千年の影引く影や姫小松高山れおなさわらびや何を握りて永き日を同玉苗のふるへたふとし水は空同地球より溢れ荒川雪の夜を同昭和百年源氏千年初鏡同我が狐火も霜夜は遊べ狐火と同息白き別れは星の匂ひかな同時の日の湖光りつつ眠る同挽歌降るべし雲雀ほど高きより同高山れおな・句集『百題稽古』現代短歌社
日盛を座頭鯨の遠ざかる中田美子春眠の深きところに息をする岡田由季月上がるかすかに草の匂いして小林かんな凩やオリオンの股抜けてきし仲田陽子俳誌「ユプシロン」No.4
火星大接近山蟻畳這ふ龍太一人類の化石は未完天の川同言靈の辭典に宿る秋灯同龍太一・句集『HIGH・QUALITY』飯塚書店
掃除機を動かすまでの春うれひ津髙里永子春月と豆電球をつなぐ駅同枯蓮に水音敗者復活す同津髙里永子・句集『寸法直し』東京四季出版
向瀬美音編『国際俳句歳時記[冬・新年]』ふらんす堂
名をもらひ赤子も花の世の一人髙柳克弘寒卵世界はすでに終わつてゐる同どつさりと星ある夜の蛙かな同髙柳克弘・句集『涼しき無』ふらんす堂
鶏頭花ざわざわ続く疫病かな中内亮玄秩父山系ゆっくり頷く春の野生同あらたまの光混み合う鶏舎かな同俳句結社誌「俳諧旅団月鳴」第参号狐尽出版
音楽やとほくにこほり見にゆけり宮本香世乃春の木が爛れて窓が開けてある田島建一逃水の向うが今の時刻かな鴇田智哉星のない土が耕されて眠る福田若之俳誌「オルガン」28号2022spring
特別寄稿芭蕉飛び込むー古池の句に込められた芭蕉のメッセージ行方克巳俳誌「丘の風」第29号三田俳句丘の会
いつかつかう箱うつくしく春の家こしのゆみこ光る字を押すと湯の沸く雪夜かな田島建一心音をふたつ並べて月を待つ月野ぽぽな砲台にあぢさゐのありありとある宮本佳世乃茅の輪くぐる脱獄のよう室田洋子後輪のもたもたとして曼珠沙華大石雄鬼見返しを銀河と思ふ漢詩集岡田由季こいのぼり方向音痴でも愉快小野裕三俳句誌「豆の木」No.26
夢の世に葱を作りて寂しさよ永田耕衣朝顔や百たび訪はば母死なむ同死螢に照らしをかける螢かな同仁平勝著『永田耕衣の百句』ふらんす堂
近藤栄治著『昭和俳句の挑戦者たち』創風社出版
夜氣といふは花の匂ひや水明り渡邊水巴人間に火星近づく暑さかな萩原朔太郎青年鹿を愛せり嵐の斜面にて金子兜太林桂・俳句詞華集『鍾愛百人一句』
死人花風を揺らして揺るるらし有賀眞澄秋扇少年打擲して開く同夜は反射朝はあまがみする反射同有賀眞澄・句集『愛密集』虹蜺舎
水に還る途中を枇杷の花咲けり水野真由美雲少しあふれて鬱金桜かな同夏野へとピアノを運び出す男同水野真由美・句集『草の罠』風の花冠文庫
切株があり愚直の斧があり佐藤鬼房陰に生る麦尊けれ青山河同みちのくは底知れぬ国大熊生く同渡辺誠一郎著『佐藤鬼房の百句』ふらんす堂
一九三八年一一月九日深夜水晶の夜映寫機は碎けたか堀田季何戰爭と戰爭の閒の朧かな同日の本の中心や色變へぬ松同堀田季何・句集『人類の午後』邑書林
合歓の花どこまでもゆく舟に乗り村松二本月山を前に座りぬ露の玉同ゆきゆきてアジアの奥に月見かな同村松二本・句集『月山』角川書店
指を嗅ぐ少年蝶を放ちしか谷口智行裏返す死者へこの世の冬銀河同神ときに草をよそほふ冬の月同谷口智行・句集『谷口智行集』俳人協会
髙野公一・評論集『芭蕉の天地「おくのほそ道」のその奥』朔出版
髙野公一・評論集『芭蕉の天地「おくのほそ道」のその奥』朔出版
目の玉がUFOを呼ぶ鳥威し上野犀行ディランの詩もて平成の日記果つ同イマジンに始まるラジオ冬銀河同上野犀行・句集『イマジン』飯塚書店
みはるかすはるのかすみはくはねども中原道夫兄事する石塊のありひきがへる同それまでのことこれからのこと落葉して同中原道夫・句集『橋』書肆アルス
「ブログリーダー」を活用して、五島高資さんをフォローしませんか?
