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2015/01/11

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  • パペッティア・004『最強線に乗って首都へ』

    パペッティア004『最強線に乗って首都へ』晋三ああ、腹減ったあ……ポツリと呟いた一言は、やっぱりたくましいんだろうけど、なんだかカックンだ。新埼玉に着くと、乗り継ぎの発車刻表を一睨みする夏子。「よし、余裕だ!」ホームの階段を二段飛ばしで降りると、駅構内のファストフードに駆け込んだ。「特盛一つ!つゆだくで!お茶じゃなくてお水!」出てきた牛丼に紅ショウガと七味をドッチャリかけると、100人いたら一番の可愛さをかなぐり捨ててかっ込み始めた。「ゲフ……お代置いときますね!」グラスの水をグビグビ飲み干すと、夏子は首都方面行きのホームに駆けあがっていった。首都は、あの大戦の後に『新東京』としてつくられたが、あくまで日本の首都は東京であるという声が多く寄せられ、あくまで便宜上の仮のものであるという気持ちで、普通名詞の―...パペッティア・004『最強線に乗って首都へ』

  • RE・乃木坂学院高校演劇部物語・101『撮影本番』

    RE.乃木坂学院高校演劇部物語101『撮影本番』自衛隊に似ている。監督から声が掛かるまでは、キャストもスタッフもてんでバラバラな感じなんだけど、みんななにかしら打ち合わせや準備をしている。リラックスはしてるけど無駄話したり、ボーっとしてる者はいない。機材の調整や確認をする照明や音響さん。キャストのメイク手直しするメイクさん。寒いわけでは無いんだけど、軽くジャンプしたり揺すったりしているキャスト。タブレット見ながらストップウォッチ見てるのはタイムキーパーかな。「開始」監督さんが一声発すると、それまでの各々の作業や準備を止めて、特にバミってあるわけでもないのに、それぞれのポジションにつく。変な力みも狎れた緩みも無い。そういう自然体でキビキビしてるとこが、印象として自衛隊。乃木坂の演劇部も似たような感じだったけ...RE・乃木坂学院高校演劇部物語・101『撮影本番』

  • せやさかい・385『ちょっと寂しい日曜の夜』

    せやさかい・385『ちょっと寂しい日曜の夜』さくらお風呂入りに部屋を出たばっかりの留美ちゃんが戻ってきた。またパンツ間違えた?同じ部屋で寝起きしてるうちらやけど、衣類は別々に仕舞ってる。制服とかは同じ真理愛学院のやし、別々の収納。それ以外は、一つのタンスを引き出しに『さくら』『留美』と書いて共用。入れる引き出しが別々やから、出し入れで間違うことはあれへん。せやけどね、取り込んだ洗濯物を分ける時に、時どき間違う。下着なんかには『S』と『R』とのイニシャル入れたあるねんけど、時どき間違う(^_^;)。うちは間違うてもかめへんねんけど、じっさい二度ほど間違うて「アハハ、留美ちゃんの穿いてたあ(´艸`)」で済むねんけど、留美ちゃんは気にする。詩(ことは)ちゃんに言うと「留美ちゃんの方が普通だよ」とか「いつまでも小...せやさかい・385『ちょっと寂しい日曜の夜』

  • RE・乃木坂学院高校演劇部物語・100『その日がやってきた!』

    RE.乃木坂学院高校演劇部物語100『その日がやってきた!』いよいよロケの日がやってきた。ロケ現場は荒川の堤防と河川敷。自転車を連ねて堤防に登ったら、早咲きの菜の花の中にロケバスが来ていて、ADさんやスタッフの人たちが忙しそうに動き回っていた。梅の蕾も、まだ硬い二月の末日だけれど、まるで春の体験版のような暖かさだった。はるかちゃんは、まだロケバスの中なんだろう、姿が見えない。そのかわりロケバスや、撮影機材が珍しいのか、乃木坂さんがチョロチョロ。わたしたちに気づいても知らん顔。やがて、一段下の土手道を黒塗りのセダンが登ってきた。「あ、あの運転手さん、西田さんだわよ!」夏鈴が手を振ると――おお、戦友――って感じで、西田さんが手を振り返してくれる。五十メートルほど手前の土手道で車が停まると、運転席から西田さん。...RE・乃木坂学院高校演劇部物語・100『その日がやってきた!』

  • くノ一その一今のうち・37『甲斐善光寺・2・戒壇巡り』

    くノ一その一今のうち38『甲斐善光寺・2・戒壇巡り』あ、そうか。年配の人が多い香炉堂で、線香の煙にまみれて気が付いた。いつもの通りまあやの付き人のつもりでいたから、夕べはいつも通りシャンプーをしてきた。お寺では目立つ匂いだ。じっさい、香炉堂には十人近いお年寄りや観光客がお線香の煙を浴びたり刷り込んだりしている。自然な流れの中でニオイ消しをさせる課長代理、いや三村紘一はなかなかだ。「やっぱり、頭にかけたら賢くなるかなあ……ここんとこ、スランプで筆が進まないからねえ」「えい!」「ワップ、顔にかけるとは嫌味な奴だ。トワ!」「ああ、やめてくださいよぉ、髪がクシャクシャになるしぃ!」ほどよくじゃれると、香炉堂のお年寄りたちも――若い者はいいのう(^▽^)――と微笑んでいる。「金堂の中に戒壇巡りがある」「階段巡り?」...くノ一その一今のうち・37『甲斐善光寺・2・戒壇巡り』

  • RE・乃木坂学院高校演劇部物語・99『よ! 乃木坂屋! 日本一!』

    RE.乃木坂学院高校演劇部物語99『よ!乃木坂屋!日本一!』稽古は順調に進んでいったよ。なんたって、乃木坂さんが堂々と演出してくれている。それまでは、里沙や夏鈴の目を気にしたり、古文みたいなメモを読解しなくちゃならなくって、とっても不便だったんだもんね。平台は一日一個作ることに決めた。なぜかというと、ちょうど最後の一個を作った明くる日が、はるかちゃんのロケになってキリがいい。そう、みんなで見に行くことに決めたんだ(^▽^)!乃木坂さんは、浅草の軽演劇や歌舞伎なんかにくわしくって、型をつけてくれる。最初の口上のところなんか、大向こうから、かけ声をかけてもらうことになった。最初は顧問の柚木先生に頼んだだけど、乃木坂さんがイマイチな顔をしている。そして、なんとなんと、理事長先生が聞き及んで、理事長先生自身がやっ...RE・乃木坂学院高校演劇部物語・99『よ!乃木坂屋!日本一!』

  • RE・乃木坂学院高校演劇部物語・98『ビデオチャット』

    RE.乃木坂学院高校演劇部物語98『ビデオチャット』その夜、はるかちゃんとビデオチャット。主に自衛隊の体験入隊の話で、ウフフとアハハだったんだけど、話が一区切りついたとこで、はるかちゃんが切り出した。「月末の土日に例のCMのロケに行くの。荒川でよく紙ヒコーキ飛ばしてたあたり。時間があったら、家の方にも寄るんだけど、こういうのって団体行動だから、よかったら現場に来てよ」「行く行く。お仲間みんな連れてっちゃうから。で、どんな役者さんが来るのよ?」「堀西真希さんとか……」「え、いま売り出し中の!?」「うん。彼女がメイン。で、高橋誠司……」「ゲ、あのおじさん!?」「知ってんの?」わたしは(思い出したくもない)コンクールのいきさつを説明した。はるかちゃんは大笑い。「アハハハ……それから、上野百合……この人も新人さん...RE・乃木坂学院高校演劇部物語・98『ビデオチャット』

  • 鳴かぬなら 信長転生記 105『茶姫 信長のクラスに入る』

    鳴かぬなら信長転生記105『茶姫信長のクラスに入る』茶姫「みんな、お早う。今朝は、まず転校生を紹介するところからね。入ってちょうだい」先生の言葉はたった三秒で終わって、手招きされる。入り口を入って、教室のみんなに尻を向けないようにしてドアを閉め、前を向いて一礼。カクカクと音がしている、先生が見かけによらない力強い筆致で――曹茶姫――と書いてくれた。「じゃ、簡単に自己紹介してちょうだい」教壇に上がってさらに一礼、ほんの四寸あまりの教壇なのだが、新参者が高いところから挨拶すると言うのは面映ゆい。三国志では、新参者が壇と名のつく高みに登って挨拶するなどあり得ないことだ。七つの歳で、公的に初謁見する時、兄の曹操は三跪九拝の礼をわたしに強いた。ほんの昨日までは「兄上、負けたのだからお馬さんになりなさい!」と双六の罰...鳴かぬなら信長転生記105『茶姫信長のクラスに入る』

