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2016/10/28

  • 平凡な召使いが魔法使いの教育を受けて王様になる―『王様の剣』

    あらすじ・概要 ワートことアーサーは、養い親の息子の召使いとして暮らしていた。ある日ワートはマーリンという魔法使いと出会う。未来を見たことがあるというマーリンは、ワートに現代的な学問を教え、暴力ではなく知恵で困難を乗り切る方法を教えようとする。ワートは戸惑いながらもマーリンに学ぶが……。 価値観古いけどだらだら見る分にはいい すごく面白いわけではないですが、だらだら見る分にはいいかなという映画です。 脚本は正直ガバガバで、起承転結がちゃんとしていないし、肝心のワートが剣を引き抜くくだりも唐突で今までのストーリーとあまり関係がありません。 いわゆる「おばさん」属性に対する態度もひどいです。かわい…

  • 鬼の歴史と女性やマイノリティと鬼との関係―小山聡子『鬼と日本人の歴史』

    あらすじ・概要 日本人に怖れられ、またユーモラスに描かれてきた「鬼」。その存在はどうやって確立し、文化の中でどう扱われてきたのか。中国から入ってきた鬼の概念から、節分の成立、鬼とマイノリティの関係など、鬼と日本人の歴史について語る本。 女性に押し付けられた「鬼」の概念 若者向け新書レーベルでありながら、鬼と差別の関係について突っ込んだ話をしていて好感を持ちました。そのあたりをあやふやにして書く学者も多いですからね。 怪異や妖怪、人ならざるものの表現は、その当時マイノリティだったり、抑圧されていたりする属性と深く結びついています。 障害を持つ子どもが鬼子とされ、凶兆として恐れられ、親に捨てられる…

  • 倫理のない世界で妄執的な作画の良さが光る―『ふしぎの国のアリス』

    あらすじ・概要 少女、アリスはある日時計を持って走る白うさぎを目撃し、その後を追う。穴に落ちてたどり着いた先は、おかしな動物や人間だらけの世界だった。体が大きくなったり小さくなったりし、マッドハッターのお茶会に参加し、たどり着いた場所はハートの女王の城。アリスは女王とクロケーをするが……。 徹底したナンセンスさの中に作画のすごさを感じる 元々の原作に倫理がないのもあるでしょうが、今のディズニーでは考えられないほど倫理のないシーンが多くて驚いてしまいました。 セイウチが牡蠣を騙し討ちして食べてしまったり、ドードーがアリスのいる家を焼こうとしたり、歌の中身もだいぶどうかしていました。 動物がキャラ…

  • 死にかけの女性にガチ恋する主人公が世界を救う―橘公司『王様のプロポーズ 極彩の魔女』

    あらすじ・概要 瀕死状態の女性に一目惚れした少年、無色。無色はその最強の魔術師女性彩禍と融合してしまった。彩禍を守るため、魔術師の学校に入学することを受け入れた無色は、最強の能力に戸惑いながらも彩禍として生活する。 リアリティはないが作品の中では辻褄が合っている 超絶美女とはいえ、死にかけの女性にガチ恋する主人公無色がヤバい男すぎて笑いました。 恋愛としてのリアリティはないんですが、無色が彩禍にガチ恋することによっていろいろな展開に説明がつくようになっています。 彩禍を殺しかけた犯人を探します→彩禍のことを好きだから協力します。 世界の命運をかけて戦います→彩禍のことが好きだから彼女の守る世界…

  • 嘘つきな偽霊感少女が幽霊と一緒に除霊―『さびしがりゴースト』

    novelgame.jp あらすじ・概要 主人公、うららはクラスメイトに霊感があるふりをし、周りの気を引いていた。そんな折、うららは幽霊の恋(こい)に出会う。恋に除霊を手伝わせることで、うららは本物の霊感少女のように振る舞う。しかしうららの前に本物の霊能力者が現れて……。 癖のあるエンディングがよかった ほぼ一本道のノベルゲームで、最後だけ選択肢で分岐します。プレイする小説といったところ。 ホラーな描写はほとんどありませんが、一瞬だけ怖いシーンがあります。 主人公、うららが承認欲求に飢えており、なおかつ調子よく恋を利用するところに笑ってしまいました。でも青少年ってこんなものだよな、とも思います…

  • 図書委員男子ふたりの謎解きと繊細な友情―米澤穂信『本と鍵の季節』

    あらすじ・概要 「僕」こと堀川と松倉は、図書委員の高校生。堀川は、松倉と一緒に学校や町で起こる小さな謎を解いていくこととなる。開かずの金庫の鍵を開け、自殺した学生が読んでいた本を探すなどするうちに、堀川は松倉の態度に違和感を持つ。やがて松倉の抱えている謎を知ったとき、堀川は……。

  • 結城紬について知るPR漫画―細川貂々『てんてんと歩くキモノみち 紬からはじめました』

    あらすじ・概要 着物にあこがれながらも、その難しさに挫折していた著者。そんな中、結城紬の関係者に漫画の依頼を受ける。結城紬の肯定や特徴について学び、ついには結城紬を着ることに。結城紬に関わる人たちの悩み、そして結城紬を後世に伝えようとする活動とは……。 文化財になることのデメリット 著者が結城紬関係者から依頼を受けて執筆した、いわばPR漫画のようなものなのですが、それでも結構知らないことが多くて面白かったです。 ただタイトルで「結城紬」の漫画であることがわからないので、そこはタイトル詐欺ですね。 面白かったのは結城紬が文化財に指定されることによって、結城紬の価格が高騰してしまい、「贅沢品」とし…

  • 自死遺族の苦しみとこれからできる支援―杉山春『自死は、向き合える 遺族を支える、社会で紡ぐ』

    、 あらすじ・概要 生きる苦しみによって自ら命を断ってしまう人がいる。自死の悲しみは、当事者だけではなく家族も襲う。自死遺族たちが受けた差別や社会への疎外感、また対策について述べる。自死する人を減らし、自死遺族たちを支援するために、社会は何ができるのだろうか。 自死遺族たちが受けた差別がつらい かなり重たい内容の本で、得に自死遺族たちが受けた差別やいわれのない噂については心が詰まりました。 「家族が自死に追い込んだのではないか」と疑われたり、自死について語ろうとしたときに相手にかたくなに拒否されたり、読むだけで悲しい気持ちになりました。 本の中で繰り返し語られているのは自死遺族同士のコミュニケ…

  • 発達障害の夫が壊れかけた家族を再構築する―遠藤光太『僕は死なない子育てをする 発達障害と家族の物語』

    あらすじ・概要 大学を出てすぐに若くして結婚し、子どもをもうけた著者。しかし強いうつ症状に襲われ、復帰と休職を繰り返してしまう。家族がばらばらになりそうな中、著者は自分が発達障害であることを知った。発達障害の特性を考えながら、家族を再構築していく作業が始まった。 発達障害者も家族と一緒にいられるという救い 社会人として、労働者として世の中に適応することができずに、うつで家で療養せざるをえなかった著者。「男は外に出て家族を養わなければならない」「既婚の男がアルバイトをしているなんて恥ずかしいことだ」と自分自身のテンプレートな男性観にも悩まされます。 ある程度社会に適応することができていた時期もあ…

  • 食品アレルギーの子どもを育てる上での悲喜こもごも―カラスヤサトシ『0歳からのアレルギー戦記~牛乳・卵・小麦がダメ!』

    あらすじ・概要 結婚して子どもをもうけた著者。しかしその子どもには食品アレルギーがあった。アレルゲンを含む食品を避けたり、気軽に他人と食事できなかったり、アレルギーの子どもと暮らすことは大変なことも多く……。 食品アレルギーの子どもと暮らす人ならではのストーリー 興味深かったのは子どもがアレルギーと診断されて複数の医療機関を受信した著者の妻が、そこで一切統一されていない助言を受けたシーンでした。 ステロイドはどんどん使うべき、あるいは使うべきではない。そしてアレルゲンとなる食品は少しずつ食べさせるべきである、あるいは一切食べさせてはいけない。 このような医療機関の意見が一致しないところを見ると…

