◆親子の甘えの構造と、大人の覚悟子どもは、親が責任をとることで、安心して成長していくことができます。私の知り合いに、小学校低学年の時に、夢でうなされるほど担任と相性が合わなかった人がいます。その寝言を聞いて、ある日、彼の父親がはっきりと言ったそうです。「学校になんか、行かなくていい」。親が決めたことだから、その責任は親にある。彼はそれに存分に甘えることができ、残りの期間はのびのびと遊んで暮らし、次...
小学校の先生をやっています。教育の現場で日々思うことから、子どもが明るく楽しく学校生活を送るためには親として教師としてどう接していったらよいか、深く考えていきたいと思っています。
小学校の先生をやっています。 無駄にキャリアが長いわけですけど、 日々思うことを広く発信できたらな…と思い ブログを立ち上げました。
◆親子の甘えの構造と、大人の覚悟子どもは、親が責任をとることで、安心して成長していくことができます。私の知り合いに、小学校低学年の時に、夢でうなされるほど担任と相性が合わなかった人がいます。その寝言を聞いて、ある日、彼の父親がはっきりと言ったそうです。「学校になんか、行かなくていい」。親が決めたことだから、その責任は親にある。彼はそれに存分に甘えることができ、残りの期間はのびのびと遊んで暮らし、次...
◆親子の甘えの構造と、大人の覚悟リコさんに「人の喜びが自分の喜びとなる」という大切な気づきがありました。彼女と二人っきりになったときに、一緒に喜びあったのですが、家庭での様子を聞くと、彼女は家でお手伝いを全くしないとのこと。共働きで忙しいお母さんも、きっと大変なのだろうと想像しました。ひょっとしたら、彼女の場合も「お手伝い」がキーワードになるかもしれない。この頃から考えるようになりました。すぐには...
◆親切が閉ざされた心の扉を開いた日体育の授業の後、クラスの子どもたちに、そしてリコさんにも届くように話をしました。「一人で何かを成し遂げた喜びって、それは確かに素晴らしいものだよね。例えば、逆上がりが一人でできるようになった時、すっごく嬉しいよね。でもね、誰かに親切にして、その子が何かをできるようになってくれた時、どうだろう? 例えば、友達に逆上がりを教えてあげて、その友達ができるようになった時。...
◆親切が閉ざされた心の扉を開いた日リコさんは、相変わらず自分のやりたいことだけをする日々。何か調子が悪くなると、途中で帰ってしまう。何が彼女を不安にさせるか、私にはトンと分からない日々でした。ただ、彼女の気分に振り回されてはいけないと思っていました。彼女の気分は彼女のものであって、その気分を私がどうこうすることはできない。そんな風に思っていました。私が、彼女の気分を良くする努力をしても意味はない。...
◆先生が怖くて学校に来られない親御さんとの面談で、とにかく学校に来ることを目標にして、漢字については厳しくしないし、宿題をやっていなくても叱らないということにしました。また、リコさんが帰りたくなったら家に帰すということにもしました。親御さんも何とか学校に登校させてくださったので、本当にありがたかったです。実際のところ、子ども達には「一番大切にして、一番考えてくれているのは親御さんだから、親御さんの...
◆先生が怖くて学校に来られないリコさんは、私が厳しくて学校に来られない。でも・・・私が変わる必要があるのだろうか? という疑問は常に頭の中にありました。実際のところ、リコさんが登校を渋っている間も、丁寧に漢字練習をする子がだんだん増えていったし、クラス全体の宿題の提出も良くなっていったのです。それはまるで、リコさんだけが取り残されている感じでした。他の子は前に進んでいるのに・・・リコさんは、登校を...
◆先生が怖くて学校に来られないリコさんは、私が怖いからと言って学校に来られない。もちろん、私に問題があるのですが、果たしてそれだけだろうか? と実は、悶々と悩んでいました。学校での指導は、当然厳しい側面が必要です。漢字練習に関わらず、ダメなものはダメだと指導することが大事なのは当たり前のことだと思うのです。社会にはルールがある。そのルールに適合しなくては、周りに人々と共に生きていくことは無理な話で...
◆先生が怖くて学校に来られない4月、新しい学年が始まりました。子ども達にとって希望に満ちた春がスタートするわけですが、学級担任にとっては夏休みまでの4カ月間はものすごく大変で、子どもたちを学校生活や学習の道に乗せるために、必死になってクラスを作っていきます。そしてこれも例年のことですが、漢字学習においては丁寧に書く意識が薄い子ばかりなので、厳しく指導する場面が増えます。たぶん漢字練習に関しては、学...
◆漢字練習で人の心を知るクラスの子ども達に話したこと つづき「みんなは、漢字を通して最強の勉強法を学んでいます。言われた通りに学ぶことで、教えてくれる人の心がわかるようになっていきます。その人から考え方を学ぶことができます。っていうことはですよ、人の心がわかるようになる、ってことなんです。」ここまで言うと、子ども達の瞳が一斉に私の方に向いたように思いました。どの子も真剣に聞いています。「みんな、多...
◆漢字練習で人の心を知るクラスの子ども達に話したこと つづき漢字練習を厳しくやっているのは、単純に漢字で良い点数を取れるようになるためではありません。私の言う通りに書く。書いて練習する。そういうことを通して、教えている私の考え方や心を学んでね、という事なのです。あ~先生は、ちゃんと折って書かなくては注意をするんだな、ちゃんと止めないと注意するんだな。そういうのは、私の心です。その心さえ分かるように...
◆漢字練習で人の心を知るクラスの子ども達に話したこと「漢字練習を丁寧に書かなくて私に叱られる。これってどういうことだろうね?」子ども達は、私の言っていることの意味が分からない様子です。「ずいぶん、みんなは漢字練習の字が上手になってきました。でも、叱られなくなるために必要だったのは、私の言った通りに書く、たったこれだけだったでしょう?」子ども達の様子を見ると、多くの子が首を縦に振っています。「そうそ...
◆漢字練習で人の心を知る人から教えてもらったり親切にしてもらったりしても、平気で無視をする。無視ができるというのが驚きなのですが、相手への感謝の心が育っていない。そこに子ども達にとって一番の課題がある。これは困った問題だなぁと思いました。親に、先生に感謝せよ、と言っても、そう簡単にはいきません。人の心は、コントロールできないですから。感謝の心を育てるために、昔の人はどうしていただろう? と考えてみ...
◆漢字練習で人の心を知る毎日子どもの漢字練習を見ていると、案外と子どもの心理状態が見えます。あ~この子は何かに悩んでいるなー、勉強にやる気を出してきたなー、なんてことも漢字ノートだけで分かります。漢字練習を通して子どもと会話をしている感覚があるのですが、これはテストも同じで、この子はココで躓いているのか、頑張ってできるよになったね、なんて思いながらテストの丸つけをしています。でも、ミツオ君の乱雑な...
◆漢字練習で人の心を知る嫌な事は先にする、そんな話をして学校でも宿題は先取りさせ、ミツオ君の宿題忘れや忘れ物は少しずつ減っていきました。漢字は丁寧にはなりましたが、でも、もう一押し、何かが足りないように思っていました。相変わらず提出物の字が、乱雑だったのです。ある日のこと、私はテストの丸つけをしていました。すると、名前が読めないテストが出てきました。なんとか名前を読むと、ミツオ君のテストでした。そ...
◆嫌なこと(漢字)を先にする後回しにしてしまうことについてクラスで話したこと 続き「この前の道徳の授業で、忘れ物の授業をしたよね。みんなで、どうして忘れ物をしてしまうのかを話し合った時に、「面倒くさい」「部屋が散らかってる」「準備を後回しにする」という意見が出ました。この「面倒くさい」っていうのも後回しだよね。やりたくないから面倒だなって思う。「部屋が散らかっている」っていうのも、片付けを後回しに...
◆嫌なこと(漢字)を先にする後回しにしてしまうことについてクラスで話したこと 続き人の脳って不思議なもので、何か疑問があると、いつまでも覚えていて答えを探しているんだって。みんなも経験があるでしょう? これって何て名前だっけ?って思ったら、ずいぶん時間がたってから”〇〇だ!”ってピカッて思い出すってこと。」子ども達は口々に「ある!ある!」と言っています。「やりたくないこと…みんなだったら宿題ってことに...
