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2016/10/28

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  • 【社会に上手く適応できない女性が見つけた、創作の救いと業】はるな檸檬『ダルちゃん』

    あらすじ・概要 人間に擬態しているが、ダルダル星人のダルちゃん。ある日、同僚に絡まれたときに仕事仲間に助けられ、それから自分のことを考え始める。彼氏ができ、初めて気兼ねなく話せる相手を得る。詩を書き始めたダルちゃんは、恋人のことを詩に書くが……。 表現することには業がある 生きづらい女性が創作をやって救われる話かと思ったら、もう一段展開が用意されて驚きました。業は深いですが、読んでよかったです。 ダルちゃんの正体である「ダルダル星人」は実際にこういう形であるわけではなく、「社会の『普通』に馴染めない」ことへの暗喩でしょう。そして擬態とは、普通がわからないなりに普通に振る舞おうとしているというこ…

  • ジャック・オ・蘭たんの「テニスの王子様 ドキドキサバイバル」実況を見たメモ

    ジャック・オ・蘭たんの「テニスの王子様 ドキドキサバイバル」の実況を見ました。 「テニスの王子様ドキドキサバイバル」とは、テニスの王子様のキャラクターを攻略できる乙女ゲームです。海編・山編の2通りがあります。キャラクターたちと一緒に無人島に流れ着いたヒロインが、サバイバルをしながら恋愛をします。 内容としてはトンチキで、漫画のゲームでこれをやって許されるのか……と思います。しかしテニスの王子様ファンでこのゲームを悪く言う人を見かけないので、まあまあ受け入れられているようです。 乙女ゲームらしいドキドキイベントをやりつつ、物語のクライマックスでは無茶なことが起こるのが笑ってしまいました。忍足ルー…

  • 【元気なお年寄りとそれに振り回される家族をユーモアを交えて描く】オチョのうつつ『しゃんしゃん婆ミツコ御年90歳!』

    あらすじ・概要 一家のおばあさん、ミツコ。90歳を超えても、家事をやり、重たいものを持ち運び、孫たちと交流している。元気だけれどちょっとわがままで個性的な老人ミツコの姿を、振り回される家族の視点から描いたエッセイ。 元気すぎて元気出る 日頃高齢者介護について悲しい話を読んでいるから、このようなバチバチに元気な高齢者の話を読んで、少し元気が出ました。 元気だし、明るいけれど、決して善人ではありません。結構図々しい一面があるし、意地悪なことを言ったりします。だけど人間味があって面白いです。周りも元気なおばあさんに振り回されつつも、ユーモアあふれる内容になっているのが面白かったです。 人はいつか老い…

  • 【女性芸術家たちは、自分達の地位を上げるためにプロパガンダを描いた】ETV特集「女たちの戦争画」

    あらすじ・概要 戦争中に描かれた『大東亜戦皇国婦女皆働之図』という絵画が保存されている。この絵は当時の女性芸術家たちの合作である。戦争による人手不足によって、女性たちにもチャンスが回ってきた。集まった女性芸術家を率いる長谷川春子は、女性芸術家の地位を上げる好機だと、制作に打ち込む。 プロパガンダとジェンダーをめぐる悲しくやるせない話 非常につらい話でした。 戦時中、物資が不足する中で、画材を手に入れるには手っ取り早くプロパガンダ絵を描いてしまうのが早かったのです。 その上、女性芸術家は周囲に侮られ、男性の作ったものと常に比較される運命にありました。 そんな時代の中、長谷川春子は「男性にも負けな…

  • 【主人公と悪役が作る奇妙な絆】ディズニーアニメ『トレジャー・プラネット』

    あらすじ・概要 聡明だが問題児の少年、ジムはトレジャー・プラネットに向かう宝の地図を手に入れ、冒険へと旅立つ。しかし、ジムに与えられたのは下働きの仕事だった。ガラの悪いサイボーグのシルバーに弟子入りさせられ、掃除や皿洗いをする毎日だったが、シルバーとジムの間には奇妙な絆が生まれ……。 SFと大航海時代が交差する世界観と男と男の関係性 男同士の関係性の話でした。新鮮な内容で面白かったです。 船を乗っとり、宝を独り占めにしようとしていた悪役が、主人公のジムに思い入れを持つようになってしまい、最終的に自分を危険に晒してでもジムを助けます。 「この場面でついついジムのことを好きになってしまったんだろう…

