渡辺邦男監督の仕事はスピード一辺倒ではなリハーサルで迫真の演技を見せる俳優さんには、ハンカチで眼を拭ってみせる態度に…演ずる俳優さんは手応えを感じて満足するのかも知れません。ーーー映画でもテレビドラマでも目の前のカメラに向かってカメラの後ろの観客を念頭に演技を展開されるのです。ーーー映画制作の場合、カメラの横で演技を見詰める監督さんが納得する演技を展開するのが俳優さんの第一歩です。映画監督さんの仕事?
渡辺邦男監督の仕事でスケジュールに間に合わず出番の場面をカットされた…という噂を聞いたことがありました。そういう噂は撮影所内にパッと広がります。ーーー渡辺監督の仕事の姿勢は超スピードでスケジュール通りこなす面白くもない監督さんと思われますがそうでもないのです。ーーー私が渡辺邦男監督の作品でスタッフの一員になったことがありました。作品は「忠臣蔵・前後編」で浅野内匠頭、切腹の場面で大石内蔵助が駆けつけるところの撮影のリハーサルで渡辺監督は、ハンカチで眼を拭いながら涙声で「ハイ、本番をいきます」と叫びました。ーーー出演の男優さんは自分の演技が認められたと励みになったことでしょう。渡辺監督の「忠臣蔵」
渡辺邦男監督作品のスタジオのセット撮影ではそのカットに出演する俳優さんは少し早めに準備してセットの脇で待機します。他の監督さんの撮影ではなかなか時間通り(スケジュール)に進行しません。しかし、渡辺監督の仕事ではスケジュールに遅れることは絶対にありません。ーーーむしろスケジュールより早めに撮影が進行しますので油断がなりません。ーーースタジオの撮影の合間にスタッフの誰かが、出演する俳優さんが遅れた場合はどうするのですか?と渡辺監督に聞いたことがありました。ーーー渡辺監督は即座に話されました。遅れた俳優さんの役の弟を即興で、横にいる俳優さんに割り当てると云われるのでした。ーーー急に決まった、その俳優さんの台詞は「只今、兄は病に伏せっております」と云わせて、間に合わなかった俳優さんのカットはなくなります。間に合わなかった俳優さん
渡辺邦男監督のスケジュールは事前に担当スタッフ、キャスト(出演の俳優さん)に配布(通知)さまます。ーーーまず、スタジオのセット撮影では午前8時にスタジオにスタッフは集まって準備が開始されます。そして1日の終わりは午後5時に終わるスケジュールです。ーーー普通、時代劇映画の制作スケジュールでは考えられないほどのスピードでした。ーーーしかし、渡辺邦男監督はこのスケジュール通りこなしていかれました。スタジオのセット撮影の準備が整うと、助監督さんはそのカットに出演する俳優さんに連絡してスタジオに必ず待機させなくてはなりません。ーーーその時、出演予定の俳優さんがスタンバイしていないと、大変なことになります。それは、次回に…渡辺邦男監督作品に出演俳優さんは?
早撮り監督で、有名な渡辺邦男監督は徹底した中抜き手法ばかりでなく撮影スピードも凄いものでした。まずスケジュールは午前8時にスタジオ撮影の準備が始まります。そして、1時間後の午前9時にワンカット撮影が終わります。ーーー劇映画撮影のスケジュールは午前9時にスタッフはスタジオに入りますが、渡辺監督の組はすでに、ワンカット撮り終えています…ーーーそして、昼食を挟んで午後5時ごろには1日のスケジュールは撮り終えるという凄いスピードの渡辺邦男組でした。ーーースタジオの撮影スピードが速いということは、その映画に出演している俳優さんにとっても油断なりません。猛スピードのスケジュール
早撮り監督(はやどり)の異名を持つ渡辺邦男さんの思い出話。劇映画制作の基本?として中抜き手法は、どんな監督さんでも行います。しかし、渡辺監督は徹底していました。ーーー時代劇「忠臣蔵・前後編」の撮影現場での渡辺監督の采配は凄いものでした。前後編2冊の台本から同じスタジオセットのところを選んで、…スタジオ・セットで助監督さんが「次は後編台本の××頁です」と叫びます。スタッフは早速、準備を始めます。このシーンが撮り終えると再び助監督さんは叫びます。「次は前編台本の××頁です」とこのように前後編入り混じった撮影で担当スタッフの頭の切り替えが大変でした。前後編入り混じった撮影
テレビドラマ制作スタジオの制作現場(リハーサル)を見学する人には、今どういう筋書きのドラマか、大体判ります。ーーー一方、劇映画制作のスタジオを見学すると一体何を撮影しているのかさっぱり判りません。ーーーテレビドラマ制作の現場は大体、台本通り進行していますが、劇映画制作のスタジオでは台本をバラバラに分解してそのスタジオのセットの場面を筋書きに関係なく選んで飛び飛びに撮影して、行きます。ーーー長年の劇映画制作の歴史から同じセットの場面を台本から抜き出して、撮影する方法で撮られるように考え出されました。ーーーこの手法を「中抜き」(なかぬき)と云います。「忠臣蔵」を監督することになった、渡辺邦男さんはこの「中抜き」手法の名人でした。早撮り手法「中抜き」
私は短い間でしたが、撮影所に勤めたことがあります。私が勤務していたころの日本の映画界は、新しく登場したテレビに影響を受け始めたころでした。ーーー映画制作ではなるべく予算が少なくて大ヒットを飛ばす作品を制作したいという風潮でした。そこで、制作日数が少なくて残業のすくない現場で製作するのが歓迎されていました。ーーー新東宝のシネスコ映画で大ヒットを飛ばした「明治天皇…」を演出した渡辺邦男監督を京都の撮影所に迎えて「忠臣蔵」前後編が企画製作されるこことになりました。ーーー「忠臣蔵」でも、「明治天皇…」に負けない豪華な俳優さんが集まったオールスター?で、煌びやかなものでした。シネスコ映画「忠臣蔵」
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