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2016/10/28

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  • 『ONE PIECE(Netfix実写版ドラマ版)』を見たよ! 感想

    あらすじ・概要 海賊に憧れる青年ルフィは、海賊王の残した財宝、ワンピースを探して旅に出る。剣士のゾロ、航海士でスリのナミと出会い、さらにその土地を牛耳る権力者を倒していく。仲間を増やしてグランドラインを目指そうとするも、ナミには秘密があった。 実写なので実写でしかできないことをやるのは正解だよね ワンピース自体は大分前に原作を途中まで読んだきりなんですが、それでも面白かったです。 アクションドラマですが、個人的に印象的だったのは人間ドラマとしての側面です。人と人の関係性が全体的に大人びていて、心に染み入るような生々しさがあります。 ナミとゾロがお酒を酌み交わしながらお互いを知っていくところや、…

  • 無印良品週間で買ったものまとめ8つ(2024年3月)

    無印良品週間! セールを言い訳に無印で散財しても許される季節です。 というわけで今回の無印良品週間に買ったものをまとめました。 前回の記事は下記です。 honkuimusi.hatenablog.com バウムクーヘン ケーキ 麺にかける 味噌煮込みうどんスープ 靴下 なめらかブラタンクトップ 洗えるミラノリブ編みスキッパーポロセーター 七分丈レギンス PPクローゼットケース引出式・大 バウムクーヘン いつも買ってるやつ。今回ははちみつ味ときなこ味を買いました。 www.muji.com www.muji.com ケーキ こちらも食べたことのないものを選んでみました。おいしかったです。 www…

  • 『すみません 素人でも仕事の写真を上手に撮影する方法ってないですか? できればスマホで』矢島直美 インプレス 感想

    あらすじ・概要 スマートフォンで会社の商品やハンドメイド作品を撮影したい。そんな需要に答えて、商品の撮影方法について解説。ちょっとした工夫から、本格的な照明技術まで、照明撮影のコツを語っていく。 小さな工夫から書いてくれているので試しやすい Instagramをやっているので読んでみました。まとまった内容で、面白かったです。 紙や布を背景に使った写真の撮り方が興味深かったです。今までなんとなくで撮影していたため、背景選びにもコツがあることを考えていませんでした。 背景に使う紙を長持ちさせる方法も、そのことについては解決策があること自体予想していなかったです。 改めてハウツーを読むことの重要性を…

  • 『はじめて学ぶ生命倫理 「いのち」は誰が決めるのか』小林亜津子 ちくまプリマ―新書

    あらすじ・概要 安楽死は許されるか、子どもの自己決定権はどこまで存在するのか、精子バンクから生まれた人たちが親を知る権利は……。テクノロジーの進歩によって、多様性によって生命倫理の問題に直面する医療従事者たち。現代の医療が抱える生命倫理の問題を紹介する。 技術の発展につれて問われる人間のモラル 安楽死の話題がよく語られるので、気になって読んでみた本です。 生命倫理の問題は、人間の自由意思をどこまで認めるべきか、という話に行き着きます。例えば親にカルト宗教で洗脳された子どもには自由意思があるのか、死の恐怖におびえる人に自由意思はあるのか? 人間は、常にやりたいことを選びとれるとは限りません。 精…

  • ジョジョの奇妙な冒険のアニメを見た感想 ダイヤモンドは砕けない/黄金の風

    『ジョジョの奇妙な冒険』のアニメを見た記録、ダイヤモンドは砕けない&黄金の風編です。 前回の記事はこちら。 honkuimusi.hatenablog.com ストーンオーシャンも見ようかと思っていたのですが、まだアニメで完結までやっていないようなので、五部までにしました。 第四部 ダイヤモンドは砕けない 東方仗助のもとに、年上の甥を名乗る男が現れる。彼の名は空条承太郎。祖父であるジョセフ・ジョースターの不貞による息子に会いに来たという。 孫が祖父の隠し子に会うところから始まる物語。ジョセフはもうちょっと自分のやったことに責任を持ってほしいです。 浮気、ジョナサンや承太郎はやらないと思うんです…

  • 『運動ざせつ女子が行きついた 1分スロージョギング』たかツキなほり KADOKAWA 感想

    あらすじ・概要 運動が苦手な著者は、スロージョギングという方法に行き着く。歩くぐらいの早さでゆっくり走り、疲れたら休んでもいい。運動が苦手でも、三日坊主でも続けられる、無理をしない運動方法とは。 やってみたいと思わせる語り口がよい スロージョギングについて興味があったので読んでみました。コンパクトにまとまった内容でよかったです。「私もやってみたい」と思える情報量と語り口です。 スロージョギングとは、歩くぐらいの早さでゆっくり走ることです。普段着で走ってもいいし、仕事の行き帰りに最寄駅まで走ってもいい。疲れたら歩いてもいい。そんな気楽なジョギングです。 運動のハードルを低くしてくれる内容が多く、…

  • 【笑える・面白い】コメディライトノベルのおすすめ15選

    コメディジャンルについての記事は人気があるので、他の媒体もまとめることにしました。 今回はライトノベル編です。ライトノベルかどうかは、基本的にレーベルで判断しています。 書影をクリックするとAmazonに飛べます。 ビーズログ文庫 『神抱く凪の姫』響野夏菜 『となりの魔王』雪乃下ナチ 『家電彼氏』雪乃下ナチ 角川ビーンズ文庫 『重装令嬢モアネット』さき ルルル文庫 『人形姫と身代わり王子』みどうちん 電撃文庫 『ロミオの災難』来楽零 『ラノベ作家になりたくて震える』嵯峨伊緒 ガガガ文庫 『人類は衰退しました』田中ロミオ 『AURA~魔竜院光牙最後の闘い~』田中ロミオ 『ほま高登山部ダイアリー』…

  • 『三宅島島民たちの一年』三谷彰 岩波ブックレット 感想

    あらすじ・概要 2000年6月に噴火した三宅島。住民たちは、どのようにして全島避難に至ったのか。噴火直後の混乱や、行政の不手際、住民同士の反発、そして避難後の生活をコンパクトにまとめる。ケアワーカーの人が三宅島噴火の姿を描く。 近いようで遠い、東京の離島での噴火記録が生々しい 三宅島噴火についてよく知らなかったので、新鮮な内容で面白かったです。 東京都に属する離島のひとつ、三宅島での噴火について、現地にいたケアワーカーの人の視点で説明してくれます。 印象的だったのが行政の対応が後手後手に回り、住民に先んじた判断ができなかったことです。防災訓練はやっていたのに、いざとなったら頼りになりません。全…

  • 『王様のプロポーズ4 黄金の巫女』橘公司 富士見ファンタジア文庫 感想

    あらすじ・概要 <庭園>の教師、アンヴィエットの前に娘を名乗る謎の女の子、ニーリヤが現れる。アンヴィエットは隠し子の疑惑を否定するが、何だかんだニーリヤの面倒を見てしまうようだ。やがてニーリヤは、アンヴィエットの妻の死に関わっていると判明する。 ラブロマンス好きにおいしい回 今まで脇役だったイケメンが100年前に妻を亡くした男やもめだったことが判明し、そのイケメンが娘を名乗る謎の女児に振り回され、回想では亡くなった妻のラブラブシーンが描かれます。男女カプ好きの見た都合のいい夢夢かと思いましたよ。 一見チャラくて悪そうですが、作中で一番の常識人というアンヴィエットのキャラクターがよかったです。正…

  • 『砂糖の世界史』川北稔 岩波ジュニア新書 感想

    あらすじ・概要 お菓子にやコーヒー、紅茶に甘味を加えるために使われている砂糖。その歴史は、植民地支配と深く関わっていた。砂糖をめぐる欧州の国々と植民地の関係、そして、コーヒー、紅茶、チョコレートという他の商品作物との関係を説明する。 砂糖がどのように社会を変えていったかが面白い 岩波ジュニア新書の名著として何度も紹介されている本です。有名なだけあり、面白くわかりやすかったです。 砂糖の栽培は、植民地支配に強くかかわっています。欧州の国々は奴隷労働によって多くの富を得ました。それは、現地の経済や文化を破壊することでもありました。 砂糖の大規模栽培の前にも格差はありました。しかし砂糖によって、格差…

  • 『キレる私をやめたい~夫をグーで殴る妻をやめるまで~』田房永子 バンブーコミックス エッセイセレクション 感想

    あらすじ・概要 夫にキレる衝動を抑えられない著者。ちょっとしたことで怒鳴り散らしてしまい、自己嫌悪に陥る日々だ。これではいけないとキレない方法を試しても、上手くいかない。そんな中、ゲシュタルトセラピーというものに出会い、著者の価値観は変わっていく。 良い人ってわけではないけどこういう漫画も必要 コミックエッセイの問題作としてよく名前が上がるので、一度読んでみなければと思っていました。読んでみると思ったよりもまともでちゃんとした内容でした。 著者は普段は内気すぎるぐらいなのに、恋人や夫など距離感の近い相手にはキレてしまいます。言葉だけならまだしも、暴力が出てしまうことも。著者は何度もそんな自分に…

  • 『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記』竜田一人 モーニングコミックス 感想

    あらすじ・概要 福島第一原子力発電所での廃炉作業に興味を持った著者は、原発の作業員として働き始める。過酷な原発における労働と、作業員同士の友情、放射能をめぐるあれこれ。廃炉作業の最前線を描き出す。 原子力発電所の廃炉作業に行ってみたらすごかった 分厚い防護服を身にまとい、熱中症の危険と戦いながら、廃炉作業に従事する人々。リアルでひりつくような状況に、心を奪われます。 廃炉作業と聞いても、具体的にどういうことをしているのか想像がつかない人がほとんどだと思います。壊すためにさらなる工事をするという不思議な状況に、他の建築物とは違うものを感じました。 被ばくを防ぐため何重にも服を着こむため、漫画の中…

