「あれれ?? ミツオ君、またまた100点じゃない、どうしたの~? 最近100点ばかりだね」。テストを返している時に、ミツオ君にこんな声掛けをすると、ミツオ君は満面の笑顔で「やった!」と大喜びです。2学期の終わりの頃から、ミツオ君に返すテストは、高得点ばかりになっていました。「ほらほら、私に”ありがとうございます”は?」と冗談っぽく続けて話をすると、大きな声で「ありがとうございます!」と笑いながら言い...
小学校の先生をやっています。教育の現場で日々思うことから、子どもが明るく楽しく学校生活を送るためには親として教師としてどう接していったらよいか、深く考えていきたいと思っています。
小学校の先生をやっています。 無駄にキャリアが長いわけですけど、 日々思うことを広く発信できたらな…と思い ブログを立ち上げました。
「あれれ?? ミツオ君、またまた100点じゃない、どうしたの~? 最近100点ばかりだね」。テストを返している時に、ミツオ君にこんな声掛けをすると、ミツオ君は満面の笑顔で「やった!」と大喜びです。2学期の終わりの頃から、ミツオ君に返すテストは、高得点ばかりになっていました。「ほらほら、私に”ありがとうございます”は?」と冗談っぽく続けて話をすると、大きな声で「ありがとうございます!」と笑いながら言い...
モモコさんのお母さんに話したこと つづき「お母さん、ぜひ「宿題は学校でやってきて」と言ってください。やってなかったら「6時までに終わらせる」と約束してください。朝、寝坊して通学班の集合時間に間に合わないのなら、朝や学校の用具準備も6時までに終わらせる。これを家での約束にしてください。そして、ここからが大事だと思います。6時までに終わらなかったら、一切やらせないこと。「先生との約束になっているから、...
モモコさんだけに話しても、生活を変える事は難しいと考えて、心配しているお母さんにも話をしました。高校生の子がいるので、生活リズムを変えるのは難しいだろうと考えていました。だから宿題を寝る前ではなく、夕方にするようお母さんに働きかけてもらうことにしました。モモコさんのお母さんに話したこと「モモコさんの課題は、何でも後回しにしてしまうことです。宿題は学校でやっても良いことにしていますが、モモコさんは「...
モモコさんに話したこと 続き「算数も音読も漢字も、モモコさんはできるようにしていかなきゃならない。でも、やらなきゃいけないのに逃げて後回しにしてしまうモモコさんがいます。でも結局は時間に迫られて嫌々やる羽目になってしまって、泣いたり怒ったりすることになる。それは、強制的にやらされるという思いが強いからだよね。」ここまで話すと、モモコさんはコクリと肯きました。「でも、やらなきゃならないという事実に変...
モモコさんに話したこと 続き「モモコさんは、漢字の再テストを全然やらないよね。学期末になって私に言われて渋々やる。漢字は丁寧に書けるようになったし覚えも良いから、再テストもあっという間に合格できる。けど、自分からは取り組まない。つまり、嫌な事を後回しにしてしまうってこと。それが一番の課題なんだと思う。音読や宿題だって先にやってもよいってことにしているけれど、他の子が学校でやっていても「家でやります...
大泣きの理由は、宿題を寝る直前にすることが原因かもしれない。
◆出来ないことと体内時計の関係家でのモモコさんの大泣きの理由は、宿題を寝る直前にすることが原因かもしれない。モモコさんに話したこと「モモコさんは学校の授業では算数で困ることは無くなってきているよね。」と、問いかけるとモモコさんは「はい」と答えました。「そうだよね、学校じゃ算数で困らなくなった。算数の練習帳も学校でやっているときは、特に困らないものね。でも、家では大泣きだってお母さんに聞きました。そ...
◆出来ないことと体内時計の関係もう一つ気になったことは、漢字小テストの再テストの取り組みが、なかなか進まないことです。漢字練習は丁寧に書けるようになったし、テストもそれなりの点を取れるようになったのですが、再テストは積み重なった状態でなかなか取り組めなかったのです。強制的にやらせたら、すぐ合格していきます。でも、嫌な事は後回しにしてしまう。そこにモモコさんの課題があると思いました。ということは、、...
◆出来ないことと体内時計の関係私の子どもは、就職に失敗して家に引きこもっていた時期がありました。仕事を辞めた当初は、1日中寝ている状態で、朝も昼も夜もないような状態でした。ちょうどその頃、朝日を浴びて運動することでセロトニンという幸せ物質が分泌されることを知り、毎朝2人で自転車に乗るようにしました。自転車に乗った後は家で寝たりゲームをしたりしていたようでしたが、それでもだんだんと明るさを取り戻して...
◆出来ないことと体内時計の関係定着の悪さは気になっていたものの、モモコさんは算数の授業で困る事もなくなったし、漢字も丁寧に書けるようになった。これでお母さんは安心されているだろうなと思っていました。ところが、二学期末の面談でお母さんから聞かされた話は、全く違っていました。学校に行くことは毎日楽しいと言っているので安心しているが、家では毎日算数が分からないと言って大泣きなのは変わっていないというので...
◆原因を探る実際に算数の授業になると、モモコさんは「わからない」と言ってずっと座って、誰かが教えに来てくれるのを待っている状態でした。モモコさんに話したことモモコさん、「わからない」じゃぁないんだよ。一度「わからない」と言ってしまったら考えることを止めてしまうから言わないようにすることが大事。これからは「わからない」じゃなくて「わかるようになる」って言っていこう。算数の授業は、何も難しいことはやっ...
◆原因を探る「音読の宿題は家でやる」そう言ったモモコさんの意思を変える理由などありません。宿題をお母さんと一緒にやるのが、彼女の安心なのかもしれないなぁと、その時は思いました。もう一つのお母さんの心配事は算数です。毎日「算数が分からない」と言って家で大泣きなのだと言います。3年前のモモコさんはとても気立てがよく、いつも笑顔で友達と接し明るく親切な子でした。試しにクラス内の仕事を任せてみると、言われ...
◆原因を探るモモコさんのお母さんが心配されていたことは、漢字、音読、算数でした。なぜ前年度まで漢字が苦手だったのか私には理解ができませんでしたが、音読については、あまり強制をしないように気を付けていました。音読は、高学年になっても苦手な子が存在します。でもお母さんからしてみたら、我が子が音読をスラスラできないということが気になって気になって仕方がないのでしょう。よく「休み時間に一緒に遊ぶ友達がいな...
◆原因を探る宿題が分からないと、家で大泣きしているというモモコさん。大抵の子は、心の学びを重ねたらやる気も出て成績も向上していくので、再び担任したら大丈夫だろうと高をくくっていました。でもコトはそう簡単には進みませんでした。モモコさんの前年度からの引継ぎでは、算数ができないのはもちろんのこと、文章が読めず、漢字も書けないとのことでした。私が担任していた頃のモモコさんは、漢字が得意でした。確かに苦手...
モモコさんは、3年前に担任して再び担任することになった子です。以前からお母さんに「最近は勉強が分からないと家で大泣きなんです。お気楽先生が担任の頃は、やる気があったんですけど…」と、学校で会うたびに相談されていました。私の指導が良かったのかどうかは別として、モモコさんが楽しく学校に来られるようになると良いなぁと、担任から離れてもずっと考えていました。そんなモモコさんを再び担任することになり、以前の...
次の日の朝、教室に入ると、子ども達が口々に「先生、おはようございます」と声をかけてきました。もちろん、ヒデアキ君もです。「校門の前にいた校長先生にちゃんと挨拶した人?」と聞くと、ほとんどの子が手を挙げました。「じゃぁ、A先生は?」と聞くと、これもほとんどの子が手を挙げます。「B先生は?」こちらは手がほとんど上がりませんでした。
画鋲の件で、分かった気になった子ども達。”分かった気になる”というのが、ダニングクルーガー曲線の馬鹿の山に上った状態なのだと思います。失敗して絶望の谷に落ちても、努力して啓蒙の坂を上っていかなければなりません。でも、画鋲事件のような事は、そうそう滅多に起こりません。EQを高めるのも訓練なのだと思います。結局は回数。数が質に変わるまでチャレンジするしかないのです。ある日のこと、ヒデアキ君が当番で朝の挨拶...
