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  • 映画『シンシン』を見ました。

    ニューヨーク州にあるシンシン刑務所で実際に行われている収監者更生プログラムである舞台演劇を題材に、収監者仲間たちとの友情を描く映画『シンシン』を見ました。キャストは主演の数人のプロ以外は、全員がこの更生プログラムを受けた元収監者たちだそうです。ドキュメンタリー風のリアルな演技であり、心を打ちます。この映画は、収監者たちが犯罪を犯さなければならなかった理由には、差別や偏見が大きく影響していることが示唆されています。彼らが幼少期から経験してきた不公平な扱いや経済的困難が、犯罪に手を染める要因となっていたことが想像されます。しかし、収監後に行われる演劇的なトレーニングが、彼らの更生に驚くほど有効であることが描かれています。時には対立しながらも、演劇を通じて、収監者たちは他者の気持ちを理解し、共感する力を養ってい...映画『シンシン』を見ました。

  • 権力と差別

    戦争は終わらない。戦争の原因になっているのは差別である。差別はどこにでもある。地方と都会の格差も差別に由来する。東北人が方言を話さなくなってきているのも、東京と東北には差別があるからである。東京の人は違うという。しかしその差別を意識していようと、意識していまいと、東北の人間はその差別を受け入れているのである。でなければ東北の人が方言をしゃべらなくなる理由は考えられない。アメリカ人は日本人を差別している。現代では表面に出そうとはしていないが、アメリカ人はアジア人を劣っていると思っている。それが時々にじみ出て来る。日本人は中国人や韓国人を強く差別している。「ネトウヨ」と呼ばれている人たちはそれを隠そうともしないが、いまだに多くの日本人は中国人や韓国人への差別を消し去ることができないでいる。この差別意識が権力構...権力と差別

  • 危険な時代になってきた

    森友学園をめぐる公文書の改ざん問題で、一部開示された関連文書について、自殺した近畿財務局の職員の妻の弁護団が「文書に欠落がある」と指摘し説明を求めていたのに対し、財務省から「2017年に政治家関係者との応接録を廃棄した過程で欠落したと考えられる」との回答があったと報道されていた。あまりにひどいと思うと同時に、やっぱりという気持ちになった。国は開示する気がなかったのだ。それ以上に証拠を隠滅して犯罪を隠蔽したと考えるしかない。いったいこの国はどうなっているのだ。国家権力が横暴になってきたのは、あきらかに第二次安倍政権以降である。安倍晋三というお殿様を、官僚と政治家でみんなで守って来た。彼らには彼らなりの理屈があったのだろうが、明らかに行き過ぎていた。独裁に近付きつつあったのである。昔の政治家は軍国化していった...危険な時代になってきた

  • 映画『愛を耕すひと』を見ました。

    映画『愛を耕すひと』を見ました。久しぶりに「映画らしい映画」をみたという気持ちになりました。いい映画でした。物語の舞台は18世紀のデンマーク。退役軍人のケーレン大尉は貴族の称号を求めて荒野の開拓に挑みます。この挑戦を知った地元の有力者シンケルは、あらゆる手段でケーレンの邪魔をします。シンケルの邪魔に屈せず、荒野の開拓に挑むケーレンの姿に感動を覚えます。ケーレンは自然の脅威や、シンケルの非道な仕打ちに抗いながら、逃げ出した使用人の女性アン・バーバラや家族に見捨てられた少女アンマイ・ムスと出会い、彼らと心を通わせていきます。彼らは疑似家族のような生活を始めます。小さな幸せが彼らを包みます。しかし、それは長続きしません。さらに強烈なシンケルの嫌がらせが襲って来るのです。立ち向かう気持ちの強さ、失われる人間の尊厳...映画『愛を耕すひと』を見ました。

  • 芸の継続性

    PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)で大ブレークしたピコ太郎さんのインタヴューがネットに出ていた。興味深い内容だった。ピコ太郎さんは突然出て来たわけであるが、古坂大魔王さんとして一般にも名前が知られていたわけなので、日本でも一発屋という印象はない。しかし海外ではピコ太郎として人気が持続しているのだという。それに対してピコ太郎さんは次のように答えている。「向こうではブームの持続という感覚がないのです。多言語多民族から成る世界の中でコミックソングをヒットさせること自体が珍しく、アジア人だと名の知れた成功者は『江南スタイル』のPSYさんとピコ太郎くらい。たった一回のヒットであろうともすごいとみなされ、リスペクトの対象であり続けるのです。一方、日本では流行り廃りの間隔が早く、テレビが流行を決めている傾向にある...芸の継続性

  • イプセンの『幽霊』を見ました。

    少し前の話になりますが、3月の下旬にハツビロコウという演劇ユニットが上演した、イプセン作の『幽霊』を見ました。とてもすばらしい舞台でした。夏目漱石がイプセンを高く評価していることもあり、最近、イプセンの戯曲に興味をもっていました。これまでイプセンの作品は『人形の家』、『ヘッダ・ガブラー』、『人民の敵』を見た事があったのですが、そこまで好きではなかったのです。去年から、改めてイプセンを読み直して、実はすごい戯曲であったのだと感じる様になっていました。今回、これまで見た事がない『幽霊』が上演されると言うことで、わざわざ東京まで行き、見させていただきました。すばらしい作品でした。イプセンの戯曲ももちろん見事です。さまざまな要素が絡み合い、単純な話ではありません。おそらく今で言えば発達障害の親子の話だったのではな...イプセンの『幽霊』を見ました。

  • 米の値上がりから考える日本の未来

    米の値上がりがとまらない。去年の倍ぐらいである。いくらなんでもありえない。理由はいろいろ言われている。政府の陰謀や農協の陰謀のような話まで出ている。そういう邪推がでてきてもしょうがない状況のように感じられる。政府は基本的に物価の上昇を是認しているように思われる。他国にくらべて日本は物価が安すぎる。日本の外食の昼食代はおよそ1000円。他国では2000円~3000円のようである。円安の影響もあるのだろうが、それを差し引いても安すぎるのである。ここ何十年とほとんど物価が上がらなかったこと、つまり長すぎたデフレがその原因だと考えられる。だから物価の上昇は望ましいと考えているのである。しかし、物価の上昇ほど賃金が上がらない。東京の大企業の中にはそれが実現しているところがあり、偉そうに「賃上げ」を声高に誇示している...米の値上がりから考える日本の未来

  • 映画『JOIKA 美と狂気のバレリーナ』を見ました。

    2012年にアメリカ人女性として初めてボリショイ・バレエ団とソリスト契約を結んだジョイ・ウーマックの実話を基に、ジョイ・ウーマックがどういうバレエ人生を切り開いていったかを描く伝記的映画『JOIKA美と狂気のバレリーナ』を見ました。プライドの重みを感じる名作です。事前にほとんど情報を持っていなかったので、映画を見ているとき、この映画が実話をもとにしていることはわかっていませんでした。映画の最後でそれが明かされます。そしてジョイ・ウーマック自身がこの映画にかかわっていることを知り、なるほどと感じました。ロシアのボリショイ・バレエ団をあそこまで悪く言っていいのだろうかと感じたのです。この映画における感情は、ジョイ・ウーマックの感情そのものだったのです。とは言え、ジョイ・ウーマック自身も相当の人物として描かれま...映画『JOIKA美と狂気のバレリーナ』を見ました。

  • ドキュメンタリー映画『ノーアザーランド』を見ました。

    アカデミー賞で、アカデミー長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した話題の映画『ノーアザーランド』を見ました。世界の中にはっきりと目に見える形で存在する、差別、横暴な国家権力、それらを生む歴史など、様々なことを考えさせられる映画でした。バーセル・アドラーという名の若いパレスチナ人活動家によるドキュメンタリー映画です。彼らが住む村はイスラエル領となり、突然イスラエル軍の軍事練習場にさせられます。そこに住むパレスチナ人は強制移動させられることになります。住民は抵抗するのですが、イスラエル軍は徐徐に住民を切り崩し、住民は少しずつ減少していきます。その様子をアドラーは映像に残していきます。イスラエルのパレスチナ人に対する差別意識には看過しがたいものがあります。今起きているガザ地区への攻撃もだれがどうみてもやりすぎです。...ドキュメンタリー映画『ノーアザーランド』を見ました。

  • JR東日本は確実に山形県を切り捨てようとしている

    また山形新幹線が止まった。昨日の昼から夜8時くらいまで止まってしまった。原因は車両のパンタグラフの破損などだということです。交通機関が安全のために運航に慎重になるのは当然である。問題はその回数が近年あまりに多いということである。こんなに頻繁に止まるというのは、それだけ日ごろの安全点検がおろそかになっているということの裏返しでもある。ちょうどこの日、山形県は、5月1日現在の人口推計で県内人口が100万人を割る見通しを明らかにした。最新の3月1日時点の人口は100万4507人で、5月までの2カ月間で5千人程度減少する見込みという。山形県の人口は急速に減り、だから山形県がJR東日本に適当に見られてしまったという疑念が浮かんでしまう。もちろんJR東日本はそんなことを認めるはずはない。しかし、赤字路線を多く抱えてい...JR東日本は確実に山形県を切り捨てようとしている

  • 映画『エリック・クラプトン「nothing but the blues」』を見ました。

    エリック・クラプトンが、1994年に行ったブルース作品を中心に演奏したライブを収録した映画『エリック・クラプトン「nothingbuttheblues」』を見ました。今、思い返せば、私はブルースの中で育ったような気がしてきます。エリック・クラプトンが現在来日しています。もう80近いはずです。そのクラプトンが今から30年ほど前にブルースを主体にしたライブを行いました。そのライブの映像を紹介するとともに、その合間に偉大なブルースミュージシャンについて、クラプトンが語るインタヴュー映像を挟み構成された映画です。そもそも私は、ブルースは苦手でした。古臭いというイメージがあり、なじめずにいました。しかしこの映画の音楽は実に気持ちがいい。実はいつの間にか自分にはブルースが染みついているということに改めて気付きました。...映画『エリック・クラプトン「nothingbuttheblues」』を見ました。

  • 夏目漱石『道草』

    小説の名場面を書き残すシリーズを始めようかと考えている。続くかどうかはわからないが、できるだけ続けたいとは思う。最初は夏目漱石の『道草』のラストシーン。「安心するかね」「ええ安心よ。すっかり片付いちゃったんですもの」「まだなかなか片付きゃしないよ」「どうして」「片付いたのは上部だけじゃないか。だから御前は形式張った女だというんだ」細君の顔には不審と反抗の色が見えた。「じゃどうすれば本当に片付くんです」「世の中に片付くなんてものはほとんどありゃしない。一遍起った事は何時までも続くのさ。ただ色々な形に変るからひとにも自分にも解らなくなるだけの事さ」健三の口調は吐き出すように苦々しかった。細君は黙って赤ん坊を抱き上げた。「おお好い子だ好い子だ。御父さまのおっしゃる事は何だかちっとも分りゃしないわね」細君はこうい...夏目漱石『道草』

  • 「正義」を失った世界

    以前は「正義」というものがあるように感じていた。平等で、論理によって世界は作られていくという「正しい」筋道によって世界は平和になって行くものと信じていた。しかし最近の世界情勢はそれに反している。そしてその進行によって「正義」というのは幻想にすぎないのではないかと気づき始めた。結局は自分の利益のためにしか人間は動かない。その利益のぶつかり合いしかないのだ。それが人間の世界なのだとだれもが、新しい「物語」を受け入れざるを得なくなっている。「正義」という物語が失われつつある今、世界は信ずべき「真実」を見失ってしまったように感じられる。これは実に大きなことだ。だれもが「正義」を信じていた時代から「正義」失って時代へ大きく変化しているのだ。ここから先、大きな試練がやって来るのは明らかだ。本当にこの変化に私自身が耐え...「正義」を失った世界