  • 介護殺人の恐ろしさと、防ぐために世の中は何ができるか―毎日新聞大阪社会部取材班『介護殺人 追い詰められた家族の告白』

    あらすじ・概要 社会問題になっている介護のこと、そして思いつめた結果介護していた相手を殺害してしまう人がいる。毎日新聞大阪社会部取材班は、介護殺人をしてしまった人々に取材を申し込んだ。重たい口を開いた彼らが語るのは、壮絶な介護の実態だった。加害者の立場から介護殺人防止を考える本。 加害者はもちろん自分が介護した相手のことについて話したくないので、何度も取材を申し込む取材班に対して冷たい反応をする人も少なくありません。それでも勇気を出して介護殺人について語ってくれた人たちがいてくれてよかったと思います。 印象的だったのは、介護殺人をしてしまった人の多くは、真面目に介護を行い介護する相手を深く愛し…

  • 大阪環状線に謎のおばけが現れるオカルトSF―白井弓子『大阪環状結都市』

    あらすじ・概要 大阪で警察官として働いていた森かなたは、大阪環状線を監視し守るOシステムで「何か」を見てしまう。その「何か」は「みぎわもん」と呼ばれる大阪に現れる超常のものだった。かなたはみぎわもんをめぐる戦いに巻き込まれていくが、それにはかなたの行方不明になった妹、しおりも関係しているようで……。 大阪ネタがニッチなローカルオカルトSF 大阪ローカルSFということで一度読んでみたかったんですが、思った以上に大阪要素が濃いです。マチカネワニ(大阪大学敷地内で見つかったワニの化石)とか、鶴橋駅で「ヨーデル食べ放題」のチャイムが流れるとか、某アイドルがやっているひらパー兄さんとか、ちょっと笑ってし…

  • トンチキとリアルが交差する京都ファンタジー―森見登見彦『夜は短し歩けよ乙女』

    あらすじ・概要 とある乙女に一目ぼれした「私」。「私」は乙女の視界に入ろうと彼女を追いかける。一方乙女も、夜を歩くうちに京都で起こる不思議なできごとに巻き込まれ、その中で大活躍する。 小説でないと生まれえないシーンがある 基本的にリアリティのないトンチキファンタジーなのですが、ところどころに京都での大学生生活の丁寧な描写があり、幻想と現実を行き来する話でした。 あり得ない展開を何度も重ねながら、古本市に並んでいる本のタイトルの「らしさ」だったり、大学の学園祭の「ありそう」な展示だったり、ふとしたときに現実と繋がる感覚を持ってしまいます。そういう瞬間はどきっとしました。 絶対に現実に起こりえない…

  • 科学者だって間違うしその場の雰囲気に流される―藤野豊『強制不妊と優生保護法 "公益"に奪われたいのち』

    あらすじ・概要 障害者やハンセン病の人々に不妊手術を施した悪法、優生保護法。その法律はどのように作られ、どのような歴史をたどったのか。優生保護法の現在までを振り返りながら、優生主義の恐ろしさ、愚かさを伝える本。 科学者だって過ちを犯す 薄い本ですが、なかなかつらい内容の本でした。 歴史に残る悪法である優生保護法の成立から、その運用の歴史が書かれています。 優生保護法の影響を受けたのは、知的・精神障害の人、ハンセン病の人、水俣病の人など多岐に渡ります。特に水俣病と優生保護法に関係があるとは知らなかったので、その部分は興味深く読みました。公害でひどい目に遭った上に子どもを生むことにまで干渉されるの…

  • コンビニ夜勤をする吸血鬼が女子高生の問題を解決―和ヶ原聡司『ドラキュラやきん!』

    あらすじ・概要 吸血鬼の虎木は、コンビニ夜勤をしながら人間世界で生活していた。そんな虎木の家にシスターが転がり込んでくる。彼女、アイリスは人ではない存在「ファントム」を狩る存在だった。そんな中、コンビニ店長の娘が怪しげなライブハウスに通っていることが判明し……。 現代に生きる吸血鬼が事件解決 コメディかと思ったらどちらかというと事件ものでした。 虎木が家に転がり込んできたヒロイン、アイリスと共に怪しげなライブハウスにのめり込む女子高生を助けます。 ヒロインのアイリスが年下の女の子には優しく、お姉さんの立場で接するのがよかったです。ちゃんと自分は助ける側であるという自覚のある女性っていいなと思い…

  • 子育てをテーマにしたコミックエッセイおすすめ27選

    ChatGTPに提案されたまとめ記事を書いてみようシリーズ、今回は子育てをテーマにしたコミックエッセイおすすめまとめです。 私が福祉や障害のある子どもの生活に興味があるので、そういうコミックエッセイが多くなっています。 職場復帰後奔走する女性と、働く母親への差別『いけいけどんどん!ワーママ奮闘記』 小六にして中学受験をしたいと言い出した息子を応援する夫婦―細川貂々『なぜか突然、中学受験』 ダウン症の子育てを明るいコメディタッチで描く『ユンタのゆっくり成長期 ダウン症児を育てています』 親のもやもやがわかっていたたまれなくなってきた『ママぽよ アンとリュウ 就職できるかな?』 だめだけど自分に酔…

  • 政治学者が学問的正論が通用しない「PTA」の世界で気づいたこと―岡田憲治『政治学者、PTA会長になる』

    あらすじ・概要 政治学者・岡田憲治は他人からの強い推薦によってPTA会長になるが、そこは非効率、非論理的な活動に満ち溢れていた。会長としてPTAのスリム化を目指すが、そんな著者に反発する人も多く……。保護者による「自治」の中で、人間同士の政治を考える実録エッセイ。 正論だけでは回らない実際の日常の政治 政治学者である著者がPTA改革に挑戦する話ですが、単純な「賢い俺と無知蒙昧な人々」という構図ではなく、ややこしい人と人が共存する難しさが描かれています。 著者の提案に対して「やったことがない」「今までしてきたことを簡単に変えていいのか」と反発する人々。その姿は愚かに見えますが、読み進めるうちに単…

  • 「政治をやる障害者」が語る戦略的にマイノリティ向け制度を作る方法―伊藤芳浩『マイノリティ・マーケティング――少数者が社会を変える』

    あらすじ・概要 聴覚障害者として、NPO「インフォメーションギャップバスター」で活動してきた著者。この団体は聴覚障害者向けの電話リレーサービスや東京オリンピック開閉会式におけるテレビ放送の手話通訳の導入を実現させてきた。300人に1人の聴覚障害者が、自分たちのための政策を実現していくための方法とは……。

  • 職場復帰後奔走する女性と、働く母親への差別―あい『いけいけどんどん!ワーママ奮闘記』

    あらすじ・概要 育児休暇の後、会社に復帰することになった著者、子どもと長く過ごせなくなることを悲しく思いながらも、好きなデザインの仕事を必死で頑張る。ときに夫といさかいながらも、何とか仕事を続ける一方、職場からは収入の当てにしていた手当をなくされてしまい……。 働く女性への差別ってこういうものなんだなあ 表紙から子どもによってドタバタしているだけのコミックエッセイかと思ったら、働く女性の今現在の状況について考えさせられる内容でした。 育児休暇から復帰し、ときに夫ともめたり、子どもと長く過ごせないことにネガティブになったりしつつも、何とか「ワーママ」として滑り出したように見えました。 しかし会社…

  • サロメ嬢のダンガンロンパ実況を完走したメモ

    元々はあまりゲーム実況を見なかったのですが、最近は心境の変化があって見るようになりました。 ゲーム実況はおそらく自分ではクリアできない、あるいは自分からやらないような作品のものしか見ません。自分でやるならなるべくネタバレなしでやりたいからです。 サロメ嬢が、「おそらく自分ではやらないだろうなあ」と思っていたゲーム、ダンガンロンパを実況していたので視聴しました。 www.youtube.com サロメ嬢のことを知らない人たちにざっくり説明すると、サロメ嬢はにじさんじのバーチャルYouTuberであり、ゲーム実況を主なコンテンツとしています。 そしてダンガンロンパは「超高校級の〇〇」と呼ばれる学生…