画鋲の件でクラスに話したこと「ヤバい音がした」っていうことで、みんなは画鋲が散らばったんだって思ったよね。でも助けに行く人は少なかった。それより課題をやらなきゃって思っていたのかもしれません。あまり人が行くと逆にヤバいって思ったかもしれません。でも同じ条件で、タカシ君とユミさんは現場に駆けつけてくれました。タカシ君は、ホウキと塵取りを使えば手早く片付けられるって考えて、すばやく行動しました。ユミさ...
画鋲が散らばってしまった現場にいた子たちに話したこと「でもね、僕たちはEQが低いなーって思って落ち込む必要は無いんだと思うよ。だってね、今みんなにこういう話をしているけど、ここに集まった子だけが学べたんだよ。私が教室にいた時、クラスの子は「ヤバい音がした」と言いました。で、駆けつけたのはタカシ君とユミさんだけです。他の子は教室にいて、課題をやっている。こういう学びができるのは、お手伝いという行動をし...
画鋲が散らばってしまった現場にいた子たちに話したこと「IQって言葉を知っていますか? これは知能指数といって、生まれ持った賢さを表す数字です。みんなも分かると思うけど、めちゃくちゃ頭の良い人っているよね。私の知り合いのアメリカの大学に行った人は、生まれ持ってIQが高い人なんでしょう。でも、今日の事件を見てごらん。一番活躍したのは、ホウキと塵取りを持ってきたタカシ君、そして、遠くまで画鋲が転がっていって...
考えずに逃げてしまうヒデアキ君。どうしたものかと…悩んでいましたが、事件が起こります。その日は、算数の課題を早く終わらせた子ども達に、廊下の掲示物を取ってもらっていました。その中に、ヒデアキ君もいました。私は、算数の課題が進まない子を教室で指導していたのですが、子ども達が「ヤバい音がした」と言うので慌てて廊下に出てみると、廊下一面に画鋲が散らばっていたのです。画鋲のケースを持っていた子が床に落とし...
半分以上白紙で提出されたヒデアキ君の国語のテスト。お父さんの「ヒデアキはスポーツで芽がでない。甘えている」という相談は、何か問題に直面した時に、考えずにシャッターを降ろして逃げてしまうところに課題があるのではないか、、、そんなことを考えて、ヒデアキ君を観察するようになっていきました。不思議なことに、そんなアタリをつけると、それまで気にならなかったヒデアキ君の【考えずに逃げる】に関連した行動が目に付...
できる人は「続けていれば、そのうち急にできるようになる」を知っている
テストを返しながらクラスの子どもに話したこと 続き
テストを返しながらクラスの子どもに話したこと「国語のテスト、初めて読む文章だったから難しかったでしょう? 難しかった人?」子ども達に聞くと、ほとんどの子が手を挙げました。「そうだよね、難しかったよね。でもみんな、よくできていたよ。クラスの平均も78点だったから、それだけみんなは実力がついてきたってことなんだね。国語の読み取りも、算数の文章題も、パターンってモノがあるから練習して出来るようにしていくこ...
3学期の終わりに、国語の読み取りテストをしました。教科書に出てこない文章を読んで解きます。国語の読み取りは子ども達が苦手とする分野なので、「わからないー」「難しいー」というつぶやきが教室中から聞こえてきました。読み取り、、、みんな苦手だものね、、、、悪い点数を覚悟して休み時間に採点していました。ところが、みんな意外と点数が良い。ちょっと驚いてしまって、近くにいた子に「今日の国語のテスト、難しかった...
観客ではなくプレイヤーとなり、自分自身の人生を自分で生きる。
クラスの子どもに話したこと 主人公として生きる 続き「プレイヤーとして漢字練習や算数に参加したら、結構楽しかったでしょ? 漢字で合格した時や算数で分かった時、幸せだったでしょ? それって、練習を重ねて試合にシュートした時の幸せと同じなんだと思います。「できるようになる」とう過程があったからこそ幸せがそこにある。アランという人が言った目的地に到着するまでを楽しもうというのが、このことです。プレイヤー...
クラスの子どもに話したこと 主人公として生きる 続き「みんなは学校に来て、様々な勉強しています。子どもは勉強するのが仕事だと言いますが、素敵な大人になるためには勉強をするのは大事なことです。じゃぁ、その勉強をプレイヤーとして参加していますか? 観客として参加していますか?」この問いかけに、子ども達は少し分からないような表情になりました。「例えば、漢字練習。漢字練習で私は厳しく見るよね。みんなならも...
プレイヤーは実際にプレイしながら”どうするか?”を常に考えている。
クラスの子どもに話したこと ~主人公として生きる~みんなは、これから自分の人生を生きていかなければならないよね。でも、どう生きるかっていうのはとても大事なことなんだ。今から話すのは、自分の人生を主人公として生きていくということです。自分の人生を主人公として生きるっていうのは、私もなかなか理解できなかったことなんだけど、ようやく分かるようになってきました。それくらい「主人公として生きること」って理解...
話し合いが活発になる「・・・・と、〇〇さんが言っていました」作戦ですが、私にとて、これがなかなかの大ヒットです。導入した頃、ノブ君にクジが当たりました。授業中の発表に慣れていなかったノブ君は、おたおたおしていました。でも周りの友達が、必死になって小声で発表内容を伝えます。それを少しずつ真似て発表していきました。発表し終わると、なぜか周りから拍手が。。。ずっと算数に自信がなく、暗い表情だったノブ君が...
とにかく、授業を聞きなさい、言われた通りに出来るようにしなさい、と言い続けました。ノブ君は4月の頃は「分からない」と不安気に周りを見回してばかりいましたが、友達に教えて貰いながら、授業を聞く→言われた通りに練習する、というサイクルが回るようになっていきました。課題が終わると友達に教えに行くシステムにしていますが、だんだんとノブ君も早々に終わらせて友達に教える姿が見られるようになっていきました。「あ...
学習に苦手感のある子の為にクラスで話したこと「私は、みんなに分かるように話す努力をしています。声も大きいし、ゆっくり話したり面白く話したりして、みんなが分かるような授業をしています。みんなも授業中は静かにしてくれているから、声は皆に通っているよね。学校っていうのは、1日8時間も居て、そこで6時間位勉強をしています。凄いよね、みんな学校でかなりの時間過ごしているんだね。4時に家に帰って9時に寝るとし...
漢字は何とかなった。次は算数に苦手意識があるノブ君に、できるようになる道を進むよう示さなければなりません。ノブ君に限らず、勉強の苦手な子は「分からない」「できない」と言って自分の周りに壁を張り巡らせ、外界からの情報をシャットアウトしてしまうところに問題があると最近は思っています。要は話が聞けないということなのです。「分かる」と「分からない」の2つの価値観しかない子どもは、「分からない」と思ってしま...
「できない」と絶望するのではなく、できるようになる過程にこそ価値がある
人によって様々だと思いますが、私の場合は漢字練習を通して、子ども達に心の成長をさせていくことが多いです。厳しい漢字練習を批判する声がSNSではありますが、どこに重きをおいて子ども達の心を成長させていくかは、人それぞれなので一概にダメだとは言えないと思っています。実際のところ、字が綺麗になったと喜ばれる親御さんが多いですし、次年度の担任に同様な漢字練習をさせて欲しいとお願いする方もいます。取り合えず、...
ノブ君の丁寧な漢字練習を見てクラスに話したこと 続き「それから、もう一つ大事なことを話すよ。ノブ君は、丁寧に漢字練習をして提出しました。ノブ君、直しが随分少なくて、みんなからも字がきれいだと褒められて、どんな気分だった?」「いい気持ち」と、ノブ君は答えました。「そうそう、漢字練習を丁寧にしてきたら、私に怒られることは無いよね。そして、褒められもした。今までのノブ君は、面倒とかイヤだという気持ちを中...
ノブ君に「君の心の問題で、できるようになると決めるだけだ」と話した翌日、驚くことに彼は丁寧に漢字練習を書いてきました。こういうものは、子どもが変わるのに時間を要することもあるし、ノブ君のように1日で変わることもあります。ノブ君はサッカーを習って努力もしているので、入りやすかったのかもしれません。彼の漢字練習帳を見ると、何度も書き直した跡がありました。それだけ丁寧に書いてきたのでしょう。もちろん、今...