  • 【おばさんおじさん夫婦が、かつての友人の息子に複雑な感情を抱く】林史也『世襲制トライアングル』

    あらすじ・概要 藤木光太郎と冬子の夫婦の元に、ある日、梶原薫という青年が現れる。彼は、孝太郎と冬子共通の友人である、梶原透の息子だった。冬子をめぐって、梶原透と奇妙な三角関係を築いていた孝太郎は、薫と出会ってさまざまな感情を思い出す。なぜ梶原透は、ふたりの元を去ったのだろうか。 関係性は美しいけどベラベラしゃべるおじさんおばさんに違和感がある 面白かったんですが、ひとつ大きなツッコミどころのある作品でした。 三角関係ではあるけれども、三人で安定した関係を続けていられるというストーリーは魅力的でした。 そしてどうしてその三角関係が、瓦解したのかも美しい物語でした。 既存の恋愛における「こうあるべ…

  • 【4コマブログで語る英国の食生活や文化】Kana『三十路だけどロンドン暮らし』

    あらすじ・概要 ロンドンに移住した著者は、日本のグッズを売る店で働き、また、イギリス人の彼氏もできた。ロンドンで暮らしから、おいしい食べ物、日本との文化のギャップ、イギリスでウケる日本文化などを語る。 ポジティブな海外移住エピソード ポジティブで前向きなコミックエッセイでした。海外移住の愚痴のようなものはほとんどありません。 食生活については、突っ込んだ話が多くて興味深かったです。日常で食べるパイや郷土料理、日本食の受容のされ方、食事に関する習慣など。 イギリスの食品スーパーには電子レンジがないというエピソードが印象的でしたね。冷たいお惣菜を買ったら家で温めなければいけない。 ロンドンの人たち…

  • 【プログラマーやエンジニアのための同人活動指南】親方project『技術同人誌を書こう! アウトプットのススメ』

    あらすじ・概要 技術書典やコミケなどの即売会で、「技術同人誌」が注目されるようになっている。技術、特に工学系の分野で、同人誌を作るのにはどうすればいいのか。執筆の心構えから、原稿の作り方、イベント当日にやるべきことまで、技術同人誌の出し方が網羅された本。

  • 【ろう者家族の中でひとりだけ耳が聞こえる少女が、親離れをする】『コーダ あいのうた』

    あらすじ・概要 耳の聞こえない家族の中、ひとりだけ耳が聞こえる人間として生まれて来たルビー。彼女は音楽のレッスンで歌の才能を開花させ、音楽に関する学校に通いたいと思うようになる。しかし耳が聞こえない家族たちは、ルビーが家から離れようとすることに不安と戸惑いを感じる。 親と子どもの青春物語 耳の聞こえる主人公が家族に縛られることをやめ、家族の側も子どもを縛ることをやめる。家族の成長の物語でした。 主人公の家族が、決して悪人ではないながらも、閉鎖的な環境で暮らしてきたゆえに、おかしな言動をしてしまうのが切なかったです。 悪気はないだろうし、実際のところ善意なのだろうけど、こんな言い方しなくていいじ…

  • 【キューバ・エジプト・チベットで漫画を描きながら生活する】ヤマザキマリ『世界の果てでも漫画描き』

    あらすじ・概要 漫画家、ヤマザキマリは、歴史オタクの夫と共に、また、自らも望んで世界を飛び回ってきた。住んだところのそれぞれの文化の面白さ、また、トラブルの内容、出会った人々の濃さを描くコミックエッセイ。 世界を股にかける夫婦のタフさと適応能力の高さ 著者と夫のタフさが印象的な作品でした。著者は幼い頃から外国に憧れ、海外に移住して漫画を描きます。また、著者の夫も極度の歴史オタクで、「興味があるから」という理由で海外に移住し、史跡を巡ります。自ら違う文化の国に赴き、文句を言いながらもそこに適応していく著者夫婦はタフですね。著者と夫のなれそめについても個性的で、「それは恋愛っていうのか?」という内…

