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ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (臨床心理士・赤坂正人) https://blog.goo.ne.jp/red777slope

こころの困りごと・悩みごと相談でじーじ臨床心理士が公園カウンセリング、訪問カウンセリング、面会交流の相談・援助などをやっています

赤坂正人 1954年生まれ 家庭裁判所調査官として司法臨床に従事 放送大学大学院臨床心理学プログラム修了 心理カウンセリング個人開業 臨床心理士 新潟市西区 心理療法、家族療法、遊戯療法、面会交流の相談・援助など 精神分析学会、遊戯療法学会会員 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006,『臨床心理学』)「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011,『遊戯療法学研究』)ほか

ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (臨床心理士・赤坂正人)
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2015/02/19

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  • 西園昌久『精神分析技法の要諦』1999・金剛出版-精神分析の基本と実践に学ぶ

    2019年春のブログです*西園昌久さんの『精神分析技法の要諦』(1999・金剛出版)を再読しました。これもすごく、というか、ものすごく久しぶりの再読です。真面目そうな、堅実そうな印象の本でしたので、再読がつい遅くなってしまいました(西園さん、ごめんなさい)。西園さんには思い出があり、今から20年以上前、新潟で家族療法学会があった時に、初めて講演をお聞きして、すごいな、と感心した記憶があります。それまで学会などには背を向けていたのですが、本当にすごい人がいるんだな、と思い、その後、いくつかの学会に顔を出すきっかけをつくってくださいました(西園さん、ありがとうございます)。それから何度かお話をお聞きしたり、本を読ませていただいて、勉強をさせてもらっていますが、その堅実な理論と豊富な症例には本当に感心させられま...西園昌久『精神分析技法の要諦』1999・金剛出版-精神分析の基本と実践に学ぶ

  • 松木邦裕ほか『摂食障害との出会いと挑戦-アンチマニュアル的鼎談』2014・岩崎学術出版社

    2020年3月のブログです*松木邦裕・瀧井正人・鈴木智美『摂食障害との出会いと挑戦-アンチマニュアル的鼎談』(2014・岩崎学術出版社)を久しぶりに読みました。じーじにしては早めの再読、と思ったのですが、もう6年ぶりになるのですね。いかん、いかん(松木さん、ごめんなさい)。付箋がいっぱいだったので、少し整理をしながら読んだら、だいぶすっきりしました(?)。もっとも、本当に理解できているのかな?やや心配です。鼎談相手の瀧井さんは心療内科医、鈴木さんは精神分析医と3人それぞれの立場で治療に従事しておられますが、3人とも、摂食障害は食の病いというより、こころの病い、という理解で一致しているようです。そうなのです。摂食障害は食の病いとして表現されますが、こころを深く理解していくと、生きていることの不安を見つめられ...松木邦裕ほか『摂食障害との出会いと挑戦-アンチマニュアル的鼎談』2014・岩崎学術出版社

  • 東直己『鈴蘭』2010・角川春樹事務所-私立探偵・畝原シリーズ第8作、生きる哀しみと喜びを描く

    2023年春のブログです*東直己さんの『鈴蘭』(2010・角川春樹事務所)を読む。私立探偵・畝原シリーズの第8作。生きる哀しみと喜びを描いている、と思う。いい小説だ。このところ、樋口有介さんと東直己さんの小説にはまっていて、ずっと読み続ける毎日。幸せな日々だ。主人公の畝原は、第4作の『熾火』で関わりのできたみなしごを引き取り、養女とし、さらに、長年、娘の学童保育を通じて付き合いのあった女性とその連れ子と一緒に生活をするようになる。娘と再婚した女性の連れ子の女の子と養女との3人の女の子の父親となって、なかなかにぎやかだ。第5作から第8作まで、畝原が私立探偵として関わる事件とともに、女の子たちの成長ぶりが読んでいて楽しいが、特に養女となったみなしごの成長ぶりにとても癒される。その子は、保護された時、虐待の跡が...東直己『鈴蘭』2010・角川春樹事務所-私立探偵・畝原シリーズ第8作、生きる哀しみと喜びを描く

  • 子育て支援金は敵基地攻撃用ミサイルのトマホーク代を充てませんか?-じーじのじいじ日記・セレクト

    2024年2月の日記です*ニュースを見ていると、子育て支援金で当面、月500円程度を保険料に上乗せして徴収することになるという。計算によれば、月1,000円程度になる国民もいるらしく、えらい「増税」である(政府は「増税」でないというが、言葉のペテンにすぎない)。じーじのような年金生活者は、税金プラス介護保険料だけでもアップアップなのに、どういうことかと思う。子育て支援にお金を使うことには反対しないが、あくまでも税金の範囲内で行なうべきだろう。税金といえば、防衛費の増額が著しい。特にびっくりしたのが、敵基地攻撃能力の議論。議論がきちんとなされないままに、攻撃用ミサイルのトマホークの購入が決まってしまったらしい。憲法違反の可能性もあるのに、そんなに拙速に決めていいのだろうか。1発数億円、400発を注文するらし...子育て支援金は敵基地攻撃用ミサイルのトマホーク代を充てませんか?-じーじのじいじ日記・セレクト

  • 河合俊雄編著『ユング派心理療法』2013・ミネルヴァ書房-ユング派の臨床に学ぶ

    2018年のブログです*河合俊雄さん編著の『ユング派心理療法』(2013・ミネルヴァ書房)を再読しました。たぶん2回目だと思うのですが(?)、例によってあまり自信はありません。以前読んだ時には当時のじーじの力不足のせいで、あまり理解できたとはいえなかったように思うのですが(河合さん、ごめんなさい)、今回は少しだけ以前より理解できた箇所もあったように思います。解説編と事例編の二部構成で、解説編では、心理療法における第三のもの、という論点に興味をひかれました。精神分析のウィニコットさんのいう中間領域やオグデンさんや藤山直樹さんのいう第三の主体、あるいは、クライン派の考えなどをめぐって、ユング派から見たイメージの考えなども含めて、考察がなされます。イメージから物語、象徴との関連など、考察は広がって、こちらの想像...河合俊雄編著『ユング派心理療法』2013・ミネルヴァ書房-ユング派の臨床に学ぶ

  • 村上春樹 『国境の南、太陽の西』1995・講談社文庫-喪失と再生の物語を読む

    2019年3月のブログです*村上春樹『国境の南、太陽の西』(1995・講談社文庫)を再読しました。かなりひさしぶりです。この本も本棚の横の標高約120センチくらいの文庫本の山の中の標高10センチくらいのところに埋もれていて、読みたいなと思いつつも、なかなか読めずにいたのですが、今回、清水の舞台から飛び降りる覚悟で(?)、本の山を崩して、救出し、読むことができました。おもしろかったです。こんなに面白い本をしばらく読まずにいて、村上さん、ごめんなさい。しかし、少し、つらい本でもありました。あらすじは書きませんが、喪失と再生、がテーマでしょうか。いろんな読み方があるでしょうが、今のじーじには、そのように読めました。もちろん、何日かすると、別の感じ方ができるのかもしれません。それが村上さんの奥深さでしょうし、おも...村上春樹『国境の南、太陽の西』1995・講談社文庫-喪失と再生の物語を読む

  • 河合隼雄編『ユング派の心理療法』1998・日本評論社-ユング派の臨床に学ぶ

    2018年のブログです*河合隼雄さん編集の『ユング派の心理療法』(1998・日本評論社)を再読しました。このところ、なぜかユング派が気になっていて、この本も本棚の隅に見つけて、読みました。ちょうど20年前の本で、じーじも2~3回読んでいるはずで(?)、付箋も2種類の付箋があちこちに貼られ、アンダーラインも引かれているのですが、例によって、記憶はあいまいで、またまた新鮮な(?)気持ちで読んでしまいました。面白かったです。古い本なので、今は大家になった人達の中堅時代の論文が多いですが、みなさん、当時は日本に13人しかいなかったユング派の資格を取った人たちで、当時の熱意みたいなものが伝わってきます。もちろん、中身もそれぞれ多彩で、深く、今読んでも勉強になりますし、いろいろと刺激されるところが多いです。今回、印象...河合隼雄編『ユング派の心理療法』1998・日本評論社-ユング派の臨床に学ぶ

  • 村上春樹『海辺のカフカ』(上・下)2011・新潮文庫-生きることの不思議さとユーモアの大切さを味わう本物の物語

    2017年のブログです村上さんの新作『騎士団長殺し』を読んでいたら、『海辺のカフカ』を思い出しました。物語の底を流れるユーモアの質にじーじは同じような印象を受けました。特に、ホシノくんをめぐるユーモアと同質のように思える前向きなユーモアは絶品だと思います。どんなに苦しい状況でもホシノくんのようなユーモアがあれば、なんとかなれそうな気がします。『海辺のカフカ』については2012年にブログを書いていて、とても十分な文章とはいえませんが、しかし、全くの的外れでもないようなので、再録してみます。(2017.4記)*2012年のブログです村上春樹さんの『海辺のカフカ』を再読しました。単行本が出てすぐ、ついこないだに読んだばかりのような気がしていたのですが(この間、いろいろな村上春樹論を読んでいたせいもあるかもしれま...村上春樹『海辺のカフカ』(上・下)2011・新潮文庫-生きることの不思議さとユーモアの大切さを味わう本物の物語

  • 田中千穂子『障碍の児のこころ-関係性のなかでの育ち』2007・ユビキタスタジオ-ユーモアのちからに学ぶ

    たぶん2017年のブログです*田中千穂子さんの『障碍(しょうがい)の児(こ)のこころ-関係性のなかでの育ち』(2007・ユビキタスタジオ)を再読しました。この本もずいぶんいい本なのにかなりのひさしぶりで、自分の勉強不足を反省させられます。この中では、知的障碍で何らかのご事情から困難に陥ってしまった人たちへの田中さんの心理相談などの援助の様子が描かれています。かなりの事例が描かれ、その困難さを障碍者の人と一緒に少しずつ解決をしていく、あるいは、馴染んでいく田中さんの粘りとていねいなアプローチは感動的です。また、何かとたいへんなご家族にもていねいにより添う田中さんの姿もすばらしいです。そして、それらの援助活動の底には、やはりユーモアの力の大きさを感じさせられる場面が数多く描かれています。たくさん学ぶべきところ...田中千穂子『障碍の児のこころ-関係性のなかでの育ち』2007・ユビキタスタジオ-ユーモアのちからに学ぶ

  • 村上春樹 ・川上未映子『みみずくは黄昏に飛びたつ』2017・新潮社-ただのインタヴューでは「あらない」です

    2017年春のブログです*村上春樹さんに作家の川上未映子さんがインタヴューをした『みみずくは黄昏に飛びたつ』(2017・新潮社)を読みました。すごく面白かったです。騎士団長ふうにいうと、ただのインタヴューでは「あらない」、です。とても深いインタヴューです。もともと村上さんの大フアンである川上さんが、周到な用意をしてのインタヴューで、しかし、その鋭い(?)質問に村上さんは飄々と答えています。時には、村上さんも熱く語る場面がありますが、やはり基本は真面目さに裏づけられたユーモアとゆとり、という印象です。そこが村上さんの真骨頂なのでしょう。個人的には、ここのところ、『騎士団長殺し』に出てきた、スバル・フォレスターのタイヤケース、が、そんなのあったっけ?と、少しだけ心配だったのです(村上さんのことだから間違いはな...村上春樹・川上未映子『みみずくは黄昏に飛びたつ』2017・新潮社-ただのインタヴューでは「あらない」です

  • 成田善弘『セラピストのための面接技法-精神療法の基本と応用』2003・金剛出版

    たぶん2017年のブログです*成田善弘さんの『セラピストのための面接技法-精神療法の基本と応用』(2003・金剛出版)を久しぶりに再読しました。この本も、とてもいい本なのに、じーじの怠慢ゆえに、かなり久しぶりになってしまいました(成田さん、ごめんなさい)。四十台後半、じーじが家族療法学会や思春期青年期精神医学会、さらには、精神分析学会などで学びはじめた頃に読み、以後、参考にさせていただいてきている基本的な本です。内容はとても深く、今でも学ぶところがいっぱいありますし、今回も勉強になったところがたくさんありました。いい本というのは、こちらの経験が深まるにつれて、学べるところも多くある本のようです。懐かしかったのは、成田さんが編者のお一人だった『転移/逆転移』(1997・人文書院)と『共感と解釈』(1999・...成田善弘『セラピストのための面接技法-精神療法の基本と応用』2003・金剛出版

  • 2017年4月の「朝日新聞」村上春樹さんのインタヴュー「『騎士団長殺し』の執筆語る」

    2017年春のブログです*今朝の「朝日新聞」に載った村上春樹さんのインタヴュー「『騎士団長殺し』の執筆語る」を読みました。あまり自分の小説については語らない村上さんが、めずらしく少しだけ語っておられます(とはいっても、一面の半分程度のあいかわらず控えめな発言ですが…。小説について言いたいことは、できるだけ小説でしか表現しない、と日ごろからおっしゃっている村上さんらしいです)。印象的だったのは、やはり、子どもが誕生した結末について。何かを引き継いでほしいという気持ちがある、それが何なのか、自分でもよくわからないけれど、と正直に述べられています。また、びっくりしたのが、この小説を執筆中だった一昨年の秋に、東北の沿岸を一人で車で走ったということ(そういえば、そういう光景が小説の重要な部分として出てきます)。じー...2017年4月の「朝日新聞」村上春樹さんのインタヴュー「『騎士団長殺し』の執筆語る」

