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敏洋 ’s 昭和の恋物語り https://blog.goo.ne.jp/toppy_0024

[水たまりの中の青空]小夜子という女性の一代記です。戦後の荒廃からのし上がった御手洗武蔵と結ばれて…

敏ちゃん
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住所
岐阜市
出身
伊万里市
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2014/10/10

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  • 水たまりの中の青空 ~第二部~(百四十二)

    「女将、女将、女将。聞いてるか?この佐伯正三くんはな、驚くなかれ、恐れ多くもだ、逓信省の次官さまになられるお方なんだよ。我々とは、まるで違うお方なんだ」「そうですよ、そうです。年次としては、我々の後輩ではありますよ。年下です。突然にこの極秘プロジェクトに参入した、新人ですよ。でもね、佐伯局長さまの甥っ子さまであらせられる。控えおろう!ってな、もんですよ」ネクタイをねじり鉢巻にした二人が、口々に正三を持て囃した。「まあまあ、そうですか。佐伯局長さまの甥っ子さまですか。いつも、佐伯さまにはご贔屓にしていただいて、ありがとうございます」「でな、女将。今夜の……」。口ごもる正三に対して、「まあまあ、みなまで仰いますな。分かっておりますですよ、万事お任せあれえ、です。どうぞ、心行くまでお遊びくださいまし。もうそろそろ、芸...水たまりの中の青空~第二部~(百四十二)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~(百四十一)

    “この報告書を書き上げれば、小夜子さんに逢えるんだ”。正三は、隣町に出かけて観た映画のあとに、暗くなった公園での「約束よ」という声と共に触れられた、小夜子の柔らかい唇の感触が忘れられなかった。夢の中で幾度となく吸い合った小夜子との接吻に、毎日毎日、思いを馳せていた。“もうすぐです、もうすぐです。今日中に報告書を書き上げます。徹夜してでも、書き上げます。そうすれば、僕は、僕は、、、貴女の下に馳せ参じます。もうすぐです、もうすぐです”翌朝大役を果たし終えた正三は、早退届を提出した。報告書を受け取った室長は、「うん、ご苦労さん。よく頑張ってくれたな。疲れたろう、ごくろうさん」と、機嫌よく了承した。昼休みの折に中庭に出た正三は、久しぶりの俗界に触れた気がした。正三の気持ちは昂ぶっていた。大きく背伸びをして、一、二と声を...水たまりの中の青空~第二部~(百四十一)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~(百四十)

    「佐伯君、この案件を報告書にまとめてくれ給え。次官様提出用だから、頼むよ」「かしこまりました。すぐにも、取り掛かります」正三は声を掛けられた途端、弾かれたように立ち上がった。やっと、ここまでに辿り着いたのだ。逓信省に入省後すぐに総理府内の電波管理委員会に出向を命じられ、テレビ放送に関する免許交付に関わってきた。大きな利権が絡んでいるだけに、正三の行動は厳しく制限されていた。先輩職員らと同様に外部との接触が一切禁じられ、府内への泊り込みもしばしばだった。そもそも新任の正三如きが組み入れられるようなプロジェクトではなかったが、叔父である佐伯源之助の強引な引きがそこにあった。源之助にとって本家筋の跡取りである正三を、一介の官吏で終わらせるわけにはいかないのだ。この後一旦休職とし、東大の法学部へ入学させる手筈を整えてい...水たまりの中の青空~第二部~(百四十)

  • ボク、みつけたよ! (四)