  • 万博は時代遅れ

    大阪万博が始まる。足引っ張りと感じられる報道もあるので、関係者に同情する部分もある。しかし、そもそも今の時代に万博は時代遅れのように感じられる。1970年の万博の時を憶えている。私は山形県に住む小学生で、行かなかったのだが、友達が何人かが行って話をしていた。それがどうもとてもうらやましかった。あの時は「万博」という言葉自体が、すでに輝いてゐた。中身はともかく、「万博」に行ったという事実だけでみんながうれしかったのである。今はどうであろうか。生きたところはたくさんある。若い世代はTDRやUSJに行きたいと思うだろうし、年配の世代は、まだ行っていない観光地や、自分の興味に即した土地に行ってみたいはずだ。言ってみたいところだらけであり、「万博」は上位には入ってこない人がほとんどであろう。ドジャースとカブスが来日...万博は時代遅れ

  • 映画『教皇選挙』見ました。

    アカデミー賞で脚色賞を獲得した『教皇選挙』見ました。ローマ教皇を決める選挙という難しい話なのかと思っていたら、エンターテイメント映画といっていい、最後まで飽きさせない映画でした。カトリック教会のトップのローマ教皇が、心臓発作のため突如として急死してしまいます。しかし何かが怪しい。ローマ教皇庁首席枢機卿を務めるトマス・ローレンス枢機卿は枢機卿団を招集し、次の教皇選挙を執行します。口ではいろいろいいながら、だれもが教皇になりたいようです。口にすることと心の中の違いが描き出され、それが醜い人間の姿として現れて行きます。そしてその過程でかつての不正が表面化していきます。その過程がよく描かれており、宗教の胡散臭さも描かれます。結末は、いわゆる意外な結末なのですが、ただしその結末が私にはどうもひっかかります。この映画...映画『教皇選挙』見ました。

  • 文部科学省の理念は現実にはうまくいかない

    前回の文章は生成AIを利用したものだった。そこに書かれていることは現在の教育において重要な問題をはらんでいる。探究活動として生徒たちの協力によって問題を解決する授業がさかんに行われている。その理念はとてもすばらしい。そのことについて批判する人は間違っている。しかし問題は探究するための知識が備わっていない生徒がそのような答えのない問いに対していくら討論しても解決の道筋なんか見つかるはずがないということなのである。知識偏重の教育に対する批判はもっともである。かつて受験戦争と呼ばれていた時代、社会の用語集をすべて覚えるような勉強を強いられた。そんな勉強が意味がないのは明らかであったのだが、多くの受験生がそれをしてしまっていた。そこから抜け出して、考える力を育てなくてはならないのは当然である。しかし、考える力とは...文部科学省の理念は現実にはうまくいかない

  • 学校教育における「答えのない問い」の意義

    近年の学校教育の現場では、「答えのない問い」を中心とした探究活動や討論が重要な役割を果たしています。これらの活動は、生徒が自ら問題を見つけ、解決策を模索する力を育むことを目的としています。具体的には、生徒は様々な視点から問題を考え、多角的なアプローチを試みることで、柔軟な思考力と深い理解を得ることができます。探究活動は生徒が自主的に課題に取り組み、情報を収集し、分析する過程を重視します。この過程において、生徒は以下のような能力を養います:批判的思考力:問題を多角的に考え、疑問を持つ力。創造力:新しい解決策を考え出す力。問題解決能力:効果的な方法で問題に取り組む力。また、探究活動を通じて、生徒は自分自身の興味や関心を深めることができ、一人ひとりが主体的に学ぶ姿勢を築くことができます。その探究活動において重要...学校教育における「答えのない問い」の意義

  • 冬ドラマ

    年の冬ドラマもおもしろいものがたくさんあった。まずは『119エマージェンシーコール』。実際に火事や事故を撮影しないで、それでいながら、事件を描写するという方法が斬新だった。そしてそれで十分だったのだ。予算も削減できた。そこにある人生ドラマが感動的であり、毎回楽しみにしていた。清野菜名さんは誠実でまっすぐな演技が、好感がもてる。『ホットスポット』もよかった。非現実的な話を、現実の世界で描こうというアンバランスさが、そこはかとない笑いとなっていた。計算されつくしているようで、実はいい加減のようにも見える脚本が見事だった。『まどか26歳、研修医やってます!』は意外にすばらしいドラマだった。中途半端なコメディ風お仕事ドラマだと思っていたら、実はしっかりとした展開があり、毎回ほろりとさせられた。研修医とその指導医の...冬ドラマ

  • 昭和の常識を引きづってきた日本の組織

    フジテレビ問題に関する第三者委員会の調査報告が発表された。フジテレビの社員に対する中居正広の性暴力事件、そしてそれを隠蔽しようとしたフジテレビ幹部の対応、そのいずれも想像以上にひどいものであり、報告内容を見る限り許しがたい。ここまでくれば、自浄作用を待つ以前に、重大なペナルティを課すべきであろう。それにしても、近年になって起こったジャニーズ問題、中居正広問題、自民党裏金問題、統一教会問題、宝塚歌劇団問題、いずれも昭和の常識を引きずったまま、今現在にまでいたったために大問題となった事案である。しかも自民党の金権体質や、組織の反社会勢力との癒着などは、昔から度々事件となって大騒ぎをしてきたものである。昭和の常識はすくなくとも今現在は通用しないというのが十分わかっているはずであった。だから改善すしておかねばなら...昭和の常識を引きづってきた日本の組織

  • 映画『あの歌を憶えている』を見ました。

    映画『あの歌を憶えている』を見ました。いい映画でした。ただし少しもやもやが残りました。ソーシャルワーカーとして働き娘と暮らすシルヴィアは、ある男と高校の同級会で同席する。男はシルヴィアに接近し、シルヴィアは男から逃げる様に帰宅する。男はシルヴィアの後をつける。シルヴィアの家の前までつけていき、窓の外には一晩中いた。シルヴィアは恐怖にさいなまれる。次の日の朝、男はやはり家の前に気絶するように寝ていた。男の名前はソールといった。その後、男は認知症であることが判明する。シルヴィアはかつて自分をレイプした男の一人ではないかと疑いをかけ、ソールに問い詰める。しかし実は二人はその高校に同時にいたことがないことが判明する。ではなぜソールはシルヴィアの後をつけたのか。そこが見ていてわからなかった。理由が語られていたのに私...映画『あの歌を憶えている』を見ました。

  • 映画『Playground/校庭』を見ました。

    子どものいじめを題材にした、映画『Playground/校庭』を見ました。子どもの視点からいじめを描き、大人の関わり方の難しさを実感させる映画でした。小学校に入学したノラは内向的で兄のアベルを頼りにします。しかし兄のアベルは上級生からひどいいじめを受けています。ノラは兄を助けようとするのですが、兄はノラの助けを拒否します。ノラに告げ口でもされたらもっとひどいいじめを受けてしまうことは目に見えるからです。次第にノラにも友達ができ、学校の中で活動できるようになるのですが、アベルへのいじめはエスカレートしていき、とうとうノラは父親に打ち明けます。それがさらにいじめを悪化させていきます。大人には子どもの世界が見えないのです。ノラとアベルの関係までが壊れていきます。この映画のすごさはその様子をドキュメンタリー映画の...映画『Playground/校庭』を見ました。

  • どんどん人が減っていく

    山形県に第三セクターの山形鉄道という会社があります。山形鉄道はフラワー長井線を運営しています。このフラワー長井線はいろいろな営業努力をしているのですが、過疎化と自動車化のためにやはり厳しい状況が続いていました。そしてついに人材不足もはじまりました。乗務員の退職により現在の運行ダイヤを維持できないとして、一部列車を運休すると発表したのです。去年12月から複数の運転士および車掌から退職の申し出があったということです。これにより乗務員の定数が下回り、現在のダイヤでの運行が困難な状況になったということです。運休するのは上り4本、下り4本の合わせて8本で、減便後は上りと下り合わせて16本になるということです。山形県内の鉄道はほとんどが赤字です。それでも住民の足の確保のためになんとか継続してきました。しかしいよいよ行...どんどん人が減っていく

  • 映画『ファーストキス』を見ました。

    坂元裕二脚本の映画『ファーストキス』を見ました。展開がおもしろく、生き方について考えさせられました。結婚して15年が過ぎ、いつの間にか関係が壊れてしまった夫婦が主人公です。二人は離婚を決め、夫はその離婚届を持ったまま夫は電車に轢かれてしまいます。線路に落ちたベビーカーに乗っている子どもを助けるために飛び降りたのです。ふとしたことから妻はタイムスリップすることができるようになり、夫が死なないように過去に戻って過去を変えようとします。しかし、うまくいきません。失敗を繰り返しながら、なんとか夫を助けようとする展開がとてもユーモラスでおもしろい作品です。ただし、少し雑なように感じてしまいます。この映画の一番のポイントはなぜこの二人の関係が壊れてしまったのかにあるような気がするのです。ちょっとしたことだったのだと思...映画『ファーストキス』を見ました。

  • 『カーネーション』はさらにすごいことになっている。

    朝ドラの再放送で『カーネーション』を見ている。そのすばらしさについては、以前にも書いた。終盤主人公が夏木マリになってどうなるのだろうと気になっていたのだが、さらに拍車をかけてものすごいことになっている。。昨日の展開もすごい。主人公の小原糸子に東京の病院から講演の依頼がある。講演の際、糸子の世話係だったのが、かつて不倫の関係にあった周防の娘であったことが明かされる。糸子はショックを受け、泣きはじめる。そこで語られる最後の糸子のモノローグがすごい。「長い長い記憶を持っている。それが年寄りの醍醐味とも言える。守り続けて、闇の内に葬るはずやったもんが、うっかり開いてまうこともある老いぼれた体に、轟くこと、打ちのめすこと、容赦のうてほんでも、これを見るために、生きてきたような気もする。」長生きすることの苦しみと、長...『カーネーション』はさらにすごいことになっている。

  • 『百年の孤独』を読み切りました。

    最近文庫化されて話題になっている、ガブリエル・ガルシア・マルケスの『百年の孤独』を読みました。大変でした。実はこの本を読んだのは2回目です。大昔、おそらく私が中学生のころだったのだと思います。NHK教育テレビに「若い広場」という番組がありました。その番組の中にマイブックコーナーというのがありました。有名人が自分の好きな本を紹介するというコーナーです。聞き手が斉藤とも子さん。当時まだ高校生だったと思います。ある時安倍公房がゲストの時があって、その時『百年の孤独』を紹介したのです。斉藤さんも高校生でこの本を読んだんだと思いますが、難しいという反応を見せていたような気がします。その番組を見て、私も少し経ってから読んでみました。あの時も大変でした。わかりにくいのです。と言っても難解だからわかりにくいというよりも、...『百年の孤独』を読み切りました。