  • 土居健郎『新訂・方法としての面接-臨床家のために』1992・医学書院-基本書をていねいに熟読する

    たぶん2017年のブログですこの時に初めて詩人キーツさんの重要さに気づいたようです(2019.1記)*土居健郎さんの有名な『新訂・方法としての面接-臨床家のために』(1992・医学書院)を再読しました。もう何回目になるでしょうか。本は付箋とアンダーラインで大変な状態です。初版本はじーじが家庭裁判所に就職をした翌年の1978年に購入していますから、かれこれ40年近いおつきあいです(うちの奥さんより長いおつきあいです)。新訂本も25年のおつきあいで、じーじは両方の本に大変お世話になっています。今回は、付箋とアンダーラインの中でも、また何か新しい発見があるのではないかと思って読んだのですが、やはりありました。自慢には全くならないのですが、これまでノーチェックの箇所がやはりいくつかありました。ひとつは、有名な、わ...土居健郎『新訂・方法としての面接-臨床家のために』1992・医学書院-基本書をていねいに熟読する

  • 村上春樹 『騎士団長殺し』(第1部・第2部)2017・新潮社-その2・驚きと穏やかさと

    2017年春のブログです*少し迷いましたが、村上さんの『騎士団長殺し』(第1部・第2部)(2017・新潮社)の感想文の第2報を書いてみます。まだまだ読み終えていないかたも多いと思いますので、あらすじは書きません。しかし、結末を少しだけ書きます(村上さん、ごめんなさい。でも、売り上げはひょっとすると上がるかもしれません)。結末はなんと(!)、主人公が生まれてきた小さな娘の保育園の送り迎えをする、というものです(!)。驚き(!)の、びっくりでしょう(!)。村上さんの小説の主人公に子どもが生まれるのは、じーじの記憶ではたぶん初めてではないでしょうか(?)。1Q84では、主人公が妊娠をしたところで終わりましたが、今回は子どもが生まれました。もっとも、本当に自分の子どもかどうかは科学的にはあいまいなのですが、ここで...村上春樹『騎士団長殺し』(第1部・第2部)2017・新潮社-その2・驚きと穏やかさと

  • 藤山直樹・伊藤絵美『認知行動療法と精神分析が出会ったら-こころの臨床達人対談』2016・岩崎学術出版社

    2016年のブログです*藤山直樹さんと伊藤絵美さんの『認知行動療法と精神分析が出会ったら-こころの臨床達人対談』(2016・岩崎学術出版社)を読みました。とてもおもしろかったです。そして、とても勉強になりました。この中で藤山さんが精神分析のエッセンスを講義されているのですが、おそらくじーじが今まで読んだ精神分析の説明の中で、一番わかりやすくて、かつ、一番深いものではないかと思います。もちろん、それは藤山さんなりの「精神分析」なのですが、だからこそ、藤山さんファンのじーじには宝物のような講義でした。ここで、じーじがうれしかったのは、治療者がたとえ失敗をしても厳然と「そこにいること」の大切さが述べられていて、このところ、このことを考え続けているじーじにはとても勉強になりました。そして、失敗は必須のものではない...藤山直樹・伊藤絵美『認知行動療法と精神分析が出会ったら-こころの臨床達人対談』2016・岩崎学術出版社

  • 安保法を見据えてのベトナム寄港と踏切の安全問題のニュースを見て考える-じーじのひとりごと+追記です

    2016年のブログです(ずいぶん前の文章ですが、その後も政府のやっていることは戦争への再軍備化だと思われるので、再録します)*先日、海上自衛隊の護衛艦がベトナムの港に寄港をしているニュースを見ました。自衛隊の艦船がベトナムに(?)、何のためなのか、よくわかりませんでした。安保法のせいなのでしょうか。当然、中国は抗議の声明を出していました。それらを見て、じーじは、日本を守るために、自衛隊がベトナムにまで行く必要があるのだろうか、と単純に思いました。そして、ひょっとすると、太平洋戦争の前にも、これと同じような光景がアジアの各地であったのかな、と想像をしました。ベトナムにいる日本人を守るためにという理由で、また、中国や東南アジアの国々にいる日本人を守るためにという理由で、自衛隊があちこちに派遣されるのでしょうか...安保法を見据えてのベトナム寄港と踏切の安全問題のニュースを見て考える-じーじのひとりごと+追記です

  • 村上春樹 『騎士団長殺し』(第1部・第2部)2017・新潮社-その1・哀しみとユーモアと

    2017年春のブログです*村上さんの『騎士団長殺し』(第1部・第2部)(2017・新潮社)を読みました。これからも読後感や印象がどんどん変化すると予想するのですが、第1報をとりあえず書いてみます。まずは、とてもおもしろかったです。じーじのこころの準備不足のせいか、エンジンのかかるのが少し遅かったのですが、途中から物語に引き込まれて、土日月の3日間で読んでしまいました(もったいない!)。テーマは重層的で深いです。あまり詳しくは書きませんが、善と悪、戦争、人殺し、死者と対象喪失、こころから哀しむこと、信ずること、その他もろもろ。偶然でしょうが、対象喪失とこころから哀しむことのテーマが出てきました(と、いっても、じーじがそう感じているだけで、普遍的なものとはいえないのかもしれませんが…、最近、そのようなことを考...村上春樹『騎士団長殺し』(第1部・第2部)2017・新潮社-その1・哀しみとユーモアと

  • 心理臨床とイメージ・小野けい子先生・山中康裕さん-じーじのカウンセリング日記

    2020年春の日記です*BS放送大学の、心理臨床とイメージ、を見る。いつも途中から見ていたので、今回は新学期ということもあり、先週の第1回から見ている。今日は第2回、表現療法ということで、なんとゲストが山中康裕さん。小野先生(大学院在学中はたいへんお世話になりました)のインタヴューがうまいこともあって、山中さんのいろいろな思い出話が展開される。山中さんの若い頃のエネルギッシュな様子がうかがえて、とても面白い。中井久夫さんや河合隼雄さんのお話も出て、勉強になる。時に、山中さんが逆に小野先生にインタビューをされて、小野先生もいつになくリラックスをされて、貴重なお話をされる。とても勉強になる番組だなと思う。下手な学会や研究会に出るより、ずっと勉強になる。みなさん、BS放送大学の、心理臨床とイメージ、はお勧めです...心理臨床とイメージ・小野けい子先生・山中康裕さん-じーじのカウンセリング日記

  • 東直己『悲鳴』2001・角川春樹事務所-東直己さんの私立探偵・畝原シリーズの第3作です

    2023年春のブログです*東直己さんの小説『悲鳴』(2001・角川春樹事務所)を久しぶりに読む。このところ、樋口有介さんと東直己さんの小説にはまってしまい、ずっと読み続けている。この小説は、東さんの私立探偵・畝原シリーズの第3作。ご存じのかたもいらっしゃるかもしれないが、東さんにはススキノ探偵シリーズがあって、映画化もされて、それなりに知られているが、こちらの私立探偵・畝原シリーズも負けないくらいに面白い。舞台はやはり札幌。地元の元大手新聞の記者だったが、事件関係者の陰謀で誤認逮捕をされ、新聞社を解雇された中年男性が主人公。奥さんに逃げられ、小学生の女の子を育てながら、私立探偵をして生計を立てている。その畝原の正義感と、以前と変わらずに友情を示してくれる友人らの姿が読んでいてすがすがしい。しかし、仕事に関...東直己『悲鳴』2001・角川春樹事務所-東直己さんの私立探偵・畝原シリーズの第3作です

  • 神田橋條治・滝口俊子『不確かさの中を-わたしの心理療法を求めて』2002・創元社

    2019年春のブログです*神田橋條治さんと滝口俊子さんの対談『不確かさの中を-わたしの心理療法を求めて』(2002・創元社)を再読しました。これもずいぶん久しぶりの本で、アンダーラインがあまりなかったのも、先日の下坂さんの本と同じです。しかし、この本も再読をしてみるとすごい本で、当時のわたしは本当に何を読んでいたんだろうと、反省すること大です。良く解釈をすれば、この20年ほどの間に、これらの本が少しは理解をできる程度に成長してきた、といえるのかもしれませんが、それにしてもお粗末です。例によって、印象に残ったことを一つ、二つ。一つめは、これも最近よく目にしますが、部分の中に全体がある、という考え方。神田橋さんは、フラクタル理論から思いつかれたとのことですが、精神分析ではいろんな方が同じような趣旨のことを言わ...神田橋條治・滝口俊子『不確かさの中を-わたしの心理療法を求めて』2002・創元社

  • チューリップの国旗とチューリップの国歌の夢を見た-じーじのじいじ日記・セレクト

    2023年12月のブログです*お昼寝をしていたら、とても楽しい夢を見た。日の丸がチューリップの図柄(!)の国旗にかわり、国歌が君が代にかわってチューリップの歌(!)になるというもの。すごいでしょう!夢の中では、小学校の入学式で、新入生がチューリップの花を持ち、チューリップの国旗に向かって、チューリップの国歌を元気に歌っていた。日の丸・君が代の強制が厭で、自分の子どもたちの入学式と卒業式は全部欠席したじーじだが(子どもたち、ごめん)、こういう入学式や卒業式なら列席してみたい。孫娘たちが学生のうちに実現しないかな?そうしたら、じーじもぜひ出席させてもらって、チューリップの歌を大声で歌いたい(?)。そもそも、日の丸はもとより、菊や桜の図柄だと、なんとなくキナ臭いイメージがつきまとう。その点、チューリップはいい。...チューリップの国旗とチューリップの国歌の夢を見た-じーじのじいじ日記・セレクト

  • 2歳の孫娘の保育園デビューにおける小さくてもとっても大きな大冒険!-遊ぶことのちから

    下の孫娘が2歳、上の孫娘が5歳の時のブログです*車で1時間ほど離れた町に住んでいる孫娘たちが遊びに来ました。2人とも元気いっぱいです。2歳になる下の孫娘はこの4月に保育園に入園しました。いよいよ保育園デビューです。年少さんのさらに一つ下のチョー年少ぐみで、「こあらぐみ」というのだそうです(とてもかわいいネーミングですね。園長せんせいの「あそびごころ」がひかります)。最初は、おうちがいい!、と下の孫娘は泣き叫んだようですが、今では笑顔で通園バスに乗って保育園に通っているようです。我が家に来ると、下の孫娘は覚えたての「チューリップ」のうたを大声で歌って、なにやら自慢げです。さらには、お絵かきを始めて、画用紙に大きなまるを描いては、でかい!といい、小さなまるを描いては、ちっちゃい!とお話しています。あっというま...2歳の孫娘の保育園デビューにおける小さくてもとっても大きな大冒険!-遊ぶことのちから

  • 山秋真『ためされた地方自治-原発の代理戦争にゆれた能登半島・珠洲市民の13年』2007・桂書房

    2024年春のブログです*山秋真さんの『ためされた地方自治-原発の代理戦争にゆれた能登半島・珠洲市民の13年』(2007・桂書房)を読む。今年3月、TBS「報道特集」の能登半島地震の特集番組を見ていたら、久しぶりに金平茂紀さんが出ていて、地元の人から珠洲岸発の話を取材していた。珠洲原発?じーじはうかつにも全く知らなかった。調べてみると、1980年代に能登半島の珠洲に北陸電力・関西電力・中部電力が原発を作る計画を発表、反対派と賛成派が激しく争ったが、2003年に電力3社が撤退を表明したという。この間、新潟の巻原発計画では、住民投票の末に反対派が勝利し、東北電力は撤退をしている(じーじも組合の役員をしている時だったので、こっそりと原発反対のビラ配りにいったりした)。珠洲原発計画では、賛成派の選挙違反や土地の不...山秋真『ためされた地方自治-原発の代理戦争にゆれた能登半島・珠洲市民の13年』2007・桂書房

  • 成田善弘『精神療法家のひとりごと』2019・金剛出版-じーじのひとりごととはだいぶ違います

    2019年春のブログです*成田善弘さんの『精神療法家のひとりごと』(2019・金剛出版)を読みました。新刊です。すごいですね(!)。しかも、じーじのひとりごととは違って、中身が充実しています。本書は雑誌「精神療法」に連載されたエッセイなどをまとめたもので、精神療法についてのお話が読みやすい形で書かれています。読みやすいのですが、内容はかなり深いので、読んだ後にも余韻が残って、いろんなことを考えさせられます。印象に残ったことを一つ、二つ。まずは、患者さんの問題行動を病理の現われとして見るのではなく、患者さんなりの現実への対処と見るという視点。患者さんの努力はぎこちなく、不適切で、逆効果になりやすいですが、彼らなりの努力であると見ることで、問題行動を捉える見方が違ってくると述べます。鋭いですし、一方で、温かい...成田善弘『精神療法家のひとりごと』2019・金剛出版-じーじのひとりごととはだいぶ違います

  • 広瀬徹也編『精神療法の実践的学習-下坂幸三のグループスーパービジョン』2004・星和書店

    2019年春のブログです*広瀬徹也さん編集の『精神療法の実践的学習-下坂幸三のグループスーパービジョン』(2004・星和書店)を再読しました。この本は広瀬さんが帝京大学精神科の教授をされていた時に、下坂幸三さんから若手精神科医がグループスーパーヴィジョンを受けた時の記録で、下坂さんの前には土居健郎さんが同じようにスーパーヴィジョンをされていたようで、夢のように贅沢な研究会の記録です。実際、今回、再読をしてみて、改めて勉強になるところが多々あり、いい本だな、と今さらながら感心をしました。2004年の本で、じーじが購入したのはいつだったかはっきりしませんが、それにしてもずいぶんのご無沙汰で、もったいないことをしてしまいました。しかも、前回は、アンダーラインがあまり引かれておらず、当時のじーじは何をしていたので...広瀬徹也編『精神療法の実践的学習-下坂幸三のグループスーパービジョン』2004・星和書店