等価交換の法則についてクラスで話をしましたが、ノブ君も例にもれず、すぐには実行できませんでした。相変わらず乱雑な字を書いてきます。その度に「書き直し」と返していました。私は基本的に漢字ノートは使わずに、漢字練習帳だけ使っています。漢字練習帳に書く文字数はとても少ないのです。少ないから、本人がその気になれば書ける。漢字小テストもたった10問。丁寧に書けないのは、本人の心の問題なのだと思っています。ノ...
4月、乱雑な漢字練習に対して子ども達に話したこと 続き等価交換の法則というのがあります。これは『鋼の錬金術師』という漫画に出てくる言葉なんだけど、何かを得るためには同等の代価が必要という考えです。私から学ぶのであれば、それと同等の代価、この場合は丁寧な字ということになるけれど、そういうものが必要だということです。「先生は仕事でしょ?」と思うかもしれません。でも、仕事なら適当に丸にしたって良いわけで...
4月の頃のノブ君は、とても表情の暗い子でした。お母さんの話によると、今まで学校が嫌いで嫌いで・・・。低学年の頃は、泣いて学校を嫌がることも度々あったとのことでした。友達との関係もあまり良いものではなかったようです。問題の算数の授業ですが、、、もちろん算数だけでなく、どの教科もだったのですが、死んだ魚のような目で授業に参加しています。話は聞いてはいるようですが、まるで覇気がない。算数の授業の最後は練...
私の勤務校では、4月の学力検査だけでなく3学期にも学力検査をします。私のクラスは、4月の検査では学年の中でも下位層がとても多く、上位層はほとんどいないクラスでした。ところが、今年3学期初めの学力テストでは、多くの子が4月の学力テストより順位を上げていました。特に下位グループの人数が半減したことは嬉しかったです。学力不振だった子ども達をある程度引き上げることができたのは、一年の成果だと思いました。中...
なんだかんだと大変ではありましたが、タツヤ君を除いたクラスの全員が、2学期中に、3学期分の漢字練習帳を終わらせることができました。3学期の始業式。クラスの子ども達に「冬休みは、気持ちよく遊べたんじゃないの? なんたって、3学期分の漢字の宿題が終わっているんだもんね。タツヤ君はできなかったけど、2学期分をあっという間に終わらせた。先生やお家の人から「宿題をやりなさい!」って言われるより、自分で考えて...
あと1週間で2学期も終りという頃、最後の追い込みで漢字練習帳が終わっていない子やそのギャラリーで私の机の周りは熱気に包まれていました。まだ合格していない子は、列を作って丸つけの順番を待っています。「じゃ、次」と言って練習帳を受け取ると、それは3学期の漢字練習帳ではなく2学期の漢字練習帳でした。「え? どういうこと?」と思って見ると、なんとそこにはタツヤ君がニコニコしながら立っていたのです。「え~~...
「3学期の漢字練習帳を先取りで早く終わらせてしまおう。そうしたら、心も明るくなるし、何よりも勉強が楽しくなるよ。」そうクラスに声を掛けても、なかなか進まない子も多くいました。ちょうど2学期末の懇談会があったので、クラスの半数ほどの親御さんに3学期の漢字練習帳の取り組みを通して、やる気と自主性を育みたいと話し、家でも声を掛けてもらうようにしました。親御さんもずいぶん協力して頂きましたし、私自身も、な...
宿題で自分をコントロールされるのではなく、自分で宿題をコントロールする。そんな話をクラスでしたわけですが、そうそう簡単に、子ども達は変わりません。宿題を後回しにしてしまう子は特に。実際のところ、3学期の漢字練習帳は1カ月も先にやれば良いことなのです。それを、宿題でもないのに先にやれと言っているのですから子どもからしたら、”やらなくても・・・”と思うことでしょう。できるだけ後回しにしたい。それはタツヤ...
クラスの子ども達に話したこと 続き「ここに、3学期の漢字練習帳があります。漢字なんて手本を見て書くだけだよね。そして丁寧に書くだけ。私は、3学期になったらいつものように宿題として出すけれど、2学期のうちから先に自分で進めても良いことにします。宿題として出されたら「やらされる」ってことになるからめちゃくちゃ嫌になるけれど、自分で早く進めて、宿題をコントロールできたら違う世界を見ることが、きっとできる...
目の前に表れる敵(課題)を一つずつちゃんとクリアしていくゲーム
クラスの子ども達に話したこと 続きみんなの好きなゲームで、敵が現れたとするじゃない。そうしたら戦闘の音楽が流れて、その敵と戦うよね。敵をやっつけたら、経験値をゲットして自分を成長させることができる。でも、敵と戦わずに逃げていたら、いつまでも経験値はたまらない。みんなの「やりたくないこと」も同じなんだと思う。「やりたくないこと」を避けては成長できない。だから、それが現れたら、頑張ってやっつける。次に...
クラスの子ども達に話したこと 続き世の中は、やりたくないことばかりです。君たちは生まれて10年しか経っていないのだから、できないことばかりだよね。だから、すべきことが多くある。これは当たり前のことです。世の中は、やりたくないことばかり。でもそれは仕方がないと、あきらめることが大事。あきらめるっていうのは、「明らかに見る」ってことだと言われます。やりたくないけど、やらなくっちゃいけないってことが分か...
人は、自分で考えて行動したいものです。「考えることが自由だ」と何かで読みましたが、自分で考えて行動するということで自由を感じるのでしょう。でも宿題というのは、先生から命令されてやらされるものです。それは人から管理されるもの。自分の自由はないのだから、子どもはそこに圧を感じるし、反発も覚えるのでしょう。大事なのは自主性。人から管理されコントロールされるのではなくて自主的に取り組むこと。そのためには、...
漢字練習を意欲的にする子に、漢字が好きか?と聞いて、「好き」と答える子はほとんどいません。私は漢字は厳しく見ますし、100点になるまで再テストもします。決して低いハードルではないのです。それなのに漢字練習帳を早く終わらせる子、再テストが合格していく子がいる。そのような子を観察していると共通してどの子も行動が早いということに気づきました。漢字のテストをして全部書けなかったら、その直後に再テストをして...
宿題による家庭学習の管理。タツヤ君だけでなく、他の子も宿題に圧を感じているのだろうから、もう少し、私が管理しない方向に宿題システムを変えられないかと考えました。つまり、子ども達が自主的に取り組める方法にする。今よりも子どもが意欲的に取り組める宿題のシステムにしたら、タツヤ君も少しは取り組めるようになるだろうと思いました。私は漢字練習を重視します。止め・はね・払いなど、細かく見るのですが、だからとい...
宿題を親御さんにお任せして、無期限の提出期限。でも、これでは学習から逃げるだけになってしまいます。ただ、タツヤ君は宿題からの無言の圧力を感じている。他にも宿題をやりたくないと登校を渋った子がいた。そう考えると、少し先の未来、タツヤ君が宿題に取り組めるよう、宿題の無言の圧力のようなものを取り除いておく必要がると考えていました。宿題のシステムそのものを変える必要がある。よく学校で「家庭学習の習慣をつけ...
タツヤ君は、宿題にハードルがある。まずは、宿題のハードルを下げること。実際のところ、学力がかなり低かったので、宿題を他の子と同じにすることに無理があると以前から考えていました。実際に宿題をやってこられないことも、よくありました。まず第一に考えなければならないのは、タツヤ君が学校に来られるようになること。なら、いっそのこと宿題を無しにして、心の負担から解放してしまおうと思いました。お母さんに相談する...
お母さんのおかげで、取りあえずはタツヤ君は学校に登校できるようになりました。が、学校での表情は暗く、嫌で嫌で仕方がない、そんなオーラを全身から発しています。でも私は、彼が学校に来ることが必ず突破口になると考えていました。学校に来られないのを周囲のせいにしてしまうのが一番の問題で、新しいものの考え方をタツヤ君に入れる必要がある。心のあり方を学ぶ必要がある。それができるのは学校しかありません。とにかく...
お母さんに話したことの続き子どもに悩ませないというのはとても大事なことで、まずは動かすこと。学校に来たら忙しいですから、悩まないで済みます。それからもう一つ、悩みを深堀しないということです。以前担任した子ですが、ある日、登校を渋ったのです。家庭訪問してお母さんと話をしたのですが、ホンの些細な事、プリントを私に提出し忘れたということなんですが、そんなことで真剣に親子で悩んでしまったそうです。そのお母...
