鳴かぬなら信長転生記178『栞のひとり語り』書籍栞(範夫人)若いころから本だけ読んでいられればいいという人だった。流行らない書店をやるにはうってつけの性格。たまに出かけることがあっても、本に書いてあることを確かめるという感じで、用件さえ済んでしまえばさっさと戻って来る。本に書かれていることを補強、確認するための旅。五回に一回ぐらいは「栞ちゃんもどうですか」と誘ってくれて、年に一度ほどは「そうねぇ、それじゃあ」と、今回のように付いていく。たいてい、美味しい名物料理とかがあるところで、たまにおいしいものを食べさせれば女房孝行だと思っている。危なげが無く安心できる亭主。ごくたまに「ちょっと見てくる」と日帰りの小旅行に行く。これに誘われたことは無い。これも雑誌とかに出ている歌姫や女優さん、時には売り出し中の遊女を...鳴かぬなら信長転生記178『栞のひとり語り』