  • 椎名誠『三匹のかいじゅう』2013・集英社-三匹の孫かいじゅうとシーナじいじいの物語です

    2019年春のブログです*椎名誠さんの『三匹のかいじゅう』(2013・集英社)を再読しました。シーナじいじいの孫物語シリーズの第三作。シーナさんの息子さんの岳くん家族が、第三子を日本で出産するためにアメリカから来日、その前後のシーナさんのじいじいぶりが描かれます。おもしろいです。とてもおもしろいです。じーじにも心当たりがあるようなできごともあって、思わず笑ってしまいます。頻繁に笑ってしまい、この本も電車の中で読むのは危ない本だと思いました。第三子は無事に生まれ、琉太くんと名づけられます。そして、風太くん、海ちゃん、琉太くんの三匹のかいじゅう相手にシーナじいじいの奮闘が始まります。しかし、2011年3月11日の東日本大震災があり、その後、原発事故が起こります。シーナじいじいは孫たちへの放射能汚染を心配してみ...椎名誠『三匹のかいじゅう』2013・集英社-三匹の孫かいじゅうとシーナじいじいの物語です

  • 相田信男『実践・精神分析的精神療法-個人療法そして集団療法』2006・金剛出版-精神科病院での実践に学ぶ

    2020年春のブログです*相田信男さんの『実践・精神分析的精神療法-個人療法そして集団療法』(2006・金剛出版)を読みました。相田さんは精神科医で群馬県にある精神科病院の院長先生、そして慶応大学医学部の講師、さらに精神分析協会正会員というかた。じーじはお名前を知っている程度でしたが(相田さん、ごめんなさい)、去年秋の札幌での精神分析学会の分科会でみっちりとお話をお聞きして、すごいちからのあるかただなと驚きました。若手治療者のケース検討会の助言者をされたのですが、お話が的確で正確、かつわかりやすい語りで、本当に勉強になりました。そして、その相田さんの本を読んでみたくなり、今回、本書を読みました。この本もすごい本で、相田さんは正直に飾りなく、さまざまな事柄を率直に語っていらっしゃいます。例によって、印象に残...相田信男『実践・精神分析的精神療法-個人療法そして集団療法』2006・金剛出版-精神科病院での実践に学ぶ

  • 坂本直行『雪原の足あと』1965・茗溪堂-直行さんの画文集を姿勢正しく(?)読む

    2020年春のブログです*坂本直行さんの画文集『雪原の足あと』(1965・茗溪堂)を読む。ふだん読書の時は座椅子に寝っ転がって読んでいるので、大きな本は敬遠気味だが(直行さん、ごめんなさい)、今回は姿勢正しく直行さんの大判の本を読む。直行さんが原野での開墾生活をやめて、画業一本になってからの本で、山歩きの話や開墾生活の思い出が語られ、それに山や花の絵が添えられている。とても贅沢な本で、六花亭の包装紙で有名なきれいな花々や六花の森の売店の絵葉書などでしか見れなかったすばらしい山の絵が、大判の本の中にいっぱいだ。見ていると気持ちがすがすがしくなってくる。こころが疲れた時などには、ぜひ眺めたいと思う。今後は姿勢正しく(?)、直行さんの本を読んでいきたい。(2020.4記)*2024年春の追記です今も直行さんのこ...坂本直行『雪原の足あと』1965・茗溪堂-直行さんの画文集を姿勢正しく(?)読む

  • 中井久夫『精神科治療の覚書』1982・日本評論社-中井さんの名著に細やかさやていねいさを学ぶ

    2024年春のブログです*中井久夫さんの『精神科治療の覚書』(1982・日本評論社)をかなり久しぶりに読む。中井さんの名著なのに、再読がすっかり遅くなった。反省。中井さんが日々の精神科治療で経験されたことをすごく細やかに、ていねいに記されていて、勉強になる。真摯な精神科医はこんなにもいろいろなことを考えて治療をされているのか、と本当に感心させられる。それでいて、そこから患者さん中心の精神医学が立ち上がってくるさまが見えてくるようですごい。例は違うかもしれないが、松田道夫さんの『育児の百科』を思い出す。松田さんも、子どもの症状をていねいに細やかに記して、そこから親ごさんが安心できるような情報を導き出すが、そこがそっくりな印象を受ける。患者さんや家族を大切にする大家は分野が違っても、同じような作業をされている...中井久夫『精神科治療の覚書』1982・日本評論社-中井さんの名著に細やかさやていねいさを学ぶ

  • 喜多由布子『知床の少女』2007・講談社-北のじーじとばーばの知恵に学ぶ

    2020年春のブログです*喜多由布子さんの小説『知床の少女』(2007・講談社)をしばらくぶりに読みました。いい小説です。涙もろいじーじは、終わりのほうは、涙じわーんで読んでしまいました。高校受験に失敗をして、浪人中の女の子が主人公。家庭不和もあって、精神的に余裕がなくなっています。そんな女の子に、札幌に住むじーじが遊びに来ることをすすめます(いいじーじですね)。そして、じーじのはからいで知床で水産工場を営む、さくらばあ、というばーばのところに。そこで、働く人たちとの生活の中で、女の子は本当にだいじなことはなにかを学んでいきます。飾りはないけど、質素で純朴な人たち。厳しいけれど、こころ温かい人々とのやりとりの中で、女の子は都会では見失われている大切なものに気づいていきます。いわば、梨木香歩さんの『西の魔女...喜多由布子『知床の少女』2007・講談社-北のじーじとばーばの知恵に学ぶ

  • ふきのとうを眺めながらの里山カウンセリングは、こころももこもこ元気になります

    こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で,じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや里山カウンセリング,海岸カウンセリング,訪問カウンセリング,メールカウンセリングを新潟市と北海道東川町(夏期)でやっています。また,面会交流の相談・援助もやっています。公園カウンセリングや里山カウンセリング,海岸カウンセリングは,屋外で行なう個人カウンセリングや親子・夫婦の家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,お近くの公園や自然の中で,ゆっくりとご自分やご家族のことなどを考えてみます。料金・時間は1回50分3,000円で,隔週1回,あるいは,月1回などで行ないます。訪問カウンセリングは,屋内で行なう個人カウンセリングや家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,ご自宅やお近くの屋内施設で,じっくりとご自分やご家族...ふきのとうを眺めながらの里山カウンセリングは、こころももこもこ元気になります

  • 河合俊雄「最終講義-発達障害の心理療法と物語の縁起」2023・河合隼雄財団

    2023年春のブログです*河合俊雄さんの「最終講義-発達障害の心理療法と物語の縁起」(2023・河合隼雄財団)のビデオを観る。文字通り、河合さんの京都大学での最終講義。ご自分が大学院生の時に担当をした小学校低学年の発達障害の男の子のプレイセラピーの事例検討を通じて、発達障害の心理療法について論じる。これがすごい。当時のケースを40年後の今の河合さんがコメントをしていくのだが、そのコメントの数と奥深さがすばらしい。じーじは家裁調査官の時に、先輩から、仮説は少なくとも三つ以上持ちなさい、と教わったが、河合さんはケースの仮説を十も二十も提示して、その有効性を検証する。さすがだ。そして、発達障害については、世間的には訓練や教育が有効で、心理療法には否定的な空気がある中で、河合さんは心理療法の有効性を強く示唆する。...河合俊雄「最終講義-発達障害の心理療法と物語の縁起」2023・河合隼雄財団

  • 村上春樹『職業としての小説家』2015・スイッチパブリッシング-小説家としての覚悟を語る+追記です

    2015年のブログです*村上さんの『職業としての小説家』(2015・スイッチパブリッシング)を読みました(なぜかマックス・ウェーバーさんの『職業としての学問』を思い出したのですが,あまり関係はないのかな?)。とても刺激的な本です。小説家としての村上さんの覚悟が述べられていると思います。もちろん,村上さんのことですから,押しつけはしていませんが…。正直に,ご自分の立場,考え,小説の書き方,体の鍛え方(長編小説を書くには体力も大切らしいです)などが述べられています。意外だったのは(意外でもないか?),小説を書き上げると最初に奥さんに読んでもらうということ。よくエッセイなどで,奥さんが怒ってる時には小さくなってやりすごすしかない,などと書いているので心配をしていましたが,なんだ!仲よし夫婦なんですね。よかった,...村上春樹『職業としての小説家』2015・スイッチパブリッシング-小説家としての覚悟を語る+追記です

  • 大滝慶作『歌集・友に贈る歌』2020・喜怒哀楽書房-元家裁調査官の先輩臨床心理士さんが詠んだ歌集です

    2021年春のブログです*大滝慶作さんの『歌集・友に贈る歌』(2020・喜怒哀楽書房)を読みました。とても素敵な歌集です。大滝さんは五つ年上の家裁調査官の先輩。そして、臨床心理士としても先輩です。残念ながら一緒に仕事をしたことはなかったのですが、大滝さんが新潟のご出身なので、お名前は知っておりました。じーじが定年退職後にようやく臨床心理士の資格を取った頃、大滝さんも新潟に戻られ、臨床心理士の勉強会などでお声をかけていただくようになりました。ある日、大滝さんが、短歌なんかに興味ある?といわれ、じーじが、俵万智さんくらいなら…、と答えると、大滝さんがなんとなく恥ずかしそうに、実は歌集を出したんだけど…、といわれて、後日、本書が送られてきました。さっそく読ませていただくと、現代風の短歌がいっぱいで、身近な歌集で...大滝慶作『歌集・友に贈る歌』2020・喜怒哀楽書房-元家裁調査官の先輩臨床心理士さんが詠んだ歌集です

  • 小倉清『子どもの精神科医50年』2012・論創社-その2・ていねいで「熱い」子どもの精神科医に学ぶ

    たぶん2016年ころのブログです*小倉清さんの『子どもの精神科医50年』(2012・論創社)を再読しました。2012年11月のブログでもご紹介させてもらっていますが、かなり久しぶりです。じーじの場合、なぜかいい本は4~5年ごとに読みたくなるようです。前回もふれていますが、とにかく「熱い」です。その「熱さ」は本当にすごいです。熱いことで有名な山中康裕さんもびっくりかもしれません(山中さん、ごめんなさい)。特に、医学生時代の「熱さ」のエピソードは痛快です。こういう情熱があるからこそ、すばらしい実践ができるのかもしれません。今回、勉強になったのは、ひとつは、現場でのやりとりをていねいに検討することの大切さということ。じーじも2カ月に一回、新潟の研究会で事例をていねいに検討させてもらっていますが、ひとつの事例を深...小倉清『子どもの精神科医50年』2012・論創社-その2・ていねいで「熱い」子どもの精神科医に学ぶ

  • じーじ、改名か?ーじーじのじいじ日記・セレクト

    2021年3月のブログです*週末で孫娘たちが遊びにきてくれた。2階のじーじの部屋で下の孫娘とお話をしていると、じーじからのメールを読んだらしく、びっくりの発言。「じーちゃん、『にいがたのじーじ』ののばすきごうの『ー』は、カタカナでしか、つかえないいんだよ。ひらがなではつかえないんだよ」じーじが驚いて、「学校で習ったの?」ときくと、「そうだよ」と教えてくれる。じーじが「すごいな。もう、そんなことを勉強するんだ!」と感心をすると、孫娘はうれしそうにしている。そういわれると、たしかにそうで、じーじは今の1年生は本当にすごいなあ、とあらためて思う。せっかく、下の孫娘が教えてくれたので、これからは、孫娘たちへのメールには、『じーじ』を『じいじ』に変更して、「にいがたのじいじより」と書こうと思う。老いては子にしたがえ...じーじ、改名か?ーじーじのじいじ日記・セレクト

  • 小倉清『子どもの精神科医50年』2012・論創社-その1・子どもへの愛情で「熱い」精神科医に学ぶ

    2012年のブログです*小倉清さんの『子どもの精神科医50年』(2012・論創社)を読みました。小倉さんはじーじの尊敬する幼児児童精神科医で、これまでにもすばらしい本を何冊も出しておられますが、今回の本もすばらしいです今回の本は、小倉さんの人生を回想しながら、幼児児童精神医学を語るという形ですが、とにかく「熱い」です。幼児や児童への愛情がほとばしっています。あえてたとえるなら、本の中にも登場しますが、河合隼雄さんの「熱さ」に共通する「熱さ」、情熱、やりぬく意欲、といったものでしょうか。先駆者としての意欲にあふれた姿が示されていて、感動的です。学問に裏付けられた熱意に触れられて、少し疲れ気味だった自分も少しだけ元気になれました。(2012.11記)*2023年秋の追記です初めて小倉さんのお話をお聞きした日の...小倉清『子どもの精神科医50年』2012・論創社-その1・子どもへの愛情で「熱い」精神科医に学ぶ

