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  • 稲の秋

    映画『あなたへ』を観る 高倉健さん最後の映画を観る。お馴染みの降旗康男監督作品(2012年製作)。晩婚で、最愛の妻を亡くした男が、妻の遺言を守ろうと、妻の故郷(長崎県平戸)へ旅をする話だ。旅の途中でさまざまな出会いがある。山頭火の句集をくれた教師上がりという車上狙いの男(ビートたけし)、妻の不倫から逃れるように旅の実演販売に暮らす男(草薙剛)、遭難失踪をして故郷を捨てた男(佐藤浩一)などなど誰もが暗い過去を持ち寂しい。彼(高倉健)もまた、多くを語らなかった妻(田中裕子)の過去に深いわだかまりがある。 健さんはいつものごとく寡黙で真面目な男を抑制的に演じておられる。それにしてもかなり高齢になられ…

  • 秋の暮

    『街道をゆく 耽羅紀行』 司馬 遼太郎著 耽羅とは、済州島の古名である。済州島について読んでみたいと思ったのは、先に朴沙羅さんの『家の歴史を書く』を読んだからである。そこでいくらか知ったが、済州島の歴史や風土に興味ができたからだ。しかし、司馬さんは慎重な人である。隣国の負の歴史ともいうべき悲劇については、あえて避けられた。ゆえにこの紀行文は、沙羅さんの一家の歴史がうまれた騒乱については、全くというほど触れてはいない。 済州島というのは、漢拏山(死火山)という火山が造った火山島だ。見事な裾野をひいた火山が島の中央にある。朝鮮半島と日本列島のほぼ中間点で、暖流に囲まれ穏やかな気候で、広さは香川県ほ…

  • 夜長

    『殺しへのライン』 アンソニー・ホロヴィッツ著 山田 蘭訳 難しい本はちょっと置いておいて、久しぶりにミステリーである。こういう本は同じ500ページでも難なく読める。 今まで読んだ(ホーソーン&ホロヴィッツシリーズ)の一冊である。ホロヴィッツのミステリーは謎解きの面白さはあまりない。読者にいくつかのヒントを提供して、ともに推理していくという展開ではない。最後にふいに意外な真犯人が明らかに成る。それも探偵だけが知り得たヒントで、である。自己を語らないホーソーンという探偵もあまり魅力的とはいえないが、最後に彼の過去に迫る伏線が残されて、これは次に繋がるらしい。 何やかや文句ばかり言っても読了した。…

  • 露の世

    滋賀 竹生島へ 秀吉の城は、今の大阪城の地下七メートルに埋もれているのだという。華美を誇ったその城はどんなものだったのか。竹生島に行こうと思ったのは、そこにかの城の遺構が現存するという興味からだ。 竹生島は琵琶湖のまっただ中に浮かぶ小島で、船で行くしかない。ルートは三つほどあるが、私たちは長浜からの船を利用した。前もって予約をしておいたが、意外と乗船客は多い。マイナーな観光地のせいか外国人の姿はない。 島まで三十分。琵琶湖は海だ。 さて、島に着くといきなりの165の急階段。なにしろ湖上に屹立した花崗岩の巖島で、山を登るしかない。ここで老いを痛感させられたが、なんの助け舟もないから手摺を頼りにひ…

  • 秋の風

    『クワトロ・ラガッツィ 上』 若桑 みどり著 天正少年使節と世界帝国 宣教師が訪れた十六世紀半ばの日本は、戦国時代のまっただ中であった。切腹やら首切りなど血なまぐさい混乱した世情で、民は貧しかった。これをどうしようもない野蛮な民族とみた宣教師もあれば、憐れんで救済に努めて、ここに骨を埋めた人物もいた。 後者のひとりがルイス・アルメイダというポルトガル人。若くして交易で莫大な富を築き、その多くを日本での布教に注ぎ込んだ。彼は科学的教育を受けた人物で、日本で初めての病院を開いて西洋的医療を広めたりもした。これを記念した彼の銅像が大分市にあるというんだが、私は全く知らなかった。 有名なのは、フランシ…

  • 鵙猛る

    妄信と言うけれど・・・正露丸とれんこん ひと月ほど前、何年ぶりかに天上裏でネズ公が走った。嫌だなあ、どうするかなあ、そのために猫さんを飼うわけにいかないし。ネットでどうするか検索する。殺鼠剤か業者に頼むかどれも敷居が高い。そんな中で「正露丸」が効くという記事を見つける。紹介している人も確証はもてないというが、正露丸がいいらしいというのである。あの独特の臭いが忌避剤の働きをするということだ。正露丸で効果があれば、値段的にもお安いし、安全面も心配ない。半信半疑だが、天井裏二箇所に設置してみた。それでどうかというのだが、あれ以来走り回らない。どこかにお引取り願ったと信じたい。Tは妄信と笑うが、妄信で…

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