◆嫌なこと(漢字)を先にする後回しにしてしまうことについてクラスで話したこと「宿題を先にやっても良い事にしているけれど、それでも宿題を出せない人がいます。そういう人は、隙間時間や20分休みにやっているのだけど、ちょっとよく考えてみてくださいね。宿題は、やらなければならないことです。これは大丈夫ですか?」子ども達に聞くと、「はい!」という返事が返ってきました。「そうそう、やらなければならないこと。それ...
課題は、宿題を後回しにしてしまって朝の短時間に慌てて書くこと。
◆嫌なこと(漢字)を先にする朝、急いで宿題をやっているミツオ君に話したこと「ミツオ君さあ、、、毎日、漢字が丁寧に書けていないって叱られるよね。何度でも言うけれど、叱られるのが好きなの?」こう声を掛けると、ミツオ君は当然のように首を横に振ります。「私は宿題を前の日や、もっと前にやってもいいよ、って言っているよね。実際、クラスの子達は先にやっている。みんな、家で宿題をしたくないってね。じゃぁ、ミツオ君...
◆嫌なこと(漢字)を先にする毎日、毎日、乱雑な字で叱られるミツオ君。「先生が厳しいからだ!」と怒る様子も無いので、我が強いようでもありません。実際に普段のミツオ君は、明るい笑い声が教室中に響き誰とでも仲良く遊べる子で、自分の感情を爆発させるような場面は、見たことがありませんでした。いつもニコニコ笑っています。感情も落ち着いているし、頭も悪くないのに、なぜ漢字は丁寧に書けないのだろう?と不思議に思っ...
◆嫌なこと(漢字)を先にする5月も終る頃になると、多くの子が何かに目覚めたかのように漢字が丁寧に書けるようになっていきます。それは個人差はありますが、突然やってきます。先日も、漢字が苦手でたくさん直されてばかりだった子が、突然正確に書けるようになりました。突然のことだったので私も驚いたのですが、本人も嬉しそうにニコニコ笑っています。こうなると表情が明るくなり、喜々として漢字練習に取り組むし、積極的...
◆漢字で自分を変える(成長させる)ことを学ぶ漢字練習に限らず、子どもたちによく話をするのは、人は物事を色眼鏡を通して見ているということです。例えば、私のことを人がイロイロな見方をしています。面白い先生、楽しい先生、という人もいれば、怖い先生、厳しい先生という目で見る人もいるでしょう。でも、人はいろいろな見方をしているけれど、お気楽という人はたった一人で存在していて、何も変わらないということです。学...
◆漢字で自分を変える(成長させる)ことを学ぶ「学校の先生や大人の言う事を聞く」という正しさが社会にあります。なら「漢字を丁寧に練習しなさい」という先生の言葉は守りたくない、と考えるのは社会的な正しさと違っています。「親の言う事を聞く、親に感謝する」という正しさを無視して、親に怒ったり暴言を吐いたりするのも、自分勝手な正しさを暴走させているだけです。乱雑な字を見ていると、「俺は汚い字でいいんだー!」...
◆漢字で自分を変える(成長させる)ことを学ぶ「お気楽先生は漢字が厳しすぎる」厳しいといっても、一画一画丁寧に書くだけなんですけどね。折るところは折る、離すところは離す、止めるところは止める、払うところは払う。下手な字でも、丁寧にさえ書いてあれば良いのです。冷静に考えれば大したことはないのですが、自分の思う通りにならないから、相手(担任)に対して怒ってしまう。自分の思う通りにならないから怒るのです。...
◆漢字で自分を変える(成長させる)ことを学ぶ毎年、毎年、4月の漢字練習の添削は大変です。どの子も丁寧に書けていません。それは、ミツオ君も同じでした。画と画がくっついていない、ちゃんと折れ曲がっていない、はねていない、払っていない。それを一つ一つ直して書き直させる。それが、私たち教員の仕事です。画と画が離れていても、折れていなくても、はねても払ってなくても、それで読めたら良いのじゃないの?という話も...
「あれれ?? ミツオ君、またまた100点じゃない、どうしたの~? 最近100点ばかりだね」。テストを返している時に、ミツオ君にこんな声掛けをすると、ミツオ君は満面の笑顔で「やった!」と大喜びです。2学期の終わりの頃から、ミツオ君に返すテストは、高得点ばかりになっていました。「ほらほら、私に”ありがとうございます”は?」と冗談っぽく続けて話をすると、大きな声で「ありがとうございます!」と笑いながら言い...
モモコさんのお母さんに話したこと つづき「お母さん、ぜひ「宿題は学校でやってきて」と言ってください。やってなかったら「6時までに終わらせる」と約束してください。朝、寝坊して通学班の集合時間に間に合わないのなら、朝や学校の用具準備も6時までに終わらせる。これを家での約束にしてください。そして、ここからが大事だと思います。6時までに終わらなかったら、一切やらせないこと。「先生との約束になっているから、...
モモコさんだけに話しても、生活を変える事は難しいと考えて、心配しているお母さんにも話をしました。高校生の子がいるので、生活リズムを変えるのは難しいだろうと考えていました。だから宿題を寝る前ではなく、夕方にするようお母さんに働きかけてもらうことにしました。モモコさんのお母さんに話したこと「モモコさんの課題は、何でも後回しにしてしまうことです。宿題は学校でやっても良いことにしていますが、モモコさんは「...
モモコさんに話したこと 続き「算数も音読も漢字も、モモコさんはできるようにしていかなきゃならない。でも、やらなきゃいけないのに逃げて後回しにしてしまうモモコさんがいます。でも結局は時間に迫られて嫌々やる羽目になってしまって、泣いたり怒ったりすることになる。それは、強制的にやらされるという思いが強いからだよね。」ここまで話すと、モモコさんはコクリと肯きました。「でも、やらなきゃならないという事実に変...
モモコさんに話したこと 続き「モモコさんは、漢字の再テストを全然やらないよね。学期末になって私に言われて渋々やる。漢字は丁寧に書けるようになったし覚えも良いから、再テストもあっという間に合格できる。けど、自分からは取り組まない。つまり、嫌な事を後回しにしてしまうってこと。それが一番の課題なんだと思う。音読や宿題だって先にやってもよいってことにしているけれど、他の子が学校でやっていても「家でやります...
大泣きの理由は、宿題を寝る直前にすることが原因かもしれない。
◆出来ないことと体内時計の関係家でのモモコさんの大泣きの理由は、宿題を寝る直前にすることが原因かもしれない。モモコさんに話したこと「モモコさんは学校の授業では算数で困ることは無くなってきているよね。」と、問いかけるとモモコさんは「はい」と答えました。「そうだよね、学校じゃ算数で困らなくなった。算数の練習帳も学校でやっているときは、特に困らないものね。でも、家では大泣きだってお母さんに聞きました。そ...
◆出来ないことと体内時計の関係もう一つ気になったことは、漢字小テストの再テストの取り組みが、なかなか進まないことです。漢字練習は丁寧に書けるようになったし、テストもそれなりの点を取れるようになったのですが、再テストは積み重なった状態でなかなか取り組めなかったのです。強制的にやらせたら、すぐ合格していきます。でも、嫌な事は後回しにしてしまう。そこにモモコさんの課題があると思いました。ということは、、...
◆出来ないことと体内時計の関係私の子どもは、就職に失敗して家に引きこもっていた時期がありました。仕事を辞めた当初は、1日中寝ている状態で、朝も昼も夜もないような状態でした。ちょうどその頃、朝日を浴びて運動することでセロトニンという幸せ物質が分泌されることを知り、毎朝2人で自転車に乗るようにしました。自転車に乗った後は家で寝たりゲームをしたりしていたようでしたが、それでもだんだんと明るさを取り戻して...
◆出来ないことと体内時計の関係定着の悪さは気になっていたものの、モモコさんは算数の授業で困る事もなくなったし、漢字も丁寧に書けるようになった。これでお母さんは安心されているだろうなと思っていました。ところが、二学期末の面談でお母さんから聞かされた話は、全く違っていました。学校に行くことは毎日楽しいと言っているので安心しているが、家では毎日算数が分からないと言って大泣きなのは変わっていないというので...