  • RE・乃木坂学院高校演劇部物語・97『発覚!』

    RE.乃木坂学院高校演劇部物語97『発覚!』「……じつはね、何を隠そう、僕は幽霊なんだよ」乃木坂さんが、もったいつけて言っても二人はキョトンとしていた。「いや……だからね(^_^;)」乃木坂さんが、壁をすり抜けても。「「オオ~(゚O゚)!」」奥の手で、周りを一瞬で春にしちゃっても。「「ウワア~(*'▽'*)!」」いちおう驚くんだけども、幽霊さんに対する礼を欠いているというか、完全にミーハー。なんだか、マジックショーのノリになってしまった。「喜んでくれるのは嬉しいけども、なんかねぇ……(´-﹏-;)」乃木坂さんは、頭をかいた。「カッワイ~(*^o^*)!」と、夏鈴。「これで稽古中の、まどかの不信な言動のわけが分かった(T-T)」と、納得の里沙。「そうだ、トラックから材木降ろさなきゃ。乃木坂さん手伝って!」わ...RE・乃木坂学院高校演劇部物語・97『発覚!』

  • せやさかい・384『あ、あれ……涙が溢れてきた』

    せやさかい・384『あ、あれ……涙が溢れてきた』頼子もし、ヤマセンブルグの王位継承者になんか生まれなかったら。寒さが続くせいか、ジッとしていると、そんなことを考えてしまう。英語のテスト、十分で終わって五分で見直して、三十五分も余ってしまった。答案用紙を裏がえし、神妙にしていると、つい考えてしまう。最初は思い出して、危うく思い出し笑いをしてしまうところだった。思い出したのは、さくらが送ってきた写真。春アニメのモデルに東京の江戸川アニメに呼ばれたさくら。宗武監督の春アニメ『犬が西向きゃ尾は東』の主人公がさくらのイメージにぴったりだから、真鈴が引っ張って行って見本にされた。画鋲を買いにいかされ「押しピンください」と大阪弁をかます。さくらは不器用な子で標準語では会話できないし、できないことを屁とも思っていない。そ...せやさかい・384『あ、あれ……涙が溢れてきた』

  • 銀河太平記・143『人事を尽くして……』

    銀河太平記・143『人事を尽くして……』一度ならず二度までも!漢明は洛陽号を自爆させて西之島のせいにした。それに飽き足らず、こんどは輸送船を自爆させよった!むろん、漢明艦隊は大慌てを装い、黒煙を吐く輸送船を囲みながら、はるか沖合まで避難した。漢明艦隊は一切の報復攻撃も挑発行動もしてこなかった。漢明艦隊はあくまでも洛陽号爆発の真相を探るために来た調査船と、その護衛であるという姿勢を崩さなかった。その代わり、第二軍区の即応師団が暴発したように見せかけて機動艦隊五隻を発向させた。「ご丁寧に、即応師団の暴発という形をとってるよ」「でしょうね、指鉄砲で輸送船が爆発するわけありませんから」それでも、及川市長はなだめるように右手をポケットに突っ込み、左手首のハンベに語り掛ける。「直ぐに戻ります、おそらく空港に敵が強行着...銀河太平記・143『人事を尽くして……』

  • RE・乃木坂学院高校演劇部物語・96『昼から学校に行った』

    RE.乃木坂学院高校演劇部物語96『昼から学校に行った』薮先生に話すと元気が出て、昼から学校に行った。生活指導室で入室許可書をもらうと、市民派の先生に嫌みを言われた。「自衛隊の体験入隊なんかに行くからだ……な、なんだよ(;゚゚)」わたしは、恐い顔で先生を睨みつけていることに気がついた。教室に行くと、さんざ冷やかされた。インフルエンザを除いて無遅刻無欠席のわたしが欠席の連絡。それが、午後から元気に登校したものだから、恋煩いが一転オトコの心をゲットしたとか、親が危篤だったのが一転良くなったとか、自衛隊で食べ過ぎてお腹痛になったのが出すモノ出したら元気になった(これは夏鈴がたてたウワサ)とかね。「まどか、今日から道具作りやるよ!」里沙が、鼻を膨らませて言った。「え……『IWANTYOU』に道具なんか無いでしょ?...RE・乃木坂学院高校演劇部物語・96『昼から学校に行った』

  • 巡(めぐり)型落ち魔法少女の通学日記・004『橋を渡る』

    巡(めぐり)型落ち魔法少女の通学日記004『橋を渡る』一歩踏み込むと、周囲の景色が無くなって、今渡っている戻り橋と、左右に伸びている寿川の流れが見えるだけだ。VRゲームのチュートリアルみたいだ。R3のスティックを押し込むと、リングが現れて、そこにジャンプできるみたいな。リングは現れないし、手にリモコン持ってるわけじゃないので、そのまま歩く。ゴーーーーーーすごい勢いで川が流れる。ちょっとビビる。ダムが全力で放流してる、その真上を歩いてるみたいだ。それに、川の流れが逆だ。川下から川上に流れている…………そうか、これは時間が逆廻しになってるってエフェクトなんだ。エフェクトならビビることはない。渡り切ると橋は消えて、コンクリのところにGのしるしがあるのを確認して、川沿いを南に進む。道は令和のころと大きな違いはない...巡(めぐり)型落ち魔法少女の通学日記・004『橋を渡る』

  • せやさかい・383『exactly(イグザクトリー)』

    せやさかい・383『exactly(イグザクトリー)』頼子殿下、よいのですか?わたしと同じ制服のソフィーが、トーストに塗ろうとしたバターナイフの手を停めた。睨めっこしていたスマホをなにも操作することなく食卓に置いたからだ。ソフィーに隠し立ては出来ない。スマホを置くというささいな動作で、全てを知られてしまう。「知ってしまったら、ただでは済まないでしょ、あの子たち」ガリ少々焦がし過ぎのトーストが、ちょっと大げさな音をさせる。クフフそんなささいなことで、笑えそうになるのは、自分の中に、まだ中学以来の少女が棲んでいるからだろう。ガサツなさくらなら、パンくずを噴き出して爆笑していたかもしれない。それが、同じ制服着たソフィーはニコリともしないで、中断したバター塗りを再開する。「今日の試験科目はなんですか?」了解したよ...せやさかい・383『exactly(イグザクトリー)』

  • RE・乃木坂学院高校演劇部物語・95『思い切りブットイ注射をされた』

    RE.乃木坂学院高校演劇部物語95『思い切りブットイ注射をされた』学校に欠席連絡を入れた。ひいじいちゃんの忌引きで休んで以来。あ、それと例のインフルエンザ。コンクールの明くる日だって、乃木坂をダッシュして間に合ったんだ。とりあえず、十一時ぐらいまで横になった。ようやく起きあがれるようになったので、薮医院に行った。いつもなら歩いても十分とかからないんだけど、二十分近くかかってしまった。「さっき、忠友が来たとこだぜ」「え、忠クンも……?」「ああ、とりあえず点滴してやったら、少しは元気になって帰っていったけど、学校は休めと言っておいた」「忠クンも、わたしみたいに……?」「見かけはな。しかし、あれは精神的なもんだ。体験入隊で自分の想いと現実のギャップを思い知ったんだろうなあ……それに、不寝番やらされて何かあったみ...RE・乃木坂学院高校演劇部物語・95『思い切りブットイ注射をされた』

  • パペッティア・003『出発』

    パペッティア003『出発』晋三俺は、この二年間仏壇の中にいる。つまり、二年前に死んじまって仏さんになっちまった。死んでからの名前は釋善実(しゃくぜんじつ)という。仏さんなのだからお線香をあげてもらわなきゃならないんだけど、妹の夏子は水しかあげてくれない。「だって、家がお線香くさくなるんだもん」ということらしい。こないだまでは「火の用心」とか「水は命の根源」とか言ってたがな。その夏子がお線香をたててくれた。「ナマンダブ、ナマンダブ……じゃ、行こっか」そう言うと過去帳の形をした俺を制服の胸ポケットに捻じ込んだ。ちょ、ちょ、夏子…………!ガキの頃は別として、妹にこんなに密着したことはない。いま、俺は三枚ほどの布きれを隔てて妹の胸に密着している。生きていたころは、ちょっと指が触れただけでも「痴漢!変態!変質者!」...パペッティア・003『出発』

  • くノ一その一今のうち・37『甲斐善光寺・1・はいかぶせ姫』

    くノ一その一今のうち37『甲斐善光寺・1・はいかぶせ姫』変だとは思わないか?ズサ!反射的に飛び退って懐の手裏剣に手を伸ばしてしまった。「すまん、そう言う意味じゃなくてさ、この善光寺の佇まいを見て、なにか変に思わないか?」声の響きで、課長代理は脚本家三村紘一として話しているのだと察して、丹田の力を抜く。「あ……えと……ちょっと古びてはいますけど美しいですね。銅板屋根の緑青、柱や垂木の朱色、壁の白、大きさの割に柱が華奢で女性的な感じも……」いや、物言いは三村紘一だけど、聞いている内容は忍者の頭としてだ。頭を切り替える。「甲斐の国の総鎮守としての貫禄は十分ですが、寺を取り巻く塀がありません。戦乱や星霜の中で部分的に失われることはあるでしょうが、この甲斐善光寺は、山門の両脇にさえ塀がありません。礎石すらありません...くノ一その一今のうち・37『甲斐善光寺・1・はいかぶせ姫』