あまりに欠席が続いたので、これは彼の精神的に良くはないと思い、お母さんと話をしました。「熱はあるのでしょうか? そっか、ないんですね。ないのなら、とにかく学校に登校させてください。もし歩くのを渋るようでしたら、許可を出しますから学校まで車で送ってきてください。また公園でゲームをしているなんてことがあったら困るから、お母さん、教室まで送ってきてくださいね。体調が悪いと本人が言うと判断が難しいですが、...
出席簿に並ぶ、タツヤ君の欠席。それはまるで、タツヤ君が学校に登校しないと決めたかのようでした。相談員さんとの面談以降、目立って増えてきたように思いました。もちろん、課題のある子の心のうちを探っていただける相談員さんは子どもの課題解決になくてはならない存在です。ただ、タツヤ君の場合、今までクラスでほぼ喋らなかった子が相談員さんに話を聞いてもらえ、心の中にあるモヤモヤしたものを表に出し、担任に対処して...
・クラスの友達にいじめられること・登校班の副班長に厳しく注意されること相談員さんとの面談で、この2点が分かったので、お母さんは、何となく嬉しそうな表情でした。友達がいじめなくなり、副班長が優しくなれば登校渋りは解決する。そう考えるのも、ごく普通のことだと思います。でも、今までの経験からいっても、この2点を解決しても登校渋りは解決しないだろうと考えていました。今まで何人もの子どもを見てきましたが、不...
タツヤ君が相談員さんに話をしたことの2つ目は、登校班の副班長に暴言を吐かれるとのことでした。正直なところ、この副班長の子を担任したことがあり、そんな暴言を吐くような子ではなく、とても真面目な子です。副班長の仕事を一生懸命やっているってことなんじゃないかな?と思いました。実際に副班長に会って話を聞くと、タツヤ君がゆっくり歩くことがあるし、低学年もちゃんと歩かないので、ずいぶん困っているとのことでした...
タツヤ君の「ヨシ君がいじめる」という話もヨシ君や他の男子にとっては、ごく普通の遊び。でも友達のいないタツヤ君は知らなかった、イジメだと思った。そういうことなのだろうと思いました。もちろん、本当のイジメと遊びとを区別することは難しいですが。。。ヨシ君には「タツヤ君は、指でつつかれるのが嫌なんだって。嫌だというものは、やらないようにしようね。」と話し、タツヤ君には「男の子が普通にやっている遊びなんだと...
登校途中で行方不明になってしまったタツヤ君。相談員さんに話を聞いてもらうと、クラスのヨシ君からいじめられるという話が出てきました。う~~~ん、、、、確かにね、いじめられているのかもしれないのですが、ヨシ君というのは、クラスで「いい人」と言われるような子で、意地悪をするのだろうか?という疑問符がイッパイ私の頭の中を駆け巡りました。タツヤ君に話を聞くと、下校途中で、お腹を指でつついてくるのだそうです。...
う~~~ん、、、、今日も休みかぁ。最近調子が悪い事が多いなぁ。。。登校を渋っているんじゃないかなぁ。2学期になり、タツヤ君の欠席日数がとても増えていました。お母さんから、調子が悪い、頭が痛い、お腹が痛いという欠席理由が毎日のように入ります。お母さんに電話をすると、体調が悪い日が多いけれど、熱は出ていないとのことでした。実のところ、夏休み明けから表情が冴えないなぁ・・・と思っていました。9月は登校を...
学びというものは、自己主張を無くすことから始まる。こんなことをクラスに話してから、ユウ君の漢字テストの点数が、みるみる上がっていきました。それまでは、再テストを何度もしないと合格しなかったのですが、「これは止めてね」と間違いを指摘すると「わかりました!」と笑顔で答え、すぐ合格となる。そんなユウ君に大変身してしまったのです。掃除や親切行動で、自分中心の行動を減らしていたので、余計に切り替えが早かった...
クラスの子に話したこと つづきじゃぁ、みんなが苦労している漢字はどうなんだろう?漢字だって、大昔の人々が考えて多くの人によって伝えられてきた日本人の心だよね。書き順は、墨で書くときに書きやすいようになっているし、なぜハネるのか?っていうのも、次の画につなげるためだしね。「円周率」を英語でいうと、とても大変だというのを聞いたことがあります。英語だと「円の周囲の直径に対する割合」って、長々と説明する形...
クラスの子に話したこと つづきどうして、アドラーを愛読書にした子が勉強がよくできるようになったんだろう?と考えてみました。みんなも伝記が読めるようになったし、子ども向けのアドラー、もしドラ、天風さんなんかの本を読んでいる子もいる。中には、お父さんの本を読んでいる子もいるって聞きました。それっていうのは、偉人の心っていうのが心の学びを通して分かるようになってきて、書いてある内容が”わかる”って思うから...
ユウ君の課題は、その自己中心性でした。でも、親切行動やクラスへの貢献活動を通して、自己主張をすることは減っていきました。もちろん、やりたいことは「やりたい」とハッキリ言うのですが、友達の考えも聞けるようになっていきました。一緒に掃除をする「仲間」がいる。一緒にパズルをする「仲間」がいる。その仲間を大切にしようと思ったら、自分中心ではうまくいかないですから、仲間と共に行動する中で、人の意見を聞くとい...
ユウ君の課題の処理能力はどんどん高くなっていき、ほぼ毎時間のように、教室の掃除をするようになってしまいました。友達と一緒に掃除や教室内の仕事をするために、課題や宿題を、とても早く終わらせるようになっていきました。宿題は、何枚か先に渡すようにしているのですが、算数などは、ほぼ一瞬で終わらせるようになっていきました。ユウ君に影響されて、課題や宿題を早く終わらせてしまう子も増えていきました。頭の良い子が...
ユウ君に「ヤスシ君のように親切行動をしてみなさい」と話をすると、彼はさっそく実行に移しました。今まで、友人関係で相当困っていたのでしょう。小学生というのは、常に学んでいる状態です。一緒に努力する仲間もいるので、「〇〇すると良い」と言われたら、即実行に移しやすい環境にあります。最初に実行したのは、授業中に課題を早く終わらせ、友達に教えに行くことです。もともと気の良いところのあるユウ君でしたので、喜ん...
今まで自分中心の世界に生きてきた人が、いきなり自分を変えていこうとするのは、なかなか大変なことです。でも、自分のことを少し我慢して、友達の為に親切な行動をすることで自分中心を少しずつ減らしていくことができます。今まで担任してきた多くの子が、親切行動やお手伝いを増やすことで友達関係を改善し、楽しい学校生活を送れるようになっていきました。人は自分を取り巻く環境を自分の思う通りにしたいと思うものですが、...
ユウ君に話したこと「給食の食器について女の子とトラブルになったことがあったよね。もちろん、片付けを押し付けた女の子が悪いのだけど、君は、お母さんを使って彼女たちにマウントしようとしたよね。自分は嫌だったから、お母さんにやっつけてもらおうとしたんじゃないかな?でも、ちょっと教室を見回してごらんよ。例えば、ヤスシ君なんて、自分で率先してみんなの食器を集めてまわっているでしょ? 誰にも命令されていない、...
ユウ君に必要なことは、「正しさ」というものは人それぞれで違うということを知る事。そのためには、今、凝り固まっている自分の正しさを打破して、新しい価値観を得る経験をすること。ユウ君に話したこと(マウントについて)「マウント」という言葉があります。これは、動物が強さを競って戦って、勝った者が負けた者の上に乗っかって俺が強いんだー!って力を示すものです。この「マウント」って、実は人間も本能的にしてしまう...
ユウ君の課題は、どれも「自分の正しさ」が強くて、友達の気持ちを汲めないところにある。これまで、数多くの子ども達と関わってきましたが、どの子にも共通して抱える課題でもあると思います。要は、人が信じられないということになるのですが、これを解決するためには、親切行動をして自分を変えていくしかありません。人というのは不思議なもので、自分のもつ「正しさ」が、世の中の人も共通してもっている「正しさ」だと思って...