  • 『あの日からのマンガ』しりあがり寿 ビームコミックス 感想

    あらすじ・概要 しりあがり寿が見た震災とは……。朝日新聞に掲載された震災発生前後の四コマと、震災にまつわる漫画を収録。放射能や原発事故を比喩で表すなど、「震災後」を意識した作品集。 震災を受けて考え方を変えざるを得なかったあのころを思い出す 『地球防衛家のヒトビト』は親が朝日新聞を取っていたので、ちょくちょく読んでいた思い出があります。 もっともこの時期は東京で一人で暮らしていたので、四コマは読んでいませんでしたが。 物語として面白いというよりも、東日本大震災を受けて、否応なく価値観を変えなければならなかった当時の世界を思い出します。 安全神話が崩れ、エネルギー政策について何を信じればいいのか…

  • 事務員やってるブロガーが最近買った文房具7つ

    前に書いた文房具についての記事が閲覧数回ってたので、細菌買った文房具をまとめることにしました。 リンクはAmazonが多いですが、店頭で買ったり、ネットで買ったり、いろいろです。 ソニック まずコレふせん OMOクリップ ブッククリップ ミドリ メッシュペンポーチ 呉竹 筆ごこち TSUKURIRO ミニ6穴 カラーリングバインダー ミニ6穴サイズ カードホルダー 無印良品 リフィルノート 本体 無印良品 ナイロンメッシュ書類ケース ソニック まずコレふせん ふせんとカバーのセットです。カラビナでポーチやかばんに着けて運べます。忘れっぽいのでこういうメモはすぐ買ってしまいます。 便利です。しか…

  • 『ふくしまノート』井上きみどり バンブーコミックス 全3巻 すぐパラセレクション 感想

    あらすじ・概要 著者が福島に暮らす人たちにインタビューを行い、東日本大震災後の福島の姿を描く。農業や漁業のこと、子育てのことなど、放射能に振り回される福島の人たち。原発事故は、確かに日常を変化させてしまった。 東日本大震災後の福島県の人たちの葛藤と希望 自分がどれだけ福島県について知らないか重い知らされる漫画でした。こういう人々のリアルな感情は、知ろうとしなければたどり着けないのだと思います。 登場する福島の人々の思いはさまざまです。もう福島は安全だと思う人、放射能の被害を恐れて県外に逃れた人。 福島を出た人ですら、かつての故郷のことを考えて葛藤し、罪悪感を覚えています。 また、『ふくしまノー…

  • 『被災地・神戸に生きる人びと 相談室から見た七年間』牧秀一 岩波ブックレット 感想

    あらすじ・概要 阪神大震災から七年後、相談室で被災者が語ったことを元に、復興と被災者の心について振り返る。人間関係のこと、住まいのこと、町並みや仕事のこと……。被災者のリアルを描く本。 7年後の神戸のリアルに考えさせられる あえて悪いことを書いている部分もあるでしょうが、復興の裏側にある人々の葛藤や苦しみが知れて興味深ったです。 阪神大震災から七年後の神戸。そこに生きる人たちの悩みや葛藤を具体的なエピソードとともに語ります。 専門的な話というより読み物という感じですが、取っつきやすい内容だと思います。 災害対応における行政のミスも書かれています。 災害が起こったあと、「がんばって復興しよう」と…

  • 『虐待父がようやく死んだ』あらいぴろよ バンブーコミックスエッセイセレクション 感想

    あらすじ・概要 暴力、暴言など、虐待家庭で育った著者。いつも殴られている母親のことを心配し、気にかけていた。大人になっても、虐待の記憶はよみがえり著者を苦しめる。やがて、著者は母親の歪みに気づくのだった。 虐待について話し合える人がいるのは幸運だ 以前の漫画の内容とかぶるところもありましたが、面白かったです。家族の問題の複雑さを感じました。 著者は父親から性加害未遂に遭っています。たとえ未遂であっても、子どもの心に深い傷を残すのだなあと感じました。 父親が自分に性加害をしようとしていると気づいた著者は、頭を丸刈りにしたり、いつでも逃げられるように靴を履いたまま寝るようになります。未成年の子がこ…

  • 『半ダース介護』井上きみどり 集英社 感想

    あらすじ・概要 主婦として生活している女性は、夫側の家庭の複雑さゆえに、一気に6人もの老人の介護を一気にすることになる。自由奔放な彼らに振り回されながらも、必死に日々の世話を続ける。しかし、徐々に体の限界を感じるようになる。 早く福祉に頼ってほしいが人間について考えてしまう面白さ 結論から言うと「こうなる前に福祉に頼ってほしい」としか言いようがないですが、それでも面白かったです。 周囲の人間ももっと主人公が抱え込んでいることを気にしたほうがいいです。どう考えても過労になりますよ、これは。 とはいえ、「介護は嫁の仕事」という思い込みがあるのは社会の責任でもあります。だから「この漫画がだけがおかし…

  • 『コンフィデンスマンJP 英雄編』田中亮 感想

    あらすじ・概要 信用詐欺師・ダー子は仲間と詐欺による勝負をすることになる。今回の「オサカナ」は「踊るビーナス」像を持つ元マフィア。三人の師匠であり、伝説の詐欺師「三代目ツチノコ」をめぐる物語も絡んでくる。三人はインターポールの目をかいくぐり、詐欺を成功させることができるのか。 テンプレだけど新しい価値観を提示するところが好き コンフィデンスマンJPはスカッと系で、筋自体は特別ではありません。社会の「こうあるべき」というモラルを解体し、本当にそうなのか?と問いかけるところが面白いです。 「英雄とは何か」と視聴者に問いかけ、制作側自身の答えを提示してくれるところが良かったです。 この世界に英雄など…

  • ジョジョの奇妙な冒険のアニメを見た感想 ファントムブラッド/戦闘潮流/スターダスト・クルセイダーズ

    Netflixで『ジョジョの奇妙な冒険』のアニメを見ていました。この記事はそのアニメの感想です。 本当は最後まで見てから投稿したかったのですが、思ったよりも話が長かったので三部までの内容にしました。続きも書けたらいいなと思います。 第一部 ファントムブラッド 貴族の息子ジョナサンは、父親の恩人の息子だというディオと暮らすことになった。明らか悪意のある行動を取るディオにジョナサンは困惑する。やがてふたりは大人になり、石仮面という不思議な古代のオーパーツによって道を分かつことになる。 9話と意外とサクッと終わります。しかし内容は濃厚でした。 ディオとジョナサンをめぐる運命の物語。正反対のようでよく…

  • 『日の鳥』こうの史代 日本文芸社 全2巻 感想

    あらすじ・概要 妻を探している雄のニワトリは、東日本大震災以後の東北を旅する。震災の遺構、東北の町、雄大な大自然など、ニワトリはさまざまなところをめぐる。被災地を描くスケッチ集。 東日本大震災後の東北を描いたスケッチが美しい 風景画が抜群にうまいです。私は美術的な技法には詳しくないんですが、引き算の美というか、書き込むところと力を抜くところのバランスが素晴らしいです。 手書きらしいぶれのある線です。しかし雑には見えない、絶妙なイラストです。 文章部分はふたつに分かれていて、上にニワトリの物語が、下に作者のコメントが書かれています。 東北の牧歌的な風景を旅するニワトリがかわいらしい一方、作者のコ…

  • 『Instagram 基本+活用ワザ できるfitシリーズ』 いしたに まさき ・田口 和裕 インプレス 感想

    あらすじ・概要 画像投稿を主とするSNSInstagram。その機能を基本的な部分から解説。投稿のことから、閲覧、セキュリティの問題など、Instagramでできること、設定できることを教えてくれる本。 意外と何でもできるInstagramというサービスが面白い 最近Instagramにハマっているので、改めて機能を知りたくて読みました。 今のInstagramは機能が多すぎてどこに何があるかわからないので、まとまった本で読めてよかったです。とはいえ、最新の機能には対応していないらしく、掲載されていない機能もあります。新機能については新しい本を読まないとだめですね。 読んでいて思うのは、Ins…

  • 『神戸 難民日誌』津村喬 岩波ブックレット 感想

    あらすじ・概要 神戸の埋め立て地、ポートアイランドに暮らしていた著者は、阪神大震災を経験する。当時の神戸の雰囲気、人々の姿を文筆家の立場から語る。被災者から見た、震災後の神戸の希望とは。 良くも悪くも当時の文章、とある文筆家の日記 良いところも悪いところもある本でした。同時に当時の人しか書けない内容で、資料としての価値が高いです。 文筆家である著者は、阪神大震災以後について詳細な日記を残していました。その日記をまとめた本です。 著者が暮らしていたのは神戸のポートアイランド周辺で、被害の少ないほうでした。文章中では食料に困った様子もありません。 少し被害が少ないだけで、こんなにも変わるのかと驚き…

  • 『凹凸あるかな?わたし、発達障害と生きてきました』細川貂々 平凡社 感想

    あらすじ・概要 大人になってから発達障害に気づいた著者。彼女は自身の人生を振り返る。空気をうまく読めなかったこと、人の意見を真に受けすぎていたこと……著者の近くの発達障害の人々も紹介し、発達障害の人々の悩みを考える。 相手が言葉を真に受けるからってからかってやるなよ 成長の段階に沿って、著者の過去が語られます。 4コマなのでボリュームが多く、たくさんエピソードが読めるのもよかったです。 淡々としつつ、善悪織り混ぜた内容でしたが、著者らしい作風でよかったです。メッセージが明確な話より、こういう内容の方が著者に合っていると思いました。 著者の周りの発達障害の人々についても語られます。 伴侶に発達障…

  • 『イラクの戦場で学んだこと』岸谷美穂 岩波ジュニア新書 感想

    あらすじ・概要 紛争地帯の人々を支援するNGOで働く著者は、20代にしてイラクの紛争地域に行き、現地チームのリーダーとなる。現地スタッフとのコミュニケーションに悩み、政治のごたごたに巻き込まれ、戦争や治安悪化により自らの命もあやうくなる。 紛争地の支援の甘くない事実と、それでも助けたいという気持ち 若者向けとは思えないほどの重たい内容でした。NPOのなんとなくかっこいい雰囲気を打ち砕く作品です。 20代の若い女性が戦地におもむき、そこでリーダーとして振る舞わなければならなかったのです。心労がすごかったでしょう。 なおかつ、家父長制のクルド人社会では、家長として振る舞う方が信頼を得られます。著者…

