桜の茶会が終わると宗家は茶会以外の行事で大忙しだった。まずは光翔の小学校入学で、英徳小学部の制服を着た光翔を囲み、庭の桜の下で家族全員の記念撮影。この時も祐子の悪阻は酷くなく、孝三郎と共に入学式に出席することが出来た。建翔の面倒は志乃さんがみることになり、嬉しそうな顔の3人を乗せた西門の高級車が走り去るのを皆で見送った。英徳の制服は有名デザイナーのもので、カバンもランドセルじゃなく共通の通学バッグ...
花より男子の二次小説サイトになります。特に類と 総二郎が大好きですべてハッピーエンドなります。
読むだけでもの足らず、とうとう自分で書いてしまいました。自己満足の表現不足とは思いますが、楽しんでいただけたらと思います。
2月の終り・・・私は会社帰りにとあるカルチャーセンターに向かった。そこには茶道があり、表千家の先生に教えてもらえるって事だったから・・・本当は考三郎先生のところに行けばいいんだろうけど、牧田って偽名を使ったし、西門さん絡みで行きにくい・・・出来が悪いのは判っているから、それをイチイチ報告されるのは恥ずかしいし。それは涼子達にも誰にも言わず、こっそりと・・・別にすごく興味がある訳でもなかったんだけど、折角西門さ...
『もしもし、類?どうしたんだ、急に・・・』「・・・・・・ごめん、今少しいい?」『あぁ、今日の仕事は一段落したから・・・震えてんのか?』その声は西門総二郎・・・唯一日本に残ってる友人だ。そして真音・真利愛の事は説明済み。現時点で類の話を聞けるのはこの男しかいなかった。類は総二郎に旅行についての説明と今日の出来事を伝え、総二郎はそれを最後まで黙って聞いていた。だがここでも答えは同じ・・・『キツい事を言うが、まことって名...
牧野が言った『その後の電話で言ったじゃない』・・・それを思い出そうとしたが思い出せない。そう思ってスマホを手に取り、通話履歴を見てみると牧野とのやり取りが数件・・・「あぁ、そうか・・・レーズンは牧野からかかってきた電話か。で、その後俺がかけてるけど・・・思い出した、野久保の名前を聞いたんだ!で、そのすぐ後に牧野から?そんなやり取りしたっけ・・・」そこで画面を睨みながら暫く考えてると、森田さんの車にスマホを置いて...
地獄巡りから自宅近くまで戻ったのは17時前で、後部座席の2人はまだ爆睡だった。本郷も「やれやれ」と苦笑いだし、つくしも「疲れたんでしょうねぇ」と・・・そこで考えたのは夕食だ。つくしは自分で作れるが、本郷はこれから帰って、自炊するのかと聞くと・・・「ははは・・・簡単なものなら作るんだけど、土日は殆ど惣菜かなぁ・・・特に今は暑いから作る気しなくて」「そうですよね~、それは私も同じです」「掃除や洗濯はなんともないん...
最悪な14日が始まり、その日1日中野久保課長とは口をきかなかった。向こうも腹がたってるのか、直線距離で2メートルなのに私への用件は総て社内メール・・・しかも『お疲れさま』も『よろしくお願いします』の文字も無し!涼子達もビビってるし、休憩室では「何よ、あれ!」って感じで、早くも私以外の営業課女子社員全員を敵に回してた。「顔は良いんだけど性格悪っ!」「なんかイメージダウンだわ~~、ガッカリした!」「来年...
美央が車に戻ったとき、そこには1台しかなかった。もちろん残っているのは自分が乗っていた車だが、慌てて車のドアを開けると、そこには類が座っていて、真利愛と遊んでいたのだ。「あら?類様・・・どうなさったんです?」「少し前にベルトラン氏の車が出ただけ。気にしなくていいよ」「でもご案内のお役目が・・・申し訳ありません、私が少し遅くなったから怒ってしまわれたとか?」「いや、全然。これまで一緒だったせいで俺が真利愛...
牧野の上司・野久保武司と京都の舞妓・乃々香・・・真理子が知り合い?突然そんな繋がりを知って、あの日の事を思い出した。そう言えば野久保は誰かと待ち合わせていると言っていたし、真理子は野久保と話している間に忽然と消えた。とは言え、野久保の態度は牧野に対する悪態だけで、特に俺の周辺で驚いた風じゃなかったから、乃々香の方が野久保を見て逃げたってことか?でもそれなら真希乃の言葉に違和感がある・・・彼女の言い方だと...
「まぁ君、あそこにワニさんがいるよ~~!」「まって~~~!」「こら、美来!走ったらダメだぞ!」「真音も、転けたら怪我するから!」鬼山地獄に入ると、子ども達は地獄よりもワニが居る場所に急いだ。そこで柵越しに覗き込むと、ワニたちがウヨウヨと・・・初めてワニを見た真音はキョトンとしていたが、美来は「カッコいいよね~」とはしゃいでいた。鬼山地獄・・・別名「ワニ地獄」。大正12年に日本で初めて温泉熱を利用し、ワニ飼...
爺さんと若菜が遊んでる間、俺は真希乃を相手に酒を飲んでいた。でもさっきまでの陽気な雰囲気ではなく、少々気不味そうに・・・それに地方さんも気が付いてるようだったが、俺は気にせず「乃々香の男」について探りを入れてみると・・・「さぁ・・・うちは知らんどすけど・・・どうしてそんな事を?」「置屋のお母さんがそう言ってたから」「・・・まぁ、お母さんも余計なことを・・・」「乃々香が舞妓の時に何度か会ってて、その子が困ってるなら・・...
つくし達が地獄巡りに来たのは14時30分で、そこは観光客で賑わっていた。少し離れた駐車場に車を止め、つくしが真音のリュックを手に持つことに。そして強烈な日差しの下、帽子を深く被ってひとまず木陰へ・・・「牧野さんはここ初めて?」「はい、実は別府に来て2年半ですけど、まだ来たことがなくて・・・真音も赤ちゃんでしたし」「そっか・・・地獄巡りって場所にもよるけど、子どもにはあんまりピンと来ないと思うんだよね。だか...
「まきの、早くしないとお座敷に遅れるよ」そう言われて出て来た芸妓が俺に気が付いてこっちを見た。その顔はデカい目にちょっと幼げな顔・・・とは言え牧野に似てるワケじゃなく、俺は胸を撫で下ろした。そして「まきの」と言う芸妓はもう1人の芸妓と並んで女将さんに挨拶をし、下駄の音も華やかに何処かに歩いて行った。おそらくこれからお座敷なのだろう・・・それを見送る女将さんに「すみません」と声をかけ、近寄った。「はい、ど...