  • 小六にして中学受験をしたいと言い出した息子を応援する夫婦―細川貂々『なぜか突然、中学受験』

    あらすじ・概要 漫画家・イラストレーターの細川貂々と専業主夫のツレの間に生まれた息子、ちーと君。小学6年生になった彼は突然中学受験をしたいと言い出す。戸惑いながらも、夫妻は息子の受験勉強を応援するために奔走する。 本人がやりたいことをどう応援するか お受験の話というと、「子どもにいい学校に行かせたい」と意気込む保護者のに気おされて、ちょっと距離を置いていたんですが、この本は楽しく読めました。 まず親がいい学校に行かせたいからではなく、子どもが「中学受験をしたい」と言い出したところから始まります。当時は小学6年生の一学期が終わったころ、細川貂々夫妻は中学受験について全く準備をしておらず、息子のそ…

  • もっと童話要素の強いまま突っ走ってくれればよかったのに―三方行成『トランスヒューマンガンマ線バースト童話集』

    あらすじ・概要 遠い未来、人間が人格をデジタル世界にコピーしたり複製したりが可能になった。「トランスヒューマン」と呼ばれるようになった人類は電脳世界と現実世界の両方で新しい人生を謳歌する。そんな中に、姫君や翁がいて……SF世界で童話パロディをする連作短編集。

  • 古代日本の世界で少数民族の少女と大王の血を引く男が出会う―円堂豆子『雲神様の箱』

    あらすじ・概要 双子の姉の罪をかぶって土雲の一族を追い出され、雄日子という男に仕えることになったセイレン。セイレンは固定観念に囚われない雄日子の人格に惹かれていく。一方で、大王の政治に不満を持った人々によって、政治の世界は不穏さを増していた。

  • 清少納言から中宮定子への熱烈な主従愛―冲方丁『はなとゆめ』

    あらすじ・概要 宮中に出仕することになった清少納言は、そこで中宮定子の聡明さ、優雅さに惹かれる。中宮定子や貴人たちとの交流に、頭のいい清少納言は機転を利かせて雅に答え、それを評価される。しかし次第に、藤原道長の権力が、中宮定子にまつわる人々を脅かし始める。 思い出が今を肯定してくれる 恋かと思うくらいに熱烈に中宮定子を愛する清少納言、しかし彼女にも夫がいるし定子は一条帝の正妻です。 もうここまで来ると男女CPを前提にした百合という気がしてきます。 実際、清少納言は「中宮の心を独占してみたい」という思考に近いところに至ります。異性愛の規範にどっぷりつかりながらも、定子という女性に焦がれあこがれ、…

  • 「わたし」が小さくなって大冒険―田中ロミオ『人類は衰退しました2』

    あらすじ・概要 妖精さんが作った計量スプーンを手に入れた「わたし」。それを頭につっこむと、みるみるうちに体が小さくなった。「わたし」は小さいまま外の世界で大冒険をする。「わたし」と「助手さん」の出会いを描くタイムスリップストーリー含む二編を収録。

  • 子どもになった親のために施設探し―細川貂々『親が子どもになるころに――てんてん、介護問題に直面す。』

    あらすじ・概要 漫画家の著者にはひとり暮らしの父がいた。仕事を続けまめに掃除をし、生活を続けていた。しかしあるときから認知症の兆候が見え始め、施設に入れることを考え始める。施設探しの日々、ままならない父親の行動を描きながら、子どもが老いた親を世話することを考える。

  • 男性の視点から男性の暴力を阻止するためにできること―多賀太・伊藤公雄・安藤哲也『男性の非暴力宣言 ホワイトリボン・キャンペーン』

    あらすじ・概要 性的暴行、DV、セクハラなど、女性はさまざまな暴力にさらされている。しかしそれに異議を唱えるのは、同じ女性ばかりだった。ホワイトリボン・キャンペーンは男性が当事者として男性の暴力に反対し、女性や子どもへの暴力をなくそうと活動する取り組みである。

  • ネガティブな漫画家が自分語りをしつつ楽な生き方を模索する―菊池真理子『生きやすい』

    あらすじ・概要 漫画でルポルタージュを描くことを仕事にしている著者、菊池真理子。しかしその内面はネガティブで、漠然とした生きづらさに悩まされていた。過剰な繊細さ、人付き合いへの疲労、本音を言うことへの抵抗など、著者自身が自分のネガティブさを紐解いていくコミックエッセイ。

  • 介護職はなぜ不足しているのかと、日本の介護のこれから―結城康博『介護職がいなくなる ケアの現場で何が起きているのか』

    あらすじ・概要 少子高齢化によって、介護需要は高まる一方なのに、介護の仕事をする若者は増えない。労働条件の悪さや、介護施設内での暴力、介護施設でのパワハラ・セクハラ、外国人介護職への支援の乏しさなど、現状の問題を語る。介護から見えてくる、高齢化社会の困難さとは……。

  • 映画化された小説おすすめ15選

    ChatGTPに「読書ブログのまとめ記事のアイデアを出してください」と頼んだら「映画化された小説のおすすめ」を提案されたのでまとめました。 そういえば今まで書いたことのなかったまとめでしたね。提案されるまで気づきませんでした。 以下、映画化された作品から面白かったものをピックアップしたまとめです。 大阪を舞台に営まれる男女の愛と葛藤『ジョゼと虎と魚たち』 親がカルト宗教にハマってしまった子どもが星を見上げる『星の子』 目がボタンの母親、という破壊力『コララインとボタンの魔女』 小学生3人組はおじいさんの死ぬところが見たくて家を覗く―湯本香樹実『夏の庭』 平凡なゲーム好きの少年が父の家出をきっか…

  • 障害者の大量殺人事件から優生思想に警鐘を鳴らす―保坂展人『相模原事件とヘイトクライム』

    あらすじ・概要 障害者施設で19人が殺害された相模原障害者施設殺傷事件。その事件は多くの障害者とその家族、支援者らに衝撃を与えた。著者は障害のある人の意見を聞いたり、過去の優生思想が起こした事件を語ったりして、優生思想の罠に囚われないよう警鐘を鳴らす。 尊厳を信じない人に尊厳をどう説明すればいいのか 話が色々なところに飛ぶので一冊の本としてはまとまりがないのですが、それでもいろいろ考えさせられるところのある本でした。 相模原事件の容疑者の書いた文章から、被害者の家族の思い、障害を持って暮らす人々の反応、そして過去の優生思想が起こした事件について書かれています。 後半はナチスが起こした障害者を抹…

  • ダウン症の子育てを明るいコメディタッチで描く―たちばなかおる『ユンタのゆっくり成長期 ダウン症児を育てています』

    あらすじ・概要 長男として授かった赤ちゃんはダウン症児だった……。行政や福祉の力を借りつつ、発達がゆっくりの子どもを家族で見守る。ダウン症の子育ての理不尽なところ、うまくいかないところを描きながらも、コメディタッチで進行するコミックエッセイ。

  • 人類が衰退した世界でのほのぼのブラックSF―田中ロミオ『人類は衰退しました』

    あらすじ・概要 人類最後の最高学府を卒業し、故郷に戻ってきた「わたし」。そこで調停官という仕事に就くが、実質お飾りの役職らしい。調停官の「わたし」は今地球を支配する新人類、「妖精さん」にコンタクトを取り、交流していくが……。

  • チョコレートを取り上げられた国を救うソシャゲ風のノベルゲーム―『ショコラティックウォーズ』

    novelgame.jp あらすじ・概要 チョコレートが大好きな女性ショコラは、ロマーノ王国でチョコレート禁止法が布かれていることを知る。天才ショコラティエのヴァレンタイン率いる革命軍に参加したショコラは、王城に向かって王と対峙する。しかし王国は思った以上の問題を抱えているようで……。 ノベルゲームにソーシャルゲーム風の戦闘が加えられたゲームです。基本は明るいトンチキコメディなんですが、話の節々に強い趣味を感じて面白かったです。 特に印象的だったのは天才的な兄とそれには少し劣る弟の面倒くさい感情です。全てにおいて有能すぎて自分を見失い、悪役ぶってしまう兄、そしてそんな兄を超えたいと思いながら超…