    もう何年前になるでしょうか、生まれ故郷である伊万里市に帰ってみたいなと思い始めたのは。きっかけは「まるで違う街みたいだったぞ」という兄のひと言でした。兄の言葉がきっかけではありましたが、もう一つあります。そしてそれが一番の動機なのです。あることを確かめたくて――本人の口から直接聞くことができれば、それが一番なのですが。今どこで何をしているやら。いや、おそらくはもうこの世には居ないでしょう。そもそも小説を諸々の賞に応募しているのは、その人に気付いてもらいたいということなのですから。あなたが捨てたわたしは、ここに居ます。そしてこんなわたしになりました、と知らしめたいのですから。そのためにも、わたしがわたし自身をより深く知らねばならぬと思っているのです。恥を晒すようですが、人間としての資質に疑問を抱いているのです。失...ボク、みつけたよ!(四)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~(百三十九)

    相好を崩して手を叩く武蔵に、他の客たちの視線が一斉に集まった。「こりゃいかん。どうも、お騒がせしまして、申し訳ありません。ワイフの英語上達に、つい」深々とお辞儀をしてトイレへと入り込む武蔵に、「お父さん、ワイフってなによ!お嫁さんにはならないって、言ってるでしょうに」と、小声で言う小夜子。しかし武蔵は、まるで口笛を吹きながらのような軽い足取りで意に介さない。「言った者勝ちさ!」席に戻った武蔵に膨れっ面を見せながらも、目が笑っている小夜子だ。「もう、お父さんったら!口、利いてあげないから!」「そんなこと言うなら、ジャズ演奏、連れて行かないぞお、だ」「ずるい!約束してる、じゃない!」「ハハハ、口、利いてくれたな。俺の勝ちだ、ハハハ」ますます頬を膨らませて、まるでおたふく顔になる小夜子だ。「鏡で見てみろ、面白い顔して...水たまりの中の青空~第二部~(百三十九)

  • That’s 昭和のドラマ

    これぞ、[昭和のドラマ]でっせえ!噂には聞いていたのですが、ほんとに実現するとは……。もう今、興奮の極みです。青春真っ只中!わくわく、ドキドキです。高齢者のお方たち、[どてらい男(やつ)]覚えてみえますよね。花登筐原作・脚本の、テレビドラマですけど。大ヒットの後に舞台化されましてね、わたしも観ました。友人の奥方のお婆ちゃんに連れて行ってもらいました。名古屋の御園座だったと記憶しています。ご夫婦で観覧に来られていた方が、離ればなれの席になっておられました。たまたまわたしの席がその方たちのお役に立って、交換です。かぶりつきの席でした、役者さんの息づかいが聞こえてくるような。笑いが渦巻くシーンなんかでは、他の役者さんが下を向いて笑いをこらえているのですが、それがバッチリと見えるんです。西郷輝彦さんも笑いをこらえるのに...That’s昭和のドラマ

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~(百三十八)

    「ああ、美味しかったぁ。さてと、最後のお菓子は、…やっぱり冷たくて甘いものよね。あれ、何て名前だったっけ?」「アイスクリームのことか?」「そうそう、それそれ。頼んでくれる?」武蔵が手を挙げると、すぐさまウェイターが飛んできた。「こちらのお姫さまが、アイスクリームをご所望だ。頼むよ」承知しましたと、深々と礼をして下がる。「ふうん。お父さんって、どこに行っても、上客なんだね。他のお客さんと、扱いが違うみたい」「まあな。俺は紳士だからな。敵に対しては容赦しないが、味方にはとことん応援する」「それって、お父さん。あたしに、言ってるの?恩知らずって、思ってるんでしょ?あたしだって、いろいろ考えてるから。お父さんには、キチンとお世話になった分、お返しをするつもりだから」ポッと頬を染める小夜子だが、武蔵には酔いが回ったせいと...水たまりの中の青空~第二部~(百三十八)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~(百三十七)