  • 『noteではじめる新しいアウトプットの教室 楽しく続けるクリエイター生活』コグレマサト・まつゆう インプレス 感想

    あらすじ・概要 クリエイター向けの投稿サイト、note。その基本的な使い方から、応用編、実際にnoteを使っているクリエイターへのインタビューを掲載。noteとはどんなサービスなのかわかる本。 noteの使い方とインタビューが興味深い すでに知っていることで斜め読みしたところもありますが、それでも興味深かったです。 noteというサービスの使い方、noteを使っている人の体験談など、盛りだくさんでした。 機能はおおよそ使ったことがあります。まとめてもらうと、そういえば使ったことなかったな……という機能が出てくるのが面白いです。 後半はnoteを使っている人へのインタビューです。情報が偏っている…

  • 『騎士団長アルスルと翼の王』鈴森琴 創元推理文庫 感想

    あらすじ・概要 皇女アルスルは、ワシ人外がはびこる空域に向かう。そこではヴィクトリアという老女が指揮を取っていた。そして、アルスルと同じく人外スコアを持つ男スロースとも出会う。神の使いとも見なされるワシ人外との戦いが始まった。 バトルファンタジーと濃厚なラブロマンスが楽しい 皇帝の娘(とはいえ選挙で皇帝が決まる世界なので、今は父親ではない人が皇帝)であるアルスルが英雄になっていく姿がとてもかっこいいでしす。 1巻より濃厚になっていてすごかったです。ラブロマンスが甘い。その上ちゃんとバトルファンタジーもやってくれました。満足度が高いです。 人ならざる力を得たアルスルと、彼女を愛しその背中を追いか…

  • 『ミモザの告白4』八目迷 ガガガ文庫 感想

    あらすじ・概要 「女の子として生きることにした」汐。しかし、汐の家庭は複雑な事情を抱えていた。汐の妹、操の視点から語られる、家族の過去とは。そして、汐と友人として接してきた咲馬も、これからの汐との関係を考えることになる。 汐と操の家族事情にしんみりする 汐とその妹、操の過去編。時系列が過去ゆえに、番外編のような雰囲気ですね。 汐のジェンダーのことより、汐と操の特殊な家庭事情に重きを置いています。 実母を病気で失ったきょうだいは、現在父親の再婚相手である雪と暮らしています。 操が変わっていく状況の中で、さらに汐が「女の子として生きていく」と決めたことが子ども心にショックだったのだろうと思います。…

  • SF・現代・学園 笑える!コメディ漫画のおすすめ15選

    今回はコメディ漫画のおすすめです。 今まで読んだ漫画の中から、笑ったりニヤニヤできる作品をまとめました。 学園・青春 『笑う大天使』川原泉 全2巻 『オモテナシ生徒会』ドリヤス工場 全1巻 『ハンサムマストダイ』アストラ芦魔 全2巻 『ぼくらのフンカ祭』真造圭伍 全1巻 『カラオケ行こ!』和山やま 『ほしとんで』本田 ミステリ・サスペンス 『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』船津紳平 『月館の殺人』佐々木倫子 全2巻 日常・現代 『この度はご愁傷様です』宮本福助 恋愛 『逃げるは恥だが役に立つ』海野つなみ SF 『レベルE』冨樫義博 『ハカセの机上な愛蔵』時田 『バビロンまでは何光年?…

  • 『災害支援に女性の視点を!』竹信三恵子・赤石千衣子編 岩波ブックレット 感想

    あらすじ・概要 東日本大震災の被災地で、女性はどう暮らし、どんな困難に直面したのか。実際のトラブル、問題を取り上げ、被災地の女性にどのような助けが必要か考える。女性の問題から、災害弱者の問題も見えてくる。 困難が多い女性の避難所生活が悲しい 東日本大震災を踏まえて、女性への災害支援を求める本。 タイトルから予想はしていましたが、やはりなかなか重たい話でありました。 実体験としての女性が見た避難所事情がすごかったです。思想のおかしい人が避難所のリーダーになってしまい、「自分達は家族だからついたてはいらない」とついたてを設置しなかったとのこと。 ジェンダーの問題だけではなく、みんなが疲れはてて生き…

  • 『アメリカ横断 我ら夫婦ふたり旅』山本あり 産業編集センター 感想

    あらすじ・概要 著者は夫とともに、アメリカ横断の旅に出る。アメリカでレンタカーを借り、陸路で西海岸から東海岸を目指す。そこで出会ったアメリカのグルメや観光地。アメリカ大陸の豊かな自然に感動する。 アメリカ横断エッセイは珍しいので面白かった アメリカ横断のコミックエッセイは初めて見たので、新鮮で面白かったです。 しかもレンタカーを借りて車で移動するというもの。個性的という点では突出しています。 日本は山がちな地形です。アメリカの広い大地を車で移動するというのは日本ではできない体験でしょう。こういう旅ができるのはうらやましいですね。 長時間運転するので、疲れを前提とした工程を組むところも面白かった…

  • 『ぼっち・ざ・ろっく!』アニメ版を見た感想

    あらすじ・概要 コミュ障で引っ込み思案な後藤ひとりは、バンドを組むことにあこがれていた。しかし他人に話しかけることができずに、動画サイトでひとりギターを演奏してアップロードする毎日を送っていた。ある日ギターを探しているバンド少女に話しかけられたことから、ひとりこと「ぼっちちゃん」はバンド活動に踏み出していく。 お金の問題を扱っているバンドアニメ ぼっち少女が押しの強い女の子に誘われてバンドを組む。それはご都合主義ではあります。しかし音楽をやる上で避けては通れない、お金の問題を扱っているのがよかったです。 後藤ひとり、通称ぼっちちゃんは偶然からバンドを組むことになります。しかし駆け出しバンドにお…

  • 『おいしいロシア』シベリカ子 イースト・プレス 感想

    あらすじ・概要 ロシア人男性と結婚した著者は、一年間ロシアで暮らすこととなる。そこで食べたロシアの料理を漫画に描いた。肉、魚、乳製品など、ロシアの料理と共に、ロシア独自の文化も紹介。「おかわり」では日本に帰国したあとのふたりが描かれる。 ロシアの食文化と独自の風習が面白い 最近ロシアについてつらい話題しか流れて来ません。たまにはポジティブな話題を聞きたいと思って手に取りました。ロシアの文化を食べ物を通して知るコミックエッセイで面白かったです。 絵柄がかわいらしく、読みやすかったです。 ダーチャ(ロシアの別荘)や年中行事、季節の食べ物についても描かれていたのが面白かったです。その土地の独自の文化…

  • ネットフリックスオリジナルコマ撮りアニメ『ポケモンコンシェルジュ』を見た感想

    あらすじ・概要 せわしない生活に疲れたハルは、ポケモンリゾートのコンシェルジュに転職する。リゾートに訪れたポケモンたちをもてなし、楽しませるのがハルたちコンシェルジュの仕事だ。ハルはポケモンたちの悩みを解決しながら、自分自身とも向き合うこととなる。 悩んだままでここにいていいということ かわいい!! 大量のかわいいを浴びました。 常夏のリゾート地を意識した世界観で、かわいらしいポケモンたちがゆったりと過ごしています。その姿を見ているだけで癒されます。 ポケモンとキャッキャウフフする話なのですが、ストーリーも手を抜いていません。 新人コンシェルジュのハルはポケモンの悩みを解決しようとしても、すぐ…

  • 『身近な危険から自分を守る! ゆるサバイバル入門』ふじいまさこ 新潮社 感想

    あらすじ・概要 自然災害、犯罪、性加害、パワハラ、セクハラなど、人生で巻き込まれる可能性があるトラブルを女性の視点から解説。漫画を通して、対策や起こってしまったあとの対処を紹介する。身近な危険から身を守るための学習漫画。 女性が身を守る方法を漫画形式で教えてくれる ゆるサバイバルと言いながら内容はかなり真面目な本でした。タイトルで損をしています。 エッセイ漫画というより大人向けの学習漫画という雰囲気です。女性が人生で巻き込まれるトラブルに関して自衛対策や巻き込まれてしまった後の対応について語られています。 最近問題になっている、性加害についてもかなりのページで語られています。性加害の自衛から、…

  • 『出張編集部持ち込みレポまんが』尾花せいご Kindleインディーズマンガ 感想

    あらすじ・概要 描いた漫画を商業に乗せたいアマチュア漫画家の著者は、出張編集部に何度も作品を持ち込む。そこでもらったアドバイスや褒め言葉を漫画化。著者は編集者からの助言に対して悩み、創作に対する糸口を探す。 出張編集部をめぐる悲喜こもごもが面白い 出張編集部ってこんな感じなんだなあとわかるコミックエッセイです。創作をする上での悩みは共感できて面白いです。 同人活動に詳しくない人に説明しておくと、出張編集部は同人イベントに漫画雑誌の編集者がやってきて作品を見てもらえるという企画です。編集者は同人作家の中から金の卵を見つけ、同人作家はプロからのアドバイスを得ることができます。 しかし編集者はボラン…

  • 『国境なき医師が行く』久留宮隆 岩波ジュニア新書 感想

    あらすじ・概要 国境なき医師団に参加することを決めた日本人医師は、内戦続きで疲弊したリベリアへ派遣された。派遣先での人間関係や、多忙な日々に悩みながらも、リベリアの人たちを手術する。国境なき医師団は現地でいったいどういうことをしているのかわかる本。 キラキラしていない人間味のある話で面白い 国境なき医師団のキラキラしたところを紹介して国境なき医師団に寄付をしてくださいということかと思ったら、全然違いました。慈善事業に参加するにおける人間関係の面倒くささ、また国境なき医師の多忙っぷりが描かれています。 内戦後の混乱が続くリベリアに医師として到着した著者は、手術で多忙な日々を送ります。日曜日にも手…

  • 『書いた同人小説を売りたいのでいろいろやってみた!』倉くらの KDP 感想

    あらすじ・概要 一次創作の同人小説を電子書籍で販売している著者。どうせ売るからには、たくさんの人に買ってもらいたい。著者が行った販促活動の結果や、投稿サイトによる傾向をまとめたエッセイ。 電子書籍で同人小説を売りたい女性の試行錯誤が面白い 前回の内容と被る部分はありますが、まとまった内容で面白かったです。 オタクな主婦がBL同人小説を売って夢を叶えた話 同人シリーズ (kuranoエッセイ) 作者:倉くらの Amazon 作者が読んでもらうためにやったことが、ハードルが低いものが多いのがいいですね。私も自分の作品を読んでもらえるように整えようかなあと思いました。 タイトルを工夫するくだりは、今…