  • 【精神の病の診断を受けて迷走するが仕事に救われる】渡辺河童『うつでも介護士:崖っぷち人生、どん底からやり直してます。』

    あらすじ・概要 自営業として働いていた著者は、ある日うつ病になる。何度か自殺未遂を繰り返したものの、訪問看護やヘルパーの人々に助けられる。自分も資格を取ってみようと、学校に通い始めるのだが……。 コミュニケーションを取ることによって自分を知る うつ病患者としての問題、LGBTとしての問題、そして仕事の問題と、さまざまな要素が絡み合った作品でした。 著者のうつはなかなかよくなりませんでしたが、訪問看護を利用したり、ヘルパーの人に助けてもらったりしたことで、少しずついい方向に向かいます。 縁というのは運要素が強いけれど、それでも縁というのはありがたいものだなあと思いました。 介護職は過酷で、精神疾…

  • 【いけ好かない車が田舎になじみ、大切なことを知る】ディズニーアニメ『カーズ』

    あらすじ・概要 レーシングカーのマックイーンは、ひょんなところから田舎町に迷い込み、そこでのトラブルから道をきれいにすることを命令される。もうすぐトップの車を決めるレースが行われる中、しぶしぶ舗装作業を始めたマックイーンは、少しずつ周囲の人たちになじんでいく いけ好かないキャラクターの感情の変化が上手い 「都会っ子が田舎に来て田舎のよさを知る」というストーリーはベタでしたが、描写の上手さが光る作品でした。 主人公マックイーンはいけ好かないやつで、周囲をナメ切っています。彼が徐々に田舎町の車たちに心を許し、本音で話せるようになります。マックイーンが周囲をナメているときと、本音できちんと話すときの…

  • 【ブロマンスをやりつつ子どもへの対応について考えさせられる】ディズニーアニメ『モンスターズ・インク』

    あらすじ・概要 モンスターが暮らす世界。モンスターたちは人間の子どもの悲鳴をエネルギーとして暮らしていた。サリー(サリバン)は、人間の子どもを驚かせ、悲鳴のエネルギーを回収するのが仕事。しかしある日モンスターの世界にひとりの人間の女の子が迷い込み、サリーとその相棒マイクはてんてこ舞いになる。 子どもをパッと見て守りたいと思えるかどうか 幼女を挟んだブロマンスのような作品でした。 幼い子どもを目の前に、庇護欲や父性に目覚め、ブーを守ろうとするサリーと、それについていけないマイク。 男同士の面倒な感情を感じると同時に、「子どもを見てパッと守るべき対象だと思えるかどうか」という描写には考えさせられま…

  • 【登場人物が暗くてだめででも面白い】『フランケンウィニー』

    あらすじ・概要 少年ヴィクターは、自分の友人である犬のスパーキーを亡くして嘆き悲しむ。雷の力を借りてスパーキーを蘇らせるが、その力がクラスメイトにバレてしまう。クラスメイトたちは死んだ生物を生き返らせ、恐ろしい事態になってしまう。 犬だけが友達の男の子が犬を蘇らせる ディズニー映画マラソンをしている中では、ものすごく「正しくない」内容の映画でした。でもそこが面白いです。 町は陰気で、周囲の大人はずるいし、いじめっ子もいるし、信用できないクラスメイトもいます。 そんな町で飼い犬を友達として愛し、死んだ犬を科学の力で蘇らせます。 しかもオチもテンプレ的な展開を通らずそうなるんだ!? と驚きました。…

  • 【恋愛に限らない物語】女と女の関係性を描くおすすめ小説・漫画・映画24選

    作品をいろいろ摂取していると、百合というと大雑把すぎるけれど女性と女性の関係性を描いた作品を見かけます。 今日はそれらの作品で面白かったものをまとめました。 小説 不良少女の漫画を手伝うはめになってしまったけど彼女の夢を応援したくなった『スイレン・グラフティ わたしとあの娘のナイショの同居』 中央アジアの国の、政治と戦争とシスターフッド『あとは野となれ大和撫子』 強烈な個性を持つダンス教師の数奇な過去とは『オリガ・モリソヴナの反語法』 清少納言から中宮定子への熱烈な主従愛『はなとゆめ』 暴走族少女とマスコットの危うい関係『製鉄天使』 京橋のキャバレーで女と女が共同生活を送る『グランドシャトー』…