◆原因を探る実際に算数の授業になると、モモコさんは「わからない」と言ってずっと座って、誰かが教えに来てくれるのを待っている状態でした。モモコさんに話したことモモコさん、「わからない」じゃぁないんだよ。一度「わからない」と言ってしまったら考えることを止めてしまうから言わないようにすることが大事。これからは「わからない」じゃなくて「わかるようになる」って言っていこう。算数の授業は、何も難しいことはやっ...
◆原因を探る「音読の宿題は家でやる」そう言ったモモコさんの意思を変える理由などありません。宿題をお母さんと一緒にやるのが、彼女の安心なのかもしれないなぁと、その時は思いました。もう一つのお母さんの心配事は算数です。毎日「算数が分からない」と言って家で大泣きなのだと言います。3年前のモモコさんはとても気立てがよく、いつも笑顔で友達と接し明るく親切な子でした。試しにクラス内の仕事を任せてみると、言われ...
◆原因を探るモモコさんのお母さんが心配されていたことは、漢字、音読、算数でした。なぜ前年度まで漢字が苦手だったのか私には理解ができませんでしたが、音読については、あまり強制をしないように気を付けていました。音読は、高学年になっても苦手な子が存在します。でもお母さんからしてみたら、我が子が音読をスラスラできないということが気になって気になって仕方がないのでしょう。よく「休み時間に一緒に遊ぶ友達がいな...
◆原因を探る宿題が分からないと、家で大泣きしているというモモコさん。大抵の子は、心の学びを重ねたらやる気も出て成績も向上していくので、再び担任したら大丈夫だろうと高をくくっていました。でもコトはそう簡単には進みませんでした。モモコさんの前年度からの引継ぎでは、算数ができないのはもちろんのこと、文章が読めず、漢字も書けないとのことでした。私が担任していた頃のモモコさんは、漢字が得意でした。確かに苦手...
モモコさんは、3年前に担任して再び担任することになった子です。以前からお母さんに「最近は勉強が分からないと家で大泣きなんです。お気楽先生が担任の頃は、やる気があったんですけど…」と、学校で会うたびに相談されていました。私の指導が良かったのかどうかは別として、モモコさんが楽しく学校に来られるようになると良いなぁと、担任から離れてもずっと考えていました。そんなモモコさんを再び担任することになり、以前の...
次の日の朝、教室に入ると、子ども達が口々に「先生、おはようございます」と声をかけてきました。もちろん、ヒデアキ君もです。「校門の前にいた校長先生にちゃんと挨拶した人?」と聞くと、ほとんどの子が手を挙げました。「じゃぁ、A先生は?」と聞くと、これもほとんどの子が手を挙げます。「B先生は?」こちらは手がほとんど上がりませんでした。
画鋲の件で、分かった気になった子ども達。”分かった気になる”というのが、ダニングクルーガー曲線の馬鹿の山に上った状態なのだと思います。失敗して絶望の谷に落ちても、努力して啓蒙の坂を上っていかなければなりません。でも、画鋲事件のような事は、そうそう滅多に起こりません。EQを高めるのも訓練なのだと思います。結局は回数。数が質に変わるまでチャレンジするしかないのです。ある日のこと、ヒデアキ君が当番で朝の挨拶...
画鋲の件でクラスに話したこと「ヤバい音がした」っていうことで、みんなは画鋲が散らばったんだって思ったよね。でも助けに行く人は少なかった。それより課題をやらなきゃって思っていたのかもしれません。あまり人が行くと逆にヤバいって思ったかもしれません。でも同じ条件で、タカシ君とユミさんは現場に駆けつけてくれました。タカシ君は、ホウキと塵取りを使えば手早く片付けられるって考えて、すばやく行動しました。ユミさ...
画鋲が散らばってしまった現場にいた子たちに話したこと「でもね、僕たちはEQが低いなーって思って落ち込む必要は無いんだと思うよ。だってね、今みんなにこういう話をしているけど、ここに集まった子だけが学べたんだよ。私が教室にいた時、クラスの子は「ヤバい音がした」と言いました。で、駆けつけたのはタカシ君とユミさんだけです。他の子は教室にいて、課題をやっている。こういう学びができるのは、お手伝いという行動をし...
画鋲が散らばってしまった現場にいた子たちに話したこと「IQって言葉を知っていますか? これは知能指数といって、生まれ持った賢さを表す数字です。みんなも分かると思うけど、めちゃくちゃ頭の良い人っているよね。私の知り合いのアメリカの大学に行った人は、生まれ持ってIQが高い人なんでしょう。でも、今日の事件を見てごらん。一番活躍したのは、ホウキと塵取りを持ってきたタカシ君、そして、遠くまで画鋲が転がっていって...
考えずに逃げてしまうヒデアキ君。どうしたものかと…悩んでいましたが、事件が起こります。その日は、算数の課題を早く終わらせた子ども達に、廊下の掲示物を取ってもらっていました。その中に、ヒデアキ君もいました。私は、算数の課題が進まない子を教室で指導していたのですが、子ども達が「ヤバい音がした」と言うので慌てて廊下に出てみると、廊下一面に画鋲が散らばっていたのです。画鋲のケースを持っていた子が床に落とし...
半分以上白紙で提出されたヒデアキ君の国語のテスト。お父さんの「ヒデアキはスポーツで芽がでない。甘えている」という相談は、何か問題に直面した時に、考えずにシャッターを降ろして逃げてしまうところに課題があるのではないか、、、そんなことを考えて、ヒデアキ君を観察するようになっていきました。不思議なことに、そんなアタリをつけると、それまで気にならなかったヒデアキ君の【考えずに逃げる】に関連した行動が目に付...
できる人は「続けていれば、そのうち急にできるようになる」を知っている
テストを返しながらクラスの子どもに話したこと 続き
テストを返しながらクラスの子どもに話したこと「国語のテスト、初めて読む文章だったから難しかったでしょう? 難しかった人?」子ども達に聞くと、ほとんどの子が手を挙げました。「そうだよね、難しかったよね。でもみんな、よくできていたよ。クラスの平均も78点だったから、それだけみんなは実力がついてきたってことなんだね。国語の読み取りも、算数の文章題も、パターンってモノがあるから練習して出来るようにしていくこ...
3学期の終わりに、国語の読み取りテストをしました。教科書に出てこない文章を読んで解きます。国語の読み取りは子ども達が苦手とする分野なので、「わからないー」「難しいー」というつぶやきが教室中から聞こえてきました。読み取り、、、みんな苦手だものね、、、、悪い点数を覚悟して休み時間に採点していました。ところが、みんな意外と点数が良い。ちょっと驚いてしまって、近くにいた子に「今日の国語のテスト、難しかった...
観客ではなくプレイヤーとなり、自分自身の人生を自分で生きる。
クラスの子どもに話したこと 主人公として生きる 続き「プレイヤーとして漢字練習や算数に参加したら、結構楽しかったでしょ? 漢字で合格した時や算数で分かった時、幸せだったでしょ? それって、練習を重ねて試合にシュートした時の幸せと同じなんだと思います。「できるようになる」とう過程があったからこそ幸せがそこにある。アランという人が言った目的地に到着するまでを楽しもうというのが、このことです。プレイヤー...
クラスの子どもに話したこと 主人公として生きる 続き「みんなは学校に来て、様々な勉強しています。子どもは勉強するのが仕事だと言いますが、素敵な大人になるためには勉強をするのは大事なことです。じゃぁ、その勉強をプレイヤーとして参加していますか? 観客として参加していますか?」この問いかけに、子ども達は少し分からないような表情になりました。「例えば、漢字練習。漢字練習で私は厳しく見るよね。みんなならも...
プレイヤーは実際にプレイしながら”どうするか?”を常に考えている。
クラスの子どもに話したこと ~主人公として生きる~みんなは、これから自分の人生を生きていかなければならないよね。でも、どう生きるかっていうのはとても大事なことなんだ。今から話すのは、自分の人生を主人公として生きていくということです。自分の人生を主人公として生きるっていうのは、私もなかなか理解できなかったことなんだけど、ようやく分かるようになってきました。それくらい「主人公として生きること」って理解...
話し合いが活発になる「・・・・と、〇〇さんが言っていました」作戦ですが、私にとて、これがなかなかの大ヒットです。導入した頃、ノブ君にクジが当たりました。授業中の発表に慣れていなかったノブ君は、おたおたおしていました。でも周りの友達が、必死になって小声で発表内容を伝えます。それを少しずつ真似て発表していきました。発表し終わると、なぜか周りから拍手が。。。ずっと算数に自信がなく、暗い表情だったノブ君が...