大騒ぎしたジャングルバスから降りると、今度はふれあいゾーンに向かった。入口に入ってすぐにミニチュアホースを見付け、美来は真音の手を引いてそこにまっしぐらだ。その姿を後ろから見る本郷とつくし・・・他人には夫婦に見えるだろうし、子ども達は間違いなく仲の良い姉弟に見えるだろう。うみたまごでもそれを感じたつくしは、ほんの少し本郷と距離を取ろうと歩を遅くした。だが本郷の方は気にもしてないようで、穏やかな笑顔で...
職場のバレンタイン・・・このどうでもいいイベントを始めたのは誰なのか💢健康診断でメタボに引っ掛かりそうな人も多いのに、わざわざチョコをあげる必要があるだろうか・・・・・そんな事を思いながら、土曜日にはデパ地下のチョコ売り場に来ていた。「どれにしようかな・・・高価すぎるのは困るし、安くて見栄えが良いものがあればいいけど・・・」職場で配る場合、チョコレートをもらえない人がいないようにしたり、本命チョコや手作りチョコ...
前に座る大人達と、後部座席の子ども達の空気感は全く違っていた。真音と美来は楽しそうに笑ったり歌ったり・・・もちろん真音は言葉が少ないので、その殆どは美来だ。美来も独りっ子のため、弟が出来たようで嬉しいのだろう。それにいつもは真音も美来も後部座席で1人なので、もう1人子供がいる状況にハイテンションなのだ。それに比べて、運転する本郷と助手席のつくしは微妙な雰囲気。それというのもこの距離感はお互いに初めて...
茶道具の恐ろしさを目の当たりにして、私は暫く放心状態・・・まさか、こんなお菓子入れに9万円とか!実家では極々稀に可愛いクッキー缶をもらったら、それにみかん入れたりしてたけど、茶道では9万円に和菓子を入れるのかと・・・そんな光景が想像出来なくて、店員さんが説明してるのに全く頭に入らなかった。そんな事してると西門さんの用が終わったみたいで、彼は「揃ったら宗家に届けてください」って頼んでた。でもその手には小さ...
旅行2日目の朝、ベルトラン一家だけが意気揚々と高千穂峡のボートを楽しむためにホテルを出て行った。その乗り場まで同行したのは藤本で、類と美央、そして真利愛はホテルの部屋で戻って来るのを待っていた。ぐっすり寝た真利愛は機嫌が良く、スイートルームの中庭で遊んでいる。花沢邸とは全く違う日本庭園が面白いのか、石灯籠に登ろうとして美央が必死に止めていた。そこに野鳥が飛んできて、木の枝に止まり、美しい声で囀る・・...
茶道教室を見学したことがバレたばかりなのに、今度は茶道具展・・・ササッと見て帰るつもりだったから、まさか西門さんに会うとは思わなかった。・・・と言うか、野久保課長に会うことも想定外だった💢気分が悪いまま西門さんの後に付いて行くと、そこは東京ミッドタウンプラザの1Fにあるレストランで、お昼には少し早かったから人は空いていた。中に入ると窓際の明るい席に案内され、西門さんがササッと注文・・・私には選択権はなかった...
青島から高千穂峡までは車で2時間30分。その車中、類はベルトラン一家のお喋りに付き合い、それはかなり憂鬱な時間だった。『そろそろルイのところにも男の子が産まれれば父上が言っていたよ。どうなんだね?』『・・・そればかりは私にも判りませんが・・・』『あらあら、あんな素敵な奥様がいるんですもの、お子さんが1人だなんてことはないわよね?』『どうでしょう・・・でも私は真利愛がいれば幸せですし』『お父さん、そんなにル...
「お前、ここで何をしてるんだ?」振り向いた途端、そこに居たのは野久保課長?!どうして課長がこんなところに?!しかも結構お洒落な格好で、でも側には誰もいないからおひとり様?てか、1人なら尚更こんなところに来る?!と1人でテンパってアタフタしてしまった。でもよくよく考えたら自分も1人・・・課長と全く同じ状況であることに気が付いた。「あっ、あの・・・えっと、ちょっと興味があって・・・」「お前が茶道具に?冗談だろ...
宮崎に着いた類たちは空港で待っていた車に乗り込んだ。それは花沢が手配したレンタカーで、運転手も現地の人間を手配して待機させていたのだ。当初の打ち合わせ通りに類はベルトラン氏の車に乗り、美央と真利愛はもう1台の車に乗った。藤本は類の乗った方、そして女性秘書の桑原は美央の方に・・・真利愛は疲れも見せずに大興奮で、見慣れない風景にはしゃいでいた。まずは空港から近い場所にある隠れ家風レストランで、全員一緒の...
2月4日の日曜日。朝からダラダラとテレビを観ていたら、今日の山羊座は『芸術に触れるとラッキー』だと言ってた。それで何気に右手の指輪を見たら、これも「Lucky27」・・・「芸術に触れると言われてもねぇ・・・芸術ってなによって話からだよ」恵方巻き食べながらそんな事を考えてたら、思い出したのはS美術館。芸術=美術だよね?と。そのS美術館の場所を調べたら六本木だった。六本木と乃木坂の中間にある商業施設の中にあり、世...
それから数日間が過ぎた。つくしが出勤してから更衣室に向かい、そこのドアを開けた瞬間・・・それまで中で話していたスタッフ達が会話をやめ、つくしの方を見た。「・・・?・・・おはようございます」「・・・・・・・・・さっ、もう時間だわ」「おはよう、牧野さん・・・・・・えっと、今日の入荷は・・・」「早く行こう、主任が五月蠅いから」「・・・・・・・・・・・・」すぐに視線を逸らされ、つくしはその瞬間に嫌な記憶が蘇った。それは英徳時代に味わった虐め・・・...
今日もこいつの部屋は綺麗に片付けられていて・・・まぁ、洗濯物も室内干しされていたけど、急いで何処かに隠していた。俺は前も座った同じ場所に座り、牧野は買い物したものを冷蔵庫に仕舞い、珈琲の準備をしながら恵方巻きを確認。そこで「すごい!!今日買わなくて良かったぁ~!」と叫んだ。「・・・てか、多すぎない?」「食えるだろ、牧野なら」「そうだけど・・・明日も食べられるよね?」「(やっぱ、そうなんだな?!)・・・平気だろ...
梅雨真っ只中の大分は、今日もスッキリしない天気だった。重たい雲が広がり、ジメジメと鬱陶しい・・・そんな中、一際鮮やかな青い紫陽花があちこちに咲いていた。「もう7月か・・・保育園は休みがないから助かるなぁ~」「あっ、たっく~~~~ん!」つくしが真音を車に乗せて保育園に行くと、その門のところで同じクラスの男の子に出会った。車を停めると友達親子も足を止め、「おはよう、まぁ君~」と・・・つくしも急いで車から降り、...