  • RE・乃木坂学院高校演劇部物語・94『帰ってきた』

    RE.乃木坂学院高校演劇部物語94『帰ってきた』横丁を曲がるまで心配だった。何かって……決まってるじゃん。あれよ、あれ、ジジババのコスプレ。顔から火の出る思い。で、尻に帆かけて……って慣用句で合ってたっけ。文才のあるはるかちゃんなら、こんな時でもぴったしの表現が浮かぶんだろうけど、ラノベ程度のものっきゃ読まないもんだから……でも、はるかちゃんに教わってシェ-クスピアの四大悲劇とか、チェーホフの何本かは読んだけど、後が続かない。これも根気がない江戸っ子の習い性。ええい、ままよ三度笠横ちょに被り……これ、おじいちゃんがよくお風呂で唸ってる浪曲じゃんよ!とにかく、めちゃ恥ずかしかった。また、あのコスプレで出迎えられてはかなわない(≧Д≦)!横丁を曲がると、そこは雪国だった……なんか間違ってるよね。でも、いつもの...RE・乃木坂学院高校演劇部物語・94『帰ってきた』

  • 鳴かぬなら 信長転生記 104『茶姫の制服』

    鳴かぬなら信長転生記104『茶姫の制服』市突然の茶姫の亡命に扶桑は大慌てだった!そういう印象が扶桑国内にも、三国志の国々にも広まった。双ヶ岡に軍勢を並べたのも、扶桑が大慌てしたための非常呼集だと思われた。その上で、扶桑の緊急動員の凄さも三国志に見せつけてもいる。念の入ったことに、茶姫の歓迎会も、ドタバタと二転三転して、未だに行われていない。大々的な歓迎晩さん会であっても、一見質素な茶席のそれであっても、段取りよくやってしまえば――扶桑はかねてから茶姫の亡命を計っていた――ということになって、いたずらに三国志を刺激してしまう。さすがだよね。「そんな風にお見通しというのは可愛くないかもよ~(^_^;)」あっちゃんが頭を掻く。「あんたが、鎧を選ぶのに手間をとらせたのも、そういうことだったんでしょ!」「いやいや、...鳴かぬなら信長転生記104『茶姫の制服』

  • パペッティア・002『そんな妹は俺より一つ年上だ』

    パペッティア002『そんな妹は俺より一つ年上だ』晋三妹は俺より一歳年上だ。名前は舵夏子、都立神楽坂高校の二年生。兄である俺が言うのもなんだけど、可愛い奴だ。そこらへんで女子高生を百人ほど集めたら一番か二番に入るくらいの可愛さだ。百人と言うところがミソだ。この程度の可愛さなら学年で二三人、全校生なら五六人は居る。昔の渋谷や原宿を歩いていたら掃いて捨てるほど……ではないけど、五分も突っ立っていればお目にかかれる。身長:165cm体重:48㎏3サイズ:82/54/81なかなかのスタイルだと思うけど、そのルックスと同じくらいの確率で世の中には存在している女の子だ。「お兄ちゃん、いよいよだよ!」ち、近い……けど、仕方ないか。夏子は、三十センチという至近距離に迫って俺に誓う。兄妹の仲なのにオカシイ……ま、勘弁してやっ...パペッティア・002『そんな妹は俺より一つ年上だ』

  • RE・乃木坂学院高校演劇部物語・93『解隊式』

    RE.乃木坂学院高校演劇部物語93『解隊式』乃木坂さんの「手助け」もあって、わたしの班は二等賞!企業グル-プのみなさんは、お気の毒に又も腕立て伏せ(^_^;)。教官の皆さんは拍手してくださったけど、例の教官ドノはいささか首をひねっておられた。どう見てもか弱い女子高生四人(「マリちゃん」はにせ者だけど)が、現役の自衛隊員並の時間で、教則通り……ってか、昔の日本陸軍式の壕を掘ったんだから。得意技の女子高生歓喜(ウソー!マジ!ヤダー!キャハハ!)でゴマカシて昼食。昼食は、なんと炊事車がやってきた!二トンぐらいのトラックなんだけど、荷台のところに、二百人分一度に作れるというキッチンセットが入ってんの。荷台の壁をはね上げると、そのまま庇になって、荷台の下からは二十人分の食卓と椅子が出てくるという優れもの。メニューは...RE・乃木坂学院高校演劇部物語・93『解隊式』

  • 銀河太平記・142『及川市長のチックショー!!』

    銀河太平記・142『及川市長のチックショー!!』チックショー!!バン!!!ヒ(;゚Д゚)!何年かぶりの怨嗟の言葉を吐いて、及川市長はデスクを叩いた。総務省から研修にやってきていた新人たちが飛び上がる。「君たちも心がけておきたまえ、こうやって地方は切り捨てられる!」そう言うと、モニターのスイッチを切った手で防災服の上着を掴み、災害対策室のドアを荒々しく開けて出て行った。災害対策室に詰めていた各部局長には、それぞれの部局に戻ってやれることをまとめてこいと指示を出してある。遅かれ早かれ、島は戦闘に巻き込まれる。島の沖合には数十隻の漢明艦隊が集結している。日本政府は領海外であることと漢明が敵対姿勢(砲やミサイルを指向させたり、射撃管制レーダーを指向させたり、哨戒機を飛ばしたり)をとっていないことを理由に遺憾の意を...銀河太平記・142『及川市長のチックショー!!』

  • RE・乃木坂学院高校演劇部物語・92『演習場』

    RE.乃木坂学院高校演劇部物語92『演習場』この日は、トラックに乗って演習場に行った。西田さんのとちがって七十三式大トラ。新型らしいけど乗り心地は西田さんのクラッシックな方がいい。ドライバーのテクニックかなあ……なんて思っていたら、いつの間にか一般道に出ていた。後ろから、ノーズが凹んだポルシェがついてきている。――よくやるよ。おまえら、何が悲しくって自衛隊なんかやってんだ――てな顔したアベックが乗っていた。――お、自衛隊にもカワイイ子いるじゃん――なんて、思ったんだろう、女の子に携帯でボコられてやんの。でも、二人ともニヤツイテ感じわる~。一番後ろに座ってた西田さんが、ヘルメットを脱いで、ポルシェに向かってニターっと笑った。とたんにポルシェは運転がグニャグニャになり、ガードレールに左の横っ腹を思い切りこすっ...RE・乃木坂学院高校演劇部物語・92『演習場』

  • 滅鬼の刃・28『元日の新聞』

    滅鬼の刃エッセーラノベ28『元日の新聞』元日の新聞を一文字も読むことなく古紙回収に出してしまいました。幼稚園の頃には、ろくに文字を読めないにもかかわらず読んでいました……いや、眺めていたというのが正しいでしょうか。ヘッドラインの文字の面白さや、写真の面白さ、四コマ漫画、風刺漫画、広告の新鮮なデザインなどを子ども心に楽しく眺めていました。くしゃ~み三回ルル三錠♪風邪薬のフレーズは、テレビが来る前に新聞の広告で知っていました。そうそう、夕刊だったと思うのですが、連載小説も面白かったですねえ。うちは、ほとんど産経新聞でした。おかげで、朝日や毎日の色には染まらずにすみました。むろん、子どもが新聞の銘柄を選ぶわけはなく。大正生まれの両親の都合です。当時は、産経が他紙よりも安かったのが理由でしょう。あ、連載小説です。...滅鬼の刃・28『元日の新聞』

  • パペッティア・001『』

    パペッティア001『バイト最後の日』ダン!ダダン!ダダダン!ダン!あちゃ~~~(=°д°=)やってしまった。一段だけ飛び降りて、次の瓦礫にジャンプしようと思ったら、勢いで5メートルは下りてしまった。このテラスのようになっている瓦礫を器用にジャンプしたら、時間を稼げると思った。稼げると言っても、ほんの十秒かそこいらなんだけどね。「ナッツぅ、だいじょうぶぅ……?」崖の上から気遣いの声。今日でお別れのバイトモの幸子。最後だからって途中まで付いてきた。幸子の配達区域は一つ手前の送電鉄塔跡のとこで曲がらなきゃいけない。それを遠回りして付いてきたのは、第一に友情。第二は、幸子にとってはバイトは小遣い稼ぎ。稼いだ分が全部自分のお金になるという気楽さ。ちょっとしたお嬢さんなんだけど、鼻に掛けたりしない。それどころか、バイ...パペッティア・001『』