  • ベビーシッターになった保育士の奮闘記―さいおなお『3時間だけママを代わります! 駆け出しベビーシッターの奮闘記』

    あらすじ・概要 保育士だったが、日々の雑務に追われ、「もっと子どもと向き合う仕事がしたい」とベビーシッターになった著者。ベビーシッターの仕事の内容から、子どもと付き合う上での悩み、保護者とのやりとりなど、子どもを世話する仕事について語る。 実際に仕事をしている人ならではの視点がある ベビーシッターになる人はどういう経緯があるのだろうと思っていたので、参考になる漫画でした。 著者はもともと保育士でしたが、保育士の仕事は子どもを相手する以外の雑務が多く、もっと子どもと向き合う仕事がしたいと考えていました。そしてベビーシッターに転職し、個人で子どもを世話する仕事を始めます。 保育所へ送迎する仕事が多…

  • 実際に培養肉を研究する学者が語る培養肉の将来性と課題―竹内昌治・日比野愛子『培養肉とは何か?』

    あらすじ・概要 畜産による環境汚染や、動物福祉の問題から注目され始めた培養肉。日本国内で培養肉の研究を行っている著者が、研究の進捗状況とこれからの課題、さらには培養肉を研究するメリットを語る。「動物を殺さない肉」が描き出す、未来の社会とは……。 培養肉を研究している人間だからこそ語れる本 著者が実際に培養肉を研究している側なだけあって、具体的な話が知れて面白かったです。たとえば培養肉の研究と言ってもさまざまなものがあって、ミンチ型かステーキ型か、あるいは植物由来の物質を混ぜるかどうかなど、方向性に違いがあります。 そして培養肉を研究する上での困難も書かれています。そもそも培養肉の存在を前提とす…

  • 贋札を作る能力で同胞を救うトンチキギャグ経済漫画―住吉九『ハイパーインフレーション』

    あらすじ・概要 技術の遅れたカブールの民として生まれたルークは、支配者であるヴィクト人を騙して金銭を得ていた。命の危機によってルークは神から特別な力をもらう。それは、「生殖能力の代わりに、贋札を作る能力を得る」ことだった。無限に生成される贋札を武器に、ルークは奪われた姉を取り返そうとする。 倫理のない作品をどう作るか、のひとつの答え トンチキギャグ漫画なんですが経済について深く学べて面白かったです。どういうこと? 主人公のルークは贋札を体から出す能力を持っており、その能力を使って姉のハルを助け、ひいてはカブール人を差別から救おうとします。 贋札はほぼ本物と変わりありませんが、ただひとつ、番号だ…

  • イスラム教徒の男性と結婚したらカルチャーショックを受けた―ハスナ『笑える 腹立つ イスラム夫と共存中』

    あらすじ・概要 海外旅行をしていた著者は、それがきっかけでイスラム教徒の男性と結婚することになる。神を信じる男と信じない女、文化の違いは大きくて……。コミカルな描写ながらもイスラーム文化と日本文化を比較するコミックエッセイ。 私たちと違った倫理で生きる人たちの話 描写される文化は日本人の感覚からするとかなり倫理のないものもあります。婚前交渉すると村八分のようになったり、男尊女卑だったり。 しかし著者の夫やその家族は、当たり前のようにその文化を受け入れており、(不信心な方である著者の夫さえも)神の存在を疑いません。 神を信じるゆえに、喜捨の行動もためらいなく取ります。貧しい人に食べ物を上げたりお…

  • 採集や狩猟をして暮らし、のちに迫害された北海道の先住民たち―時空旅人編集部『今こそ知りたいアイヌ 北の大地に生きる人の歴史と文化』

    あらすじ・概要 かつて東北から北海道、樺太や千島列島にかけて暮らしていた民族、アイヌ。北の大地で、狩猟と採集の生活をしていた人々とは……。その宗教観や、食べ物や着るものなどの文化、そして日本との歴史を一冊にまとめた本。 日本に似ているようでがっつり違う宗教観・霊魂観 北海道の冬の寒さからなんとなく厳しい暮らしを想像していたのですが、開拓前の北海道は狩猟できる獣も食べられる野生動物も豊富で、あまり食べるのには困らなかったようです。美化しているところはあるかもしれませんが、狩猟生活=貧しいというものでもないんですね。 アイヌ文化は万物に霊が宿るというアミニズム的な価値観は日本と同じですが、霊魂観や…

  • 日本の法律やシステムのせいで困難に立たされた外国人たち―安田菜津紀『隣人のあなた 「移民社会」日本でいま起きていること』

    あらすじ・概要 日本に逃れてきた難民、働きにやってきた技能実習生など、日本には様々な外国人や外国にルーツを持つ人々がいる。しかし一部の人たちは日本の法律やシステムのせいで、苦境に立たされている。困難に巻き込まれた日本に住む外国人たちを紹介し、日本社会の排他性を問い直す。

  • 自分の価値観を否定する痛みを乗り越えて真実を知る―立岩陽一郎・楊井人文『ファクトチェックとは何か』

    あらすじ・概要 フェイクニュースが話題になる昨今、ニュースや政治家の発言の真偽をチェックする「ファクトチェック」が注目されている。人々が正しい情報にアクセスするには、過去の発言や出典をチェックするファクトチェッカーの存在が必要である。海外の事例も紹介し、日本のこれからのファクトチェックについて語る本。

  • インターネットでニュースを見るのをやめました。

    特別お題「今だから話せること」 インターネットでニュースを見るのをやめました。 ニュースサイトをチェックするのもやめたし、Twitterで流れてくるいろいろなニュース記事をクリックすることもほとんどなくなりました。よっぽど気になるニュースなら別ですが、それ以外の記事は完全にスルーしています。 とはいえ、時事問題について興味がなくなったわけではありません。 気になることは本を読んで調べることにしました。 図書館で新書や岩波ブックレットを借りて来たり、電子書籍を買ったり、KindleUnlimitedを使って関連の本を探したりしています。 インターネットでニュースを見るのをやめた一番の大きな理由は…

  • 障害児向けのおもちゃ制作に携わった著者が誰もが使いやすい道具について語る―星川安之『アクセシブルデザインの発想 不便さから生まれる「便利製品」』

    あらすじ・概要 障害のある子どものためのおもちゃを作っていた著者は、その流れでみんなが使える商品、アクセシブルデザインに携わることになる。少しの工夫で使える人が増える、アクセシブルデザインの中身とは……。 「できるだけ多くの人が使える道具」をどう作るか 著者はかつて障害のある子どものためのおもちゃを作っており、その経験から日用品のアクセシブルデザインに携わるようになります。 前半の、障害のある子どものためのおもちゃの歴史、そして誰でも使えるデザインを広めようとする人々の努力は面白かったです。この本は薄いからダイジェストですが、詳しい話も聞いてみたいです。 驚いたのは、歩道と車道の段差の高さもア…

  • 東京の「女性の貧困」を追う上で見えてきたもの―中村淳彦『東京貧困女子。 彼女たちはなぜ躓いたのか』

    あらすじ・概要 かつてアダルトビデオや風俗のライターをしていた著者は、女性編集者と組んで東京に住む人々の貧困を取材する。風俗で働く女子大生、生活がままならないシングルマザー、障害年金で暮らす障害者など、困窮する女性たちは今何を語るのか。 正論では何も解決しない貧困の問題 著者はアダルトビデオや風俗のライターとして働いていた経歴があり、あなたも搾取する側だったじゃないかというところはあるのですが、そういう著者だからこそ書けるものでもあるのだろうなと思います。 登場する女性たちは、客観的に見れば明らかに間違いだろうという選択をしてしまった人も多いです。しかし著者は、アドバイスも意見もなるべくせずに…