  • 『ダンピアのおいしい冒険』トマトスープ イースト・プレス 全6巻 感想

    あらすじ・概要 貧乏だけれど学問に焦がれるダンピアは、私掠船に乗って旅をしている。船では保存食が乏しい。したがってその土地で入手した動植物を調理し、食べた。やがてダンピアの旅路は、波乱万丈なものとなる。 憧れと倫理のなさが共存する大航海時代が美しく恐ろしい 絵柄は児童向けのようなかわいらしくデフォルメの効いたものですが、内容はシビアでした。 私略船とは、当時のイギリス政府によって略奪、つまり海賊行為を許されていた船のことです。ダンピアにとっては知識を得るための旅路でも、暴力と隣り合わせです。 ダンピアは学問に焦がれ、世界を知りたいと望みますが、それは先住民の排斥と表裏一体です。作中でも、先住民…

  • Disney+でディズニー映画を見まくって気づいたこと3つ

    一時期Disney+に加入して、ディズニーの映画を見まくっていたことがあります。 そのときに、意外に思ったことをまとめました。 01.思ったより「ディズニーのテンプレ」というものはない 「ディズニーはいつもテンプレだから……」ということを言う人もいるが意外とテンプレでない作品もたくさんあります。ハッピーエンドではなく苦さの残るエンディングのときもありますし、恋愛の成就にそれほど重きを置いていない作品もありますし、根暗なオタクが主人公の作品もあります。 私が見た中だと、『クルエラ』がディズニーあるあるとはかけ離れた内容でした。こちらは『101匹わんちゃん』のスピンオフというかIFというか、作中の…

  • 『どう考えても死んでいる』雁須磨子 バーズコミックス ルチルコレクション 感想

    あらすじ・概要 晋太郎は、ある日自分が幽霊になっていることに気づく。同性の恋人、翼に会おうとすると、彼は晋太郎ともう一度会うためにに怪しい霊能力者に頼ろうとしていた。翼を止めたいと思いながらも、幽霊である晋太郎は何もできない。 幽霊と人間の恋物語と意外なエンディング 『ロジックツリー』が面白かったのでKindleUnlimitedで読めるこちらの本も読んでみました。 ロジックツリー(上) (ウィングス・コミックス) 作者:雁須磨子 新書館 Amazon 受けがここまで愛が重いのは珍しいのでよかったです。愛の重い受け、なかなか見かけないですからね。 序盤はただの心霊コメディでした。しかしだんだん…

  • 『心を病んだ父、神さまを信じる母』ゆめの イースト・プレス 感想

    あらすじ・概要 キリスト教徒の母と、気難しく扱いづらい父。やがて父は統合失調症を発症し、一家は父の妄想に悩まされることとなる。不穏で気まずい家庭の中、母は神の教えを支えに生活していた。 すっきり終わらないが印象的なエッセイ すっきり終わらないコミックエッセイですが、それゆえに面白かったです。幸せ、不幸の二通りだけではなく、曖昧でグラデーションの人生を感じます。 著者はいわゆる宗教二世ですが、母親に強く信仰を強制されることはなかったので、両親とは違う価値観の中にいます。 本人に信心はない一方で、母親が苦労をしながらもここまでやってこれたのは、信仰のお陰かもしれないという価値観も持ち合わせています…

  • 『わたしたちの震災物語~ハート再生ワーカーズ~』井上きみどり クイーンズコミックス 感想

    あらすじ・概要 東日本大震災のあと、多くのボランティア、慈善団体が立ち上がった。それぞれの慈善団体がどう東日本大震災に関わったかを漫画化。食料、水やインフラの復旧以外で、被災者に必要な支援が見えてくるコミックエッセイ。 漫画で見る災害時の慈善活動 東日本大震災において活躍したNPOや慈善団体を取材し、その内容を漫画化した作品です。 一言に慈善団体と言っても、多種多様な方向性があるのだと感じます。 被災して飼えなくなった猫の里親探し、子どもたちの遊び場作り、酷使して汚れたトイレの掃除。何気ないことではありますが、手助けしてもらえることで被災者が楽になります。 実家で猫を飼っているので、災害時のペ…

  • 他人の人生を垣間見る、ジャンル別!エッセイ本のおすすめ20選

    コミックエッセイのまとめはときどき書いていますが、文字のエッセイのまとめは最近書いていないな……と思い書きました。 書影をクリックするとAmazonリンクへ飛びます。 異文化 『JK、インドで常識ぶっ壊される』熊谷はるか 『「国語」から旅立って』温又柔 『キラキラしてない駐在妻はアメリカでどう暮らしたのか』倉くらの 『ブラック・カルチャー観察日記』高山マミ 『ものいわぬ農民』大牟羅良 仕事 『海獣学者、クジラを解剖する~海の哺乳類の死体が教えてくれること』田島木綿子 『羊飼いの暮らし イギリス湖水地方の四季』ジェイムズ・リーバンクス 『督促OL修行日記』榎本まみ 『自民党で選挙と議員をやりまし…

  • 『ミャンマーで尼になりました』天野和公 イースト・プレス 感想

    あらすじ・概要 子どもの頃から宗教的なものにあこがれがあった著者は、結婚して寺嫁となる。そして、ミャンマーで尼になり修行をすることにした。ミャンマーの仏教文化や、尼同士のやりとり、そして宗教思想を語る本。 ミャンマーの寺に集まる国際的な人たち 面白おかしい話かと思ったら、意外と信仰について突っ込んだ話をしていて興味深かったです。 ミャンマーにやってきて自分の宗教観について考えたり、人と信仰について話し合ったり、真面目な本でした。 私は信心がない方ですが、こういう価値観を持っている人がいるんだなと思うと面白いです。 寺での生活も知らないことばかりで面白かったです。先輩の僧侶との関係や、修行中の独…

  • 『九井凉子ラクガキ本 デイドリーム・アワー』を読んだよ

    ラクガキ本。ダンジョン飯の趣味の絵を中心に、過去のイラストを掲載しています。 自分のキャラクターとはいえ、これだけネタがポンポン出てくるのはすごいです。しかも、発表するあてもないというのに……。ダンジョン飯が高い評価を得なければ、世に出ていない作品だったのでしょう。 『ダンジョン飯』これをTwitterに上げていたらめちゃくちゃバズっただろうなと思いましたが、上げずにこのラクガキ本で公開したからこその旨味でもあるかも。作者のラクガキを連載後に噛み締めて読める贅沢よ……。 ダンジョン飯のちょっとした漫画(季節のイベントネタ等)もあります。この「ちょっとした」のクオリティが高すぎるんですよ。キャラ…

  • 『フィンスタニス統治記シリーズ』くりたかのこ ビーズログ文庫 全3巻 感想

    あらすじ・概要 フィンスタニスという見捨てられた土地を統治することになったルノアリア。そこでクレイルという亜精霊の青年と出会う。亜精霊は、精霊の血を引く人間のこと。魔物や精霊が存在するフィンスタニスで、ルノアリアは悩み葛藤しながら成長していく。 身分の高い女性と身分の低い男性のカップルは珍しい もっともよかったのは主人公ルノアリアの心の美しさ、人間性です。彼女は人の上に立つ人間としての義務を理解しているので、ルノアリアたちについていく人たちの気持ちがわかります。周囲の人に愛されていても、嫌味になりません。 ルノアリアは恋愛には鈍感ですが、クレイルにとってはその鈍感さがむしろ好ましいものである、…

  • 『とある宗教に母が3億円お布施しまして』HARU 徳間書店

    あらすじ・概要 明るい母が、カルト宗教にハマってしまった。裕福な祖父からお金をもらって高額な霊感商品を買い、家では宗教的な暴言を言う。おりしも引きこもりや不登校でばらばらだった著者家族は、母親だけではなく、自分たちとも向き合うこととなる。 炭鉱のカナリアとしてのカルト信者 少々エッセイとしては出来すぎのきらいもありますが、面白かったです。 カルト宗教の恐ろしさを買いまることができました。 母親が宗教にハマったことで、家族の関係はぎくしゃくし、家計も不安定になってしまいます。 一方で、著者の家は母親が家の歪みを一気に引き受けており、他の家族は自分のことで精一杯でした。 いわば母親はこの家庭の炭鉱…

  • 『ロジックツリー』雁須磨子 全2巻 ウィングス・コミックス 感想

    あらすじ・概要 大家族で育った螢(けい)は、いつもきょうだいたちのドタバタに巻き込まれている。父方の祖母の家で手伝いをしたり、きょうだいたちの恋愛事情に巻き込まれたり、自分が恋愛をしたり……ラブコメ群像劇。 登場人物が多いドタバタ恋愛&家族劇 登場人物が多くて混乱しますが、それも含めて面白かったです。 コマ数もセリフ数も多く、バタバタした雰囲気が大人数のきょうだいと、彼らの恋愛事情をめぐるストーリーとぴったりでした。ガチャガチャしたコマ割も、このストーリーを語る上では必要だと感じます。 きょうだいとその恋人、知人たちの「好き」をめぐる葛藤、相反する感情が目まぐるしく行き交いながら、ひとつの作品…

  • 『赤ちゃんと僕』羅川真里茂 全10巻 白泉社文庫

    あらすじ・概要 事故で母親を亡くした一家は、父と息子ふたりで暮らしている。小学生の拓也は、いつも弟の実の面倒を見なければならない。まだ赤ちゃんの実は、とても手がかかる。拓也は実に振り回されつつも、学校や近所の人とふれあって成長していく。 幼児はかわいいけどめんどくさい 幼児はかわいいけど……面倒くさい!! というテーマが前面に押し出された作品でした。 現代で言うヤングケアラーの物語で、拓也は「実を愛する気持ち」と「家事や子育てが面倒な気持ち」の間で揺れ動きます。 拓也の父もできた父親なのですが、状況的にどうしても拓也を頼らざるを得ないときもあり、父親として葛藤します。その姿が悲しくもいとおしか…