  • 巡(めぐり)型落ち魔法少女の通学日記・003『ええ! 1970年!?』

    巡(めぐり)型落ち魔法少女の通学日記003『ええ!1970年!?』しまった!杖を振ろ下ろしたお祖母ちゃんは、目と口をまん丸にして固まった。「ええ!1970年!?」わたしも、お祖母ちゃんの倍ほど目を丸くして固まってしまう。旧制服ということだけが条件だったから、数年遡るだけで十分。それが、仮想インタフェイスに出た年代は半世紀以上も昔の1970年・昭和45年!お母さんでさえ生まれていない大昔だよ!どうするぅ?「ま……これでいいよ」気軽に返事したのは、時間遡行魔法というのはずいぶんと力を使うから。最近血圧と血糖値高めのお祖母ちゃんに無理は言えない。それに「十年くらい前がいいかなあ(^_^;)」なんて注文を付けたのはわたしだ。一二年前くらいだったら、学校とかご近所の知り合いがいる。まあ、亜世界だから、全て同じ人間じ...巡(めぐり)型落ち魔法少女の通学日記・003『ええ!1970年!?』

  • RE・乃木坂学院高校演劇部物語・91『十二名の犠牲者』

    RE.乃木坂学院高校演劇部物語91『十二名の犠牲者』障害走路場の前で西田さんは棒立ちになってしまった。十数人の兵士が障害物走をしている気配がする。しかし、降り積もった雪にはその痕跡はない。かけ声とリズムが、今の自衛隊のそれとは微妙に違う……これは、西田さんが若い日、入隊したばかりのころ教官だった旧軍時代からの叩き上げの人達のそれであったらしい。西田さんは、黙って直立不動の姿勢をとり、静かに敬礼をした。ピリピリピリピリ!急に警笛(ホイッスル)が鳴り響いた。一人でいるのに耐えられなくなった忠クンがやってきて、あまりの怖ろしさに警笛を吹いてしまったのだ。直ぐに、本職の不寝番や、当直の警務隊の人たちがやってきた。「これは……」「どうしたことだ……」みな、懐中電灯で、あちこち照らしてみるが降りしきる雪の中光は遠くま...RE・乃木坂学院高校演劇部物語・91『十二名の犠牲者』

  • せやさかい・382『週刊朝日休刊の話題』

    せやさかい・382『週刊朝日休刊の話題』さくらハ~~~~お祖父ちゃんがため息ついた。なんちゅうか、すでに穴の開いてた風船の口が開いて、盛大な割には勢いのない空気が漏れたような。「どないしたん、お祖父ちゃん?」風呂上がりなんで、頭をガシガシ拭きながらお祖父ちゃんの向かいに座る。「週刊朝日が無くなんねんて……」そう言いながら、うちの後ろを顎でしゃくる。振り返るとテレビがユーチューブのモードになってて――「週刊朝日」5月末で休刊――というハッシュタグ。「え、朝日て、週刊になってたん!?」うちは、休刊の文字よりも週刊いう単語にショック!年々発行部数が減って経営が苦しいとネットで言われてた朝日新聞、うちは、お寺やけど、珍しいことに朝日新聞はとってない。まあ、新聞なんて読まへんけどね。それでも、朝日が大新聞とかクオリ...せやさかい・382『週刊朝日休刊の話題』

  • くノ一その一今のうち・36『初代だからこそ』

    くノ一その一今のうち36『初代だからこそ』あ、三村先生!?服部課長代理と他人の距離を空けてお茶を飲んでいると監督が飛んできた。「あ、見つかっちゃった(^_^;)」白々しく頭を掻く課長代理。「来られるんでしたら車を用意しましたのに」「あ、いやいや、気まぐれですから」「え、ソノッチもいっしょだったの?」「え、いえ、自分はお茶を買いに来ただけで……」「こちら『吠えよ剣』の脚本を書いていただいてる三村紘一先生だよ。すみません、まだ新人なもので。まあやの付き人の風間そのです。ごあいさつ!」「え!?」ほんとうにビックリした!なんで課長代理が脚本家!?理由は課長代理の車の助手席で聞いた。なんで、みんなと別行動になったかと言うと、課長代理、いや脚本家の三村紘一が「甲府の周辺を見ておきたいので、助手を貸してもらえませんか?...くノ一その一今のうち・36『初代だからこそ』

  • RE・乃木坂学院高校演劇部物語・90『二直目の不寝番』

    RE.乃木坂学院高校演劇部物語90『二直目の不寝番』日夕点呼(ニッセキテンコと読みます。ムズ!)わたし達の部屋は、たった三人なので見ればすぐに分かるんだけど、そこは自衛隊。部屋の真ん中に、三人並んで、名前を呼ばれる。「仲まどか隊員!」「はい!」てな感じです。夏鈴が、声がナヨってしてるんで叱られる「声が小さい、もう一度。南夏鈴隊員!」「は……はひ(>Д<)!」夏鈴は叱られたことよりも(夏鈴は学校で叱られ慣れています)叱る大空さんの変貌ぶりに驚いてる。やっぱ本職、勤務と休憩時間じゃ百八十度切り替えている。――ハハハ、昔ならビンタがとんでくるとこだよ――乃木坂さんが、面白そうに笑っている。隣りの部屋で、忠クンが同じように叱られてる。忠クンは、思いと現実のギャップに若干のショックを受けているみたい。それから、明日...RE・乃木坂学院高校演劇部物語・90『二直目の不寝番』

  • RE・乃木坂学院高校演劇部物語・89『教官ドノの企み』

    RE.乃木坂学院高校演劇部物語89『教官ドノの企み』夕食は、うな重定食をいただいて(おいしかった!)入浴。入浴中の描写はカット。だって、クリスマスの入浴じゃひと悶着あったしね(46『雪の三丁目』)ただ、「マリちゃん」の板に付いた女子高生らしさと、いっしょに入ってくれた大空さんのプロポーションがチョーイケテたとだけ申し上げておきます。「大空助教、カラーガードのDVD見せてください」入浴後、里沙の一言で、DVDの鑑賞会になった。「ワーーーーーガチイケテル、カッコイイ(≧∇≦)!」いつもながら、女子高生の感嘆詞は簡単であります。でも簡単な分だけ気持ちは伝わっているみたいで、大空助教は嬉しそう。で、後ろに座っていた男のみなさんも嬉しそう。ミニスカート、チアリ-ディングのミリタリー風のコスに、お揃いの旗を持って、『...RE・乃木坂学院高校演劇部物語・89『教官ドノの企み』

  • 鳴かぬなら 信長転生記 103『時間よ停まれ! 君は美しい!』

    鳴かぬなら信長転生記103『時間よ停まれ!君は美しい!』織部根っから染みついた武士ならば腹を切るところかもしれない。なんせ、助けたはずのわたしが馬の尻に乗って、手綱は救出されたはずの茶姫が握っていたんだからな。「替わってくれ、わたしの方が速い!」追手の気配を感じて、直ぐに茶姫は言った。「心得た!」わたしは左に、茶姫は右に体を寄せて二呼吸するほどの間は二人で手綱を握った。セイ!次の瞬間、掛け声と共に茶姫は左足を垂直に跳ね上げ、わたしを跨いで馬の鞍に収まった。その刹那に目の前に屹立した美脚には震えがきた!時間よ停まれ!君は美しい!キュッと内側に握られた爪先は、脚を屹立させるには理にかなった形なのだが、それは女が絶頂した時のそれと同じだ。甲は浅く土踏まず美麗にくびれ、足首もそれに倣い、ふくらはぎと太ももの線の豊...鳴かぬなら信長転生記103『時間よ停まれ!君は美しい!』

  • RE・乃木坂学院高校演劇部物語・88『障害走路』

    RE.乃木坂学院高校演劇部物語88『障害走路』え……(゜Д゜)!?同じテーブルにいた隊員の人達がいっせいに西田さんに注目した。「自分は、北海道の機甲科におりましてなぁ。ある時、アメさんと共同訓練になりました。その日は、対空射撃訓練……機甲科じゃ珍しいことなんですけどね。幹部の偉いさんのそのまた上で決まったらしい」「高射特科じゃないんですよね?」大空さんの質問は、タヨリナ三人組にはチンプンカンプン。「六一式の車長をやっておりました。イントルーダーが吹き流しの標的を引っ張って飛んでくるんですがね……むろん最初は普通にやっとりました。車載機銃で吹き流しを撃つんでですわ」「車載機銃で当たるものなんですか?」「あのころは、自動追尾なんかありませんので、目視でやっとりました。みんな良い腕をしとりましたよ。八割方は当た...RE・乃木坂学院高校演劇部物語・88『障害走路』

  • 銀河太平記・141『漢明艦隊現る!』

    銀河太平記・141『漢明艦隊現る!』お岩氷室神社の前を過ぎると男どものざわめきが聞こえた。潮騒に紛れて言葉まではわからないが、空気は剣呑だ。「ちょっと、通しとくれ!」隙間を縫って前に出る、出たつもりなんだけど、力余って押しのけちまったんだろう、文句やら悲鳴が上がる。うわ!グホ!てめえ!なにすんだ!ウギャ!ノワア!拳をあげる奴もいるけど、食堂のお岩だと気づくと、たいていの奴は口をつぐむ。新参者二人ほど無意識に蹴倒して「グホッ!」「ゲボ!」とカエルみたいな声をあげて視界から消える。――ごめん――と心で謝って、前に出る。ウワアアア!男以上の声が出てしまった。南の海上には、三十隻を超える漢明の艦隊が溢れていた。戦艦・3空母・2巡洋艦・4強襲揚陸艦・2他に駆逐艦、輸送艦、病院船や工作艦まで出張っていやがる。「まるで...銀河太平記・141『漢明艦隊現る!』

