが、まだ祖母に慣れていない一颯のためにはこの方がいいだろうと思ったからだ。お袋は紫地の江戸小紋に紹巴織の名古屋帯。春らしい着物ではなかったけど、品があり、墓参りに相応しいものだった。「ねぇ、ママ。かぐらぎのおじちゃんはなんのお仕事してるの~?」「...
その日の夕ご飯も誰かが持って来てくれた物をレンジでチンして食べることになった。何度もやったから温めは完璧🧡そしてコンロでお湯を沸かすことも出来るようになった。ここでまた初めての物が出てきたんだけど・・・すごく軽くて四角くて、スカスカしてる?「類、これはどうやって食べるの?このまま囓るの?」「それはフリーズドライの卵スープだよ」「・・・・・・?」「あぁ、フリーズドライって言うのは真空凍結乾燥って意味で・・・・・・わ...
それから数日間、つくし達は大きな問題もなく過ごしていた。少しばかり増えたことと言えば、真利愛と真音にパーティーでの挨拶を教えることだった。いくらこの豪邸に住んでいた真利愛でも、ビジネスパーティーには出席したことはない。真音に至っては堅苦しい服を着ることですら初めてだ。だからと言って3歳児に完璧なマナーなど出来るはずもないので、可能な範囲でのこと。特別な講師を招くわけでもなく、加代が教えるのだが、そ...
翌朝・・・サッちゃんは早朝から仕事だから、私が目を覚ましたときにはもう部屋にいなかった。その部屋を見たら、私の荷物がドーンとド真ん中に・・・前に使っていた部屋だけど、今はサッちゃんと野田さんの部屋だから男性用品もあるし、さり気なく結婚式の写真も飾ってあるしで、私はすごく迷惑なことをしたんだな・・・と。なんたって昨日は総二郎と大喧嘩・・・それを新婚のサッちゃんに八つ当たりしまくった気がする。「頭痛いなぁ・・・身体...
その日はいつもより早く帰宅出来そうだったため、類は加代に電話をして、子ども達と一緒に食事をすると話した。すると加代から聞かされたのは今日の昼間の出来事・・・「えっ、真利愛とつくしが?」『はい。そんなに酷い喧嘩ではありませんが、つくし様を突き飛ばすような事をしてしまって・・・』「そう・・・・・・それでつくしは?」『必死に真利愛様を宥めておいででした・・・』「真利愛は?」『まだ謝ってはおられませんが、そのあとは真音...
夕食時、考ちゃんは茶道教室・夜間の部があるとのことでいなかったけど、その席には祥一郎さんが♥見飽きた顔じゃなくて、長男さんがいることを家元夫妻も喜んでるみたい♪特に家元夫人はお母さんの顔になってるし~。「どうなの?お仕事は上手くいってる?」「もうどのくらい手術したんだ?」「まだ勤務して数年だし、そんなに言えるほどじゃないって」「あら、じゃあ一人前とは言えないの?」「欧米だと一人前の心臓外科医になるに...
「つくし、何しているの?」「ん~?えへへ・・・・・・子ども達の服を縫うの。その型紙を作ってるんだよ~」「服・・・つくしが作るの?」「うん!それとね、ぬいぐるみ達の服とか、ランチョンマットとか・・・あ、類のはブルーだよ♪」「くすっ、今日は機嫌がいいんだね」「へっ///?あぁ・・・うん、まぁね~」真音と真利愛が寝てしまった後で類が帰宅し、つくしはその時もテーブルの上に型紙を広げていた。類はそれを覗き込んだが全く判らない...
なんとか巨大迷路を抜け出し、出口前で合流したのは16時。そこに道明寺さんはいなくて、私たちはアイスを食べながら待つことに・・・するとしばらくして数人のスタッフさんに連れられて、ブスッとした彼が戻ってきた。どうやら巨大迷路を破壊したことで、お説教&損害賠償の話があったらしいけど、道明寺さんは「全部立て直してやる!」と即答したらしい。スタッフさんもこの人が道明寺ホールディングスの人(経営側)だとわかり、...
その日の夕方・・・土曜だったので類は早めに帰宅できた。当然それを迎えに出たのは真利愛と真音で、「ぱっぱ~~!」と飛び付いたのは真利愛だ。真音も同じようにしたい様子だったが、真利愛の勢いに負けるのと、まだ素直に類に触れることが出来なかった。そんな真音に気が付いて、類はいつも真利愛の後で真音も抱き上げた。「うわ・・・真音、少し重くなった?」「ほんと?ぼく、大きくなった?」「まいあは~?まいあも大きくなったぁ...
巨大迷路の入り口に立つと、そこには2つのコースがあった。1つは体力勝負のアスレチックコース、もう一つは仕掛けを解いていく知力コース。迷路としての建物は1つだけど、中の通路は巧みに入り組んでいるため2つのコースが交わることはないそうだ。そのどっちに行くかってことで、再びジャンケンすることに。勝った方が好きな方を選ぶことにして、総二郎と道明寺さんがジャンケンすることとなった。「行くぞ、司!」「・・・そん...
つくしが花沢邸に来てから1ヶ月が経過した。それが5月の中旬で、ここで2人は婚姻届けを提出することになった。何故3ヶ月も先になったのかというと、社長に就任した類が多忙だった事もあるが、警察の事情聴取、つくしの税務処理と何かにつけてドタバタしていたのだ。それも全部終わり、類も落ち着いてきたために漸く自分達の届け出に着手できたのだ。しかも類と真利愛は養子縁組をしていたので、その辺りの修正手続きに弁護士を...