千年の影引く影や姫小松高山れおなさわらびや何を握りて永き日を同玉苗のふるへたふとし水は空同地球より溢れ荒川雪の夜を同昭和百年源氏千年初鏡同我が狐火も霜夜は遊べ狐火と同息白き別れは星の匂ひかな同時の日の湖光りつつ眠る同挽歌降るべし雲雀ほど高きより同高山れおな・句集『百題稽古』現代短歌社
鎌倉の人の涼しき胡坐かな林誠司母の日や遠くまあるく土星の輪同江の島へ向かつて水を打ちにけり同人は座し水はいそげり春の山同わたつみへ雲かぶせたり富士の秋同林誠司・句集『海光』(俳句アトラス)
吃音のあとの静寂に小鳥来る福本啓介月朧抱きしめられてゐたりけり同昼月と共に過ごせり保健室同小春日の昨日に我を置いて来し同さくら咲き記憶喪失終はりけり同福本啓介・句集『保健室登校』文學の森
また回り出す年越の換気扇髙野ムツオ無辺へと千手を垂らし菊枯れる同不立文字風に渦巻く落葉こそ同天の狼咆哮雪が降り出せり同冬の蝿昨日の朝日今日も浴び同終末に備え固まる黒海鼠渡辺誠一郎数え日や終わらぬ旅の旅衣同産声を忘れ宣戦布告かな同「小熊座」2025年2月号
障子貼りゐていつの間に囲まれし今瀬剛一冬の星糸で繋いで贈らむか同瀧凍り始める寒さかと思ふ同ショール巻いて母が見えなくなりしかな同やがて会ふはずの枯野の二人なり同瀧深く隠して山の眠るなり今瀬一博鮟鱇の腹の白さよ雪催同目瞑れば吾も大柚冬至風呂「対岸」2025.2
ペンギンの胸の広さや春隣大木あまり霜の花忘るるために歩きけり同鎌倉の水羊羹と無常観同マスクして逢ふや双子座流星群同立ち泳ぎするかに揚羽飛ぶことよ同入院も旅と思へば冬うらら同大木あまり・句集『山猫座』ふらんす堂
くらい水すきとほらせる花火かな大屋達治大年の街の音聞く橋のうへ同大山に脚をかけたる竈馬かな同海に出てしばらく浮かぶ春の川同泳ぎより立つとき腕を翼とす同日蓮が妙と叫びし初日かな同捨てし田を豊葦原へ還しけり同大屋達治・句集『大屋達治集』(俳人協会)
薔薇咲くや抜歯のあとのあをぞらを鈴木総史とんばうや蝦夷にあをぞらあり余る同背広にも晩年のあり漱石忌同薬飲むみづのまばゆし風信子同鈴木総史・句集『氷湖いま』ふらんす堂
山上の雲の厚さや田水張る藺草慶子水底のかくも明るく冴返る同水渡り来し一蝶や冬隣同片雲の遠く光りて夏きざす同光陰のなだれ落ちたるさくらかな同藺草慶子・句集『雪日』ふらんす堂
火柱の見えしと思ふ白雨かな石田郷子暗がりに人詰めてをる里祭同寄せ合へる椅子のまちまち天の川同冬林檎剝けば夕べの月の色同万の枝けぶらふバレンタインの日同石田郷子・句集『万の枝』ふらんす堂
にんげんの回転木馬さくら散る増田まさみ何処へも戻らぬひとよ冬花火同手花火の手の入れ代わるニルバーナ同空蝉にまだ陽の残る浅きゆめ同二つ折り厳禁とあり天の川同増田まさみ・句集『かざぐるま』霧工房
街灯は待針街がずれぬよう月野ぽぽな真水汲むように短夜のFM同松茸に太古の空の湿りあり同まだ人のかたちで桜見ています同太陽は遠くて近し芒原同手袋に旅立ちの指満たしけり同月野ぽぽな・句集『人のかたち』左右社
友情にイルカが跳ねる時を待つ十文字潤夕焼けが捨てた光に救われて栗原知也誰が夢を空へ紡ぎて五重塔星野煌太「零文学」第十三号(群馬県立太田高等学校文芸部)
地平の目まだ半びらき真葛原佐怒賀正美乗るによき父の背いつか天の川同地球まだ知られぬ星か磯焚火同亀鳴くや天の沖には磁気嵐同くねりだす街の石みち鳥渡る同青嵐や骨のみで立つ電波塔同佐怒賀正美・句集『黙劇』本阿弥書店
黒海は波高くして春遠し田中信行空白を控へめに埋め冬すみれ同夕立に打たれ心の解毒かな同田中信行・句集『プリムローズの丘』(日経BPコンサルティング)
大井恒行さんより『水月伝』(ふらんす堂)を頂きました。心よりお礼申し上げます。覚悟なき死のおびただし核の冬大井恒行覚めているほかは眠りぬ鈴の風同ひかりなき光をあつめ枯れる草同赤い椿大地の母音として咲けり同行方わからぬ光放てり手の林檎同大井恒行・句集『水月伝』ふらんす堂