庭の梅が咲き始めた2月、俺と弟による真剣勝負が繰り広げられていた。勝負は3回。第1回戦は俺が勝ち、第2回戦は考三郎が勝った・・・・・・今から最後の戦いだ。「泣くなよ、考三郎・・・」「総兄こそ・・・あとで金で解決しようとすんなよ」「「最初はグー!!ジャンケンポンっ!!」」「よっしゃあぁーーっ、俺の勝ち!!節分の茶会の亭主は総兄に決まりーーーーーっ!!」「・・・・・・・・・・・・」頭がパーの考三郎がその通りパーを出し、俺は右...
目の前にいる派手な女性、黒田柑菜が美央を見て驚いている。同時に美央も柑菜を見て顔色を変えた・・・それを見ていた黒田と類はそれぞれの妻に「知り合い?」と尋ねたが、それに対してすぐに返事をしたのは柑菜だった。「えぇ、美央と私は大学の同期ですの。懐かしいわ、美央~~!まさか花沢家に嫁いでいたなんて~、教えてくれたら良かったのに!」「ご、ごめんなさい・・・お式には友人を殆ど呼んでなくて・・・」「そうなの?花沢物産の...
それからまた10日ほど経ち、1月末になった。その日の夕方、事務員5人が集まり・・・・・・「「「「「最初はグーーーーー!!ジャンケン・・・ポーン!!」」」」」「はい、牧野に決定!!」「・・・・・・・・・・・・」「「「やったぁ!!おめでとうっ!!」」」・・・・・・とうとうくじだけじゃなく、ジャンケンにも一発で負けた・・・。なんのジャンケンかと言うと、新しく赴任してくる課長のお迎えに行く係を決めるジャンケンだ。昨年末にお父さんが突然...
7月になり、九州旅行のスケジュールは概ね完成した。1日目の土曜日は高千穂にある高級ホテルを予約し、2日目は湯布院に宿を取った。そして観光地はと言うと・・・「どうせなら青島に行きますか?」「・・・高千穂とは反対方面だけど、時間的には大丈夫なのか?」「青島から高千穂まで車で2時間半です。青島の観光を1時間程度にすれば、午後には高千穂峡を観光できるでしょう」「・・・任せる。先方の子供は大きいけど、うちはまだ2...
仕事始めから2週間が過ぎた。あの人は初釜とやらをしたんだろうか・・・そんな事を考えていたら、例のビルの営業がスタートし、岩本電気工事の担当者から西門流の茶道教室も始まったって聞いた。何気にその商業ビルの公式サイトを見ると、今日の教室は17時から18時30分と、19時から20時30分までって書いてあった。先生は『西門考三郎 西門流講師』・・・これがあのド派手な内装をした弟さん?顔写真が出ていたけど、西門さ...
アパートに戻ると子ども達は大はしゃぎだった。部屋の真ん中にあるテーブルにおやつを置き、美来は本当の姉のように真音の世話をしている。つくしは2人にお茶を出し、「仲良く遊ぶんだよ」と言いながらキッチンに向かった。まずは急速で米を炊き、買って来た食材を冷蔵庫に仕舞う。それが済んだら洗濯物を取り込み、子ども達が遊ぶのを見ながら部屋の隅でたたんだ。「うわぁ、まぁ君のおもちゃ、おもしろいねぇ~」「み~ちゃ、ど...
正月が過ぎ、10日には初釜が行われた。初釜とは、年が明けて最初に行われる茶会のこと。略式の気軽な会ではなく、茶道を学ぶ人にとっては1年の稽古初めとなる大切な会でもある。うちの場合亭主は家元か俺だが、初日は家元である親父。その親父が元旦の早朝に汲んだ若水を用いた茶が振る舞われ、初回の客はうちの後援会長含む爺様が中心だ。その初釜は3日間行われたが、その最終日に五十嵐家がやって来た。この日は俺が亭主・・・命じ...
うみたまごに行った翌週の日曜日、つくしの部屋に博美親子が遊びに来て、一緒にランチを食べた。その時にゴールデンウイークの話になり、博美達は長崎に遊びに行ったらしく、そこの土産を沢山もらった。実家に戻ったおかげで経済的にはゆとりが出来たのだろう、博美の表情も穏やかになり、子供も可愛らしい夏服を着ていた。「長崎の土産と言ったらカステラじゃない?」「うん、有名だよね~」「これね、白いカステラなんだよ」「白...
初詣から帰る途中、ぼんやり考え事をしていた。まさかたこ焼きを誰かさんと食べるなんて・・・何気に沢山話を聞いたし、面白かったなぁ~と・・・そうしたら信号のない小さな交差点に来て、そこを曲がろうとして・・・一瞬、西門さんの『気をつけろ』の声が聞こえた気がした。だから一旦足を止めると、突然自転車に乗ったおじちゃんがすごいスピードで走って来て、思わず悲鳴を上げた!「きゃああああぁっ!!」「あ、悪ぃ、姉ちゃん!」・・・...
類がシャワーを終えて部屋に戻ったとき、もう真利愛は寝入っていた。それを側で見守っていた美央は静かに立ち上がり、中央のソファーに移動した。類もバスローブ姿のまま美央の対面に座り、1度真利愛を確認・・・起きる気配はなかったので、美央に何があったのかを聞いた。するとやはり出て来たのは遙香の名前で、真利愛に家庭教師を付けろと言うものだった。「家庭教師?」「えぇ・・・お昼に電話がありまして、そろそろ英語とフランス...
「ちょっと💢!返してよ、私のおみくじ!」「ぶはははははは!すげぇ内容だな、お前!失物戻らず、さらに失うって、これ以上何を失うんだよっ!!」「五月蠅いなぁ💢💢!」「病気は大病の可能性ありだってよ?今年は保険証が大活躍しそうだな♪」人の大凶をここまで笑うとは・・・そう思ったらおみくじよりも西門さんに腹が立って、この人の脇腹を思いっきり殴った!そうしたら「痛ぇ!」って言ってるけど顔は笑ってる。尚更ムカついて、...
6月になり気温はずいぶんと高くなった。今年の梅雨入りは8日で、その日は最近にしては珍しく、風を伴わない雨が降っている。類は専務執務室の窓辺に椅子を向け、鈍色の街を眺めていた。もう2年以上も頭の中には靄が掛かった感じがしている・・・今日の天気は類の心の中、そのものだった。「専務、よろしいですか?」「・・・・・・・・・」「専務、どうされました?」「あぁ、ごめん・・・少し考え事をしていた」「・・・お話ししてもよろしいですか...
「新年、明けましておめでとうございます!今年は良い年になりますように!」元旦の朝、私はお雑煮を作ってから、1人でおせちに向かって挨拶をした。そして超豪華なホテルおせちを摘まみながら、お雑煮を食べる・・・それがもう美味しくて美味しくて!生きてて良かった~~~~っ!!って思えた。「おっと・・・朝、全部食べる訳にはいかないから、残りはお昼と晩ご飯にとっとかなきゃ・・・」すでに4分の1を食べてしまった私は急いで蓋を...