  • 佐々木譲『ユニット』2005・文春文庫-DVと犯罪被害者遺族を描く

    2021年3月のブログです*佐々木譲さんの『ユニット』(2005・文春文庫)を読みました。すごく久しぶり。本棚の発掘作業をしていて(?)、偶然、見つけました(佐々木さん、ごめんなさい)。緊張感のある小説で、ハラハラ、ドキドキ、しながら読みました。年寄りの心臓には少し悪い(?)小説です。テーマはDVと犯罪被害者遺族。舞台は北海道。あらすじはあえて書きませんが、DV被害者とDV加害者、それに、妻子を殺された遺族とその犯人らが織りなす人間模様を綿密に描きます。DVの怖さと異常さ、二面性が怖いくらいに描きこまれていますし、殺人事件の遺族のうらみと憎しみ、そして、それからの離脱も描かれます。読んでいると、人間が怖くなると同時に、少しだけ希望も持てるかもしれません。人間はとても弱い存在ですが、案外捨てたもんでもないな...佐々木譲『ユニット』2005・文春文庫-DVと犯罪被害者遺族を描く

  • 岩宮恵子『生きにくい子どもたち-カウンセリング日誌から』2009・岩波現代文庫-ていねいな子どもの心理療法に学ぶ

    たぶん2014年ころのブログです*岩宮恵子さんの『生きにくい子どもたち-カウンセリング日誌から』(2009・岩波現代文庫)を久しぶりに再読しました。文庫本は2009年以来の2回目だと思うのですが、だいぶご無沙汰をしていました(岩宮さん、ごめんなさい)。もっとも、1997年に出た単行本も何回か読んでいるので、この本にはずいぶん勉強をさせてもらっている本です(岩宮さん、ありがとうございます)。本の中では、とても丁寧な心理療法の様子が、たいへんこまやかに描かれていて、すごく参考になります。事例のひとつは、過剰適応の小学男子のケース。チックとおねしょという症状で来談をしますが、箱庭をする中で、自らのこころの無意識の部分をうまく統合して、生き生きとした自分を取り戻します。もうひとつは、拒食症の小学女子のケース。食事...岩宮恵子『生きにくい子どもたち-カウンセリング日誌から』2009・岩波現代文庫-ていねいな子どもの心理療法に学ぶ

  • 樋口有介『11月そして12月』2009・中公文庫-カメラマン志望男子とマラソン女子との切ない恋愛物語です

    2023年3月のブログです*またまた有介ワールドに浸ってしまった。樋口有介『11月そして12月』(2009・中公文庫)。マラソン女子とカメラマン志望の主人公の切ない恋愛物語。青春だなー。しかし、有介さんはうまいな、と思う。文章も物語も…。七十近いじーじが読んでしまうのだから、すごい。じーじもこんな恋愛をしてみたかったなあ、と思ってしまう。「きみに会ってから、毎日練習をしていた」「大人になることを?」どう?この会話。すごいでしょう?二人の出会いからしてとても素敵だが、それは読んでのお楽しみ。物語は、不倫をしていた姉の自殺未遂や父親の浮気発覚などで、家庭内のごたごたに巻き込まれる主人公と、将来を嘱望されていたのに人間関係からマラソンをやめてしまった女の子とのさり気ない恋愛を描く。もっとも、有介ワールドだから、...樋口有介『11月そして12月』2009・中公文庫-カメラマン志望男子とマラソン女子との切ない恋愛物語です

  • 小倉清『子どものこころの世界-あなたのための児童精神科医の臨床ノート』2019・遠見書房

    2019年秋のブログです*小倉清さんの『子どものこころの世界-あなたのための児童精神科医の臨床ノート』(2019・遠見書房)を読みました。本書は小倉さんが1984年に出した『こころのせかい「私」は誰?』を改訂した本で(同書の拙い感想文もブログに書いてありますので、よかったら読んでみてください)、内容がさらにパワーアップしています。もちろん、基本的なところは同じで、本書でも子どものこころの成長を精神分析的な見方をもとにして、とてもていねいに説明されています。現場で長らく診療をされている医師なので、症例が豊富ですし、重要なケースがたくさん出てきて、それをどのように診るか、どのように理解するのか、私のような初学者にはとても勉強になります。例によって、今回、特に印象に残ったことを一つ、二つ。一つめは、防衛機制につ...小倉清『子どものこころの世界-あなたのための児童精神科医の臨床ノート』2019・遠見書房

  • 藤原伊織『ひまわりの祝祭』1997・講談社-ゴッホの「ひまわり」をめぐる哀しくも強い物語

    2021年3月のブログです*藤原伊織さんの『ひまわりの祝祭』(1997・講談社)を久しぶりに読みました。おそらく20何年ぶり(藤原さん、ごめんなさい)。本棚の横に積み上げてあった本の山の中から発掘(?)しました。これがいい小説。おとなの哀しみを描きながら、生きることの多少のよさも描いていて、読んでいて心地よいです。例によって、あらすじはあえて書きませんが、ゴッホの「ひまわり」という絵をめぐる物語。じーじでも、ドキドキ、ハラハラする展開です。登場人物がまたなかなか魅力的。主人公だけでなく、周囲の人たちも魅力的です。そういえば、『海辺のカフカ』のホシノくんのような登場人物も出てきます。少しのユーモアと遊びごごろが、物語の哀しみを救っています。おとなの小説でしょうね。いい小説を再読できて幸せです。(2021.3...藤原伊織『ひまわりの祝祭』1997・講談社-ゴッホの「ひまわり」をめぐる哀しくも強い物語

  • 小倉清『こころのせかい「私」はだれ?』1984・彩古書房-「熱い」子どもの精神科医との出会いを思い出す

    たぶん2011年ころのブログです*小倉清さんの『こころのせかい「私」はだれ?』(1984・彩古書房)をかなり久しぶりに読みました。3回目くらいで、10年ぶりくらいではないでしょうか。1984年の本ですが、その少し前頃、家裁調査官の東京での研修で、たまたま小倉さんの講義をきく機会がありました。それで、感激をして、小倉さんの本をあちこちの本屋さんで探して、ようやく手に入れた記憶があります。小倉さんのことはその当時、じーじはまったく知らなくて(小倉さん、ごめんなさい)、しかも、小倉さんの働く関東中央病院という先進的な精神科病院のこともじーじはまったく知りませんでした。そんな本当に白紙の状態でお話をお聞きしたのですが、その「熱さ」と学問的な裏付けに、思わずうなってしまった記憶があります。また、当時はまだじーじは精...小倉清『こころのせかい「私」はだれ?』1984・彩古書房-「熱い」子どもの精神科医との出会いを思い出す

  • 坂本直行『原野から見た山』2021・ヤマケイ文庫-直行さんの名著が山渓の文庫になりました!

    2021年3月のブログです*坂本直行さんの『原野から見た山』(2021・ヤマケイ文庫)を読みました。単行本は1957年に出版され、1973年に茗溪堂から復刻版が出ていて、これまでじーじはこの復刻版を読んでいたのですが、大きな本でじーじのように寝っ転がって本を読む人間にはなかなか大変でした(直行さん、ごめんなさい)。今度は文庫本ですので、行儀の悪いじーじでも安心です。本は小ぶりになりましたが、印刷がとてもきれいなので、見劣りはしません。素敵な文庫本です。戦前、南十勝の牧場に開拓で入った頃のお話やそこから見た日高山脈のスケッチ、大雪山や斜里岳への山旅、そして、最後の山旅と覚悟しての石狩岳登山などのお話とスケッチなどからなります。当時の大雪山ののどかさはとても素敵ですし、熊を逆におどかして楽しむ直行さんは豪快で...坂本直行『原野から見た山』2021・ヤマケイ文庫-直行さんの名著が山渓の文庫になりました!

  • 藤山直樹『続・精神分析という営み』2010・岩崎学術出版社-その2・「甘え」と秘密をめぐって

    2022年夏のブログです*藤山直樹さんの『続・精神分析という営み』(2010・岩崎学術出版社)を久しぶりに再読しました。今回もいろいろなことが勉強になりました。特に今回、じーじが参考になったことは、「甘え」と秘密の関係と、自由連想についての考察。いずれも鋭いです。秘密の問題については、精神分析でいろいろな方が論じていますが、今回、藤山さんは、「はにかみ」と「甘え」いう現象を取り上げて説明をします。そして、おとなになるためには秘密が必要であり、それが「甘え」や「はにかみ」の世界に包まれるような関係が大切といいます(それで合っていると思うのですが、間違っていたら、ごめんなさい)。一方、自由連想。藤山さんは、自由連想は、単に自由に連想をすること、ではなく、自由に連想をしたことを語ること、に意味があるといいます。...藤山直樹『続・精神分析という営み』2010・岩崎学術出版社-その2・「甘え」と秘密をめぐって

  • 原田マハ『丘の上の賢人-旅屋おかえり』2021・集英社文庫-ちからのあるいい小説です

    2022年3月のブログです*原田マハさんの『丘の上の賢人-旅屋おかえり』(2021・集英社文庫)を読む。小説、作り話とわかっていて読むが、いい物語で、いつの間にか涙がじわーんとなってしまう。じーじはいいかげん枯れはてた年寄りなので、もう水分なんてなくなってしまったかな(?)と思っていたが、不覚にもじわーんと涙が出てきてびっくりする(読んだあと、水分補給をしなければと(?)、あわててビールをたくさん呑んでしまった)。冗談はさておき、いい小説である。例によって、あらすじはあえて書かないが、依頼者にかわって旅をする主人公がすがすがしい。素直で、体当たりの行動が、周りの人々の感情を解きほぐしていく様子がすがすがしい。これは小説だ、こんな都合よくいかないだろう、こんなこと実際には起こるわけないだろう、と思いつつも、...原田マハ『丘の上の賢人-旅屋おかえり』2021・集英社文庫-ちからのあるいい小説です

  • 藤山直樹『続・精神分析という営み』2010・岩崎学術出版社-その1・投影同一化と正直さをめぐって

    たぶん2012年ころのブログです*藤山直樹さんの『続・精神分析という営み』(2010・岩崎学術出版社)を再読しました。この本も何回か読んでいるのですが、じーじの理解不足もあって、リポートをするのがなかなか難しい本で、結局、読んでみてください、いい本ですし、すごい本です、としか言えないような感じもします。しかし、それではブログになりませんので、とりあえず、今回、じーじが印象に残ったことを一つ、二つ、書いてみます。この本の中では、解釈や自由連想、遊び、反復強迫、物語など、精神分析におけるいろいろな技法や現象の問題が論じられているのですが、じーじが一番印象に残ったのは、投影同一化の問題です。投影同一化は精神分析では重要なテーマですが、説明がなかなか難しい現象です。じーじの理解も十分ではありませんが、簡単にいうと...藤山直樹『続・精神分析という営み』2010・岩崎学術出版社-その1・投影同一化と正直さをめぐって

  • 梨木香歩『ぐるりのこと』2010・新潮文庫-内なる悪を見つめながら世界を見るエッセイ

    2021年春のブログです*梨木香歩さんのエッセイ『ぐるりのこと』(2010・新潮文庫)を久しぶりに読みました。10年ぶりくらいでしょうか。小さな本ですが、なかみは重いです。あちこちを旅しながら、梨木さんにはめずらしく、たまに政治にも言及します。ひどい政治や社会を糾弾しますが、その時に自分の中にある同様のひどさをも必ず探る姿がとても印象的です。人は誰でも完全な存在ではないので、自分の内にもあるひどさや悪を見つめなければ、他人の行動をあれこれ非難しても片手落ちです。その往復作業はとても苦しいのですが、とても意味がありそうです。何か、たとえが適切かどうかはわかりませんが、精神分析の作業を思い起こします。精神分析は、患者さんの内なる攻撃性や破壊性を二人で探る作業だと思うからです。内なる攻撃性や破壊性に気づかないと...梨木香歩『ぐるりのこと』2010・新潮文庫-内なる悪を見つめながら世界を見るエッセイ

  • 土居健郎『甘え・病い・信仰』2001・創文社-甘え・うらみ・ねたみについて

    たぶん2016年のブログです*土居健郎さんの『甘え・病い・信仰』(2001・創文社)を再読しました。おそらく10年ぶりくらいだと思います。ずいぶんとご無沙汰してしまいました(土居さん、ごめんなさい)。今回読んでみてよかったのは、「甘え」と「うらみ」と「ねたみ」の関係がとてもよく理解できたことです(今ごろになってわかったのか、とあきれられそうですが…)。「うらみ」はじーじがずっと気になっているテーマの一つなのです。土居さんによれば、「甘え」が十分に満たされないと「うらみ」になるということで、「うらみ」のほかに、「すねる」「ひがむ」「ひねくれる」などという感情も「うらみ」に近いものだ、といいます。そして、これは、「甘え」が満たされない状態ではあるものの、いずれも「甘える」と「甘えられない」ということの間のどこ...土居健郎『甘え・病い・信仰』2001・創文社-甘え・うらみ・ねたみについて

  • いちご大福・女の子・メンデルの法則-じーじのじいじ日記・セレクト

    上の孫娘が8歳、下の孫娘が5歳の時の日記です*連休で孫娘たちが遊びに来てくれた。ふだんはばーばと二人っきりの静かな家の中が急に賑やかになる。今日は近くのイオンに買い物に行ってきたらしく、イオンのおもちゃ売り場の話をしてくれる。3時のおやつの時間、孫娘たちのママ(つまり、じーじとばーばの長女ですね)がおやつを持ってくる。いちご大福!孫娘たちはいちご大福が大好き。黙々と食べる。じつは、いちご大福、孫娘たちのママの大好物でもある。孫娘たちのママが小さい頃、保育園の帰りに近くのスーパーに買い物に寄ると、ふだんはおとなしい孫娘たちのママが、いちご大福!と叫んでいたのをつい昨日のように思い出す。イチゴ大福好き、の遺伝である。メンデルの法則は正解であった、とつくづく思う。科学のすごさ(?)に感心する。こうして、いちご大...いちご大福・女の子・メンデルの法則-じーじのじいじ日記・セレクト