昨年、友達を注意したために友達関係がこじれてしまったユウ君。そこには、自分の正しさが強くて周りの人を見下してしまう問題があるのではないか?給食の食器の片付けで、女子とトラブルになりました。女子も遊びの範囲内だったと思うのですが、ユウ君は、女子を許せなくてお母さんに訴えました。いじめは当然良くない事ですが、「いやだ」とか「やめてほしい」とか言えば済むことなのに友達を信じていなくて、言えなかった可能性...
昨年、友達を注意したために友達関係がこじれてしまったユウ君。登校を渋ったのは、相手が悪いのに自分が逆に責められたのが納得がいかなかったのでしょう。納得がいかないから、学校に行かないという選択をした。「自分が正しい」という思いが強かったのだと思いました。もちろん、授業中騒いでいる子の方が間違っています。でも、だからと言って、自分がさも上の立場にあるかのようにそれを糾弾してはいけないのだと思うのです。...
友達に「嫌だ」と言えない。漢字を正確に書けない。テストでケアレスミスが多い。そんなユウ君でしたが、1学期にお母さんと話をする機会があった時に、クラスに関して悩みがあるという相談を受けました。その内容が、授業が静かすぎて午後の授業が眠くなる、ということでした。正直なところ、え~!!ってビックリです。眠くなるような授業をしてしまう私にも問題があるのですが、静かで困ると訴えてくる親御さんは初めてでした。...
これも100点、これも100点か~。すごく成績が良くなってるなー
あれ~? これも100点、これも100点か~。すごく成績が良くなってるなー。テストの採点をしながら、ユウ君の成績がすごく伸びているのに気が付きました。ユウ君は、頭は良いと思うのですが、ケアレスミスが多く、テストではなにかしらミスをして満点を取れずにいたのです。1学期は漢字練習でも、小さなミスがよくあり、それは小テストも同様で、満点を取れずに何度も再テストをするということがよくありました。私は漢字は...
指導以来、アサヒ君へのレキ君のイジメはおさまりました。2人が一緒に仲良く遊ぶという姿は見られませんでした。アサヒ君からしたら、許せないのも当たり前です。同時に、レキ君がそういう報いを受けるのも当たり前の話です。レキ君は友達がほとんどいませんでした。それには、友達をイジメてしまうほど自分勝手な正しさが強かったというのにも原因があったのでしょう。レキ君は、初めに注意した時に素直に自分の非を認めました。...
イジメの件で、クラスに話したこと 続き自分勝手な正しさが強くなってしまうとイジメをするとか、悪口を言うとか、無視するとか、そういうことが、正しい行動だと思ってしまうところが問題なんだよ。何と言っても、自分が正しいと思うし周りの人も同じだと思うってしまう。そこに、人のバグがある。小さい頃から今まで、誰かに叩かれたことのある人はいますか?」クラスに聞くと、大半の子どもが手を挙げました。「だよね。じゃぁ...
イジメの件で、クラスに話したこと 続き「自分が考える正しさが、本当の正しさではないかもしれない。こんなことを考えると、じゃぁどうしたら良いの?って思うよね。武田邦彦さんという人は、正しさの順番は以下のように書かれていました。『真の正しさと仮の正しさ』・真の正しさ 1.神 2.偉人 3.倫理(相手(倫)のことわり(理)) 4.法律(社会の約束)・仮の正しさ 1.先生と生徒 2.監督と選手・間違い 「自分は正しい。お前は...
イジメの件で、クラスに話したこと 続き「人は、誰もが自分の正しさで生きている。だから、アル・カポネはアル・カポネの正しさで生きたってことなんだ。例えば、小さな子がお菓子を買って欲しいって駄々をこねる。これだって、お菓子を買うのが正しいって主張しているようなものだよね。お母さんからしたら、お菓子ではなくてご飯を食べさせたいとか、我慢することを覚えさせないといけないとか、この小さな子が思いもつなかない...
イジメの件で、クラスに話したこと「4月の初めに『友達を注意しない。注意をするのは先生。』という話をしました。今日は、そのことについて少し詳しく話をします。昔のギャングで、アル・カポネという人がいました。この人は世界一有名なギャングの大ボスで、悪い事をたくさんした人です。でも、そのアル・カポネは、「世のため人の為に尽くしてきた」と言っていたそうです。ギャングのボスとして、数多くの犯罪を行ってきました...
レキ君に話したこと 続きアサヒ君のことも、何かアサヒ君に問題があってイジメをしてしまったのだと思うけど、それは、アサヒ君が悪い。悪いから意地悪をしても良いって勝手に思ったわけだよね。アサヒ君に、何か問題があったとしても、それを罰する権利が君にあるのだろうか? 意地悪っていうのは、アサヒ君に罰を与えたってことだからね。アサヒ君にはアサヒ君の正しさがあって、その正しさに従って行動している。君には君の正...
4月のある日の事、アサヒ君のお母さんから「レキ君にイジメられている」と連絡が入りました。学年当初は、子どもの心も育っていないので、こういうトラブルがとても多いものです。レキ君を呼んで「意地悪をしているって話だけど・・・」と話を聞くと、意外な事に、レキ君は素直に「いじめました」と認めました。「イジメはやってはいけないと知っているよね」と話をすると、これも素直に肯きました。「やってはいけないことを知っ...
◆親御さんの協力が大きかったお母さんにケン君の漢字練習をお願いしたのが金曜日でした。土日が明けた翌日の月曜日、ケン君は、漢字練習帳を全てやってきました。「ケン君、これは、、、大変だったでしょう?」と言うと「父さんに叱られてやった」と答えました。でも、その顔つきは、どこかスッキリしたような、なにか吹っ切れたような表情になっていました。「お手伝いもしたの?」と聞くと「ん~~~、車の洗車をね、手伝った!...
◆「家で私が漢字をやらせます。必ず。」全部やれていない漢字練習を、私から強くケン君に言えませんでした。彼が学校に来られなかったら、心の指導はできないので漢字練習がやれてなくても、黙認する形にしました。少し日にちが経ってから、お母さんと話をすることがありました。「漢字練習が、やはりやれていません」と話をすると、お母さんは驚かれていました。「私がちゃんと見ていなかったから…」とお母さんはおっしゃっていま...
◆敵が現れた、でも逃げていたら勇者にはなれない漢字練習でも何でも、自分の目の前に現れたらバシッとやっつけたらいいんだよ。ゲームの世界なら、敵が現れたら逃げるのかな? 逃げたら経験値は貯まらないよね。自分が強くなりたいと思ったら、敵が現れたらバシッとやっつける。漢字練習があらわれた。バシッ計算練習があらわれた。バシッマット運動、バシッ工作、バシッこんな風に、目の間に現れた課題をバシッ、バシッとやっつ...
◆点と点をつなげたとき気づきが生まれる。その気づきが成長させていくアップルという会社の創業者のスティーブ・ジョブズという人はスタンフォード大学という有名な大学で「点と点をつなぐ」ことが大事だと言っています。自分の将来にとって何が必要か分からないけれど、目の前の出来事に全力で取り組むことが大切だと言っています。今、行っていること(点)が、別の何かの点にどのようにつながるかは分からないし、未来から人生...
◆一生懸命やった人しか分からない世界がある子ども達に話したこと つづき「みんなも、学校に来たくないことがあるでしょう。でも、それでも学校に行きなさいと親御さんが言うのは、それだけ大事なことだから。君たちの将来にとって、学校が必要だからです。漢字練習は私は厳しいですが、お母さんたちは、丁寧に書くなって言いますか?」子ども達は、一斉に首を横に振っています。「だよね。私は、漢字を丁寧に書くことで、漢字だ...
◆自由には責任が伴う子ども達に話したこと つづき「もう少し深く考えていくと、言う事をきくという事は、その人に甘えられるってことなんだ。例えば、廊下を走ってはダメだと言われますよね。でも、私が「廊下を走りなさい」と言って、君たちは、それを守ったとします。そうしたら、低学年の子とぶつかって怪我をさせてしまった。この場合は、誰の責任になりますか?」と聞くと、「先生」という声が聞こえてきました。「そうだよ...