イルカのショーが終わると、今度はセイウチやトドを見たりしたが、やはり真音にはまだ早かったようだ。何を見ても泣いてしまうので、つくしは困り果てて本郷に「ここで失礼します」と言ったのだが・・・「いやいや、2歳だもんね、無理ないよ。もう少し可愛い動物のところに行こうか」「パパ、あそびーちに行こうよ~」「あそびーち・・・ネットで見ましたけど」「・・・ふぇ・・・」「うん、そうしようか。遊具もあるし、そんなに怖くないと思...
自分の誕生日が終わったら、すぐにやって来る大晦日・・・その日は朝から大掃除して、途中でお正月の食材を買いに出掛けたけど、わざわざおせちなんて作らない。だって実家にも帰らないし、1人でおせちなんて虚しいだけだもん。だから元旦から普通のご飯で、特別なものなんてない。「そうは言っても、少しぐらいは豪華にするか・・・」そう思って作るのはお雑煮ぐらい。お餅も1番小さな10個入りのヤツで、入れる具材は関東風雑煮の代...
真音と2人きりならレンタルのベビーカーを使おうかと思っていたつくしだったが、美来と言うお姉ちゃんがいるのなら・・・そう思って借りるのをやめた。そして本郷が主に子ども達の世話をしてくれて、つくしは少し後ろからその光景を見ていた。「パパ、エイのとこ、行く~~~!」「うん、わかった。まぁ君の手を離しちゃだめだよ、美来」「は~~~い!まぁ君、こっちだよ~」「あいっ!」「真音、ゆっくりじゃないと転けるから・・・」...
牧野が温めたPizzaをテーブルに置き、それを広げると出て来たのはLサイズのバンビーノ。バンビーノとはチーズの上にコーンやベーコン、ツナなどをたっぷりと乗せたヤツで、どっちかと言うと甘いタイプだ。そもそもバンビーノとはイタリア語で「男の子」という意味であり、子どもが好きな具材を使用しているためにその名前がつけられたと言われている。そう言うと牧野は「私が子供だと?!」と怒ったが、ある意味大正解だ。「...
真音が保育園に行くようになってから2ヶ月が過ぎた。そのゴールデンウィーク中、店は忙しいのに保育園が休みだからつくしは働くことが出来ない。それは申し訳なかったが幸いにもパート従業員は多かったために、シフトは問題無く組めたようで一安心・・・だから久しぶりに親子で遊びに行くことにした。でも真音はまだ2歳5ヶ月なのでアトラクション系は無理だ。そうなると鑑賞出来るものがいいと考え、大分マリーンパレス水族館 「う...
牧野の様子を見ると、薫子が何か余計な事を話したのかも・・・もしかしたら俺の離婚の事を言ったのか?と若干イラついた。別にバレてもいいけど、それは俺の口から説明した場合のことであって、他人からベラベラと話されるのは御免だ。どうせ真実が伝わらない・・・俺の不実だとか不貞行為だと思ってるヤツもいるし、元嫁を擁護する声も多い。それでも良いと思っての離婚だったんだけど・・・・・・いや、そもそも牧野相手にそんなに感情的にな...
友人になった博美とは月に2~3度会うような関係になった。そしてお互いの家に泊まることもあり、シングルマザーになった経緯も少しずつ話すように・・・でもつくしは本当の事を言えないので、「既婚者の子供を身籠もった」ということにしていた。「え~~~!でも相手の男の人、何もしてくれなかったの?」「うん・・・私も判ってたから・・・」「じゃあつくしちゃんは自分が不倫してるって判ってて?」「・・・だから相手には何も言わずに東...
薫子さんの前で電話が鳴り、それが西門さんと判った瞬間・・・すごく気不味かった。そのまま無視しようかと思ったけど、手が自然に動いて通話をタップ・・・ヤバい!と思った時には遅かった。ただ、この電話が聞かれるワケじゃないし、出ちゃったもんだから急いで耳に当てると・・・『おぉ、お前、今どこにいるんだ?』あんたの彼女の目の前だよっ!!そう言いたかったけどやめて、渋谷の109の前だと答えたら・・・『渋谷か。んじゃ、少し待...
ーー2年後・大分県別府市ーー「まぁ君~~~、お母さんが迎えに来たよ~」桜の花が散る春の夕方・・・保育士の声が響くと、小さな男の子が部屋の窓から外を見た。そして母の姿を見付けると、嬉しそうに笑って手を振る・・・その小さな手に答えるように手を振り返したのはつくしだ。そこはつくしのアパートの近くにある保育園で、この3月から真音を預けていた。本当は4月からの予定だったが、真音の「お試し保育」として1ヶ月の間、2...
ドタバタしたクリスマスが終わり、今度のイベントは自分の誕生日。でも誰とも約束はないし、しかもその日は会社の仕事納めで、誰も私の誕生日なんて覚えてないから今年も1人でお祝いってことで。それも慣れてるからなんとも思わず・・・と思った時に見てしまった右手の指輪。実はあれからずっと付けているんだけど、すでにここが定位置になっていた。内側に彫られてるのは「Lucky27」・・・良いことがあればいいなぁ、と思いながらそ...
控え室から出ると、もう披露宴終了の5分前だった。ゲストハウスの中央にあるガーデンに皆が集まり、そこで類と美央がそれぞれ花束を持って両親に贈呈をした。類から新婦親、美央から新郎親へ・・・ここで遙香は満面の笑みに涙を浮かべ、招待客の拍手を誘った。そして澪が代表謝辞を行い、続いて新郎である類がマイクの前に立った。ただそれは与えられた文章を読んだだけ・・・幸せそうには感じられなかったが、元よりアンニュイな雰囲気...
大きなガラスケース(?)の中にあるバカラのシャンデリア・・・確かに綺麗だけど、それよりもシャンデリアを見ているカップルに目が行ってしまう。私と西門さんもその中にいるんだけど、回りの人からはどう見られているのかと・・・・・・草津に行った時も、ハルニレテラスでもそうだったけど、ここでもやっぱり私達は恋人に見えているんだろうか?そんな事を考えていたら西門さんに電話が掛かり、彼は「ちょっと待っててくれ」と言ってそ...
結婚式が終わり、披露宴会場であるゲスハウスに移った。それは立食形式ののんびりした披露宴で、自由に席移動が出来るスタイル・・・堅苦しいこともなく、新郎新婦のお色直しもない。そんな風に決めたのは類と美央で、その理由は真利愛と一緒にいたかったからだ。どうしても2人がメインテーブルに座ると真利愛の世話を加代がすることになる。もちろん真利愛は加代に懐いていたが、ここは子供の存在をアピールするには丁度良く、遙香...