  • 『3.11東日本大震災~君と見た風景』平井寿信 ぶんか社コミックス 感想

    あらすじ・概要 仙台近くで被災し、ライフラインや物資の足りない生活を送ることになった著者。震災直後の混乱の仲身重の妻を迎えに行き、実家で協力して物資を集める。混乱時期から物資が戻るまでを、被災者の視点から描くコミックエッセイ。 ライフラインを失ったときのサバイバル技術 仙台近くで被災し、家族は無事だったものの、電気や水道のライフラインを失い右往左往する生活を描いています。 災害直後は物資の確保、熱源や光の確保が重要で、家族全員で走り回ります。ライフラインが戻るとどこか拍子抜けするように元に戻るのが不思議でした。 しかし、比べるものではないかもしれませんが、田舎の人のサバイバル能力の高さを感じま…

  • 引っ越しの荷解きをするゲーム「Unpaking」をクリアしたので感想を書く

    あらすじ・概要 主人公は引っ越しの荷解きをする女性。プレイヤーは彼女の視点で荷解きをしながら、彼女の人生を追体験していく。段ボールからものを取り出して置いていき、家を片付けるパズルゲーム。 持ち物から人の人生が見える 「引っ越しの荷解きをするだけでストーリーがわかる」ってそんなことないだろうと思っていましたが、見事に荷解きだけで女性の半生が理解できました。この物語構造と荷解きを結びつけるアイデアが天才的ですね。 主人公はオタクの女性であり、かわいいキャラクターものから実写映画、TRPGに至るまで趣味は多岐に渡ります。年を重ねるごとに新しい趣味のグッズが増えるところに、オタクとしての人生を感じま…

  • 『性暴力対策ガイドブック』一般社団法人人権問題研究協議会 感想

    あらすじ・概要 性暴力の恐ろしさは女性や子供だけではなく、男性の領域にも及ぶ。性暴力で起こりがちな問題をケースごとにQ&A形式でで語る。もし身近な人が性暴力を受けていたら、そして身近な人が性暴力の加害者になったら、自分はどのように行動するべきなのだろうか。 言っていることは間違いではないが語尾がおかしい タイムラインにあまりにめちゃくちゃな性加害の情報が流れてくるので読んでみました。 Q&A方式で、性加害への疑問に答えています。 読んでいて思うのは、日本は性加害に対しての法整備が遅れていることです。罪に問おうと思っても、法律上うまく行かないことがあります。 また、親しい人に性加害のことを打ち明…

  • 『心の傷を癒すということ』安克昌 角川ソフィア文庫 感想

    あらすじ・概要 阪神大震災を経験した精神科医、安克昌。彼は阪神大震災とメンタルヘルスの問題について語る。災害直後の人々の精神状態から、精神疾患の人たちの病状悪化や苦悩、復興期に取り残される人たちのことなど、経験者ならではの視点で表現する。災害と心の関係を知るための本。 阪神大震災を見た精神科医の記録 ほとんどがエッセイや手記のような語り口で、専門的な話は巻末あたりだけです。メンタルヘルスについて詳しくない人にもわかりやすいと思います。 当事者としては、双極性障害の人の災害時期の躁転について書かれているのが興味深かったです。やっぱり災害が起こると躁転する人が多いんですね。極限状態になると体が躁の…

  • 『トロピカル性転換ツアー』能町みね子 文春文庫 感想

    あらすじ・概要 性同一性障害を抱える著者は、タイで性別適合手術を受けることとなる。タイにおける入院生活や、体の変化、性別適合手術の独特の事情など、笑いを交えて発信する。当事者によるエッセイ体験記。 タイに性別適合手術をしに行く 面白おかしく書いてはいますが、体力的、精神的には性別適合手術は大変なんだなあと思いました。 タイトルは性転換ツアーになっていますが、「体を心の性別に合わせる治療」なので「性別適合手術」が正しいです。でも作者はわかっていて、冗談半分でこのタイトルにしたのだろうと思います。 男性から女性に体を変えるのはどういうことなのか、と、かなり具体的なところまで書いています。性的な部分…

  • 『セックス依存症になりました』津島隆太 ヤングジャンプコミックス 感想

    あらすじ・概要 恋人に暴行を受けたことをきっかけに、セックスのことしか考えられなくなった著者。精神科医によって、セックス依存症と診断される。依存症になったのは、虐待を受けていた過去と、恋人との恐ろしい共依存的快楽にあった。セックスがないと生きていけない状態からの回復を描いたコミックエッセイ。 性依存の男性が自分が依存だと気づくまで 普段性的な作品を掲載することのない当ブログですが、性加害の報道がなされる中、性依存の問題についても扱った方がいいだろうと思い取り上げました。 この『セックス依存症になりました』はかなりえげつない性的表現があるので、ちょっと覚悟して読んでほしいです。 恋人に暴力を振る…

  • 「私は子どもを持つべきか?~気候危機世代のためらい~」をNHKで見た

    あらすじ・概要 度重なる気候変動によって、子どもを持つことをためらう女性たちがいる。子どもを持たない決断をした人、子どもを持つ決断をした人。複数の価値観を紹介しながら、混迷の時代に女性たちが出産を選ぶことの重さを問う。 子どもを産む恐怖の中に暮らす若者たち このブログは高度な科学の問題を積極的には取り上げません。単純に私の専門ではないからです。素人が下手に調べてまとめるとプロの仕事を邪魔することにもなると思っています。 しかしこのドキュメンタリーは取り上げることにしました。気候変動という問題ではなくても、「自分は子どもを持つべきか?」と悩んでいる人は多いと思ったからです。 気候変動により子ども…

  • 祝・大二審終了! ミルグラムのおすすめMVの感想とミルグラムに期待すること

    ミルグラムの第二審、囚人全員の動画が出そろいました。よかった! 作品の雰囲気としては祝っている場合ではないんですが、こういう尖った作品が打ち切りにならずに進行しているだけでもめでたいです。 せっかくなので感想のまとめを書きたいと思います。 ミルグラムとは何か? 直接的・間接的に人を殺してしまった10人の囚人キャラクターに、視聴者が「赦す」「赦さない」の票を投じる悪趣味音楽企画です。 ミルグラムの音楽は囚人たちの過去や心象世界を示したものであり、MVにはさながら宗教絵のように細かい意味が込められています。 とはいえ悪趣味なだけではなく、キャラクターはマイノリティ属性ゆえに相手を追い詰めてしまった…

  • 『被災ママに学ぶちいさな防災のアイディア40』アベナオミ 学研プラス 感想

    あらすじ・概要 東日本大震災によって被災した漫画家・イラストレーターのアベナオミ。幸運にも家族全員が生き延びた彼女は、日々の生活に防災を取り入れるようになる。防災に役立つグッズや習慣、防災にまつわるコミックエッセイを収録。 自分が助かることによって他人を助ける コミックエッセイと文字のエッセイが混じりあっているような本です。今日から始められる内容が多く、参考になりました。 コミックエッセイのパートでは、実際に著者が東日本大震災で被災した状況が語られます。幸運なことに、著者の家族は全員無事でした。家も無事で避難所に行かずに済みます。 しかし、津波の映像を見た著者は焦って海側の地域で夫を探そうとし…

  • 特殊設定のファンタジー小説おすすめ12選【世界観が個性的】

    ファンタジーはテンプレばかり……という意見を見るたび、そうでもないと思うので、過去の記事から特殊設定のファンタジーをまとめてみました。 特殊設定をどう定義するかは難しいのですが、「この設定は見たことがなかったな……」というものを選んでいます。 画像をクリックするとAmazonのページに飛べます。 『竜と祭礼―魔法杖職人の見地から―』筑紫一明 『犬と魔法のファンタジー』田中ロミオ 『皇女アルスルと角の王』鈴森琴 『聖女ヴィクトリアの考察 アウレスタ神殿物語』春間タツキ 『夜は短し歩けよ乙女』森見登美彦 『地獄くらやみ花もなき』路生よる 『アナンシの血脈』ニール・ゲイマン 『デ・コスタ家の優雅な獣…

  • 『まんが版 大阪市の歴史』さいわい徹 和泉書院

    あらすじ・概要 日本第二の都市として栄えてきた大阪、古代、難波宮の時代から、武士の時代、商人の時代、そして明治維新後、戦後まで、その権力の興亡と文化をたどる。大阪の歴史を語る学習漫画。 大阪における権力の興亡 最近大阪の歴史について学ぶことが増えたので、概要を知るために読みました。ダイジェストでありながら、大阪人としても学ぶことが多くて面白かったです。 ヤマト朝廷や貴族、武士、商人など、権力を持つ人々が移り変わっていく様子は興味深かったです。大阪がなぜ商人たちの町になったのか、語られています。 関西圏の負の歴史である、えた、ひにんの話も軽く触れられていました。テンプレ的な「かわいそうな人たち」…

  • 『統合失調症』村井俊哉 岩波新書 感想

    あらすじ・概要 精神疾患のひとつ、統合失調症。珍しくない病気でありながら、多くの人がこの病気を誤解している。まだ解明しきれていない統合失調症に関する仮説から、投薬治療、患者が社会に受け入れられるために医者ができることなど、一般の人にも役立つ情報を語る。 ロマンチックな物語よりも患者の益になる発信をしてほしい 序盤で、フィクションの中における統合失調症へのロマンチックな誤解をはっきり否定していて、それだけでも信頼のおける本だと思いました。 著者は、漠然とした理解をされている統合失調症への誤解を解き、統合失調症の人たちに理解のある社会になってほしいと語ります。 共感したのはオープンダイアローグにつ…

  • 『後宮の薬師 平安なぞとき診療日誌』小田菜摘 PHP文芸文庫 感想

    あらすじ・概要 大陸から来た父から薬を学んだ薬師、安瑞蓮は、腕を買われて宮中に上がる。そこで、体の不自由な皇子に出会う。皇子の身体を診ているうちに、瑞蓮は、後宮の女性たちのいざこざや嫉妬に巻き込まれていく 体に障害を持つ皇子をめぐる女性の悲哀 この間紹介した。『華は天命を診る 莉国後宮女医伝』とは似たようなテーマで作者も同じですが、それでも安定した面白さでした。王道を押さえつつ、今時な題材を取り入れています。 華は天命を診る 莉国後宮女医伝 (角川文庫) 作者:小田 菜摘 KADOKAWA Amazon 手前のガタイのいい金髪のキャラクターがヒーローなのかと思ったら、このキャラが主人公(女)で…