  • なぜ石破茂総理はこうなんだろう

    石破茂総理に逆風が吹いている。そもそもは高額医療費の問題での失敗から始まり、杉田水脈の公認が出て、そして今回の商品券のばら撒きである。こういうことに対して潔癖であると思われた人がこんなことを平気でしていたというのが、不思議でたまらないし、許しがたいことだ。とは言え、これは他の人が総理大臣になっていたら表沙汰にならずにすんだのであろう。それだけ政権基盤が脆弱であると言うことも推測できる。自民党内の右翼勢力の巻き返しがはじまったと考えていい。日本の政治がわかりにくくなっているのは、誰もが自民党であるからだ。保守派も自民党だし、自由主義的な改革派も自民党だ。さらには民主派も自民党なのである。そういう巨大政党の中の権力争いで政権が決まってしまうのだ。内部の権力闘争が政権を生むので、内部で金が必要になる。結局は選挙...なぜ石破茂総理はこうなんだろう

  • 映画『名もなき者』を見ました。

    デビュー当時のボブディランを描く映画『名もなき者』を見ました。ボブディランの生き方を再現した名作です。私がボブディランに出会ったのは1975年のアルバム『欲望』です。当時私は中学生だったはずです。『欲望』はボブディランのアルバムの中で大ヒットした作品です。そのアルバムを繰り返し聞きました。そしてボブディランの文庫本の伝記を読んだ記憶があります。もちろん伝記と言っても初期のディランを紹介しただけだったわけですが、それでもそれがとても印象に残っていました。1965年のニューポート・フォーク・フェスティバルでのエレキギターの演奏の顛末が書かれていたのです。この映画はその状況が具体的な映像として再現されています。そしてそこにいた人々のそれぞれの心情がよくわかります。フォークとして築き上げた伝統を大切にしたい人たち...映画『名もなき者』を見ました。

  • 映画『聖なるイチジクの種』を見ました。

    映画『聖なるイチジクの種』を見ました。イランの内情を描き、その中で家族が壊れて行く姿を描くすばらしい作品でした。この映画は、おそらくイランの中では描いてはいけない現実を描き切ったのだと思います。実際監督はイラン政府を批判したとして、国家安全保障に反する罪により懲役8年、むち打ち、財産没収の実刑判決を受けたが、執行される前に国外へ脱出しドイツへと亡命したということです。もちろんイラン政府が統制を強めるのは近隣諸国との関係の中の必然であったのだとは思います。為政者を単純にせめるわけにはいきません。しかし、国民の信頼を得られないで弾圧だけをしていたのでは、国家が崩壊します。その危機がイランに訪れつつあるように感じます。映画で描かれる家族の父親は、家族のために我慢を重ねながら働きます。しかしそれが娘たちには理解さ...映画『聖なるイチジクの種』を見ました。

  • 東北新幹線のトラブルが頻発するのはなぜか。

    東北新幹線の連結が外れるトラブルが起き、東北新幹線が混乱している。これは去年もあったことだ。東北新幹線のトラブルは最近頻繁に起きていて、昨年は架線トラブルもあった。先日は雪のための運休があった。雪のための運休は自然現象であり、しょうがないといおう意見もあろうが、山形新幹線で起きた除雪車の脱線は、人為的なミスと考えた方とも考えられる。今年のその時の雪は確かにすごかったが、山形県ではこれ以上のゆきも何度も経験している。決して想定外ではない。ただ雪のせいだからしょうがないですませていいものではあるまい。つい先日、山形県山形市のJR山形駅を出発するはずの列車に、車掌が乗り遅れる事案があった。そのために出発が遅れたという。ここまでひどい事案はめったにない。JRのトラブルは明らかに増加している。これらの原因はどこにあ...東北新幹線のトラブルが頻発するのはなぜか。

  • 高校無償化を批判することはできないが

    結局高校無償化が決定したようだ。確かに教育予算の少ない日本にとって悪いことではない。だから批判のしようがない。しかし本当によいことなのかは、冷静に判断しなければいけないし、そこをしっかりと検証するのがマスメディアであろう。今回の高校無償化の問題点は、私立高校に進む生徒には多額の恩恵があるのに対して、公立高校に進む生徒にはそこまでの恩恵がないということである。少子化の問題があるので、高校生の授業料を免除するのは悪くはない。しかし公立高校に進学する生徒の方が損をしているような気持ちになるような補助の在り方はどうなのだろうか。私立高校は部活動も盛んで、さまざまな特色がある。宣伝もしっかりとしているし、その地方の主要都市にある。中学生にとって魅力があるのである。地方の県では進学校は公立に偏っているところはまだ多い...高校無償化を批判することはできないが

  • 高校無償化と公立離れ

    高校無償化は公立離れを起こすと言われている。山形県のような貧乏県は、金持ちが少ないので、所得制限に達する保護者が少なく、結果としてすでに公立離れが始まっている。公立の平均倍率は0,8倍となっており、特に影響が大きいのは、都市部以外の高校である。ほぼすべて定員割れとなっており、実質入試の必要もない。「名門」と呼ばれる学校でさえ、年によっては定員割れを起すケースが生じてきている。なぜか山形県では私立高校が10年ほど前、一斉に私立高校では校舎や体育館が建て替えられたり、グラウンドが整備されたりした。公立高校はボロ校舎だらけなのにである。山形県は私立高校にシフトしているのは明らかである。おそらく山形県知事は公立高校をなくして、教員の数を減らし、学校の維持費と人件費を減らそうとしているに違いない。しかも気になるのは...高校無償化と公立離れ

  • 映画『ブルータリスト』を再見しました。2

    前回の続きです。ラースロートとハリソンが愛し合っていなかったら、ハリソンはシラをきりとおせばよかった。しかしそうしなかったのは、ラースロートとの愛の終焉に自分の人生の終焉を確信じてしまったからに違いない。こう考えれば、ラースロートは妻を裏切ったひどい男であるのは明らかだ。ではハリソンはどうなのか。ハリソンもラースロートの夜の生活を維持するために、エリジュベートをニューヨークに住まわせることをしている。明らかにエリジュベートを騙している。アメリカの資産家の胡散臭さを体現している人物である。ランスロットもハリソンもブルータリストであったのである。もちろん彼らの人間性だけの問題ではない。それは時代が作り出したものである。だからこそ時代を超える芸術に救いを求めるというのが、この映画のひとつのテーマではなかったのだ...映画『ブルータリスト』を再見しました。2

  • 映画『ブルータリスト』を再見しました。

    長い映画ですが、どうしても気になったのでもう一度見ました。一番気になっていたのは、ラスト近くに主人公の妻エリジェーベトが、資産家のハリソンの家に行き、ハリソンを夫の強姦魔だと非難した場面であった。いつ強姦したのかが、明確になっていないのである。再見してその事情がわかってきた。(これ以降、いわゆるネタバレになりますので、まだ見ていない人は読まないことをお勧めします。読んでも意味がわからないだろうとも思います。)主人公のラースロートは逃走中、列車から飛び降り鼻を折った。その痛みから逃れるために薬物を使用した。その薬物に時々世話になるようになった。この薬物を使ったセックスをするようになったことが、エリジェーベトとのセックスの場面で明らかになる。そして映画を最初から思い出してみると、ラースロートが薬物を摂取した症...映画『ブルータリスト』を再見しました。

  • 今年も大谷ばっかりでうんざりする

    朝、TBSの「THETIME」を見ている。昔から朝はTBSを見ていたのでその流れである。内容について他のテレビ局と比べることができないので、他局ではどういう対応になっているのかわからないが、とても気になる事がある。スポーツのニュースが必ず大谷から始まると言うことだ。開幕してからならまだわかる。しかしまだ自主トレの段階から大谷がスポーツのトップニュースなのだ。いくらなんでもおかしいし、腹が立つ。様々なスポーツの話題は最近もあったはずだ。先週はJリーグが開幕したし、スキージャンプのワールドカップで小林選手が二戦連続で優勝した。競歩では山西選手が世界新記録で優勝した。昨日は大阪マラソンでは近藤選手が初マラソンの日本最高記録を更新した。本番の活躍がこれだけあるのにも関わらず、大谷がずっとどうでもいい話題でトップに...今年も大谷ばっかりでうんざりする

  • 映画『ブルータリスト』に悩まさされています

    アカデミー賞10部門にノミネートされている映画『ブルータリスト』を見ました。この映画に悩まされています。長い映画で、前半100分、後半100分、間に15分のインターミッションがあります。前半を見て、すごいおもしろいと思っていたのですが、その感覚のまま見ていると、後半になるとなんかドロドロしてきます。そして最後には、賞ねらいのあざとい作品のように感じてしまいました。これはちょっとひどいなと思って帰って来たのですが、家に帰って寝ていると、突然、目がさえてきて、あれ、もしかしたら見方を間違えてしまったのではないかと感じ始めました。重大な意味を見落としていたのではないかと感じ始めたのです。もちろん、これはアカデミー賞の最有力候補になっているということが私にそう感じさせたのかもしれません。しかし、その見落としを気付...映画『ブルータリスト』に悩まさされています

  • スズメが絶滅危惧種の候補に!

    スズメが急激に減っているというニュースを聞いた。最近、群れて電柱に停まっているいる鳥がいて、それを勝手にスズメだと思っていたのだが、確かに最近スズメとは違う。あれはムクドリだ。ものすごい数で、近くにいたら騒音だろう。スズメのいじらしさがない。スズメの減っている原因として主に以下の要因が考えらるという。まず、都市化の進行による生息地の喪失が大きな要因である。ビルや道路の建設が進むにつれて、スズメが巣を作るための自然な環境が減少している。これにより、スズメの数が急激に減少しているというのだ。しかし私の住んでいるのは田舎だ。それは理由にはなるまい。次に、農業の変化も影響しているという。農薬の使用が増加し、食物連鎖の中でスズメの餌となる昆虫が減少しているため、スズメが食物を得るのが難しくなっているのだそうだ。とは...スズメが絶滅危惧種の候補に!

  • 映画『リアルペイン』を見ました。

    映画『リアル・ペイン』を見ました。名作です。ふたりのユダヤ人のいとこが主人公です。ふたりの祖母はポーランドのアウシュビッツのすぐ近くに住んでいました。虐殺からなんとか逃れアメリカにきます。しかしその祖母もなくなります。デビットとベンジーはその孫です。祖母の遺言により再会し、彼女の故郷ポーランド行きのツアー旅行に参加します。ベンジーは破天荒で、自分の思ったことをすぐに口にだします。トラブルメーカーではあるのですが、彼のその生き方はかえって魅力的で、人々から愛されます。デビッドは自分を抑えてしまう性格です。仕事も家庭も表向きは順調ですが、真の友人はできないタイプです。実はこのふたり、どちらも神経質であり、ふたりとも統合失調症の傾向があるように見えます。だからふたりとも生きづらさを常に感じながら生きているように...映画『リアルペイン』を見ました。

  • マスコミは論理のすり替えをするな

    前回フジテレビの不祥事について触れたので、もう一点言っておきたい。フジテレビの大不祥事に附随して、日枝久氏へのバッシングが起きている。これはおかしな話だ。長年、権力の座についてきた人物が、いつの間にか裸の王様となり、その権力を自分のためだけに使い、組織が腐敗していくというのはよくある事であり、その意味で日枝氏に大きな責任があるであろうことは推測できる。これだけの不祥事を起こしたフジテレビの経営陣は総辞職するのは当然ではある。しかし、日枝氏が今回の中居正広の案件に直接には関係しているわけではあるまい。それなのにすべての責任が日枝氏にあるという風潮を作り上げたマスコミは、おおいに反省すべきだ。論理をすり替え、犯人捜しをしているだけであり、それによって自分を売り込んでいるだけにすぎない。中居正広と同じ穴のムジナ...マスコミは論理のすり替えをするな