恵比寿ガーデンプレイスに着いたのは22時で、すでにお店は閉まってた。でもバカラのシャンデリアとかクリスマスツリーは23時まで点灯してるってことで、そこに向かって歩いて行った。まだまだ人は多くて、特に今日は恋人たちでいっぱい・・・恵比寿ガーデンプレイス全体のイルミネーションもキラキラで、そこを歩くだけで幻想的だった。辺り一面シャンパンゴールド・・・こんなの見たらすごく幸せな気持ちになってしまう。結婚して浮...
類とつくしが別れてから2年が過ぎた。今日は類と美央の結婚式が都内のホテルで行われていた。フランスからは類の両親も帰国しており、類の幼馴染み達も全員が出席・・・にこやかなのは良家両親だけで、類は穏やかな表情ではあったが、幸せそうには見えなかった。美央はそんな類の横で静かに微笑み、皆の祝福を受けていた。そんな類が笑ったのは真利愛がリングガールとして出て来た時だけ。2歳と数ヶ月の真利愛だから1人で歩くことは...
とある夏の日、虫たちはとっても元気に過ごしていました。花がたくさん咲いて、草むらには葉っぱが生い茂り、虫たちの食べ物はそこら中にあります。そんな中、キリギリス達は今日も花畑で遊び呆けていました。1番デカいカラフトキリギリスの司は向日葵の葉っぱの上で胡座をかき、美意識の高いヤブキリのあきらはハイビスカスの花の中で歌を歌います。褐色が美しいヒメギスの総二郎は歩いているバッタの女の子に声をかけまくり、並...
むかしむかし、道明寺国に司という王様がいました。王様は我が儘で喧嘩っ早く、家来達はみんな困っていました。王様の方も「俺の言うことが1番正しい!」と言い、大臣達も呆れています。そんな司王は洋服が大好き。気に入ったブランドの服を買いまくり、無駄遣いばかりしていました。そんな時、1人の仕立屋が町に来て、「馬鹿な人間には見えない服を作れる」と言い触らしていました。その噂が城にも届き、仕立屋は司王に呼び出さ...
ぶつかったのは大きな猛禽類で、その頭にはツンツンした毛が生えていました。しかも鋭い目付きをしており、恐ろしい顔に熊のような爪です。つくしは「食べられる!」と思って頭を抱え込みましたが、その猛禽類は襲ってきませんでした。「・・・あれ?」「・・・・・・・・・・・・」「どこ見てるの?」「五月蠅い、黙れ!もうすぐあいつが来るんだ」「あいつ?」「カンムリクマタカの亜門だ!」「亜門?・・・で、あんたは・・・」「俺はオウギワシの司...
とある池のほとりでたくさんの卵を温めていたアヒルのお母さん・楓がいました。そしてそろそろ産まれるという頃、1つの大きな卵以外が割れて、可愛いヒナが誕生しました。しかし、大きな卵はなかなかかえりません。「もうっ!一体いつになったら産まれるんだろう・・・!!あたしゃ仕事があって忙しいのに!」そんな風にイライラしていると、やっと大きな卵からかえったヒナは、それはそれは醜くて大きかったのです。その子には「つ...
「待たんか、コラァ!!」「ぎゃああああぁ~、来たぁ!!」つくしが山を駆け降りていると、その後ろから山姥が追い掛けてきました。その足は婆さんとは思えないほど速く、もうすぐ追い付かれるという時に懐に手を入れ、類和尚さんがくれた2枚目のお札を出しました。「お札さん!お願い、助けて~~~~っ!!」そう言ってお札を投げました。そうしたらお札がクルンと一回転し、ボワンと煙が出たと思ったら、そこから黒いサラ髪の...
昔々ある山寺に類という若い和尚さんと、つくしという小僧さんがおりました。のんびり屋で寝てばかりの和尚さんは、元気がよくて毎日お腹を空かせている小僧さんにタメ口で話され、2人はまるで友達のようでした。そんなある日、つくしは和尚さんに「裏山に行って栗をとってくるように」と頼まれました。「は?和尚さん、知らないの?」「・・・なにを?」「裏山には山姥が出るんだよ?私1人じゃ嫌だよ、絶対行かない!」「でも栗を...
むかしむかし、とある森にお母さん豚と3匹の子豚が住んでいました。お母さん豚の楓は言いました。「そろそろみんな、それぞれの家を建てて暮らしなさい。いつまでも親のすねをかじって暮らすんじゃないよ!財産は自分で築きな!」「は?俺達まだ子供だし」と言ったのは末っ子子豚のあきらです。「だいたい親のすねなんでかじってねぇし。なんもしてくれねぇじゃん」と言ったのは真ん中子豚の総二郎です。「痛い目に遭わされてぇの...
「よっしゃ、じゃあちょっくら天竺まで行ってくるわ」「「「本当に行くのか?」」」「・・・・・・当たり前だろ。姫に頼まれたんだ、行くしかねぇじゃん?」1人目の石作の皇子・総二郎は3人に向かって親指を立てました。でもその胸の内はと言うと・・・『阿呆か!ここから船に乗って大陸に渡り、天竺に行くまでに何日掛かると思ってんだ?そんな馬鹿な事をするわけねぇじゃん♪どうせ姫だってお釈迦様の石鉢なんて見た事ねぇんだから、そこ...
むかしむかし、都の近くに”竹取の翁”と呼ばれる晴男爺さんと、千恵子婆さんが住んでいました。2人の生活は苦しく、食べるものもありません。着ているものはいつもボロボロで、家だって古くて今にも倒れそうでした。それでも他に出来る仕事もなく、毎日竹を切っては細々と暮らしておりました。そんなある日のこと。「爺さんや、今日は山で昼寝せずにいつもより多く竹を切ってくるんだよ!竹カゴをもっと編まないと、来月食べるもの...
新年、あけましておめでとうございます。本年度も宜しくお願いいたします。☆;+;。・゚・。;+;☆;+;。・゚・。;+;☆;+;。・゚・。;+;☆;+;。・゚・。;+;☆昨年中は大変お世話になりました。読者の皆様には沢山の応援コメントをいただき、心より感謝申し上げます。本当は拍手コメントのお返事をしたいのですが、時間が取れなくて申し訳ありません。来年はなんとかお返事できるよう、頑張りたいと思います。サクッと近況報告・・・一昨年体調を壊した母ですが、相...
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桜の茶会が終わると宗家は茶会以外の行事で大忙しだった。まずは光翔の小学校入学で、英徳小学部の制服を着た光翔を囲み、庭の桜の下で家族全員の記念撮影。この時も祐子の悪阻は酷くなく、孝三郎と共に入学式に出席することが出来た。建翔の面倒は志乃さんがみることになり、嬉しそうな顔の3人を乗せた西門の高級車が走り去るのを皆で見送った。英徳の制服は有名デザイナーのもので、カバンもランドセルじゃなく共通の通学バッグ...