とにかく、授業を聞きなさい、言われた通りに出来るようにしなさい、と言い続けました。ノブ君は4月の頃は「分からない」と不安気に周りを見回してばかりいましたが、友達に教えて貰いながら、授業を聞く→言われた通りに練習する、というサイクルが回るようになっていきました。課題が終わると友達に教えに行くシステムにしていますが、だんだんとノブ君も早々に終わらせて友達に教える姿が見られるようになっていきました。「あ...
学習に苦手感のある子の為にクラスで話したこと「私は、みんなに分かるように話す努力をしています。声も大きいし、ゆっくり話したり面白く話したりして、みんなが分かるような授業をしています。みんなも授業中は静かにしてくれているから、声は皆に通っているよね。学校っていうのは、1日8時間も居て、そこで6時間位勉強をしています。凄いよね、みんな学校でかなりの時間過ごしているんだね。4時に家に帰って9時に寝るとし...
漢字は何とかなった。次は算数に苦手意識があるノブ君に、できるようになる道を進むよう示さなければなりません。ノブ君に限らず、勉強の苦手な子は「分からない」「できない」と言って自分の周りに壁を張り巡らせ、外界からの情報をシャットアウトしてしまうところに問題があると最近は思っています。要は話が聞けないということなのです。「分かる」と「分からない」の2つの価値観しかない子どもは、「分からない」と思ってしま...
「できない」と絶望するのではなく、できるようになる過程にこそ価値がある
人によって様々だと思いますが、私の場合は漢字練習を通して、子ども達に心の成長をさせていくことが多いです。厳しい漢字練習を批判する声がSNSではありますが、どこに重きをおいて子ども達の心を成長させていくかは、人それぞれなので一概にダメだとは言えないと思っています。実際のところ、字が綺麗になったと喜ばれる親御さんが多いですし、次年度の担任に同様な漢字練習をさせて欲しいとお願いする方もいます。取り合えず、...
ノブ君の丁寧な漢字練習を見てクラスに話したこと 続き「それから、もう一つ大事なことを話すよ。ノブ君は、丁寧に漢字練習をして提出しました。ノブ君、直しが随分少なくて、みんなからも字がきれいだと褒められて、どんな気分だった?」「いい気持ち」と、ノブ君は答えました。「そうそう、漢字練習を丁寧にしてきたら、私に怒られることは無いよね。そして、褒められもした。今までのノブ君は、面倒とかイヤだという気持ちを中...
ノブ君に「君の心の問題で、できるようになると決めるだけだ」と話した翌日、驚くことに彼は丁寧に漢字練習を書いてきました。こういうものは、子どもが変わるのに時間を要することもあるし、ノブ君のように1日で変わることもあります。ノブ君はサッカーを習って努力もしているので、入りやすかったのかもしれません。彼の漢字練習帳を見ると、何度も書き直した跡がありました。それだけ丁寧に書いてきたのでしょう。もちろん、今...
等価交換の法則についてクラスで話をしましたが、ノブ君も例にもれず、すぐには実行できませんでした。相変わらず乱雑な字を書いてきます。その度に「書き直し」と返していました。私は基本的に漢字ノートは使わずに、漢字練習帳だけ使っています。漢字練習帳に書く文字数はとても少ないのです。少ないから、本人がその気になれば書ける。漢字小テストもたった10問。丁寧に書けないのは、本人の心の問題なのだと思っています。ノ...
4月、乱雑な漢字練習に対して子ども達に話したこと 続き等価交換の法則というのがあります。これは『鋼の錬金術師』という漫画に出てくる言葉なんだけど、何かを得るためには同等の代価が必要という考えです。私から学ぶのであれば、それと同等の代価、この場合は丁寧な字ということになるけれど、そういうものが必要だということです。「先生は仕事でしょ?」と思うかもしれません。でも、仕事なら適当に丸にしたって良いわけで...
4月の頃のノブ君は、とても表情の暗い子でした。お母さんの話によると、今まで学校が嫌いで嫌いで・・・。低学年の頃は、泣いて学校を嫌がることも度々あったとのことでした。友達との関係もあまり良いものではなかったようです。問題の算数の授業ですが、、、もちろん算数だけでなく、どの教科もだったのですが、死んだ魚のような目で授業に参加しています。話は聞いてはいるようですが、まるで覇気がない。算数の授業の最後は練...
私の勤務校では、4月の学力検査だけでなく3学期にも学力検査をします。私のクラスは、4月の検査では学年の中でも下位層がとても多く、上位層はほとんどいないクラスでした。ところが、今年3学期初めの学力テストでは、多くの子が4月の学力テストより順位を上げていました。特に下位グループの人数が半減したことは嬉しかったです。学力不振だった子ども達をある程度引き上げることができたのは、一年の成果だと思いました。中...
なんだかんだと大変ではありましたが、タツヤ君を除いたクラスの全員が、2学期中に、3学期分の漢字練習帳を終わらせることができました。3学期の始業式。クラスの子ども達に「冬休みは、気持ちよく遊べたんじゃないの? なんたって、3学期分の漢字の宿題が終わっているんだもんね。タツヤ君はできなかったけど、2学期分をあっという間に終わらせた。先生やお家の人から「宿題をやりなさい!」って言われるより、自分で考えて...
あと1週間で2学期も終りという頃、最後の追い込みで漢字練習帳が終わっていない子やそのギャラリーで私の机の周りは熱気に包まれていました。まだ合格していない子は、列を作って丸つけの順番を待っています。「じゃ、次」と言って練習帳を受け取ると、それは3学期の漢字練習帳ではなく2学期の漢字練習帳でした。「え? どういうこと?」と思って見ると、なんとそこにはタツヤ君がニコニコしながら立っていたのです。「え~~...
「3学期の漢字練習帳を先取りで早く終わらせてしまおう。そうしたら、心も明るくなるし、何よりも勉強が楽しくなるよ。」そうクラスに声を掛けても、なかなか進まない子も多くいました。ちょうど2学期末の懇談会があったので、クラスの半数ほどの親御さんに3学期の漢字練習帳の取り組みを通して、やる気と自主性を育みたいと話し、家でも声を掛けてもらうようにしました。親御さんもずいぶん協力して頂きましたし、私自身も、な...
宿題で自分をコントロールされるのではなく、自分で宿題をコントロールする。そんな話をクラスでしたわけですが、そうそう簡単に、子ども達は変わりません。宿題を後回しにしてしまう子は特に。実際のところ、3学期の漢字練習帳は1カ月も先にやれば良いことなのです。それを、宿題でもないのに先にやれと言っているのですから子どもからしたら、”やらなくても・・・”と思うことでしょう。できるだけ後回しにしたい。それはタツヤ...
クラスの子ども達に話したこと 続き「ここに、3学期の漢字練習帳があります。漢字なんて手本を見て書くだけだよね。そして丁寧に書くだけ。私は、3学期になったらいつものように宿題として出すけれど、2学期のうちから先に自分で進めても良いことにします。宿題として出されたら「やらされる」ってことになるからめちゃくちゃ嫌になるけれど、自分で早く進めて、宿題をコントロールできたら違う世界を見ることが、きっとできる...
目の前に表れる敵(課題)を一つずつちゃんとクリアしていくゲーム
クラスの子ども達に話したこと 続きみんなの好きなゲームで、敵が現れたとするじゃない。そうしたら戦闘の音楽が流れて、その敵と戦うよね。敵をやっつけたら、経験値をゲットして自分を成長させることができる。でも、敵と戦わずに逃げていたら、いつまでも経験値はたまらない。みんなの「やりたくないこと」も同じなんだと思う。「やりたくないこと」を避けては成長できない。だから、それが現れたら、頑張ってやっつける。次に...
クラスの子ども達に話したこと 続き世の中は、やりたくないことばかりです。君たちは生まれて10年しか経っていないのだから、できないことばかりだよね。だから、すべきことが多くある。これは当たり前のことです。世の中は、やりたくないことばかり。でもそれは仕方がないと、あきらめることが大事。あきらめるっていうのは、「明らかに見る」ってことだと言われます。やりたくないけど、やらなくっちゃいけないってことが分か...