  • 『さいごの色街 飛田』新潮文庫 井上理津子 感想

    あらすじ・概要 大阪に唯一残った遊郭街、飛田。著者はその実像をつかもうと、飛田に飛び込む。遊郭を運営していた人たちや、ヤクザとの関係、飛田特有の複雑なシステムを知り、著者は性産業と女性をめぐる問題について考えることになる。 ルポルタージュに現れる著者の人間味が好き 同じ著者の『葬送の仕事師たち』が面白かったので買いました。大変面白かったです。 葬送の仕事師たち(新潮文庫) 作者:井上理津子 新潮社 Amazon 著者は、なるべく飛田についてフラットに語りたい……と言いながらも飛田における女性搾取のシステム、男尊女卑にかなり引いています。そういうところが人間味があって面白かったです。ルポルタージ…

  • 『精子バンクで出産しました!アセクシャルな私、選択的シングルマザーになる』華京院レイ・上村秀子 LScomic 感想

    あらすじ・概要 アセクシャル(他人に恋愛感情を持たない人)で性別違和を抱えて生きてきた著者。自分が家族とのわだかまりを抱えていたことから、「家族が欲しい」と思い、精子バンクでの妊娠を目指す。精子バンクを使った妊娠のややこしさや、妊娠した後の社会の無理解について描く。 女性が一人で子どもを産む可能性とこれから 面白かったですが、手放しで肯定できない部分もあり、複雑な気持ちになりました。 まず、最初に言っておくと、私は女性が精子提供をしてもらって出産すること自体には肯定的です。今の出産にまつわるシステムは、戸籍制度や家族制度を前提としすぎています。女性が子どもを授かること=結婚という思想は女性の人…

  • 『クララ白書』氷室冴子 集英社コバルト文庫 全2巻 感想

    あらすじ・概要 中高一貫の女子高に通うしーのは、中等部の途中から寄宿舎であるクララ舎に入ることとなる。しかし、クララ舎に途中入寮するイニシエーションとしてドーナツを揚げさせられて……。女の園で暮らす女の子たちのトラブル、日常、友情を描いた連作短編。 面倒な感情が描かれつつもドロドロしすぎない 女性同士の面倒な感情が描かれつつも、話はあっさりしているところが読みやすかったです。 特に主人公三人組が、ときにけんかしたり反目したりしながらも仲良しなのに癒されました。けんかのシーンはそりゃあけんかするだろうな……という展開なのですが、誰かが騙されているのではないかとなったら駆けつけるなど、愛の強さにぐ…

  • 『小さな紳士と山の化け物』ぬら次郎 KADOKAWA 全3巻 感想

    あらすじ・概要 今まで恋をしたことがなかった猫の紳士は、山に住む怪物「お嬢さん」に恋をする。一緒に食料を集めたり、会話をしたりしながら、ふたりの距離は近づいていく。だが、紳士は「お嬢さん」と違う存在であることを気にし始める。 怪物と紳士のピュアピュアラブストーリー 「Twitterでよくまどマギへの巨大感情でバズってる人だ……」と思って購入したんですが、面白かったです。面白ツイッタラー扱いしてすみませんでした。今どき珍しいくらいのピュアピュア恋愛漫画でした。 恋を知らない猫の紳士と「お嬢さん」の恋愛が進展していくところはすごくかわいかったです。ふたりは父親への葛藤を抱えており、会話するたびに過…

  • 『華は天命を診る 莉国後宮女医伝』小田菜摘 角川文庫 感想

    あらすじ・概要 医学校を卒業した翠珠は、ひょんなことから後宮で働くこととなる。翠珠は陰謀や噂が蔓延る後宮での労働にうんざりするものの、医術を通して妃たちの悩みを解決するうちに、彼女らの複雑な事情を知ることとなる。 人間観やジェンダー観がシビアな医女もの 医女ものとしてはよくあるプロットですが、謎解きやキャラクターの関係性でテンプレ的になるのを回避しており、面白かったです。 後宮で繰り広げられる人間観、ジェンダー観はとてもシビアです。 女性にとって権力のあるイケメン男性に惚れられることが幸せである、というラブロマンスの典型から離れて、恋愛や家族愛では決して幸せになれない女性たちが多く登場します。…

  • 双極性障害の人のためのYouTubeチャンネル「双極はたらくラボ」のおすすめ動画10選

    双極はたらくラボとは? 当事者インタビュー 双極性障害の当事者が語る 会に参加した理由/参加前の不安/参加後に感じた良さ・しんどさ 【自傷行為が職場にバレて…】転職を重ね、看護師として私らしく働く 【激務で発症】新卒で1日20時間勤務を2年半/体重30kgを切った/突然、無気力に/3社目で双極性障害の診断/転職20回以上/あるキッカケで症状と向き合う 続かない一般職でなくA型作業所という選択 専門家とのコラボ 「双極性障害と睡眠」の研究者(精神科医)にいろいろ聞いてみた 双極性障害(躁うつ病)の精神科医が「症状、服薬中断、仕事」全て語る【さくら先生】 認知行動療法で双極性障害を改善できる?【公…

  • 『旦那が突然死んだので発達障害児を一人で育てることになりました』せせらぎ バンブーコミックス 感想

    あらすじ・概要 突然伴侶を失い、悲しみにくれる著者。そんな中、子どもの発達障害が判明する。大黒柱として、家事労働者として働く一方、子どもの療育についても悩む必要が出てくる。てんやわんやの家庭で、著者が見いだした救いとは。 自分だけでは子育てできないことを受け入れる 『旦那が突然死にました。』の続編的漫画。面白かったです。 旦那が突然死にました。 作者:せせらぎ エムディエヌコーポレーション(MdN) Amazon 伴侶が亡くなってシングルマザーとして生きていかなければならないのに、子どもの発達障害が判明。空気が読めない、自分の欲求を我慢できない長男に振り回されます。 次第に追い詰められていく著…

  • 『ハンサムマストダイ』アストラ芦魔 ジャンプコミックス 感想

    あらすじ・概要 アイドルファンであるあまり、アイドルのような格好いい振る舞いを好むようになった悠里。しかし、自分がファンだったアイドル、涼が殺害されたことを知り、爆発首輪によってアイドルたちを搾取するシステムを破壊しようとする。その為に、アイドル養成学校に男装して侵入する。 結果的に社会への皮肉になってしまった倫理観ぶっ壊れコメディ 倫理がない作風はいつも通りですが、それを踏まえながらも共感しやすい作品でした。 殺人が当たり前のアイドル業界という設定で、主人公がその業界に反旗を翻す話なので、主人公サイドを応援しやすかったです。 ギャグの過激さは薄れましたが、その分個々の設定が面白くて楽しめまし…

  • 【にじさんじ】壱百満天原サロメ嬢の動画おすすめ10選(2023年12月版)

    今回は壱百満天原サロメ嬢のおすすめ動画をまとめました。2023年版です。 ゲーム実況 「YES」と言わなきゃクリアできるゲーム【DON’T SAY YESですわ~】 【 #ゴージャスおビンタ大会 】 咲き誇れ、おビンタの華──【薔薇と椿ですわ】 【余裕】マナーバトラーサロメ‼お嬢様を目指すなら簡単♥【マナーバトラー礼ですわ】 【おスイカ】🍉スイカゲームに挑戦🍉スイカには会えないかもってきいたんですが❓💦【ですわ】 .。゚+chillい眠れる実況 永遠のファミレスに閉じこもる ファミレスを享受せよ を静かにプレイ💗💤+.゚ .。゚+chill_眠れる実況 午前五時にピアノを弾く を静かにプレイ💗…

  • 『ものいわぬ農民』大牟羅良 岩波新書 感想

    あらすじ・概要 戦後の日本、岩手で行商人をやっていた著者は、そこで農民たちの困窮や、独特の文化、閉鎖的な社会での悩み事を知る。岩手の人々のために役立ちたいと思いながら、インテリ層として人々との距離感に悩む。当時もっとも乳児の死亡率が高かった、岩手の風景とは。 家父長制と同調圧力の中で生きる人々 著者は専門家ではなく元行商の記者ですが、アカデミックな世界に生きてはいないからこそ書ける本だと思いました。 画かれているのは、岩手の家族制度の息苦しさです。ムコやヨメなど、血の繋がらない家族への差別、同調圧力に人生を決められる社会。 第二次世界大戦すら、食べ物が支給され、都会のインテリたちが殴られるのを…

  • まほやく(魔法使いの約束)のウィンターホリデーイベストを読んで感想を書いていく記事

    「次回のまほやくの感想記事はメインストーリー第2部」と言ったんですが先にクリスマスイベストの解放が発生してしまいました……。 なので今回は、予定を変更してクリスマスイベストの記事です。 『雪降る街のプレゼント』 つまらなくはないんですが可もなく不可もなくという感じで、印象が薄い話でした。 思ったのはオズがかわいい、プレゼント買ってあげる子たち優しい、くらいでしょうか……。 『輝く空のペールノエル』 ミチル回。ミチルはたまに腹が立つときもありますがやっぱりかわいいですね。青少年の命の輝きを感じます。 ゲストキャラの魔法使い師弟もかわいかったです。ツンデレ。いたずらで始めたことが街の人たちに喜ばれ…

  • 『ザ・スーパーマリオ・ブラザーズ・ムービー』感想

    あらすじ・概要 配管工の兄弟マリオとルイージは、ブロックやアイテムが存在する不思議な世界へ迷い込む。マリオはルイージを捕らえた悪の首領クッパを倒すために、ピーチ姫に協力することとなる。クッパはピーチ姫に恋愛感情を抱いており……。 細かいことを考えず楽しんでほしい娯楽作 細かいことを考えず頭空っぽにして見る映画。ダラダラ視聴するのに最適だと思います。 序盤で異世界トリップが始まって驚きましたが、配管工が世界を救う設定であるのなら異世界トリップぐらいはするかもしれない、と気を取り直して見ました。 好きだったのがピーチ姫の描き方です。フィジカルの強い女性ですが、人に気を遣うような性根の優しさもありま…