◆両親の言う事をきくことは、両親の心を知るということ次の日、ケン君は約束通り登校してきました。宿題は、やってありました。が、必要な分しかやってなく、以前のやっていな部分に関しては、白紙のままでした。でも、前の週よりは表情が明るくなり、きびきびした動きに戻ってきたように思いました。少しは乗り越えられたのかもしれないと思いました。クラスの子どもに話したこと「お父さんやお母さんの言う事を聞きたくないって...
◆お母さんに謝らないとね教室から宿題の用具をとって、ケン君の家の車まで行くと、ケン君は泣きはらした顔で座席に座っていました。宿題を渡して、「ほら、お母さんを困らせてしまって・・・お母さんに謝らないとね」というと、彼は素直に「ごめんなさい」と言いました。お母さんも、「先生に迷惑をかけたんだから謝りなさい」とおっしゃってくれて、ケン君は私にも「ごめんなさい」と言いました。子どもが拗ねてしまった時には、...
◆宿題だ!車の座敷の下で落ち着きを取り戻したケン君。学校に来てから時間もずいぶん経っていたので、感情の高ぶりも落ち着いてきたのでしょう。でも、私の心の中では、無理に引きずり出して教室に連れて行くのはちょっと無理があるように思いました。ここら辺が潮時かな。。。お母さんに「お母さん、どうですか? 今日は一旦ここまでにして、漢字や計算の練習問題はたくさんあるので、それを家でする形にしますか?」このように話...
◆優しいお母さんの気持ちは無視していいのかい?我儘だと叱っても、ケン君は座席の下から出てこられませんでした。これは何を言っても無駄かもしれないなーと思いました。「ケン君、金曜日に君は感情のブレが大きすぎるという話をしました。手伝いとか人への親切行動が少ないという話もしました。お母さんの手伝いはしているのかね?」というと、彼は首を横に振って反応がありました。お母さんに「手伝いは?」と聞くと、「言えば...
教室に入れて頂いたら心の教育はできる。でもそれ以前の場所では、、、
◆それを我儘という「自分の感情に任せてすべきことをしない、それを我儘と言うのだ」と、彼に話しました。ふと、お母さんが横に立っているのに気が付きました。お母さんに、「ごめんなさいね、我儘と言ってしまって」と言うと、「大丈夫です。我儘ですから。」とおっしゃってくれました。たぶん、ケン君のお母さんなら「我儘」とう言葉を受け入れられる。そんな確信がありました。以前に担任した時、学年末に丁寧なお礼の手紙を頂...
◆問題は感情がブレすぎること土日が明けて、月曜日。お母さんからの連絡がなくて、ケン君は大丈夫だったなぁと安心していたところに、同僚から「ケン君が愚図っていて、駐車場にいます」と連絡がありました。車から降りられないとのことなので、駐車場に駆け付けると、ケン君は車の座席の下に潜りこんでいます。お母さんも困り果てて、目に涙を浮かべています。ケン君に声をかけると、座席の足の金属部分を固く握りしめて顔を見せ...
◆どのように解決していくかを再確認しているヨウタ君とのトラブルを起こしてしまたケン君。以前のケン君に戻ってしまったなぁ、、、と考えていました。でも、こういうことは往々にしてある。何度もでも失敗を再現するかのよう行動して成長していくものなのかもしれないと、最近は考えるようになってきました。事件や災害にであった子どもは、そのトラウマを、遊びの中で再現することがあるそうです。戦争の記憶を絵にする子ども多...
◆人は行ったり来たりしながら成長するケン君に話したこと 続き”僕はこっちに行きたい”って心は思うのだけど、友達に親切にしていたら友達のことも考えられるようになるから、反対側に引っ張られて戻される感じかなぁ。これができるようになると、怒りとか悲しみとかそういう感情に振り回されることがなくなるので、おススメです。ケン君には前からずっと教えてきているけれど、最近は、人に親切にすることが減ってるんじゃない?...
ケン君に話したこと 続き扁桃体ハイジャックという言葉があります。扁桃体と言うのは脳の中にあって、不安や恐怖といった感情に関係しているものだそうです。扁桃体が生み出す恐怖や不安という感情が暴走してしまい、自分にはどうにもならなくなってしまう状態が、扁桃体ハイジャックです。何かがあると、怒れたり泣いたり、自分ではどうにもならないことがありますが、これが扁桃体に支配されてしまった状態なのでしょう。これは...
ケン君に話したこと 続き「自分の心をコントロールする方法を身につける。そのために必要なのがお手伝いなんだ。夏休みの間、家でお手伝いをしたのかな? お父さんやお母さんの言う事をちゃんと聞いたのかな?」このように聞くと「していません」という答えが返ってきました。お母さんは、夏休み中に生活のリズムが崩れたと言っていました。ゲームばかりをしていたということなので、自分中心の生活を送っていたのでしょう。「今...
楽しいと思えばやり過ぎてしまう。嫌だと思えばとことん嫌になる。
◆やり過ぎてしまうことが問題ケン君の課題は他者貢献かもしれない。そんなことを考えている時に、トラブルが発生です。ケン君と一緒に遊んでいたヨウタ君がケン君に「止めて」と言っているのに上に乗られて、くすぐられ続けたと言うのです。ヨウタ君の話では、2人で初めはじゃれ合って遊んでいて、それが高じた結果だということでした。ヨウタ君も、もの凄く怒っている様子ではありませんでした。でも少し困ったのでしょう。「そ...
◆まだまだ自分中心が強い彼の課題はいったいどこにあるのだろう。。。その根本的なものを解決していかない限り、再び同様な壁にぶち当たってしまう可能性は高いと考えていました。ケン君をどう指導していくか・・・それは、体育の授業にヒントがありました。その日は、球技をしていたのですが、チームでプレイしているのに、ケン君は、友達にボールを回すことが全然ないな・・・と気づいたのです。味方にパスすること、味方を信じ...
◆逃げない自分にしていくことが大事ケン君に話したこと「宿題はやらなきゃいけないってわかっている。わかっているのに、やれない自分がいる。学校に行かなきゃいけないってわかっている。でも行きたくなくて泣いてしまう自分がいる。それってね、誰にでもあることなんだよ。誰にでもある。私にもある。友達にもある。お父さんやお母さんにもある。もちろん、わたしにもある。でも、そこから逃げない自分にしていくことが大事だよ...
◆心の奥底では指導を求めている漢字練習の宿題を3回連続して忘れたケン君。さすがにこれは問題だと思い、話をしました。「漢字の宿題が提出してないけど、どうしましたか?」と聞くと、「家に忘れてきました」との答えが返ってきました。ここは勝負の時だと思い、「違うでしょ? そういう時は、やっていませんと言うものです」と厳しめに言うと、彼は涙を浮かべて、「やっていません。」と正直に答えました。過去に担任した時は...
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「あれれ?? ミツオ君、またまた100点じゃない、どうしたの~? 最近100点ばかりだね」。テストを返している時に、ミツオ君にこんな声掛けをすると、ミツオ君は満面の笑顔で「やった!」と大喜びです。2学期の終わりの頃から、ミツオ君に返すテストは、高得点ばかりになっていました。「ほらほら、私に”ありがとうございます”は?」と冗談っぽく続けて話をすると、大きな声で「ありがとうございます!」と笑いながら言い...
モモコさんのお母さんに話したこと つづき「お母さん、ぜひ「宿題は学校でやってきて」と言ってください。やってなかったら「6時までに終わらせる」と約束してください。朝、寝坊して通学班の集合時間に間に合わないのなら、朝や学校の用具準備も6時までに終わらせる。これを家での約束にしてください。そして、ここからが大事だと思います。6時までに終わらなかったら、一切やらせないこと。「先生との約束になっているから、...
モモコさんだけに話しても、生活を変える事は難しいと考えて、心配しているお母さんにも話をしました。高校生の子がいるので、生活リズムを変えるのは難しいだろうと考えていました。だから宿題を寝る前ではなく、夕方にするようお母さんに働きかけてもらうことにしました。モモコさんのお母さんに話したこと「モモコさんの課題は、何でも後回しにしてしまうことです。宿題は学校でやっても良いことにしていますが、モモコさんは「...