春満月戦車渋滞していたり中内亮玄微笑みの凄まじきこと落椿同曼珠沙華火の骨組みに緩み無く同「月鳴」第5号(狐尽出版)
この星の春を盡すや又震ふ高橋睦郞踝に雲さやりつぐ川禊同變若水や有爲の奥山㝱深く同春惜む綾取りの橋壊しては同三界は火宅風宅三の酉同山や水有情無情や皆目覺む同高橋睦郞・句集『花や鳥』ふらんす堂
菜種梅雨パレードにひつような橋田島健一山桜なにも言わずについてくる同人をさがしてと奉じてゐる遅日鴇田智哉菜の花の群れが空気を膨らます同つま先に春の闇から届く波福田若之ゆく春に折り目があれば分けやすい同ほんたうはつばきのなかにあることば宮﨑莉々香星ぼしや見えなくなつた手に手を振る同こゑが地に届いて枝垂桜かな宮本佳世乃ともに夜を生き桜蘂降りつづく同「オルガン」33号
大井恒行さんより『水月伝』(ふらんす堂)を頂きました。心よりお礼申し上げます。覚悟なき死のおびただし核の冬大井恒行覚めているほかは眠りぬ鈴の風同ひかりなき光をあつめ枯れる草同赤い椿大地の母音として咲けり同行方わからぬ光放てり手の林檎同大井恒行・句集『水月伝』ふらんす堂
春満月戦車渋滞していたり中内亮玄微笑みの凄まじきこと落椿同曼珠沙華火の骨組みに緩み無く同「月鳴」第5号(狐尽出版)
この星の春を盡すや又震ふ高橋睦郞踝に雲さやりつぐ川禊同變若水や有爲の奥山㝱深く同春惜む綾取りの橋壊しては同三界は火宅風宅三の酉同山や水有情無情や皆目覺む同高橋睦郞・句集『花や鳥』ふらんす堂
菜種梅雨パレードにひつような橋田島健一山桜なにも言わずについてくる同人をさがしてと奉じてゐる遅日鴇田智哉菜の花の群れが空気を膨らます同つま先に春の闇から届く波福田若之ゆく春に折り目があれば分けやすい同ほんたうはつばきのなかにあることば宮﨑莉々香星ぼしや見えなくなつた手に手を振る同こゑが地に届いて枝垂桜かな宮本佳世乃ともに夜を生き桜蘂降りつづく同「オルガン」33号
何度開けてもないものはない冷蔵庫高橋亜紀彦仙人掌の永き夢から醒めて赤同曼珠沙華汝もサイコパスかも知れず同白梅や詩人は生くるために書く同長き夜や使ひみちなき砂時計同出目金の泪に誰も気づかざる同高橋亜紀彦・句集『異邦の神』朔出版
月に住む時代それでも白子干仲寒蟬入口のとなりに出口牡丹園同息止めて水着売場を抜けにけり同バイナップルすら爆弾に見えてくる同出目金の赤は黒より不幸せ同俳誌「牧」第15号
雪もよい湯気のにおいのからだかな越智友亮気を抜くと雨粒こぼす春の空同噴水の水やわらかく水に消ゆ同駆け足や宇宙は秋の空の上同金木犀両手で握手して別る同数学をやめ台風を待っている同河童忌の鉄のにおいの掌よ同稲咲いて朝をくださる光かな同革ジャンの鈍きひかりやうまごやし同白玉や今が過ぎては今が来て同相槌うって君は話さずオリオン座同川幅に橋おさまらず枯葎同越智友亮・句集『ふつうの未来』左右社
わだつみの道の遠のく秋入日加藤哲也顔見世を出て風となる一と日かな同宵闇に紛れ込みたる夏館同新涼やロダンの肘のあたりより同大人にもこどもにも降る木の実かな同蠟梅や知覚過敏を憂ひつつ同菜の花や月光菩薩立ち上がり同加藤哲也・句集『最終列車』角川書店
ぶらんこの裏まで見せて跳びにけり蜂谷一人心太突いて夜空を滴らす同龍骨のかたちに日本南吹く同林檎むくまあるくほどけゆく時間同もう土へかへる桜でありしもの同蒼き灯の底を聖夜の魚となる同蛤の舌夕暮に触れてをり同馬跳びの最後冬夕焼と遭ふ同ひぐらしや波の広がる心字池同空蟬を残して声となりにけり同昼点いて白熱灯や虚子忌なる同蜂谷一人著・句集『四神』朔出版
噛みてなほ七面鳥の皮の照り佐藤文香ぬかるみのあかるみを踏み友なりけり同にはとりのはぐれて一羽春の中同夏霧を鳥おりてきて馬となる同終の住処鉄扉に薔薇を這はせあり同こゑで逢ふ真夏やこゑは消えるのに同音楽のあをく膨らむ熱帯夜同佐藤文香・アメリカ句集『こゑは消えるのに』港の人