  • 松木邦裕『こころに出会う-臨床精神分析 その学びと学び方』2016・創元社-精神分析に深く学ぶ

    2016年のブログです*松木邦裕さんの『こころに出会う-臨床精神分析その学びと学び方』(2016・創元社)を読みました。松木さんの研究会での講義や学会誌の論文などを集めた本ですが、充実した内容です。総論的な論文もありますが(少し難しいですが、とても勉強になります)、じーじが今回、特に勉強になったのが、「喪失ということ」と「不毛ということ」という文章。いろいろと考えさせられました。このところ、なぜか「対象喪失」のことを考えることが多いのですが(老人になったせいでしょうか)、やはり精神分析の中心テーマの一つだろうと改めて思います。老人だけでなく、若い人や子どもさんであっても、新しい出会いとともに対象喪失が常にあるんだろうなと思います。そうして、うまく対象喪失をしていくこと、さらには、それを周囲からうまく支えて...松木邦裕『こころに出会う-臨床精神分析その学びと学び方』2016・創元社-精神分析に深く学ぶ

  • じーじ、図書館でシルクロード美人ちゃんに囲まれる!ピンチ!-じーじのひとり旅・思い出篇

    2023年の夏休みの思い出です(恐怖のあまり(?)、今頃思い出しました)*事件(?)はまたまた東川町の図書館で起きた。その日、いつもより遅くに図書館に行ったじーじ、ふだんお借りしている一人用の机が満席だったので、しかたなく四人用の机の端っこに小さくなって座る。しばらくすると、じーじの対角線の席にショートカットの美人ちゃんが座る。対角線で離れているので、美人恐怖症のじーじでもなんとか大丈夫(?)。さらに少しすると、その向かいの席(つまりじーじの横ですね)に、半そで、ショートパンツの美人ちゃんが座る。二人は図書館の隣りにある日本語学校の留学生さんらしく、アジア系の美人ちゃん。小さな声でお話をしているが、語学だけは苦手な(?)じーじにはさっぱりわからない。すると、今度は、じーじの向かいの席に、黒髪の美人ちゃんが...じーじ、図書館でシルクロード美人ちゃんに囲まれる!ピンチ!-じーじのひとり旅・思い出篇

  • 藤山直樹『落語の国の精神分析』2012・みすず書房-藤山直樹さん版・精神分析入門を読む

    2016年ころのブログです*藤山直樹さんの『落語の国の精神分析』(2012・みすず書房)を再読しました。2012年に一度読んでブログを書いていますから(すみません、なぜか(?)消えてしまいました)、おそらく今回が2回目の再読です(たぶん?)。実はこの間に1回読んだような気もするのですが、記憶があいまいではっきりしません(藤山さん、ごめんなさい)。しかし、やはりとても面白かったです。そして、いい本です。前回のブログで、「藤山さんの精神分析の概念の説明がとてもすばらしいです。特に、エディプスコンプレックスの説明は、じーじがこれまでにいろいろ読んだり、聞いたりした中で、一番わかりやすい説明だと思いました。ほかの概念の説明も、とてもわかりやすく、しかも、レベルは高い水準をキープしているところがすごいと思いました。...藤山直樹『落語の国の精神分析』2012・みすず書房-藤山直樹さん版・精神分析入門を読む

  • 宮城・福島の津波浸水地域をタントくんと南下しました-じーじの旅・セレクト

    2023年6月のブログです*昨日は宮城と福島の海岸線をタントくんと南下した。宮城と福島の海岸線は岩手とは違って平らなので、高い防潮堤はあまりないが、かなり内陸部まで津波の浸水地域が広がっていて、国道6号線などもあちこちに津波浸水地域という表示がある。そういえば、震災の時に、後輩の調査官が福島の新地という町に出張をしていて、地震にあい、歩いて避難をしているときに、たまたま通りかかった車に乗せてもらって、津波から逃げられて助かったという話を聞いたことがある。新地の被害状況はテレビなどで見ていたので、調査官の仕事も命がけなんだなあと改めて思ったりする。今、宮城や福島の海岸線は、田んぼが新しくなったり、常磐線の沿線が整備されたりしている。距離をかせいで津波を防ごうとしているらしく、高い防潮堤は少ないが、自然を活か...宮城・福島の津波浸水地域をタントくんと南下しました-じーじの旅・セレクト

  • 河合隼雄・中沢新一『仏教が好き!』2003・朝日新聞社-仏教・科学・哲学を考える

    2015年のブログです*河合さんと中沢さんの仏教と臨床心理学に関する対談の本ですが,10年ぶりに再読しました。河合さんはユング心理学を基本に臨床心理学全般を深めたかたですが,晩年は仏教,特に,華厳経にも関心をもたれていたようです。本書はそんな時期の河合さんが宗教学者の中沢さんに仏教全般に関する講義をお願いし,それを臨床心理学の観点から深めたものと言えます。内容は多岐にわたりますが,西洋哲学と仏教,キリスト教と仏教,深層心理学と仏教,医学と仏教,科学と仏教などなど,どれもお二人の真摯な対話が続きます。10年前には読み落としていた点がいっぱいあり,とても刺激になりました。じーじもさらに謙虚になって,もっともっと勉強を深めなければならないと思いました。(2015.6記)*2021年6月の追記です久しぶりに再読を...河合隼雄・中沢新一『仏教が好き!』2003・朝日新聞社-仏教・科学・哲学を考える

  • 復興道路である三陸自動車道をタントくんと走ってみました-じーじの旅・セレクト

    2023年6月上旬のブログです*東北の旅も岩手県北まで来て、今日は折り返し。久慈から南下をした。昨日走った海沿いは、小学校でも習ったリアス式海岸で、海岸線が入り組み、道路もくねくね道だ。しかも、山が海まで迫っているので、隣町に行くには山や峠を越えなければならず、アップダウンが激しい。じーじの華麗なドライビングテクニック(?)をしても、山道の連続は大変で、タントくんもお疲れ気味。ということで、今日は山の中を走る復興道路、三陸自動車道を走る。復興の目玉の一つで、さすがにお金がかかっているらしく、贅沢な造り。制限速度が時速70~80キロの自動車専用道路だ。急ぐ人にはいい道だろう。しかし、なにしろトンネルが多く、長い。海の見えない道に気の長いじーじ(?)でも飽きてしまい、とうとう大船渡で降りてしまい、海沿いの国道...復興道路である三陸自動車道をタントくんと走ってみました-じーじの旅・セレクト

  • 木田元・計見一雄『精神の哲学・肉体の哲学-形而上学的思考から自然的思考へ』2010・講談社

    2015年のブログです*じーじが大好きで尊敬をしている哲学者・木田元さんの対談本『精神の哲学・肉体の哲学-形而上学的思考から自然的思考へ』(2010・講談社)』を読みました。木田さんはハイデガーさんを研究しながら,その著『存在と時間』の未完さを指摘し,従来のいわゆる西洋哲学全般の限界にも論及をして,「反哲学」を唱えた人。ギリシャ哲学からデカルトさんに至る西洋哲学をもっと広い視野から捉えなおした哲学者といえると思います。そして,本書でも紹介をしているニーチェさんやメルロ・ポンティさんなどの西洋哲学を超えようとした哲学者の考えを「肉体」の哲学として捉え,本書の中で紹介し,その本質に迫っていると思います(これで間違っていないと思うのですが…)。これは従来の心身二元論の限界から新しい総体的,総合的な一元論への見直...木田元・計見一雄『精神の哲学・肉体の哲学-形而上学的思考から自然的思考へ』2010・講談社

  • 三陸海岸の防潮堤を眺めながらタントくんと走ってみました-じーじの旅・セレクト

    2023年6月上旬のブログです*今日は宮城県石巻から岩手県久慈まで国道45号線をタントくんと海沿いに北上した。復興道路ができているが、山の中を走っていて、海岸部の街の復興ぶりがよくわからないので、6年前と同じ海沿いの道をチョイスする。南三陸、気仙沼、陸前高田、大船渡、釜石、宮古と、テレビや新聞でおなじみのところを通過をしたが、6年前には工事中だった道が整備され、走りやすくなっている。ただ、タントくんのカーナビちゃんが9年前のもので(?)、新しい道を走ると画面上は野原や山の中だったりして、びっくりする。海岸沿いは巨大な防潮堤が続き、海の見えないところも多い。走っていると津波浸水地域という標識が何度も出てくるが、かなりの内陸部でも出てきて、こんなところまで津波が来たのか!と驚く。津波のちからはすごいと思うし、...三陸海岸の防潮堤を眺めながらタントくんと走ってみました-じーじの旅・セレクト

  • 小此木啓吾『精神分析のおはなし』2016・創元こころ文庫-人と人との関係をていねいに見る視点

    2016年のブログです*小此木啓吾さんの『精神分析のおはなし』(2016・創元こころ文庫)を読みました。単行本は1999年に出ていたらしいのですが、読みそびれていて、今回、文庫本で初めて読ませていただきました。研究会などでの講演をまとめたものですが、人生全般の心理的な課題を、いくつかのテーマに分けて、細かく、ていねいに解説をされています。甘えと自立、対象喪失と喪、さらには、懐かしい、シゾイド人間や自己愛人間のお話なども出てきました。シゾイド人間と自己愛人間が裏表の関係にある、という指摘は、今回、初めて、気がついて、なるほどと思いました。このところ、気になっていた対象喪失と喪の問題もさらに考えることができました。学ぶところの多い本ですが、今回、個人的に一番印象に残ったのは、親が生き残るというテーマ。幼年期や...小此木啓吾『精神分析のおはなし』2016・創元こころ文庫-人と人との関係をていねいに見る視点

  • 東日本大震災の復興状況をタントくんと確かめる旅に出ましたーじーじの旅・セレクト

    2023年6月上旬のブログです*昨日から久しぶりに東北太平洋側への旅に出ている。たぶん6年ぶり。政府が復興予算を防衛費に回すと決めたので、そんなに東北の復興が進んでいるのかどうか、自分の目で見てみようと思った。昨日の朝、新潟を出発、タントくんでとことこと国道49号線を東に進む。郡山でカーナビちゃんが、なぜか三春のほうを指示するので、なにごとにも従順なじーじが(?)それに従うと、しばらくして道路標識には「双葉」の地名が出る。いよいよだと緊張しながら進むと、しばらくして帰還困難地域。人の姿は見えず、民家も道路の入り口から封鎖されてものものしい。まだまだ大変なようだ。車中泊をした道の駅ならはは少し前まで警察の臨時施設に使われていたらしいが、今は再開されていた。温泉もあって、いい道の駅だった。今日は国道6号線をと...東日本大震災の復興状況をタントくんと確かめる旅に出ましたーじーじの旅・セレクト

  • クリストファー・ボラス(館直彦訳)『終わりのない質問-臨床における無意識の作業』2011・誠信書房-自由連想の大切さを学ぶ

    2012年のブログです*ボラスさんの『終わりのない質問-臨床における無意識の作業』(館直彦訳・2011・誠信書房)を読みました。精神分析の初心者のじーじにとってはなかなか難しい本でしたが、著者が精神分析において解釈よりも自由連想を大切にしたいという思いは(それで間違っていないと思っているのですが…)、ひしひしと伝わってきました。これはひよっとすると全く的外れの感想かもしれませんが、じーじなりには、最近の精神分析が解釈よりも「もの想い」を大切にしていることとどこかでつながるのではないかなとも思いました(当たっているといいのですが…)。とはいえ、まだまだ理解できていない面も多いと思います。二度三度と読み込んでいきたい本だと思いました。(2012記)*2018年の追記です久しぶりに再読をしました。なんと6年ぶり...クリストファー・ボラス(館直彦訳)『終わりのない質問-臨床における無意識の作業』2011・誠信書房-自由連想の大切さを学ぶ

  • 再び東日本大震災の原発と津波による被災地を自分の眼で見て考えたこと-じーじの旅・セレクト

    2017年5月のブログです*5月の連休、昨年に続いて、東北3県の沿岸部を車で旅してきました。国道6号線の沿線は、昨年より少しだけ帰還困難地域が減りましたが、しかし、規制解除になった地域でも、入り口がフェンスで閉鎖されているお店もあり、まだまだ大変な様子でした。もちろん、帰還困難地域内は、当然、無人で、犬や猫の姿も見当たりません。その代わりに、獣注意、という看板が目立ちます。動物ではなく、獣(けもの)という表記が、異様な感じです。また、あいかわらず、国道の交差道路には、警備員が通行止めの警戒をしています。盗難防止のためか、福島県警のパトカーも頻繁に行き来をしています。今回も、じーじは国道6号線の沿線しか見ていませんが、国道6号線の西側を中心に大きく広がっている帰還困難地域では、今も大変な状況が広がっているの...再び東日本大震災の原発と津波による被災地を自分の眼で見て考えたこと-じーじの旅・セレクト