モモコさんに話したこと 続き「算数も音読も漢字も、モモコさんはできるようにしていかなきゃならない。でも、やらなきゃいけないのに逃げて後回しにしてしまうモモコさんがいます。でも結局は時間に迫られて嫌々やる羽目になってしまって、泣いたり怒ったりすることになる。それは、強制的にやらされるという思いが強いからだよね。」ここまで話すと、モモコさんはコクリと肯きました。「でも、やらなきゃならないという事実に変...
モモコさんに話したこと 続き「モモコさんは、漢字の再テストを全然やらないよね。学期末になって私に言われて渋々やる。漢字は丁寧に書けるようになったし覚えも良いから、再テストもあっという間に合格できる。けど、自分からは取り組まない。つまり、嫌な事を後回しにしてしまうってこと。それが一番の課題なんだと思う。音読や宿題だって先にやってもよいってことにしているけれど、他の子が学校でやっていても「家でやります...
◆出来ないことと体内時計の関係家でのモモコさんの大泣きの理由は、宿題を寝る直前にすることが原因かもしれない。モモコさんに話したこと「モモコさんは学校の授業では算数で困ることは無くなってきているよね。」と、問いかけるとモモコさんは「はい」と答えました。「そうだよね、学校じゃ算数で困らなくなった。算数の練習帳も学校でやっているときは、特に困らないものね。でも、家では大泣きだってお母さんに聞きました。そ...
◆出来ないことと体内時計の関係もう一つ気になったことは、漢字小テストの再テストの取り組みが、なかなか進まないことです。漢字練習は丁寧に書けるようになったし、テストもそれなりの点を取れるようになったのですが、再テストは積み重なった状態でなかなか取り組めなかったのです。強制的にやらせたら、すぐ合格していきます。でも、嫌な事は後回しにしてしまう。そこにモモコさんの課題があると思いました。ということは、、...
◆出来ないことと体内時計の関係私の子どもは、就職に失敗して家に引きこもっていた時期がありました。仕事を辞めた当初は、1日中寝ている状態で、朝も昼も夜もないような状態でした。ちょうどその頃、朝日を浴びて運動することでセロトニンという幸せ物質が分泌されることを知り、毎朝2人で自転車に乗るようにしました。自転車に乗った後は家で寝たりゲームをしたりしていたようでしたが、それでもだんだんと明るさを取り戻して...
◆出来ないことと体内時計の関係定着の悪さは気になっていたものの、モモコさんは算数の授業で困る事もなくなったし、漢字も丁寧に書けるようになった。これでお母さんは安心されているだろうなと思っていました。ところが、二学期末の面談でお母さんから聞かされた話は、全く違っていました。学校に行くことは毎日楽しいと言っているので安心しているが、家では毎日算数が分からないと言って大泣きなのは変わっていないというので...
◆原因を探る実際に算数の授業になると、モモコさんは「わからない」と言ってずっと座って、誰かが教えに来てくれるのを待っている状態でした。モモコさんに話したことモモコさん、「わからない」じゃぁないんだよ。一度「わからない」と言ってしまったら考えることを止めてしまうから言わないようにすることが大事。これからは「わからない」じゃなくて「わかるようになる」って言っていこう。算数の授業は、何も難しいことはやっ...
◆原因を探る「音読の宿題は家でやる」そう言ったモモコさんの意思を変える理由などありません。宿題をお母さんと一緒にやるのが、彼女の安心なのかもしれないなぁと、その時は思いました。もう一つのお母さんの心配事は算数です。毎日「算数が分からない」と言って家で大泣きなのだと言います。3年前のモモコさんはとても気立てがよく、いつも笑顔で友達と接し明るく親切な子でした。試しにクラス内の仕事を任せてみると、言われ...
◆原因を探るモモコさんのお母さんが心配されていたことは、漢字、音読、算数でした。なぜ前年度まで漢字が苦手だったのか私には理解ができませんでしたが、音読については、あまり強制をしないように気を付けていました。音読は、高学年になっても苦手な子が存在します。でもお母さんからしてみたら、我が子が音読をスラスラできないということが気になって気になって仕方がないのでしょう。よく「休み時間に一緒に遊ぶ友達がいな...
◆原因を探る宿題が分からないと、家で大泣きしているというモモコさん。大抵の子は、心の学びを重ねたらやる気も出て成績も向上していくので、再び担任したら大丈夫だろうと高をくくっていました。でもコトはそう簡単には進みませんでした。モモコさんの前年度からの引継ぎでは、算数ができないのはもちろんのこと、文章が読めず、漢字も書けないとのことでした。私が担任していた頃のモモコさんは、漢字が得意でした。確かに苦手...
モモコさんは、3年前に担任して再び担任することになった子です。以前からお母さんに「最近は勉強が分からないと家で大泣きなんです。お気楽先生が担任の頃は、やる気があったんですけど…」と、学校で会うたびに相談されていました。私の指導が良かったのかどうかは別として、モモコさんが楽しく学校に来られるようになると良いなぁと、担任から離れてもずっと考えていました。そんなモモコさんを再び担任することになり、以前の...
次の日の朝、教室に入ると、子ども達が口々に「先生、おはようございます」と声をかけてきました。もちろん、ヒデアキ君もです。「校門の前にいた校長先生にちゃんと挨拶した人?」と聞くと、ほとんどの子が手を挙げました。「じゃぁ、A先生は?」と聞くと、これもほとんどの子が手を挙げます。「B先生は?」こちらは手がほとんど上がりませんでした。
画鋲の件で、分かった気になった子ども達。”分かった気になる”というのが、ダニングクルーガー曲線の馬鹿の山に上った状態なのだと思います。失敗して絶望の谷に落ちても、努力して啓蒙の坂を上っていかなければなりません。でも、画鋲事件のような事は、そうそう滅多に起こりません。EQを高めるのも訓練なのだと思います。結局は回数。数が質に変わるまでチャレンジするしかないのです。ある日のこと、ヒデアキ君が当番で朝の挨拶...
画鋲の件でクラスに話したこと「ヤバい音がした」っていうことで、みんなは画鋲が散らばったんだって思ったよね。でも助けに行く人は少なかった。それより課題をやらなきゃって思っていたのかもしれません。あまり人が行くと逆にヤバいって思ったかもしれません。でも同じ条件で、タカシ君とユミさんは現場に駆けつけてくれました。タカシ君は、ホウキと塵取りを使えば手早く片付けられるって考えて、すばやく行動しました。ユミさ...
画鋲が散らばってしまった現場にいた子たちに話したこと「でもね、僕たちはEQが低いなーって思って落ち込む必要は無いんだと思うよ。だってね、今みんなにこういう話をしているけど、ここに集まった子だけが学べたんだよ。私が教室にいた時、クラスの子は「ヤバい音がした」と言いました。で、駆けつけたのはタカシ君とユミさんだけです。他の子は教室にいて、課題をやっている。こういう学びができるのは、お手伝いという行動をし...
画鋲が散らばってしまった現場にいた子たちに話したこと「IQって言葉を知っていますか? これは知能指数といって、生まれ持った賢さを表す数字です。みんなも分かると思うけど、めちゃくちゃ頭の良い人っているよね。私の知り合いのアメリカの大学に行った人は、生まれ持ってIQが高い人なんでしょう。でも、今日の事件を見てごらん。一番活躍したのは、ホウキと塵取りを持ってきたタカシ君、そして、遠くまで画鋲が転がっていって...
考えずに逃げてしまうヒデアキ君。どうしたものかと…悩んでいましたが、事件が起こります。その日は、算数の課題を早く終わらせた子ども達に、廊下の掲示物を取ってもらっていました。その中に、ヒデアキ君もいました。私は、算数の課題が進まない子を教室で指導していたのですが、子ども達が「ヤバい音がした」と言うので慌てて廊下に出てみると、廊下一面に画鋲が散らばっていたのです。画鋲のケースを持っていた子が床に落とし...
◆お手伝いで仲間づくりタケシ君が私の肩を揉んでくれます。「痛い! 痛い! タケシ君、痛いよ」と言うと、タケシ君はビックリです。「タケシ君、お家でお母さんやお父さんの肩を揉んだことがないんじゃない?」こんなことを言うと、「うん、初めて」と彼は答えました。「だよね~~~、それじゃぁ痛くて無理だよー」そんなことを言うと、彼は再び揉み始めました。でも今度は弱すぎだし、ツボを外しています。ツボの位置や強さを...