  • 『湿地』バルタザール・コルマウクル 感想

    あらすじ・概要 殺人事件を追う刑事、エーレンデュルは、同時に望まぬ妊娠をした放蕩娘のことで頭を悩ませている。殺人事件を追ううちに、そこには遺伝性の脳疾患を持つ一族が関わっていることが判明した。血と暴力の因縁が、新たな犯罪を発生させる。 視聴者にとってフェアではない映画 面白い映画ではあったんですが、登場人物が全員優生思想を否定することがないのが気になりました。これを「考えさせられる」映画として出してくるのはフェアではないと思います。 遺伝病が作品のテーマとなっていますが、「遺伝病の人もこの世界にいてもいいのでは?」とはっきり発言するキャラクターがひとりもいません。こうなると思想を誘導されている…

  • 『関東大震災と流言 水島爾保布 発禁版体験記を読む』前田恭二 編著 岩波ブックレット 感想

    あらすじ・概要 関東大震災で大きな被害を受けた東京。画家,文筆家であった水島爾保布は地震発生直後から、デマや流言に惑わされる人々の姿を書き残していた。災害による混乱、恐怖。そして朝鮮人や、朝鮮人に間違われた人たちの虐殺が発生する。関東大震災の一次資料を読み解く本。 流言と人間の善と悪の物語 関東大震災の一次資料、つまりは当時の人が書き連ねた文章を現代の学者が解説している本です。旧かな遣いで読みづらいですが。解説を読みながらであればなんとか理解できます。 関東大震災では、多くの朝鮮人が虐殺されました。この行為は、当時の倫理観としても残虐な行為であり、さまざまな文献で批判が残されています。 一方で…

  • 『青青の時代』山岸涼子 モーニングコミックス 感想

    あらすじ・概要 南の島に暮らす少女壱与は、気がふれているがときおり神がかりのようなものを示すばばさまと暮らしていた。ある日島に男たちがやってきて、壱与とばばさまは連れ去られてしまう。やってきたのは男性の王と「聞こえさま」と呼ばれる巫女が統治する伊都国だった。 倫理がないけど共感できる古代架空歴史 現代とまったく違う価値観の作品なのに、現代人である私も共感できるところがあり、面白かったです。歴史もので過去の時代の倫理のなさ、人権感覚のなさを描いた上でエンタメとして楽しめるものを書くのは難しいと思います。しかしそれに成功している漫画です。 主人公は壱与という、神がかりの力を持つ少女です。しかし彼女…

  • 『北欧女子オーサ、日本で恋をする』オーサ・イェークストロム KADOKAWA 感想

    あらすじ・概要 北欧からやってきたオタク漫画家、オーサは、日本でも恋愛をしてみたいと思う。しかし、日本の恋愛観はスウェーデンとはまったく違うものだった。告白や男性がおごるシステム、家族のあり方などを通して、スウェーデンと日本の性別に対する観念の違いを考える。 恋愛から見るスウェーデンと日本のジェンダー観の違い もっとふわふわした話題かと思いきや、スウェーデンと日本のジェンダー観について突っ込んだ話をしており、面白かったです。 日本よりジェンダー平等が進んだスウェーデンからやってきた著者は、日本の文化に衝撃を受けます。 男性がおごる文化や、離婚や破局に対する考え方の違い、告白の文化など、日本独自…

  • 『読んでもらえるnote術 大切な「最初の1か月」の取り組み方』ももんか KDP 感想

    あらすじ・概要 多くの人が集う作品投稿サイト、note。著者がそこで得たnoteにおける読んでもらう工夫を発信する。記事の中身のこと、アイキャッチのこと、スキ機能のことなど、初心者にもわかるnoteの使い方とは。 短めのnoteの使い方 あらためてnoteのことを知りたいと思って読みました。KDPだから短めですが、それでもためになりました。 特に面白かったのはサムネイルについての話です。需要がある記事を書きつつ、サムネイルのデザインで差別化します。私も他人のサムネイルを見てみようと思う内容でした。 パッと見てこの人の記事だとわかるもの、他のサムネイルとは違うものは目を引きます。第一印象って大事…

  • 『身内に(ヤ)がおりましてん。』カツヒロ BAMBOO ESSSY SELECTION 感想

    あらすじ・概要 著者、カツヒロのおじはヤクザだった。おじさんに溺愛されていた著者は、その過程でヤクザの世界を垣間見る。大阪を舞台に繰り広げられる、子どもから見たヤクザの暴力、犯罪、日常とは……。 シャレにならないアウトローの日常が面白い 面白かったですが問題作でもありました。著者はもうちょっと「おじさん」にひどい目に遭わされた人たちに同情してほしいです。 少年である著者のおじさんはヤクザ。著者を溺愛する一方、その生活には暴力がつきまといます。そして、薬物や詐欺、未成年の搾取も。 話としてはコミカルですが、シャレにならない話題ばかりで、笑っていいのか悩みます。 特に、家出少女が家の一室にゴロゴロ…

  • 岩波ブックレットのおすすめ本まとめ22選 労働問題・人権・メンタルヘルス

    今日の記事は、岩波ブックレットのおすすめ本です。 岩波ブックレットとは、岩波書店が出版しているA5サイズの小冊子です。時事問題や社会問題について、コンパクトにまとまった文章が読めます。 岩波ブックレットの中から、大まかにカテゴリ分けしつつ、 私が面白いと思ったものを紹介します。 労働 『非正規公務員という問題 問われる公共サービスのあり方』上村陽治 『官製ワーキングプアの女性たち あなたを支える人のリアル』竹信三恵子・戒能民江・瀬山紀子編 『介護職がいなくなる ケアの現場で何が起きているのか』結城康博 メンタルヘルス 『HSPブームの功罪を問う』飯村周平 『ギャンブル大国ニッポン』古川美穂 『…

  • 『叶えて! マジカル☆スター』6月 ノベルゲームコレクション 感想

    あらすじ・概要 わがまま放題のお姫様、ベガは父親が天帝の座を追いやられてからは地上で不満を抱えて生きてきた。ネガイを集めるために町へ出たベガは、そこで個性が豊かすぎる男性たちと出会う。 倫理がないヒロインがさらに倫理のない男たちに振り回される 逆ハーレム女性向けゲーム。主人公が周囲の登場人物にモテまくる作品です。 倫理がぶっ壊れたキャラクターしか出てこなくて笑ってしまいました。まず主人公がわがままモンスターなのでどうしようかと思いましたが、主人公以外のキャラクターも全員ヤバ男なので問題がなかったです。 こういうの、男女どちらかがヤバいと相手をする方がかわいそうになるので……。 わがまま放題で倫…

  • コミックエッセイ漫画家、細川貂々のおすすめ作品18選

    今回はコミックエッセイ漫画家、細川貂々のおすすめ作品をまとめました。 著者のコミックエッセイのファンなので、過去作を読み返しながら書きました。 お出かけ 『おでかけブック』 『日帰り旅行は電車に乗って 関西編』 『親子テツ』 ファッション・美容 『40歳から「キレイ」と「オシャレ」始めました』 『本当はずっとヤセたくて。 自分のために、できること』 趣味 『てんてん手帖』 『てんてんと歩くキモノみち 紬からはじめました』 『タカラヅカが好きすぎて』 家族のこと 『いろはにいぐあな』 『イグアナの嫁』 『びっくり妊娠なんとか出産』 『ツレはパパ1年生』 『親が子どもになるころに――てんてん、介護…

  • 『そして〈彼〉は〈彼女〉になった 安富教授と困った仲間たち』細川貂々 集英社 感想

    あらすじ・概要 女装の東大教授、安冨歩とその相棒である「ふーちゃん」。彼等には抑圧的な親に悩まされ、生きづらさを抱えていたという共通点があった。過去の恋愛や結婚についての違和感を乗り越えて、自分らしい生き方を獲得していくふたりを描いた作品。 こうあるべきという規範からの脱却 社会の「こうあるべき」という規範に悩まされ、少しずつ成長していく二人の姿が印象的でした。面白かったです。 ちょっと抑圧的な男性が突然女性の格好をするようになった……トランスジェンダーという言葉はちらっと出てくるだけで、どのくらい性自認が女性になったのかはよくわかりません。 ただ言えるのは、本人たちが居心地がいいと思えるのが…

  • 『ダンジョン飯』九井諒子 HARUTA COMIX 感想

    あらすじ・概要 ダンジョンで妹、ファリンを失ったライオスは、残ったパーティメンバーでファリンを回収し蘇生しようと試みる。しかし食料はなく、ダンジョンで自給自足することを迫られた。魔物オタクのライオスはダンジョンに住まう、魔物を調理、実食しながらダンジョンの深部へ向かう。 食べることは生きること、それは絶望ではない いい最終回だった! 完! で済ませたいところですが、詳しく感想を書いていきます。 最初はファンタジーあるある+グルメのコメディでしたが、ストーリーが進むにつれ世界観に深みが増していき、世界のなりたちに迫るというハイファンタジーになっていきます。 部隊はエルフやドワーフがいる『指輪物語…

  • 『河北新報のいちばん長い日 震災下の地元紙』河北新報社 文春文庫 感想

    あらすじ・概要 仙台に拠点を置くローカル新聞河北新報。2011年3月11日、会社を東日本大震災が襲う。自らも被災しながら、記者たちは被災者に情報を届けるために東北に散った。地震発生直後から、避難所での生活まで、記者たちの働きを描いたルポルタージュ。 自らも被災しながら避難所に情報を届ける記者たち とても重苦しい題材で、胸が痛むとともに、希望も感じる本でした。 東日本大震災では電気や通信網というインフラを失い、紙の新聞は被災者に需要がありました。避難所で被災者たちは新聞を奪うように読み、家族や友人の情報がないか探していました。 災害の規模が大きいため、ショッキングなニュースも多く、記者たちがどこ…