  • 長い長い時間夜のファミレスに閉じ込められて脱出を図る―『ファミレスを享受せよ』

    oissisui.itch.io あらすじ・概要 夜のファミリーレストラン「ムーンパレス」にやってきた主人公は、そのファミリーレストランに閉じ込められてしまう。そこには自分以外の閉じ込められた人たちがいた。主人公はムーンパレスにいる人たちと会話を繰り返し、長い時間をかけて脱出方法を探る。 ファミレスに閉じ込められて暇を持て余すADV ファミレスに閉じ込められて死ぬこともできず、ただただドリンクバーを飲みながら同じく閉じ込められた人と話し、暇を持て余すゲームです。 会話を進めるごとに、少しずつキャラクターの背景もわかってきます。そしてクライマックスになると、キャラクター同士の関係が明かされます。…

  • 双極性障害の夫を支えるうちに妻がうつになってしまった―彩原ゆず『夫婦で心を病みました 優しい夫が双極性障害を発症したあの日から』

    あらすじ・概要 仕事のストレスでうつになってしまった夫、休息を経て少しずつよくなっていくが、しばらくして夫に異変が訪れる。浪費をし、常にいらだちものに当たるようになり、ついに著者にも手を上げるようになった。追い詰められた著者は、自分も自殺を考えるようになり、抗うつ剤を飲むようになった。

  • 社会に氾濫する居場所のない人を排除するオブジェ―五十嵐太郎『誰のための排除アート? 不寛容と自己責任論』

    あらすじ・概要 ベンチに寝そべられなくする、開いている土地にホームレスが段ボールハウスを作れなくする、若者がたまらないようオブジェを置くなど、「邪魔者」を排除する排除アート。それらはどのように設置され、社会にどのような影響を与えているのか。町にある排除アートから、現代の不寛容を見る本。 芸術家から怒りの声が出ている 世の中のベンチがだんだんそういう形になってきているのは知っていましたが、「排除アート」という言葉や概念に対して、多くの芸術家たちが怒りを覚えていることに驚きました。でも考えてみると、当然かもしれません。 芸術家の人たちの中には、芸術を通して弱い人の存在を取り上げたいという人もいるだ…

  • クロネコメンバーズの自宅で送り状発行サービスで送り状を作った話

    とらのあなに荷物を送りました その際、ヤマト運輸の送り状作成サービスを使ってみました。今回はそのレポートです。 用意するもの クロネコメンバーズのアカウント パソコンorスマホ A4のコピー用紙 個人用プリンター はさみorカッター 手順 まずはこのページから送り状を発行する→送り状発行システムC2をクリックします。 www.kuronekoyamato.co.jp あとは必要事項を記入していきます。 住所に名前が必須なのですが、とらのあなの納品先住所には氏名がないので、「担当者様」としておきました。 一度入力した住所は保存しておけるので、よく使う住所であれば保存しておくのがいいかも。 入力が…

  • マジョリティの人間が「小さな差別」を軽く考えるのはどうかと思う―鈴木大介『ネット右翼になった父』

    あらすじ・概要 父を亡くした著者は、ネット右翼的な思想に傾倒した父について記事に書く。しかしその後、自分は父のことを本当に知っているのかと疑問を持った。家族に聞き取りを行い、父の過去を紐解くにつれて、父親の本当の姿が見えてきた。

  • 抑圧された中華系女性がマルチバースからすべてを得、娘を救う―『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

    あらすじ・概要 中華系移民のエヴリンは、夫ウェイモンドとともに税金の申請をしようとしていた。その途中で、ウェイモンドが別人のように変貌し、彼女にマルチバースを救ってほしいと頼む。彼はアルファ・レイモンド、他の世界からやってきた人間だった。エヴリンは事件に巻き込まれながらもマルチバースから力を借り、覚醒していく。

  • 最近読んだ本・漫画・ゲームの感想(20230303)

    記事を立てるほどではない感想のまとめです。 斉藤環・内田良『いじめ加害者にどう対応するか 処罰と被害者優先のケア』 最上うみみ『お酒で壊れた人が集まる場所で』 木﨑ちあき『博多豚骨ラーメンズ』 岬鷺宮『日和ちゃんのお願いは絶対』 井上純一『月とにほんご 中国語嫁日本語学校日記』 町田洋『惑星9の休日』 貴戸理恵『「コミュニケーション力がない」と悩むまえに――生きづらさを考える』 蛸山めがね『てくてく巡礼〜秩父札所三十四ヶ所観音霊場&三峯神社〜』 『レディ・ブルー』 八目迷『夏へのトンネル、さよならの出口』 斉藤環・内田良『いじめ加害者にどう対応するか 処罰と被害者優先のケア』 いじめられた側が…

  • 大阪を舞台に営まれる男女の愛と葛藤―田辺聖子『ジョゼと虎と魚たち』

    あらすじ・概要 車いすで暮らすジョゼは、同棲し自分を世話する恒夫を「管理人」と呼ぶ。奔放でわがままで、でもどこか憶病なジョゼは恒夫とさまざまなところへ行く。ふたりの微妙な関係はどうなるのか……。表題作ほか、大阪の男女の営みを描く短編集。

  • 双極性障害の母を支えた著者と家族の物語―まりげ『700日間の絶望トンネル』

    あらすじ・概要 別居している母が自殺未遂をしたという報告を受け、著者は混乱する。どうやら母は双極性障害だということがわかり、入院治療ののち、著者の近くで暮らすこととなった。しかし母親の躁うつの波に振り回され、著者は苦悩する。

  • 自称HSPの人を狙うエセ科学や詐欺、カルト団体に警鐘を鳴らす―飯村周平『HSPブームの功罪を問う』

    あらすじ・概要 一般的な人よりも敏感な人たちを指す、「High Sensitive Person」略してHSP。HSPという言葉で救われた人もいる一方で、発達障害の人への蔑視や、HSPを巡る怪しげなビジネスなど、よくない傾向も見られる。日本におけるHSP研究者である著者が、HSPの今と問題点を解説する。

  • アルコール依存症になったOLの妹との共依存と卒業―かどなしまる『人生が一度めちゃめちゃになったアルコール依存症OLの話』

    あらすじ・概要 社会人として事務の仕事をするも、職場の人間関係の悪さから、ストレスをため込んでいた著者。「お酒を飲んでから出勤すると平気」ということに気づき、飲酒をしてから仕事をするようになる。同居の双子の妹と諍い、家に帰れなくなっても、それでもお酒をやめられない著者は……。

  • 九州の炭鉱で働いていた人々が語る、生き延びるための物語―上野英信『地の底の笑い話』

    あらすじ・概要 九州の炭鉱では、今では考えられないほど過酷な労働が行われ、多くの男女がそれに従事していた。仕事の合間に語られるのは、幽霊の話、怠け者の話、ケツワリ(脱走)の話。労働者がろくに守られなかった時代、使用者に支配される中で、生き延びるために語られた物語を取り上げる。

  • Joshin(ジョーシン)に頼んでエアコンを掃除してもらったレポ

    電気代が上がっているのに厳冬という2023年。このところエアコンの効きが悪く、1時間つけていても温度計は13℃を指しているという状態でした。 エアコンを掃除するとエアコンの効きがよくなると聞いて、Joshinに頼むことにしました。今回はそのレポートを書きます。 くらしのマーケットなどで安く掃除が頼める現代、なぜわざわざJoshinに頼んだかというと、今のエアコンの設置の際にJoshinに頼んだらとてもよかったからです。 ひとり暮らしなので、知らない男性と家でふたりきりになるのは結構怖いんですよね。性暴力がどうこうというよりも、例えば支払いのときに強く出られるとつらいです。 その点Joshinに…

  • 使用人になって優しく愚かな王女と残酷な暴君の王子の王位継承問題に巻き込まれる―『アレジエ』

    あらすじ・概要 先代の王が亡くなったばかりの王国。そこには苛烈で残酷な王子、ミハイルと、明るく優しいけれど流されやすい王女、アルヴィナがいた。プレイヤーは彼らの使用人「ユーリ」となり、交流を深めながらも王位の行方を目撃する。