  • 中井久夫『「つながり」の精神病理』2011・ちくま学芸文庫-ていねいな精神科治療のお手本に学ぶ

    たぶん2016年ころのブログです*中井久夫さんの『「つながり」の精神病理』(2011・ちくま学芸文庫)を再読しました。単行本の『個人とその家族』(1991・岩崎学術出版社)の時も含めるとたぶん5~6回目だと思いますが、もの忘れのせいか(?)、今回も全く新鮮な気持ち(!)で読めました。読んでいると、ところどころにアンダーラインや付箋の個所に出会うのですが、ほとんど内容を記憶していません。全く新しい本を読んでいるようで、なにか得をした気分のようでしたが、しかし、よく考えると、うれしいような、かなしいような、複雑な気分でした。そんな中で、今回、一番のインパクトがあったところ、それは精神病者の人格についての考察の文章でした。このところ、同じようなことを考えていたので(でも、ひょっとすると、以前、中井さんの本で読ん...中井久夫『「つながり」の精神病理』2011・ちくま学芸文庫-ていねいな精神科治療のお手本に学ぶ

  • 福島の原発事故による帰還困難地域を自分の眼で見て考えたこと-じーじの旅・セレクト

    2016年5月のブログです*5月の連休、少し考えるところがあって、東北3県の沿岸部を車で旅してきました。まずは新潟から国道49号で福島のいわきに、そこから国道6号で北上しました。有名なJビレッジを過ぎてしばらくすると、帰還困難地域の表示。大熊町から双葉町にかけてのおおよそ30キロ弱ほどの地域がそうでした。テレビの報道でだいたいのことはわかったつもりになっていましたが、現地を自分の眼で見ると、その悲惨さは想像を絶していました。国道の両側の商業地域や住宅地域はすべての建物が封鎖をされ、入り口はフェンスで閉鎖されています。もちろん無人で、犬や猫の姿も見当たりません。以前、ここに住んでいた人たちや仕事をしていた人たちの無念さを考えました。また、国道の交差道路には、白い放射能の防護服を着た警備員が通行止めの警戒をし...福島の原発事故による帰還困難地域を自分の眼で見て考えたこと-じーじの旅・セレクト

  • 赤ちゃんをあやしながらの公園カウンセリングは、こころもウーウーにっこりします

    こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で,じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや海岸カウンセリング,里山カウンセリング,訪問カウンセリング,メールカウンセリングを新潟市と北海道東川町(夏期)でやっています。また,面会交流の相談・援助もやっています。公園カウンセリングや海岸カウンセリング,里山カウンセリングは,屋外で行なう個人カウンセリングや親子・夫婦の家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,お近くの公園や自然の中で,ゆっくりとご自分やご家族のことなどを考えてみます。料金・時間は1回50分3,000円で,隔週1回,あるいは,月1回などで行ないます。訪問カウンセリングは,屋内で行なう個人カウンセリングや家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,ご自宅やお近くの屋内施設で,じっくりとご自分やご家族...赤ちゃんをあやしながらの公園カウンセリングは、こころもウーウーにっこりします

  • 下坂幸三『心理療法のひろがり』2007・金剛出版-ていねいな心理面接に学ぶ

    2011年のブログです*このところ、何だか自分の面接がやや雑になっていたような気がして、下坂幸三さんの『精神療法の条件』(1988・金剛出版)や『心理療法の常識』(1998・金剛出版)、『フロイト再読』(2007・金剛出版)、『心理療法のひろがり』(2007・金剛出版)、そして、成田善弘さんの『新訂増補精神療法の第一歩』(2007・金剛出版)などを再読しました。少し修正ができたような感じがしています。やはり時々、振り返りが必要なようです。特に、下坂さんの「家族面接」の技法は参考になります。じーじも同席面接をする時には、下坂さんの技法を真似て実践をしているのですが、まだまだ上手にはできません。しかし、時々、手ごたえのある面接ができることもあるような気がしています。もっともっと面接の質を上げていきたいなと思っ...下坂幸三『心理療法のひろがり』2007・金剛出版-ていねいな心理面接に学ぶ

  • 池澤夏樹『双頭の船』2015・新潮文庫-これまた不思議な、しかし、確たる意思を強く感じる物語です

    2019年夏のブログです*池澤夏樹さんの『双頭の船』(2015・新潮文庫)を読みました。この本も旭川の本屋さんで見つけたもの。4年遅れの読書となりました。おもしろかったです。久しぶりにワクワクしながら読み進めました。不思議な物語です。東日本大震災のあとの東北地方が舞台ですが、おとなの童話のような、しかし、リアルなお話。生きているものと死するもの、記憶と追悼、祈りと希望、そして、土への郷愁。どれが正解ともいえず、正解がいくつもあるであろう人生のひとコマ、ひとコマを描きます。明らかな悪者は出てきませんが、いわゆる民主主義、多数決主義の怖さにも触れます。人の幸せとは、と明示はしませんが、考えるきっかけを提示します。読後感がとてもいいです。なんだか元気の出る、しかし、カラ元気ではない、しっとりと生きていけるように...池澤夏樹『双頭の船』2015・新潮文庫-これまた不思議な、しかし、確たる意思を強く感じる物語です

  • 藤山直樹ほか監修『事例で学ぶアセスメントとマネジメント-こころを考える臨床実践』2014・岩崎学術出版社

    2015年のブログです*藤山さんらが監修をされた『事例で学ぶアセスメントとマネジメント-こころを考える臨床実践』(2014・岩崎学術出版社)を再読しました。やはり勉強になる本です。精神分析的心理療法の初学者がベテラン2名にスーパーヴィジョンを受ける形式ですが,分析的な理解がとてもわかりやすく書かれています。同じ現象をベテランはこんなに深く広く捉えられるんだと感動さえさせられます。毎年参加させてもらっている精神分析学会で,同じ資料から先生がたは本当に多様で幅広く,そして深い理解を示されて唖然とすることが多いのですが,その一端がこの本でも体験できると思います。もっともっと勉強をして,患者さんに役立つ理解を適切な形でうまく伝えられるようになりたいなと思いました。(2015.5記)*2020年3月の追記です久しぶ...藤山直樹ほか監修『事例で学ぶアセスメントとマネジメント-こころを考える臨床実践』2014・岩崎学術出版社

  • 佐伯一麦『日和山-佐伯一麦自選短編集』2014・講談社文芸文庫-真摯に生きること

    2018年秋のブログです*先日、佐伯一麦さんの『空にみずうみ』を読んで、とても良かったので、今度は本棚の隅にあった同じく佐伯さんの『日和山-佐伯一麦自選短編集』(2014・講談社文芸文庫)を再読してみました。4年ぶりの再読です。こちらも良かったです。表題作の「日和山」は東日本大震災からまもなくの仙台を舞台に書かれていますが、地震や津波、停電、断水、原発などの不安に慄きながら生活をする普通の人々を書いていて、秀逸です。しかも、それらの不安の底に、津波で流される人々を目撃してしまったこころの外傷も冷静に描きこまれていて、佐伯さんの問題意識の鋭さを垣間見せます。震災から7年、原発の問題はなかったかのように扱われ、再稼働が横行し、また、今回の地震で停電が大問題になっても、電力会社や政府は責任を取らず、市民に節電を...佐伯一麦『日和山-佐伯一麦自選短編集』2014・講談社文芸文庫-真摯に生きること

  • 黒田章史『治療者と家族のための境界性パーソナリティ障害治療ガイド』2014・岩崎学術出版社

    2015年のブログです*黒田さんの『治療者と家族のための境界性パーソナリティ障害治療ガイド』(2014・岩崎学術出版社)を読みました。いい本です。境界例の治療に詳しい黒田さんの丁寧な実践が紹介されていて,とても参考になります。こまやかで温かく,かつ冷静な黒田さんの面接はすごいと思います。実は,じーじの記憶に間違いがなければ,黒田さんがだいぶ以前に家族療法学会にデビューされた時に,たまたまその発表の場に私もいました。黒田さんが哲学者のヴィトゲンシュタインさんの考えをもとに境界例の患者さんの治療について発表をされ,その丁寧で刺激的な内容にずいぶん感心させられました。そしてその会場にいらっしゃった下坂幸三さんが,いつもは厳しくてとても怖い先生なのですが(下坂さん,ごめんなさい),黒田さんの発表を大絶賛をされたこ...黒田章史『治療者と家族のための境界性パーソナリティ障害治療ガイド』2014・岩崎学術出版社

  • 佐伯一麦『空にみずうみ』2018・中公文庫-震災4年目の日常をていねいに描く

    2018年夏のブログです*佐伯一麦さんの『空にみずうみ』(2018・中公文庫)を読みました。読売新聞夕刊に2014年6月から2015年5月まで連載されたとのことで、震災4年目の日常生活がていねいに描かれます。佐伯さんはじーじより五つ年下の仙台出身の作家さん。じーじは、高校生の夫婦を描いた『ア・ルース・ボーイ』(1994・新潮文庫)を読んでファンになり、以来、寡作な佐伯さんの小説を時々、読んできました。時々、というのは、小説の主人公が仕事のアスベストで健康を害し、生活に苦しみ、離婚を経験するという流れがじーじには少し辛くて、読めない時期もあり、小説の中で主人公が再婚をしたあたりから、少し穏やかな生活になって、その頃のお話から安心をして読めるようになったといういきさつがあるからです。もちろん、本作でも、震災の...佐伯一麦『空にみずうみ』2018・中公文庫-震災4年目の日常をていねいに描く

  • 池澤夏樹『春を恨んだりはしない-震災をめぐって考えたこと』2016・中公文庫-時間の大切さに想う

    2019年夏のブログです*池澤夏樹さんの『春を恨んだりはしない-震災をめぐって考えたこと』(2016・中公文庫)を読みました。これも旭川の本屋さんで見つけました。3年遅れの読書。やはりボーッと過ごしていたなと反省です。2011年9月11日発行の同名の単行本と「東北の土地の精霊」という「考える人」2012年春号(新潮社)に掲載されたエッセイからなります。単行本は震災後6か月での発行で、それまでの短い間の池澤さんの三陸各地の取材とボランティアの経験をもとに、鋭い観点から震災の被害を述べます。当初は情報がわからずに漠然とした不安の中にいた原発事故、その深刻さの判明とともに、将来への不安と、事故を全く反省しない政府と大企業への絶望感がつのります。そして、それ以上に池澤さんの大きな課題が、震災の死者とどのように向き...池澤夏樹『春を恨んだりはしない-震災をめぐって考えたこと』2016・中公文庫-時間の大切さに想う

  • 統合失調症のひろば編集部編『こころの科学・中井久夫の臨床作法』2015・日本評論社

    2016年のブログです*なぜか読みそびれていた雑誌「こころの科学」の特集号『中井久夫の臨床作法』を読みました。精神科デイケアでボランティアをしながら読んでいたのですが、久しぶりに、雑誌を読みながら、笑いそうになったり、涙ぐみそうになったりして、困りました。いい本です。それほど厚い雑誌ではないですし、値段もそれほど高くはないですが(ちなみに値段は1,800円です)、中身がすごいです。中井さんと一緒に仕事をしていた精神科医のみなさん(それぞれのかたがたが今では一流の先生たちです)が中井さんを囲んで行なった座談会と、中井さんの仕事ぶりをよく知る臨床家の先生がたの思い出話、それと中井さんの主要論文の三本立てですが、いずれも読みごたえがあります。特に、じーじは、村瀬嘉代子さんと青木省三さんの思い出話を読んだ時には涙...統合失調症のひろば編集部編『こころの科学・中井久夫の臨床作法』2015・日本評論社

  • 河合隼雄『私が語り伝えたかったこと』2014・河出書房新社-河合隼雄さんの「熱い」思い

    2014年のブログです*河合隼雄さんの最新刊『私が語り伝えたかったこと』(2014・河出書房新社)を読みました。河合さんの晩年のインタビューや講演,論文などを集めた一冊です。一言で感想を述べると,「熱い」です。静かに,穏やかに,また,いつものようにユーモラスに語っていらっしゃいますが,中身はとても「熱い」です。その「熱さ」は熱いことで有名な山中康裕さんよりも「熱い」かもしれません(山中さん,すみません)。もっとも,河合さんは若い時から熱かったと思います。それでないとあんなに臨床心理学に命を懸けられないと思います。河合さんはそれで命を縮められたような気もしています。しかし,男の生き方としては最高なのかもかもしれないとも思います(勝手なことを言って,河合さん,すみません)。河合さんの渾身の語りを受けて,じーじ...河合隼雄『私が語り伝えたかったこと』2014・河出書房新社-河合隼雄さんの「熱い」思い

  • 池澤夏樹『終わりと始まり』2015・朝日文庫-時代を深く読み、ていねいに考える

    2019年夏のブログです*池澤夏樹さんの『終わりと始まり』(2015・朝日文庫)を読みました。この本も旭川の本屋さんで見つけました。2015年の本ですから、4年遅れでの読書です。もともとは「朝日新聞」夕刊に2009年から2013年にかけて連載されたエッセイです。ということは、2011年3月11日の東日本大震災をはさんでの激動の4年間です。しかし、文章は少しも古びていません。むしろ、新しさを増している印象を受けます。本の中で、当初は、普天間基地の問題やアメリカの問題、さらに、水俣病の問題などを論じますが、3・11のあとは当然、原発の問題が中心となります。そして、その後は、次第に原発事故を反省しない政治家や大企業の問題に論点が移り、さらには、そういう政治家を支持する国民のことを考えます。池澤さんの明快な意見に...池澤夏樹『終わりと始まり』2015・朝日文庫-時代を深く読み、ていねいに考える