  • 【災害を経験した子どもたちの心を守り育てる】冨永良喜『大災害と子どもの心 どう向き合い支えるか』

    あらすじ・概要 3.11を始めとする、災害は子どもの心に何をもたらしたのか。被災地に心のケア要員として向かった人々の視点で、トラウマや親しい人の死の受容について考える。傷ついた子どもたちの具体的なケアの内容とは。 安易な気持ちでアンケートを取らない 「心のケア」最前線を知っている人ならではの知識が多く、面白かったです。 印象的だったのはトラウマを抱えた子どもたちについて知りたい、とアンケートや絵を描かせたとき、子どもたちのその後を考えず情報だけ持ち帰るのはよくない、という意見です。 確かに過去を思い出すのはつらいことなのに、アンケートに答えてもその見返りがなく、情報だけ持ち帰られたら大人でもい…

  • 【設定はいいのに終盤が尻切れトンボ】ディズニーアニメ『メリダとおそろしの森』

    あらすじ・概要 王女メリダは弓が好きだが、母親にあれこれ小言を言われながら暮らしてきた。王女として望まぬ結婚をさせられそうになったメリダは、軽い気持ちで魔女の魔法の力を借りてしまう。魔法によって、母は熊の姿に変身してしまった。 男たちの責任に言及されていない 序盤が好きな展開だっただけに、終盤の中途半端な展開が残念でした。 世界観は今日日珍しいがっつりした中世ファンタジーで、イギリスにかつてあったケルト文化をモチーフにしています。画面のそこかしこにケルト要素があって楽しかったです。 倫理観も荒々しく、戦争や闘争が身近な社会であることが、リアルに感じられました。 また、メリダがかなりの武道派ヒロ…

  • 【子ども~思春期時代に読んだ本と進学校での青春】はるな檸檬『れもん、よむもん!』

    あらすじ・概要 はるな檸檬は、子どもの頃から読書好きとして暮らしてきた。夢中になった児童文学や、高校生時代に友人と読んだ過激な内容の小説。大人になった今から振り返る、あのころの本を語るコミックエッセイ。 疎外感を覚える思春期時代の若者にとっての、読書 読書と思春期をめぐり、「あのころどうして本が必要だったのか」を振り返る著者に共感を覚えました。 著者は高校で、偶然同じ名前の「はるなちゃん」という女の子と出会い、仲良くなります。 その、はるなちゃんが著者に貸した本のラインナップが、性的描写や暴力を含むものでした。 著者は、はるなちゃんへの憧れからどんどん借りた本を読むようになります。 思春期の鬱…

  • 【カールじいさん以外の大人が無能すぎ】ディズニーアニメ『カールじいさんの空飛ぶ家』

    あらすじ・概要 カールは、愛した妻を亡くし、孤独に暮らしていた。家は地上げの危機にあり、近所の奇妙な子どもが訪ねてくる。カールじいさんは家に大量の風船をつなぎ、空飛ぶ家を作って、夫婦のあこがれだった南米の滝を目指す。 展開が私の好みではない クオリティは高いけれど私の好みではない作品でした。 人生のすべてを諦めかけ、最後の夢にすがった老人が、子どもや生き物との交流を経て、新しい生き甲斐に目覚める、という構成はよかったです。 妻のことを深く愛していたカールじいさんですが、最後に、家や過去に執着するのをやめ、新しい人生に踏み出していきます。 台詞なしでストーリーが進む場面が多く、ながら視聴にはあま…

  • 【脳に後遺症を負って家事のできない伴侶を理解した】鈴木大介『されど愛しきお妻様 「大人の発達障害」の妻と「脳が壊れた」僕の18年間』

    あらすじ・概要 著者、鈴木大介は、情緒不安定で自傷行為を繰り返す恋人と結婚する。自傷行為は鳴りを潜めたものの、片付けや料理ができない、朝起きてくることができない「お妻様」に強いストレスを感じる。ある日ふたりは短期間で病に倒れ、それをきっかけに関係を見直すことになる。 妻に振り回された日々から、理解のある夫になるまで 「理解のある夫or妻」と言えば聞こえはいいですが、「理解する」までに紆余曲折を経ている家庭は多いのでしょう。この本はそういう家庭のひとつを描いています。 働きながら家事を一手に引き受けていた著者は、頻繁に「お妻様」に苛立ち、小言を言ったりものに当たったりしてきました。 しかし、自分…