  • 女性を守るための仕事で行われる女性搾取―竹信三恵子・戒能民江・瀬山紀子編『官製ワーキングプアの女性たち あなたを支える人のリアル』

    あらすじ・概要 フルタイムで働いても貧しいままの人「ワーキングプア」。人々を支えるはずの行政の現場でも、ワーキングプアを産んでしまう構造があった。その被害者は主に女性である。編者自身の意見や、実際に公務員で働く女性たちの声を取り上げ、官製ワーキングプアについて考える本。

  • クラスメイトの男子が女の子になってしまった、周囲の葛藤と受容―八目迷『ミモザの告白』

    あらすじ・概要 高校生の咲馬は、ある日男の幼馴染の汐(うしお)がセーラー服を着ているのを目撃する。汐はしばらく学校を休んだ後、女子生徒の制服を着て投稿してきた。「これから女の子として生きる」と宣言した汐に、クラスメイトたちは困惑し、心ない言葉をかけるものも現れた。

  • 魔者と人、血のつながらない存在同士の関係性を描く―田井ノエル『おちこぼれ退魔師の処方箋 常夜と現世の架橋』

    あらすじ・概要 鴉との出会いから一年が経った咲楽は、常夜の生活にも順応していた。そんな中、帰宅途中で男性を襲おうとしている旧鼠を見つけた。同じころ、七色鱗という魔者から、自分の珊瑚を探してほしいという依頼を受ける。

  • 彼氏と別れた女性が東京と京都の神社を巡る―ichida『こっそり行きたい 欲望ご利益神社』

    あらすじ・概要 彼氏と別れ、さらにその彼氏にストーカー扱いされてしまった主人公。元彼への恨みつらみや、新しい恋愛への願望とともに、東京の神社を巡る。さらに神道に興味がある同僚とともに京都旅行へ。そこでもさらに神社を巡り、今までのネガティブな感情を願いにしてぶつける。

  • 小学校の非常勤教師が赴任した学校では必ず事件が起こる―東野圭吾『おれは非情勤』

    あらすじ・概要 「おれ」は小学校の非常勤講師。赴任した小学校では、いつも何か事件が起こる。ダイイングメッセージを残して死んだ教師、謎の言葉のメモ、ヒ素の入った水を飲んでしまった生徒。「おれ」はその事件を解決する。

  • 願いを叶える神様と、人々の願いの結末―夜諏河樹 『アンテン様の腹の中』

    あらすじ・概要 悩む人の目の前に、突然現れる謎の神社。そこにはアンテン様という神様がおり、思いのこもった大切なものを捧げる代わりに願いを叶えてくれるという。アンテン様の神社にたどり着いた人々と、その願いの顛末を語る連作短編。

  • 男装の女軍人と優しい貧乏貴族の自給自足生活―江本マシメサ『北欧貴族と猛禽妻の雪国狩り暮らし』

    あらすじ・概要 極寒の地で暮らす貴族、リツハルドは、男装の女軍人ジークリンデに、初対面でプロポーズしてしまう。利害が一致したふたりは、契約結婚をすることに、トナカイとともに暮らす大地で、自給自足の生活をしながら、ふたりは仲を深めていく。

  • 壱百満天原サロメ嬢の動画おすすめ10選

    Vtuberにはほとんど興味のないオタクだったのですが、壱百満天原サロメ嬢がデビューしてから少しずつ見るようになりました。 特に気が滅入っているときに見ると、優しい思想とポジティブな語り口に癒されます。 今回はサロメ嬢のおすすめ動画を紹介します。 壱百満天原サロメの百満点ラジオ 【KY3】わたくし、空気を読みますわ!【ですわ】 【鬼畜死にゲー】しょぼんなわたくしnormal&hard【ですわ~】【しょぼんのるきみん】 【悲劇】ルブタンの抽選外れたのでその分クリスマスコフレを買っちまいましたわ おじさまからDMが届きましたわ!【おじさんと遊ぼう】【ですわ】 【ソフール】わたくしにお嬢様チェックで…

  • アルコール依存症の父親を愛したいor許せない?―菊池真理子『酔うと化け物になる父がつらい』

    あらすじ・概要 宗教にハマった母と、毎回泥酔するほどお酒を飲んでしまう父。母は嫌がりながらも父と飲み仲間の世話をしていた。著者はそんな両親とともに生活していた。やがて母が自殺し、父の世話は著者と妹の仕事になる。アルコールに依存する父に振り回され、著者は自分の人生を生きることができないでいた。

  • 「自分らしく」生きられる社会はなぜこんなにも苦しいのか―宇野重規『〈私〉時代のデモクラシー』

    あらすじ・概要 昔より多様性が認められ、自由になったはずなのに、なぜ現代社会は生きづらいのか……。現代の社会学者や過去の哲学者の著作を紐解き、現代社会の「断絶」の解説に挑む。思索することで見えてきた、政治への不信感や虚無感の正体とは。

  • 魔者を倒せず、癒す退魔師が薬師の人外に拾われる―田井ノエル『おちこぼれ退魔師の処方箋 常夜ノ國の薬師』

    あらすじ・概要 退魔師の家系に生まれた咲楽。しかし彼女には退魔の力はなく、魔者を癒す力があった。癒しの力の代償に体に穢れを貯め込んだ咲楽は、常夜で暮らす魔者鴉に拾われる。薬師である彼は咲楽を「商品」として店に置いた。ふたりの奇妙な共同生活が幕を開ける。 ファンタジーだからこそできる話 お兄さんがかわいそうな未成年の女の子を拾う、という現実では問題のある設定ですが、お兄さんを人外にすることによってマイルドになっています。 咲楽を拾ってくれた鴉は、人間社会とは違う価値観を持っています。家族という概念が乏しかったり、倫理観がずれていたり。 しかし家族に疎まれ、周囲に虐げられ、傷ついてきた咲楽にとって…

  • 「よい死」すなわち人間の尊厳なのか―安藤泰至『安楽死・尊厳死を語る前に知っておきたいこと』

    あらすじ・概要 欧米を中心に認められつつある「安楽死・尊厳死」。日本でも安楽死の合法化を主張する人が増えている。しかし安楽死を認めることで、適切な医療を受けて生活することや、延命治療をすることそのものが「悪いこと」のように見なされないか。患者を取り巻く社会の問題から、安楽死を問い直す。

  • 浅ましく愚かな「反面教師」としてのギャンブル依存症―井川意高『熔ける 大王製紙前会長井川意高の懺悔録』

    あらすじ・概要 製紙会社の三代目として生まれ、社長として大王製紙に君臨してきた井川意高。彼はカジノに狂い、子会社のお金に手を付けて何十億円も浪費してきた。著者自身が自分の生い立ち、社長時代のこと、お金を使わせるカジノの巧妙な罠を振り返る。東大卒の男はなぜ狂ったのか……。

  • 「感動」「泣ける」の視点から障害者の表象を問う―好井裕明『「感動ポルノ」と向き合う 障害者像にひそむ差別と排除』

    あらすじ・概要 巷にあふれる障害者をめぐる「感動」ストーリー。しかしそれは当事者の思いや多様性を反映しているとは言えないのではないか。様々な作品を取り上げつつ、フィクションやドキュメンタリーの中の障害者の表象を考えていくブックレット。 排除ではなく、広く議論されることを望む まず著者が「感動ポルノ」の排除ありきで考えていないことにほっとしました。私自身は「感動ポルノ」は嫌いですが、表現規制には否定的な立場を取っています。 安易な「感動」にはつばを吐きたくなりますが、じゃあどこまでが「感動ポルノ」なのか定義しようとするときりがなくなります。 著者は過去に作られた障害者をテーマにしたフィクションや…

  • 体は男だが性辞任が女の王女様が男でも女でもない妖精に恋をする―黒井あがさ『ロイヤル・ガーデンの友人』

    あらすじ・概要 男性の身体を持つが性自認は女の王女、マイルス。公務のときは男性の格好で、プライベートは女装して過ごしている。そんなマイルスの友人は、男か女かわからない白の妖精、オウ。マイルスはオウに恋心を抱くが、性別のないオウはその感情に応えることができず……。