人は、自分で考えて行動したいものです。「考えることが自由だ」と何かで読みましたが、自分で考えて行動するということで自由を感じるのでしょう。でも宿題というのは、先生から命令されてやらされるものです。それは人から管理されるもの。自分の自由はないのだから、子どもはそこに圧を感じるし、反発も覚えるのでしょう。大事なのは自主性。人から管理されコントロールされるのではなくて自主的に取り組むこと。そのためには、...
漢字練習を意欲的にする子に、漢字が好きか?と聞いて、「好き」と答える子はほとんどいません。私は漢字は厳しく見ますし、100点になるまで再テストもします。決して低いハードルではないのです。それなのに漢字練習帳を早く終わらせる子、再テストが合格していく子がいる。そのような子を観察していると共通してどの子も行動が早いということに気づきました。漢字のテストをして全部書けなかったら、その直後に再テストをして...
宿題による家庭学習の管理。タツヤ君だけでなく、他の子も宿題に圧を感じているのだろうから、もう少し、私が管理しない方向に宿題システムを変えられないかと考えました。つまり、子ども達が自主的に取り組める方法にする。今よりも子どもが意欲的に取り組める宿題のシステムにしたら、タツヤ君も少しは取り組めるようになるだろうと思いました。私は漢字練習を重視します。止め・はね・払いなど、細かく見るのですが、だからとい...
宿題を親御さんにお任せして、無期限の提出期限。でも、これでは学習から逃げるだけになってしまいます。ただ、タツヤ君は宿題からの無言の圧力を感じている。他にも宿題をやりたくないと登校を渋った子がいた。そう考えると、少し先の未来、タツヤ君が宿題に取り組めるよう、宿題の無言の圧力のようなものを取り除いておく必要がると考えていました。宿題のシステムそのものを変える必要がある。よく学校で「家庭学習の習慣をつけ...
タツヤ君は、宿題にハードルがある。まずは、宿題のハードルを下げること。実際のところ、学力がかなり低かったので、宿題を他の子と同じにすることに無理があると以前から考えていました。実際に宿題をやってこられないことも、よくありました。まず第一に考えなければならないのは、タツヤ君が学校に来られるようになること。なら、いっそのこと宿題を無しにして、心の負担から解放してしまおうと思いました。お母さんに相談する...
お母さんのおかげで、取りあえずはタツヤ君は学校に登校できるようになりました。が、学校での表情は暗く、嫌で嫌で仕方がない、そんなオーラを全身から発しています。でも私は、彼が学校に来ることが必ず突破口になると考えていました。学校に来られないのを周囲のせいにしてしまうのが一番の問題で、新しいものの考え方をタツヤ君に入れる必要がある。心のあり方を学ぶ必要がある。それができるのは学校しかありません。とにかく...
お母さんに話したことの続き子どもに悩ませないというのはとても大事なことで、まずは動かすこと。学校に来たら忙しいですから、悩まないで済みます。それからもう一つ、悩みを深堀しないということです。以前担任した子ですが、ある日、登校を渋ったのです。家庭訪問してお母さんと話をしたのですが、ホンの些細な事、プリントを私に提出し忘れたということなんですが、そんなことで真剣に親子で悩んでしまったそうです。そのお母...
あまりに欠席が続いたので、これは彼の精神的に良くはないと思い、お母さんと話をしました。「熱はあるのでしょうか? そっか、ないんですね。ないのなら、とにかく学校に登校させてください。もし歩くのを渋るようでしたら、許可を出しますから学校まで車で送ってきてください。また公園でゲームをしているなんてことがあったら困るから、お母さん、教室まで送ってきてくださいね。体調が悪いと本人が言うと判断が難しいですが、...
出席簿に並ぶ、タツヤ君の欠席。それはまるで、タツヤ君が学校に登校しないと決めたかのようでした。相談員さんとの面談以降、目立って増えてきたように思いました。もちろん、課題のある子の心のうちを探っていただける相談員さんは子どもの課題解決になくてはならない存在です。ただ、タツヤ君の場合、今までクラスでほぼ喋らなかった子が相談員さんに話を聞いてもらえ、心の中にあるモヤモヤしたものを表に出し、担任に対処して...
・クラスの友達にいじめられること・登校班の副班長に厳しく注意されること相談員さんとの面談で、この2点が分かったので、お母さんは、何となく嬉しそうな表情でした。友達がいじめなくなり、副班長が優しくなれば登校渋りは解決する。そう考えるのも、ごく普通のことだと思います。でも、今までの経験からいっても、この2点を解決しても登校渋りは解決しないだろうと考えていました。今まで何人もの子どもを見てきましたが、不...
タツヤ君が相談員さんに話をしたことの2つ目は、登校班の副班長に暴言を吐かれるとのことでした。正直なところ、この副班長の子を担任したことがあり、そんな暴言を吐くような子ではなく、とても真面目な子です。副班長の仕事を一生懸命やっているってことなんじゃないかな?と思いました。実際に副班長に会って話を聞くと、タツヤ君がゆっくり歩くことがあるし、低学年もちゃんと歩かないので、ずいぶん困っているとのことでした...
タツヤ君の「ヨシ君がいじめる」という話もヨシ君や他の男子にとっては、ごく普通の遊び。でも友達のいないタツヤ君は知らなかった、イジメだと思った。そういうことなのだろうと思いました。もちろん、本当のイジメと遊びとを区別することは難しいですが。。。ヨシ君には「タツヤ君は、指でつつかれるのが嫌なんだって。嫌だというものは、やらないようにしようね。」と話し、タツヤ君には「男の子が普通にやっている遊びなんだと...
登校途中で行方不明になってしまったタツヤ君。相談員さんに話を聞いてもらうと、クラスのヨシ君からいじめられるという話が出てきました。う~~~ん、、、、確かにね、いじめられているのかもしれないのですが、ヨシ君というのは、クラスで「いい人」と言われるような子で、意地悪をするのだろうか?という疑問符がイッパイ私の頭の中を駆け巡りました。タツヤ君に話を聞くと、下校途中で、お腹を指でつついてくるのだそうです。...
う~~~ん、、、、今日も休みかぁ。最近調子が悪い事が多いなぁ。。。登校を渋っているんじゃないかなぁ。2学期になり、タツヤ君の欠席日数がとても増えていました。お母さんから、調子が悪い、頭が痛い、お腹が痛いという欠席理由が毎日のように入ります。お母さんに電話をすると、体調が悪い日が多いけれど、熱は出ていないとのことでした。実のところ、夏休み明けから表情が冴えないなぁ・・・と思っていました。9月は登校を...
学びというものは、自己主張を無くすことから始まる。こんなことをクラスに話してから、ユウ君の漢字テストの点数が、みるみる上がっていきました。それまでは、再テストを何度もしないと合格しなかったのですが、「これは止めてね」と間違いを指摘すると「わかりました!」と笑顔で答え、すぐ合格となる。そんなユウ君に大変身してしまったのです。掃除や親切行動で、自分中心の行動を減らしていたので、余計に切り替えが早かった...
クラスの子に話したこと つづきじゃぁ、みんなが苦労している漢字はどうなんだろう?漢字だって、大昔の人々が考えて多くの人によって伝えられてきた日本人の心だよね。書き順は、墨で書くときに書きやすいようになっているし、なぜハネるのか?っていうのも、次の画につなげるためだしね。「円周率」を英語でいうと、とても大変だというのを聞いたことがあります。英語だと「円の周囲の直径に対する割合」って、長々と説明する形...
クラスの子に話したこと つづきどうして、アドラーを愛読書にした子が勉強がよくできるようになったんだろう?と考えてみました。みんなも伝記が読めるようになったし、子ども向けのアドラー、もしドラ、天風さんなんかの本を読んでいる子もいる。中には、お父さんの本を読んでいる子もいるって聞きました。それっていうのは、偉人の心っていうのが心の学びを通して分かるようになってきて、書いてある内容が”わかる”って思うから...
ユウ君の課題は、その自己中心性でした。でも、親切行動やクラスへの貢献活動を通して、自己主張をすることは減っていきました。もちろん、やりたいことは「やりたい」とハッキリ言うのですが、友達の考えも聞けるようになっていきました。一緒に掃除をする「仲間」がいる。一緒にパズルをする「仲間」がいる。その仲間を大切にしようと思ったら、自分中心ではうまくいかないですから、仲間と共に行動する中で、人の意見を聞くとい...