  • 【美しい曲に乗せ、英雄マウイと旅に出る】ディズニーアニメ『モアナと伝説の海』

    あらすじ・概要 集落の長の娘モアナは、広い海に憧れていたが、島には「珊瑚礁から外には出てはいけない」という掟があった。村ではココナッツが病気になり、魚が取れなくなる。モアナは故郷を救うため、大海原へこぎ出す。 ストーリーはよくわからないけどノリがよくて楽しかった 面白かったですが、ストーリー的にはよくわからないところも多かったです。 とにかく映像美と音楽が美しく、大海原を旅するモアナとよく合っていました。 ところどころで同じメロディが繰り返され、しかもそれが登場するたびに意味が変わっていきます。繰り返すたびに言葉の意味が変わっていくのはロマンチックでいいですね。 マウイもテンプレ的なイケメンで…

  • 【女性キャラが男性の衣装を着て戦争に従軍】ディズニーアニメ『ムーラン』

    あらすじ・概要 とある国で異民族の侵略が始まり、男たちは徴兵されていった。少女ムーランは、体調が悪い父親に代わり男装をして軍に入る。そこで厳しい訓練を受け、兵士となった。ついに本格的な戦闘が始まり、ムーランは機転を利かせて武功を上げる。 男装をやめても弱い女性に戻るわけではない 男装の女性が女性には行けないところにたどり着き、最後に女性の姿で状況を打破する構成が美しかったです。 男装ヒロインは好きですが、結局女に戻って男に愛されるのが幸せなんだ、というオチになると今までの展開は何? となってしまいます。ムーランは結果的には女性の姿に戻りますが、それは男の状態より弱くなったわけではありません。 …

  • 【限界を迎える前に支援する】田中俊英『「ひきこもり」から家族を考える 動き出すことに意味がある』

    あらすじ・概要 家から出られない、働けない人々、ひきこもり。ひきこもりの家族を支援し、ひきこもる人を社会に繋げるには何ができるか。具体的な対策とともに、子どものひきこもりによって孤立する家族について考える。 トラウマを探るのが正解ではない ひきこもり論は抽象的な話になることも多いですが、この本は具体的な行動が書かれていて興味深かったです。 精神科医やカウンセラーは、過去のトラウマを探りがちなのですが、家族の側から見ればそれは必ずしも正解ではない、ということなのでしょう。 「ひきこもりになった理由を親に求めなくてもいい」と言うように、一旦理由や原因は横に置いて、できることから始めていくのが大事な…

  • 【囚われの身になった実妹を彩禍と無色が助ける】橘公司『王様のプロポーズ3 瑠璃の騎士』

    あらすじ・概要 彩禍と無色の元に届いた、不夜城瑠璃の結婚の報告。不審に思った彩禍と無色は、不夜城本家のある<方舟>に乗り込む。瑠璃の本心を聞き、瑠璃を取り戻すため、<方舟>と不夜城本家の内部を探る。 本当に実妹だったのか…… ハーレムヒロインの中に妹がいるということで、「血が繋がっていない設定になるんだろうなあ」と思っていたら本当に実妹で驚きました。しかもその倫理の解決方法が大胆でした。確かにファンタジーなら近親婚のリスクがどうとかはファンタジーで解決してしまえばいいんですよね。目から鱗でした。 今回のメインヒロイン瑠璃は「お兄ちゃん」と「彩禍様」両方好きなので、無色と彩禍の三角関係がめちゃく…

  • 【ギランバレー症候群を持ちながらギャンブル依存の父と暮らす】たむらあやこ『おちおち死ねない~借金だらけの家で難病になった私のライフハック~』

    あらすじ・概要 ギランバレー症候群という難病にかかってしまった著者。しかし父親のギャンブル依存のせいで家計は火の車だった。父親は心を入れ換えて働くようになるも、次々と困難は襲ってくる。果たして著者は落ち着いた患者生活を送ることができるのか。 たまたまこういうルートをたどる人もいるけど基本は福祉を頼れ 本当にたまたま自力でギャンブル依存を治せる人でよかったです。 『ふんばれ、がんばれ、ギランバレー!』と内容がかぶる部分もありますが、今回はギャンブル依存の父親との関係を描いた作品です。 著者はお金がないのが当たり前のようになっているので、あまり悲壮感はありませんが、他人から見るとかなり痛々しい雰囲…