夏美さんが呆然としてる・・・・・・流石に自分でも不味いコトしたと思ってる。でも流れた玉子は拾えなかったし、真ん中の穴みたいなところ(ディスポーザー)にス~~~っと落ちていき・・・「どうしましょう、夏美さん・・・」「残った玉子は4個ですから、小さめのを作りましょうか💦」「ごめんなさい・・・」「大丈夫です!これも慣れですからね!」でも玉子をキレイに割ることは覚えたので、気を取り直して玉子4個を割った。そして夏美さんに...
翌日の紅葉の野点では、家元夫人のお茶席で祐子さんと一緒にお手伝いをした。まだまだ阿吽の呼吸とはいかないけど、とにかく自分の出来ることを頑張るしかない。2人とも家元夫人と色違いの着物で、それだけで周りの人達には意味が判ったようでザワザワしたけど・・・それでも笑顔を絶やさず、大失敗をしないことだけを願いながら。野点茶会が始まって2時間後にやってきた花沢類と美作さんは、何故か総二郎のお茶席じゃなくて家元夫...
「はぁ~~~~~!12時になったぁ!」「社食に行く?今日の日替わり、なんだったっけ?」「池上君、今日は13時30分には芝崎産業に行くから遅れるなよ~~」「はい、すぐに飯食ってきます!」「花沢課長、キリがいいところで食事にしませんか?」「・・・ん」・・・なんとか午前中の業務終了。俺も昼食に行こうと席を立った。他の社員のように社食に行ってもいいんだけど、俺の場合は周りにいる社員の方が気にするってことで、いつ...
1時間後・・・・・・クタクタになった私達は母屋に戻っていた。後援会の皆様への挨拶は道明寺達のおかげで滞りなく終わり、むしろ後半はこの人達によって私達の結婚が西門流にとってもこの上ない幸運だと言わんばかりに盛り上がってた。総二郎の親友なんだから特別顧問的な役割は続くのに、オマケに私の後ろ盾だなんて・・・家元ご夫妻も彼らとニコニコしながら会話し、「今日はどうもありがとうね~」なんて言ってる。そして鬼みたいな顔...
マンションに戻ったのは11時30分。ここで夏美さんが「すぐにご飯を炊きましょう」って言いながら、さっき買ってきた食料品の中からお米を取り出した。「お米を・・・たく?」「えぇ、炊飯器で炊くんです。これも忘れました?」「・・・・・・あ、あは・・・あっははははは!」「簡単ですからすぐに思い出せますよ」野菜を炊いたものなら知ってるけど、基本私達のご飯は玄米を蒸して強飯にしたり、水をたっぷり入れて煮るお粥がほとんどだっ...
「つくし様、終わりましたわ」「・・・ありがとうございます、志乃さん。うわぁ・・・私じゃないみたい///」「うふふ、よくお似合いですわ。では総二郎様をお呼びしますね。お客様もすでにお待ちのようですので」「・・・・・・は、はい!」今日は後援会の皆さんとの顔合わせの日・・・家元夫人から譲り受けた色留袖を着て、ドキドキしながら控えの間で待っていた。総二郎が選んでくれたのはすごく綺麗な袷の色留袖で、地色は象牙色、柄はすべて手...
夏美さんとホームセンターに行くと、真っ直ぐ向かったのは「キッチン○○」ってことろ。(↑○○=用品だが、まだ漢字が読めない)そこにはキラキラした(金属)ものが沢山あるんだけど、私には何のことやら・・・だから全部彼女に任せることにした。まずは”包丁”・・・「このまえ買ったかどうか忘れたんですけど、2つあっても良いと思うので」「は~~い」「ぺティナイフも買いましょうか」「・・・は、は~~い」(←わかっていない)夏美さんが...
お義母様との話し合いが終わった翌日から、私はいただいた着物を着て本邸を歩くことになった。そしてここではお義母様から家元夫人に呼び方も変更・・・自分1人では何をしていいのかわからないので、常に家元夫人にくっついていた。玄関の花を変えたりするぐらいなら緊張はしないけど、生徒さんが来たときに挨拶するのは心臓が破裂しそうになる。なんたって生徒さんの半数は名家のご令嬢・・・今はフリーの総二郎がお目当てなんだもん。...
サンルームとやらに干された3日分の下着・・・白に鴇色(ときいろ・ピンク)に空色・・・乾いたらこれを畳んだらいいとのこと。でもそれを何処に仕舞うのかしら?この部屋には唐櫃(からびつ)もないんだけど・・・。出典:e国宝「どこに仕舞っても自由だと思いますけど、確かにお部屋にタンスはないみたいですね~」「服は向こうに置いてあるんですけど・・・」「あぁ、クローゼットですね?でもこんなに広い脱衣場があるし、ここにも棚がある...
つくしと葵が退院してから1ヶ月が過ぎた。梅雨の晴れ間で、気温もそう高くない日・・・・・宗家には客人が来ていた。それは神楽木裕也夫妻で、その手には葵のための祝い着があった。淡い黄色から赤への暈かしがあり、美しい配色の毬に組紐、そして熨斗目が描かれたもので、華やかな芍薬や桜なども。金彩も施され、煌びやかさもある極上のもの。それを見るつくしや祐子は目がテン・・・お袋は涙ぐみながらそれを手に持った。その場には親父...
「まだ始まっていない・・・とは・・・?」「えっと・・・・・・つくしさん、成人してますよね?」「せいじん?」「大人・・・ですよね?」”せいじん”・・・つまりそれが大人って意味?私達の頃は男性は「加冠の儀」つまり「元服」、女性は「裳着の儀」ってのがあった。元服は帝であればおおよそ11歳から15歳まで、皇太子であれば17歳までに行われてたけど、通常14歳前後が多かったみたい。元服式には「理髪の役」と「加冠の役」の役目があって、まず...
出産がこれほどまでに大変だったとは・・・・・・光翔の時には立ち会わなかったからわからなかったし、正直美涼の苦しみや痛みまで考えなかった気がする。でもつくしの様子を見ていると、彼女も必死に産んでくれたのだと・・・・・・もう少し感謝の言葉をかけてやれば良かったと思った。と同時に、これだけの思いをして生んだ光翔を愛おしく思えなかったことに対して疑問が湧いたが・・・「・・・総二郎、どうかした?」「あ、いや・・・なんでもない。...
夏美さんが来てくれたので安心して全身の力が抜けた・・・けど、この人に色々と教えてもらわないといけないので、「よろしくおねがいします!」と元気よく挨拶♪中に入ってもらって、まずは・・・・・・何をする?「え~~~~~と・・・」「あぁ、お茶とか珈琲とかはいいですよ。仕事で来てるので気を遣わないで下さい」「・・・(あぁ、お茶を出すものなのね?そもそも炭汁(珈琲)は作れないし)・・・あはは///すみません」現代社会を知らないフリ...