  • 原作を踏襲しつつ映像でしかできない表現をしたアニメ化―『金の国水の国』(アニメ映画版)

    あらすじ・概要 いがみ合う二つの国。その停戦の証として「国で一番賢い若者」を婿に貰うことになったアルハミドのサーラ姫だったが、送られてきたのは子犬だった。一方バイカリに暮らすナヤンバヤルという若者が押し付けられたのは、「最も美しい娘」ではなく、子猫の花嫁だった……。

  • 実家が寺の著者が、住職の兄をネタに仏僧の世界を語る―杜康潤『坊主DAYS』

    あらすじ・概要 漫画家、杜康潤の実家は臨済宗の寺。住職である兄に聞き取り調査をしつつ、僧侶になるまでの苦労や、寺での日常を語る。僧侶になるまでの修行の厳しさ、住職として地域を支える多忙さ、現代ならではのお寺の事情など、宗教が身近に感じるかもしれないコミックエッセイ。

  • 最近読んだ漫画・本のまとめ(20230128)

    記事を立てるほどではない作品の感想まとめです。 海空るり『うつ時々、躁:私自身を取り戻す』 りえぞう『キルギスに行ってみた 旅行記コミックエッセイ』 幌山あき『マーブルビターチョコレート』 『君の名は』 青沼貴子『ママは習い事がお好き』 近藤ようこ『死者の書』 杉谷庄吾『映画大好きホンポさん』 藤木和子『「障害」ある人の「きょうだい」としての私』 メノタ『奥さまはドードー鳥』 シマ・シンヤ『Gutsy Gritty Girl』 海空るり『うつ時々、躁:私自身を取り戻す』 30代で双極性障害を発症した著者、ハイテンションな「躁」と気力が出ない「うつ」の波に翻弄されながら、家事やふたりの子育てに苦…

  • ADHD女性は虐待や周囲の無理解を受け人生を迷走する―ぴーちゃん『ぴーちゃんは人間じゃない? ADHDでうつのわたし、働きづらいけどなんとかやってます』

    あらすじ・概要 「ぴーちゃん」こと著者は、子どもの頃から何だか上手く行かなかった。親からの虐待、周囲の大人たちの無理解。やがてうつになり、オーバードーズや性的逸脱をしてしまうに至る。自分がADHDだと気づき、あがいて生きていく姿を描いたコミックエッセイ。 普通になれない人の悲哀 作中では、著者である「ぴーちゃん」はうさぎの姿と人間の姿を行き来します。他の人と同じ人間のはずなのに何かが違う。自分だけ違う動物のようだ……。そんな著者の葛藤が垣間見えます。 著者が生きていく上で迷走し続けたのは、もちろんADHDの特性もあるでしょうが、身の回りに生き方を教えてくれる人たちがいなかったのも原因でしょう。…

  • 3つの宗教が混じり合う聖地へ―りえぞう『イスラエルに行ってみた 旅行記コミックエッセイ』

    あらすじ・概要 バックパッカーとしてイスラエルに行ってみたいと思っていた著者。しかしイスラエルに入国後、敵対する国に行けなくなる場合がある。アラブの他の地域を巡ったあと、ようやくたどり着いたイスラエルは、3つの宗教の対立を象徴するような場所だった。 美しいと同時にひりつくような宗教対立のある町 この作品自体にはそれほど政治性はなく、著者の感想が綴られているだけですが、それでもイスラエルにおける宗教対立についていろいろ考えてしまう本でした。 イスラエル自体はユダヤ人の国ですが、実際のところキリスト教徒やイスラム教徒多く住んでおり、その上多数の宗派に別れています。そんな他宗教の町で、ひりつくような…

  • 毒親から生き延びた人が励まし合うようなコミックインタビュー集―菊池真理子『毒親サバイバル』

    あらすじ・概要 アルコール依存症の父と宗教にハマった母を持つ著者は、大人になってから自分の家庭が普通ではないと気づく。著者は自分以外の「毒親」を持つ人々に取材し、そのエピソードを漫画にすることにした。劣悪な家庭環境をサバイブしてきた人々の、今の立ち位置とは……。 生き延びて本当によかったね 毒親の内容はいろいろであり、そして子どもたちがその後どんな人生を歩んできたのかもいろいろですが、その分多様な価値観に触れられてよかったです。 エピソードの中には裕福な家庭もあり、単純に「問題のある家庭=貧困家庭」でないことがわかります。お金があったとしても、子どもを育てることを放棄してしまった親に、子ども自…

  • 成長していく人間に寄り添う面白さが描かれている―ひこちゃん『小学生男子は本日も晴天なり!』

    あらすじ・概要 働きながら息子を育てている漫画家である著者。小学生の息子と送る日々は、刺激的で面白い。息子と旅行に行ったときのこと、自由研究をしたときのこと、小学校受験に挑戦したときのことなど、息子との生活をコミカルに描いたコミックエッセイ。

  • 宗教2世のエピソードを淡々と漫画で収録―菊池真理子『「神様」のいる家で育ちました~宗教2世な私たち~』

    あらすじ・概要 自分の親は宗教を信じていた。それだけで長く排斥感を感じ、生きるのに悩む人々がいる。自らも宗教2世である著者が、2世たちに聞き取り調査を行い、そのエピソードを漫画に起こした。2世たちの宗教との決別、そしてその後の人生とは……。

  • 老いを目の前にした女性がたどり着く今までとこれから―高橋陽子『50歳前からのココカラ手帖』

    あらすじ・概要 子育てがひと段落し、50歳を目前にした著者は、言いようのない不安を抱いていた。メンタルクリニックで自分の疲れを自覚し、美容やメイクを気にしてみて、スポーツジムで鍛えてみる。そうして理解した、自分の今の状況、そしてこれから50代になる上での展望とは……。

  • 俗っぽさと人文学的面白さが同居するコミックエッセイ―グレゴリ青山『グレさんぽ~琵琶湖とかインドとか』

    あらすじ・概要 関西に住むイラストレーター・漫画家である著者。そんな著者が琵琶湖を巡ったり、伊豆に行ったり、インドにまつわる展覧会に協力したりなど、日々のことを語る。いろいろなところをぶらぶら歩いて見たものとは……。 マニアックで著者の文化的素養を感じる 関西在住の著者が関西中心にいろんなところをぶらぶら……と書くのは単純なんですが、行ったところがなかなかニッチで他のコミックエッセイにはなく、新鮮でした。 琵琶湖を一周しようとして琵琶湖の周りを回る列車を途中下車したり、(世間的には)あまり知られていないような芸術家の作品を見に行ったり、周囲に何もない場所へ炭鉱の跡を見に行ったり。 マニアックで…

  • 主人公が唐突に狂気的な行動をしてホラーすぎる―太田紫織『オークブリッジ邸の笑わない貴婦人 新人メイドと秘密の写真』

    あらすじ・概要 家事が好きで家政婦の仕事をしていた鈴佳は、ユーリという男性にメイドとしてスカウトされる。その仕事はヴィクトリア時代の生活にあこがれる老婦人に当時のようなメイドとして仕えることだった。不便を感じつつ、アイリーンという名を得た鈴佳は屋敷の生活や主人に惹かれていくのだが……。 ちゃんと編集者も「主人公がおかしいですよ」って言うべきだと思う ※この感想には大きなネタバレが含まれています。 アイリーンこと鈴佳は、屋敷の女主人楢橋タエの過去の思い人を知り、彼女のために何かをしてあげようと思います。ここまでは普通に面白かったし、次どうなるんだろうと思いました。 しかし何かをしてあげようと思っ…

  • 展開がほぼ予測できるけど結構楽しめる、現代の水戸黄門―『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』(アニメ版)

    あらすじ・概要 とあるオタクの女子高生は、乙女ゲームの悪役令嬢、カタリナに転生してしまった。カタリナは多くのルートで悲惨な結末を迎えるキャラ。その結末を回避するため、カタリナは体を鍛え、土をいじり、周囲の人と仲良くする。すると周囲のキャラクターたちが、カタリナに好意を抱くようで……?

