2018年1月のブログです*新野剛志さんの『明日の色』(2017・講談社文庫)を読みました。おもしろかったです。新野さんは小説『あぽやん』がヒットして直木賞候補になった作家さんですが、シリアスな小説も書いていて、私はそちらの作品も好きです。この小説は、いろいろな現実の中で決してめげない中年男を描く、とご紹介をしましたが、テーマは重層的で深いです。金儲け、離婚、別れた子どもとのつきあい、仕事、男同士のつきあい、友情、絵画、虐待体験、ホームレス、などなど。いずれもが、かなり苦しい状況で展開し、時には絶望的になりますが、主人公の中年男はなんとかしのいでいきます。まさに、しのぐ、という言葉どおりで、じーじはここで、生き残る、という精神分析の言葉を思い出しました。ふらふらになりながらも、決してつぶれないで、生き残る...新野剛志『明日の色』2017・講談社文庫-決してめげない中年男子の頑張りを描く