  • RE・乃木坂学院高校演劇部物語・87『我らが助教大空真央』

    RE.乃木坂学院高校演劇部物語87『我らが助教大空真央』突き当たりの部屋は、稽古場にしている談話室ぐらいの大きさがあって、なんだか健康診断の時のように机と椅子が並んでいた……実際、血圧と問診の健康診断。それから、制服が配られた。大空さんは一瞬でわたし達の体格を見極め、ピッタリのを渡してくれた。「では、これから誓約書に署名捺印をしてもらいます。未成年の人は保護者の承諾書を提出してください」中隊長さんが言った……え……マリ先生が承諾書を出してる!夏鈴が吹きだしかけて、中隊長さんに睨まれた。「では、それぞれの部屋に戻って、着替え。十五分後に先ほどの営庭に集合。かかれ!」で、着替えて入り口のところに行くと。わたし達のはあったけど、企業グループさん達の靴が一つもない。一瞬先を越されたかと思ったら、少し遅れてやってき...RE・乃木坂学院高校演劇部物語・87『我らが助教大空真央』

  • RE・乃木坂学院高校演劇部物語・86『時間厳守!』

    RE.乃木坂学院高校演劇部物語86『時間厳守!』「では、発車します」と自衛隊のおじさんが言うまでの五分間の間にマリ先生は秘密を話してくれた。マリ先生は木崎産業の社長のお嬢さん。で、会長のお孫さん。でもって、先生自体は会社を継ぐ気などサラサラなくって、好きなように生きてるってこと。残りは、動き出したトラックの荷台の向かい合わせになった席で聞かされた。正直驚いたけど、これも先生なりのピリオドの打ち方なんだと理解した。これも乃木坂さんの影響かなあ……と、心の中でくり返してみた。「え、これ自衛隊のトラックじゃないんですか!?」「オレも驚いたよ」と、峰岸先輩も応えた。これがスットボケであると分かるのは、この長い物語が終わってからのことなんだけど、この時は「地下鉄の駅を降りたら、このトラックに出くわし乗せてもらった」...RE・乃木坂学院高校演劇部物語・86『時間厳守!』

  • 巡(めぐり)型落ち魔法少女の通学日記・002『いっそ、昔の宮の森に通う?』

    巡(めぐり)型落ち魔法少女の通学日記002『いっそ、昔の宮の森に通う?』空は晴れても心は闇だぁ……古いお芝居の台詞だったかが浮かんでくる。桜はまだまだだけど、ゾロゾロと流れにのって出てきた講堂の外、植え込みの梅は嫌味なくらいに紅白の花をつけてるし、空は益々晴れてるし。グシャ下足を入れていたレジ袋が風にあおられて飛んできて、不可抗力で踏んでしまう。「失礼します」場内係りの女生徒さんが、そのレジ袋を拾ってくれる。他にも二三人の女生徒さん、憧れの旧制服姿で甲斐甲斐しく合格者と保護者の案内やら下足袋の回収やら。後ろのドアからは男子の旧制服たちが入って行って後始末にかかっている。あら?見かけと好奇心だけはわたし以上に若いお祖母ちゃんが人だかりに気付く。合格者と保護者が「へえ」とか「ほー」とか言ってる。物見高いお祖母...巡(めぐり)型落ち魔法少女の通学日記・002『いっそ、昔の宮の森に通う?』

  • RE・乃木坂学院高校演劇部物語・85『体験入隊の日がやってきた』

    RE.乃木坂学院高校演劇部物語85『体験入隊の日がやってきた』そうこうしているうちに体験入隊の日がやってきた。埼玉と東京にまたがるA駐屯地だったので、どこかの駅前に集合かと思ったら、三日前に峰岸先輩からメールが来た。――当日は、午前八時半、学校裏門前集合。服装は学校指定のジャージ。携帯品は自由だけど、駐屯地に入ったら使えないから少なめがいいよ――で、当日。こういうことにはダンドリのいいわたしは六時に起きて茶の間に降りた。で、びっくりした。おじいちゃんとおばあちゃんがテレビの天気予報を見ながら待っていた。「なに、そのカッコウ?」「国民服だい!」胸を張ったおじいちゃんの横に、セーラー服にモンペ姿。二人とも頭にキリリと日の丸の鉢巻き。「あ、それ、わたしの中学のときの制服!」「やっぱ、出征のお見送りは、これでなく...RE・乃木坂学院高校演劇部物語・85『体験入隊の日がやってきた』

  • せやさかい・381『三寒四温にはまだ早い』

    せやさかい・381『三寒四温にはまだ早い』さくらサンカンシオンなんかなあ……食後のお茶を飲みながらお祖父ちゃんが呟く。プ(*´艸`)伯母ちゃんが口を押える。「まだふた月は早いですよ、お義父さん。お茶淹れ変えましょうか?」「せやなあ、さくらは?」「あ、うちがやるよ、おばちゃん」「いいわよ、お祖父ちゃんの相手してあげて」伯母ちゃんは、二つとも湯呑を持ってキッチンへ。気ぃついてないお祖父ちゃんが空気を掴む。「あれ?」「伯母ちゃんが淹れかえてる。お祖父ちゃん返事してたやないの」「あ、せやったか?」このシチュエーション、慣れてへんかったら――いよいよボケが始まった!?――と思う。「お祖母ちゃんが逝ったんは、こんな日ぃやったんやろ?」「せや、さぶいのが苦手やったさかい、ちょこっと温くなった雨の朝に逝きよった……」うち...せやさかい・381『三寒四温にはまだ早い』

  • RE・乃木坂学院高校演劇部物語・84『稽古は暗礁に乗り上げていた』

    RE.乃木坂学院高校演劇部物語84『稽古は暗礁に乗り上げていた』「……さん」わたしたちには語尾しか聞こえなかったけど、マリ先生には全部聞こえたみたい。「だれ……関根さんて?」「あ……それは」マリ先生に聞かれてとぼけるのはむつかしい。潤香先輩も例外じゃない。「……姉の元カレです。夢の中に出てきた人が……顔は見えないけど、そんな感じだったんです。わたしにも実の妹のように接してくださって……姉には内緒にしておいてください。姉には、大きなトラウマなんです」「分かったわ……そういうことだったんだ」「え……」潤香先輩をシカトして、先生は命じた。「いまのことは口外無用。潤香も含めて……いいわね」はい……四人が声をそろえて返事をした。稽古は暗礁に乗り上げていた(-_-;)。最初の口上もそうだけど、歌舞伎や狂言的な表現には...RE・乃木坂学院高校演劇部物語・84『稽古は暗礁に乗り上げていた』

  • くノ一その一今のうち・35『まあやの独笑(๑˃▽˂๑)』

    くノ一その一今のうち35『まあやの独笑(๑˃▽˂๑)』お休みとれたら行こうね!両手を胸の前でグーにしてマナジリをあげるまあや。このポーズは『吠えよ剣』でよくやるポーズだ。てっきり演技かと思っていたら、どうやらまあや自身の癖のようで、おかしい(*´艸`)。「なにがおかしいのよ!?」「ごめんごめん、まあやって、さな子のまんまなんだなって」「ああ……それも落ち込むぅ」「なんで?」「だって、まあやは地のままやってるだけってことでしょ」「いいじゃない。地のままって言っても、ちゃんと演じられてるよ」「そーかなあ」「そうだよ、事件とかが解決して、みんなで笑うってところから始まるシーンあるでしょ」「あ、うん。お決まりの大団円。ファンの人たちは、あのシーンになると安心するんだって」「最初見た時はビックリしたよ。キューが出て...くノ一その一今のうち・35『まあやの独笑(๑˃▽˂๑)』

  • RE・乃木坂学院高校演劇部物語・83『潤香先輩回復!』

    RE.乃木坂学院高校演劇部物語83『潤香先輩回復!』それまでは心に刺さったトゲのように見えていた。それが今日は、晴れがましい記念碑のように青空を背に立っている。それってのはスカイツリーのこと。潤香先輩の病室から、いつも見えてんの。そのスカイツリーを窓枠を額縁の絵のような背景にして……ウフフ。ジャーン!潤香先輩の笑顔がありました!!お見舞いに行く途中、地下鉄、駅横の宝くじ売り場の前で着メロが鳴った。『今!たった今!潤香の意識がもどったのよ!』普段は、明るくても、大人の落ち着きを崩すことなく話す紀香お姉さんが、まるで入試に受かった中学生みたいにはしゃいだ声で言った。「やったー!」「やった、やったあ!」「ウキー!」三人は、はしゃぎまくり。宝くじを買おうとしていたオジサンが誤解した。「そうか、当たったんか。おネエ...RE・乃木坂学院高校演劇部物語・83『潤香先輩回復!』