5月31日は土曜日で、一颯の保育園はお休み。光翔くんの幼稚園もお休みで、子供達は朝から庭で遊んでいた。あんな風に走ったり飛んだり、しゃがんだりが身軽で羨ましい・・・と、自分のお腹をさすりながらそれを眺めて・・・・・・「・・・つくし、平気か?」「へ?あぁ~~~、うん、まだ平気」「陣痛が来る前に入院してもいいんじゃねぇの?」「そんなの病院に迷惑だよ。陣痛間隔が15分ぐらいで行く人もいるんだし」「でも・・・・・・」「そん...
「おはようございます、花沢課長///」「課長、今日も素敵なスーツですね~~♪」「・・・・・・・・・」「無口だけどそこがまた///」←ただの無愛想「ねぇねぇ、今日は少しワイルドな髪型じゃない?」←ただの寝癖「「「花沢課長、おはようございます~~~♪」」」「あぁ、おはよう・・・・・・」「「「きゃあああ🧡今日はご挨拶できたぁ🧡」」」そんな声もほとんど耳に入らず、床の大理石タイルに視線を落として歩いた。頭の中では1人にしてしまった...
墓参りから1週間が過ぎ、明日は桜の茶会。今回もつくしは準備だけで、当日は子供達の世話係。まだ後援会に何も話していないので、姿を見せないように離れで過ごすことにしていた。が、祐子は茶会終了後に挨拶するために数日前からその練習をしていた。お袋から譲り受けた着物を着て、光翔にも着物を着せて・・・その時は流石に一颯の事が気になったが、子供なのであまり深くは考えていないようで助かった。むしろ面倒くさいことをせ...
翌朝、やっぱり私はベッドから落ちて寝ていた。でも類がそこにマットレスってのを敷いててくれたので、今日は身体が痛くないなぁ~と思いながら身体を起こすと・・・もう類はこの部屋にはいなかった。「・・・あ、今日から仕事に行くって言ってたっけ・・・」いつまでも寝てるから、起こさずに出かけたのかと思って飛び起た私。その時にズボンの裾を踏んで転けそうになりなからも、ドアを開けて隣の部屋に行くと・・・・・・「おはよう、つくし」...
桜の茶会の10日前・・・彼岸の日に神楽木家に向かった。車中にはお袋の姿もあり、つくしが後部座席で一颯の相手をし、お袋は助手席。運転席の俺も少しばかり緊張するが、まだ祖母に慣れていない一颯のためにはこの方がいいだろうと思ったからだ。お袋は紫地の江戸小紋に紹巴織の名古屋帯。春らしい着物ではなかったけど、品があり、墓参りに相応しいものだった。「ねぇ、ママ。かぐらぎのおじちゃんはなんのお仕事してるの~?」「...
その日の夕ご飯も誰かが持って来てくれた物をレンジでチンして食べることになった。何度もやったから温めは完璧🧡そしてコンロでお湯を沸かすことも出来るようになった。ここでまた初めての物が出てきたんだけど・・・すごく軽くて四角くて、スカスカしてる?「類、これはどうやって食べるの?このまま囓るの?」「それはフリーズドライの卵スープだよ」「・・・・・・?」「あぁ、フリーズドライって言うのは真空凍結乾燥って意味で・・・・・・わ...
ドレス選びが終わると本格的になったのは英語とフランス語の挨拶だ。これはつくしだけではなく真音と真利愛もなのだが、子ども達は類が教えることになった。つくしには専属の家庭教師がつき、パーティーまでの間、毎日英語とフランス語の講習を受けることに・・・勿論簡単な日常会話のみだが、それでも気が重かった。そんな梅雨の晴れ間の、とある日曜のこと。リビングの真ん中で家族が輪になり、類による子ども達へのレッスン開始だ...
ラーメンを食べたら、まずは手袋を買いに行った。この季節に手袋なんてって思ったけど、作業服の販売店に行くとカラー軍手が売られてるからって・・・「しかも250円ぐらいで買えるんだよ」って爽やかに言われ、最近”○千万円”って言葉に慣れてるせいで逆に驚いてしまった。と言うか、祥一郎さんって西門家の血が入ってるのだろうか・・・?それともあの家を出ると金銭感覚が通常値にもどるのか?じゃあもしかして・・・私の方がバグってる...
それから数日間、つくし達は大きな問題もなく過ごしていた。少しばかり増えたことと言えば、真利愛と真音にパーティーでの挨拶を教えることだった。いくらこの豪邸に住んでいた真利愛でも、ビジネスパーティーには出席したことはない。真音に至っては堅苦しい服を着ることですら初めてだ。だからと言って3歳児に完璧なマナーなど出来るはずもないので、可能な範囲でのこと。特別な講師を招くわけでもなく、加代が教えるのだが、そ...
翌朝・・・サッちゃんは早朝から仕事だから、私が目を覚ましたときにはもう部屋にいなかった。その部屋を見たら、私の荷物がドーンとド真ん中に・・・前に使っていた部屋だけど、今はサッちゃんと野田さんの部屋だから男性用品もあるし、さり気なく結婚式の写真も飾ってあるしで、私はすごく迷惑なことをしたんだな・・・と。なんたって昨日は総二郎と大喧嘩・・・それを新婚のサッちゃんに八つ当たりしまくった気がする。「頭痛いなぁ・・・身体...
その日はいつもより早く帰宅出来そうだったため、類は加代に電話をして、子ども達と一緒に食事をすると話した。すると加代から聞かされたのは今日の昼間の出来事・・・「えっ、真利愛とつくしが?」『はい。そんなに酷い喧嘩ではありませんが、つくし様を突き飛ばすような事をしてしまって・・・』「そう・・・・・・それでつくしは?」『必死に真利愛様を宥めておいででした・・・』「真利愛は?」『まだ謝ってはおられませんが、そのあとは真音...
夕食時、考ちゃんは茶道教室・夜間の部があるとのことでいなかったけど、その席には祥一郎さんが♥見飽きた顔じゃなくて、長男さんがいることを家元夫妻も喜んでるみたい♪特に家元夫人はお母さんの顔になってるし~。「どうなの?お仕事は上手くいってる?」「もうどのくらい手術したんだ?」「まだ勤務して数年だし、そんなに言えるほどじゃないって」「あら、じゃあ一人前とは言えないの?」「欧米だと一人前の心臓外科医になるに...
「つくし、何しているの?」「ん~?えへへ・・・・・・子ども達の服を縫うの。その型紙を作ってるんだよ~」「服・・・つくしが作るの?」「うん!それとね、ぬいぐるみ達の服とか、ランチョンマットとか・・・あ、類のはブルーだよ♪」「くすっ、今日は機嫌がいいんだね」「へっ///?あぁ・・・うん、まぁね~」真音と真利愛が寝てしまった後で類が帰宅し、つくしはその時もテーブルの上に型紙を広げていた。類はそれを覗き込んだが全く判らない...