◆お手伝いで仲間づくり一人ポツンと本を読むタケシ君。本と友達で良いのかもしれないですが、やはり仲間というのは大事なので、できるだけお手伝いを頼むようにしました。本人も、人から頼まれると嬉しいので、よく働いてくれました。すると不思議なもので、タケシ君が働いていると、それを手伝う子が必ず現れるのです。これは本当に不思議なことです。親切行動をしている人は、周りから親切にされるのです。この頃から、タケシ君...
◆お手伝いで仲間づくり友達がいなくて泣いていた子は、クラスの子が帰った後に、全員分の机と椅子の整頓をしていました。そうしたら、いつの間にか友達が増えていったのですが、その要因の一つに一緒に働く友達ができたことにありました。彼がひとりで整頓や掃除をしていると、それをたまたま見かけた子が、一人二人と一緒に参加するようになったのです。楽しく遊んだり喋ったりしていたわけではないのですが、同じ行動をすること...
◆お手伝いで仲間づくり子ども達をよくよく観察してみると、案外と一人で遊んでいることが多いものです。例えば、鉄棒遊びであれば、みんなで遊んでいるようで、実は個人練習の意味合いが大きいです。縄跳びでも一輪車でも、結局は個人の練習です。でも友達作りで大事なのは、みんなと同じ行動をしていることだと思います。子どもが他の子どもと同じ動きをすることを「同型的行動」というそうです。同型的行動には・仲間関係の形成...
◆お手伝いで仲間づくり休み時間に一人ポツンと本を読んでいるタケシ君。それはそれで良いのですが、自己中心性の強い彼は、もっと学校という社会で、人と関わって揉まれる必要があるし、そこで学ぶ必要があると考えていました。誰かに「一緒に遊ぼう」と言うのは、とても勇気のいることなので、友達作りというのは難しいものだと思います。でも最近は、いつも一緒にいるような仲の良い親友を作る必要はなくて、なんとなく皆と同じ...
◆お手伝いで仲間づくりこのブログでも何度も書いていますが、もう10年も前に担任した子で、「友達がいない」と泣いた男の子がいました。その子に「じゃぁ、私の言うとおりにやってごらん」と帰りがけに、教室中の机の整頓をさせました。「親切にされて嫌だと思う子はいないから、帰りの時に、みんなのランドセルを配ったら?」と言うと、彼はそれも実行しました。一人で、黙々とそんなことを続けていくうちに、帰りに一緒に掃除...
◆お手伝いで仲間づくり伝記などの本から心の学びを得ていたタケシ君ですが、そうそう簡単には自己中心から脱却はできません。どうしても、自分の正しさを前面に出してしまうことが多く、なかなか自己中心を無くせません。こういうものは、人生をかけて無くしていくものなのでしょう。何はともあれ、強すぎた自己中心性から脱却する道を歩み始めたタケシ君だったのですが、友人関係も徐々によくなっていきました。自分の正しさが強...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性「そういう考え方もある」って念仏のように言い聞かせていたら、自分にはない正しさを学ぶことができるよね。それに、人を許すこともできる。人を許せたら、自分の怒りは簡単に抑えることができるようになるのだから不思議な話です。自分の正しさなんて、何のあてにもならないのだから、自分も悪いところがあったなーって思ったら、相手を許すことができるよね。相手を許すことができたら...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性クラスの子ども達に話したこと「じゃぁ、自分の正しさって何なの?って話です。アル・カポネだって泥棒だって、自分の正しさで生きた。でもその正しさって、本当に正しいの?ってことです。君たちは、たった10年しか生きていないけれど、自分の正しさって、本当に正しいか?って思ったことはありますか? きっと思ったことはないと思います。だから喧嘩して自分の考えを通そうとしたり...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性クラスの子ども達に話したこと「今から100年くらい前に、アル・カポネというギャングの大ボスがいました。たくさんの犯罪をしてしまった人ですが、そのアル・カポネという人は、自分は世のため人の為に尽くしてきたと言っていたそうです。私たちからみたら、たくさん悪い事をしたのだから極悪人だと思うのですが、本人は、自分を悪人だと思っていなかったのです。これは、アル・カポネ...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性クラスの子ども達に話したこと「自分が正しいって思うことがあって、みんな、その正しさに従って生きています。人って不思議なもので、自分が正しいと思っていることは、世の中の人が自分と同じ考えをしているのだと思ってしまうものです。例えば、何年も前の話になりますが、算数の問題を解いていて、できた人から私のところにもってこさせたことがあります。その時、男の子2人がどちら...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性伝記や哲学系の本にのめり込んでいったタケシ君。私も、毎日のように心の在り方について話をするので、だんだんものの考え方も変わっていきました。彼は自己中心性が強く、友達とのトラブルが絶えませんでした。でも、なぜ喧嘩が起るかというと、喧嘩と言うのは、互いに自分の正しさを主張しているのだと思います。タケシ君は、自分が正しいと言う。相手も、自分が正しいと言う。人は、自...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性タケシ君の場合、勉強面は大丈夫だったのですが、友達に教えることで友達と関わることは、まだ難しいと判断しました。でも、いつかできるようになっていけば良いので、できることから人の為になることをさせていこうと考えていました。今まで担任した子ども達は、クラスの為の行動をすることで、どの子もみんな、友達と上手くいくようになっていったのですから。勉強はできる子だったので...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性タケシ君に話したこと「人に親切にするって難しいよね。君は、ハナさんに算数を教えてくれました。でも、実はハナさんって算数が得意でよくできるんだよ。それって知ってた? 少し取り掛かりが遅いからやれていなかったけど、実は算数ができる。でも君はそんなハナさんのこと知っていたかな?」こんな話をすると、タケシ君はビックリしていました。「そうだよね、知るわけないよね。それ...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性(我)です。でも、この自己中心性の強さを減らしていくのも「お手伝い」しかないように思います。大人の世界の言葉で言えば、他者貢献です。自分のやりたいことや自分の利益を我慢して、他者を優先する。我の発動を押さえる訓練をしなければ、自己中心性を直すことはできませんが、「お手伝い」を通してなら、自分中心を減らしていく練習ができる...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性友達に勉強を教えに行くにしても、自分中心が強すぎて、相手や周りの子の事を考えずにトラブルになってしまうタケシ君。我の強い子だなーと思って見ていました。子ども達によく話をするのですが、自分の我を通しても何も良い事はありません。我を通すというのは、結局は自分への利益誘導ということになります。自分が得をするように我を通したいわけですが、得をするということは、誰かが...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性授業で課題が早く終わったら、友達に教えにいく。友達への親切を実行させるのですが、タケシ君は、それにも課題がありました。ある時、女の子に教えているところを見ました。その女の子は見た目はか弱そうに見えるのですが、実際には勉強もできる子でした。でもタケシ君はクラス替えをしたばかりで、その子の実力をよく分かっていなかったのでしょう。相手の子の意思に関係なく、「俺が教...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性以前担任した給食を全て配膳した子とは違って、タケシ君は、授業はちゃんと受けていましたし、成績的には学年の上位にいる子でした。上位にいるからこその問題があって、課題があっという間に終わってしまうので、彼の場合は、時間が余って暇となってしまうという問題がありました。そういう時に限って、友達とのトラブルを起こしてしまうのです。とにかく子どもを暇にしてはいけないとい...
◆体を動かすお手伝いで子どもは劇的に変わる 3誰かの為になる行為。それは、子どもにとっての「お手伝い」ということになるのでしょう。自分のしたいことでなくて、人の為になることをする。そうすることで、子どもの心は救われていくように思います。給食を全て配膳した子は、実際にはほとんどの授業に参加できずに、毎日机にうつ伏せになって何も授業を受けない状態でした。特に算数は、低学年で習う掛け算も全部覚えていない...
◆体を動かすお手伝いで子どもは劇的に変わる 2普段、宿題もロクにやらない子だったのですが、宿題を終え給食室に給食が運び込まれたのを確認すると、驚くようなスピードで全てを盛り付け、クラス全員の机に配りました。4時間目が終わり、クラスの子が帰ってくる前に終わらせたかったのでしょう。ほぼ給食を配り終えた時、クラスの子ども達が教室に帰ってきました。「わ~~すごい! ありがとう!」口々に子ども達は歓声をあげ...