    「ジャズ?小夜子はジャズが好きなのか?」「知らなかった?英語の勉強もだけど、ジャズを聞きたいというのもあるの」思いも寄らぬ返答に、普段の小夜子からは感じられぬその嗜好に驚きを隠せなかった。小夜子のすべてを知りぬいたつもりの武蔵だったが、アナスターシアとのことといいジャズ音楽への入れ込みようといい、底の知れぬ女だと嬉しくなる武蔵だった。「どうして早く言わないんだ。連れてってやろうか、本場のジャズが聞けるところに。日本人は聞けないぞ」「ほんと、ほんと、ほんと?約束だよ、絶対だよ」身を乗り出して、武蔵の前にナイフを振り回す。「おいおい、危ないじゃないか」「ごめんなさい。で、いつ?明日?明後日?」「いや、そんなに早くは無理だ。二、三ヶ月は先だろうさ。先月に来たばかりだからなあ、慰問団が。そう、しょげ返るな。日本人のバン...水たまりの中の青空~第二部~(百三十七)

  • ボク、みつけたよ! (三)

    わたしには兄が一人居ます。父親は平成七年に死去しています。母親は多分ですが他界しているでしょう。多分というのは、両親は離婚していますので。父親に育てられて、母とは音信不通です。中学二年の冬でした。母が家出してしまい、そのまま帰らずです。大正14年生まれです。ですので多分他界しているでしょう。兄は、わたしの子ども二人を除けば、唯一の肉親です。言い忘れていました、わたしもまた離婚をしています。子どもたちとは恥ずかしい話ですが、現在は音信不通です。正直、良い父親とは言えません。経済的にも苦労をかけましたが、何より父親としての愛情を注ぐことに失敗した気がします。わたしのidentity確立失敗に関わることなのですが。唐突ですが、お尋ねします。あなたは、愛情を信じられますか?感じられますか?お持ちですか?そもそも愛情とは...ボク、みつけたよ!(三)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~(百三十六)

    「お父さん。だから、あたしのこと、どう言ったの」肉を頬張りながら、怒りの言葉を武蔵にぶつける。「ううむ。やっぱり、美味しいわ!お肉が、全然違うのよね。だから、あたしをどう紹介したの?」「おいおい、食べながらじゃ怒ってるのかどうか分かんないぞ」苦笑いしながら、武蔵が受ける。高い天井には大きなシャンデリアがあるが、輝度は弱めだ。壁にもランプ形の灯りがあり、それらで以て店内を柔らかい照度で照らしている。各テーブル上のランプの炎が、シーリングファンの微風でゆらりと動いた。小夜子の眉がピクリと動き、八の字になった。「怒ってるに決まってるでしょ」「ハハハ、まぁそう怒るな。高井の早とちりなんだから」「そういう言い方したんでしょ?うわあ、このじゃがいも、ホクホクしてる!」怒りの口調の中に嬉々として頬張る様は、どうしてもそぐわな...水たまりの中の青空~第二部~(百三十六)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~(百三十五)

    「誠に申し訳ありません。教育がなっておりませんで。森田くん。頼むよ、ほんとに。御手洗さまとのご縁が切れたら、僕はクビですよ。今、ご婚礼時の調度品のお約束を頂いたところなんだから」怪訝な顔を見せる小夜子に対し、小声で耳元に囁いた。「さすがに御手洗社長は、お目が高い。小夜子さまなら、いいご伴侶になられますです」小夜子は武蔵から、何も言われていない。まさか今日の外食が、このデパート目当てだとは、思いも寄らぬことだ。そして今も、疑いはない。あくまで、いつもの小夜子のご機嫌取りだと思っている。しかし高井の言葉に、悪い気はしない。“まったくもう!そんなことを言いふらしてるのかしら?あとで、とっちめなくっちゃ”と、軽く受け止めていた。「小夜子さま。本日はどのようなお靴をお考えでしょうか?」森田の慇懃な態度が、小夜子には面映ゆ...水たまりの中の青空~第二部~(百三十五)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~(百三十四)