ユウ君の課題の処理能力はどんどん高くなっていき、ほぼ毎時間のように、教室の掃除をするようになってしまいました。友達と一緒に掃除や教室内の仕事をするために、課題や宿題を、とても早く終わらせるようになっていきました。宿題は、何枚か先に渡すようにしているのですが、算数などは、ほぼ一瞬で終わらせるようになっていきました。ユウ君に影響されて、課題や宿題を早く終わらせてしまう子も増えていきました。頭の良い子が...
ユウ君に「ヤスシ君のように親切行動をしてみなさい」と話をすると、彼はさっそく実行に移しました。今まで、友人関係で相当困っていたのでしょう。小学生というのは、常に学んでいる状態です。一緒に努力する仲間もいるので、「〇〇すると良い」と言われたら、即実行に移しやすい環境にあります。最初に実行したのは、授業中に課題を早く終わらせ、友達に教えに行くことです。もともと気の良いところのあるユウ君でしたので、喜ん...
今まで自分中心の世界に生きてきた人が、いきなり自分を変えていこうとするのは、なかなか大変なことです。でも、自分のことを少し我慢して、友達の為に親切な行動をすることで自分中心を少しずつ減らしていくことができます。今まで担任してきた多くの子が、親切行動やお手伝いを増やすことで友達関係を改善し、楽しい学校生活を送れるようになっていきました。人は自分を取り巻く環境を自分の思う通りにしたいと思うものですが、...
ユウ君に話したこと「給食の食器について女の子とトラブルになったことがあったよね。もちろん、片付けを押し付けた女の子が悪いのだけど、君は、お母さんを使って彼女たちにマウントしようとしたよね。自分は嫌だったから、お母さんにやっつけてもらおうとしたんじゃないかな?でも、ちょっと教室を見回してごらんよ。例えば、ヤスシ君なんて、自分で率先してみんなの食器を集めてまわっているでしょ? 誰にも命令されていない、...
ユウ君に必要なことは、「正しさ」というものは人それぞれで違うということを知る事。そのためには、今、凝り固まっている自分の正しさを打破して、新しい価値観を得る経験をすること。ユウ君に話したこと(マウントについて)「マウント」という言葉があります。これは、動物が強さを競って戦って、勝った者が負けた者の上に乗っかって俺が強いんだー!って力を示すものです。この「マウント」って、実は人間も本能的にしてしまう...
ユウ君の課題は、どれも「自分の正しさ」が強くて、友達の気持ちを汲めないところにある。これまで、数多くの子ども達と関わってきましたが、どの子にも共通して抱える課題でもあると思います。要は、人が信じられないということになるのですが、これを解決するためには、親切行動をして自分を変えていくしかありません。人というのは不思議なもので、自分のもつ「正しさ」が、世の中の人も共通してもっている「正しさ」だと思って...
昨年、友達を注意したために友達関係がこじれてしまったユウ君。そこには、自分の正しさが強くて周りの人を見下してしまう問題があるのではないか?給食の食器の片付けで、女子とトラブルになりました。女子も遊びの範囲内だったと思うのですが、ユウ君は、女子を許せなくてお母さんに訴えました。いじめは当然良くない事ですが、「いやだ」とか「やめてほしい」とか言えば済むことなのに友達を信じていなくて、言えなかった可能性...
昨年、友達を注意したために友達関係がこじれてしまったユウ君。登校を渋ったのは、相手が悪いのに自分が逆に責められたのが納得がいかなかったのでしょう。納得がいかないから、学校に行かないという選択をした。「自分が正しい」という思いが強かったのだと思いました。もちろん、授業中騒いでいる子の方が間違っています。でも、だからと言って、自分がさも上の立場にあるかのようにそれを糾弾してはいけないのだと思うのです。...
友達に「嫌だ」と言えない。漢字を正確に書けない。テストでケアレスミスが多い。そんなユウ君でしたが、1学期にお母さんと話をする機会があった時に、クラスに関して悩みがあるという相談を受けました。その内容が、授業が静かすぎて午後の授業が眠くなる、ということでした。正直なところ、え~!!ってビックリです。眠くなるような授業をしてしまう私にも問題があるのですが、静かで困ると訴えてくる親御さんは初めてでした。...
これも100点、これも100点か~。すごく成績が良くなってるなー
あれ~? これも100点、これも100点か~。すごく成績が良くなってるなー。テストの採点をしながら、ユウ君の成績がすごく伸びているのに気が付きました。ユウ君は、頭は良いと思うのですが、ケアレスミスが多く、テストではなにかしらミスをして満点を取れずにいたのです。1学期は漢字練習でも、小さなミスがよくあり、それは小テストも同様で、満点を取れずに何度も再テストをするということがよくありました。私は漢字は...
指導以来、アサヒ君へのレキ君のイジメはおさまりました。2人が一緒に仲良く遊ぶという姿は見られませんでした。アサヒ君からしたら、許せないのも当たり前です。同時に、レキ君がそういう報いを受けるのも当たり前の話です。レキ君は友達がほとんどいませんでした。それには、友達をイジメてしまうほど自分勝手な正しさが強かったというのにも原因があったのでしょう。レキ君は、初めに注意した時に素直に自分の非を認めました。...
イジメの件で、クラスに話したこと 続き自分勝手な正しさが強くなってしまうとイジメをするとか、悪口を言うとか、無視するとか、そういうことが、正しい行動だと思ってしまうところが問題なんだよ。何と言っても、自分が正しいと思うし周りの人も同じだと思うってしまう。そこに、人のバグがある。小さい頃から今まで、誰かに叩かれたことのある人はいますか?」クラスに聞くと、大半の子どもが手を挙げました。「だよね。じゃぁ...
イジメの件で、クラスに話したこと 続き「自分が考える正しさが、本当の正しさではないかもしれない。こんなことを考えると、じゃぁどうしたら良いの?って思うよね。武田邦彦さんという人は、正しさの順番は以下のように書かれていました。『真の正しさと仮の正しさ』・真の正しさ 1.神 2.偉人 3.倫理(相手(倫)のことわり(理)) 4.法律(社会の約束)・仮の正しさ 1.先生と生徒 2.監督と選手・間違い 「自分は正しい。お前は...
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◆親子の甘えの構造と、大人の覚悟子どもは、親が責任をとることで、安心して成長していくことができます。私の知り合いに、小学校低学年の時に、夢でうなされるほど担任と相性が合わなかった人がいます。その寝言を聞いて、ある日、彼の父親がはっきりと言ったそうです。「学校になんか、行かなくていい」。親が決めたことだから、その責任は親にある。彼はそれに存分に甘えることができ、残りの期間はのびのびと遊んで暮らし、次...
◆親子の甘えの構造と、大人の覚悟リコさんに「人の喜びが自分の喜びとなる」という大切な気づきがありました。彼女と二人っきりになったときに、一緒に喜びあったのですが、家庭での様子を聞くと、彼女は家でお手伝いを全くしないとのこと。共働きで忙しいお母さんも、きっと大変なのだろうと想像しました。ひょっとしたら、彼女の場合も「お手伝い」がキーワードになるかもしれない。この頃から考えるようになりました。すぐには...
◆親切が閉ざされた心の扉を開いた日体育の授業の後、クラスの子どもたちに、そしてリコさんにも届くように話をしました。「一人で何かを成し遂げた喜びって、それは確かに素晴らしいものだよね。例えば、逆上がりが一人でできるようになった時、すっごく嬉しいよね。でもね、誰かに親切にして、その子が何かをできるようになってくれた時、どうだろう? 例えば、友達に逆上がりを教えてあげて、その友達ができるようになった時。...
◆親切が閉ざされた心の扉を開いた日リコさんは、相変わらず自分のやりたいことだけをする日々。何か調子が悪くなると、途中で帰ってしまう。何が彼女を不安にさせるか、私にはトンと分からない日々でした。ただ、彼女の気分に振り回されてはいけないと思っていました。彼女の気分は彼女のものであって、その気分を私がどうこうすることはできない。そんな風に思っていました。私が、彼女の気分を良くする努力をしても意味はない。...
◆先生が怖くて学校に来られない親御さんとの面談で、とにかく学校に来ることを目標にして、漢字については厳しくしないし、宿題をやっていなくても叱らないということにしました。また、リコさんが帰りたくなったら家に帰すということにもしました。親御さんも何とか学校に登校させてくださったので、本当にありがたかったです。実際のところ、子ども達には「一番大切にして、一番考えてくれているのは親御さんだから、親御さんの...