  • 50代イラストレーターが100日チャレンジで体力強化に挑戦―高橋陽子『50代からの体力革命』

    あらすじ・概要 50歳を目前にして、自分自身の体力の低下を目の当たりにした著者。彼女はスポーツジムに通うことを決める。そこで出会ったトレーナーと、「100日チャレンジ」を始めた。懸垂をする、ベンチプレス40㎏を上げるなど、設定した目標をこなそうと著者は試行錯誤する。

  • ロシア人青年が星を作る仕事をして宇宙の多様性に揉まれる―メノタ『果ての星通信』

    あらすじ・概要 海外に行き恋人にプロポーズするつもりだったロシア人のマルコは、突然全く知らない場所に連れてこられた。マルコは今日から「局員」として、10年間故郷に帰らないまま星を作る仕事をしなければならないという。恋人に再会したいマルコは、どうにか逃げ出すことを考えるが……。

  • 妹の死を乗り越え成長していく家族と、淡い恋の終わり―宮部みゆき『小暮写眞館Ⅳ 鉄路の春』

    あらすじ・概要 花菱英一の父が家出した。その家出をきっかけに、英一は死んだ妹にまつわる父母と父方の親戚の確執を知ることになる。また、英一はオーバードーズや自殺未遂を起こした垣本順子の過去も知る。それぞれの思いに決着がつく中、英一もまた若者として成長していく。

  • HSPに関するよくある誤解を科学的知見から訂正し、エビデンスに基づいて語る―飯村周平『HSPの心理学 科学的根拠から理解する「繊細さ」と「生きづらさ」』

    あらすじ・概要 昨今話題になっている人より敏感な体質「HSP」。しかし科学的な知見や研究を置き去りに、都合よく使われている言葉でもある。HSPについて研究している著者が一般的に流布しているデマを訂正し、科学的にHSPを知る方法は何か、今自分の敏感さに何ができるか考える本。

  • 情報系同人誌を書く人にすすめたい「一般市民が調べる」方法―宮内泰介・上田昌文『実践 自分で調べる技術』

    あらすじ・概要 「調べること」は学者や専門機関、記者の専売特許ではなく、一般市民も社会のことを調べることができる。図書館やインターネットの使い方、聞き取り調査やインタビューのこつ、調べたことをどう発表するかなど、市民の視点から調査を語ったハウツー本。

  • 違いを面白がれるタフさに救われる―星野ルネ『アフリカ少年が日本で育った結果』

    あらすじ・概要 日本人男性とカメルーン人女性が結婚し、母親の連れ子として日本にやってきた星野ルネ。幼い頃から日本で暮らしているため、母国語は日本語。周囲の日本人とは全く違う外見のため、何かと誤解を受けることが多く……。世の中の先入観や文化の違いを描いたコミックエッセイ。

  • 男性漫画家が家庭生活を描くコミックエッセイおすすめ7選

    コミックエッセイを描くのは女性漫画家が多いだけに、その分野のマイノリティである男性漫画家のことは意識して注目して読んでいます。 今回はその中から「家庭を持つ男性」の描いたコミックエッセイをまとめました。 突然父親になった中年男性の戸惑いと適応『父娘ぐらし 55歳マンガ家が8歳の娘の父親になる話』 兼業主夫の日常は洗練されてもいないしかっこよくもない『今日も妻のくつ下は、片方ない 妻のほうが稼ぐので僕が主夫になりました』 お金の管理が苦手な妻のためにシステムを変えたら経済状況が好転した『お金オンチ夫婦 借金500万からのビンボー脱出大作戦』 アトピーの子どもと暮らして追い詰められる夫婦『パパ、か…

  • 少年はなぜ不格好なぬいぐるみをカモメだと言ったのか―宮部みゆき『小暮写眞館Ⅲ カモメの名前』

    あらすじ・概要 フリースクールの子どもたちを写した写真にあった不格好な謎のぬいぐるみ。フリースクールの生徒のひとりは「それはカモメだ」と言い出した。英一は、その謎を解くために調べることになるのだが……。同時期に英一の家で泥棒騒動が起こり、英一は小暮写眞館の幽霊について考えることとなる。

  • 育ちのいい老女と売れないお笑い芸人の、年の差と性別を超えた友情―矢部太郎『大家さんと僕』

    あらすじ・概要 一軒家の2階を間借りすることになった著者。1階には、大家として年老いた女性が暮らしていた。何かと「大家さん」に話しかけられ、世話を焼かれるにつれて著者と大家さんは仲良くなる。大家さんと街に出て食事に行ったり、力仕事の手伝いをするようになった。

  • 縁側で泣く家族から読み解く、中心にはなれない人々の幸せ―宮部みゆき『小暮写眞館Ⅱ 世界の縁側』

    あらすじ・概要 幽霊の写った写真の真相を明らかにしたことをきっかけに、新しく心霊写真にまつわる調査を依頼された英一。今度の写真は、縁側で泣く家族の写真。しかしその調査に関して当事者に話を聞くことは禁止される。いぶかしみながらも、英一は写真の真実を追う。

  • 2022年下半期に映画館で見た映画まとめ10本

    もう2022年も終わりなので、下半期に映画館で見た映画の感想をまとめました。 会社の福利厚生が変わって「申請すれば800円で映画が見られるクーポンがもらえる」制度になったのでじゃんじゃん申請していました。ありがたい。その代わりクーポンが使える大きめの映画館を中心に見るようになったので下半期はミニシアター系の映画を全然見てません。 見るものも自分の事情で変わるものだなあ、と思いつつ。以下、感想です。 大人になった五人の女性は地元の県にキャンプ場を作る『映画 ゆるキャン△』 赤ん坊を売るブローカーと赤ん坊の母親との間に奇妙な絆が生まれる『ベイビー・ブローカー』 「映え」を意識しすぎて思想的にはガバ…

  • 漫画家とその夫が田舎で暮らした4年間―グレゴリ青山『田舎暮らしはじめました うちの家賃は5千円』

    あらすじ・概要 東京の高すぎる家賃に嫌気がさし、和歌山の奥地の家賃5000円の家に引っ越したグレゴリ青山とその夫。家庭菜園を作ったり、四季の花を満喫したりしながらも、不便さや虫の被害など田舎特有の困りごとにも悩まされる。いいことも悪いこともあった4年間の田舎暮らしの決着とは……。

  • 虐げられた少女の一発逆転と、本当の高貴さとは何かというメッセージ―『コンフィデンスマンJP プリンセス編』

    あらすじ・概要 世界有数の大富豪レイモンド・フウが亡くなり、その遺産は行方の分からない末の子ミシェルが相続することになった。詐欺師のダー子はスリの片棒を担がせられていた少女、コックリをミシェルに仕立て上げ、レイモンドの子どもたちから手切れ金を要求することを思いつく。しかしダー子とコックリは本物のミシェルとその母として軟禁されてしまい……。

  • トレパク騒動に傷ついたヒロインが優しい狐の青年に癒される―鳴澤うた『狐の婿入り~再会したあやかしの彼は大切なことを思い出させてくれました』

    あらすじ・概要 いわれのないトレパク疑惑に巻き込まれ、誹謗中傷に疲弊してしまったイラストレーターの咲良。そんな中、祖母のけがで祖母の所有する山の見回りを頼まれる。そこで出会ったのはひとりの青年だった。どうやら彼の本性は狐で、咲良は彼とかつて結婚の約束をしたという。

  • 50代になって外で働きたい!と思った主婦イラストレーターの奮闘―高橋陽子『50代からのお仕事探しアタフタ日記』

    あらすじ・概要 主婦、イラストレーターとして活動してきた著者は、52歳になって子育てにもひと段落し、外で働きたいと思うようになる。しかし長く職に就いていなかった著者は職歴に書くことがなく、52歳という年齢の壁もあって面接に苦戦する。年をとっても自分のやりたいことがしたいと願う著者の行方は……。

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