  • 鳴かぬなら 信長転生記 102『双ヶ岡に待ち構える』

    鳴かぬなら信長転生記102『双ヶ岡に待ち構える』信長丘に駆けあがると、すでに信信コンビは南を向いて轡を並べていた。取り巻きたちも、よく訓練されていて、丘の中央には孫子と毘沙門の旗印が翩翻と翻っている。「遅れた分だけ、良い戦支度ではあるな」「大山祇神社大宮司(おおやまづみじんじゃだいぐうじ)の息女・鶴姫の鎧ね、素敵よ」褒め殺すつもりか、その手にはのらんぞ。「敵の規模は?」「まだ見えん」「情報はリュドミラからだ、さすがは二宮忠八の紙飛行機、敵の動きよりも数倍早い」「早く飛び過ぎたのか、迷彩柄に窯変していたわ」見ると、一人だけ旧陸軍の軍装で緊張している忠八。学園の生徒たちは、乙女生徒会長を先頭に丘の下で鶴翼の陣を布いている。軍装はまちまちだが、統制はとれている。ん?謙信の背後の茂みに気配がしたかと思うと源義経が...鳴かぬなら信長転生記102『双ヶ岡に待ち構える』

  • RE・乃木坂学院高校演劇部物語・82『幽霊さんの生き甲斐』

    RE.乃木坂学院高校演劇部物語82『幽霊さんの生き甲斐』「なんだい?」「……潤香先輩のこと助けたの、乃木坂さんじゃないの!?」ただの閃きだったけど、図星のようだ、乃木坂さんはスカートのときと同じ反応をした。「潤香君は君のようにはいかなかった。破れた血管を暫く固定しておくのが関の山。幽霊の応急治療はMRIでも見えない。あとは自然回復するのを待つだけだったんだけどね。立て続けに二回。二回目に切れたのは何故だかわかるかい?」「……ソデのとこで平台に頭ぶつけたからじゃ……ないの?」「それも原因の一つだけど直接的には、まどか君、君なんだよ」「わ、わたし(#゚Д゚#)!?」「あの日、潤香君は屈んで靴を履こうとして君のことを思い出したんだ。君は、あの芝居の稽古中、ずっと潤香君の真似をやっていただろう?」「え、うん……」...RE・乃木坂学院高校演劇部物語・82『幽霊さんの生き甲斐』

  • 宇宙戦艦三笠19[空母遼寧の船霊ウレシコワ・1]

    宇宙戦艦三笠19[空母遼寧の船霊ウレシコワ・1]レベルマックスのワープが終わると後方に中国の航空母艦遼寧が感知できた。こちらがワープ完了直後の静止状態なので、微速で三笠の後を追っている形になっている。「遼寧に連絡――救助の必要有や否や?――」副長の樟葉が、俺が言い終わる頃には連絡をし終えていた。ワープの間に見た夢のせいか、二人の呼吸はとても合ってきた。遼寧は、元ロシアの航空母艦だったので、見かけはいかつく堂々としている。ブリッジを中心とする上部構造物は、クリンゴンかガミラスのそれを思わせるほどにマガマガしい対空、対艦兵器が各種のむき出しのレーダーと共に取り囲んでいて、いかにも頼もしい。艦首はバルバスバウ(球状艦首)とよくバランスの取れたジャンプ台式の滑走甲板。アメリカの空母に比べると小ぶりではあるが、見か...宇宙戦艦三笠19[空母遼寧の船霊ウレシコワ・1]

  • 巡(めぐり)型落ち魔法少女の通学日記・001『入学者説明会』

    巡(めぐり)型落ち魔法少女の通学日記001『入学者説明会』受験番号順に座った合格者に『合格者書類』とプリントされた紙袋が配られる。前に座っている子は117番の袋をもらった。「ハイ」とだけ声が掛かって渡された袋はズシリと重く、119番の番号が打ってある。……118番の子は落ちたんだ。張り出された合格者発表は自分の番号しか見てなかったから気づかなかった。落ちた子もいるんだ――気を引き締めなくちゃ――と、十五歳の時司巡(ときつかさめぐり)は気を引き締める。フフそんなわたしを横に座った若作りが笑う。若作りはお祖母ちゃん。今年で古希を迎えようかというお祖母ちゃんは、四年前まで魔法少女をやっていた。定年は六十歳で、その後は再任用で五年間勤めていた。何を隠そう、お祖母ちゃんは、この宮之森高校の卒業生。卒業して五十年以上...巡(めぐり)型落ち魔法少女の通学日記・001『入学者説明会』

  • RE・乃木坂学院高校演劇部物語・81『桜幻想』

    RE.乃木坂学院高校演劇部物語81『桜幻想』「恋人……?」「そんなんじゃないよ……でも、その子はね、死ぬときに――お母さん――と言って……でも、そう言いながら、僕のことも思ってくれたんだ。僕も同じころに死んだから。その思いは伝わったよ。生きてたころは……なにを言わせるんだよ、幽霊に!」「ごめんなさい、立ち入ったこと聞いて(^_^;)」「その子は、将門様のところへ行った。ほら、千代田区のビルの間にあるだろ」「ああ、将門の首塚。小学校のとき社会見学で、ついでに寄ったわ」「ハハ、将門様がついでかぁ」「ごめんなさい」「いいよいいよ、世の中が平和な証拠だ。将門様はね、そういう霊たちを集めて面倒を見てくださるんだ」「その子は、まだ将門さんのところに?」「ううん、十年ちょっと前にね、僕とまどか君みたいに相性のいい女の子...RE・乃木坂学院高校演劇部物語・81『桜幻想』

  • 銀河太平記・140『おばちゃん、メシ、まだあ!?』

    銀河太平記・140『おばちゃん、メシ、まだあ!?』お岩鬼日本炸掉了洛陽号(鬼の日本が洛陽号を爆破した)!過激な九文字が漢明国のネットに溢れかえり、上海や南京では『把铁槌子背叛者的鬼日本上加在(裏切り者の鬼日本に鉄槌を加えよ)!!』と叫ぶ群衆デモが頻発した。カンパニーは、A鉱区の落盤事故以来の体制で消火作業にあたり、並行して負傷者の救助と犠牲者の収容に当ったさ。洛陽号は、ドッグの水を抜いて検査の準備を始めたところだった。なんせ、満州戦争生き残りの殊勲艦。日本で言えば横須賀に動態保存されている『こんごう』に匹敵する。『こんごう』に匹敵すると言ったのは岩田総理だ。事件の第一報を十分後に知った総理は、すぐに記者会見を開き「洛陽号の喪失は、漢明国民にとっては『こんごう』の喪失に匹敵するでありましょう」と沈痛な表情で...銀河太平記・140『おばちゃん、メシ、まだあ!?』

  • RE・乃木坂学院高校演劇部物語・80『乃木坂さん』

    RE.乃木坂学院高校演劇部物語80『乃木坂さん』バルコニーに面したところに椅子とテーブル……その上には琥珀色の紅茶が注がれたティーカップがあった。「いい香り……」「春のゴーストブレンド」ヒラヒラと、桜の花びらがカップの中に落ちてきた。「あら……」「僕の演出」「フフフ……気が利いてる」長閑に二人で笑った。「名前とか聞いていいですか。わたし……」「仲まどか君だよね……僕の名前は勘弁して」「どうしてですか……?」彼は、一見無造作におかれた椅子たちに目をやった。「僕は、たくさんの仲間達の代表だと思っている。あちらの椅子、みんな仲間が座っているんだ。数が足りないから、立ってるやつもいる」「え……あなたのことしか分からない」「そう、こんなにはっきり分かり合えるなんてめったにないんだ……みんな羨ましがってる。ここにいる...RE・乃木坂学院高校演劇部物語・80『乃木坂さん』

  • せやさかい・380『犬が西向きゃ尾は東・2』

    せやさかい・380『犬が西向きゃ尾は東・2』さくら昨日のつづき、えと……声優の花園あやめさんが来はったとこからです。「あやめさん、ちょっと休憩します。お茶でも飲んでてちょうだいませ!さくらちゃん、いっしょに来て!」「あ、ちょ……」みなさんに0・1秒で頭を下げて、せわしない監督の後に続く。「さくらちゃん、筋向いに文房具屋があるでしょ」「あ、はい」監督の指さした筋向いに『勉強堂』の古看板の文房具屋さんが見えた。「あの文房具屋で押しピンを買って来て欲しいの」「押しピンですか?」「うん、はい、この千円で」「あ、はい」「だいじょうぶ、ぼくも見守ってるからね!」「はい」宗武監督は、今まで会ったことの無い人種で、言葉はソフトやねんけど言われたら抗しがたい力がある。ソフトパワーいう言葉が浮かんでくるよ。連想でソフトクリー...せやさかい・380『犬が西向きゃ尾は東・2』