  • 神田橋條治『精神科講義』2012・創元社-患者さんを大切にする精神科医に学ぶ

    たぶん2017年ころのブログです*神田橋條治さんの『精神科講義』(2012・創元社)を再読しました。神田橋さんは、じーじが若い頃、名著といわれている『精神科診断面接のコツ』(1984・岩崎学術出版社)や『精神療法面接のコツ』(1990・岩崎学術出版社)などという面接技法の本を読ませていただいて、心理療法の勉強をさせていただいたかたで、じーじにとっては、土居健郎さんや河合隼雄さんなどとともに重要な先生です。その神田橋先生の精神科医療についての本で、この本もじーじにとっては中井久夫さんの精神病についての何冊かの本と並んで大切な本です。今回がたぶん3回目の再読ではないかと思うのですが、アンダーラインでにぎやかなだけでなく、付箋があちこちにあって、本がだんだんと膨らんできてしまいました。それでも、今回、初めて気づ...神田橋條治『精神科講義』2012・創元社-患者さんを大切にする精神科医に学ぶ

  • 山秋真『原発をつくらせない人びと-祝島から未来へ』2012・岩波新書-30年間、非暴力で闘う姿に学ぶ

    2017年のブログです*山秋真さんの『原発をつくらせない人びと-祝島から未来へ』(2012・岩波新書)を読みました。すごい本です。2012年に出ていたこの本を今まで知らなかったのが恥ずかしいです。この本も旅先の旭川の本屋さんで見かけて買いました。旭川と原発、あまり関係はないようですが、なぜか、岩波新書のところにこの本が平積みになっていて、本の帯の「30年以上、<非暴力>であらがいつづけて」という文章にひかれて購入しました。同じく、本の帯には「うちら、海を汚さないように、ずっとお願いをしているですよ」とありますが、この本のテーマは、端的に言えば、お金をもらうか、自然を守るか、という問題につきます。原発計画地域の漁民たちが、原発による海の汚染を心配して反対をし、そこに国や県や電力会社などが地域振興を理由に賛成...山秋真『原発をつくらせない人びと-祝島から未来へ』2012・岩波新書-30年間、非暴力で闘う姿に学ぶ

  • ベティ・ジョゼフ(小川豊昭訳)『心的平衡と心的変化』2005・岩崎学術出版社-こころにていねいにより添うこと

    たぶん2016年ころのブログです*イギリスの精神分析家ベティ・ジョゼフさんの『心的平衡と心的変化(2005・岩崎学術出版社)を再読しました。この本も10年ぶりくらいの再読で、今回がようやく2回目です。なかなか難しい内容の本で、10年間の経験で以前よりどれくらい理解が進んだのかな、と思いながら読んだのですが、やっぱりとても難しくて、正直なところ2割くらい理解できているのかな、といった感じですが、あまり自信はありません。こういう本は、精神分析的心理療法をきちんと実践して、スーパーヴィジョンを受けて、少しずつ、ここがそうか、と理解できるようなものなのかもしれません。しかし、初学者のじーじでも、できるところから、わかるところから、少しずつでも勉強をしていきたいと思っています。もっとも、ジョセフさんの本は、症例の紹...ベティ・ジョゼフ(小川豊昭訳)『心的平衡と心的変化』2005・岩崎学術出版社-こころにていねいにより添うこと

  • 2018年3月のTBS「報道特集」震災7年後に初めて泣いた少女、を観て-じーじのじいじ日記・セレクト

    2018年3月の日記です*今、今日のTBSの「報道特集」震災7年後に初めて泣いた少女、を観終えてこれを書いています。震災当日、8歳で父、母、姉を亡くした少女。肉親の死を目のあたりにしても泣けない状態で7年が経過しました。精神分析では悲しみを何らかの理由で十分に悲しめないと躁的防衛になるといわれていますが、まさにそのケースで、やや不自然に明るい状態が続きます。その少女が7年目になって、ようやくお父さんとお母さんに感謝の気持ちを語りかける唄をうたえるようになったところがテレビに映りました。きっかけは夏休みのカナダへの2週間のホームスティ。そこで、自分の家族が震災で亡くなったことを淡々と話した時に、ホストファミリーの人たちがずっと泣き崩れて、彼女もつられて泣いた、と自らいいます。彼女はどうも、家族は自分を探すた...2018年3月のTBS「報道特集」震災7年後に初めて泣いた少女、を観て-じーじのじいじ日記・セレクト

  • 北陸応援割が始まるらしい?また税金からだよね?-じーじのじいじ日記・セレクト

    2024年3月の日記です*北陸応援割が始まるらしい。税金による旅行割引だ。しかし、北陸を応援するなら、自腹を切って応援してほしい。税金による割引で応援をしても、地元の人はあんまりうれしくないのではないか。地域も北陸などと広範囲なことを言わずに、能登半島地震の被災地に限ってほしい。被災地は断水が続き、仮設住宅は十分でなく、復興はこれからだ。被災地の良心的なホテルや旅館には、二次避難の人々も多くいらっしゃるかもしれない。被災者の方々から地震や津波や火災のお話を聞くことは、都会からの応援旅行の人々にもきっと勉強になるはずだ。もし、日程に余裕があるなら、一日くらいはボランティアに参加するのもいい。それが本当の応援だ。税金を使っての応援割で、旅行に行ける人々とそれでも旅行に行けない人々との格差はますます広がってしま...北陸応援割が始まるらしい?また税金からだよね?-じーじのじいじ日記・セレクト

  • 添田孝史『原発と大津波-警告を葬った人々』2014・岩波新書-政府や企業、学者の責任を考える

    2019年秋のブログです*本棚を眺めていたら、添田孝史さんの『原発と大津波-警告を葬った人々』(2014・岩波新書)が目に入りました。先日、東京電力の幹部3人の無罪判決が出たばかりでしたので、興味を持って改めて読んでみました。添田さんは大阪大学の大学院工学研究科を出て、朝日新聞の科学部記者をされていた人。その添田さんが、阪神・淡路大震災の経験から、専門家の話を頭から信用するのは危ないと感じていたところで、東日本大震災の福島第一原発の事故を目の当たりにして、その原因を探ったのが本書です。政府の情報公開の制限に悩みながらも、資料をていねいに検討して、企業や専門家の話を冷静に検証していく姿はすごいです。福島第一原発の爆発事故に対して、豊北電力女川原発は無事でしたが、そこには1611年三陸沖地震の教訓や869年の...添田孝史『原発と大津波-警告を葬った人々』2014・岩波新書-政府や企業、学者の責任を考える

  • 霜山徳爾『素足の心理療法』1989・みすず書房-真摯な臨床への姿勢に学ぶ

    たぶん2015年ころのブログです*霜山徳爾さんの『素足の心理療法』(1989・みすず書房)を再読しました。この本もものすごく久しぶりになってしまい、おそらく10年ぶりくらいです(霜山さん、ごめんなさい)。いい本で、何度も読む価値のある本なのですが…。まったくの勉強不足です。とても中身の重い本ですので、軽々しくは読めない思いで、読むときには姿勢をただして読もうと思っているうちに年月がたってしまいました。今回はボランティアでおじゃまをしている精神科デイケアで、自分の対応を考えながら読みました(メンバーさん、ありがとうございました)。内容は心理療法に大切なことがらを一つ一つていねいに述べられているのですが、いずれもがご自身の実践や体験に裏づけられているので、ひと言ひと言がすごく重いです。例えば、沈黙ということ。...霜山徳爾『素足の心理療法』1989・みすず書房-真摯な臨床への姿勢に学ぶ

  • 小此木啓吾『対象喪失-悲しむということ』1979・中公新書-悲しみをこころから悲しむことの大切さ

    2015年のブログです*小此木さんの『対象喪失』を久しぶりに読みました。たぶん10年ぶりくらいだと思うのですが…。なかなか勉強になりました。最近,「うらみ」やその解消などについて考えていて,ふと「対象喪失」や「喪」の作業との関係に思い当たって読んでみたのですが,当たり!でした。「対象」を喪失するのは人生では当然のことですが,その時に「断念」や「諦め」,「喪」の作業が十分でないと辛いことになりそうです。逆説的ですが,「対象喪失」を時間をかけて十分に「悲しむ」ことが大切になります。きちんと悲しめないと,うらんだり,すねたり,ねたんだりすることになるようです。また,今回,小此木さんが,対象喪失とウィニコットの移行対象との関連を指摘していることに今さらながら初めて気づきました。言われてみればもっともなのですが,さ...小此木啓吾『対象喪失-悲しむということ』1979・中公新書-悲しみをこころから悲しむことの大切さ

  • 小倉清『児童精神科ケース集-小倉清著作集別巻1』2008・岩崎学術出版社-正直さのちからに学ぶ

    たぶん2015年ころのブログです*小倉清さんの『児童精神科ケース集-小倉清著作集別巻1』(2008・岩崎学術出版社)を再読しました。この本もかなり久しぶりの再読になってしまいました。いい本なのにもったいないというか、全くの勉強不足です。内容は11の症例報告と1つの公開ケーススーパーヴィジョンなどですが、やはりいずれも相当に「熱い」です。症例は多少の失敗も含めて、正直にていねいに検討がなされていて、とても参考になります。いい治療者というのは、本当に正直に失敗を含めて報告し、検討をするのだな、と改めて尊敬をさせられます。症例全体を読んで感じたのは、家族との関係がうまくいった症例で予後がいいな、ということ。症例の病理の深さによって仕方がないことだと思うのですが、家族の抵抗に遭い、治療が困難になるケースが多いよう...小倉清『児童精神科ケース集-小倉清著作集別巻1』2008・岩崎学術出版社-正直さのちからに学ぶ

  • 金平茂紀『ロシアより愛をこめて-あれから30年の絶望と希望』2023・集英社文庫

    2023年秋のブログです*金平茂紀さんの『ロシアより愛をこめて-あれから30年の絶望と希望』(2023・集英社文庫)を読む。2023年9月25日発行の新刊(えっへん!)。金平さんは、現在は早稲田大学大学院の客員教授だが、ご存じのように、ほんの少し前までTBS「報道特集」で活躍をされていた(金平さんのさまざまな記者会見の場での質問風景が鋭くてすごいのが今も記憶に新しい)。その金平さんが30年前、1991年3月から1994年6月の間、TBSのモスクワ支局長をしていた時の記録(『ロシアより愛をこめて-モスクワ特派員滞在日誌1991-1994』1995・筑摩書房)に、2022年のロシアのウクライナ侵略直後の現地での記録と、その後のロシア訪問の記録をまとめたもの。これが面白く、かつ、哀しい。30年前のロシアは、ソ連...金平茂紀『ロシアより愛をこめて-あれから30年の絶望と希望』2023・集英社文庫

  • 小倉清『思春期の臨床-小倉清著作集2』2006・岩崎学術出版社-子どもの精神科医のていねいな面接に学ぶ

    たぶん2015年ころのブログです*小倉清さんの『思春期の臨床-小倉清著作集2』(2006・岩崎学術出版社)を再読しました。この本もずいぶん久しぶりで、ところどころにアンダーラインや付箋があったのですが、例のごとく(?)ほとんど覚えておらず、またまた新鮮な気持ちで読ませていただきました。思春期の患者さんに対する小倉さんの思いもとても「熱く」、生半可な気持ちで関わることを戒められている箇所が多くあり、襟をただされる思いでした。また、この本では懐かしい論文に出合うことができました。例によって覚えてはいなかったのですが(?)、まずは「弱い父親-臨床ケースをとおして」という論文。これはずいぶん前に出た『父親の深層』(1984・有斐閣)という論文集に載っていたらしいのですが、まったく気がつきませんでした(小倉さん、ご...小倉清『思春期の臨床-小倉清著作集2』2006・岩崎学術出版社-子どもの精神科医のていねいな面接に学ぶ

  • 金平茂紀『金平茂紀の新・ワジワジ通信』2019・沖縄タイムス社ー「報道特集」より少しだけ過激かもしれません!

    2022年5月のブログです*金平茂紀さんの『金平茂紀の新・ワジワジ通信』(2019・沖縄タイムス社)を読む。金平さんはご存じのかたも多いと思うが、TBSのニュース番組「報道特集」のキャスター。TBSの報道記者として、政府や自治体、大企業などを相手にいつも鋭い質問をされ、恐れを知らないかのようなその姿がすごい。最近では、ベラルーシの大統領やロシアの駐日大使にすごいインタヴューを行なった様子が印象に残る。東大を出てもこんなにすごい人もいるんだ、とびっくりする(東大を出て悪徳政治家や悪徳役人になっている者はともかく、真面目に頑張っているみなさん、ごめんなさい)。その金平さんが、取材で何年も沖縄に通いながら、地元の「沖縄タイムス」に連載したエッセイをまとめたのが本書のシリーズ。続巻の本書は2015年から2018年...金平茂紀『金平茂紀の新・ワジワジ通信』2019・沖縄タイムス社ー「報道特集」より少しだけ過激かもしれません!