  • 『119エマージェンシーコール』がおもしろい

    今期のドラマもいろいろ面白いものが多くあり、楽しんでいる。『119エマージェンシーコール』はその中の一つだ。ただし、フジテレビの不祥事の影響を受けていいドラマなのに正しく評価されていないのではないかと思われる。さすがにかわいそうだと感じている。119番の電話を受ける指令管制員を描くドラマで、NHKでドキュメンタリーで放送されているので、二番煎じの印象もあり、いつもながらのフジテレビのチームの協力でみんなが成長するドラマなので、どっかで見た内容だと批判が起こるのはわからなくもない。しかしこのドラマは丁寧に作られている。だから緊迫感が伝わってくるのだ。緊急事態の様子が映像化するよりも、緊急の電話をかけてくる人物と、管制員のセリフだけであるために、逆にリアルに感じるのかもしれない。管制員の心の揺れ、心の動きが丁...『119エマージェンシーコール』がおもしろい

  • 源氏物語を読む㉖「常夏」

    「源氏物語を読む」シリーズの26回目、「常夏」です。自分の備忘録として書き残しておきます。この帖の主役は近江の君です。盛夏の六条院で、釣殿で涼んでいた源氏は夕霧を訪ねてきた内大臣家の子息たちに、内大臣が最近新しく迎えた近江の君のことを尋ねます。内大臣は娘の玉鬘を探していたのですが、娘は見つからず、近江の君が見つかりました。玉鬘は今、源氏に世話になっており、内大臣はその子を源氏の隠し子かなんかだと考えているように伺われます。作者は玉鬘と近江の君を比べることで、源氏と内大臣の格差を表現しているように感じられます。玉鬘は、いつになったら実父に会えるのか思い悩ますが、そんな思いとはまったく関係なく、悩んでいる玉鬘を見て、源氏はますます玉鬘に魅かれて行きます。ホントにとんでもない奴です。玉鬘十帖はこんな感じて源氏も...源氏物語を読む㉖「常夏」

  • ラーメン消費額日本一

    総務省の家計調査がきょう発表され、去年1年間の1世帯当たりのラーメン消費額で山形市が3年連続の日本一に輝いたということです。なんでも一番になることなので、よかったとは思います。しかしどうも気になる事があります。確かに山形県民はラーメンを食べるほうだと思います。冬の寒さはラーメンを欲しますし、山形ならではの冷やしラーメンがあり、夏もそれなりに食べます。ラーメン消費額日本一も頷けるところではあります。しかし、ラーメン消費額は山形市が2万2389円で全国1位。2位の新潟市に6000円余りの大差をつけたそうです。しかも過去最高だったおととしの1万7593円をおよそ5000円上回ったということです。この状況は異状です。ここまで来るとデータの信憑性に疑問が生じます。本当に家計調査が正確に調査されているのでしょうか。山...ラーメン消費額日本一

  • 源氏物語を読む㉕「蛍」

    「源氏物語を読む」シリーズの25回目、「蛍」です。自分の備忘録として書き残しておきます。五月雨の頃、光源氏の弟である兵部卿宮から玉鬘に文が届きます。兵部卿宮ってだれだったっけと思ってしまいますが、桐壺帝の子にそういう人がいたわけですね。全然記憶にありませんでした。源氏はそれに返事を書かせます。喜び勇んで六条院にやってきた兵部卿宮の前は六条院にやってきます。源氏は几帳の内に蛍を放ちます。その光で玉鬘の姿を浮かび上がらせるのです。この演出がすごい。ほのかな光に浮き上がる玉鬘に兵部卿宮は心を奪われます。兵部卿宮は想いを和歌で訴えます。玉鬘はいまいち乗り気になれません。5月5日の節句、源氏は夏の町で騎射と宴を催し、その晩は花散里のところに泊まります。もはやふたりには男女の関係はありません。とは言え、それで満足なの...源氏物語を読む㉕「蛍」

  • 財務省文書の不開示取り消し判決と安倍晋三の影響力

    森友学園に関する財務省の決裁文書の改ざんに関与させられ自殺した近畿財務局の職員、赤木俊夫さんの妻の雅子さんが、一連の捜査の過程で財務省が検察に任意で提出した文書を開示するよう求めましたが、財務省は文書の存否も明らかにせず、不開示とする決定をしました。雅子さんは決定の取り消しを求めて訴えを起こしますが、1審の大阪地方裁判所は訴えを退けました。しかし、先日、大阪高等裁判所は文書の存否も明らかにせず、不開示とした決定は違法だとして、取り消す判決を言い渡しましたこの判決は当然と言えば当然だと思うのですが、逆に1審の判決が不自然に感じられます。日本は司法の独立といいながら、司法が国よりになる傾向があったように感じられます。それは特に安倍政権時代が強かったような気がします。ところが安倍晋三氏が亡くなったことによって変...財務省文書の不開示取り消し判決と安倍晋三の影響力

  • 源氏物語を読む㉔「胡蝶」

    「源氏物語を読む」シリーズの24回目、「胡蝶」です。自分の備忘録として書き残しておきます。晩春。源氏は六条院の春の町で船楽を催しました。秋の町からも秋好中宮方の女房たちを招きます。夜も引き続いて管弦や舞が行われます。源氏の弟の兵部卿宮は玉鬘にご執心で、源氏にぜひにも姫君をと熱心に頼みます。夏になり、玉鬘の下へ兵部卿宮、髭黒右大将、柏木らから次々と求婚の文が寄せられます。ここからが流石に源氏。本人がそれに興奮したのか、玉鬘への思慕を押さえがたくなってしまいます。ある夕暮れにとうとう想いを打ち明け、添い寝してしまうのです。これはさすがにひどい。玉鬘は困惑してしまいます。実際に肉体関係まで及んだのかはここを読んでいる限りはわかりません。後の展開から正解は得ることができるようなのですが、それにしてもこの男、やりす...源氏物語を読む㉔「胡蝶」

  • 源氏物語を読む㉓「初音」

    「源氏物語を読む」シリーズの23回目、「初音」です。自分の備忘録として書き残しておきます。この章段は、人物の整理をしているように感じます。六条院の現状紹介と、いよいよ中年を迎えた源氏と、かつて愛した女性も少し年を取り始め、容貌や物腰に変化が表れてきていることが描かれます。光源氏36歳の新春。源氏は正月なので、六条院の各屋敷を巡ります。春の町で紫の上と新年を祝います。その後、花散里の所にあいさつにいきます。そこで玉鬘にも会います。夜は明石の姫君の所に行きます。紫の上は気分を害します。翌日は末摘花や空蝉を訪問します。空蝉は忘れたころの登場で、ちょっとびっくりです。とりたてて何かが起こる章ではないのですが、さまざまな人物関係が整理されて、これから何かが起こりそうだという気がしてきます。源氏物語は紫上系と玉鬘系の...源氏物語を読む㉓「初音」

  • 源氏物語を読む㉒「玉鬘」

    「源氏物語を読む」シリーズの22回目、「玉鬘」です。自分の備忘録として書き残しておきます。2年以上間が空いてしまいました。情けない。なんとか頑張って続けて行きたいです。亡くなった夕顔の娘が見つかります。名前は玉鬘です。母の死後、幼いころに乳母一家に伴われて筑紫へ下国し、20歳になっています。乳母はすでに死んでいます。その美しさのために肥後の豪族大夫監に強引に求婚されます。乳母の長男の豊後介は、玉鬘を船で京に連れて逃げます。そこでかつて夕顔の侍女であり、今は源氏に仕える右近に再会します。源氏が夕顔の娘をさがしていたので、右近は源氏の所に来るように言います。六条院では玉鬘は親代わりとして花散里に面倒を見させます。花散里は柔和で温かい性格で、玉鬘と初めて出会ったときからお互いに親しみを感じ、すぐに打ち解けます。...源氏物語を読む㉒「玉鬘」

  • 山形市は今年も暖冬

    ここ数年、山形市は暖冬である。30年くらい前は、1月くらいだと道路に当たり前のように根雪があったのですが、ここ数年はほとんど根雪がなくなりました。朝早く道路の雪をどけるための除雪車が通るのですが、それが今年はほとんどありません。あきらかに暖冬であり、それがしばらく続いていると言っていいでしょう。真冬日も今年はほとんどありません。かつては寒気が居すわり、数日間ずっと真冬日になることが当たり前のようにあったのですが、今年はそれがありません。もちろん冬だから寒い日もあるし、雪も降るのですが、昔と比較すると本当に生活しやすくなっています。今日も晴れていて、遠くのほうから女子高生の元気な声が聞こえてきます。見てみると、グラウンドでソフトボールの練習をしているのです。1月にグラウンドを使えるなんて信じられません。例年...山形市は今年も暖冬

  • スキーマ2

    スキーマについて前回書きました。スキーマと言うのは学習上重要な概念であり、スキーマを作り上げるのが教育の目的ではあります。しかし、スキーマはステレオタイプに陥りやすいという欠点もあります。一度出来上がったスキーマはかなり強固なものであり、万一変なスキーマが出来上がってしまったら、取り返しのつかないことになってしまいます。具体的には差別などです。これは教育ばかりの責任ではありません。社会全体での思いこみも間違ったスキーマを作り上げることになります。世界の対立はそういう所から生まれているわけなのでこれも注意しなければいけません。また、間違ったスキーマは逆に教育効果を大幅に下げてしまう危険性があります。だから教育者は有益なスキーマを作る必要があります。スキーマについての、別次元の大きな問題として、スキーマを身に...スキーマ2

  • スキーマ

    心理学に「スキーマ」という言葉があります。言語学を学んでいるときによく耳にする用語です。学習理論としてもよく耳にします。スキーマって何なのでしょう。スキーマ(schema)というのは、自分の頭にある知識・知識の枠組みのことです。例えば「学校」というと何を思い浮かべるでしょうか。ある建物の中に、教師と生徒があつまって、勉強しているイメージがあるのではないでしょうか。生徒たちは遊んだり、競争したり、しながら朝から夕方まで過ごしています。そんな漠然とした頭の中にある概念がスキーマです。頭の中にはこのようなスキーマがたくさんあると言われています。「中国人」「日本人」「アメリカ人」などに対して持つステレオタイプもスキーマの一種です。勉強している時、スキーマがあればわりと吸収が早く、効率的に知識が身に付きます。逆にス...スキーマ

  • 『劇映画孤独のグルメ』を見ました。

    テレビドラマの『孤独のグルメ』の映画化作品、『劇映画孤独のグルメ』を見ました。ドラマの雰囲気が好きだったので、映画版は少し違和感がありましたが、それでもこれは映画ならではの感動がありました。心にしみる作品でした。テレビドラマの『孤独のドラマ』は井之頭五郎が始めて行く店で食べることがメインに描かれます。それ以外の場面はその食事のシーンとあまり関係がありません。とは言えまったく関係がないわけではなく、俳句の取り合わせのような効果があります。なんとなく感応しさっていて、不思議な滑稽さと、時にはしみじみとした人情味をかんじたりします。「軽み」に近いものなのかもしれません。それに対して今回の映画は、結構筋立てがはっきりしています。思い出の味の再現と、料理人の再生を描いていて、いつもの『孤独のグルメ』の軽さを求めてい...『劇映画孤独のグルメ』を見ました。

  • ドキュメンタリー映画『小学校~それは小さな社会~』を見ました。

    日本の東京の公立小学校に通う1年生と6年生の一年間の学校生活を取材したドキュメンタリー映画『小学校~それは小さな社会~』を見ました。今の小学校の姿がよくわかります。たちの時代と変わっていないこと、大きく変わっていることが伝わってきます。現在の小学校教育の功罪を見ている人それぞれが判断できる映画です。貴重な映画です。最初に描くのは、4月、入学したばかりの1年生に6年生が手助けします。新しい仲間の世話は最上級生の仕事なのです。協同的な場を作り出そうとする在り方は、最近の学校の進化だと思います。様々な行事をこなしながら、成長していく姿がわかります。しかし途中で研修会の場面が挿入します。大学の先生が、小学校の先生に語ります。日本の教育は同一性を強要しすぎてしまうということです。個性を奪うし、個性的な子どもは排除さ...ドキュメンタリー映画『小学校~それは小さな社会~』を見ました。

  • 東京都の教員志望者への奨学金の返還支援は本当にいいことなのか?