    小夜子は一人、靴売り場の入り口で、所在なげに立っている。正三と訪れた折には、1階からすぐにエレベーターに乗り、催事場のある5階へと向かった。そこで坂田という係員に見咎められて、言い争いを起こしてしまった。そしてマッケンジーとうデザイナーの目に留まり、そしてそして運命の女性とでも言うべきアナスターシアとの結びつきが出来た。小夜子にとって聖地とも言えるその場所に今日は来た。ひとりで来た。そこかしこで、ヒソヒソ話が始まった。場にそぐわぬ小娘に、視線が強い。相手をしている店員たちもまた「そうでございますね」と相づちを打っている。その中の独りがツンケンとした朽ちようで「何かご用でしょうか、お嬢さま」と、棘のある口調で声をかけた。“あんたなんかの来る場所じゃないわよ”。そんな声が聞こえてきそうな雰囲気だった。「小夜子さま、...水たまりの中の青空~第二部~(百三十四)

  • ボク、みつけたよ! (二)

    「実は……。もう一点、4Kチューナーをご購入して頂くことになります」。おいおい、話が違うだろうが。で、いくらするの?という話ですが、これまた五桁の金額で。心が折れました、大きな音が頭の中で響きました。まだ残暑の名残りが残っていたのですが、ピューピューと身体の中を木枯らしが吹き荒んでいる感じです。多分肩を落として、背中が15度ほど曲がった状態で店を出たと思います。話が違うじゃないか、というご指摘、ごもっともです。「買い求めた」と、冒頭でお話ししました。ですので、少し補足をしなければなりません。このエピソードは、数年前の秋の十月の話です。買い求めたというのは、昨年末のことです。悩みに悩み、うじうじと考え続け、コロナ禍のおかげで外に飛び出すことも出来ずに、とうとう……。清水の舞台から飛び降りたのは事実です。幾ばくかの...ボク、みつけたよ!(二)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~(百三十三)

    「さ、降りるぞ」武蔵の呼びかけに、夢想から引き戻された小夜子が「えっ、は、はい」と、らしからぬ声を挙げて立ち上がった。素直な返事など、小夜子には似つかわしくない。「勝手に降りたらいいわ、あたしはまだ乗っていたいの」。天邪鬼な性格の小夜子が発するのはこうだろうと想像していた武蔵には、面食らう返事だった。「どうした?今日は変だぞ、小夜子。まだ心配事でもあるのか?」「何でもない」。それでも、力ない声で答える小夜子だ。半分ほどの乗客たちが一斉に降りていく。お先にどうぞと手を動かす武蔵に対して、「失礼」「お先に」といった言葉がかけられていく。大人の風格を漂わせる武蔵の振る舞いが、小夜子には誇らしく感じられる。が、先陣を切ってバスから降りたいとも思う小夜子でもあり、後回しにされているー小夜子を一番だと遇してくれる武蔵らしか...水たまりの中の青空~第二部~(百三十三)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~(百三十二)

    出かける段になって、武蔵が小夜子に注文を付けた。活発に動き回りたがる小夜子にとって、武蔵の出不精は不満の大きな種だった。出不精と言っても、外出を嫌がるわけではない。ぶらりぶらりと、ただ歩く散歩を嫌う武蔵だった。なにか目的があっての外出には、否と答えたことは一度もない。しかし暑い日中やら木枯らしの吹く折ならばいざ知らず、日差しが落ち着いた夕暮れ時や雨上がりの虹を見たいという小夜子の希望には、何やかやと言い訳をしては出かけようとはしない。そのくせ、外食や買い物ーといっても日常の買い物ではなく、銀座に出かけてのショッピングだがーそして映画鑑賞に観劇は、武蔵が旗を振る。但し、移動手段に問題がある。「小夜子、ハイヤーにするか?」「いいわよ、電車で」「小夜子は良くても、俺は、どうも人込みが嫌いでな」武蔵の人付き合いの悪さは...水たまりの中の青空~第二部~(百三十二)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~(百三十一)