  • RE・乃木坂学院高校演劇部物語・79『埴生の宿』

    RE.乃木坂学院高校演劇部物語79『埴生の宿』稽古が始まって十日ほどがたった。台詞もほとんど入って、ダンドリは分かってきた。でも、最初読んだとき面白かったお芝居も、やってみると難しさだけが際だってくる。だってね、この芝居、新派、新劇、歌舞伎、狂言、吉本などなど、ありとあらゆる芝居のエッセンスのテンコ盛り。そもそも最初から、歌舞伎風の口上で始まるんだよ(^_^;)。――東西東西(とざい、とーざいー……てな感じで言います)一段高うはございますが、口上なもって申し上げます。まずは御見物いずれも様に御尊顔を拝したてまつり、恐悦至極に存じたてまつります……てな感じで、かみまくり(ほんとに舌噛んじゃった)動画で、それらしいのを見たりして研究中。前途多難のキザシ。そこへもってきて、あの気配……だんだん強くなってきて、こ...RE・乃木坂学院高校演劇部物語・79『埴生の宿』

  • せやさかい・379『犬が西向きゃ尾は東・1』

    せやさかい・379『犬が西向きゃ尾は東・1』さくらええと……東京からの帰りです。「ごめん、この土日で東京に来てほしい!」前生徒会長の百武真鈴先輩に拝み倒されて……拝み倒した本人は、うちの横でアイマスクして寝てます。こんなご時世やさかい、新幹線の車内はみんなマスクしてんねんけど、その上にアイマスクしてるさかい、ちょっと怪しい。高校生声優として人気うなぎのぼりの真鈴先輩は顔がさす。駅やら電車の中では高い確率で正体がバレてしもて、サインとか写真とか頼まれるんで目隠しのためらしいねんけど、ほんまに寝てるしぃ。真鈴先輩は原子力で動いてるんちゃうかというくらいに活発な人やねんけど、その秘訣は、この――どこでも寝られる――いう技があるからやないかと思う。「みなさん、リアルさくらでーす!」先輩自ら両手のキラキラエフェクト...せやさかい・379『犬が西向きゃ尾は東・1』

  • RE・乃木坂学院高校演劇部物語・78『旧制中学の制服』

    RE.乃木坂学院高校演劇部物語78『旧制中学の制服』スカートを繕って同窓会館の方に戻りかけると、理事長先生といっしょになった。「さっきは、焼き芋の差し入れありがとうございました」「なんのなんの、ちと多すぎやしなかったかね」「いえ、先輩方も応援に来てくれたんで、ちょうどよかったと思います」「そうか、そりゃよかった」そこへ、みんなが、ゾロゾロ同窓会館から出てきた。「整理完了したから、お祝いの買い出しに……あ、理事長先生。先ほどはありがとうございました」一礼すると、里沙を先頭に、みんなで駅前のコンビニを目指して行った。「ほう……綺麗になったね。いや、同窓生を代表して礼を言うよ」「いいえ、とんでも。こちらこそ……」理事長先生は、懐かしそうに部屋を一周すると、ピアノに向かい、静かに撫でてから弾き始めた。「……先生、...RE・乃木坂学院高校演劇部物語・78『旧制中学の制服』

  • くノ一その一今のうち・34『巣鴨』

    くノ一その一今のうち34『巣鴨』お年寄りが多いねえ!巣鴨の改札を出ると、まあやが感動した。「やっぱりとげぬき地蔵とかがあるしね」巣鴨は別名『お婆ちゃんの原宿』と呼ばれるくらいにお年寄りが多い。うちのお祖母ちゃんも時々来ているんで話には聞いていた。商店街に向かうと、活気は十分なんだけど雰囲気が昭和。アーケードっていうのか屋根が無くって、一見ショボいんだけど、シャッターで閉まっている店なんか無くって、買い物客が多くって、そのほとんどがお婆ちゃん!「昭和って、こんな感じなんだろうねぇ……」まあやはツボにハマったようで生き生きしている。行儀のいい子だから、いつでも笑顔なんだけど、今日の笑顔は普通にティーンの女の子として楽しんでいる。「明太子……自然食品……蕎麦屋さん……季節料理……お饅頭屋……まぐろ屋さん……焼き...くノ一その一今のうち・34『巣鴨』

  • RE・乃木坂学院高校演劇部物語・77『焼き芋』

    RE.乃木坂学院高校演劇部物語77『焼き芋』里沙の目算通り、談話室の掃除と整備には三日かかってしまった。電球は半分だけの交換……というか半分ですんだ。LEDの電球なので、少なくてすむ。むろんシャンデリアまでは直してもらえなかったけど、稽古場の明るさとしては十分だった。ヒーターは三台。べつにケチられたわけじゃない。電気容量が三台でいっぱいになるので仕方がない。でも、これでは少し寒い、今後の課題。不思議なことは、なにも起こらなかった。わたしを除いて……なーんちゃってね。あの男子生徒は、あれから現れない。やっぱ、なんかの見間違い……でも、ひょっとした拍子にに気配を感じる。ほんの瞬間なんだけど視線を感じる。寂しげだけど温もりのある視線。その日も、ピアノを拭いていて、それを感じた。おいしそうな匂いとともに……あれ?...RE・乃木坂学院高校演劇部物語・77『焼き芋』

  • 鳴かぬなら 信長転生記 101『陣触れアラート』

    鳴かぬなら信長転生記101『陣触れアラート』信長スマホで甘味の献策をしている。扶桑(転生国)に来てけっこうな年月になる。信玄や謙信の相手をし、こないだは隣接する南の大国三国志の偵察もやってきた。ここいらで、少しばかり好物の甘味……いまはスィーツというのか?それを学校と家事の合間に食べるぐらいいいだろ?ワッフルサンド……古いのか?古いものをサンドイッチに?まあ、温故知新ということもある。チェック。フルーツ大福……これも古いのか?大福と言うからには饅頭の類か。温故知新、チェック。わらび餅ドリンク……わらび餅は好きだ、でも飲むくらいに緩いのはどうなんだ?ドリンクというのは液体だろ?カヌレ……なんだこれは!?甲冑の装飾に使う菊座のような、べ、別に他の菊座を思い出したわけではないぞ!チーズキンパ……海苔巻きにチーズ...鳴かぬなら信長転生記101『陣触れアラート』

  • せやさかい・378『今日から三学期!』

    せやさかい・378『今日から三学期!』さくら今年もよろしくお願いしま~す。三日の日に挨拶に伺ったとはいえ、三学期最初の登校日、きちんとお店のドアを開けてご挨拶しとく。「こないだはありがとう、また遊びに来てくださいねぇ(^_^;)、モーニング二つ、アメリカンでございます、そちらさまは……」トレーを二つも持って、それでも半身を捻って挨拶してくれはる瑞穂さん。片手で挨拶のマスターはドリップから目を離せません。ペコリと頭を下げて駅に急ぎます。「未成年て感じやないねえ」信号待ちで思わず感想が口をつく。「うん、十個は上に見える」マスターが「あ、瑞穂はまだ未成年だから(n*´ω`*n)」なんて言うもんやさかい、うちらは気になってた。今どきの未成年はあいまいや。十八で選挙権あるし、なにか契約するにしても親の同意もいらんよ...せやさかい・378『今日から三学期!』

  • RE・乃木坂学院高校演劇部物語・76『男子生徒の姿』

    RE.乃木坂学院高校演劇部物語76『男子生徒の姿』「「「うわー(*゚◇゚*)」」」三人そろって歓声をあげた!一瞬、談話室がセピア色に輝いて『英国王のスピーチ』の時代のようになった。秩序と気品と知性、品格、そしてちょっとウィットに満ちた空間に。チ……チチ……チチ……チチ……プチンでも、そのシャンデリアは数回点滅して切れてしまった。「やっぱ、ボロ」夏鈴がニベもなく言った。最後に点滅したとき……それが見えた。一瞬。ピアノに半身を預けるようにして立っている男子生徒の姿が。「あ……」「どうかした?」「え、ああ……ううん」「へんなの。まどか、閉めるよ」夏鈴と頷いて、里沙が電気を落としてドアを閉じた。すると、微かに聞こえた……タイトルは思い出せない。だけど、優しく、懐かしいメロディーが。あの子が、あの男子生徒が唄ってい...RE・乃木坂学院高校演劇部物語・76『男子生徒の姿』

  • RE・乃木坂学院高校演劇部物語・75『同窓会館』

    RE.乃木坂学院高校演劇部物語75『同窓会館』「下見に行くぞ!」理事長室のドアを閉め、奥の院の角を曲がると、里沙が拳を上げた。ほとんど開かずの間。掃除や整理の見積もりをしておきたいという里沙らしい考えからだ。下校時間を過ぎそうなので、そのまま帰れるように部室にカバンを取りにいった。「……自衛隊の体験入隊って、なんなのよ?」里沙が、ドアを開けながら背中で聞いた。「あ、あれは……夏鈴がさ、エヘヘと笑って頭掻いたりなんかするからさ……」「あんなに誉められたら、ああするしかないでしょ(,Ծ‸Ծ,)」夏鈴がフクレる。「そうよ、それにマリ先生のこともね」「それはね……」……ありのまま全部話した。祝福と非難が二人分返ってきた。それも全身クスグリの刑で……すんでの所で笑い死ぬところだった(汗)。部室の電気を消してドアを閉...RE・乃木坂学院高校演劇部物語・75『同窓会館』