  • 『キラキラしてない駐在妻はアメリカでどう暮らしたのか(旅行編)』倉くらの KDP 感想

    あらすじ・概要 夫の駐在によってアメリカに移り住んだ著者。せっかくアメリカに来たのだから、アメリカでしか行けないところに行きたい。そう思った著者はアメリカの自然を楽しんだり、ディズニーリゾートを満喫したりする。旅の楽しさと苦労を描いたエッセイ。 駐在妻ディズニーリゾートへ行く 『キラキラしてない駐在妻はアメリカでどう暮らしたのか』の旅行編。せっかくアメリカに駐在しているのだから、アメリカにいるからこそできる旅行に行こうという話です。 前巻はアメリカでの暮らしの苦労や文化の差が主でした。 キラキラしてない駐在妻はアメリカでどう暮らしたのか (kuranoエッセイ) 作者:倉くらの Amazon …

  • 『さよなら、子ども虐待』細川貂々・今一生 創元社 感想

    あらすじ・概要 日本における子ども虐待は減ってはいない。子どものために何ができるのか。核家族化し、閉鎖的になる現代の家庭で、虐待を防ぐ対策について考える。親、子ども、地域社会が虐待をせず幸せに暮らせる世界を目指す。 まんがでわかる子ども虐待 コミックエッセイというより、著者が聞き手となって子ども虐待について学ぶ本です。ダイジェストではありますが、子ども虐待についてまとまっている本でした。 殴る、暴言を吐く、ネグレクトをするなど、わかりやすい虐待も多いですが、精神的な虐待は対応が難しく、問題も表面化しにくいです。 親が特定の進路を強いる教育虐待、ヤングケアラーの問題、子どもの価値観を否定してコン…

  • 『てんてん手帖』細川貂々 集英社 感想

    あらすじ・概要 漫画家、細川貂々はアンティークなもの、古いものが好き。古いものを作ったり売ったりしている店に行ったり、骨董市に出かけたり、縁起物を買ったり。自分のペースで古くてかわいいものを楽しむ姿を描く。 古くてかわいいものについて語る著者がかわいい アンティーク趣味について書かれたコミックエッセイです。かわいらしく、のんびり読める内容で面白かったです。 古いもの、ちょっと変わったものが好きという著者の思いに、共感できます。 物語を感じさせるのがいいんですよね。 セルロイド人形の話、古い小びんの話、縁起物の話など、普段なんとなく眺めているものを、詳しく知ることができるのはよかったです。 特に…

  • 『いろはにいぐあな』細川貂々 集英社

    あらすじ・概要 爬虫類、イグアナを飼っている著者夫婦。イグアナの面白エピソードや、飼育の苦労、イグアナとの交流をコミックエッセイに描く。イグアナを飼うことになった人たちの集まりや、あるあるについても語る。 珍しい動物を飼うということの面白さと功罪 打ち切り漫画だったせいか、ボリュームは少ないです。けれどもここでしか読めない情報も多くて面白かったです。 いかつくて怖いイグアナのかわいいところ、親しみやすいところは新鮮味があって楽しかったです。珍しい動物を飼っている人はなかなかいないので、新規性があります。 興味深かったのは、イグアナが好きな人たちが、最初からイグアナが好きだったわけではなく、なり…

  • 『夫が突然死にました』せせらぎ エムディーエムコーポレーション 感想

    あらすじ・概要 ある日突然夫が急死し、著者は子どもたちとともに取り残される。愛する人を失った悲しみに襲われ、シングルマザーとしての子育てに奔走する毎日を送る。泣いたり笑ったりする日の中で、家族の死と向き合っていく。 好きな人を失うことは論理的でなくなってしまうほどつらい 好きな人を失うということは重い、そう思う一冊でした。 作者の行動には一貫性がなく、ポジティブになったりネガティブになったりを繰り返します。しかし、作者が愚かだからではなく、パートナーを失うということは論理的な一貫性を失ってしまうくらいつらいことなんだと思いました。 信心のない著者が占いをやってみたり、スピリチュアルなアドバイス…

  • 魔法使いの約束(まほやく) 2周年、3周年、4周年イベスト感想

    まほやくの2、3、4周年イベストを一気に読んだので感想を書きました。 4周年を記念して2、3周年のイベストが解放されていたのと、ちょっと周回を頑張って4周年のイベストを解放したので読めました。 わかりやすいようにまとめて記事にします。 2周年 繋いだ絆は魔法のように トンチキとシリアスが交互にやってくるのでジェットコースターのようなイベストでした。心理的負荷が強かったです。 序盤では魔法使いたちが賢者を喜ばせるためにバラエティ番組に挑戦しますが、聞きかじりの知識しかないのでバラエティとしては成立しておらず、迷走するシーンは爆笑しました。オズが絶妙に素直なのもおかしいです。 突然怪獣大対戦が始ま…

  • 『サクリファイス』近藤史恵 新潮文庫 感想

    あらすじ・概要 ときに敵に順番を譲り、ときにチームメイトのために犠牲になる。独特な文化を持つ自転車競技に魅せられた主人公は、選手として戦っていた。しかし、彼はチームメイトにまつわる疑惑を知ってしまう。不安や疑念の中、事件が起こる。 独特な文化を持つ自転車競技での葛藤と犠牲 『サクリファイス』は英語で犠牲を意味します。そのタイトルの通り、様々なアプローチから犠牲というテーマを扱った小説でした。 謎解き要素はありますが、どちらかというと自転車競技を通した人間関係の方がメインです。ミステリというよりサスペンスでした。 自転車競技は、敵同士なのに順番を譲る、同じチームの選手を勝たせるために他の選手が犠…

  • 『日出処の天子』山岸涼子 白泉社文庫 感想

    あらすじ・概要 古くからの神道を信仰する人々と、大陸からもたらされた仏教を支持する人々が対立する古代日本。蘇我家の少年毛人(えみし)は不思議な王子、厩戸皇子と出会う。彼は超常的な能力を持ち、周囲の人を政治的に操っていた。一方で、彼には、「女性を愛せない」という、当時の家父長制社会では大きな欠点があった。 哀れで恐ろしい皇子の描写がつらくて怖い 面白かったです。男性が好きな皇子の悲恋という事前情報だけ見て読み始めたら、悲恋以上に家父長制の問題や、ジェンダーの問題、そしてそれでも許されない暴力的な愛情の浅ましさがありました。 主人公である厩戸皇子は、たまたま同性を好きになったといつより、最初から異…

  • 『はじめてのグラフィックレコーディング』久保田麻美 翔泳社 感想

    あらすじ・概要 会議や会話をリアルタイムでイラスト化し、理解の一助とするグラフィックレコーディング。簡単な絵で「わかる」イラストを描く方法や、表情や動きのつけ方、図形によって絵を描く方法を解説する。グラフィックレコーディングによって、便利になる部分とは。 シンプルな絵でわかるイラストを描く 絵を描きたいのですが、よくある神絵師の絵を描きたいわけではない……となって手に取ってみた本です。 絵で説明をすることに焦点を置き、「上手い」というより「わかる」絵を目指します。 装飾を廃し、シンプルな絵だけでどこまで状況を説明できるかというのはパズルのようで面白いです。 遠近法やデッサンを覚える必要はないの…

  • 『パウ・パトロール・ザ・ムービー』カル・ブランカ― 感想

    あらすじ・概要 子犬たちのパトロール隊、パウ・パトロール。災害や事故に関する救助活動を行っている。近隣のアドベンチャー・シティにライバール市長が就任し、勝手な思い付きで町をめちゃくちゃにしてしまう。パウ・パトロールたちは市長の起こした事故に対処する。 「こういう属性はいじっていい」という価値観がつらい フィクションにおける悪役の描きかたについて考えてしまう作品でしたね。 悪役であるライバール市長は、金髪碧眼のおじさん、政治家という設定。 その設定と描き方に「ああ……脚本家はこういう属性の人をばかにしていいと思っているんだな……」と思ってつらかったです。 確かに現実では金髪碧眼の政治家おじさんが…

  • 『古文書返却の旅―戦後史学史の一齣』網野善彦 中公新書 感想

    あらすじ・概要 日本史を研究していた著者は、各地方から借用した古文書が借りたまま返せていないことから、古文書返却の旅に出る。著者は各地を回り、不義理を謝罪しながら、学者の地元民への軽視を考える。日本史研究の負の側面を伝える新書。 研究者の後悔が面白い 一齣って何て読むんだろうと思ったら「ひとこま」でした。 学術的な話というよりエッセイですが、それだけに著者の後悔、やらなきゃよかったという感覚が伝わってきて、考えさせられました。 学者はどうしてもアカデミックな話を書かなければならないので、学者の個人的な後悔を知ることは少ないです。だからこそ面白かったです。 古文書返却をおろそかにしてきた理由には…

  • 『皇女アルスルと角の王』鈴森琴 創元推理文庫 感想

    あらすじ・概要 人より強い力を持つ生き物「人外」がはびこっている世界。父親を殺害したとして濡れ衣を着せられた皇女アルスルは、裁きの過程で人外リザシーブと出会う。予言の力を持つリザシーブは、アルスルに奇妙な予言をする。アルスルは、リザシーブと心を通わせ始める。 性と血の匂いがする大人向けファンタジー 性的な話題が多く、大人向けのファンタジーでした。面白かったです。 登場する人外たちもセクハラ発言が多いのですが、人外だからしょうがないな……とギリギリ許せます。人外だと許せてしまうのはどうしてでしょう。 主人公アルスルは「人間らしくない」キャラクターですが、だからこそ人外とコミュニケーションを取り、…

  • 『問題社員の正しい辞めさせ方』新田龍 リチェンジ 感想

    あらすじ・概要 パワハラ、サボり、セクハラなど、職場の困った人たち。しかし、その人たちを合法的に辞めさせようとするのは困難が多い。労働法の事例を紹介しつつ、あくまで遵法的に困った社員との付き合い方、辞めさせ方を模索する。 問題社員でも辞めさせられない日本の労働法 職場に困った人がいるので読んでみました。結論としてわかったことは、法律を遵守すると「困った人」ぐらいでやめさせるのは難しいということです。 懲戒免職は、明かな犯罪や加害行為でないと行われません。法律では微妙なパワハラやセクハラは、解雇の理由にするのが難しいのです。 著者は、「問題社員がいる」ということを認めながらも、あくまで合法的に対…

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