主に純文学小説を最近は載せています。
連載的でもありますが、大体読みきり作品(一話で完結的な意味を持つ)が多いです。
あれから、約三年あまりの時が過ぎた。ウェイターの男は三十五歳になっていた。今も男は独りで、ずっと暮らしている。だが一月前、男はあの家をとうとう離れた。彼女との恍惚な時間の残骸と化した、あの寒々しく悲惨な部屋を。真っ暗な狭いキッチンで赤ワインを飲むと、それは血に見える。いつものようにウェイターの仕事を終え、帰宅してシャワーを浴びてタオルで髪を拭きながらキッチンで水をグラス一杯飲む。すると髪から水が滴り落ち、グラスの中の水と交じり合う。それが血に見える。電気は点いているはずなのに、まるでこの世界は色を喪ってしまったままだ。もう彼女は、この部屋を訪れることも、その窓を見上げることも、そのドアをkno…
Why The Fuck Did You Eat My Babies?
今週のお題「最近おいしかったもの」 此処は退屈な木漏れ日が落ちてゆく高校。生徒たちは、制服のボタンをそれぞれ一つずつずらし赦された気がして笑った気がした。 その眼差しはまるで黒猫たちとフェレットたちの殺到する空っぽの結婚式場の騒々しい最後の怪談の夜のように繰り返し、繰り返し靴紐を解いて結ぶ壇上から落ちてゆく冷静な起伏の恋。 先生は生徒たちの膝を蹴って白々しい顔で壇上から飛んで言った。 「すべては絡繰(カラクリ)だった。」 その仕草にも、生徒たちは冷静な対応を怠らない。 一人の生徒が手を挙げて先生に向って立ち上がる。 「なぜ複数の『鹿』は『s』を必要としないのですか?」 先生が、「ああ、それはな…
何を隠そう、実はぼくの真の職業は”盗賊”だ。 生活保護を受けているというのは実は嘘である。 今から十年前、働くのが嫌になってから、ぼくは盗賊のSoul(ソウル)に目覚めたってわけ。 だからといって、ぼくは特別悪いことをしているわけではない。 何故かって?それはぼくが盗んでるのは、”人様”のもんではないからだ。 ぼくが盗んでるのは、”人”からじゃない。 つまり人の物は盗んだことがない。 じゃあ、何を盗んでるのかって? ははは。おほほ。君にだけ、では教えよう。 ぼくが盗んでいるのはね…… ふうふうふう。結構歩いてきたな。かなりぼくは疲れた。あれ今日何時から歩いて来たっけ。もう日は完全に暮れちゃって…
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