◆先生が怖くて学校に来られないリコさんは、私が厳しくて学校に来られない。でも・・・私が変わる必要があるのだろうか? という疑問は常に頭の中にありました。実際のところ、リコさんが登校を渋っている間も、丁寧に漢字練習をする子がだんだん増えていったし、クラス全体の宿題の提出も良くなっていったのです。それはまるで、リコさんだけが取り残されている感じでした。他の子は前に進んでいるのに・・・リコさんは、登校を...
◆先生が怖くて学校に来られないリコさんは、私が怖いからと言って学校に来られない。もちろん、私に問題があるのですが、果たしてそれだけだろうか? と実は、悶々と悩んでいました。学校での指導は、当然厳しい側面が必要です。漢字練習に関わらず、ダメなものはダメだと指導することが大事なのは当たり前のことだと思うのです。社会にはルールがある。そのルールに適合しなくては、周りに人々と共に生きていくことは無理な話で...
◆先生が怖くて学校に来られない4月、新しい学年が始まりました。子ども達にとって希望に満ちた春がスタートするわけですが、学級担任にとっては夏休みまでの4カ月間はものすごく大変で、子どもたちを学校生活や学習の道に乗せるために、必死になってクラスを作っていきます。そしてこれも例年のことですが、漢字学習においては丁寧に書く意識が薄い子ばかりなので、厳しく指導する場面が増えます。たぶん漢字練習に関しては、学...
◆漢字練習で人の心を知るクラスの子ども達に話したこと つづき「みんなは、漢字を通して最強の勉強法を学んでいます。言われた通りに学ぶことで、教えてくれる人の心がわかるようになっていきます。その人から考え方を学ぶことができます。っていうことはですよ、人の心がわかるようになる、ってことなんです。」ここまで言うと、子ども達の瞳が一斉に私の方に向いたように思いました。どの子も真剣に聞いています。「みんな、多...
◆漢字練習で人の心を知るクラスの子ども達に話したこと つづき漢字練習を厳しくやっているのは、単純に漢字で良い点数を取れるようになるためではありません。私の言う通りに書く。書いて練習する。そういうことを通して、教えている私の考え方や心を学んでね、という事なのです。あ~先生は、ちゃんと折って書かなくては注意をするんだな、ちゃんと止めないと注意するんだな。そういうのは、私の心です。その心さえ分かるように...
◆漢字練習で人の心を知るクラスの子ども達に話したこと「漢字練習を丁寧に書かなくて私に叱られる。これってどういうことだろうね?」子ども達は、私の言っていることの意味が分からない様子です。「ずいぶん、みんなは漢字練習の字が上手になってきました。でも、叱られなくなるために必要だったのは、私の言った通りに書く、たったこれだけだったでしょう?」子ども達の様子を見ると、多くの子が首を縦に振っています。「そうそ...
◆漢字練習で人の心を知る人から教えてもらったり親切にしてもらったりしても、平気で無視をする。無視ができるというのが驚きなのですが、相手への感謝の心が育っていない。そこに子ども達にとって一番の課題がある。これは困った問題だなぁと思いました。親に、先生に感謝せよ、と言っても、そう簡単にはいきません。人の心は、コントロールできないですから。感謝の心を育てるために、昔の人はどうしていただろう? と考えてみ...
◆漢字練習で人の心を知る毎日子どもの漢字練習を見ていると、案外と子どもの心理状態が見えます。あ~この子は何かに悩んでいるなー、勉強にやる気を出してきたなー、なんてことも漢字ノートだけで分かります。漢字練習を通して子どもと会話をしている感覚があるのですが、これはテストも同じで、この子はココで躓いているのか、頑張ってできるよになったね、なんて思いながらテストの丸つけをしています。でも、ミツオ君の乱雑な...
◆漢字練習で人の心を知る嫌な事は先にする、そんな話をして学校でも宿題は先取りさせ、ミツオ君の宿題忘れや忘れ物は少しずつ減っていきました。漢字は丁寧にはなりましたが、でも、もう一押し、何かが足りないように思っていました。相変わらず提出物の字が、乱雑だったのです。ある日のこと、私はテストの丸つけをしていました。すると、名前が読めないテストが出てきました。なんとか名前を読むと、ミツオ君のテストでした。そ...
◆嫌なこと(漢字)を先にする後回しにしてしまうことについてクラスで話したこと 続き「この前の道徳の授業で、忘れ物の授業をしたよね。みんなで、どうして忘れ物をしてしまうのかを話し合った時に、「面倒くさい」「部屋が散らかってる」「準備を後回しにする」という意見が出ました。この「面倒くさい」っていうのも後回しだよね。やりたくないから面倒だなって思う。「部屋が散らかっている」っていうのも、片付けを後回しに...
◆嫌なこと(漢字)を先にする後回しにしてしまうことについてクラスで話したこと 続き人の脳って不思議なもので、何か疑問があると、いつまでも覚えていて答えを探しているんだって。みんなも経験があるでしょう? これって何て名前だっけ?って思ったら、ずいぶん時間がたってから”〇〇だ!”ってピカッて思い出すってこと。」子ども達は口々に「ある!ある!」と言っています。「やりたくないこと…みんなだったら宿題ってことに...
◆嫌なこと(漢字)を先にする後回しにしてしまうことについてクラスで話したこと「宿題を先にやっても良い事にしているけれど、それでも宿題を出せない人がいます。そういう人は、隙間時間や20分休みにやっているのだけど、ちょっとよく考えてみてくださいね。宿題は、やらなければならないことです。これは大丈夫ですか?」子ども達に聞くと、「はい!」という返事が返ってきました。「そうそう、やらなければならないこと。それ...
◆嫌なこと(漢字)を先にする朝、急いで宿題をやっているミツオ君に話したこと「ミツオ君さあ、、、毎日、漢字が丁寧に書けていないって叱られるよね。何度でも言うけれど、叱られるのが好きなの?」こう声を掛けると、ミツオ君は当然のように首を横に振ります。「私は宿題を前の日や、もっと前にやってもいいよ、って言っているよね。実際、クラスの子達は先にやっている。みんな、家で宿題をしたくないってね。じゃぁ、ミツオ君...
◆嫌なこと(漢字)を先にする毎日、毎日、乱雑な字で叱られるミツオ君。「先生が厳しいからだ!」と怒る様子も無いので、我が強いようでもありません。実際に普段のミツオ君は、明るい笑い声が教室中に響き誰とでも仲良く遊べる子で、自分の感情を爆発させるような場面は、見たことがありませんでした。いつもニコニコ笑っています。感情も落ち着いているし、頭も悪くないのに、なぜ漢字は丁寧に書けないのだろう?と不思議に思っ...
◆嫌なこと(漢字)を先にする5月も終る頃になると、多くの子が何かに目覚めたかのように漢字が丁寧に書けるようになっていきます。それは個人差はありますが、突然やってきます。先日も、漢字が苦手でたくさん直されてばかりだった子が、突然正確に書けるようになりました。突然のことだったので私も驚いたのですが、本人も嬉しそうにニコニコ笑っています。こうなると表情が明るくなり、喜々として漢字練習に取り組むし、積極的...
◆できないという呪縛から脱出したクミコさん 5丁寧に板書をノートに写すクミコさん。丁寧書いていたら、本人も勉強した気分になるから自分を否定することにもなりません。そこに落とし穴がある。クミコさんの問題は、できるようになる努力をしていないことと、苦手なことから逃げてしまう心にあると思いました。クミコさん自身は、「できる自分」になりたいと思っていることでしょう。でも、その未来に向かって歩き出す勇気がな...
◆できないという呪縛から脱出したクミコさん 4クミコさんの授業での様子を見ていると、とにかく、なんでも丁寧なのです。板書を写す時も、とても丁寧にノートに書いていきます。丁寧すぎて、時間が掛かるのが問題で。。。その姿は、私には”逃げ”のように感じました。丁寧に書くことで、考えることから逃げている。授業では考えることや分かることが大切ですが、丁寧に字を書くことで、思考することを拒否しているのでしょう。以...