    東京都は、今年4月以降に教員や都や市区町村の技術系の職員として採用された人に対し、奨学金の返還を最大150万円支援する方針だという。おそらく多くの人は肯定的に捉えるだろう。しかしこの安直な方針は本当にいいことなのか。1点目。まず考えてほしいのは東京だからできる政策だということだ。東京だけ人が減らない。東京だけ景気がいい。地方はどんどん人が減る。どんどん人が減るから税の収入も減る。そんな中で教員の志望者も減っているのだから、東京のようにできるわけではない。本来ならば国がやるべきことを東京がやっているのだと、都知事は胸を張るのかもしれないが、そんなスタンドプレーはおかしなことなのではないか。もしこんなのが許されるならば、地方の人口減が加速しかねないではないか。2点目。なぜ教員と技術者だけなのか。人手不足はあら...東京都の教員志望者への奨学金の返還支援は本当にいいことなのか?

  • ジャニー喜多川、松本人志、中居正広、萩生田

    ここ数年、ジャニー喜多川氏、松本人志氏、中居正広氏、ついでに自民党の裏金など、いろいろなスキャンダルが暴かれてきた。本当に日本はどうなってしまったのかと怒りに思うことが多い。とは言え、実は以前は隠されてしまっていたものが、近年は表に出て来るようになったのだと前向きにとらえることもできる。性加害については非常にデリケートな問題であるという認識を持つ必要がある。、以前は被害者のほうがが絶対に表ざたになることを嫌ったので、隠し通されたケースがほとんどだった。性に関わる事件の場合、基本的には被害者の主張を尊重していかないと、加害者のいいように誘導されてしまう危険性がある。だから松本氏も中居氏も書面で済ませてしまうような態度では許しがたい気分になる。「法的に解決しました。だからこれから自分の活動をします。」というよ...ジャニー喜多川、松本人志、中居正広、萩生田

  • ドキュメンタリー映画『どうすればよかったか?』を見ました。

    統合失調症患者を扱ったドキュメンタリー映画『どうすればよかったか?』を見ました。様々な角度から考えさせられる映画でした。監督は藤野知明氏。彼の姉が統合失調症であることがわかりますが、医学の研究者である父は、その姉の精神科による。そのことに疑問をもった藤野知明氏が家族の映像を残すことを考えます。姉の症状は次第に悪化していきます。知明氏の意見を両親とも受け入れず、精神科の医療を受けさせようとしません。治療を遠ざけます。とうとう姉は狂ったような言動をやめなくなり、とうとう父親は精神病院に入院させます。いい薬が見つかった姉は精神が安定していきます。しかし、やはりどこかに違和感がのこります。癌にかかり、死を迎えます。統合失調症は、家族が他人に知られることを嫌い、実際にどういう状態になるのかわからないことが多いのだと...ドキュメンタリー映画『どうすればよかったか?』を見ました。

  • 映画『グランメゾン・パリ』を見ました

    映画『グランメゾン・パリ』を見ました。展開は雑でしたが、ラストの料理は見ているだけで満足になりました。料理シーンだけでも映画になると感じました。大人気テレビドラマの映画化です。ドラマなので大人から子供まで受けるように作られているのはわかるのですが展開が雑すぎます。木村拓哉演ずる尾花はパリで2つ星シェフです。2つ星シェフは相当すごいです。それなのに3つ星を取らなければならないと必死です。唯我独尊状態になり、みんなが引いていきます。オーナーを含めた重要な客を呼んでのディナーでひどい料理を出してしまって、店の立ち退きを要求されます。尾花が3つ星をとれないのは、食材の仕入れで差別的な扱いをされているからです。パリではよそ者にいい食材を売ってくれません。だから3つ星になれないのです。このあたりの描き方が雑すぎます。...映画『グランメゾン・パリ』を見ました

  • シネマ歌舞伎『ぢいさんばあさん』を見ました。

    新年最初の映画はシネマ歌舞伎『ぢいさんばあさん』でした。正月にふさわしい泣けるいい芝居、いい映画でした。片岡仁左衛門と坂東玉三郎の主演で、15年前の歌舞伎をそのまま映像化した映画です。原作は森鴎外。人のいい美濃部伊織と妻るんは評判のおしどり夫婦でした。子どもも生まれ幸せに暮らしていました。伊織は京都の屋敷に一年「単身赴任」することになります。京都で伊織はふとした弾みから同輩を斬ってしまいます。そのせいでるんのもとへ帰れなくなります。帰参が許されたのは37年後。年老いた二人が再会します。仁左衛門と玉三郎の分かりやすいけれども細かな演技がすばらしい。若い時と年老いた時の演技が、顔つきから体の使い方、そしてしゃべり方まで見事に演じ分けています。しかもそこに嫌味がない。芸を極めた来た二人ならでは演技です。この演技...シネマ歌舞伎『ぢいさんばあさん』を見ました。

  • 2024年に見た映画

    2024年に劇場で見た映画を振り返ります。1ポトフ2シネマ歌舞伎唐茄子屋不思議国之若旦那3perfectdays4ニューヨークオールドアパートメント5TILL6マエストロ7枯れ葉8リアリティ9哀れなるものたち10スケアクロウ11夜明けのすべて12エルスール13コットンテール14落下の解剖学15ダムマネー16オスカーピーターソン17コット始まりの夏18瞳をとじて19落下の解剖学(2回目)20瞳をとじて(2回目)21ブルックリンでオペラを22NTliveディアイングランド23ストップメイキングセンス24オッペンハイマー25リトル・エッラ26ノスタルジア27悪は存在しない28ボブマーリー29市子30関心領域31関心領域(2回目)32ありふれた教室33あんのこと34スクラッパー35NTliveThemotivea...2024年に見た映画

  • 山形県知事選が変なことになっている。

    任期満了に伴い2025年1月に山形県知事選が行われる。この知事選挙5選を目指す現職の吉村美栄子氏が無投票で当選する雲行きだった。吉村氏は無所属であるが、民主党寄りの候補で、県政の野党は自民党である。県議会議員は自民党が多数なので、自民党がきちんと対応しておれば、自民党寄りの候補が当選してもおかしくない。しかしいかんせん適当な候補がいないのである。そこで今回は自民党が初めて吉村氏を支援することになり、オール与党で吉村氏を推薦することになったのである。正直言ってこれに私は失望した。吉村氏の県政がまったくだめだというわけではないが、気になる所も多くあり、しかも5選はさすがにやりすぎだ。20年間県政のトップにいれば歪みがでてきて当然であり、そのためには新しい血が必要なのは国政と同じである。いや、狭い地方の方が、権...山形県知事選が変なことになっている。

  • 映画『私にふさわしいホテル』を見ました。

    映画『私にふさわしいホテル』を見ました。ドタバタコメディなのですが、ふざけたなかに温かさが感じられる映画でした。昭和の文学界を描く作品で、先日休館した神田の「山の上ホテル」も重要な舞台となっています。「山の上ホテル」は昭和の文豪たちが頻繁に利用したホテルです。昭和の文学界は「文壇」という特殊な世界があり、村社会によって文学が形成されていました。その村社会で生きて行く新人作家のお話です。のんが新人作家を演じるのですが、これが遊び心のあるめちゃくちゃさで楽しめます。自分の欲のために想像を絶することをするのですが、それでも映画の中ではきちんとおさまってしまうのです。これは原作の力なのだと思いますが、のんという役者のすごさでもあり、それを演出した堤幸彦の力なのかもしれません。滝藤賢一も大御所作家を演じていて、胡散...映画『私にふさわしいホテル』を見ました。

  • シス・カンパニー公演『桜の園』を見ました。

    シス・カンパニー公演、ケラリーノ・サンドロヴィッチ演出の『桜の園』を見ました。チェーホフの世界が見事に再現された舞台でした。ロシアの富豪の家が舞台です。その家は「桜の園」と呼ばれる桜の木がたくさん植えられている大邸宅です。しかしその富豪は没落しています。もはや「桜の園」を売ってしまうしかない。その重大性が女主人ラネーフスカヤはわかっていません。なんとかなるんだろうと他人事のような反応しかしめせません。その家の住民はみんな事の重大性がわかっていないのです。このあたりの描写がケラの演出は見事です。そもそもケラの芝居はそういう作品ばかりです。事態が深刻になっても、登場人物の会話はその重大性とは別次元で進んでいくのです。重大性を理解しているのは、この家の元農奴の息子で、今は商人となったロパーヒンです。結局、この家...シス・カンパニー公演『桜の園』を見ました。

  • マクミラン作『モンスター』を見ました。

    ダンカン・マクミラン作『モンスター』を見ました。見ている人間が追いつめられる作品でした。登場するのは、家庭が安定しなく社会では問題児とのレッテルをはられたADHDの傾向が強くあらわれる少年と、その少年を担当することになった自分自身も深い問題を抱える新人教師、そして少年を育てる祖母と、教師の恋人の4人。教師は少年との関係をなんとかうまくいくように努力するのですが、うまく行かずに、対立の度を高めて行ってしまいます。それはそれぞれの家族に波及し、みんなが生きづらくなってきます。少年を苦しめているのはなんなのだろうか。そして関係で苦しんでいる周りの人たちは救われないのか。見ていて本当に苦しくなっていきます。学校はここまで極端ではないとしても、似ている状況と常に接しています。昔は教師側の威圧で対処していたのですが、...マクミラン作『モンスター』を見ました。

  • 放送大学山形学習センターの面接授業「オーケストラの世界を探求する」を受講しました。

    放送大学面接授業「オーケストラの世界を探求する」を受講した。大変興味深く、学びの大きい授業だった。講師は西濱秀樹氏(公益社団法人山形交響楽協会・専務理事)阪哲朗氏(山形交響楽団常任指揮者)成田寛氏(山形交響楽団契約首席ヴィオラ奏者)オーケストラはたくさんの人たちが関わっている。もちろん指揮者、そして演奏者は当然である。しかしそれだけではない。演奏会では、客演となる演奏家もいる。オペラの場合は楽団外から歌手を招くことになるし、演出家もいる。さらには会場のスタッフの人たちのもいる。そして楽団の職員の方々もいるし、宣伝のためのポスター、パンフレットを作る人もいる。オーケストラという組織を運営していくことは並大抵のことではない。みんなの言うことをすべて聞いていれば何もできなくなるし、かといって強引に物事を進めて行...放送大学山形学習センターの面接授業「オーケストラの世界を探求する」を受講しました。