    「うそ!ちっとも帰って来ない!二ヶ月ぶりよ、お日さまの高い時間に、お家にいるの」いつもの武蔵を詰る声が、やっと出た。「そんなに、なるか?」「そうよ!帰って来ない日だってあったんだから」ぷーっと頬をふくらませて、口を尖らせる。「いやそれは。関東から離れると、どうしてもな」「ほんとに、全部お仕事?浮気してないの!お土産のない時がある!」立て続けに非難の言葉を吐く小夜子に「そりゃ、すまんすまん。今度からは、忘れないようにするから。な、な、忘れないようにするから」と防戦一方の武蔵だ。“女っていうのは、ほんとに鋭いな”と、舌を巻く。確かに出張だと偽っての浮気もある。英雄は色を好むものだとばかりに「和食ばかりじゃ飽きも来るもんさ、たまには洋食や中華も食べてみたくもなるさ」と、五平にうそぶいたことがある。「女の嗅覚は馬鹿に出...水たまりの中の青空~第二部~(百三十一)

  • ぼく、みつけたよ! (一)

    すでに旅行記にてお話ししたことですが、九州旅行に出かけた折のことを、物語り風にしてみようと思い立ちました。キャラを際だたせるつもりですので、違和感を感じられる方もいらっしゃるかも?まあ最後まで進めば、そのキャラも許されることになるのでは……、なんて勝手に思い描いていますけれども。できますれば最後までお付き合い願えればと思うしだいです。コロナが落ち着いたら、もう一度九州旅行に出かけてみるつもりですが、今度は鹿児島から回ろうと思っているんです。復興中の熊本城をどうしても見てみたいのです。そして伊万里市に入り周辺の町をじっくりと回ってみたいものです。そして博多に寄って、福岡市のお城を見るつもりです。その後広島市で原爆ドームの見学です。ここは、日本人のルーツの一つみたいなものでしょうから。-----齢七十となり、チラホ...ぼく、みつけたよ!(一)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~(百三十)

    久しぶりに自宅でくつろぐ武蔵に対し、小夜子はあれこれと世話を焼いている。鼻歌混じりで洗濯物を干した。出涸らしのお茶っ葉を畳の上に撒いての掃き掃除も、今日は楽しいものに感じられる。「何だあ、小夜子。えらくご機嫌じゃないか?何か、良い事でもあったのか。英語学校の先生にでも、誉められたか」「別に、何もないよ。お天気が良いから、気分が良いの」武蔵に声を掛けられて、高揚している気持ちに気付いた小夜子だった。“別に、武蔵だからじゃないわ。そうよ、誰でもいいのよ。一人ぼっちが、つまんないのよ”武蔵が居てくれるからだとは、思いたくなかった。あくまでも武蔵は足長おじさんであり、小夜子の思い人は正三でなくてはならないのだ。葉書きの一枚も送らない不実な男であっても、小夜子にとっては唯一人の男なのだ。そうでなくてはいけない、と言い聞か...水たまりの中の青空~第二部~(百三十)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~(百二十九)

    “将来の為よ。正三さんに、美味しいものを食べて頂く為の練習なの。そして、アーシアに和食を食べさせるの。ホテル住まいばかりじゃなくて、どこの国でもいいから……そうね、やっぱりアメリカかしら。お家を買うの、お庭の付いてる。そこであたしが待ってるのよ。疲れて帰ってくるアーシアに、美味しい和食をたくさん食べさせて……。ああ、だめなのよね。いいわ!少しの量で、たくさんの種類を用意してあげるの。とにかく、お野菜とお魚と、そしてたまにお肉。そういえば、アーシアって、お肉は全然口にしなかったわ。だめなのかしら?食べちゃ。嫌い、ということはないわよね。ああ、早く会いたいわ。会いたいと言えば、正三さん、どうしたのかしら?”矛盾を矛盾と感じない小夜子だ。正三とアーシア、同一人物かのごとくに思っているように見える。「正三さんとかいう彼...水たまりの中の青空~第二部~(百二十九)

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