なんとか巨大迷路を抜け出し、出口前で合流したのは16時。そこに道明寺さんはいなくて、私たちはアイスを食べながら待つことに・・・するとしばらくして数人のスタッフさんに連れられて、ブスッとした彼が戻ってきた。どうやら巨大迷路を破壊したことで、お説教&損害賠償の話があったらしいけど、道明寺さんは「全部立て直してやる!」と即答したらしい。スタッフさんもこの人が道明寺ホールディングスの人(経営側)だとわかり、...
その日の夕方・・・土曜だったので類は早めに帰宅できた。当然それを迎えに出たのは真利愛と真音で、「ぱっぱ~~!」と飛び付いたのは真利愛だ。真音も同じようにしたい様子だったが、真利愛の勢いに負けるのと、まだ素直に類に触れることが出来なかった。そんな真音に気が付いて、類はいつも真利愛の後で真音も抱き上げた。「うわ・・・真音、少し重くなった?」「ほんと?ぼく、大きくなった?」「まいあは~?まいあも大きくなったぁ...
巨大迷路の入り口に立つと、そこには2つのコースがあった。1つは体力勝負のアスレチックコース、もう一つは仕掛けを解いていく知力コース。迷路としての建物は1つだけど、中の通路は巧みに入り組んでいるため2つのコースが交わることはないそうだ。そのどっちに行くかってことで、再びジャンケンすることに。勝った方が好きな方を選ぶことにして、総二郎と道明寺さんがジャンケンすることとなった。「行くぞ、司!」「・・・そん...
つくしが花沢邸に来てから1ヶ月が経過した。それが5月の中旬で、ここで2人は婚姻届けを提出することになった。何故3ヶ月も先になったのかというと、社長に就任した類が多忙だった事もあるが、警察の事情聴取、つくしの税務処理と何かにつけてドタバタしていたのだ。それも全部終わり、類も落ち着いてきたために漸く自分達の届け出に着手できたのだ。しかも類と真利愛は養子縁組をしていたので、その辺りの修正手続きに弁護士を...
いきなり現れたのが恐ろしい顔の人形だったのか、それとも人間だったのか・・・それすらわかんない状況で彼に逃げられたけど、こんなところに1人で取り残されるのもイヤだ!だから楽しむ時間もなく暗闇の中を追い掛けたら、道明寺さんは何にもない壁に両手ついてゼイゼイしていた。・・・まったく、それが30歳の男のすることか💢!!それを怒ることも出来ず、薄気味悪いBGMの中、道明寺さんの背中をポンと叩くと・・・「うわあああぁっ!...
「・・・・・・マジか・・・」「俺、1回入ってみたかった♪」「悪い、俺は絶対に嫌だ。乗り物ならいいけど、あそこは無理!」「・・・・・・・・・は、入るだけなのか?」「うん、入るだけだよ~~♪だってお化け屋敷だもん!自分の足で歩くだけだよ~~」子供の頃からの夢だと言いながら、つくしは薄気味悪い建物の前で立ち止まった。そしてここでも言いだしたのがジャンケン。あきらが絶対に嫌だと言うから、俺と類と司とつくしの4人で2組に分かれ...
先日は大変お騒がせしました。たくさんコメントいただきまして、そのお返事も出来ずに申し訳ありません。多くの方にお話を楽しみにしていると言っていただき、とても感謝しております。しばらくお休みさせていただき少しは落ち着いたのですが、続編のお話で物足りなさが解消できるかどうかを考えると・・・どうなのかな~?と思いつつ・・・でも書いていたものだけは公開して、それでこの話を完全終了させることにしました。なので近々0...
初めはゆっくり動くジェットコースター・・・だんだん心臓がバクバクし始めて、喉がゴクリと鳴った。そうしたら花沢さんがボソッとひと言・・・「ジェットコースターってさ・・・恐怖心とは関係なく気絶する事があるんだよね」「は?」「極端な重力がかかると血液は下半身に集まって脳に届かなくなるから。特に気温の高い日は汗をかいて体内が脱水気味になってるから余計になりやすいんだって」「・・・・・・(今日、暑いけど)・・・」「ジェットコ...
「あ~あ、もう無理か・・・」「美作さん、何が無理なの?」「いや、何でもない(総二郎達のゴンドラからはもう見えない・・・なんて言えないし)。つくしちゃん、あと少しだからしっかり見ておかないと!」「は~~~い!」観覧車の後半になったら美作さんは私と向かい合って座り、何故かニヤニヤしていた。その意味は判らなかったけど、言われたとおりに窓の外を眺めて「もう地面が近くなった~!」と・・・その時目に入ったのはジェット...
遊園地とは文字の如く、楽しく遊べるように、いろいろな遊具やアトラクション、設備を備えた施設。アトラクションの設置に関係なく遊園地と呼ばれている公園もあるんだけど、私の思う遊園地は「乗り物」があること!それは滑り台、ブランコじゃなく、もっとハードでスピード感のあるもの・・・まさか、本当にそれに乗れる日が来るとは・・・っ!!「・・・・・・うっ・・・うっ・・・えぐっ!」「ちょっと総二郎・・・この子、泣いてるんだけど」「悪い...
「ふああああぁ~~~~~~~~!よく寝たぁ~~~~~~~~~~!!」大きく背伸びをして起きたのは6時30分。総二郎がいないおかげで久しぶりに爆睡でき、すっごく気持ちの良い朝だった。カーテンを開けると清々しい朝陽が目に入る・・・「今日は快晴だな~」と呟きながらベッドを降りて服を着替えた。そしてドアを開けて隣の部屋を覗くと・・・ベッドで寝ているのは美作さん1人。花沢さんはソファーで丸くなり、道明寺さんと総二...
私を無視して決められた翌日の予定・・・まさかの、道明寺さん達とのお出掛け?!結婚式の翌日に団体行動?!「ちょっと待ってよ、何処に行くの?」「つくし、行き先が問題じゃねぇよ💢俺達は2人きりでここで過ごし、明日の夜までマッタリするんだから!そうじゃないと明後日からは仕事なんだぞ?これまでの疲れを癒やさないとダメだろ?」「確かに疲れてるかも・・・行き先次第だけど・・・」「そうだなぁ、何処に行きたい?あきら」「俺は...
最後まであきらが仕切った二次会終了・・・考三郎はそれからまた飲みに行くと言い、女達を連れて何処かに消えた。従姉妹・従兄弟達はそれぞれの迎えの車であっさり帰宅。涼子達はつくしよりも景品に浮かれまくり、万歳しながらタクシーに乗った。港に残されたのは俺達5人・・・今日は宗家に戻らず、Tホテルのスイートを予約していたので、そこに向かうと言うと、あきらが「ハネムーンは?」と聞いてきた。答えは・・・「今すぐ旅行には行か...