  • 【デビルと呼ばれた女が過激な衣装で暴れる】ディズニー実写『クルエラ』

    あらすじ・概要 少女、エステラは母親を亡くし、泥棒の少年ふたりと暮らしてきた。ある日エステラはあこがれだったファッションデザイナーの元で働けるようになったが、そこは最悪の職場だった。そして、エステラが母の死の真実を知ってしまったことから歯車が狂い始める。 過激だけどビターで切ない映画 倫理のない女が倫理のない女と戦う話であり、どこかビターでままならない気持ちになる話でした。 クルエラが「実はいい人」として扱われない代わりに、悪役がクルエラよりよほど倫理がないキャラクターとして描かれています。復讐譚だけど悪い女と悪い女が戦っているからエンタメとして楽しめるんですよね。 そして戦う手段がファッショ…

  • 【ヨロコビやカナシミなどの感情たちを擬人化した頭の中】ディズニーアニメ『インサイド・ヘッド』

    あらすじ・概要 11歳の少女、ライリーの中にはいろいろな感情がある。その感情のひとつであるヨロコビは、事故でで頭の中の司令部から遠く飛ばされてしまう。一緒に飛ばされたカナシミと一緒に、ライリーを幸せにするために司令部に戻ろうとするが……。 悲しみも必要な感情だと説く エンターテイメントというより寓話的な話です。人の頭の中を映像化する試みが面白く、楽しめました。 根暗な人間としてはヨロコビの空元気がうっとおしく、押しつけがましく感じました。無意識にカナシミを見下しているところも。しかし、最初の段階で「これは、カナシミが再評価される話なのだろうなあ」とわかる内容でしたからいらついていても見られまし…

  • 【アイドルオタクの中華系少女が変身能力を得て大暴れ】ディズニーアニメ『私ときどきレッサーパンダ』

    あらすじ・概要 優等生のメイは、実はアイドルオタク。彼女はある日レッサーパンダになってしまう。それは一族の特異体質であり、儀式を行えばレッサーパンダは体から出ていくらしい。しかし、メイはアイドルグループのチケット代ほしさに、レッサーパンダの外見を利用して……。 オタク少女が自信を持つまで 主人公がアイドルオタクな作品です。キラキラしたオタクの上澄み層ではなく、限界になったり無理になったり号泣したりするオタクが、露悪的にも自虐的にもならずに描かれているのがよかったです。 メイは冴えない外見ですが、冴えない外見のまま、自分にできることを見つけて自信を持つところがよかったです。そして外見がさほど変わ…

  • 【漫画家が憧れの国に移住して楽しんだり苦労したり】市川ラク『わたし今、トルコです』

    あらすじ・概要 トルコの文化が好きな著者。親の介護が始まらないうちにと、トルコで暮らすことを決意する。トルコでの生活はホームステイから始まった。政情が不安定で、日本と価値観の違うトルコでは、いいことも悪いことも起こって……。 トルコで起こるテロや襲撃事件、性暴力の問題など トルコの文化が好きでトルコに移住した著者ですが、そこには好きという感情だけでは済まされない事情がありました。 あまりにもテロや襲撃事件が多いトルコに対して、ロシア人が語学学校で怒りと不安をあらわにします。しかしトルコ人の教師は「生まれた国がたまたまそういう場所だったんだ」というドライな対応をします。 海外のどこかの治安の悪さ…

  • 【日本の問題】貧困について知りたい人のためのおすすめ本・漫画・映画28選

    訳ありの人に興味があるので、その影響で貧困にまつわる本・漫画・映画は結構見ています。 今日はその作品をまとめてみました。 本:ノンフィクション 共働き世帯が広げてしまった社会の格差『結婚と家族のこれから 共働き社会の限界』 東京の「女性の貧困」を追う上で見えてきたもの『東京貧困女子。 彼女たちはなぜ躓いたのか』 子どもたちの貧困のリアル『子どもの貧困連鎖』 九州の炭鉱で働いていた人々が語る、生き延びるための物語『地の底の笑い話』 「頑張れない」「我慢ができない」子どもたちをどう助けるか『ケーキの切れない非行少年たち』 ギャンブルにはまる人々をどう救い、社会に戻していくか『ギャンブル依存症』 ヤ…