  • 映画『ぼくとパパ、約束の週末』を見ました。

    ASD(自閉症スペクトラム症)の少年を描く映画『ぼくとパパ、約束の終末』を見ました。見ていてつらくなる映画ですが、そのつらさの先にやるべきことがあるのだと気づかされる映画でした。ASD(自閉症スペクトラム症)は、かつてはアスペルガーと呼ばれていた障害です。人との付き合いが苦手で、トラブルばかりおこしてしまいます。ASDの中には頭脳が人一倍すぐれている人も多く、有名な科学者にはASDの人が多いとも聞いています。そんな少年ジェイソンを描いた映画です。ジェイソンは、生活に独自のルーティンとルールがあり、それが守られないとパニックを起こしてしまいます。つぎつぎおきるトラブルに母親もノイローゼ気味です。ジェイソンも、母親もつらそうで見ていられません。そんなジェイソンが、ある日サッカーチームのファンになろうと決意し、...映画『ぼくとパパ、約束の週末』を見ました。

  • オペラ『竹取物語』を見ました。

    やまぎん県民ホールで開催されたオペラ『竹取物語』を見ました。新作オペラで作曲は沼尻竜典氏。原作にできるだけ忠実にオペラにしているようですが、強調しているところに製作者側の意図も明確にあらわれています。かぐや姫に五人の求婚者が現われるのですが、それによって命を落とすものもいます。大けがを負うものもいます。女のために命を落としたり、大けがを負ったりすることが、かぐや姫の無理な注文に原因があったのではないかと思わせるような筋に感じます。帝が不死の薬を焼く場面を強調しているようにも感じられます。かぐや姫と結ばれない世の中で不死であることがなんの意味があるのか。人生の意味を考えさせられます。普通のオペラとは違い、オーケストラは舞台の上にいます。映像を用いて、きれいな舞台になっています。話もわかりやすく、日本人にとっ...オペラ『竹取物語』を見ました。

  • 部活動の地域移行を逃げずに遂行してほしい

    熊本市が部活動を、地域に移行をせずに学校での部活を継続する方針を公表したという。この流れは全国的なものへと広がっていく危険性が高い。結局は進展しないまま終わってしまうのではないかと心配である。部活動は教員にとって害悪でしかない。地域に部活動に移行する力がないとか、過疎地域の学校ではやりたい活動が何もできないとかいろいろと理由はあるだろう。しかし、部活動が結局は教員の成り手を減らしているのであり、現在の教育改革の第一歩は部活動を学校から切り離すことであるのはあきらかなのだ。確かに部活動をやりたくて教員になる人もいる。しかし、そういう教員は結局は教科指導や、校務分掌に手を抜いてしまう。手を抜かずにがんばっている人もいると反論する人もいるかもしれない。しかしあくまでもそれは少数であるし、そういう働き方をしている...部活動の地域移行を逃げずに遂行してほしい

  • 『侍タイムスリッパ―』を見ました。

    話題になっていることも知らずにいた『侍タイムスリッパ―』が、最近いろいろな人が見たと発信しはじめ、流行語大賞にもノミネートされたことで、これはなんだと思って、調べてみたらまだ近くの映画館でやっていることを知り、何とか見ることができました。本当に面白い映画でした。知っている俳優が山口馬木也しかいなく、内容もほとんどわからないまま見ていたのですが、前半の山口馬木也の会津藩の武士が、非常にリアルな方言、そして武士の動作に感じられ見入ってしまいました。後半は筋の展開が見事でどんどん引き込まれて行きました。そして最後の殺陣のシーンは本当に見事でした。感動しました。もっと雑な映画なのかと思っていたら、丁寧な作りの作品で、失礼ですがあまり有名ではない役者さんとスタッフが、本当にがんばって作ったのだと感じました。そしてそ...『侍タイムスリッパ―』を見ました。

  • 矢野顕子さんの「さとがえるコンサート2024」に行きました。

    昨日山形市の「やまぎん県民ホール」で開催された矢野顕子さんの「さとがえるコンサート」に行ってきました。歌のすばらしさを堪能するコンサートでした。矢野さんは40年ほど私が前に東京で学生だったこと、ラジオ関東(今はラジオ日本)のDJをしていて(不定期に日替わりでDJをする番組でした)、その番組をよく聞いていました。音楽の自由さを感じさせる歌をたくさん歌っていた印象があります。その矢野さんのコンサートに初めて行くことができました。これが本当にすばらしい。いくつかの曲は感動して涙がでました。一番感動したのはMISIAのために矢野さんが書いた「希望のうた」です。MISIAの歌い上げる歌もいいのですが、矢野さんの語り掛けるような歌い方はもっと心に響きました。今日もあのメロディが何度も頭の中に流れてきます。やっぱり歌の...矢野顕子さんの「さとがえるコンサート2024」に行きました。

  • 朝ドラ「カーネーション」はすごい

    NHKBSで再放送している「カーネーション」を見ている。コシノ三姉妹の母親、小篠綾子をモデルにしたドラマだ。評価の高いドラマなのだが、私は今回が初めて視聴している。これがすごい。このドラマのすごさは、人間の悪い部分をしっかりと描いており、その悪い部分が実は人間のいい部分でもあることが明確に伝えようとしているということである。小林薫演じる父親は暴力をふるうし、仕事はしない、酒ばかり飲んでいるとんでもない父親だ。しかし、そんな父親がやっぱり頼りになるときがあるのである。そしてとんでもないところに魅力が生まれるのである。尾野真千子が演じる主人公も、前ばかり見て突っ走る。だからぶつかってばかりである。それでもそれが自分の生き方だと開き直る。近くにいたらいやなタイプである。でもだからこそ魅力がある。脚本は渡辺あやさ...朝ドラ「カーネーション」はすごい

  • 高齢者の交通マナー

    最近、自転車で外出することが多くなった。以前はほぼ車しか使っていなかったが、日ごろの運動不足の解消も兼ねて自転車を使う様になったのである。するとよくわかるのは、自動車の運転マナーの悪さである。特に腹が立つのは、高齢者の運転マナーのひどさである。今日も、自転車に乗って横断歩道をわたろうとしていた。ある車が止まってくれた。しかし、対向車線の車が止まってくれない。当然こっちは待つしかない。すると止まっていた車がクラクションを鳴らす。そして怒ったような表情で、手で早く渡れと指示するのだ。「そんな偉そうな態度取るんだったら止まるんじゃねえよ。」と叫びたくなった。さすがに穏便な私はそんな下品なことはできず、ただ睨み付けて渡っていった。高齢者は自分の前しか見ていない。それでいながら自分が正しいと思っている。間違っている...高齢者の交通マナー

  • 急激な物価上昇

    なんでもかんでも値上がりばかり。物価が急激に上昇している。中には便乗値上げではないのかと思われるものもあるのだが、原材料も高くなった、光熱費も高くなった、賃金も上げなければならない、といわれればしょうがないのかなとも思ってしまう。問題はそれに伴う賃金の上昇があるのかということだが、どうもそんなに上昇しているようにも思われない。事情があって、私は今働いていないので、それこそ大変である。来年は働くつもりでいるのだが、求人票を見ても、そんなに給料が高くなっているようには見えず、本当に大丈夫なのか心配になる。日本の物価は他の国に比べてやすかったので、それを調整しているかのようにも見えるし、企業の業績がよくなり、税収入も増えたというが増えた分の予算拡大分も当然あるわけだから、そんなに単純なものでもあるまい。なんだか...急激な物価上昇

  • 年収の壁

    103万の壁が大きな話題となり、年収の壁が問題になっている。そもそも何が問題なのかがわからないまま議論が進んでいるために、迷走しそうな雲行きである。とは言え、これまで問題のありかがわからないままであったのがいけないので、きちんと議論してよりよい税制になる必要がある。今回の問題提起を好機とするように国会、そしてメディアの方たちには期待したい。そもそもの問題は税制がどうしてこれだけ複雑になったのかである。まずはこれをできるだけシンプルにしていく必要があろう。おそらく古くからの法律があり、つぎはぎだらけになっているから、何がなんだかわからなくなっているのだ。国民みんなが理解できるように問題点を整理してほしい。次の問題点としては、税収がいったいいくら必要で、どういう内訳になっているか、国民がきちんと知る事であろう...年収の壁

  • エコーチェンバー

    前回「集団極性化」について述べたが、似たような現象に「エコーチェンバー」がある。エコーチェンバーとは、録音スタジオなど狭い場所でエコーを利かせると、それが増幅していくような現象を言う。ネット社会も開かれた環境であればそれが起きないはずなのであるが、誰もが経験するように、ネットは閉じた世界になりやすい。ネット記事も、その人の興味のあるものだけが提示されるようになり、興味がない、あるいは意見の違うような記事は表示されなくなる。すると知らず知らずに極端な意見に収斂されていく。右翼的な意見と、左翼的な意見などに分断されていくのはそのためである。ネットが出て来たときに期待したのは、さまざまな意見を発信、受信、討論されていくのがネットだと思っていたはずである。マスメディアの一方的な発信に嫌気がさせいていた人たちがネッ...エコーチェンバー

  • 集団極性化

    最近の選挙において、意外な人物や党が急激に票を伸ばすということが起きている。都知事選の石丸候補や、衆議院選の国民民主党、兵庫県知事選の斎藤候補などである。これはいいとか悪いとかいう問題ではなくて、インターネットによって見られやすい現象だということで、かなり前から言われている。「集団極性化」と言うのだそうだ。ネット上では、同じ関心を持つ人たちがSNSを通してて情報を容易に共有し、ネット上のコミュニティができ、それが短期間に大きく広がるという現象が起きやすい。そしてそれができてしまうと、しばしば極端で先鋭的な方向に急速に流れるようになるというのだ。近年の右傾化、左傾化の両極化による分断もその流れの一つであり、それが明確に表れているのが、アメリカである。日本における近年の選挙にも、その影響は明確に表れてきている...集団極性化

  • 映画『ある一生』を見ました。

    オーストリアのアルプスで生きるある男の人生を描く映画『ある一生』を見ました。人生の意義を考えさせられるいい映画でした。孤児が、とある農場主に預けられる。農場主はその孤児を奴隷のように扱う。大人になると、その孤児は農場主に逆らい、自分の力で生き始める。男は真面目に働き、結婚する。しかし、その幸せは雪崩によって壊される。妻は子どもを身ごもったまま死んでしまうのだ。男はその後の人生で亡くなった妻に手紙を書き続ける。年老いた男は、自分の人生を振り返る。そして人生はほんの狭間の時間にすぎないと悟る。しかしその狭間の時間こそが貴重なものであることを観客は知るのである。自分も年を取ってきて、確実に余生の方が短くなってきている。死を意識し始める年代である。しかしこれまでの人生が長かったのかと言われると、本当にあっと言うま...映画『ある一生』を見ました。

  • 映画『本日公休』を見ました。

    台湾映画『本日公休』を見ました。少なくとも私の今年のベスト5には入ります。感動しました。台中にある昔ながらの理髪店。店主アールイは40年にわたってこの店に立ち続けています。かつては夫と一緒に働いていた理髪店ですが、夫は亡くなり、今は一人で経営しています。仕事が丁寧で、常連を大切にし、間が空いた客には電話で来るようにいいます。彼女が育て上げた3人の子どもたちは既に独立しています。娘の夫は近所の自動車修理店で働いています。その男がアールイのことを気にかけてくれ、様々に手伝ってくれます。しかし娘との関係は壊れかけています。他の子どもたちもそれぞれ問題を抱えながらも、母親のことはそれなりに心配しています。この家族の関係が丁寧に描かれています。丁寧に描写されるので、とてもリアリティがあり、映画に引き込まれて行きます...映画『本日公休』を見ました。

  • マスメディアはSNSのせいにして、自分らの落ち度を隠すな!