  • 小倉清『子どもの臨床-小倉清著作集1』2006・岩崎学術出版社-子どもの精神科医のていねいな面接に学ぶ

    たぶん2015年ころのブログです*小倉清さんの『子どもの臨床-小倉清著作集1』(2006・岩崎学術出版社)を再読しました。この本も前に何回か読んでいますが、今回はたぶん5年ぶりくらいです。いつものことながら(?)、多少の記憶はあったのですが、内容をほとんど忘れていて、時々、アンダ-ラインのところや付箋のところに出合うと、懐かしさを覚えながらも、また新鮮な気持ちになって読ませてもらいました。論文集なので、いつもの「熱い」小倉さんが、それを内に秘めながらも、冷静に論述しているところが印象的です。巻頭論文は精神分析学会の学会賞受賞記念講演の論文。しかし、臨床現場第一主義の小倉さんらしく、ほとんどを事例のお話で通しているところがすごいなと思いました。論文はいずれもていねいな面接風景の描写とそれへの具体的な治療者・...小倉清『子どもの臨床-小倉清著作集1』2006・岩崎学術出版社-子どもの精神科医のていねいな面接に学ぶ

  • 2022年3月5日のTBS「報道特集」ロシアのウクライナ侵略の番組を見て-じーじのじいじ日記・セレクト

    2022年3月6日の日記です*昨日のTBS「報道特集」は、ロシアのウクライナ侵略の特別番組。さすが報道のTBSといわれるだけあって、見ごたえのある、すごく参考になる内容だった。現地ウクライで長期間、取材にあたっている金平キャスターの体当たりの取材。日頃から事件現場の取材を大切にしている金平さんが、自身の命の危険を顧みずに取材を続けている。取材中に空襲警報が鳴り、現地の人々と一緒に金平さんやカメラマンも地下壕に避難、なんとそこでも金平さんは取材を敢行する。すごい記者魂だ。頭が下がる。おとなたちが口々にプーチンを非難する中で、防空壕の白い壁でお絵かきをしているウクライナの子どもたち。中には戦車の絵をかく子どももいて、胸が痛む。金平さんも含めて、何度も何度も防空壕に避難する姿が映され、おとなですら疲弊している様...2022年3月5日のTBS「報道特集」ロシアのウクライナ侵略の番組を見て-じーじのじいじ日記・セレクト

  • 河合隼雄『カウンセリングの実際』2009・岩波現代文庫-河合隼雄さんのカウンセリングに学ぶ

    2011年のブログです*河合隼雄さんの『カウンセリングの実際』(2009・岩波現代文庫)を再読しました。引越しのドサクサなどで原本の『カウンセリングの実際問題』(1970年・誠信書房)が行方不明となっていましたが、文庫本で再読できました。この本は、娘が大学生の時、カウンセリングのレポートの参考文献に図書館から借りてきて、なかなかいいセンスをしているなと感心をしたことがありました(その娘も結婚し、孫が生まれ、今ではじーじはじいじと呼ばれています)。前置きが長くなりましたが、今読んでもとてもいい本です。息子さんの河合俊雄さんが解説で書いておられますが、若い時の河合さんの体当たりのカウンセリングの詳細がわかりますし(ここまでするのかという驚きもあります)、受容するためには理解しなければならないという言葉など、最...河合隼雄『カウンセリングの実際』2009・岩波現代文庫-河合隼雄さんのカウンセリングに学ぶ

  • ウクライナ・ロシア・人々のちから(その2)-じーじのじいじ日記・セレクト

    2022年3月3日の日記です*毎日、ウクライナのニュースを胸が張り裂けそうな思いをしながら見ている。その中でロシア軍に占領された地域の人々が、ロシア兵に、ロシアは帰れ!と強く抗議をしている場面が映った。ウクライナの普通のおじちゃんやおばちゃんが、武器を持たずに、ロシアの戦車の前に座ったり、寝転んだりして、抵抗している。下手をしたら、銃で撃ち殺されたり、戦車でひき殺されたりする危険もあるのに、すごい勇気だな、と驚嘆する。じーじだったら、できるかどうか、わからない。武力による侵略に、武力で抵抗する手段は、自衛権の発動や正当防衛として仕方ないのだろうが、一方で、占領された地域や武器を持たない庶民の場合には、武器を持たずに非暴力で抵抗をするという手段もあるかと思う。インドの独立運動を闘ったガンジーを思い出す。ニュ...ウクライナ・ロシア・人々のちから(その2)-じーじのじいじ日記・セレクト

  • お雛さまを眺めながらの訪問カウンセリングは、こころもみやびに美しくなります

    こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で,じーじ臨床心理士が訪問カウンセリングや公園カウンセリング,海岸カウンセリング,里山カウンセリング,メールカウンセリングを新潟市と北海道東川町(夏期)でやっています。また,面会交流の相談・援助もやっています。訪問カウンセリングは,屋内で行なう個人カウンセリングや親子・夫婦の家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,ご自宅やお近くの屋内施設で,じっくりとご自分やご家族のことなどを考えてみます。料金・時間は1回50分3,000円で,隔週1回,あるいは,月1回などで行ないます。公園カウンセリングや海岸カウンセリング,里山カウンセリングは,屋外で行なう個人カウンセリングや家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,お近くの公園や自然の中で,ゆっくりとご自分やご家族...お雛さまを眺めながらの訪問カウンセリングは、こころもみやびに美しくなります

  • 田中千穂子『母と子のこころの相談室』2009・山王出版-こまやかで丁寧な母子面接に学ぶ

    2013年のブログです*今年は新潟も大雪で、しばらく冬眠をしていました(冬眠をするなんて、クマさんのようですね)。ようやく目覚めました。転勤の荷物整理の中で、田中千穂子さんの『母と子のこころの相談室』を再読しました。とてもよかったです。このすごさは読んでみなくてはわからないだろうなと思います。じーじが今回、読んでいて特にすごいなと思ったのは、プレイセラピーの時に砂をかけてきた子どもに対して、田中さんが、砂かけばばあが来た!、と言って、砂をかけられるという困難な事態の時に、それを砂かけばばあごっこという遊びにしたという事例。美人の田中さんでも時にはばばあ(?)になるんだと妙に感心をしてしまいました。また、じーじも尊敬をしている精神分析の藤山直樹さんの論文からの引用がたくさんあることに改めて気づき、これも大き...田中千穂子『母と子のこころの相談室』2009・山王出版-こまやかで丁寧な母子面接に学ぶ

  • 娘と孫娘たちをつなぐシルバニアのお人形とシルバニアのお家(うち)-ひな祭りの日に

    今日はひな祭り、しかし、なぜかじーじのブログにはひな祭りの文章が見当たらないので、孫娘たちが大好きなシルバニアファミリーについてのブログで勘弁してもらいます。2015年にそんなブログを書かせてもらったことがありましたので、再録します。*たまに4歳と1歳になる孫娘たちがうちに遊びに来ると,二人でいろんな遊びをしています。積み木や風船,シャボン玉,お絵かき…といった具合で,1歳の孫娘もおねえちゃんに負けじと一所懸命に遊んでいます。そんな中で二人の孫娘たちに人気の遊びがシルバニアファミリー。二人とも夢中で遊ぶことが多いです。うちのシルバニアファミリーの人形さんたちは,私の娘(つまり孫娘たちのママですね)が子どものときに遊んでいた約30年前のもの。それが今も大活躍をしています。まさにシルバニアの「ちから」です。シ...娘と孫娘たちをつなぐシルバニアのお人形とシルバニアのお家(うち)-ひな祭りの日に

  • 下坂幸三・飯田眞編『家族療法ケース研究5・うつ病』1993・金剛出版-ていねいな家族療法に学ぶ

    2020年3月のブログです*下坂幸三さんと飯田眞さん編集の『家族療法ケース研究5・うつ病』(1993・金剛出版)を久しぶりに読みました。家族療法学会にはしばらく顔を出していませんので、なんとなく疎遠になった感じですが、しかし、実はじーじの面接は、50歳前後のしばらくの間、家族療法の勉強の中で鍛えられた感じがします。面接の逐語録をそのまま報告書に書いて、調停委員さんには評判が良かったのですが、裁判官からは、もう少し短く書いてくださいね、と注文をつけられたりしました(裁判官さん、ごめんなさい)。その後は、精神分析的な面接が中心になっていますが、母子面接などの家族面接も大切だと考えていて、その重要さは変わりません。今回、うつ病の家族療法を再読して、懐かしさとともに、新たに考えるところが多々ありました。例によって...下坂幸三・飯田眞編『家族療法ケース研究5・うつ病』1993・金剛出版-ていねいな家族療法に学ぶ

  • 八木義徳『北風の言葉』1980・北洋社-どさんこ作家の文学的自伝エッセイを読む

    2020年3月のブログです*北海道室蘭市出身の作家八木義徳さんのエッセイ集『北風の言葉』(1980・北洋社)を久しぶりに読みました。だいぶ前に北海道の古本屋さんで買って読んだはずなのですが、中身をほとんど忘れていて、今回、本棚の隅に見つけたので手にしました。いい本です。文章が美しいというか、端正というか、読んでいて心地よくなる本です。北海道を旅した紀行文や随筆、そして、文学的自伝からなりますが、じーじはこの文学的自伝に圧倒されました。もともと、「北海道新聞」に1971年に連載されたものらしいですが、すごい迫力です(当時、じーじは高校生で旭川でうろうろしていたはずですが、当然、読んでいませんでした。八木さん、ごめんなさい)。室蘭時代の思い出、北大時代の文学への目覚め、左翼運動と転向、早稲田大学での同人誌修行...八木義徳『北風の言葉』1980・北洋社-どさんこ作家の文学的自伝エッセイを読む

  • 成田善弘『新訂増補・精神療法の第一歩』2007・金剛出版-成田さんの名著を再読する

    2022年3月のブログです*精神科医で精神療法家の成田善弘さんの『新訂増補・精神療法の第一歩』(2007・金剛出版)を再読する。これもかなり久しぶり(成田さん、ごめんなさい)。しかも、感想文は初めて、たぶん(?)。成田さんのデビュー作である『精神科選書・精神療法の第一歩』(1981・診療新社)の改訂版だが、ご自分の文章への反省と思索がとても鋭く、びっくりしてしまう。大家はみなそうだが、本当にすごいと思う。今回の再読は、じーじの最近の研究テーマ(?)の一つである、わからないことに耐えること、について、成田さんが何か書いていないかな?と探索することだったが、やはりあった。「すぐには答の出ないのがあたりまえなのだと思って、問を問のままに、多義的な可能性を孕んだままにしておこう。すぐに結論を出さず、曖昧なことを曖...成田善弘『新訂増補・精神療法の第一歩』2007・金剛出版-成田さんの名著を再読する

  • 『海明け』・八木義徳さん・戦争の悲惨さ・軍隊のむごさ-じーじのじいじ日記・セレクト

    2020年3月の日記です*どさんこ作家の八木義徳さんの小説『海明け』(1978・河出書房新社)を読む。旧制中学4年生の主人公らの、昭和3年から昭和20年までの人生が描かれる。画家や海軍軍人ら、その人生は様々だが、皆が真摯に生きる点は一緒だ。しかし、敗戦となり、海軍で部下を特攻隊長として見送った主人公の後輩は家族とともにピストルで自決する。4歳の女の子と1歳の男の子が死んだ場面では、涙が出た。戦争は悲惨だ。軍隊もむごい。挿し絵の風間完さん(五木寛之さんの『青春の門』の挿し絵を描いたかた)の絵がすがすがしかったのに救われた思いがする。(2020.3記)*2022年10月の追記ですこのブログを書いたころ、世界のあちこちで戦争のきな臭さは感じつつも、まさかロシアがウクライナを侵略するとは、想像もできなかった。ロシ...『海明け』・八木義徳さん・戦争の悲惨さ・軍隊のむごさ-じーじのじいじ日記・セレクト

  • 藤山直樹『集中講義・精神分析(上)』2008・岩崎学術出版社-上智大学の学生さんと精神分析を学ぶ

    たぶん2016年ころのブログです*藤山直樹さんの『集中講義・精神分析(上)』(2008・岩崎学術出版社)を再読しました。なぜか下巻の感想は2011年に書いているのですが、上巻の感想は初めてです。おそらく3回目の勉強だと思うのですが、3種類の付箋とたくさんのアンダーラインで本の中がとてもにぎやかになってしまいました。藤山さんの本は、読めば読むほど勉強になるところが多くて、いつも刺激的に読めます。ましてや、フロイトさんが相手ですから、こちらの経験に応じて、読みも深まってくるのだろうと思います。本書は藤山さんの上智大学での2006年の講義が元になっていますが、レベルはかなり高いと思います。こういう講義が学べる上智大学の学生さんがちょっとうらやましくなりました。さて、今回、印象に残ったことを二つ、三つ書きます。一...藤山直樹『集中講義・精神分析(上)』2008・岩崎学術出版社-上智大学の学生さんと精神分析を学ぶ

  • 立松和平『魂の置き場所』2007・柏艪舎-立松和平さん・知床・ヒグマくん

    2015年のブログです*何かいい本はないかな,と本棚を眺めていたら,黄緑色の背表紙が目にとまりました。見てみると,黄色のキタキツネの絵,和平さんの知床のエッセイ集でした。2007年の本なので,8年ぶりです。和平さんは仕事で知床に友人ができ,山荘を購入したという人。ずいぶん知床に惚れこんでいたことがわかります。うらやましい!もっとも,学生時代に,利尻や知床を貧乏旅行していたようですから,素質はあったのかもしれません。クマやシカ,サケ,そして道産子についてのお話は興味深いです。特に,クマと人間が共存をしているというルシャの番屋のお話はなんど読んでもびっくりします。じーじもふるさと北海道をさらに再発見していきたいなと思いました。(2015.7記)*2022年5月のブログです先日、残念なことに知床で観光船の事故が...立松和平『魂の置き場所』2007・柏艪舎-立松和平さん・知床・ヒグマくん

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