いきなり現れたのが恐ろしい顔の人形だったのか、それとも人間だったのか・・・それすらわかんない状況で彼に逃げられたけど、こんなところに1人で取り残されるのもイヤだ!だから楽しむ時間もなく暗闇の中を追い掛けたら、道明寺さんは何にもない壁に両手ついてゼイゼイしていた。・・・まったく、それが30歳の男のすることか💢!!それを怒ることも出来ず、薄気味悪いBGMの中、道明寺さんの背中をポンと叩くと・・・「うわあああぁっ!...
「・・・・・・マジか・・・」「俺、1回入ってみたかった♪」「悪い、俺は絶対に嫌だ。乗り物ならいいけど、あそこは無理!」「・・・・・・・・・は、入るだけなのか?」「うん、入るだけだよ~~♪だってお化け屋敷だもん!自分の足で歩くだけだよ~~」子供の頃からの夢だと言いながら、つくしは薄気味悪い建物の前で立ち止まった。そしてここでも言いだしたのがジャンケン。あきらが絶対に嫌だと言うから、俺と類と司とつくしの4人で2組に分かれ...
先日は大変お騒がせしました。たくさんコメントいただきまして、そのお返事も出来ずに申し訳ありません。多くの方にお話を楽しみにしていると言っていただき、とても感謝しております。しばらくお休みさせていただき少しは落ち着いたのですが、続編のお話で物足りなさが解消できるかどうかを考えると・・・どうなのかな~?と思いつつ・・・でも書いていたものだけは公開して、それでこの話を完全終了させることにしました。なので近々0...
初めはゆっくり動くジェットコースター・・・だんだん心臓がバクバクし始めて、喉がゴクリと鳴った。そうしたら花沢さんがボソッとひと言・・・「ジェットコースターってさ・・・恐怖心とは関係なく気絶する事があるんだよね」「は?」「極端な重力がかかると血液は下半身に集まって脳に届かなくなるから。特に気温の高い日は汗をかいて体内が脱水気味になってるから余計になりやすいんだって」「・・・・・・(今日、暑いけど)・・・」「ジェットコ...
「あ~あ、もう無理か・・・」「美作さん、何が無理なの?」「いや、何でもない(総二郎達のゴンドラからはもう見えない・・・なんて言えないし)。つくしちゃん、あと少しだからしっかり見ておかないと!」「は~~~い!」観覧車の後半になったら美作さんは私と向かい合って座り、何故かニヤニヤしていた。その意味は判らなかったけど、言われたとおりに窓の外を眺めて「もう地面が近くなった~!」と・・・その時目に入ったのはジェット...
遊園地とは文字の如く、楽しく遊べるように、いろいろな遊具やアトラクション、設備を備えた施設。アトラクションの設置に関係なく遊園地と呼ばれている公園もあるんだけど、私の思う遊園地は「乗り物」があること!それは滑り台、ブランコじゃなく、もっとハードでスピード感のあるもの・・・まさか、本当にそれに乗れる日が来るとは・・・っ!!「・・・・・・うっ・・・うっ・・・えぐっ!」「ちょっと総二郎・・・この子、泣いてるんだけど」「悪い...
「ふああああぁ~~~~~~~~!よく寝たぁ~~~~~~~~~~!!」大きく背伸びをして起きたのは6時30分。総二郎がいないおかげで久しぶりに爆睡でき、すっごく気持ちの良い朝だった。カーテンを開けると清々しい朝陽が目に入る・・・「今日は快晴だな~」と呟きながらベッドを降りて服を着替えた。そしてドアを開けて隣の部屋を覗くと・・・ベッドで寝ているのは美作さん1人。花沢さんはソファーで丸くなり、道明寺さんと総二...
私を無視して決められた翌日の予定・・・まさかの、道明寺さん達とのお出掛け?!結婚式の翌日に団体行動?!「ちょっと待ってよ、何処に行くの?」「つくし、行き先が問題じゃねぇよ💢俺達は2人きりでここで過ごし、明日の夜までマッタリするんだから!そうじゃないと明後日からは仕事なんだぞ?これまでの疲れを癒やさないとダメだろ?」「確かに疲れてるかも・・・行き先次第だけど・・・」「そうだなぁ、何処に行きたい?あきら」「俺は...
最後まであきらが仕切った二次会終了・・・考三郎はそれからまた飲みに行くと言い、女達を連れて何処かに消えた。従姉妹・従兄弟達はそれぞれの迎えの車であっさり帰宅。涼子達はつくしよりも景品に浮かれまくり、万歳しながらタクシーに乗った。港に残されたのは俺達5人・・・今日は宗家に戻らず、Tホテルのスイートを予約していたので、そこに向かうと言うと、あきらが「ハネムーンは?」と聞いてきた。答えは・・・「今すぐ旅行には行か...
「皆さま、大変長らくお待たせいたしました。本日の主役である新郎新婦の準備が整ったようです。皆さま、ご準備はよろしいでしょうか~?!それでは新郎新婦の入場で~~~す!」美作さんの声で扉が開けられ、途端に目の前でパーン!とクラッカーの鳴る音が!それよりもシャンデリアの灯りの方が眩しくてクラッとしてしまった。その後で叫ばれたのは・・・「西門さん、つくし、おめでとう~~~!」「さぁ、二次会は盛りあがっていく...
おはようございます。突然ではございますが、当面の間類君の連載公開を中止します。理由は、今回のお話について、「物足りない」とのコメントをいただき、それによりモチベーションがダダ下がりしてしまったからです。物足りない・・・それは私の筆力がないので受け入れますが、200話以上で「終盤が物足りない」と言われても、素人の私ではどうしていいのか判りません。明日より続編として、つくしと真利愛のこと、美央とのその後...