◆できないという呪縛から脱出したクミコさん 3現状維持なら、自分は傷つくことはない。お母さんの話では、クミコさんは家では宿題ができなくて泣いているとのことなので、勉強ができないことで自分自身を責めているのでしょう。なら勉強したらいいじゃんって思うし、そんな風に苦しんでいるのは地獄のようだものだと思うのですが、そういう思考が常態化していると、抜け出せないんですね。クミコさんの問題も、「勉強ができない...
◆できないという呪縛から脱出したクミコさん 2心の話には素直に反応して、しっかり話を聞くことができるクミコさんですが、授業となると、とたんに不安そうな顔となります。漢字は以前担任した時にかなり特訓をしたので、止め・はね・払いも完璧に書くことができるし、漢字小テストは、半分くらいは〇になっていたので、全然できないというレベルではないので、違和感がありまくりです。漢字が読めないという話はいったいなんだ...
◆できないという呪縛から脱出したクミコさん 1クミコさんは、前年度の担任からの申し送りで、文章は拾い読みで漢字も読めない、算数の文章題も全く解けないという子でした。前年度の成績は学年の中で最下位層に位置していました。以前に担任もした子で、当時も勉強が苦手だな、、、とは思っていたのですが、何度かお母さんから「お気楽先生が担任の時はやる気があったのに…」という相談を受けていたのです。再び担任した時は、(...
『人生とは自転車のようなものだ。 倒れないようにするには走らなければならない。』これはアインシュタインの名言です。最近、この言葉に出会ってかなり衝撃を受けました。同様な名言は数多く存在していて、泳ぐ魚は沈まない、回る駒は倒れない、など、このブログでも以前に書いた記憶があります。でもなぜ、再びアインシュタインなのか?それは自分自身にとって、「動けない」ことが大きな課題であると最近意識するようになって...
◆『いい人戦略』でいこう!3クラスで話したことまだまだ未熟な私たちだから、いい人を目指して努力していく。そんな話をしていたら、子どもから「嫌なことをした人にも、親切にするのですか?」という質問がありました。これには少し困ってしまったのですが、他の子がさっと手を挙げて「オキシトシンは、相手にもでるから…」と助け船を出してくれました。毎日、いろいろな話をしていますが、子ども達なりに知識をつなげる努力をし...
◆『いい人戦略』でいこう! 2クラスで話したこと「いい人であることは難しいです。だってね、悪口を言われたと思ったら心の中では、怒り爆発状態だものね。私だって同じです。でもね、戦略なんですよ。自分はたぶんいい人じゃない。だから、いい人のフリをする。いい人のような演技をする。例えば、人の顔って口の端…口角というけれど、そこをちょっと上に上げたら、笑顔だと思われる。逆に下げたら機嫌が悪いように見える。だっ...
◆『いい人戦略』でいこう! 1クラスで話したこと「悪口を言い続けたら友達が無くなっていく。これは、怖い話ではないですか? だって、そんな人と付き合ってなんていられないよね。クラスは、悪口を言わない人がほとんどだよね。ちょっと見回してごらんよ。少なくとも、大人しくあまり喋らない子は悪口を言わないでしょ? 休み時間になると外に飛び出してドッジボールをやっている子だって悪口を言っている暇なんてないよ。漢字...
◆自分の色眼鏡を変える 3クラスで話したこと つづき「こういうことはね、騙されたと思ってやってみると良いんだよ。周りの人は親切で優しい人ばかりだ、っていう色眼鏡をかける。そのためには、まず自分が親切で優しい人になることが必要なんだ。知らない世界というのは、信じられないことでしょう。でも教えて貰うというのは、知らない世界を知るってこと。学ぶは真似ぶなのだから、騙されたと思ってやってみる。ケンタ君は、実...
◆自分の色眼鏡を変える 2クラスで話したこと つづき「誰かが「嫌い」と言っているのを耳にしたら、簡単に自分のことだと思ってしまう。手紙を見せて貰えなかったら自分の悪口が書かれているのだと簡単に思ってしまう。人の他人を見る目というのは、これほどまでに曇っているのです。こういうのを、色眼鏡をつけて世界を見ていると言います。例えば、赤色の色眼鏡を掛けている人だったら、どんなものも赤みがかって見えていて、正し...
◆自分の色眼鏡を変えるクラスで話したこと つづき「悪口を言われた場合の対処の仕方の2つめは、自分の色眼鏡を変えるということです。1つめの”相手は変えられないからあきらめる”は、自分は悪くなく、相手が一方的に悪いという場合でした。でも、必ずしもそうじゃない場合があります。それは、自分が濃い色眼鏡をかけて相手を見ている場合です。ひょっとしたら、相手が悪口を言っていない可能性だってある。例えば、私は嫌われて...
◆相手は変えられないことをあきらめる(明らかに見る)2クラスで話したこと つづき「でもまぁ、悪口を言われたり意地悪をされたりする原因が自分にはあるのだろうから、自分はよりよく生きていこうと思う事は大事だよね。よく皆に話をする人に親切にするとか自分への利益誘導をしないとかといった日々の努力も大事です。そういう努力をしていたら、自分は正しく生きているのだから悪口を言う相手が悪いって、ちゃんと思えるように...
◆相手は変えられないことをあきらめる(明らかに見る)1サトコさん達の一件があって、子ども達に、友達との関係についてちゃんと話をしなければと思いました。女子は特に、高学年になると必ずといってよいほど人間関係で問題が出てくるものですから、よい機会だとも思いました。クラスで話したこと「昨日、ある女の子から相談がありました。友達から悪口を言われているというのです。悪口を言われた場合の対処の仕方は、2つある...
◆悪口を言われた 6「ミコさんの言う事を信じよう」と私がサトコさんに言った瞬間、サトコさんが驚いたように目を見開いてこちらを見ました。そして、ミコさんとクミさんは嬉しそうな表情になりました。ミコさんは、本当に言ってなかったのでしょう。そして今後も言わない自信があるのだと思いました。子どもの喧嘩というのは、双方が自分の正義を主張するばかりで、いつまでも後に残すことがあります。それは、相手の主張を受け入...
◆悪口を言われた 5サトコさんには、ミコさんの「言っていない」という言葉が届かない。それは、自分の正しさに固執してしまっているから。自分自身、サトコさんのような経験は何度もありました。でも、相手の言う事を「違う!」と思いたくなるけれど受け入れていくことが必要です。そうしなければ、問題の解決にはつながらないし、負の感情にずっと固執し続けていくことにもなります。サトコさん達に話したこと「サトコさんはミ...
◆悪口を言われた 4(先生もミコさんも、悪口を言っていないといっているけど、絶対に言った!)サトコさんの心の中は、こんな思いに囚われているのでしょう。その気持ちも分かる。自分の考えに囚われて悩んでしまう。自分の考えを正しいとして、人の言う事を受け入れられない。人は、そういうものなのだと思います。興福寺の阿修羅像は、とても人気の仏像です。仏教に取り入れられてからは、釈迦を守護する神となったそうですが...
◆悪口を言われた 3ミコさんに悪口を言われたと訴えるサトコさん。でもミコさんは言っていないと言うし、一緒にいたクミさんも言っていないと言う。でも、これはどこにも確証はありません。学校は、こういう確証のないトラブルばかりだとも言えます。実際にミコさんが言った可能性もあるわけで、これは困ったなーと内心思っていました。ミコさんの言い分を全て認めてしまったら、サトコさんを否定することになります。サトコさんの...
◆悪口を言われた 2悪口を言われたというサトコさんと言ったというミコさんには話を聞いたので、一緒に居たクミさんから話を聞きました。サトコさんによると、クミさんから「ミコさんが悪口を言っている」と教えてもらって、実際に、ミコさんが”死ね”と言っているのを聞いたということでした。クミさんに「ミコさんが”死ね”とかって、酷い悪口を言っていたの?」と聞くと「え~~!! 知らないです!!」と、全否定でした。サトコ...
◆悪口を言われた 1私の勤務する学校では、定期的に児童一人ひとりと話をする時間を設けるようにしています。サトコさんとも1対1で話をしたのですが、そこで、ミコさんから悪口を言われたと相談されました。”死ね”と言われたそうで、かなり酷いモノでした。え~~~!!! です。ミコさんは、確かに学年当初は硬い表情で友達が少ない子どもでしたが、最近では、授業や私の話をとても姿勢よく聞き、漢字練習にも身が入るようにな...