    兵庫県知事選で斎藤候補が再選されて大きなニュースになっている。マスメディアは大騒ぎをして、その原因をSNSに求めようとしてる。しかしそれはどうなのだろうか?9月9日のこのブログで疑問を投げかけている。再掲する。兵庫県の斎藤知事の問題がスキャンダラスに報道されている。確かに斎藤知事の言動には問題があるように見えるが、逆にマスコミのこの騒ぎ方にも大きな問題があるように思われる。この問題が最初に騒がれたのは、パワハラとかおねだり疑惑だった。県民局長の告発と自殺については逆につけたしのように報道されていた。マスコミもその程度の扱いだったのである。おねだり疑惑とか、パワハラなんて政治家にはたくさんいそうである。とくにパワハラなんて当たり前のようにいる。みんなを調べれば齋藤知事レベルなんてたくさん出て来るのではないか...マスメディアはSNSのせいにして、自分らの落ち度を隠すな!

  • くたばれ、文部科学省!

    教員採用試験で定員割れのニュースが流れ始め、やっと文科省も財務省も動き始めたようである。しかし文科省も財務省もお互いを批判するだけで、自分たちの落ち度を認めようとしない。ネットで産経新聞の記事が紹介されている。一部引用させれもらう。令和7年度の予算編成に向けて財務省が示した公立学校教員の給与増をめぐる制度の見直し案について、全日本中学校長会など教育関係23団体は15日、文部科学省を訪れ、見直しに反対する緊急声明を阿部俊子文科相に提出した。阿部氏は「働き方改革や処遇改善などを一体的に進めていくために引き続き財政当局と丁寧に議論していく」と述べた。文科省は教師の見方だというような態度であるが、実は文科省が今の教育の混乱を作り出した張本人なのだから、偉そうに言ってはいけない。文部科学省は教育改革の名のもとに、さ...くたばれ、文部科学省!

  • 映画『ルート29』を見ました。

    綾瀬はるか主演の不思議な感覚の映画『ルート29』を見ました。人間の本質を描こうとする映画でした。主人公は発達障害系の女性のり子。清掃員として働いているが、ある施設で女性から、姫路にいる自分の息子のハルを連れてきてほしいと依頼される。のり子は会社の車を盗み、姫路に向い、ハルを連れ出す。二人は鳥取までの国道29号線をたどる。この道中さまざまなことが起きる。まさに大人のおとぎ話である。これがおもしろいのだが、ちょっとやりすぎであざといかなとも感じてしまった。のり子は姉の働いている小学校に行く。姉は小学校の先生だった。そこで姉に会い、一晩泊めてもらう。夜、姉はのり子に語りかける。小学校の教員という職についての愚痴だと思っていたら、のり子に対する冷酷な言葉に変化していく。この場面がすごい。人と人とのつながりは、実は...映画『ルート29』を見ました。

  • 教員の残業代は判断がむずかしい

    公立校教員の残業代支給に関するニュースが流れた。基本的にはその方向はいいことだ。しかし現実にはあまりに多くの課題があり、実現のハードルが高すぎる。その課題が解決するまでにはかなりの年数がかかる。解決したころにはもはや問題が別の方向になっているような気がする。報道によると「現在は、残業代の代わりに一定額を給与に上乗せ支給する「教職調整額」という制度が採用されているが、処遇改善のために残業時間に応じた手当を支払う仕組みを導入する案が政府内で浮上し、関係省庁がこれを検討した」というのだ。ただ検討しているということだけである可能性も高い。そもそも、何を以て残業とするのか、判断がむずかしい。例えば部活動の問題がある。今日の教員の働きすぎの原因の一番の要素は部活動にあるのは間違いない。しかし未だにそれが改革できていな...教員の残業代は判断がむずかしい

  • 教員の残業代は判断がむずかしい

    公立校教員の残業代支給に関するニュースが流れた。基本的にはその方向はいいことだ。しかし現実にはあまりに多くの課題があり、実現のハードルが高すぎる。その課題が解決するまでにはかなりの年数がかかる。解決したころにはもはや問題が別の方向になっているような気がする。報道によると「現在は、残業代の代わりに一定額を給与に上乗せ支給する「教職調整額」という制度が採用されているが、処遇改善のために残業時間に応じた手当を支払う仕組みを導入する案が政府内で浮上し、関係省庁がこれを検討した」というのだ。ただ検討しているということだけである可能性も高い。そもそも、何を以て残業とするのか、判断がむずかしい。例えば部活動の問題がある。今日の教員の働きすぎの原因の一番の要素は部活動にあるのは間違いない。しかし未だにそれが改革できていな...教員の残業代は判断がむずかしい

  • 映画『パリのちいさなオーケストラ』を見ました。

    映画『パリのちいさなオーケストラ』を見ました。アルジェリアにルーツのある女性の音楽学校の生徒が、何度もくじけそうになりながらも、指揮者になる夢をかなえて行く姿を描いています。感動しました。ザイア・ジウアニというの実話を基に描いた作品だそうです。パリの音楽院でビオラを学ぶザイアがパリの名門音楽院に編入を認められて指揮者を目指すことになります。しかし当時は(いまでもそうかもしれませんが)女性指揮者は世界でわずかしかいません。音楽学校の中ではその出自からばかにされ、指揮をしてもまともに演奏をしてくれません。そんなザイアがチャンスを手に入れます。特別授業に来た世界的な指揮者に才能を認めらられ指導を受けることになるのです。しかしその指揮者の指導は厳しい。ザイアは何度も挫折しそうになりながら町にオーケストラを作ろうと...映画『パリのちいさなオーケストラ』を見ました。

  • 『三四郎』読書メモ⑬

    夏目漱石の『三四郎』の読書メモ。今回は十三章。最後の短い章である。この章は前の章から時間がかなり経過している。前の章の最後で三四郎は母からの「何時立つ」という電報を受け取っている。その後、三四郎は田舎に帰る。おそらくそこで御光との結婚話が取り上げられ、進んだ可能性もある。三四郎は冬休みをほとんど田舎で過ごしたのだと思われる。十三章の冒頭では、語り手の視点も三四郎から離れている。語り手は三四郎専属とだれも決めていないのだからもちろんかまわないのだが、基本的には三四郎の視点にいた語り手なので、読者は多少の違和感を覚えるであろう。時間の経過とともに、三四郎を一瞬遠ざける効果がある。二日目に美禰子は夫と来場する。最初の土曜の昼過ぎに、広田、野々宮、与次郎、三四郎が訪れる。ここで三四郎が戻って来ることによって語り手...『三四郎』読書メモ⑬

  • 『三四郎』読書メモ⑫

    夏目漱石の『三四郎』の読書メモ。今回は十二章。三四郎は文芸協会の演芸会に行く。盛況である。最初の演目は蘇我入鹿の出て来る芝居でよくわからない。幕間に与次郎を見つける。与次郎の動きを見ていると、野々宮と美禰子とよし子もいた。美禰子のそばに男がいてその男が誰なのか気になる。次は「ハムレット」である。ハムレットがオフィーリアに言う「尼寺に行け」と言う。この言葉で広田の話を思い出す。広田がハムレットの様なものは結婚できないと言っていた。ハムレットはオフィーリアのために露悪家になったのだ。自分を悪者にしてオフィーリアを苦しめずに自分を諦めさせようとした。しかし結果としてはオフィーリアに一番の不幸が訪れる。そこにドラマがあるのだ。ここからは邪推である。ハムレットは野々宮であろう。野々宮は結婚できない男なのだ。結婚より...『三四郎』読書メモ⑫

  • 『三四郎』読書メモ⑪

    夏目漱石の『三四郎』の読書メモ。今回は十一章。広田先生の夢の話が出てくる章。与次郎は文芸協会の切符を売って回っている。与次郎が三四郎の下宿に来る。新聞を見せる。その記事によると広田先生は大学の教師には選ばれなかった。もう一紙を見せる。その新聞は広田先生が自分が教師になる様に画策したとある。その一環として自分の知人の学生に「偉大なる暗闇」という論文を書かせたとある。そしてその論文を書いたのは三四郎だというのだ。三四郎は困る。与次郎も謝る。実家から手紙が来る。冬休みには帰ってこいとある。御光は女学校をやめて家に帰ったということだ。三四郎との結婚話が本格化しているようである。三四郎は広田の家に行く。広田は、与次郎の件は確かに迷惑だが、若い人ほど迷惑だとは思っていないという。広田は夢の話をする。生涯にたった一度逢...『三四郎』読書メモ⑪

  • 『三四郎』読書メモ⑩

    夏目漱石の『三四郎』の読書メモ。今回は十章。いろいろな考える要素があって、長くなりそうだ。三四郎は広田の家に行く。広田は合気道のようなものを稽古している。広田は三四郎に『ハイドリオタフヒア』を貸す。その中に「生きるとは、再の我に帰るの意にして、再の我に帰るとは、願にもあらず、望みにもあらず、気高き信者の見たる明白なる事実なれば、聖徒イノセントの墓地に横たわるはなお埃及の砂中に埋まるが如し。」とある。結局は自分に帰り、自分からは離れることができないのである。原口の家に行く途中、子供の葬式に出会う。三四郎は美しい弔いだと思う。『ハイドロオタフヒア』を読み、子供の葬式に出会い、三四郎は客観的に人の生死を見ていることに気付く。そして美禰子のことを考える。美禰子を客観的に見ることができるのだろうか。三四郎は美禰子を...『三四郎』読書メモ⑩

  • 『三四郎』読書メモ⑨

    夏目漱石の『三四郎』の読書メモ。今回は九章。三四郎は精養軒の会に出る。学者サロンといっていい会である。物理学の話になる。広田が「どうも物理学者は自然派じゃ駄目の様だね」と言う。物理学者はただ自然を観察しているだけでは駄目で、人工的な装置を作り、それによって普通の自然界では見出せないものをみえるようにしているというのである。その意味で物理学者は浪漫的自然派だと言う。これはイプセンの劇のようだが、人間は自然の法則にしたがってばかりではないと議論は進む。当時の文壇では自然主義と浪漫主義の対立があったわけだが、漱石はそのどちらかに偏るわけではない。『三四郎』は念入りの仕掛けを用意して、その中で登場人物たちは動いている。それを語り手が語るという構造だ。この語り手の視点は三四郎に焦点化され、三四郎の思考の外にあるもの...『三四郎』読書メモ⑨

  • 『三四郎』読書メモ⑧

    夏目漱石の『三四郎』の読書メモ。今回は八章。三四郎が与次郎に金を貸した顛末が語られる。かなり面倒くさい流れである。①広田が家を借りる際の敷金が足りなくなる。②野々宮が、よし子にヴァイオリンを買ってやるための金を広田に貸す。③広田は金が出来たので、借りた金を返すことになり、その金を与次郎に運ばせる。④与次郎が競馬ですってしまう。⑤与次郎は三四郎に金を借りて、広田の借金を野々宮に返す。もともとは広田が野々宮に借金したものが、いつのまにか与次郎が三四郎にかりたものにすり替わってしまったのである。もちろんすべては与次郎が悪い。与次郎は美禰子に借金を頼む。美禰子は応じるが与次郎には金を渡せないといい、三四郎をよこすように言う。そこで三四郎は美禰子の家に行く。与次郎に金を貸したことによって美禰子に借金することになるの...『三四郎』読書メモ⑧