  • 【特殊詐欺や女性搾取を行う形なき犯罪組織】NHKスペシャル取材班『半グレ 反社会勢力の実像』

    あらすじ・概要 既存の暴力団の上下関係にとらわれず、集合と離散を繰り返す犯罪組織、半グレ。その犯罪の手口や、組織のなりたちとは。NHKのドキュメンタリーを文字にまとめ、半グレたちのその後を加筆した新書。 暴力団とは違う分裂と集合を繰り返す犯罪組織 さらっと読めますが、本としてはまとまった内容で面白かったです。 半グレの特徴は、暴力団の上下関係に当てはまらず、分裂と集合を繰り返すこと。ゆえに幹部や犯罪の発案者を検挙することが難しいです。 また、犯罪の仕事と正業の仕事が境界線なく混じり合い、一見すると普通の会社に見える団体も多いです。実際、反社会的な仕事で稼いだお金でクリーンな仕事を起業する人もい…

  • 【美味しい絶滅危惧種のために市民ができること】海辺建三『結局、ウナギは食べていいのか問題』

    あらすじ・概要 多くのアジア人に食されていながら、絶滅の危機に瀕しているウナギ。100年後もウナギを食べ続けるために何をすればいいのか。ウナギの科学者が、Q&A形式でウナギの疑問に答える。今までの固定観念を払拭し、科学的な観点からウナギを守る方法を模索する。 ウナギの科学者がウナギへの思い込みを斬る ウナギの研究者がウナギに対する思い込みをばっさばっさと斬っていって気持ちがよかったです。斬ると言っても「科学的な根拠は今のところない」とか「そういうデータは今はない」とかそういうのですけど。 ちゃんと断言をしないところが科学者です。 著者は、「消費者がウナギを食べないこと」よりも「違法行為が常態化…

  • 【設定はいいけど異性愛至上主義すぎる】ディス二―アニメ『プリンセスと魔法のキス』

    あらすじ・概要 レストランを開く頭金を貯めるため、毎日働き詰めのティアナは、ある日お金持ちの友人のパーティーに生き、そこでカエルになったナヴィーン王子と出会う。呪いを解くキスを乞われてお金のためにキスをするが、逆にティアナもカエルになってしまう。ふたりは呪いを解くためにカエルの姿で奔走する。 設定は面白いのにストーリーにツッコミどころが多い 設定は面白かったですが、ストーリーにはツッコミどころが多かったです。 ヒロインが努力家で、プリンセスに憧れない現実主義者。しかし努力よりも大事なものを見つける……という話で努力よりも大事なものに「恋愛」を持ってくるのは異性愛至上主義すぎます。多様な愛のひと…

  • 【政府組織の中で反貧困を唱え続ける】清水康之・湯浅誠『闇の中に光を見いだす 貧困・自殺の現場から』

    あらすじ・概要 自殺対策に関わってきた清水康之と、貧困対策に関わってきた湯浅誠。政府の貧困政策のこれまでとこれからについて、対談形式で語り合う。政府内部から貧困・自殺の政策を打ち出そうとしてわかったことは、官僚や政治家たちの貧困への理解のなさだった。 政府内部から社会を変えようとするのは大変 タイトルから想像したのとは全く違う内容でした。面白くはありましたが。 著者ふたりは、反貧困の活動をする中で政府と関わることになります。政府中から社会を変えようとしますが、貧困に陥る人々への無理解に苦しみます。 活動家が政府と関わるとき、「政府と関わって牙を抜かれてしまった」ということを言う人はいますが、そ…

  • 【ジョジョを怪奇映画へ換骨奪胎】『岸辺露伴ルーヴルへ行く』

    あらすじ・概要 漫画家、岸辺露伴は漫画の取材でオークションに行き、そこで真っ黒な絵を買い求める。露伴は、初恋の人、七瀬に「この世で最も黒い絵」について説明されたことを思い出す。フランス、ルーヴルに向かった露伴は、キュレーターの助けを借りてそこで最も黒い絵を探し出す。 面白かったけれどTVシリーズより展開が遅め 面白かったけれど私はTVシリーズの方が好きだなという感じです。理由は後述します。 最近ではこれほどスケールの大きな日本映画をなかなか見ないので、それだけで楽しくなってしまいます。 ルーブルに実際に行って撮影したのももちろんですが、小道具ひとつ、衣装ひとつから手間がかかってていいですね。 …

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