  • 銀河太平記・139『洛陽号大爆発!』

    銀河太平記・139『洛陽号大爆発!』お岩ドッカーーーーーーン!!最後の中華弁当が売れてたところで大爆発が起こった!台にしていたビールケースが吹っ飛んで、弁当を運んできたワゴンもあさっての方角を向いてひっくり返ってしまった。「もおおおお、洗濯したてを着てきたのにぃ!」巫女服の袖と袴がベロベロになったハナが文句を垂れる。なんの爆発か理解するのに数秒かかった。ドッグの洛陽号が定位置よりも50メートルほど後ろにずれて、少し左舷に傾いて黒煙を上げている。「店長、洛陽が爆発したんすよ!」「見に行こう!」「ガッテン!」瓦礫を飛び越え、破片を踏みしだきながらドッグの際を目指す。ウゥゥゥゥゥゥゥゥ!ウゥゥゥゥゥゥゥゥ!ウゥゥゥゥゥゥゥゥ!サイレンが鳴り響き、手すきの工員やロボットがドッグに向かい、ドローンが状況把握のために...銀河太平記・139『洛陽号大爆発!』

  • 宇宙戦艦三笠18[クレアが見せてくれた夢]

    宇宙戦艦三笠18[クレアが見せてくれた夢]東郷少尉は、無表情のまま水盃を飲み干した。真珠湾で三飛曹で参加して以来生き残った数少ないベテランである。ガダルカナルの攻防に負けて以来、部隊は解隊され、東郷は一人横浜鎮守府に移され、各地から選抜された訓練生の飛行訓練に明け暮れていた。訓練生が特攻に使われることは分かっていた。基本の操縦技術を教えると、航法や戦闘訓練はおざなりに合格点を付けさせられた。旧式のグラマンならともかく、米軍の主力戦闘機であるF6Fやコルセア、ムスタングなどに太刀打ちできる技術ではなかった。それでも東郷少尉は合格点を出した。次に待ち構えている急降下爆撃や超低空飛行による爆撃訓練に時間を割くためである。急降下爆撃は降下角70度でやらせる。普通は、せいぜい60度であるが、それでは米軍の優れた対空...宇宙戦艦三笠18[クレアが見せてくれた夢]

  • RE・乃木坂学院高校演劇部物語・74『奥の院』

    RE.乃木坂学院高校演劇部物語74『奥の院』理事長先生は来客中なので、わたしたちは廊下で待っていた。通称奥の院。事務室、校長室、応接室と続いて左へポキッと廊下を曲がって奥の方。普通、生徒はこの廊下に立つこともなく卒業していく。待っているだけで緊張しまくり。やがて、廊下を曲がって、みごとな禿頭を神々しく光らせながら、とても九十代とは思えない足どりで理事長先生がやってこられた。「やあ、君たちか。待たせたね。さ、中に入り給え」給えだよ給え!アニメ以外で「給え」聞いたの初めて、リアル給え!マホガニーのドアを開けて、気安く招き入れてくださった。わたしってば、緊張と待ち時間が長かったせいで、部屋に入るとすぐにポケットから施設一覧を出した。「あ……」一覧といっしょに自衛隊のパンフ出して、落っことしてしまった!それを、理...RE・乃木坂学院高校演劇部物語・74『奥の院』

  • くノ一その一今のうち・33『猿飛佐助の陰謀』

    くノ一その一今のうち33『猿飛佐助の陰謀』「なかなかの連係プレイだったが、ここまでだ」王子の姿をしたそいつは聞き覚えのある声で終了を告げた。燃え盛る車を間に挟んでいるので、城の中の者に気取られることはない。さっさと退散すべき状況なんだけど、動けば、僅かでも遅れた者がこいつと戦わなければならない。戦えば城内の者が駆けつけてきて厄介なことになる。話を聞くほかに手立てはない。「わたしは豊臣本流の木下家に仕える猿飛佐助だ」佐助が王子に化けていた。なんのためだ?「木下家は海外に力を伸ばしている。日和見の鈴木と違って世界の豊臣家を目指しているからだ。豊太閤の遺徳を帯してこその豊臣家再興、その意志と力を知ってもらうために、このドラマに付き合ってもらった。この草原の国は、いずれ木下の援助のもとに復興を遂げるだろう。復興を...くノ一その一今のうち・33『猿飛佐助の陰謀』

  • せやさかい・377『テイ兄ちゃんの偵察に付き合う』

    せやさかい・377『テイ兄ちゃんの偵察に付き合う』さくら元日の昼まで東近江市のお寺におって、夕方に堺に帰ってきた。除夜の鐘撞いた後も、交代でお風呂に入ってしゃべくりまくって、いつ寝たんやら起きたんやら(^_^;)。お雑煮をいただいて「こんなお雑煮初めて!」と感動したのはメグリン。「古閑さんは、どんなお雑煮だったの?」詩ちゃんが興味深そうに聞く。「お雑煮って、すまし汁に角餅でした」「古閑さん、もともとは関東の人なのね?」「はい、父も母も東京です」メグリンは、お父さんが幹部自衛官で、子どもの頃から引っ越しばっかり。行く先々で、うまいこと馴染んできたけど、お雑煮なんかは、やっぱり親の出身地のスタイルになるねんやろね。うちも、四年前、大和川の向こうから引っ越してきて戸惑うこともあった。せやけど、お母さんの実家やさ...せやさかい・377『テイ兄ちゃんの偵察に付き合う』

  • RE・乃木坂学院高校演劇部物語・73『施設一覧の図面を広げた』

    RE.乃木坂学院高校演劇部物語73『施設一覧の図面を広げた』思いあまって、柚木先生に相談に行った。「……わたしも、ペーペーだからね。普通教室じゃ、だめなの?」「はい、机と椅子を全部出しても、舞台の半分もありませんから」里沙が、図面を出して説明。手書きだけどセンチの単位まで書き込まれていて、さすがに里沙。事実上の部長であるわたしも負けているわけにはいかない。なじみの技能員のおじさんにコピーしてもらった学校の施設一覧を出そうと、カバンを揺すり上げる。「よっ、ウワ!」ドサダッフルコートが落ちかけて力を入れたらトートバッグが落ちてしまった。「なにこれ?」夏鈴がはみ出たあれを見咎める。はみ出たあれこれは、直ぐにバッグに押し戻したんだけど胡蝶蘭の折り紙が間に合わなかった。「ヘタッピーな折り方だね」「どれどれ……これ折...RE・乃木坂学院高校演劇部物語・73『施設一覧の図面を広げた』

  • RE・乃木坂学院高校演劇部物語・72『いい台本はあるんだけど問題は稽古場』

    RE.乃木坂学院高校演劇部物語72『いい台本はあるんだけど問題は稽古場』「へえ……こんな芝居もあるんだ!」「道具なんにも無し。照明も転がし(舞台に直に置くライト)一つだけ」「ハハ……笑っちゃうね!」最初のト書きを読んだ夏鈴と里沙の反応。わたしたちはマッカッサーの机の端っこに座って、プリントアウトしたばかりの本を読んでいた。わたしたちは机の端っこでやるという習慣から抜けきれずにいた。ペーペーのころのまんまと言うか、マッカッサーの机に位負けしてると言うか……で、とにかく驚いたり笑ったりしながら読み終えた。「すごいね、効果音、役者が自分の口で言うんだね。戸を開けてガラガラガラ。夜が明けたらコケコッコー!」夏鈴が、さっそく演ってみる。「この、三太っての、一人で四役も早変わりするんだ。大変だねぇ……」と、言いながら...RE・乃木坂学院高校演劇部物語・72『いい台本はあるんだけど問題は稽古場』

  • RE・乃木坂学院高校演劇部物語・71『二人だけの誕生会』

    RE.乃木坂学院高校演劇部物語71『二人だけの誕生会』「え、マリちゃん、本気かよ……」聞こえたのは、この一言だけ。さすがの高橋誠司も声を落とした。「あれ、貴崎先生だよな?」「うん……」「横に居るのは?」「悪魔だよ」「え、あ!?」「シ……」よほど真剣な話なんだ、ほとんど会話としては聞こえてこない。断片的な単語……あとは口の形でも分かる言葉だけ。先生:辞める……教師……人生……才能……あるし……高橋:分かった……待って……なんだか、先生、辞める気になって、高橋さんが止めてるっぽい。噂では、二乃丸高校で厳しいクラブ指導をしていると聞いていた。嬉しさ半分、寂しさ半分というところだった……二の丸辞めるのかなあ……いや、もっとスゴイ決心……真剣に話してるんだけど、湿っぽさが全然なくて、先生の目は潤香先輩みたくキラキラ...RE・乃木坂学院高校演劇部物語・71『二人だけの誕生会』

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