  • 『三四郎』読書メモ⑦

    夏目漱石の『三四郎』の読書メモ。今回は七章。この章は三四郎と美禰子との直接のからみはない。広田による現代評とそれにからんだ美禰子評が語られる。それが興味深い。広田は言う。昔は他本位であったが、近代になり西洋文明が入って来ると自己本位に変化した。その結果、昔は偽善であったものが、今や露悪になってきている。これはわかりやすそうでわかりにくい。自分なりに整理をする。3つの段階に分類することができる。1.善自分を犠牲にして利他的行動をとる。決して利己的ではない。2.偽善利他的行動のように見えるがそれは利己的である。3.露悪利己的そのもの。自分の主張を明確に示す。美禰子だけが露悪であるわけではない。現代人はみんなそうである。この後に、広田は二十世紀になってから「偽善を行うに露悪を以てする」ようになったというのだ。人...『三四郎』読書メモ⑦

  • 『三四郎』読書メモ⑤

    夏目漱石の『三四郎』の読書メモ。今回は五章。(前回六章を先にだしてしまいました。順番前後してすみません。)三四郎は大久保の野々宮の家に行く。いるのはよし子だけ。よし子は水彩画を描いているが、どうもうまくいかない。三四郎はよし子から野々宮と美禰子の情報収集をする。よし子は「兄は日本中で一番好い人に違いない」と思っている。下宿に戻ると葉書が来ている。美奈子からの菊人形見物の誘いである。その字が、二章で野々宮がポケットに入れていた封筒の上書きに似ている。やはり野々宮と美禰子の関係は怪しいと感じる。大学にも慣れ始め、講義がつまらなくなってくる。しかも美禰子に恋をしてしまったようで、「ふわふわ」した気分になる。会場に行く途中で乞食と迷子に会う。一行は関わり合いを避ける。このあたりの仕掛けが意味深である。現実世界との...『三四郎』読書メモ⑤

  • 『三四郎』読書メモ⑥

    夏目漱石の『三四郎』の読書メモ。今回は六章。三四郎は恋の病にかかっている。講義にも集中できずノートに「ストレイシープ」を書くばかりだ。それを語り手は淡々と事実として記述するだけだ。ここにこの小説の「語り」の形が明確に表れる。この語り手は第三者的に客観的に語ろうとはするが、視点人物は三四郎だけである。本来写生文は小説世界に登場するのであるが、語り手が小説世界に存在しない写生文として『三四郎』は書かれているのだ。与次郎が文芸時評と言う雑誌を三四郎に見せる。「偉大なる暗闇」という文章がある。筆者は零余子とある。知らない。実はこれは与次郎が書いたものであった。読んでみると、なるほど釣り込まれる。しかし読み終わった後何も残らない。美禰子から葉書が来る。絵葉書である。小川があり、草が生えて、そこに羊が二匹寝ている。そ...『三四郎』読書メモ⑥

  • 『三四郎』読書メモ④

    夏目漱石の『三四郎』の読書メモ。今回は四章。三四郎は大学にも慣れ始め、講義がつまらなくなってくる。しかも美禰子に恋をしてしまったようで、「ふわふわ」した気分になる。与次郎と道でばったり出会う。与次郎はもう一人の男と一緒である。この男は三四郎が汽車で水蜜桃をもらった男である。やはりこの男が広田だった。広田は高等学校の先生である。与次郎は広田のファンであり、大学教授にしてよろうと思っている。広田は貸家を探していたのだった。広田は三四郎に「不二山を翻訳してみた事がありますか」と意外な質問をする。ここは意味深な場面である。まずその直前で広田は「富士山」と言っている。それが「不二山」と変わっているのだ。音声では両者は同じだ。と言うことはこの漢字の違いは語り手が顔を出した結果ということになる。翻訳ということばも意味が...『三四郎』読書メモ④

  • 『三四郎』読書メモ③

    夏目漱石の『三四郎』の読書メモ。今回は三章。いよいよ大学が始まると思ったらそう簡単にはいかない。「学年は九月十一日に始まる」はずで三四郎は学校に行くのだが、学生は誰もいない。そこで事務室へ行く。「講義はいつから始まりますかと聞くと、九月十一日から始まると云っている。澄ましたものである。でも、どの部屋を見ても講義がない様ですがと尋ねると、それは先生が居ないからだと答えた。三四郎はなるほどと思って事務室を出た。」どう考えても事務の言うことは納得がいかない話なのに、三四郎は納得してしまうのである。たとえ間違ったものでも権威のあるものに服従してしまう姿がそこにはある。「郷に入れば郷に従え」という言葉があるが、どこに行っても集団には共同幻想が存在して居る。その共同幻想の外部の人間はそれに従うことを強要されてしまう。...『三四郎』読書メモ③

  • 『三四郎』読書メモ②

    夏目漱石の『三四郎』の読書メモ。今回は二章。三四郎が東京でカルチャーショックを受けている。「凡ての物が破壊されつつある様に見える。そうして凡ての物が又同時に建設されつつある様に見える。大変な動き方である。」こんな激動が東京の現実なのだ。そこに孤独を覚える。「この激烈な活動そのものが取りも直さず現実世界だとすると、自分が今日までの生活は現実世界に毫も接触していないことになる。(中略)自分の世界と現実の世界は一つ平面に並んでおりながら、どこも接触していない。そうして現実の世界は、かように動揺して、自分を置き去りにして行ってしまう。甚だ不安である。」母親の手紙に知り合いの従妹が理科大学(今日で言う大学の理学部)にいるので頼りなさいとある。それが野々宮宗八である。野々宮は典型的な世間知らずの科学者である。現実世界...『三四郎』読書メモ②

  • 『三四郎』読書メモ①

    夏目漱石の『三四郎』の読書メモ。今回は一章。三四郎が熊本から東京に出る。当時はかなりの時間がかかったようだ。もう京都はすぎている。しかし東京へはその日のうちにはつかない。名古屋に一泊する必要がある。計算上、熊本から出ればさらに1日か2日たっていたと思われる。かなりの長旅である。三四郎は不思議な発見をする。九州から人の顔がどんどん白くなる。三四郎は故郷の御光という女性を思い出す。御光さんは三四郎の後に結婚相手候補となる。ここではどういう関係かまではわからない。御光さんは直接には『三四郎』では描かれないのだが、御光さん物語は全編を通じてサブストーリーとして存在している。注目が必要である。御光さんは黒い色の女性であり、三四郎は「お光さんの様なのも決して悪くはない」と思う。京都から相乗りになった女性がいる。夫がい...『三四郎』読書メモ①

  • 映画『ボストン1947』を見ました。

    日本国籍でベルリンオリンピックに出場し優勝した韓国人ソン・ギジョン(孫基禎)と、その先輩であり友人でもあるやはりベルリンオリンピックに出場し3位になったナム・スンニョン、そしてその二人に育てられ、ボストンマラソンで優勝したソ・ユンボクを描いた『ボストン1947』を見ました。感動しました。子どものころ、日本のオリンピックでの活躍の歴史を調べていた時に、マラソンで金メダルを獲得したソン・ギジョン(孫基禎)のことを知り、誇らしく思いました。しかし後にソンは韓国人であることを知り、当時はがっかりしたことを思い出します。当然がっかりしてはいけなかったのであり、最近は自省の意味も込めて思い出すようになりました。この映画はその後のソンの生き方を描いています。韓国人としての誇りを強く持ちながら、韓国人としての主張を許して...映画『ボストン1947』を見ました。

  • 映画『スオミの話をしよう』を見ました

    映画『スミオの話をしよう』を見ました。三谷幸喜ファンとしては期待して見に行ったのですが、さすがにひどかった。期待外れでした。例えば最後にどんでん返しが待っているとか、ドタバタな笑いが頻繁にあるというようなコメディ色が強い作品になっているとか、おもしろい要素が必ずあるものです。しかしこの映画、すべてが中途半端で、一体何を見て楽しめばいいのかわかりませんでした。昔から三谷さんの作品は大成功だと思われる作品も多いのですが、時々失敗作もあります。それでも書き続けてきた持続力が三谷さんを作ったのだと思います。だから今回の映画もしょうがないのかなと思う気持ちもあります。しかしちょっと今回の映画は安直すぎます。三谷さん大丈夫なのかと心配になってしまいます。次回作はぜひいい作品をみたいと思います。がんばってください。映画『スオミの話をしよう』を見ました

  • 石破茂にがっかり

    石破茂氏には期待していました。しかし初っ端から裏切られました。石破氏に期待していたのは議論をすることです。しかし、今回予算委員会開かずに解散をする方向性を示したのは期待を裏切るものです。これまで言っていたことと違いすぎます。小泉進次郎氏が支持を得られなかったのも「すぐ解散」と言っていたことも一つの要因だったはずです。それを議論もしないで解散するのはおかしいと主張したからこそ、世論は石破氏に味方したのです。こんな嘘つきに政権をまかせるわけにはいきません。自民党は巨大組織です。その巨大組織の中で権力が一部の政治家に集中していたからこそ、様々なことが強引に行われていたのです。そしてその一部の政治家に権力集中させていたのが、極右政治団体だったのです。それが日本の政治を歪ませていたのは明らかです。石破氏はおかしいこ...石破茂にがっかり

  • 石破氏と野田氏の議論に期待

    立憲民主党の代表に野田佳彦がなり、きのうは自民党の総裁に石破茂氏が選ばれた。ふたりに期待したい。ここしばらくの国政は、自民党が選挙に勝っているから自分らが何をしようと勝手だろうという態度で、議論も中途半端に事を進めてしまうし、野党は野党でただ自民党の揚げ足取りだけをしている状態だった。もちろんマスコミの取り上げ方も悪かったのは確かであるが、お互いに協力して議論を作り上げる努力はたりなかったのは事実であろう。自民党は選挙に勝つ事が第一命題となり、統一教会との癒着や裏金問題を引き起こした。自民党の議員は政治家ではなく、選挙屋となっていた。立憲民主党の議員は全体の構想を見ようともせず、ただ相手の失策をついて小銭拾いに終始していた。これは国民に見透かされた。だから政治に関心がなくなったのだ。石破氏と野田氏ならば、...石破氏と野田氏の議論に期待

  • 今年はサンマが食べられる!

    秋と言えばサンマだ。とは言えここ数年不漁が続き、小さくてしかも値段が高く、食べる気にはならなかった。ところが今年は違う。値段が安いのだ。若干小さいのではあるが、それでもここ数年とはだいぶ違う。今年はすでに3回食べた。サンマと言えば、あの内臓の黒い部分がいい。小さいころはあの黒い部分の苦さがいやでたまらなかったのであるが、大人になるにしたがってそこがよくなる。あの苦さこそがサンマなのだ。あの内臓を取って売ってゐたり、頭を切って売っていたりするのは邪道である。大根おろしとサンマのセットはやはり秋の味覚の代表である。あの味が食べられるのは喜ばしい。近年、サンマだけでなく、スルメイカも不良だそうである。山形県民はスルメイカの足、つまりゲソの天ぷらをよく食べる。山形で天ぷらそばはゲソ天そばである場合が多い。そのゲソ...今年はサンマが食べられる!

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